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風のままに、君のままに

1匿名匿名希望:2003/08/02(土) 16:39
見切り発車で多分赤信号だらけだと思いますが、よろしくお願いします。
更新はかなり不定期で、長さ的には中編?もしくは・・・
本当に自分でもよく分からない状態ですがスタートです。

472D-R:2004/05/06(木) 18:20
自分の服を脱ぐという行為にさえ、私の指は震えていた。
一枚服を脱ぐごとに、彼女に愛されているという錯角に落ちた。
体が熱くなっていくことを感じ、彼女の唇をなぞった指で自分の唇をなぞるだけで私は欲情した。
ここまで欲しくなるのはDのせいなのか。
それとも、ただ、私が彼女を欲しいのか。
分からない。
でも、私は欲しかった。
そして、もっと、聞いて欲しかった。

彼女の体を仰向けにし、その上に自分の体を重ねた。
少し冷えた体と体。
密着した部分から彼女の温もりが流れてきた。
胸に耳を当てたら聞こえる心臓の鼓動。
生きている証。
耳を胸に当てたまま、私は沢山のことを彼女に話した。

473D-R:2004/05/06(木) 18:20
───死んじゃったらさ、意識ってどうなっちゃうんだろうね。
Dに飲み込まれること、それって意識を失うことなのかね。
だったら、死んじゃうってことなのかね。
そんなんじゃ『生きてる』なんて言えないよね。

昔ね、死んだらどうなっちゃうんだろうって考えたら眠れなくなっちゃったことがあったんだ。
このまま眠って、目を覚まさなかったら私どうなっちゃうんだろうって。
怖かった。すごく怖かった。
想像なんてしても想像出来なくて、ともかく怖かった。
今もね、考えると怖いの。
すごい、怖いの。
でもね、あなたと一緒なら、大丈夫だと思うの。
今なら、そう、言える。
思うだけで、少しは怖くなくなるんだよ。
一緒になんかいれるはずないのにね。
でも、思えば、そう、思えば、ちょっとは怖くなくなるんだ。


ねぇ、あなたは私を抱いてくれる?
私のこと、愛してくれる?
私のこと、ずっと、ずっと見ててくれる?
こんな私だけど、愛してくれる?
今だけ、愛してくれる?───

474D-R:2004/05/06(木) 18:21
尽きることのない言葉。
生まれては吐き出され、私の息が彼女の胸を駆け抜けた。
言葉のない返事を胸の鼓動で確かめ、そっと指を腹や胸や鎖骨や頬に滑らせた。
口元から規則的にくり返される呼吸を指で感じ、同じように唇でも感じた。

475D-R:2004/05/06(木) 18:22
───自分が人から愛されるような人間じゃない。
そう、分かってる。
それでもいい。
今だけでいい。
全て忘れられる程にあなたが欲しくて、私を愛して欲しいの。
そう、今だけでいいから───

476D-R:2004/05/06(木) 18:23
薄く開いた唇から舌を入れて彼女の中の熱さを知った。
触れた唇の温かさや、触れた頬の柔らかさを知った。
唇でなぞる全ての部分が愛おしくて、全部、私だけのものにしたかった。
他の人が触れたことがあると思うだけでも食い千切りたくなった。

白い肌に指を這わせ、胸の先端を口で含んで舌で転がした。
固くなるのが嬉しくて、愛のない愛を感じた。

私は体中を愛した。
口付けしてない場所なんてないくらいに夢中で彼女に唇と舌を這わせた。
食べて一つに溶けてしまいたい。
お互いを縛るモノを全てなくし、彼女と溶け合ってしまいたかった。

Dが私ならよかった。
私が彼女の中に溶けていればよかった。
彼女を取り込み、私が彼女に、彼女が私になる。
自分で自分を愛し、自分で彼女を愛し、彼女に私は愛さあれる。
背中が溶けてしまう程に熱く、私の胸を焦がす程に熱く。
この指が彼女の指になり、彼女の指が私の指に変わる。

渡したくない。
彼女をDなんかに。
失わせたくない、彼女を他の何かに。

477D-R:2004/05/06(木) 18:24
私は独占欲の固まりだ。
駄々をこねて欲しがる子供。
同じようなモノを持つ体。
同じ所を同じ部分に重ね合わせれ私は彼女と解け合えるだろうか。
そう思って重ねた体。
胸、足、腕、唇。
重ねた所から快感が走り抜け、私から理性という言葉が抜け落ちていった。

下手くそな愛撫よりも感じる彼女の指。
こんなやり方間違っているって分かっていても、私は彼女を求め続けた。
荒くなった息。
背中を伝う汗。
全て、彼女に捧げるもの。
今だけ、愛されてると実感できていた証拠。

…違うのは分かってる。
なのに、彼女の肌触れている時間、私は私だけの世界から抜けだせていた。
終わった後のこの激しい胸の痛み。
私は最悪の状況をつくり出し、彼女を辱め、そして彼女の肌に触れた。

478D-R:2004/05/06(木) 18:25
最後の夜。
残りわずかな時計の命は、私が彼女の唇に唇で触れている間にその時を止めた。
永遠のカタチにもならない動きを、その時に刻み込んだ。

終わってしまえ、何もかも。
終わらせてしまえ、私自身も。

降り出した雨を見つめながら、私は彼女の手に自分の手を重ねてみた。
その手は、やっぱり熱すぎた。

479D-R:2004/05/06(木) 18:26
───愛されるような人間ではない私が愛した彼女。
私の記憶に残る優しい風が吹く場所。
最後の時を過ごそうと決めた場所。
ここで全てを終わらせよう。
彼女に全てを知ってもらおう。
そして、選んでもらおう。
どこまでも私は彼女の歯車を狂わせ続けた。
最後の、最後まで───

480D-R:2004/05/06(木) 18:27
まっすぐなひとみは語る程にその姿を隠すことが多くなった。
Dの激しい侵食。
時間のない時間。
彼女は混乱をし、そして私も今まで言葉となって外に出ていくことのなかった感情が溢れ、
彼女と同じように、いや、彼女以上に私が私を管理出来なくなった。

溢れる言葉は止まることを知らず、私は止め方を知らない。
吐き出される想い、彼女の愛を知っていながらに否定をし、そして愛を求めてた。
冷静でいられなくなる私とは反対に、彼女はどんどんと落ち着きを取り戻しているようだった。
そのひとみは私を捕らえ、そして私から最後の鍵を簡単に取り上げた。
転がるように落ちていった私。
Dが私の体を犯していくのに気付いていた。
なのに、止められなかった。
私は、その吐き出しているその時、今までにない幸福感を感じていた。

481D-R:2004/05/06(木) 18:28
彼女の運命を全て狂わせた私。
そんな私なのに、最後の最後まで彼女の運命を弄んでしまった私なのに、
彼女は私から目を反らすことなく、むしろ無ではない目で私を見ていてくれた。
私という人物を見てくれて、私というカタチを見てくれる。
向けられている視線は私だけのもの。
こんな私なのに、見てくれている。
涙が流れた。
彼女を見て、涙が流れた。
もう独りでいることにおびえないでいいって分かったから。
この人なら側にいてくれるって分かったから。
そして昨日の夜のことを思い出し、私は涙を流し続けた。

482D-R:2004/05/06(木) 18:29
戻れない時。
止められなかった自分。
ほんの少しの勇気も持たず、ただ自分を守り続け、相手を傷つけ続けた。
なのに、彼女は答えてくれた。
私に、答えを教えてくれた。
夕べ、私が犯した罪を知らずに自分の手を打ち抜き、短い一生を選んでくれた。
私といることを選んでくれた。

重なる罪の意識。
戻れない時と、戻れない私。
答えを探し出せない私に手を差し伸べてくれて、同じように引き金を弾いてくれた。

痛みは感じなかった。
これがDというものなのか。
それとも、私がもう麻痺をしてしまっていたんだろうか。
流れる赤と、砕け、流れてしまった破片。
戻れない時を選択し、血を混ぜ合わせるようにして掴んでくれた手。
彼女との融合。
体でも、心でもなく、血の融合。
掴んだ手から流れてくる熱さは私に熱をくれ、包み込まれて感じた頬の熱さが私の涙と溶け合った。

483D-R:2004/05/06(木) 18:30
『私から、はなれないで』

こんな言葉を使うなんて思ってなかった。
自然と出てきた言葉。
Dの消えた私から出た私の言葉。
彼女は泣いた。
そして彼女は笑った。
濡れた手を掴み、私をこのまま連れ去っていく。
何処まで進めるかなんて分からないまま、幼い私達は進んでいく。
繋いだ手の熱さ、それを知り、それを幸福と感じなから。

484D-R:2004/05/06(木) 18:31
***

あの日、降り続く雨の音と風の音と共に辺りを支配した音と叫び声。
はじまりは私達のはじまりだけではなかった。
私は、愛されていた。

ずっとお父様は私のことを憎んでいるのだと思っていた。
ずっと、ずっと私は愛されていないと思っていた。
全て、それが間違いだなんて気付かずに。

逃げるように、隠れるようにしていた私達のもとに届いた私宛の手紙。
見なれた文字で綴られた言葉。
私はその手紙を抱きしめて涙を流し、長い年月、間違いを犯し続けていたことを悔やんだ。

お父様は私達の為に初めてお爺さまに逆らってくれた。
身寄りのないお父様を引き取ってくれたお爺様。
私はお父様がお爺様に逆らったところなんて一度も見たことがなかった。
それが家では当たり前で、他の答えというのは存在しなんだと思っていた。

485D-R:2004/05/06(木) 18:32
私の写真をずっと大切に持っていてくれたなんて知らなかった。
私を殺せと言ったのはお父様じゃなかった。
私の為に涙を流し、私の為に今までの生活を捨てたことも知らなかった。
お母様がずっと泣いていたことも知らなかった。
何も書かれていなかった弟のことは、今でも分からない。
それがお父様達の優しさだったのかどうかは分からないが、私は消えない罪を一生背負っていく。
そう、そうしなければいけないと思う。

私は何処までも子供で、結局は何も分かってなかった。
見ようとしていなかったのは私の方だった。
ちゃんと、真直ぐと見ていなかったのは私だったんだ。
最後に書かれた一つの言葉。
それは私がお父様とお母様の子供だったという証拠。

もう戻れないあの部屋。
もう戻れないあの家。
消えてしまった空間に、今は緑の草がはえている。
暗く閉まりきった扉は砂となって消え、いつかここにはまた誰かが何かを築くのだろう。
それは私ではない誰かで、彼女ではない誰か。
いつの間にか熱くなっていた私の手は彼女と握られ、そしていつかは消えていくのだろう。

486D-R:2004/05/06(木) 18:33
起きた奇跡は一つじゃなかった。
だからこうして私は彼女と生きていられる。
残っていた破片。
Dは私、Dは彼女。
残った破片は私達に生きる力を残してくれた。
私はD、彼女はD。
同じDを持ち、違うからだを持つ。

残された時間なんて分からない。
それでも私は彼女を選ぶ。
あの時、私が犯した罪を受け入れてくれ、そして、愛してくれた彼女と共に。

487D-R:2004/05/06(木) 18:34
***

「…梨華ちゃん?」

だからこの言葉はあなただけにあげる。

「どうしたの?難しい顔して」

この体も、全部、全部あなただけにあげる。
私を、全部あげる。

「ん、ちょっと、昔のこと思い出してた」


そして私は生きる。
『幸せになる為に生きている』
こう教えてくれた彼女と一緒に。
ずっと、ずっと、どんなカタチになろうと、生きていく。
いつかは消えてしまうものでも、私は生きていく。
これがあなたの幸せに繋がっていくのなら。
それが、私の幸せだから。

488D-R:2004/05/06(木) 18:34
***

489D-R:2004/05/06(木) 18:35
***

490D-R:2004/05/06(木) 18:36
***

491D-R:2004/05/06(木) 18:36
***

492D-R:2004/05/06(木) 18:37
***

493D-R:2004/05/06(木) 18:37
***

494D-R:2004/05/06(木) 18:37
***

495匿名匿名希望:2004/05/06(木) 18:45
更新しました。
そして今回で『D』は全て終了です。
読んで下さった皆様、本当に本当にどうもありがとうございました。


>JUNIOR 様
生まれたてほやほやで更新しちゃいました。
勢いがないといつまでも更新しない気がてしまったので(苦笑)
最後の直線、全力ダッシュをしてしまい、気付けばゴールテープをきっていました。
レス、本当にありがとうございました。

496JUNIOR:2004/05/06(木) 23:54
完結お疲れ様です。
とてもとても(・∀・)イイ!話でした。
ゴールテープを切っていましたか・・・・・・・。
それはそれで良い記録が生まれたと思います。
飼育でも頑張ってください。

497名無し(0´〜`0):2004/05/07(金) 01:07
感 動 し ま す た。

完結お疲れ様でした。


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