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気ままに短編集!!(何でもあり)

1管理人@よすこ。:2002/08/16(金) 15:53
新スレ立ててみました。
スレを立てるのは、何だがちょっこっと、書いてみたいな〜と思う
方がいらっしゃったら、どんどん書いてください!!
一話目は偉大な作家べー。様。が、管理人の要望にこたえて書いて頂いた
短編を、のっけます。続け〜〜〜(w

564無題:2004/05/24(月) 21:25
「…ついに、言っちゃった」
「うん、聞いてた。ついでに緊張感も伝わってきた」

ブオーブオーッと風が髪を揺らす。
滑らかな指の動きが私のことを撫で回す。
時たま入る攻撃のような指の動きに抗議をしたら、すぐ後ろで笑ったような気配を感じた。
それからしばらく、沈黙が訪れて、ここにはドライアーの音だけが残り、そしてその音が
カチンというプラスチックの乾いた音と共に消えると、後ろからいつも一緒にいて、ずっと感じていた
優しい腕が私の前に回されてきた。

「どうしたの?」
「んー、梨華ちゃんがだっこして欲しそうだったから」
「それ逆でしょ?自分がだっこしたかったんでしょ?」

彼女が笑うと私の半乾きの髪が少し揺れる。
私が笑うと彼女の腕も体も一緒に震える。
一緒にいるっていうことの大切さ。
そして一緒にいれるってことの幸せ。
毎日じゃないけど、こうやって感じられる。
それは、きっと、絶対、これから先も。
私は、感じていたい。

565無題:2004/05/24(月) 21:26
「…あの、さ」

また少しの静寂があり、彼女が私の肩に顎を乗せて口を開いた。
戸惑いがちな口調とは違い、腕に入る力。
そのまま首に感じた唇の柔らかさ。
前に回された手に指を滑らせ、そのまま手を重ねたら、器用に指が動いて私の指と手を捕まえた。

「ここにも、あるから」
「…ん?」
「ここにも、あるから…」

同じ言葉を二回くり返して、それから彼女は私の手を掴んで思いきり私のことを抱きしめた。
久々に感じる力強い抱擁。
頬に金色の髪を感じる。

「梨華ちゃんが、迷ったり、困ったり、泣きたくなったり、一緒に笑いたくなったりしたら、
 戻ってくる場所は、ここにも、あるから…」

566無題:2004/05/24(月) 21:26
───皆がいるよ。
ずっと、仲間な皆がいるよ。
で、あたしもいる。
卒業とかさ、まだ先のことだけど、一年も先のことだけど、あのさ、覚えておいてなんて言わないけど、
言っておきたいって、そんな風に今思ったから、言っておく。
あたしは、ここに、いるから。
何処に行ったって、ここにいるから。
きっとこの先、沢山の分かれ道があって、二人が歩く道がどんどんと離れちゃうかもしれないけど、
だけど、あたしはここにいるから。
あたしも、梨華ちゃんも、何処に行ったって、あたしはここに、ずっと、いるから───

567無題:2004/05/24(月) 21:27
心地よい沈黙が流れ、彼女の温度を背中に感じ、時計の音が流れ続ける時間を告げる。
私達はずっと走り続けてきた。
それはきっとこれからも一緒で、違うかもしれないけど、今はきっと走り続けていくんだろうって思う。
だから、きっと、私はこれからも走り続けていく。

築きあげてきたモノ。
出会った人達。
それは一生消えない場所。

一つ進めば道が出来て、その道は消えることなんかなくて、失敗も成功も全部がその道の一部になっている。
それは私が歩いてきた道で、私達が歩いてきた道。
この先、同じ道だけが続くなんてない。
でも、それでも、見失う場所はない。

これも、気付いてたこと。
だけど、意識することがほとんどなかったこと。

568無題:2004/05/24(月) 21:28
「あのね…」

私が言葉を発しようとした瞬間、重ねられた手が離れて、感じていた背中の温もりもスパッと離れた。
はっ?何?何に何何??
ワケわかんなくて振り返ろうとしたら、背中をバチーンと一発はたかれた。

「いったーい!ちょっと何すんのよ!!」
「何って、ウチの愛のムチ」
「は?ワケ分かんないんだけど!?」

キッと睨むようにして振り返ったら、悪戯っ子みたいな顔をした金髪の彼女の顔が両目にぐわーッと飛び込んできた。
白はをニカーッと見せて、長い指でがしがしと自分の頭をかいている。

「へへっ」
「ヘへッって…」
「ははっ」
「…ハハッって」

まだニカニカしている頬をぐしーっと掴んで縦横ナナメにひっぱり回す。
みるみる白い肌がピンクに赤く変わるのを横目に見つつ、ちょっと涙目になってる彼女のおでこに
こつンと自分のおでこをぶつけた。

「…もー、何なのよ」

569無題:2004/05/24(月) 21:28



「んー、もっと笑おうと思って」



ほっぺが痛いんだろうか、まだ涙目の彼女が、涙目のままニカッて笑った。
大きな目を三日月型にして、ニコニコ笑った。
目を細めた拍子に流れた涙が頬を伝い、そのまま私の指を静かに濡らした。

「あたしは、もっとさ、これからもさ、沢山笑うよ」

それだけ言ってぐいぐい顔を動かして、私の手から逃れると、彼女はベッドに飛び込んだ。
二人分の布団なのに、中央に滑り込んだ。

「ちょっと!それじゃぁ私寝れないじゃん」

追い掛けるようにソファーから立ち上がってぽこぽこ布団を叩いたら、突然起き上がって私の腕を掴んで
そのまま布団の中に引きずり込まれた。
二人分の布団の中央。
ピとーッとくっついて二人分が1.5人分になる。

彼女は暗い布団の中できっとニカニカ笑ってる。
ギュムーッと抱きしめられて、耳に彼女の心臓の鼓動を感じた。
それだけで、私は突然、今、私はここにいるこということを実感できた。

570無題:2004/05/24(月) 21:29
髪を撫でてくれる手。
抱きしめていてくれる腕。
感じるモノ、感じれるモノ、すぐ近くにあって、掴める距離にいてくれる。

言葉にすれば、すごく短い。
だけど、その言葉はすごく重くて、すごく大切で、中々口に出すことが出来ない魔法のような言葉。
その言葉を私は囁く。
すごく自然に、すごく素直に。

彼女はこの暗闇の中でどんな表情をしてるんだろう。
そんなことを思いながら、私は彼女の体に腕を回した。

571無題:2004/05/24(月) 21:30
私は、夢を見る。
私は、夢を追う。
走り続けて、走り続けれる間はきっと走り続けて。
それが出来るのは、今まで道があって、これからの道があって、色々な人がいて、あなたがいて、私がいるから。
道がなくてもつくっていける。
つくっていく。

あのさ、疲れたって思ったら、今日みたく背中はたいてくれる?
今みたく髪を撫でてくれる?
眠くても、私の我がまま、ちょっとはきいてくれる?

すごく小さく、彼女にだけ聞こえるように呟いてみたら、私の頭の上からは寝息が聞こえてきた。
なんとも心地よいけど息苦しい布団の中からもぞもぞと抜け出して、ちょっと口を開けてる寝顔を覗き込んだ。
それからジーッとその顔を覗き込んで、布団をちょっと下にずらしてさっきみたいに腕の中に潜り込んだ。

572無題:2004/05/24(月) 21:30
…バレバレだよ。
私が何回寝顔見たと思ってるのさ。
でもまぁ、今度は私が寝たフリしてあげるか。
だからさ、ほれほれ、言って下さいな。
あなたのお返事聞かせて下さいな。

ニマニマを噛み殺して腕の中でジーッとしてた。
でも、いつまで経っても彼女の声は聞こえてこない。
んーんーっと思っているうちに、私はそのまま眠りに落ちてしまった。

『んなこと訊かなくたって分かってるっしょ?』

おそーいおそーいお返事は、この日から随分先に私は聞くことになる。
彼女から言わせれば二回目らしいけど、私にとっては一回目。
そんなひとみちゃんのお返事を、私はこの日から随分先に、背中の痛みと、優しい指の感触と一緒に聞くことになる。

573匿名匿名希望:2004/05/24(月) 21:34
お久しぶりです。
そしてなんか勢いのまま書いてしまいました。
ヲレは永遠にいしよしヲタです。

574名無し(0´〜`0):2004/05/24(月) 21:48
ハッピーな気持ちになれました。
石川さん卒業ニュースでブルーだった私の心が一気にピンクになりました。
ステキな作品をありがとうございます。

575side H:2004/06/19(土) 06:43
「柴っちゃん大丈夫?」

お酒を抱えてあたしの家にやってきた彼女は、あんまり強くないくせに、
なんだか今日はバンバン飲んでいて。

「ん〜?大丈夫だよ〜」

なんて言うけど…どうかな。大分酔ってるように見えるんですけど。

あたしは弱いほうじゃないから、柴っちゃんに付き合って飲んでても大丈
夫なんだけど。外で飲むのと違って自分の家だっていう安心感が、いつも
より少しだけ酔いを早くする。

「…よっすぃーはさぁ、好きな人いるの?」

冷蔵庫から新しい缶を取り出して、プルトップを開けながらソファに腰を
下ろすと、彼女が聞いた。

「いない」
「即答ですか」
「即答ですよ」

576side H:2004/06/19(土) 06:44
そっかぁと呟くように言って、柴っちゃんは唇に運んだ缶をぐっと傾ける。

「…付き合いたいとか、思わないの?」
「んー…めんどい。から、男なんていらねーやって感じ?」
「よっすぃーらしいね」

ははって笑った柴っちゃんの声に、不自然な響きを感じて。

「あっ…もしかして柴っちゃん、好きな人いる、とか?」

柴っちゃんは答えなかったけど、沈黙から肯定だと分かる。けれどあたし
はいつも通り、それ以上の詮索はしない。相談されれば別だけどね。無理
に聞く様なことはしないし、したくない。自分がされて嫌なことは人にも
しちゃいけないって。お母さんも言ってたしね。

あたしは話題を変えようと、新しい缶を傾けてから口を開いたんだけど…
―――先に沈黙を破ったのは、柴っちゃんの方だった。

「…よっすぃーが」
「んっ?何?」
「私はよっすぃーが好きなの…」

577side H:2004/06/19(土) 06:45
それが耳に届いた時、彼女はあたしに抱きついていて。アルコールのせい
で少し熱い彼女の身体が、やたらリアルで…。けれどアルコールのせいで
少し鈍くなったあたしの頭は、その言葉がリアルなのか決めかねて…。

「はは、何言ってんだろうね私。やっぱり酔ってるみたい」

再び沈黙を破った彼女は、あたしから身体を離して立ち上がったんだけど。

「わ、あぶなっ!」

思っていたよりも酔いは回っていたようで。急に立ち上がった柴っちゃん
の身体はぐらりと揺れて、ソファに引き戻されてしまった。

「柴っちゃん、飲み過ぎだよ。水持って来る」

あたしはするべきことが見つかって、少しほっとしてキッチンへ向かう。
グラスに水を注ぎ、再び彼女の隣に腰を下ろすと、柴っちゃんは軽く礼を
言ってグラスを受け取った。

578side H:2004/06/19(土) 06:45
どの位、そうしていたのか…彼女が息を呑むのが分かって、唇を離した。

「ごめん…あたしも酔ってるみたい」

なんて言い訳をしたあたしに、彼女は少し困ったような顔をして。

「私は酔ってないよ」

ポツリと呟いた。

「好きなの。私…よっすぃーが、好きなの…好きで、好きで…もう、どう
したら良いのか…自分でも、もう…分からなく、なっちゃって…」

さっきと同じことを繰り返す彼女だけど。そしてそれは、まるで酔ってい
るかのように途切れ途切れだけど。
彼女の潤んだ瞳に映る自分を見て、あたしは分かったんだ。

「あたしも酔ってないよ」

579side H:2004/06/19(土) 06:46
彼女の頬に両手を添えて、言い訳の効かない口付けを落とした。軽く顎を
上げさせて、舌を一気に差し込む。

「…んっ…んん…っ…」

彼女が苦しげに声を上げたけど、離してあげない。深く、深く口付けて。
彼女の舌を絡め取って隅々まで味わう。角度を変えて…何度も、何度も。

「んぅ…んっ…ぁっ…」

ねぇ柴っちゃん、気付いていた?あたしは、ずっと前から君が好きだった
んだよ。けれど酷く臆病なあたしは、どうすることも出来なくて。得意の
ポーカーフェイスで、自分さえも騙していたんだ。

「…ぁんっ…よっ…すぃー…」

ようやく唇を離したあたしを、大きく見開かれたその綺麗な瞳に映して。
彼女は肩で息をする。

「な…んで……」

それはあたしのポーカーフェイスに騙されていた彼女の、当然の疑問で。

580side H:2004/06/19(土) 06:46
「好きなんだ」

好きで、好きで、好きで、好きで。もう、どうしたら良いのか分からなく
なってしまって。酷く嘘つきなあたしは、自分の気持ちも偽っていたから。君のリアルな言葉さえ、なかなか信じることが出来なかったんだ。

「…うそ…だって……」

彼女が、酷く嘘つきなあたしを信じることが出来ないのも当然で。けれど
酷く臆病なあたしが、ずっとずっと隠して育てていたこの想いを、彼女に
分かってもらいたくて。

「あゆみ…」

彼女の頬に両手を添えて、あたしの瞳に彼女を映すと。

「愛してる」

口付けと共に、彼女の身体を、ゆっくりと倒した―――。

581side H:2004/06/19(土) 06:47
END

582side H:2004/06/19(土) 06:51
>577と578の間に抜けが…

「ごめんね」

それが何に対する謝罪か決めかねて、あたしは「いいよ」とだけ答える。
―短い沈黙の後、彼女はグラスの水を一気に飲み干すと、明るい声で捲し
立てた。

「ごめんね、変なこと言っちゃって。大丈夫だと思ったんだけどさ、大分
酔ってるみたい」

さっきと同じことを繰り返す彼女だけど。それは、とても酔っているとは
思えない調子だから。

「はは、ダメだね私。弱いくせに無理して」

彼女の言葉がリアルなのか、あたしはますます分からなくなるのだけど。

「ホント迷惑かけて、ごめ…」

気が付いたら、唇を重ねていた―――。

583side H:2004/06/19(土) 06:52
ホントにEND

584名無し(0´〜`0):2004/06/21(月) 23:59
ヽ(*゚∀゚)ノ トテモイィィィィ♪
よかったです!!
この作者さんって・・・あのかたですか?

585side A:2004/06/24(木) 18:20
いつからか、私の瞳はよっすぃーしか映さなくなってしまった。

誰よりも面白くて、皆に優しくて。
変に大人で、時々イタズラっ子で。
美人で、可愛くて、格好良いのに、
あなたの瞳は誰も映さない。

恋愛話が始まると、さも興味無いって顔をして。
数々の告白も「誰とも付き合う気ない」なんて台詞で断ってしまうから。
私は叶うハズのないこの気持ちを、どうすることも出来なくて。
ついには、どうしたら良いのか、分からなくなってしまって。

あなたに打ち明けに行ったんだ―――

586side A:2004/06/24(木) 18:20
「柴っちゃん大丈夫?」

話を切り出せないまま、お酒の量ばかりが増えていく。

「ん〜?大丈夫だよ〜」

いつもならとっくに潰れる量を越したのに、変だな。あんまり酔えない。
いっそよっすぃーが酔ってくれたらなんて思うんだけど、強いからなぁ…
この人。まだ飲む気だし。

「…よっすぃーはさぁ」

よっすぃーが新しい缶を開けたのをきっかけに、私は切り出した。

「好きな人いるの?」

答えは分かっているんだけど。

「いない」
「即答ですか」
「即答ですよ」

587side A:2004/06/24(木) 18:20
「…付き合いたいとか、思わないの?」
「んー…めんどい。から、男なんていらねーやって感じ?」

めんどい…ね。友達だと思っていた、しかも女の子から想われてるなんて
知ったら、あなたはどんなに困るんだろう。

「よっすぃーらしいね」

皆に優しいけど、誰のことも想わない。その優しさに惹かれて、こんなに
よっすぃーのことを想っている自分がバカみたいに思えちゃうじゃない。

「あっ…もしかして柴っちゃん、好きな人がいる、とか?」

よっすぃーの言葉に私の心臓が音を立てる。どうするの?言うの?って。
即座に否定しなかったことで「いる」って言ったようなものなんだけど。
よっすぃーはそれ以上聞こうとはしない。

それが優しさだって、分かっていたのに。いい加減アルコールの回ってき
た私は「私になんて興味ない?」なんて、拗ねた気持ちになっちゃって。

「…よっすぃーが」
「んっ?何?」
「私はよっすぃーが好きなの…」

588side A:2004/06/24(木) 18:21
勢いに任せて言った私は、思わずよっすぃーに抱き付くなんてことまで
してしまった。よっすぃーは無言。…ダメ、沈黙に耐えられないよ。

「はは、何言ってんだろうね私。やっぱり酔ってるみたい」

私は言い訳をしながら、逃げるように立ち上がる。

「わ、あぶなっ!」

うゎ…っ。急に立ち上がったせいか、ぐっと酔いが回ったみたいな感覚。
よっすぃーの声がして、周りの景色がぐらりと揺れたと思ったら、ソファ
に逆戻りしていた。

「柴っちゃん、飲み過ぎだよ。水持って来る」

よっすぃーがキッチンへ向かう。私は座ったまま、ガンガン痛んできた
頭を押さえた。私バカだ。大バカ者。勢いに任せて、あんなこと言って。
よっすぃーを、あんなに困らせて…。

589side A:2004/06/24(木) 18:21
「ごめんね」

グラスの水を受け取ると、よっすぃーに謝った。

「いいよ」

その言葉が「どうでもいいよ」に聞こえて、少し悲しくなったりして。
ああ、やっぱり、言うべきじゃなかった。何も、望むべきじゃなかった。
きっと、今ならまだ引き返せるから―――私は精一杯のウソをつく。

「ごめんね、変なこと言っちゃって。大丈夫だと思ったんだけどさ、大分
酔ってるみたい。」

酔っ払って、変な冗談言ったんだって…思って。

「はは、ダメだね私。弱いくせに無理して。」

せめて…せめて友達として、ずっとあなたの傍にいさせて。

「ホント迷惑かけて、ごめ…」

590side A:2004/06/24(木) 18:22
キスされたのだと分かったのは、どの位たってからだろうか…。あなたは
唇を離して。

「ごめん…あたしも酔ってるみたい」

なんて…。酷いよ、よっすぃー。私は引き返そうとしたのに。あなたは、
それさえも許さないの?

「私は酔ってないよ」

冗談なんかじゃ、ないの。

「好きなの。私…よっすぃーが、好きなの…好きで、好きで…もう、どう
したら良いのか…自分でも、もう…分からなく、なっちゃって…」

ああ、もう、引き返せなくなってしまった……。せめてもうこれ以上は、
あなたを困らせることの無いようにと、私は涙を必死に堪えていたから。

「あたしも…酔ってないよ」

591side A:2004/06/24(木) 18:22
その言葉の意味を考える、暇もなく。
割って入ってきたそれを拒む、余裕もなく。

「…んっ…んん…っ…」

気付いたときには、ただ苦しくて。声を上げたけど、深くなるばかりで。
舌を絡め取られて。角度を変えて何度も。何度もそうされているうちに。

「んぅ…んっ…ぁっ…」

だんだん、自分のモノじゃ無いみたいな、甘い声が漏れてしまう。

それは、とても酔っているとは思えないほど的確に私を追い詰めるけど。
それは、まるで酔っているかのような熱い口付けだから。あなたの言葉の
意味が、私はますます分からなくなる。

「…ぁんっ…よっ…すぃー…」

唇を離された私は、呼吸すら上手く出来なくて。それでも、聞かずにはい
られない。

「な…んで……」

592side A:2004/06/24(木) 18:23
「好きなんだ」

………

「…うそ…だって……」

だってあなたには好きな人がいなくて。誰も想わなくて。恋愛話に興味が
無くて。付き合うのなんて「めんどい」から、誰とも付き合う気がなくて。
あなたの瞳は誰も…。

「あゆみ…」

―違った。私の頬に両手を添えた、あなたの瞳に私が映って。いつからか、
臆病なあなたの瞳は、私を映せなくなっていたんだって、分かったから。

「愛してる」

その言葉の意味を考える必要も、口付けを拒む理由も、なかった―――。

593side A:2004/06/24(木) 18:25
END
柴っちゃん視点でした。

594side A:2004/06/24(木) 18:29
584> 名無し(0´〜`0)様
よかったですか!!有難うございますw
私は通りすがりの初心者作者でございますが、
喜んで頂けて光栄です。

5951.:2004/07/09(金) 13:06
気付いたら、朝だった。

5961.:2004/07/09(金) 13:07
目に入って来たのは、モノトーンの部屋。
あれっ?私の部屋じゃ…ない??
状況を飲み込めないまま、身体を起こしてベッドから抜け出す。
なんか…頭痛い。ぐらぐらする。

ぼーっとする頭を押さえた次の瞬間、自分の状況に気付いて
一気に目が覚めた。
!!!??…私…なんで何も着てないの!?
慌ててベッドの下に散らばっていた服を掴んで、身に付ける。
えっ!?何?どういうこと?

「ん〜っ…」

パニック状態になっていると、突然背後から声がして―――
恐る恐る振り返ると…よっすぃーが、裸で寝ていた。

5972.:2004/07/09(金) 13:09
昨日は、高校の卒業式だった。

5982.:2004/07/09(金) 13:11
卒業は嬉しくて、寂しいから…。
私は少し羽目を外して騒いでいた。

飲めないお酒を飲んで、カラオケで下手な歌を散々歌ったりして。
12時を過ぎてようやくみんなと「バイバイ、またね」ってした
時には、足なんてもうフラフラだった。

それでも、どうにか家には帰れた…んだと思う。
そう、それで、帰ると…家の前に、よっすぃーが立っていたんだ。

『よっすぃー…』
『久しぶり…梨華ちゃん』

言葉を交わしたのは3年振りだった。それで?それで、その後…

『…梨華…』

頭の中によっすぃーの声が響く。

『ん…よっすぃー、何っ、ヤメ…』
『梨華ちゃん…ごめん、うち…』
『あっ、ダメ…よっすぃー、やだっ…』

何で?何で?何で?よっすぃーは何で、何で急にあんなこと…。
家に逃げ帰った私が、やっとの思いで取り出した記憶の断片は
とても信じられないもので…。

だから、さっきから何度も何度も鳴っている携帯が、3年振りに
よっすぃーの名前を表示してるって分かっていても、私はずっと
出ることが出来なかった。

5993.:2004/07/09(金) 13:12
よっすぃーとは、中学生の頃までは姉妹のように仲が良かった。
私が避けるようになるまでは―――

6003.:2004/07/09(金) 13:16
―――中学3年の冬休み、最後の夜。

「よっすぃー…もう寝た?」
「…ん〜?まだ寝てないよ」

互い部屋の窓から行き来しちゃうほどお隣さんの私達は、姉妹の
ように仲が良くて。お泊りなんてしょっちゅうだった。

「やっぱり、よっすぃーと一緒にベッドで寝る〜」
「ちょっ、何して…梨華ちゃん!布団で寝なよ!」
「だってお布団冷たいんだもん…よっすぃーあったか〜い」
「あーっ、もう分かったから早く寝て!」

学年は私の方が一つ上なんだけど、よっすぃーの方がどことなく
落ち着いていて。私はこうして寝ながら、「○○君のことが好き
なんだぁ」なんて、よっすぃーに話すのが楽しみだった。

「よっすぃーはさ、好きな人いる?」
「いるよ」
「………えぇ!?今、何て?」
「好きな人…いるよ」
「うそっ?ホントに?だっ…私、知らないんだけど!」
「言ってないから」
「言ってよ!」
「言っても仕方ないよ。梨華ちゃんは子供だから」
「…なっ、子…だっ誰が!誰が子供よ!?」
「梨華ちゃん」
「っっっ、3ヶ月も年下のくせにぃ!」

6013.:2004/07/09(金) 13:16
よっすぃーは、なんか…時々私に冷たかった。『梨華ちゃんに
言われたくない』とか『梨華ちゃんにはわからないよ』とか…。

「…なっ…何でそんな事…言うの…よ」

そんな時はいつも悲しくなった…。

「酷いよ…よっすぃー…言ってよ、友達でしょ?」
「仕方ないじゃん…本当の事なんだからさ」

そう言って、泣きそうになった私の顔を覗き込むよっすぃーは
やけに大人びた顔をしていて。やっぱり私の方が子供みたいで
少し悔しくなった。

「よっすぃーは、冷たい…よ」
「さっきは『よっすぃーあったか〜い』って言ってたじゃん」
「もう!そういう意味じゃないってわかってるでしょ!…ねぇ、
 何で?…何でよっすぃーは私にばっかり…そうやって冷たく
 するの?」
「…梨華ちゃんは、うちに…優しくして欲しいの?」
「………うん」
「わかった…優しくする」

この世の誰よりも、梨華ちゃんに優しくする…――
そう囁いたよっすぃーの唇が、私の唇に降ってきて。

「んっ…」

チュッってするおふざけのキスは、何度かした事があったから。
最初はそれだと思ったんだけど。そのキスはあまりに…長くて。
し、舌が…よっすぃーの舌が…入ってきたりして。

「ちょっ、やめ…何すん…っっ、よっすぃー…待っ…て」

パニック状態になってしまった私は、よっすぃーを突き飛ばして。
家に、逃げ帰ってしまった。

6023.:2004/07/09(金) 13:17
それからというもの、私はよっすぃーを避けて、避けて、避けて、
避け続けて。そうするうちに私は高校に進学してしまったから。
私達は自然に疎遠になっていった。

…それなのに、突然。あ、あんな…

603名無し(0´〜`0):2004/07/10(土) 02:07
んあ!おもしろい!
つ、続きが非常に気になります...。
期待しちょります!!

6044.:2004/07/10(土) 23:49
3日経って、よっすぃーからの連絡が無くなった。

6054.:2004/07/10(土) 23:49
よっすぃーにとっては、大した出来事じゃなかったのかもって
思う。

私が「何で急に、あんなことしたの?」って聞いたところで、
きっと平然とした顔で、冷たいと感じるほど落ち着いた声で、
「梨華ちゃんは子供だから」「梨華ちゃんにはわからないよ」
とか言ったりして…。

そう思ってみても、私は「偶然会っちゃったらどうしよう?」
なんて考えて、あの日以来、家にこもってばかりいた。
部屋にいたって、考えるのはお隣さんの事ばかりなんだけど。

いくら考えても、何であの夜、ああなったのか思い出せない。
よっすぃーが、何で急に、あんなことしたのか思い当たらない。

本当は友達に相談したいところなんだけどなぁ…言えるはず無い。
起きたら幼馴染と裸でベッドにいて…しかも、酔っててほとんど
覚えてない…だなんて!

やっぱりよっすぃーに聞くのが一番良いんだろうけどなぁ…電話
…来なくなっちゃったし。私から連絡?…出来る訳が無い。

あー、もう…どうしらいいのか、わからないよーーーっ

6065.:2004/07/10(土) 23:53
悩みがあっても、時は経つ。考えすぎて、熱を出した私。
いつの間にか冬は過ぎていって…大学生活が、始まった。

6075.:2004/07/10(土) 23:54
王道だけど、テニスサークルに入って。友達もいっぱい出来て。
「うんっ!よっすぃーの事も忘れられそう」って思ったのに…
―――家に帰ると、よっすぃーがいた。

「なっ、なっ…」
「2階だからって、開けっ放しは危ないよ」

驚く私に、平然とした顔で窓を指差して。

「梨華ちゃんてさぁ、3年前からあんまり変わってないよね?」

よっすぃーは部屋をぐるっと見渡すと、私のベッドに腰掛けた。

「まぁうちも変わってないけどね。相変わらず背高いし、運動も
 出来るし、格好いいし、頭もいいし、足も長いし?」
「なっ!?」
「そんなパーフェクトなうちが…
 いつまでもぐずぐず諦められないのは…どーしたら、いい?」
「…へっ?」
「梨華ちゃんはどう思う…?うち…うちは、諦めた方がいいの?
 それともまだ…希望は、ある…?」

私にはよっすぃーの言葉の意味が飲み込めなくて。いつの間にか…
言葉よりも、久し振りに間近で見るよっすぃーの顔に見惚れていた。
よっすぃーって…男の子みたいなんだけど、色が白くて、すごく…
キレイ…

6085.:2004/07/10(土) 23:55
「…やばい」
「…?よっすぃー?」
「あー、もーっ…んな顔で見んなっての!」

よっすぃーは私の手を引いて抱き寄せると。

「…ねぇ、どーしたらいい?うち…我慢できないよ…」
「えっ?我慢?な、何を?」
「…梨華ちゃん…」
「えっ!?ちょっ…何…っ」

背中に回っていたよっすぃーの腕に上手く身体をすくわれて、
私はベッドに押し倒されてしまった。

「ちょっ、ちょっと…よっすぃー、何…してっ…」
「好きだよ…」

えぇええええ!?いきなりの衝撃告白とあまりに急な展開に、
私の思考回路はパンク寸前。
よっ…よっすぃーが、私のこと…好き!?そっ、そんなこと…
あるわけ…ないっ…!ないよ!!

「っ…まっ…待って…よっすぃー」
「…ごめん、待てない」

手際よくボタンを外されて。って、よっすぃーーー!?

6095.:2004/07/10(土) 23:56
「ね、よっすぃー…さ、さっき言った…ことなんだけど…」
「んー、何?」
「その…ほ、本気………なの?」

私の質問に、よっすぃーの動きが止まる。

「だからその…さっき…言ったでしょ…あの…」
「えっ…何を?」
「『何を?』って…やっぱり冗談なの!?私のこと好きって…
 やっぱり嘘??私をからかった、だけ…?」

「……………嘘?」

「えっ?ちょっと待って…何でそうなるの!?梨華ちゃんこそ
 うちをからかってるの?」
「…へっ…?」
「今さら本気かってなんだよ!一体、何十回『好き』って言った
 と思ってるんだよ!!」
「えっ…嘘!?き、き、聞いてない!私、聞いてないよ!」
「………マジかよ。梨華ちゃん、マジで…覚えてないの?」

6105.:2004/07/11(日) 00:01
>>603 名無し(0´〜`0)様
レスありがとうございますm(_ _)m
次回更新で一応終わりとさせて頂きますが、
よかったら最後までお付き合い下さいませ。

611603:2004/07/11(日) 00:53
よっすぃ〜切ないね…(泣
作者しゃん鈍感チャーミーをなんとかしてください(藁

>次回更新で一応終わりとさせて頂きますが
もう終わりれすか…ってここは短編集か、
最後まで楽しみにしてますです。

6126.:2004/07/12(月) 16:51
あの日…卒業式の夜。
夜中まで、梨華ちゃんの帰りを待った。

6136.:2004/07/12(月) 16:51
12時を過ぎてようやく帰ってきた梨華ちゃんは、足なんてもう
フラフラで。家の前にいたうちを見て、とても驚いた様子だった。

「卒業おめでとう」って言ってから、「話がある」って切り出すと、
3年振りに梨華ちゃんを部屋に招いた。それで…それで、その後…

 避けられて、諦めようとして。
 避けられても、諦められなくて…ずっと思い続けた。
 その、ありったけの、思いを込めて―――


『梨華ちゃんの事が、ずっと…ずっと好きだった』


あの日うち、強引に…しちゃったし。
起きたら利華ちゃん、いなくなってるし。
何度電話しても出てくれないから、それが答えなんだと思ってた…。

6147.:2004/07/12(月) 16:52
「けどやっぱ…梨華ちゃんのこと、諦めるなんてできなくてさ…
 その…はっきり言ってくれて、構わないから。返事…聞かせて
 欲しい…」

そう言って真っ直ぐに私を見つめるよっすぃーの瞳は…恐い位に
熱くって―――

『ヤダ…よっすぃー、何っ』
『好きだよ』 
『んっ…ヤメ…よっすぃっ』
『…ねぇ…梨華ちゃん…』
『も…ヤだ…』
『梨華ちゃん…好き。好きだよ』
『…放して』
『ずっと好きだった…梨華ちゃん…』
『も…変にな…』
『ちゃんと聞いて…梨華…梨華、好きだよ…』
『っっ…』

―――突然、あまりに、鮮明に思い出してしまって。顔が赤くなる
のが自分でも分かる。私の知っているよっすぃーは落ち着いていて。
熱がなく、静かで。時に、冷たいと思うほどで…。

だから私は…あんなよっすぃー知らなかった。あんな、熱っぽい…
って何で今さら思い出すのよ!私のバカーーー!!

6158.:2004/07/12(月) 16:53
「…梨華ちゃん??」
「よ、よ、よっすぃー!!!?」

ベッドの上で組み敷かれたままでいた、その状況に気付いて。
急に恥ずかしくなった私は、思わず後ずさってしまった。

そんな私の動揺した姿を見て、よっすぃーは眉を寄せて泣きそうな
顔をして。

「それが…返事、かな…」
「…えっ?」
「うちも、いい加減にしないと…ダメってことだね」

身体を起こしてベッドから降りたよっすぃーは、大きく息を吸い
込むと、私に背を向けたまま。

「もう、来ないから…安心して。その…元気でね、バイバイ」

えっ…もう来ないって?バイバイって、そんな…ま、

「待って!!」

私は、思わず…よっすぃーの腰に抱きついてしまった。

6168.:2004/07/12(月) 16:55
「わ、私…好きとか…まだ良く、良くわかんないんだけどっ…
 よっすぃーは、私にとって大切な人…なの」
「…えっ?」
「だから…バイバイとか、イヤ…嫌だよっ!誰よりも優しくして
 くれるって…約束でしょ?」

振り返ったよっすぃーは、私のワガママに心底困った顔をして。

「で、返事は?」
「………わかんない」
「はぁ〜〜〜、これだから梨華ちゃんは…」
「だって、だって、だって!そんな急に言われたって…簡単に、
 返事なんか…できない…よ」
「それで、うちは…どーしたらいいの?」

そう言って私の顔を覗き込むよっすぃーは、大人びた顔をしていて。

「バイバイとか、言わないで…や、優しく…してよ」
「………わかった…優しくする」

そう呟いたよっすぃーの唇が、私の唇に降ってきて。

「っ…!!!」

チュッってする軽いキスだったのに、真っ赤になる私は子供みたいで。

6178.:2004/07/12(月) 16:56
「なっ、なっ…」
「あー…でも、やっぱ…早く返事くれないと、うち、梨華ちゃんの事…
 泣かせちゃうかも」
「なっ!?何でそんな事、言うのよ…」
「仕方ないじゃん…本当の事なんだからさ」

 本当に、本気で、好きなんだからさ。わかってんの?梨華ちゃん?

「………うん」
「どーだか」
「わ、わかったもん!」

よっすぃーが、私のこと…好きだって。でも…ゴメンね、よっすぃー。
私の方がやっぱり子供みたいで…だから、もう少しだけ、このままで…ね。

―おわり―

6188.:2004/07/12(月) 16:59
天然振り回し系、鈍感チャーミーでした。
こんな終わり方ですみません…。

(0^〜^)<生殺しかYO!

って感じなんで、吉澤さん救済の為にも
続編でも書かせていただこうかと思っております。

619名無し(0´〜`0):2004/07/12(月) 17:34
いいっす!
超よかったよぉー。
強引で、梨華ちゃんに翻弄されるよっちぃ大好き。
続編、心待ちにしております。

620603:2004/07/12(月) 23:16
よっすぃ〜…やっぱり切ないね(泣笑)
ぜひとも救済してあげてください…。
続編もめちゃ期待しちょります。

6211.:2004/07/14(水) 16:06
>>595〜のお話の続編になります。

6221.:2004/07/14(水) 16:07
あれから、3ケ月。

最近のよっすぃーと私は、中学生の頃までのように仲が良くて。
窓からの互いの部屋への行き来も、再開していた。

6231.:2004/07/14(水) 16:07
私の部屋とは正反対の、落ち着いた雰囲気のモノトーンの部屋で、
サークルの事とかを、よっすぃーに話すのが最近の楽しみだった。
よっすぃーとのおしゃべりは、楽しくて。私を中学生の頃に戻った
ような気持ちにさせる。けど…

「梨華ちゃん、キスしていい?…ってか…する」
「んっ…ぅ…」

たまに、こうやってキスをされたりして。

「よっ…すぃー、わ、私…もう、帰る…」
「…まだ、いいじゃん」
「んっっ…やっ…もう、ダメ…だよ」
「梨華ちゃん…」

不意に、強く抱きしめられて。

「くるし…放して…」
「…早く…」
「えっ?」
「早くうちのこと、好きになって…じゃないと、うち…もう…」

こんな事を囁かれてしまうと、やっぱりあの頃とは違うんだって…。

ずっとこのままじゃ、いられないのかな?
仲良しのままじゃ、ダメなのかな?

私はこのままで十分幸せなんだけど…よっすぃーは違うみたいで。
なんか…自分がよっすぃーを苦しめているみたいで、辛くって。
だんだん…よっすぃーに、会いづらくなってしまった…。

6242.:2004/07/14(水) 16:08
「バイト始めたし…サークルも忙しくて。あと、試験も近いし…」

会えない理由を並べて、一週間が過ぎた。

6252.:2004/07/14(水) 16:08
サークルの練習帰り。先輩に駅まで送ってもらった私は、そこで
よっすぃーとばったり会ってしまって…こんな偶然、嬉しくない。

「梨華ちゃん…今、大学の帰り?」
「う、うんっ」
「一緒に帰ろうよ」

久し振りに会ったっていうのに、よっすぃーは至って普通で。
気まずさのカケラも無くて、拍子抜けする。

「梨華ちゃん」

10日近く会ってないことなんて…よっすぃーには、やっぱり関係
ないのかな…?

「梨華ちゃん…こっち向いて」
「えっ?」

ぼーっとしていたら、よっすぃーに呼び止められた。そろそろ家も
近いのに…「何?」って顔を上げたら

「んっ…っっ…!んんっ」

いきなり―――噛み付くようなキスをされた。

6262.:2004/07/14(水) 16:09
「ちょっ…まっ…て、っ…んっ!何っ」
「黙って」
「やめ…よっすぃ…んーっっ」

こんな乱暴な、強引なキス………

「やめ…て、ここ…どこだと、思っ…」
「大声…出す方が…」
「…んっ」
「人が来ると…思うけど?」
「何言っ…ちょっ、本当に…やっ」
「―――さっきの奴」
「え?」
「あいつとずっと…一緒だったんだ?」
「あ、あれは…サークルの先輩でっ…」

送ってもらっただけ…って言いかけた私に、よっすぃーは苦しそうに
眉を寄せて。

「………中学の時と同じ…」
「…え?」
「うちを…避けた―――」
「よっ、すぃー…」

6272.:2004/07/14(水) 16:17
>>619 名無し(0´〜`0)様
よかったですかぁー!
ありがとうございますm(_ _)m
短いお話ですが、続編もお付き合い頂ければ幸いです。

>>620 603様
吉澤さん救済のハズが…やっぱり切なくなっちゃいました。
次回、反撃開始!?

628603:2004/07/14(水) 22:00
んあぁぁぁ・・・がんがれよっすぃ〜!
鈍感チャーミーを目覚めさせるのよ!(笑)

てか梨華ちゃんも罪な女ね・・・。

6293.:2004/07/15(木) 14:34
うそっ…よっすぃーが―――よっすぃーが、泣くなんて…

6303.:2004/07/15(木) 14:35
「ご、ごめん…私、避けるなんて…そんなつもりじゃ、無くて…」
「本当、に?」
「…うん」

頷くと、よっすぃーは安心したように、私を強く抱きしめた。

「…ね、ねっ、よっすぃー…」
「梨華ちゃん…」
「こ、ここ路上だからっ」
「我慢できない…もう、いっそ…今すぐ、ここで―――」
「………!!」

こ、ここで?ここで!?よ、よっすぃーって…よっすぃーは―――
こんな人だったっけ…?

「避けられて、一週間以上会えなくて…」
「避けるつもりじゃ…」
「その間、梨華ちゃんはあいつと…先輩とイチャイチャ…」
「そ、それは違が…」
「うちがどれだけ傷ついたか…梨華ちゃんは全然わかってない…」
「…ごめんね」
「それだけ?」
「え?」
「うちはとっても寛大だから、許してあげてもいいけど…代わりに、
 二度と避けないって証拠が欲しいな」

私の肩に埋めていた顔を上げて、ニッと笑ったよっすぃーが…一瞬
悪魔に見えて、背筋が寒くなる。

「そう、例えば…梨華ちゃんからキスしてくれるとか?」

6313.:2004/07/15(木) 14:35
「…なっ、なっ、なっ、何言ってるのよ…!」
「じゃあ、ここで襲う」
「おそ…っ」

それって、さっきまで泣いてた人が言うセリフーーー!?

「梨華ちゃんはわかってない」

 うちがどれだけ梨華ちゃんのこと好きか
 うちがどれだけ梨華ちゃんが欲しいのか

「もう絶対…よっすぃーの涙は信じない」
「ご自由に…で、どうする?」
「だだだだって、ひっ、人が…来るかもしれないし」
「関係ない」
「さ、さっきキスしたし」
「梨華ちゃんからしてない」
「あ、あとで…あとでする!」
「却下」
「っっっ」
「ねぇ、梨華ちゃん…本当にごめんって思ってる?」
「………思ってるよ」
「じゃあ、どーすんの?」
「………」

―――それは、さっきまでの激しいものではなくて。
だからこそ、すごく…恥ずかしかった。

6324.:2004/07/15(木) 14:36
私とよっすぃーはすでに、その…体を重ねてるし。(酔ってたけど)
小学生のときにはすでに、キスしていたりする。(軽いものだけど)

それでも…恥ずかしいものは、恥ずかしいのーーーっ

6334.:2004/07/15(木) 14:37
再び家までの道のりを一緒に歩き出したよっすぃーと私。
さっきのキスのせいで、私の顔は真っ赤で、足元もおぼつかなくて、
目も合わせられなくて、口もきけなくて…

「…梨華ちゃん」
「えっ、あっ、ななななな何?」
「その…うちに寄ってかない?」
「ななななななな何しに!?何のために!?」
「別に…。いつも用なんて無いじゃん」
「そ、そうだけど…。今日は…やめ、とく…」
「ふーん…」

………「ふーん」?「ふーん」って何よ!?「ふーん」てっ!!

ああそう。そーいうこと言うんだ。先輩とはずうっと一緒だった
のにうちと過ごす時間は、ほんのちょっとも無いわけか。泣かせた
うちに対する思いやりも全く無い…と。ああ、そうだろうね。その
程度しかうちのこと思ってないんだろうね。ああ、よくわかったよ。
わかりましたよ。今度という今度はよーーーく…

とか、思ってるんでしょっ!!(※全て妄想)

「わかったわよ!行く!行けばいいんでしょ!」
「…何、怒ってるの?」
「もーいいの!」
「梨華ちゃん…あのさ、うち…もう少しだけ、梨華ちゃんに一緒に
 いて欲しい…」
 
 まだ離れたくない―――それが理由じゃダメかな?

「………ちょっ、ちょっと寄るだけ…だよ?」

そう言った私に、よっすぃーは「うん」って嬉しそうに頷いて。

―――何か…今さら自覚した。よっすぃーは…私のことが好きなんだ。

6344.:2004/07/15(木) 14:41
更新しました。

鈍感チャーミー、目覚めるか!?

6355.:2004/07/16(金) 21:24
ずっと言われてはいたけど…信じてなかったわけじゃないけど―――

6365.:2004/07/16(金) 21:24
「…梨華ちゃん?どうかした?」
「べっ…べつに」
「そう?ならいいけど…どうぞ、入って?」
「う、うん」

何で来ちゃったのかな…私。今さらだけど…なんか、緊張してきた…

「飲み物、持ってくるね」
「…うん」

よっすぃーが部屋を出て行って、腰掛けようとした私。あれ?いつも
どこに座ってたっけ?

たぶん…小さな二人掛けのソファに座って、よっすぃーと並んでテレビ
を見てるとか。ベッドに腰掛けて、おしゃべりしてるとかなんだけど…
なんか…なんか………

「あれ?梨華ちゃん、座んないの?」

突っ立ったままの私に、飲み物を手に戻ってきたよっすぃーが言って。
私は促されるままにソファに座って、よっすぃーは当たり前のように
隣に腰掛けた。

狭いソファの上で、私の意識はよっすぃーの体温とか、時々触れ合う腕
とかに集中してしまって…や、やだ…何で?…すごい、ドキドキ…する…

6376.:2004/07/16(金) 21:25
いつもより無口な私とは対照的に、いつもより饒舌なよっすぃー。

6386.:2004/07/16(金) 21:25
ニコニコしながら、学校の事とかを上機嫌で話すよっすぃーが珍しくて、
私はいつかみたいに話を聞くよりも、よっすぃーの笑顔に見惚れていた。

久し振りに私と会えたから…とか?
私からのキスが嬉しかった…とか?

笑顔の理由をそんな風に考えて、一人で赤くなったりして。

「梨華ちゃん」
「えっ、あっ、な…何?」
「自覚してないみたいだから、言っておくけど…」

 そーゆー顔してると、マジで襲うよ

「お、おそっ、襲うとかっ…言わないでよ…!」
「いや…本気でうちもそろそろ限界だし…だからもう帰った方がいいかも」
「なっ、何でそーっ…よっすぃーのそーゆートコ嫌いっ!」
「…いや…うちは一応、梨華ちゃんのために…」
「よっすぃーはっっ、よっすぃーは…」

落ち着いていて、強引で、冷たいと思うほど、熱っぽくって、静かで、
泣いたりしたくせに、意地悪で、すごく優しくて…
一緒にいて欲しいって言ったくせに…帰った方がいいだなんて―――

「よっすぃーは、いつも…いつも自分ばっか言いたいこと言って…っ
 平然とした顔してて、何考えてるか…全ッ然わかんないしっ…」
「………つまり、何が言いたいの?」
「ほらまたっ、そうやって落ち着き払って…」
「だって…ワケわかんないし」
「わ、私だって…ワケわかんないよぉ………」

6397.:2004/07/16(金) 21:30
突然泣き出した私に、よっすぃーは理由がわからなくて困った様子で。
自分でも理由がわからなくて、さらに泣きたくなって。

6407.:2004/07/16(金) 21:31
「何で…泣くの?」
「もー、やだぁ…知らないよ…バカぁっ…」

何でこんな気持ちになるの?どうしたいの?私はどうしたらいいの?

「………梨華ちゃんが」

 梨華ちゃんが…悪いんだからね―――

「んっっ!!」

口付けてソファに押し倒されると、濡れた温かな舌に中をかき回される。
そしていつかみたいに手際よくボタンが外され、胸元からよっすぃーの
手が進入してきた…。

「んんっ…や………やだぁっ…!」

よっすぃーを押し返した私は、息を整えながら下から少し這い出して、
上体を起こした。よっすぃーは、乱れた服を戻そうとした私を抱きしめて。

「…だから…帰った方がいいって言ったのに」
「だっ、だって…」
「ましてやそんな可愛い行動とられたら、余計困るじゃん」

よっすぃーは抱きしめる腕に力を込めると。

「…ごめん、しばらく…こうしてて…そうすれば…止められるから」
「と、止められるって…何を?」
「卒業式の夜みたいになること」

!!!!!

6417.:2004/07/16(金) 21:32
「し、しばらくって…どのくらい?」
「さぁ」
「さぁって…」

そんなの困る…こんな風にされてたら…し、心臓が―――

 トクン、トクン、トクン………

あっ…よっすぃーの心臓の音、聞こえる…

私よりも力強いその音が、私よりも早く鳴っている事に気付いたら…
何だか、吸い寄せられるようにして、よっすぃーを抱きしめ返していた。

「…梨華ちゃん?」
「あっ…も、もう、止まったの?」
「ああ…うん。そーかも」

私、何で…何して…。慌ててよっすぃーから離れて、ソファに座り直す。

「んじゃ…梨華ちゃん帰る?」

「うん」って言おうとしたんだけど、言えなくて、言いたくなくて…
よっすぃーに抱きついてしまった。

「…だから、そーゆーことすると…ほら…うち、また危うくなるから…
 折角止めたのに…梨華ちゃん、どーしたの?」
「わっ…わかんない…けど私…」

…よっすぃーのこと…好き、かも…

6428.:2004/07/16(金) 21:32
「それは勘違いでしょ」
「なっ、何でよっ」
「だって、さっきも今もキス嫌がったし」
「キ、キスって…あんなの…イキナリあんなのされたら、誰だって…
 嫌がるよっ」
「そんなこともないよ」
「と…とにかくっ…わ、私はっ…私は………」

…結局上手く言葉に出来なくて、またよっすぃーをきつく抱きしめて。

「…梨華ちゃん…何か…変だよ」
「もー、うるさいよっ…よっすぃーのせいだよ…」
「うちの?」
「そうだよ」

絶対、絶対、よっすぃーのせいだ。こんなにドキドキするのも、こんなに
泣きたくなるのもよっすぃーといるときだけだもん。

「うちは…どーしたらいいの?」
「…い、いつもみたいに…ギュッてしてよ…」
「………わかった…ギュッってする…ついでに、キスしていい?」
「バ、バカっ……………ぃいよ…」

いつも…よっすぃーのちょっとした言動に傷ついたり、嬉しくなったり…
―――何か…今さら自覚した。私は…よっすぃーのことが、かなり前から

好きだったらしい。

―おわり―

6438.:2004/07/16(金) 21:44
思ったよりも長くなってしまいそうなので、突然ですが続編を
一旦終了させて頂きました。よっすぃー、また生殺しだよ…。

この後の2人については、続・続編というカタチで書かせて
頂きたいと思っております。

644603:2004/07/17(土) 00:03
よっすぃ〜がとても不憫に思えるのは私の気のせいでしょうか・・・。
がんがれ!よっすぃ〜!!

続・続編も楽しみにしてます。

645名無し作者:2004/07/18(日) 00:25
>>644 603様
基本的に…

(*^▽^)<何で?何で?わかんないよ〜
(0^〜^)<はぁ〜これだから梨華ちゃんは…

という図式なので、吉澤さんは不憫です(泣)
梨華ちゃん相手では、強引にもなりきれない
御様子…がんがれ、よっすぃー!

ということで、続・続編の前に番外編として
付き合い始めた(?)2人の夏休みのお話を
ひとつ書かせて頂きます。

>>595〜のお話と、>>622〜のお話の番外編です。

646夏休み:2004/07/18(日) 00:26
「ねーねー、よっすぃーどっか遊びに行こーよぉー」

8月の前半はサークルの合宿があったりして、あまり会えなかったから、
(決して避けていたわけではない)一緒に出かけることも出来なかった。

647夏休み:2004/07/18(日) 00:27
「どっかって?」
「何処でもいーからさ、とにかくどっか行こーっ」

私は9月も休みだけどさ、よっすぃーは8月で休み終わっちゃうし…
2人でなんかしたいなぁって。

「服とか見ながらブラブラするだけでもいいしさぁー」
「あー………うん…」
「な…なによー、つまらなそうにしてっ…ヤならいいもん…」
「別に嫌じゃないけど…梨華ちゃんは楽しいの?」
「よ、よっすぃーはつまらないの?」
「いや、だから、梨華ちゃんはどーなの?」

って…何でそんなこと聞くのよっ!

「っっっ嫌なら嫌って言えばいーでしょ!いーよ、もうっ」
「どーして梨華ちゃんは、そうやっていちいちひねくれて捉えるかな?」

ひねくれてないっっ!!だって、だって…

「よっすぃー、最近何か…私が来ると冷たいもんっ!座るトコだって
 私はソファで、よっすぃーはベッドで…この頃ずっとそーじゃんよっ
 それって私が来るのが迷惑だからでしょっっ」
「あのね…うちがこっちに座ってるのは」

よっすぃーは、ちょいちょいって私を手招きして。

「梨華ちゃんと向かい合ってるとこういうことしたくなるから…」

ってキスをしようとした。

648夏休み:2004/07/18(日) 00:28
「―――っ、ちょっと!」
「ほらね、梨華ちゃん嫌がるでしょ?
 だから心身共に距離とってるの。我慢してるんだよ、いろいろ」
「べ、別に嫌がってるわけじゃないけど…ドキドキするからなんか…
 ヤなんだもん」
「嫌がってるじゃん」
「………そんな…ガマン、しなくたって…いいじゃんよ…」

キ、キスくらい…

「そ?んじゃ…」
「な、何で立つの?」
「しにくいじゃん」
「し、し、舌はやめてね…?軽くチュッて…」
「久し振りなんだから、そういう事言うのナシね」
「じゃ、ダメ!やっぱりダメっっ」
「もー、遅いよ」

言葉通り最初から遠慮なしに差し入れられた舌が、ゆっくりと動いて…

「んっ…んんぅっ…ぁっ…」

抱きしめられた体から染み込んで来る、重ねた唇から流れ込んでくる
よっすぃーのぬくもりに、溺れてしまいそうに…

「!!!…ちょっ!?…やっ」
「…何?」
「『何』じゃなくてっ、手っ!!」

よっすぃーの手はバッチリ私のTシャツを捲り上げ、胸を緩く撫でていた。

649夏休み:2004/07/18(日) 00:29
「あ…無意識だった」

む、無意識〜!?

「折角だし、このまま本能にまかせてみようか…」
「ちょっ…ぁっ…」

ベットに押し倒されて、抵抗するも、力の差は歴然。

「梨華ちゃん、大好き」

よっすぃーの手がスカートの中に入ってきて…

「ま、待てってば…っ」
「待たない…うちの理性も夏休み…」

太腿を撫でながら、よっすぃーの顔が近付いて来て、キスをされる。
さっきよりも一層熱っぽく舌を絡められ、息継ぎしては、角度を変えて
また唇を重ねられて…。

「んっっ…ぁっ…も、もう…ダメだ…よ」
「梨華ちゃん…好きだよ」

私の言葉が聞こえないみたいに囁くと、よっすぃーの指が下着の中に
入ってきて…そこを這い出した…。

「やっっ…何して…っ」
「気持ち良くない?」
「わか…そ…なの…わかんな…」

650夏休み:2004/07/18(日) 00:29
よっすぃーの長い指がそこを行き来する度に、頭の芯が痺れるみたいに
なって…何か…変だよ…な、何も…何も考えられない…

「っ…も…ヤメ…変にな…」
「何も考えなくていいよ」

 変になって大丈夫だから…うちだけ感じてて―――

「っっ…んっ…ぁっっ…」
「…梨華ちゃん、好き…」

囁いて落とされた唇に、縋るように舌を絡めた…

「んっ…んんっ…っ…」
「梨華…大好きだよ…」

よっすぃーの指の動きが早くなっていく………もう…ダメっ…やっ…


「―――っっ…」


―――真っ白になってしまったぐちゃぐちゃの頭と、荒い呼吸を必死に
戻そうとしていたら

「気持ち良かった?」

!!!!! バチンッッ

651夏休み:2004/07/18(日) 00:30
「…痛いじゃん、何すんの」
「ばっバカ…よっすぃー…ひどいよ…い、いきなりぃ………」
「泣くことないじゃん、そんな…」
「…もっ…よっすぃー、ヤだぁっっ」
「あー、もー、ごめんってば…そんな泣かれたら、うちだって
 ショックじゃんか………」

よっすぃーがギュって私を抱きしめて髪を撫でるから、つい反射的に
しがみ付いてしまう…

「………そんなに嫌だった?」
「………こわ…かった…」
「でも梨華ちゃんが言ったんだよ、我慢しなくていいって」
「こーゆーイミで言ってないもんっ!キスだって軽くって言っ…」

言いかけた私に、よっすぃーはチュッってキスをして優しく微笑んだ。

「で、いつにするの?どっか遊びに行くんでしょ?」

よっすぃーのこーゆートコ嫌い…
こんなタイミングでそーゆー顔したり、こんな風にされたら―――

何だって許しちゃうじゃない…。

―おわり―

652名無し(0´〜`0):2004/07/18(日) 17:32
ハァ━━━━━━ ;´Д` ━━━━━━ン!!!!

続・続編もキタイ

653603:2004/07/18(日) 23:22
652さんと同じく・・・

ハァ━━━━━━ ;´Д` ━━━━━━ン!!!!

なんだかんだで石川さん・・・
ほ れ て ま す ね。
続・続編超期待しとります。

654名無し作者:2004/07/30(金) 01:09
>>652 名無し(0´〜`0)様
レスありがとうございます。
続・続編もお付き合い頂ければと思います。

>>653 603様
番外編お楽しみ頂けたようで幸いです。
少しだけ吉澤さん救済できたかな?

一週間以上も間が空いてしまいましたが、
>>595〜のお話の続・続編を書かせて頂きます。

6551.:2004/07/30(金) 01:10
よっすぃーと私は相変わらず(?)仲良くやっている…仲良く―――…

6561.:2004/07/30(金) 01:11
「よっ、よっすぃーっっ…ちょっ、待っ…!!」

よっすぃーの部屋にいる私は、現在非常に危険な状況で…

「あっ…やだっっ…い、嫌っ…やだって…っ」

夏休みに変なコトされてから何となく恐くて、なるべく外とか私の部屋
で会うようにしてて…今日は勇気を出して久し振りによっすぃーの部屋
に来たんだけど…

「梨華ちゃん……」

胸を撫でながら、よっすぃーの顔が近付いて来る。

ダメっ!!

こんな状態でいつものようなキスをされたら、完全に抵抗出来なくなって
しまう。

「待て、待て待て待て待て待て!!」

慌てて両腕を交差させ、顔を覆った私。

「………何?」
「な、何考えてるのよ…よっすぃーはっ!」
「何って…梨華ちゃんのことしか考えてないけど?」

いつものように、平然と答えるよっすぃー。ストレートな言葉に、顔が
赤くなるけど………ダメダメっ!嬉しがってる場合じゃないんだった!

6571.:2004/07/30(金) 01:12
「わ、私は…していい、なんて…言ってないし」
「ダメなの?」
「だ、だって…」

 ―――何で…そんな嫌がんの?

「梨華ちゃん…ホントにうちのこと好きなの?」

好き!好きだもん。好きだけど…

「何か恐いん…だもん」

…よっすぃーが触ったトコとか…変な感じがしてきて…だ、だんだん
おかしくなって…じ、自分で自分がわかんなくなって…何も考えられ
なくなっちゃって…

「そういうのっ…また、あ、あの夏休みの時みたいになっちゃうの…
 恐いもんっ…」

よっすぃーも何か…よっすぃーじゃないみたいで…

「うちが、恐かったの?」
「そ、そうじゃなくて…私は、自分が変になっちゃうのが恐いのっ…!」
「気持ち良くなかった?」
「しっ、知らないそんなの!!」
「梨華ちゃんはうちのこと好きじゃないの?」
「…す…好き…だもん…バカっ…!!」
「んじゃ、うちが…」

6581.:2004/07/30(金) 01:12
 梨華ちゃんが何も考えられなくなっちゃっても、それはうちのせいで…
 うちが傍にいるから大丈夫―――

「っていう考え方はダメ?恐い?」
「………わ、私だって聞きたいよ。どうしてそんなによっすぃーは…
 そういうコト…したがるの?」
「どうしてって…好きだからじゃないの?」
「で、でもおかしいもん!すぐヘンなコトしようとするっ!!」
「だから、好きだから」

 梨華ちゃん見てたらいつだって思うよ…抱きしめたい、キスしたい、
 その先もって…

「それは相手が梨華ちゃんだから思うんでしょ?
 梨華ちゃんを好きだから。梨華ちゃんにしか思わないし…」

そう言って真っ直ぐに私を見つめるよっすぃーは、ずるいと思う。
ほら、もう私は…頬に添えられた手を、近づく唇を拒む事が出来ない…。

「………んっ」

でも…私も、キスしたいって思うのはよっすぃーだけ―――

「で、まだ恐い?」
「…わかんない」

こんなこと言ったら、また『これだから梨華ちゃんは…』って言われる
かと思ったんだけど、よっすぃーは『そっか』って言って…私を優しく
抱き締めるだけだった。

6591.:2004/07/30(金) 01:12
―――結局、帰るまでよっすぃーに抱き締められたままでいたんだけど。


『―――最後まで』
『えっ?』
『あの時…卒業式の夜、最後までしておけばよかった…』


帰る直前によっすぃーに言われた言葉が気になって、その日はよく眠れ
なかった…。

660603:2004/08/06(金) 19:23
おぉぅ!続・続編始まってたんですね♪
なにやらよっすぃ〜がまた不憫な感じ・・・。
今度こそよっさんに幸あれと祈っております(笑)
がんがってください!

6612.:2004/08/08(日) 03:00
それから、1ヶ月くらい経ったかな。

6622.:2004/08/08(日) 03:01
私は受験生のよっすぃーに勉強を教えることになった。ホントは頭の
良いよっすぃーに、私が教える必要なんて全然無いんだけどね。たま
にはお姉さんらしいトコも見せたいし、なんて…だけどそう思い通り
にもいかないみたい…

「梨華ちゃんはさ、いつになったら続きさせてくれるの?」
「え?…続きって…?」
「…こーゆう」

って私の顔を両手で挟んで、キスの構え。

「わっ…わかった!わかったからっ」
「今うちで勉強教えてくれてるのも、うちが『何もしない』って約束
 しなかったら来なかったんでしょ?」

うっ………図星。

「んで、『理性保てるかわからないから、一緒に勉強は止めておこう』
 って言ったら変な顔するし」
「………だ………だっ…て…」
「―――ごめん、余計な話した。気にしなくていいから」

気に………しちゃうよ…

私だって…これでも心の準備をしようと一生懸命で…前によっすぃーに
言われたこと、ホントは…わからなくも無かったし…だけど………

 『最後までしておけばよかった…』

その「最後」の意味がわからないから余計に恐くなったんだってっっ!!

6632.:2004/08/08(日) 03:02
頭の中はゴチャゴチャで、胸の中はモヤモヤで、上の空の私。
結局、大して勉強を教える事も無く時間は過ぎていたみたいで。

「そろそろ終わろうか?送ってく?」
「いーよっ、隣だもん!」
「………」
「な…何?」
「…別に」

って言ったよっすぃーの顔が近づいて来て―――チュッ

「…っ」
「また明日」
「うん…じゃ、じゃあね」

家に帰ると「ただいま」も言わずに自分の部屋に上がって、バタンって
ベッドに突っ伏した。

―――久し振りに…キスした…

ゴロンと転がって天井を見つめながら、唇に触れてみる。

 ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ

軽く、触れるだけのキスなのに…ウルサイくらいに心臓が鳴っている。
なんか、私…一人で勝手に悩んだり、ドキドキしたり…バカみたい…

「よっすぃーが先に好きって言ったくせに…」

近くにいるのに、届かない呟き。


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