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Night Over 3rd Beauty

1名無しAKB:2011/01/22(土) 18:29:09
出演:no3b

2名無しAKB:2011/01/22(土) 18:29:40
☆☆☆

ちょっとどころかかなり早めに着いた収録現場、の控え室。
三人の中で一番だろうなと思ってたのに違った。陽菜がいた。
イスに浅く腰掛けて、机に頬杖をついてうつらうつらしてる。
「はる――」
声をかけようとして理解し、口を抑える。そおっと入っていこうと
したんだけど、ドアを閉じた時の小さな "カチャリ" で
起きてしまった。

3名無しAKB:2011/01/22(土) 18:31:54
「みぃちゃんおはよー」
「おはよ。陽菜早いね」
「うーん」
うっすらと開かれていた目がゆっくりと閉じられていく。
「昨日ちょっと眠ってなくてさー」
「部屋でも片付けてた?」あの、汚部屋と噂の。
「する訳ないじゃん」
しなよ。
「じゃああんまり寝てないの?」
「寝たんだけどぉ」
どっちだ。

4名無しAKB:2011/01/22(土) 18:32:42
ずるずると陽菜の顔が手を肘を滑って、机にべたっとうつ伏せに
なって、言葉は続く。
「明け方に目が覚めた時にね」
「うん」
「あここで二度寝したら絶対遅刻って思ってここ来ちゃった」
成程、納得。
うちには遅刻とか努力が足りないことに対して炎の如く怒るのが
いるからなぁ。だから私も早いにこしたことないかと来たんだし。
たかみなの性分を知ったうちのお母さんは、普段学校に遅れそうでも
そんな気にしないのに、お仕事の日に起きないと怒ることさえある。
つまりうちのお母さんは、たかみなの、いやたかみなの性格の
ファンなのだ。

5名無しAKB:2011/01/22(土) 18:33:14
「たかみなが来たら起こしてね」
「了解」
「あ、やっぱりたかみなが来てもぎりぎりまで眠らせて」
「はいはい」
コーとを脱いで、鏡を見る。風で崩れた髪にブラシを入れてる内に
すぅすぅと寝息が可愛く響いてきた。

6名無しAKB:2011/01/22(土) 18:34:18
静寂。
規則的にかちかちと打つ壁掛け時計の音が、だんだんと部屋を
満たしていく。なのにとても静かだと思った。
そうだ、ケータイ。陽菜の寝顔でも撮るかと鞄に手を伸ばしかけて、
やめた。
私はそっと陽菜に近づいて行く。

7名無しAKB:2011/01/22(土) 18:35:32
きれい、だな。

きめ細かい白い肌も、ふっくらして紅く色づく唇も、閉じた瞳に
長く浮かぶまつげも、細くすっときりっと上がった眉も。
この五年間で数え切れないほど見たのにまだ見入ってしまう。
陽菜みたいに――。
なれたら。
その顔を見ようと吸い寄せられるように、もっと、もっと。
そこで。

8名無しAKB:2011/01/22(土) 18:36:20
どさり、と音。
そちらを見ると全身ピンクのリボン女が固まっていた。
「あ、おは――」
ようたかみな。と言い終える前に、遮られる。
「いやいやいやみぃちゃん今!今にゃんにゃんにキスしようとした!」
えっ?
「優子だー!!!!みぃちゃんが優子化したー!」
優子て。
視線を感じて陽菜を見ると、閉じられていた目はぱっちりと
開いていて、机に寝そべった姿勢のまま、ぴくりともせずじっと私を
見上げていた。

9名無しAKB:2011/01/22(土) 18:37:35
続きます。

10名無しAKB:2011/01/30(日) 17:57:49
☆☆☆

ラジオの収録が終わってたかみなと陽菜は次の仕事場へ。
ふたりとは夜のしごとでまた合流するんだけど、メディア選抜の差はやっぱり
大きく、私だけぽっかりとした空き時間ができる。
女の子らしくショッピング(ウィンドウ)を軽く楽しんだ後で、私は
喫茶店に入り読書を。『お金が儲かる時間の使い方』再読中。
同じ本を読み返すことを時間の無駄と言われたこともあるけれど、読み返すことで
改めて解ってくることって絶対あると思うから。多読より精読。


知識はつけたい、とも、つけなければ、とも思う。
知ることが楽しいの他に、いざという時のために。
陽菜とたかみなに比べて私にはそのいざという時の可能性が高いから。
選抜総選挙の結果を見ても。

11名無しAKB:2011/01/30(日) 17:58:40
☆☆☆

夜の収録が終わって振り返る。結構発言できたような気がする。どれだけ
使われるだろうか。いくつかでも使われるといいな。
なんて思いつつ帰り支度をしていたら聞き慣れた声で。
「ぶす」
私の後ろ襟をぎゅっと掴みながら、陽菜。顔が近い、近い。
「今日、ブス会したい」
「あ、いいよ」
ブス会。ノースリーブス会。この三人でのお食事会。
もうお家でのご飯を終わってる時間だし、どうしようかと思ってから。
にこーっと天使のような笑顔を浮かべた陽菜は、私の襟から手を離すと
「たかみなー」と走って行った。
んっ、つまり先に誘ってくれたってことか。そう考えるとちょっと嬉しかった。

12名無しAKB:2011/01/30(日) 17:59:18
☆☆☆

食べに行くかと思ったら陽菜が「お酒飲みたい」とか言い出して、じゃあと
たかみなの家へ。すみませんね、未成年で。
「こんなに買って大丈夫?」
「無理かも」
「ちょっと待てぇい!じゃあ買うなよこんなに……」
たかみなの右手にはぶらさげたビニール袋には、缶のカクテルが五本。
「だって全部味が違うもん」
「飲めるだけ買えよ。あたしも飲めないんだからにゃんにゃん全部飲んでよ」
「無理」
言いながら陽菜はビニールに手を入れ一本掴む。その長く綺麗な爪でプルタブを
起こそうとして、諦めて「みぃちゃん開けられる?」と聞いてきた。
受け取り開ける。ぷしゅっと音がした。ってか歩きながら飲むの?

13名無しAKB:2011/01/30(日) 17:59:47
☆☆☆

ピンクのリボンをしたたかみなが、部屋着だとかいう濃いピンクのTシャツと、
薄いピンクのキュロット(ほんと好きだなピンク)で、焼きそばを炒めている。
陽菜は細いジーンズであぐらをかいてて、まださっきの缶を飲み干せてない。
私はと言えばモスグリーンのワンピースで、趣味が合う本の少なそうな
たかみなの本棚を上から下から見たり、ふたりを観察してみたり。三者三様。

14名無しAKB:2011/01/30(日) 18:01:29
☆☆☆

おおざっぱな味付けの焼きそばとざくざくに切られた野菜の炒め物。
あつあつをふぅふぅしながらいただくと、ちょっとしょっぱいけどとても
美味しい。
「おいしいね」と言うと、あからさまに嬉しそうなたかみな。
「でもちょっと塩入れ過ぎたかなって」
「たかみならしいよ。たかみなのMCみたい」
「待て待て待てーい!」
なんて感じで、笑いながら、夜が更けていって――。

15名無しAKB:2011/01/30(日) 18:02:25
続きます。

>>10はふたつの書き込みをうっかり1回でコピペしてしまいました……。

16名無しAKB:2011/01/30(日) 21:24:44
冷静に状況を見ているみぃちゃんが好きです。
みぃちゃんは狂言回しが似合いますねー。

17名無しAKB:2011/02/05(土) 17:10:32
レスありがとうございます(^^
みぃちゃんは頭良い子だから司会進行に持って来いですよね。

18名無しAKB:2011/02/05(土) 19:06:32
テーブルの周りでぐうたらな私たち。今日は疲れたこともあり、
熱い話もせずたかみないじり・たかみな落としばかり。

19名無しAKB:2011/02/05(土) 19:06:53
ふと時計を見ると一時を回っていて、私とたかみなは目をあわせ
――そろそろ片付けて眠る用意する?
――そうだね。
と目で会話。
声にしない理由は陽菜。机に突っ伏してすやすやしてるから。
まぁでも起こさないことにはテーブルが片付けられない。
空いた缶、散らばったおつまみ、かけてたCDをざっと脇に寄せて
残るのは陽菜のみになった。にゃんにゃん、とたかみなが体を揺らす。
「まだ飲むー」
「もういいだろ。ってかさっきの缶でラストだよ。
 にゃんにゃんよく全部飲んだな」
ほんとに。
「まーだー飲ーむー! たかみな買ってきてよ」
「いやだよ!」

20名無しAKB:2011/02/05(土) 19:07:14
一番年上が一番わがまま。私とたかみなは顔を見合わせて
また始まったって顔をする。こうなったら。
「たかみな上半身持って。私足持つから」
「えぇ、みぃちゃんが上半身持ってよ」
「起きてるもん!」と顔を机に伏せたまま、陽菜。ふいに。

21名無しAKB:2011/02/05(土) 19:07:35
「あたし、ナスと結婚しようかな」
驚くことを言った。

22名無しAKB:2011/02/05(土) 19:08:54
……えっ?

23名無しAKB:2011/02/05(土) 19:09:22
えぇっ!
「ナスって、みぃちゃんの弟? なんでだよ!」
たかみなが笑い出す。陽菜は動かない。
「峯岸陽菜になる」
「みねはる。語呂悪りぃー!ってか普通に男の人じゃん」
ぎゃははははと響くたかみなの声。
でも私は笑わなかった。いや、笑えなかった。だって。
なんか違うもん。いつもの陽菜じゃない。
「みぃちゃん家の子になりたい」

24名無しAKB:2011/02/05(土) 19:09:46
あっ。って顔をしてたかみなが笑うのを辞めた。
これは想像でしかないけれど、陽菜はあまり自分の家が
好きじゃないんじゃないかと思うことがあった。
例えば、うちら三人の弟にラジオをやってもらおうって話に
なった時に陽菜が言った「うちの弟、忙しいから」とか。
例えば、自分の家を物置みたいにしても平気なこととか、
それを注意されたり勝手に片付けられたりしないこととか。
きっと、やっぱり――。
「みぃちゃん」
たかみなが私の手を引いた。陽菜は……もう完全に眠って見えた。

25名無しAKB:2011/02/05(土) 19:10:12
からからと音を立てるサッシ。ベランダはちょっとだけ寒いけど
ちょっと気が引き締まる感じ。
「今日のラジオの後さ、あたしとにゃんにゃんさ、
 みぃちゃんと別れて違う仕事に行ったじゃん」
「うん」
「そこでさ、前に陽菜を結構好きって言ってたカメラマンさん
 いたんだけどさ、覚えてる?」
えっと。確か。
「あごひげ生やした?」
「そうそう。推し変してた。みぃちゃん居なくてがっかりしてた」
嬉しい気持ちがちょっとと、あぁ…って気持ちがたくさん。
そっちか。陽菜、またあったか。

26名無しAKB:2011/02/05(土) 19:10:29
前に感じたことがある。
最初は陽菜を気に入ってた人が、だんだんと別のメンバーに
興味を持っていくのを。そのとき初めて、陽菜の見た目で
悪いことなんかあるんだなぁ。と思ったものだ。
「あたしの代わりにみぃちゃんが落語をしたときもさ、
 にゃんにゃん、いろいろ考えたみたいだし」
何にも考えてないように見えるけど、実はいろいろ
考えてるからなぁ、あの人。意外とこたえてるんだろうなぁ。
空気で冷えた頭と気持ちでたかみなと話した。
仕事について、これからについて、やや、深く。

27名無しAKB:2011/02/05(土) 19:10:50
寒っ、と肩をすくめながら部屋に戻ると、陽菜はさっきまでと
同じ姿勢で眠っていた。
顔を覗き込んでみる……気のせいかもしれないけど、なんとなく
私にはまつ毛が濡れているように見えて――。

28名無しAKB:2011/02/05(土) 19:11:32
 
ふと、陽菜の頭を撫でてみた。

29名無しAKB:2011/02/05(土) 19:12:01
んんっ、とちょっと頭を動かしする仕草。微笑んだようにも
見えてなんか、猫、みたいだよな。
ついついずっと撫でてしまうが、そのうちたかみながじと目で
見てるのに気づいた。
「たとえかわいそうって気持ちになったとしても!」
しても?
「優子化はダメ、優子化は!ダメ、絶対!」
何の標語だ。
「なりません」

30名無しAKB:2011/02/05(土) 19:12:27
でも。さっきよりちょっとだけ優しくなった私は。
「たかみな」
「ん?」
この、年長のわがままっ子に。
「たかみな足持って。私が陽菜の上半身持つから」

31名無しAKB:2011/02/05(土) 19:12:42
終わり。

32名無しAKB:2011/02/05(土) 19:26:56
【反省会】
終わりはしましたが反省点がいっぱいですよ。
まず書きたいって気持ちが先行しすぎてタイトルが
適当になってしまいました。
no3bって頭文字につけたかったんだけど結局無意味な
タイトルに。何だこのタイトル。
あと書きたいって気持ちが先行して話が浅いです。
こないだ書いた松井JRの話と中身が大差ないです。
こういう平坦な話なら幾らでも書けそうですが
さすがにもっと中身の濃いのも書きたいです。
次は無理矢理にでもAKBメンバーと安部なつみを
絡ませてみたいです。本当におわり。

33名無しAKB:2011/02/07(月) 01:50:04
今回も面白かったです。
3rd Beautyっていうタイトルの付け方も凄く好きでした。

34名無しAKB:2011/02/13(日) 16:15:23
ありがとうございます。
タイトルは変えたいくらいです。
でもタイトル何度考えてもおもいつかないのです。

そして今、あきちゃが大ブーム到来中なのです。。。
あきちゃって実はパーフェクトガールなんじゃないですか!?

35jahu ◆2LEFd5iAoc:2013/02/18(月) 01:06:31
いいですね


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