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気ままに短編集!!(何でもあり)
344
:
『雨と傘と出会い』
:2003/09/02(火) 15:17
『雨と傘と出会い』
雨にはいろんな不思議な魅力があります。雨は人を分かれさせまた
人を出会わせる。どしゃぶりの雨の中。困っている女の子にすっと
傘を差し出す人。二人は恋に落ちる。この話もそんな2人の話。
345
:
『雨と傘と出会い』
:2003/09/02(火) 15:18
とある駅のとある時間帯。会社帰りのサラリーマンやOLなどで
ごった返す中に彼女がいた。
「あ〜あ、参ったな〜。今日は傘持ってきてないのに。天気予報は
晴れって言ってたのに全然当たってないじゃない。」
そう言って辺りを見回してみる。
サラリーマン風の人が自分のかばんを傘代わりにして雨のなかを
走っていく姿がちらほら。
それを見て決意する
「よしっ、また走るか。わざわざタクシーに乗るのも面倒だし。
うん、節約節約っと。」
「もしよかったらこの傘使ってください。」
彼女。石川が飛び出そうとしたところに後ろからかけられた声。
振り返るとそこには右手に傘を持った女の人が立っていた。
大きな瞳にかわいい笑顔。生涯忘れることはないでしょう。
346
:
『雨と傘と出会い』
:2003/09/02(火) 15:19
彼女は私に自分の傘をゆっくりと差し出す。
「いいえ、そんな悪いじゃないですか。あなたが濡れちゃうだろうし
受け取れませんよ。」
すると彼女はまだ、笑顔のままで
「いいえ、私は家近いんでいいんですよ。」
「でもやっぱり・・・。」
それでも躊躇する私に彼女は言う。
「それにね、そんなにかわいい子がそんなにかわいい服を着ているのに
雨に濡れちゃもったいないですし。」
そういってまた笑顔で私に傘を差し出す。私がその傘を受け取ると
彼女は雨の中に飛び出す。
「えっ、この傘どうやってお返しすればいいんですか?」
私は回りの目を気にしないで大きな声で彼女に問い掛ける。
そうすると彼女は私の方に振り返って
347
:
『雨と傘と出会い』
:2003/09/02(火) 15:19
「もしも、この出会いが偶然なんかじゃなくて運命と呼べるものだと
したら。もう一度出会ったとき。そのときにでも。」
そういって大きな瞳の彼女はまた雨の中に消えていく。
追いかけて傘を返す?それが一番いいのかもしれない。知らない人
から傘を渡されても普通は受け取らないかも。でも、私は不思議と
彼女を追いかけようという気持ちにはなりませんでした。
彼女が私に言った言葉。運命。多くの人がそうであるように私もまた
その言葉に弱い人だったから。私は大きな瞳の子に運命を期待したので
しょうか?
彼女が雨の中を行く姿を見えなくなるまでずっと見続けていました
何かを期待して。そう、何かを。
348
:
『雨と傘と出会い』
:2003/09/02(火) 15:20
本当に運命なんてあるのでしょうか?彼女との出会いは運命だった
のでしょうか?
広いこの場所。たくさんの人でごった返すこの場所。その中からたった
一人を探し出すなんてそう簡単なことではなく気が付けば半年の月日
が流れていました。
朝からずっとどんよりとした雲模様。降りそうで降らない。私の帰り道
列車に乗って家の近くの駅で降りる。私が駅から出ようとしたときに
急に降りだした雨。
「あ〜あ、ついてないな〜。」
あの時とまったく同じ。私は何気なく後ろを振り返ってみました。
そこには大きな瞳にやさしい笑顔の人が。
349
:
『雨と傘と出会い』
:2003/09/02(火) 15:20
「よかった。やっぱりまた会えましたね。」
彼女はあのときのまま。やさしい笑顔で私に微笑みかけてきてくれ
ました。
「聞いてもいいですか?」
「どうぞ。」
「分かっていたんですか?もう一度会えるって。」
彼女は首と横に振りながら答える。
「いいえ、私には超能力なんてありませんからね。」
そして私はこう尋ねてみた。
「それじゃあ、なんであの時もう一度出会ったときなんて?」
彼女は答えた。
「理由なんてありませんよ。願ったんですよ。」
350
:
『雨と傘と出会い』
:2003/09/02(火) 15:21
頬を少し赤らめながら彼女はそうつぶやいた。
「願ったって何をですか?」
「この出会いが偶然なんかで終わりませんようにって。」
この日から、いえ、半年前のあの日から私の人生にまたひとつ
うれしいことが増えました。
351
:
Silence
:2003/09/02(火) 15:22
ちょっと前に書いた作品です。消してしまってもいいかな〜とも
思ったんですけど、まあ、一人でも読んでくれる人がいたらな〜
って感じで載せさせてもらいました。
352
:
キョウ
:2003/09/04(木) 02:17
Silenceさん(・∀・)イイ!!
偶然を運命に変えるひーちゃんかっけー!!!
両者とも逢う事を望んでるから運命になったんですねw
って、軽い深読みしちゃいましたw
またこんなカワイイ作品、お願いしますね♪
353
:
Silence
:2003/09/04(木) 16:57
ご感想ありです。はい、思いついたらまた書こうかなっと。
( T▽T)<くれぐれも自分に期待はしないでくださいね。
キマグレナヒトナンデイツニナルカ
354
:
匿名匿名希望
:2003/09/07(日) 23:42
今さらですが・・・
更新お疲れ様です。
ニヤニヤして読んでました(w
最 高 で す
私も次回を期待しています♪
355
:
token
:2003/09/09(火) 21:41
更新お疲れ様です。
遂にこちらにもカキコします。
Silence様の短編はやっぱり素敵です。
こんなお話書いておいて期待するな、は酷ですYO。
まったりお待ちしてますので、また何か思いついてくださいね。(笑)
356
:
sai
:2003/09/13(土) 13:10
気づかなかった・・・。こんな変な短編読んでもらって
ありがとうです。
>とくちゃん(あえて)w
ニヤニヤしてですか?w尊敬するとくちゃんから最高なんて
お言葉いただいてうれしい限りです。
>token様
わざわざ貴重な時間割いてまで読んでもらって感謝です。
素敵といわれるとめちゃめちゃ照れるんですが(w
いつになるかわからないけどまた、短編載せさせてもらおうと
思っています。ほんといつかわからないけどw
357
:
『ひまわり』 −石川梨華の想い出−
:2003/09/14(日) 13:36
『ひまわり』 −石川梨華の想い出−
ひまわりのような人でした。夏のひまわりのような人。
強くてやさしくて、温かい人。
夢を見ていました。あなたと暮らしたたった半年という間。
人間の人生からしてみれば本当にひとかけらに過ぎないかも
しれない間。
でも、それは私にとって、それまでの人生のすべてといっても
過言でなかった。そしてこれからの長い私の人生にしてもすべ
てかもしれない。
あなたいた一握りの短い期間。かけがえの無い、何にも置き換
えることのできない永遠の時。
まっすぐに、どこにもよれることの無い、ひまわりのような人
でした。
思い出せばいつも微笑みかけてくれる人。目を閉じればいつも
私を抱きしめてくれる温かい心地よいぬくもりの人。
358
:
『ひまわり』 −石川梨華の想い出−
:2003/09/14(日) 13:37
あなたが大好きでした。言葉なんて必要ないくらいに。不思議
なものです、なんででしょうか、私が泣いているときはいつも
あなたが側に居てくれて、私はあなたの側で泣いていました。
私が泣きじゃくっているときは何も言わないでただ私の髪を
なでていてくれて、私が泣き疲れて顔をあげるとあなたは私の
耳元に口を落として言うんです。
「梨華ちゃんには私がいるからね。」
って。うれしくてうれしくてしかたがありませんでした。なんで
こんなに優しいのかって。なんでこんなに好きなのかって。
私がそれを考えてまた泣いちゃうとあなたはまた私を抱き寄せて
照れながら言うんです。
「本当に好きなんだからね」
って。私はうなずきました。あなたにしっかりと伝わるくらい。
あなたがしっかり私の気持ちを感じてくれるくらい。
359
:
『ひまわり』 −石川梨華の想い出−
:2003/09/14(日) 13:38
あなたは覚えていますか?二人で初めて泊まりにいったあの日の
こと。
待つことが嫌いなあなたは一時間に一本というバスを待たずに歩く
と言い出して私の手を引いてどこまでも続く道を一緒に歩きました
あのとき見た透き通るくらいに綺麗な海。今でも私の耳に残るは
夏の波の音。
大好きな場所だけどもう二度と訪れることもないんですね。
だって、あなたと約束したから。次も一緒に、二人で来ようねって。
だから私は待っています。でも、あなたともう一度・・・
360
:
『ひまわり』 −石川梨華の想い出−
:2003/09/14(日) 13:38
戯れるように遊んだあの初秋の夜。二人で一緒にした花火。あなたは
私に言いました。
「自分は夏の花火みたいだ。」
って。私が何で?って尋ねると一瞬。本当に一瞬の間だけ輝くために
生まれてきたんだって。
あなたは知っていたんでしょうか、自分のことを。
普段の強いあなたからは想像もつかないような言葉に儚いようなその
表情。
私は目に涙を浮かべて、あなたを見返すとあなたはまたいつものような
顔に戻って
「そんな深く考えないでよ。花火みたいに綺麗ってことだよ。」
って。あなたはいつもそう。自分のことをもっと気遣うべきだったのに
私のことをいつも心配してくれた。
361
:
『ひまわり』 −石川梨華の想い出−
:2003/09/14(日) 13:39
私があなたと最期にあったのは雪が降り出したころ。ベットで横に
なっていたあなたが私に言った言葉。
「私はいつも一緒にいるから。どんなときも味方だから。例え回り
の誰もが梨華ちゃんを否定しても私だけはあなたを肯定してづける
から。また、生まれ変わっても私はあなたを見つけ出して言うよ。」
『世界中の誰よりもあなたを愛しています。』
362
:
Silence
:2003/09/14(日) 13:41
最近、本気で小説を書くということを忘れていた自分に小説の良さ。
すばらしさを思いださせてくれた友人の小説に返答するという意味
で書いた短編です。
淋しい、暗い話の中でどこかに温かさを感じてもらったら書いた側
としてこれほどうれしいことはありません。
駄文失礼しました。
363
:
ROM
:2003/09/17(水) 19:19
気づいてない人多いんじゃないかな?
泣いたよ。ヒサブリに…。
364
:
名無し(0´〜`0)
:2003/09/18(木) 00:05
とてもいいお話でした。
温かさを感じさせていただきました。
365
:
匿名匿名希望
:2003/09/18(木) 00:19
泣きはありでしょうか?
読んだ後に、ほんわかほんわかしています。
この感想を書いたらまた読み返します。
上手い言葉が見つかりませんが、あったかい作品。
『残る』という言葉が私の中にいるみたいです(w
366
:
NEMO
:2003/09/18(木) 00:31
初めまして、NEMOと申します。
気分転換に書きなぐった小品ですが、
しばしお付き合いくだされば幸いです。
367
:
- Tea for You -
:2003/09/18(木) 00:32
小さな咳が、口許をおさえた華奢な手からコホンとこぼれた。
足組みをした膝の上、情報誌をのせて休日の計画を練っていた吉澤が、素早く石川に照準を合わせる。
大丈夫、そう笑って、石川は膝を抱え直した。
食後、風呂上がり、ふたりとも寝仕度を整えて、それぞれリビングでくつろいでいる。
石川はカーペットに直に座り込み、テレビ欄を広げた新聞を踵で押さえて、連続ドラマ鑑賞の真っ最中。
滲む涙を拭き取ろうと、ティッシュを2枚かさねて引き抜いた。
「さっきからほんと、よく泣くよね」
「だって」
「目、腫れたらどうすんの」
「……困る」
「だね」
毎週毎週、丸められたティッシュの山を見ては、石川の涙腺のゆるさに呆れる吉澤。
すっかり感情移入して、口を閉じるのもおろそかに、石川は鼻をぐしゅぐしゅ鳴らしている。
正直、演技過剰なドラマよりも、石川梨華が面白い。
「ティッシュ、足元に積まないでゴミ箱に捨ててよ」
「んー」
聞いているのか、いないのか。
生返事に諦めの溜息をつき、吉澤はソファから立ち上がって、散らばったティッシュを拾い集める。
ほつれたTシャツ、擦り切れたジャージを平気で着るわりに、こういうところはマメなのだ。
なんとも甲斐甲斐しい。
368
:
- Tea for You -
:2003/09/18(木) 00:32
「後でやるのに」
「後で、っていつですかねぇ」
「もぉ」
石川は頬を膨らませて、吉澤の肩のあたりをぺしっとはたく。
コマーシャルに入るまできっちり見届けて、反撃開始しようと口を開く。
コホン。
準備しておいた言葉が、咳にとってかわられた。
押しとどめる間もなく、後から後から気管を昇ってくる。
コホ。ケホン。ケフン。
吉澤の眉尻がキュッと持ち上がって、眉間に神経質な皺が寄った。
ティッシュのかたまりを隅のゴミ箱に放り込むと、ターンを決めて戻ってくる。
実に素早い。
「大丈夫、じゃないね」
顔をしかめ、身体を丸めて咳き込んでいる石川の背中を撫でてやる。
そういえば、帰ってきてからしばらく、彼女はだるそうだった。
気付いてはいたのだ。
吉澤、決して鈍くはない。
ただ、鍋の見張りだとか、洗濯ものを取り込んだりとか、……つまり、ちょっと、忘れていた。
369
:
- Tea for You -
:2003/09/18(木) 00:33
「毎年、この時期になると喉にくるの。いつものことだから、ほんと平気」
「いつものことなら、もっと用心してないと駄目でしょ」
どこからか登場したブランケットで、さっと石川の身体をくるんで、抱えてソファに座らせる。
涼しい風を吹き下ろしていたエアコンをピピィッと消して、
「髪もね、濡れたままで放っておかないでさ、ドラマ見てびぃびぃ泣く前にちゃんと拭きなよ」
「それ、ひとのこと言えないじゃない」
吉澤は肩にタオルを引っ掛けて、黒いTシャツの襟元を短い髪から落ちる雫で濡らしていた。
目敏い指摘に苦笑い。
追撃を避けて、ダイニングキッチンに逃げていく。
がたがた、かちり。
柄付きの小さな手鍋をコンロにかけ、吉澤はなにやら忙しく立ち働いている。
下ろし金、ペティナイフ、色々と持ち出して、キッチンはなんだか騒々しい。
「なに作ってるの?」
「んんー」
今度は吉澤が生返事。
石川はソファから半分身を乗り出して、ダイニングテーブルの向こう、吉澤の後ろ姿に問いかける。
「おなか、減ったの?」
「そうでもない」
夕飯はすこし手を抜いた。
作り置きの煮物と、冷蔵庫に残っていた野菜をまとめて入れた味噌汁。
多少さびしい食卓だったけれども、おなかがすくにはまだ早い。
370
:
- Tea for You -
:2003/09/18(木) 00:34
鍋を掻き回す手を休め、吉澤はミルクを冷蔵庫から取り出した。
腰に片手をあて、パックに直接口をつけて。
左の爪先で、かりかりと右のふくらはぎを引っ掻いている。
虫に、刺されたのかもしれない。
「おやじぃー」
「あぁん?」
肩越しに振り向いた吉澤に、軽く睨まれる。
笑いながら、石川はソファの背にぴたっと張り付いて身を隠した。
視線をブラウン管に固定したまま、カマをかけてみる。
「もしかして、卵酒?」
「ハズレ」
素っ気ない声に、期待がしぼんだ。
心配してくれてるのかな、だなんて甘かった。
やっぱり甘かった。
吉澤のことだから、ただ夜食を作っているだけなのかもしれない。
----唐突。
一語で表すなら、そんなひと。
いまだに、吉澤が次に繰り出してくる一手が読めない。
石川はクッションを抱えて、ひとりで唸る。
371
:
- Tea for You -
:2003/09/18(木) 00:35
「はい、どうぞ」
ごく自然に、無造作に、目の前に差し出されたマグカップ。
大きめのマグカップに、たっぷりと満たされた……多分、きっと、やさしさ?
石川、嬉しい誤算に内心にやける。
あくまでも、内心である。
最近、ようやく最近、吉澤の不意打ちをくらっても、うまくやり過ごせるようになった。
長きに渡る修行の成果が、今、ここにある。
「お茶、いれてくれるの珍しいね」
家事を滅多にしてくれない旦那様に皮肉を言う奥様、ではない。
吉澤は根っからのコーヒー党で、紅茶はあまり飲まない。
気分で豆の種類、煤煎を変えたり、ネルドリップにしてみたり、コーヒーには凝る吉澤。
こだわりだすと、止められないし、止まらない。
徹底的にやる。
これが紅茶になると、よくてお湯にティーバッグを泳がせる程度。
ペットボトルや紙パック、ただ不自然に甘いだけの市販品でも、一向にかまわないらしい。
つまり、石川が言うのは、嗜好の話。
「うん。喉には、これが一番だって」
お気に入りのマグカップに、たっぷりと満たされたミルクティー。
372
:
- Tea for You -
:2003/09/18(木) 00:36
石川はカップを両手で支えて、漂う湯気に顔を近付ける。
ガツンと、詰まり気味の鼻腔に先制の一発がきた。
「これって……生姜?」
「あたり。ジンジャー・ミルクティー」
手鍋で紅茶を煮出して、すり下ろした生姜の絞り汁、生姜のスライス、そして蜂蜜。
牛乳を加えて、生臭さが出ないように温める。
生姜も、蜂蜜も、そのパワーは折り紙付きだ。
「ほんとに、効くよ。生姜に含まれてるジンゲロール? ジンギロール?
まあ、とにかく、そういうのが風邪に効く」
真顔で言われて、素直にうんうん頷く。
テレビから仕入れた知識だろうか。
みのもんたか、それとも堺正章か。
吉澤は二人掛けのソファ、石川の右隣に滑り込んで、あいた左腕をソファの背に引っ掛ける。
並んで、それぞれのマグカップに口をつけた。
クセのある、甘さと辛さが熱になる。
喉をやわらかく撫でて、ストンと胸に落ちてくる。
「おいし」
ほうっ、と吐息とともに呟いて、隣の吉澤に微笑んだ。
薄い唇をたわませて、吉澤もほんのりと笑む。
「よかった。好みがわかれる味だから」
そう言う吉澤のカップには、いつも通りのブラックコーヒー。
373
:
- Tea for You -
:2003/09/18(木) 00:36
「苦手なんだ」
言い当てられて、吉澤が首筋を掻く。
「風邪ひいたときさ、ずっとそれ飲まされて。効いた。確かに効いたけど、ちょっとね」
出されるたびに我慢して、眉間に縦皺を寄せ、額に汗を浮かばせてミルクティーを啜ったのだろう。
石川は横顔を見て想像する。
今より、ほんのちょっと幼い吉澤。
空白を埋めるように、そっと順序を追って、吉澤のところどころを置き換える。
鼻筋、眉、耳の下から顎にかけてのライン、……。
ふと、思った。
このひとに、甘辛いミルクティーを差し出したのは、誰なんだろう。
気付いてしまった。
気にしだしたら、止まらなくなった。
石川の加速も、なかなかのもの。
ぐっとアクセルを踏み込んで、ギアを順調にトップへ持っていく。
ぐいぐい、ぐいぐい。
エンジンは無駄に元気だ。
374
:
- Tea for You -
:2003/09/18(木) 00:37
憶えたのは、教わったのは、生姜入りの紅茶だけだろうか?
吉澤本人も知らないうちに染み付いている癖は、いったいどこの誰が発信源なのだろう?
吉澤が過去に通り抜けた道を、人を見せ付けられているようで。
なんだか腹がたってきた。
昔のこと、昔のこと。
自分に言い聞かせながら、まだ温かいミルクティーを啜る。
長い髪も綺麗な、ミステリアスなひと。
ちっちゃくって、いつでも元気一杯なひと。
不遜な表情が似合う、ちょっぴりヒネくれたひと。
一途に慕ってくれる姿も可愛い、年下のあの子。
それから、それから……。
浮かぶ顔、浮かぶ声、とても数え切れない。
選択肢の幅がありすぎることに石川はまた憤る。
ちょっと、ちょっとなんなの、これ。
なんなのなによ、なんなのよ。
375
:
- Tea for You -
:2003/09/18(木) 00:38
ぴくり、不穏な気配を感じ取って、吉澤の背筋に危険信号が走った。
石川が無気味な沈黙を保ったまま、ブラウン管にガンたれている。
嫌なかんじだ。
経験が吉澤にしらせる。
これは、実に嫌なかんじだ。
理由は知らない。
だが、まずい。
素知らぬ顔でコーヒーを啜りながら、吉澤は計算する。
逃げる……勿論、逆効果。
慌てる心臓を押さえつけ、ため込んだデータを引っ張り出す。
膨らみ続ける風船は、できる限り素早く割ったほうがいい。
まだ小さいうちが、勝負だ。
「なにを拗ねてるの」
視線を合わせずに、吉澤が訊いた。
「……拗ねてる?」
「拗ねてるよ」
断定口調に、石川が素直に引っ掛かる。
上半身をねじって、吉澤に向き直った。
376
:
- Tea for You -
:2003/09/18(木) 00:39
「どこらへんなの」
「うん?」
「どこが拗ねてる、っていうの?」
石川は、頭を吉澤の左肩に預ける。
黒いTシャツの裾を掴んで、引っ張る。
吉澤がそっと、隙間をつめた。
「そういう台詞を言うところが拗ねてるかな。違いますか、お嬢さん?」
「違いますか? ……確信してるくせに」
ああ、確かに拗ねている。
言って、石川は自覚した。
怒っているのではなかった。
ただ、拗ねていたのだ。
声をたてずに、吉澤が笑う。
石川の頭をのせた肩がわずかに震えた。
「自信満々なんだ」
「それは愛があるからだよ、ベイベェ」
「インフレを起こしている愛?」
「へっ?」
軽口を叩いていた吉澤は、ニヤニヤ笑いを引っ込める。
きょとん、と毒気を抜かれた間抜けな顔に、緩む口許を必死で引き締めて、石川は言う。
377
:
- Tea for You -
:2003/09/18(木) 00:40
「まき散らしすぎなの」
「そんなことはないでしょ」
「嘘」
「嘘じゃない」
「うーそっ」
「違うってば」
悪戯っぽい笑みを含ませた瞳で、睨み合う。
その距離、30センチ。
まだ、遠い。
30センチを、遠いと感じるようになってしまった。
もう、遅い。
完全に、手後れ。
掠めるように、口づけた。
「……うーん、スパイシー」
心持ち低い囁きが、耳たぶをくすぐる。
耳の後ろを滑り落ちて、指先が頬を行きつ戻りつ。
「苦手?」
「いえいえ、そんなことは」
うやうやしく、石川の頬に手を添えて。
----ありがたく、いただきます。
378
:
- Tea for You -
:2003/09/18(木) 00:41
願わくは、これから先、このひとの作る紅茶がいつもわたしのものでありますように。
こうしてひとつのソファに並んで紅茶を飲むのが、いつもわたしでありますように。
願わくは、これからも、ずっと。
〜 あなたにお茶を 〜 from "Expert & Beginner"
...... E N D
379
:
NEMO
:2003/09/18(木) 00:42
どうも、お粗末様でした。
誤字脱字など、見つけても知らないフリをしてやって下さい。
380
:
sai
:2003/09/18(木) 17:10
NEMOさんだ〜。お疲れ様でした〜。
温かい2人しっかりと堪能させてもらいました。
ごちでした(w
381
:
匿名匿名希望
:2003/09/19(金) 13:00
Σ(^〜^0)
NEMOさんだ〜。
更新お疲れ様でした。
PC前でニヤニヤしてましたよ(・∀・)ニヤニヤ
素敵な世界ありがとうございました。
次回の期待なんていうものをちょっとしちゃいたいです(w
382
:
名無し(0´〜`0)
:2003/09/21(日) 14:41
良かったです。
NEMOさんは、他にも何か書いてらっしゃるのでしょうか?
また書いて欲しいです。
383
:
『たんぽぽ』 −吉澤ひとみの記憶−
:2003/09/21(日) 16:59
『たんぽぽ』 −吉澤ひとみの記憶−
たんぽぽのような君と出会った。雨にうたれても風に吹かれても
負けないような本当に心の強い人。清い人。
夢を見ていました。君と暮らしたたった半年という間。
人間の人生からしてみれば本当にひとかけらに過ぎないかも
しれない間。
でも、それは私にとって、普通の人の人生を一生分生きた半年。
君と出会わなかったら私は・・・。きっと後悔していた。自分と
いうことすべてに。
君といたことが。君が私のそばに居てくれたことがなによりもかけがえ
のない時間。終わることもない永遠の時。
雨が降ってくじけても、晴れの日がくればいっぱいに花びらを
咲かせるたんぽぽのような君。
思い出せばいつも私をやさしく包んでくれた君。目を閉じれば
今でも思い出される君のぬくもり。
384
:
『たんぽぽ』 −吉澤ひとみの記憶−
:2003/09/21(日) 17:00
君と一緒に居て、別れた後で私はいつも考えることがあった。
不思議なことで君とどんなに愛し合った後でも別れた後で一番
最初に考えること、思うこと。
それは、もう2度と君に会えなかったらどうしようということ。
なんでだろうね?そんなことあるわけ無いのに。君がどんなに
離れていても私は君を見つけ出してみせるのに。
「また、明日会おうね。絶対だよ。」
うれしい言葉。なによりも嬉しい言葉のはずなのにどこか不安に
なる私がいました。
本当に好きだから。誰よりも何よりも君が大好きだから。そして
昨日よりも今日の方が君のことを好きになっているから。
「明日だけじゃないよ。明後日もその次もその次も・・・。」
そう言っているときの君の笑顔。好き。本当に大好き。その笑顔
を思い出して私は不安を吹き飛ばす。
385
:
『たんぽぽ』 −吉澤ひとみの記憶−
:2003/09/21(日) 17:00
君は覚えているのかな?二人で泊まりに行った田舎町の小さな
旅館。
旅館の窓から見たのはそれまでで見たこともないような綺麗な
夜空。満面の星。風が運んでくるのは夏の風鈴の音。
あの時君は言ったよね。「私と星空どっちが綺麗?」って。私が
言ったこと覚えてる?星空を見ている君が一番だって。
大好きな君ともう一度。本当にもう一度だけでも。
神様がたった一つだけ願いをかなえてくれるとしたら私は迷わず
お願いします。彼女ともう一度だけ星を見せてください。
386
:
『たんぽぽ』 −吉澤ひとみの記憶−
:2003/09/21(日) 17:01
君と一緒にいった紅葉が広がっている場所。二人で一緒に拾った
落ち葉。君は言いました。
「落ち葉なんて嫌い。木と離れ離れになっちゃう落ち葉なんて。」
って。私には君が何を言っているのかすぐにわかった。でも
ずるい私は気づかないふりをしていた。
君だけじゃないんだよ。私だって別れたくなんてないよ。
哀しみに暮れる君のその表情。嫌い。みたくなかった。笑顔の君が
私は一番好きだから
でも、私が何も気づかないふりをして「どうしたの?」って聞くと
一生懸命に表情を隠した笑顔で
「うううん、なんでもないよ。紅葉は綺麗だから嫉妬してたんだ。」
って。君の精一杯の言い訳。でも、それが君の優しさであり温かさ。
そんな君を愛した私。そんな私を愛してくれた君
387
:
『たんぽぽ』 −吉澤ひとみの記憶−
:2003/09/21(日) 17:01
君との別れのときがきてしまった。未練がなかったなんていったら
嘘になる。でも、後悔ではなかった。君と出会えたんだから。
「生涯であなた以上に人を好きになるなんてことはないかもしれない。
けれどそれでも、あなたのことを知っているから。あなたは私の悲しむ
顔なんて見たくないはずだから。私は生きます。あなたがこれから生きる
はずだった分まで。あなたが生きたことを思い出にしないためにも。
さよならなんていいません。代わりに言います。」
『あなたを愛せたこと絶対に忘れません』
388
:
Silence
:2003/09/21(日) 17:03
『ひまわり』 −石川梨華の思い出−の吉澤Ver.です。
本当は石川編だけで止めておくつもりだったのですが大親友(?)
の作家さんに書けって言われて書きました(w
前回同様の暗い話ですが(前回以上かも)温かさも残したつもり
です。哀しみよりも温かさを感じてもらうことができたらうれしい
です。
では、また。いつになるかわかりませんが(w
_| ̄|○ 最初下げ忘れた
389
:
とくちゃん
:2003/09/21(日) 17:31
大親友だと思いこんでますが何か?(w
ありがとうございます。
そしてまた石川Ver.を読み返します。
最高でつ。
更新お疲れ様でした。
390
:
名無し(0´〜`0)
:2003/09/21(日) 17:31
泣かせてもらいました・・・
素晴らしいです・・・
短編で泣いたのは初めてかも・・・
ありがとうございました。
391
:
名無しベーグル。
:2003/09/21(日) 18:09
切ない_| ̄|○
素敵な短編ありがとうございました。
392
:
禁断のシルエット
:2003/09/23(火) 06:10
放課後の教室。
殆んどの生徒達は帰宅したり部活などに向かったりで、教室では数人の生徒が
他愛もない会話に花を咲かせていた。そんな教室の窓際の席で、あたしは
会話に混ざることもなく、ただぼんやりと部活に励む生徒達で忙しい校庭を眺めていた。
こうして放課後の教室に残っているワケ。
それは、SHRが終わると同時に教室をあとにした彼女が戻ってくるの待つため。
393
:
禁断のシルエット
:2003/09/23(火) 06:11
「あのね、放課後、先輩に告白しようと思うんだけど……」
「告白?」
「うん……」
「梨華ちゃんが?」
「ダメかな……」
「いやいや。それは梨華ちゃんの意思だし。そっか、ホントに告白するんだ」
「うん……でね、私が戻ってくるまで先に帰らずに教室で待ってて欲しいんだけど…
よっすぃ〜はいい?」
「あ、うん……」
「ホントに?よかったぁ…ありがとね。」
394
:
禁断のシルエット
:2003/09/23(火) 06:12
それは昼休みのこと。彼女は突然、そう言った。
前から先輩のことが好きと言うことは聞いてた。
先輩の話になると嬉しそうな笑顔を見せていた彼女。
でも、彼女は気付いていた。
その想いは決して叶うことはない…
どうして叶わないと分かっていながら、それでも尚好きなのか。
ホントは苦しくてたまらない筈なのに……
ホントはたくさん傷ついてる筈なのに……
そんな彼女の想い。あたしには理解することが出来なかった。
あたしは彼女の想いを止めるべきだった。
これ以上親友が苦しみ、傷つく姿を見たくなかったから。
でも、結局何も出来ずにいた……
395
:
禁断のシルエット
:2003/09/23(火) 06:13
昼休みの彼女との会話を思い出していたあたし。
ふと、教室の時計を見ると、彼女が教室を去ってからすでに30分が過ぎていた。
いくらなんでもさすがに遅いでしょ……
待ってるようにとは言われてたけど……
心配になったあたしは告白の舞台へと向かうために教室を去った。
396
:
禁断のシルエット
:2003/09/23(火) 06:13
辿り着いた場所は音楽室。
放課後は特に使われることもないこの教室は、校内でも有名な告白スポット。
あたしは走ってきた所為で息を切らしていた。
何とも言えない不安さがそうさせたのだ。
乱れた呼吸を落ち着かせながら、ゆっくりと教室の扉へ近づいた。
もしかして、告白の真っ只中とか……
そんなことも思ったけど、教室の中からは声も音もしない。
あたしは少しだけ開いていた扉から中を覗いてみた。
「うっ……」
あたしの目に飛び込んできたものは、夕陽から射し込む眩しい光。
あまりの眩しさに思わず瞼を閉じてしまった。
少しの間そうしていると、眩しい光に慣れてきて。
そして、ゆっくりと瞼を開いた。
397
:
禁断のシルエット
:2003/09/23(火) 06:15
そこには悲しげに俯く少女のシルエット……
夕陽を背にして立ち尽くす彼女の姿……
光と影が織り成す絶対的な美しさ……
あたしは恋に落ちた。
苦しいぐらいに胸はドキドキし始めて。
ついさっきまで親友に過ぎなかった彼女に魅かれた。
これは禁じられた想い。
でも、あたしにはそんなことを考える余裕はなかった。
その美しさにしばし見惚れるあまりに。
398
:
禁断のシルエット
:2003/09/23(火) 06:16
「誰?」
どうやらあたしの気配に気付いた彼女。
覗いてたのバレたかな……
少し気まずさを感じながらも、彼女の声を無視するわけにもいかない。
ゆっくりと扉を開け、中に入った。
「よっすぃ〜……」
「遅いからさ、心配で来ちゃった……」
「…ありがとう……」
399
:
禁断のシルエット
:2003/09/23(火) 06:17
精一杯の作り笑顔を浮かべる彼女。
だけど、あたしは気付いた。彼女の頬を伝う涙に。
さっきは見惚れるあまりに気付けなかったけど。
その涙を見て、何も言えなくなった。
初めて感じる締め付けられるような胸の痛み。
どうなったのかは、聞かなくてもその涙を見れば嫌でも分かる。
どこか重い沈黙が教室を支配する。
窓の外からは部活をする生徒達の声。
そして、そっと吹き抜ける風が流れ込んできた。
それは優しい風で…きっと、彼女を包み込んだに違いない。
再び俯いてしまった彼女を見てると、あたしも風のように抱きしめたくなった。
今のあたしにはそんなこと出来ないけど……
ゆっくりと彼女に近づく。
下手な慰めの言葉は彼女の傷を深くするだけ。
何も出来ない自分の無力さを痛感する。
だけど、こうして沈黙し続けるわけにもいかない。
何か声を掛けないと……
400
:
禁断のシルエット
:2003/09/23(火) 06:18
「梨華ちゃん……」
ゴメンね…梨華ちゃんに魅かれたみたい……
「……うん……」
ホントはこんな想いを抱いてはいけないんだけど……
「…あのさ……」
でも、この教室に入った時からドキドキが止まらないんだ……
「えっと…これ……」
今はハンカチぐらいしか差し出せないけど……
「…ありがと……」
いつかこの想いをキミに伝えるから……
「そろそろ…帰ろっか……」
叶わぬ恋と気付いていても……
401
:
禁断のシルエット
:2003/09/23(火) 06:19
相変わらず夕陽が射し込み続ける音楽室。
ここは彼女が初めて失恋をした場所。
ここはあたしが初めて恋に落ちた場所。
そして、二人だけの思い出の場所。
402
:
ぷよ〜る
:2003/09/23(火) 06:20
以上です。
駄文で申し訳ないです。
このように自分で載せるのは最初で最後の挑戦なので
どうかお許しください。
403
:
Silence
:2003/09/23(火) 11:44
短編発見w 駄文なんかじゃないよ。すご〜く良かったでつ。
話はここで終わっちゃってるけどこの先を勝手に想像して
にやけてましたよw
404
:
名無し(0´〜`0)
:2003/09/23(火) 12:32
駄文なんてとんでもない。いい短編ですよw
405
:
名無し(0´〜`0)
:2003/09/23(火) 20:06
続編を予感させるような終わり方ですね。
続きも出来たら希望したいのですが…。
406
:
名無し(0´〜`0)
:2003/09/23(火) 20:32
うわーーーーーー!
すんげー(・∀・)イイ
その後の二人が気になります。
407
:
token
:2003/09/24(水) 12:53
私も続きを勝手に妄想しています。
ええ、勿論ハッピーエンドですとも(w
いいお話でした。
408
:
朝に進め!
:2003/10/13(月) 21:41
淡いピンクのカーペット。
昨日の夜は気付かなかったけど、結構シミとかついてる。
まぁ、ホテルだもんね。
みんなお茶こぼしたり、タバコの灰だって落としちゃったりするよね。
でも。
やっぱり、ちょっと汚いって思う。
ハァ。
なんでカーペットの上に、落として寝ちゃったんだろう…。
…そりゃあ、相当眠くなってたから、
ベッドから微妙に離れた、机に置くのが面倒だったけど?
…そりゃあ、誰かさんが来たせいで、シングルベッドが狭くなったけど?
…そりゃあ、さすがにポータブルDVDはベッドに置いたままだけど?
あーぁ。
せっかく買ったDVDソフトが汚れたみたいでヤダなぁ。
409
:
朝に進め!
:2003/10/13(月) 21:43
『北北西に進路を取れ』
スタッフに薦められてDVD買ったんだけど、
でもこういう映画をセレクトしたのって、
自分的に、ちょっと背伸びをしてみたつもり。
人の意見にちゃんと耳を傾けたり、いろんな映画を観てみたり。
そうやって、私は大人に近づいていくんだ。
この映画を買ったとき、
また少し大人に近づいた気がして、気分良かったんだ。
でも。
汚れたカーペットのせいで、朝から凹む。
それに…。
人が凹んでるってのに、なに?
この人の赤ちゃんみたいな寝顔。
ちょっと癒されるじゃん!
410
:
朝に進め!
:2003/10/13(月) 21:44
そういえば、なんかのTV収録ンとき
「ホテル、同室になった人が
浴衣はだけて寝てるのを見ると、ドキドキする」
って、誰かが言ってた。
うん。
わかる、それ。
はだけた浴衣は何度見ても、ドキドキする。
だから私は、いつもその姿を目に焼き付けるんだ。
…ちょっとエロいかな?って思って、誰にも言えないんだけど。
って、まぁ、この人は浴衣じゃなくて甚平なんだけどね。
どうやったら甚平、乱れるんだろう?
そろそろ、この人起こさなきゃ。
すこしだけ、ほっぺたをつついてみても
すこしだけ、ほっぺたをつねってみても
すこしだけ、ほっぺたにチュウをしてみても
全然起きる気配のない、私の王子様を。
411
:
朝に進め!
:2003/10/13(月) 21:46
「飛ぶよー!
一緒に飛ぼう!!」
え?
いきなりなに?
それって寝言?
ちょっと笑っちゃう。
でも。
うん、そうだね。
二人で飛ぼう!
きっと二人の未来は、今より高い高い場所にあるから。
コレカラダヨ!
上々上に進路を取ろう!!
412
:
婆金
:2003/10/13(月) 21:54
あー、スイマセンスイマセン。はじめまして。
駄文を書かせていただきました。
短いですが、一応いしよしです。
もう載せません。スイマセンスイマセン。
413
:
ど素人。
:2003/10/14(火) 01:29
はじめまして。
すごーく良かったです。
こういうの好きです!
是非また載せて下さい。
414
:
婆金
:2003/10/15(水) 09:14
>ど素人。様
読んでいただいて…。
アリガトウゴザイマス、アリガトウゴザイマス
お目汚し、失礼いたしました。
415
:
名無し(0´〜`0)
:2003/10/15(水) 15:05
何で汚れたんだろう?とかいったりしてw
シリーズ化されてみたらどうでしょうか?
とか勝手に言っていますが、すごくよかったです!
ありがとうございました
416
:
愛してる
:2003/10/15(水) 21:42
あたしは、走る。
息が切れる。心臓が破裂しそうな位にバクバク言う。
それでも走る。
張り裂けそうに痛い胸を押さえて、どこまでも。
(・・・・・・梨華ちゃん!!!!)
大切で愛しくてたまらないひとの名前を、声にならない声で叫びながら。
417
:
愛してる
:2003/10/15(水) 21:43
喧嘩したんだ。
だけど、それはいつもの事なんだ。
あたしはそうやっていつも、彼女との密接な距離を確認する。
梨華ちゃんはあたしを許してくれる。
そう、例え何をしたとしても。
他の人に目を向けても、傷つけるような事を言っても。
あたしだから、許してくれるんだ。
…それが心地よくて。抗い難い程に魅惑的で。
誰よりも愛してる梨華ちゃんが、『あたしだから』許してくれる。
これ以上の幸せってあるだろうか?これ以上の安らぎって、あるんだろうか?
・・・・・・あたしは、もしかしたらすごく歪んでるのかも知れない。
そして自信がないのかもしれない。
『もう、しないでね。お願いよ?約束よ?』
毎回毎回、涙ぐみながらそう言う梨華ちゃん。
何度やっても必死で。何度やっても真剣で。
その後に与えられる安堵の笑顔が、本当に愛しくて。
418
:
愛してる
:2003/10/15(水) 21:43
…その度ごとに梨華ちゃんがどれだけ傷ついてるのかなんて、気付かなかった。
「・・・・・・くそっ!!!」
流れて来た涙を、乱暴に袖でぬぐう。
…邪魔だ。前が見えなくなったら、梨華ちゃんの姿を見逃すかも知れないじゃないか。
だけど、涙は次から次へと勝手に流れて来る。
…馬鹿野郎。梨華ちゃん見逃したら、お前のせいだ。
もう一度涙をぬぐってから足を止め、周囲を見回す。
「・・・・・・。」
夕暮れの公園。
嫌でも思い出す、過去の幸福。
『…わたしね、ヨッスィーが…ううん、ひとみちゃんが・・・・・・好き。』
夕日に染められていたせいだけじゃなく、真っ赤な顔でそう言ってくれたんだよね。
あの頃はまだ、お互い髪も染めてなくて。
あの頃は、梨華ちゃんは今とは違う香水をつけてて。
…あの頃は梨華ちゃん、ネガティブ全開で。
泣いてる梨華ちゃんを慰めるのが、あたしの使命だって思ってた。
419
:
愛してる
:2003/10/15(水) 21:44
「・・・・・・くっそぉ…!!!」
悔しい。悔し過ぎる。
自分の馬鹿さ加減が、情けなくてしょうがない。
いつからか…あたしが梨華ちゃんを泣かすようになってるんだ。
…だって、梨華ちゃんは強くなっちゃったから。
昔みたいに、ちょっとの事ですぐ泣かなくなっちゃって。
あたしなんかよりもずーっとずーっと、要領良くなっちゃって。
「…言い訳にもならないだろ…ッ!!」
あたしは寂しいんだ。…そして、自信がないんだ。
昔みたいに、『梨華ちゃんを誰よりも幸せにできるのはウチだけだ』って言い切れない。
今の梨華ちゃんだったら、あたしがいなくても…放っておいても幸せになる。
「…〜〜〜〜〜〜っ!!」
ぼろぼろ、涙がこぼれる。
梨華ちゃんの人生に、あたしは必要ないんだ。
むしろ『同性の恋人』なんて、梨華ちゃんのこれからの人生においては邪魔になるだけなんだ。
「…嫌だよぉ…。」
側にいたい。ずっと、あたしだけの梨華ちゃんでいて欲しい。
だって、あたしはこんなに好き。
「…梨華ちゃん…。」
ほらね。
名前を呼ぶだけで、こんなに胸が高鳴ってる。
420
:
愛してる
:2003/10/15(水) 21:44
側にいないだけで、張り裂けそうなくらいに胸が痛い。
他のひとを見るのは、そうしていれば梨華ちゃんの目が他に向かないから。
冷たくするのは、もっとかまって欲しいから。
…傷付けるのは…どんなカタチでも良いから、あたしの存在を梨華ちゃんの心に刻み付けたいから。
馬鹿だ。あたしは。
傷付いた時の心の痛みの度合いを、ナメてた。
「・・・・・・梨華ちゃぁん…!!」
もうしない。もうしないよ。
だから、側にいてよ。離れて行かないでよ。
あたしがいなくても大丈夫なんて素振り、見せないでよ。
「…何て顔してるのよ…。」
信じられない思いで、振り返る。
…信じられないけど、間違えるはずない。
「…梨華ちゃ…!!!」
…まるで、親に見つけてもらった迷子のように。
あたしの目から、更に涙が流れ出した。
421
:
愛してる
:2003/10/15(水) 21:44
「・・・・・・まったく。泣きたいのはこっちの方なのよ?」
「…だって!!だって梨華ちゃんが!!」
今のあたし、かなりみっともない。
デカい図体して、細くて華奢な梨華ちゃんにしがみついて、わんわん泣いて。
・・・・・・だけど、梨華ちゃんの柔らかさと暖かさと甘い香りに…安心してる。
「…わたしが、何?」
「・・・・・・側に、いてくれない…っ、から…!!」
「先に離れようとしたのは、ひとみちゃんでしょ?」
「違う!あたしは一度だって、梨華ちゃんから離れようとした事ない!!」
ぽんぽん、と背中を優しく叩かれた。
「…まるで、子供みたいね。」
「・・・・・・まだ、子供だもん。」
「もう十八歳でしょ?…付き合い始めてからもう、三年も経つのよ?」
あたしは、梨華ちゃんからがばっと離れた。
そして、強引に唇を奪う。
ああ、あたし・・・・・・昔よりも確実に梨華ちゃん愛してる。
一目惚れした瞬間よりも。
恋心を隠して、友達として一緒に頑張ってた時よりも。
告白された瞬間よりも。
付き合い始めて、いろんな面が見え始めた時よりも。
「…断言するよ。あたしはこれから先、ずっと…『石川梨華』しか愛せない。」
422
:
愛してる
:2003/10/15(水) 21:45
「・・・・・・は…?」
驚いた顔をする梨華ちゃんに、あたしは言った。
「…反則なんだよ。卑怯なんだよ、梨華ちゃんは。」
「な…ッ!?わ、わたしのどごが!?ひとみちゃんの方がよっぽど…!!」
「どんどん綺麗になって行くなんて。どんどんどんどん可愛くなって行くなんて。…反則だ。」
しばらくぽかーんとしていた梨華ちゃんだけど、すぐにもっと顔を赤くした。
「…あのね、梨華ちゃん。」
「・・・・・・何なのよぉ…。」
「愛してるんだよ。」
「…ほ、他の人も見ちゃうくせに!!浮気みたいなのをしちゃうクセに!!」
「梨華ちゃんを愛してるから、しちゃうんだ。」
「ワケわかんない!!…わたしじゃない人とデートしちゃうくせに!!キスしちゃうくせに!!」
「だから、梨華ちゃんが愛し過ぎるせいなんだって。」
今度はあたしが、泣き出しちゃった梨華ちゃんを抱きしめる。
「わけわかんない…!!」
最初は抵抗してたけど…すぐに、抱き返して来てくれた。
「・・・・・・だけど、それなのにひとみちゃんが大好きな自分が、一番わけわかんない…!!」
抱きしめた。
力いっぱい、あふれ出す想いを込めて。
423
:
愛してる
:2003/10/15(水) 21:46
「く、苦しいよ、ひとみちゃん。」
「・・・・・・もう、しない。」
「え?」
「梨華ちゃんの気を引くために、梨華ちゃんを傷つけるなんて…もうしない。」
「・・・・・・っ!!」
抱き返す力が強くなった。
ああ。そうだ。
梨華ちゃんは、強くなったんじゃなかった。
『吉澤ひとみ』って言う安らぎを、手に入れただけなんだ。
「本当ね?」
「うん。」
「もう、しないのね?」
「もちろん。」
誓いのキスを交わす。
そう、あたしはもう絶対にしない。
だって、わかってしまったから。
梨華ちゃんには、あたしが必要だって。
手をつないで帰る、帰り道。
「…ねえ、梨華ちゃん?」
「何?ひとみちゃん。」
424
:
愛してる
:2003/10/15(水) 21:47
「・・・・・・あたしの事、必要?」
「何言ってるのよ。」
ぎゅっと、手を握る力が強くなる。
まるで、あたしたちの絆みたいに。
「…ひとみちゃんがいない人生なんて、考えられないから。」
もう、迷ったり不安になったりする必要はない。
だって、誰よりも何よりも愛してる梨華ちゃんが、必要としてくれてるんだ。
空を見上げると・・・・・・明日も良い天気になりそうなくらい、綺麗なお月様が見えた。
おわり。
425
:
クロイツ
:2003/10/15(水) 21:48
どうも、失礼致しました…(汗)
突発的に書きあがった短編でございます。
雑な所も多いのですが・・・・・・もしよろしかったら読んでやってくださいませ♪
426
:
名無し(0´〜`0)
:2003/10/16(木) 19:08
ハァ━━━━━━ ;´Д` ━━━━━━ン!!!!
すっごく甘くて最高ですた!!
現実の二人もきっと…。
また短編お願いします。もちろん↓も楽しみにしています。
427
:
名無し(0´〜`0)
:2003/10/17(金) 00:13
良かったです〜・・クロイツ様の文面、好きです!
いしよし不足気味の今日この頃・・
是非、また読みたいです。クロイツさま〜 また
お待ちしてます・・・
428
:
クロイツ
:2003/10/21(火) 15:12
>>426
名無し(0´〜`0)様
ありがとうございます!!
いや〜、こーゆー話書くの、ちょっぴり久しぶりだったので…喜んで頂けてよかった♪
>また短編お願いします。
はいっ!また書かせて頂きます!その時はまたよろしくです!!
>>427
名無し(0´〜`0)様
ありがとうございます!!
そう言って頂けると、本当に嬉しいです〜!!!
また書かせて頂きますので、その時はよろしくです(笑)
429
:
10年の約束 石川Ver.
:2003/10/26(日) 10:25
【10年の約束 石川Ver.】
風が通り抜けていく。夏という季節を過ぎてこれから冬に向かう。そんな
季節を移す風が。そしてその真ん中の季節。
秋。
私はこの秋が大好き。山には紅葉が、夕暮れ時には太陽が。それぞれ綺麗な
アカのヒカリを私に届けてくれる。
それを見るたびに思い出す人がいる。
不思議なこと。別に春でも夏でも冬でも。あなたのことを忘れたことなんて
一度も。片時もないはずなのにそれなのに。
秋は私にあなたのことを思い出させる季節。それが私にとってうれしいこと
なのか。哀しいことなのか…。
それはきっと今の私にわかることではないと思う。
430
:
10年の約束 石川Ver.
:2003/10/26(日) 10:25
何年かして私が誰かと結ばれてそして今のことを過去のことを思い出した
とき。そのときにはじめて分かることなんじゃないかな〜。
その誰かが、誰なんてことはわからない。誰かがいるのかさえもわからない。
でも、もし、もしもその誰かがあなただとしたら。
そうしたらきっと私は今を幸せと感じることができるんじゃないかな〜。
だって、大好きだから。本当に好きで好きでたまらないあなたのことを
想っている時間なんだから。
431
:
10年の約束 石川Ver.
:2003/10/26(日) 10:26
私は駅のホームから汽車に乗り込む。ガタンガタン。時間が経つにつれて
しだいに人が減っていく。私の降りる駅に着くころには汽車のなかはほとんど
がらがらの状態。
気が付くと私は眠ってしまっていたようで、目を開けて窓の外を見るとそこ
には都会という言葉とはまったく正反対にあるその光景に目を奪われる。
「そんなことはないよ、君の方が数倍も綺麗だよ。」
「いやだな〜、よっすぃ〜は。いまどきそんな言葉誰も使わないよ〜。
ほんと、さっむ〜い。」
「えええっ〜!!なんでだよ〜。せっかく勇気を出して言ったのに〜。」
そういって少しすねていたあなた。本当に単純に私だけを好きでいてくれた
あなた。バカだな〜こっちだって恥ずかしかったんだよ。本当はうれし
かったよ。
だって、好きな人に褒められてうれしくない子なんていると思いますか?
まだまだなんだよ。よっすぃ〜はさぁ。
432
:
10年の約束 石川Ver.
:2003/10/26(日) 10:26
汽車のアナウンスが私の降りる駅の名前を告げる。大きな荷物なんて持って
ない私は片手にバックだけを持って席を立つ。
駅のホームに下りるとそこに広がるのは秋のにおい。少し肌寒い風が優しく
私の頬を撫でるようにして流れていく。
小さいこの駅だけど。それでも改札口までは階段を上らなければいけません。
最近階段なんて上ってないな〜。少々弱気になる私。よしっ、頑張るか。
階段を上ろうと足をかけたときに目に入ったのは大きな荷物をもって老人
の姿。お年よりは大切にしないといけません。
「あの〜、よろしかったら、お荷物お持ちしましょうか?」
433
:
10年の約束 石川Ver.
:2003/10/26(日) 10:26
「姫、お荷物お持ちしましょうか?」
「ちょっと、こんなところで姫なんて恥ずかしいじゃん。止めてよ〜。」
「あらら、姫はご立腹ですかぁ?それともただ単に照れちゃったりなんか
しちゃってるんですかぁ?」
「もうっ、うるさいな〜。ほらっ、荷物持ってくれるのならさっさと
持ってよぉ。まだまだ忙しいんだから。よしっ、次のお店行くよ〜♪」
「ええっ!!まだ行く気なの〜。もういいよ、疲れたしこんなに重いん
だから。さっさと帰って二人でのんび〜りすごしましょうよ、姫〜。」
434
:
10年の約束 石川Ver.
:2003/10/26(日) 10:27
「だぁ〜めです。二人とも休みなんてことそうはあることじゃないん
だから。よしっ、今日は一日中買い物するぞ〜。行くぞ召使のよっすぃ〜
君。」
「はいはい、わかりましたよ。荷物持ちにしていただけただけでも光栄で
ございますよ。」
「こらっ、もっとしゃきっとなさい。しゃきっと!!」
「へいへい、ほんと人使いの荒い姫様だなぁ。」
435
:
10年の約束 石川Ver.
:2003/10/26(日) 10:27
駅を出たところで老人と別れる。お礼にと貰ったことハッカ飴。ちょっと
すっぱいこの飴を舐めながら私はどこまでも続くこの道を一歩一歩歩く。
トンボが横切り、遠くからは鳥のさえずりが聴こえてくる。どこにでも
あるようで実はここにしかない風景。
道はアスファルトなんてまったくなく土で出来ている。
まったく時代の移り変わりなんか感じさせないこの田舎道。きっと社会の
教科書に出てくるような時代から全くかわってないんだろうな〜っと思う。
そして、それはこれから先もず〜とかわらないんだろうね。
436
:
10年の約束 石川Ver.
:2003/10/26(日) 10:28
「ねぇ、よっすぃってさあ、私のこと本当に好きなの?」
「んっ?どうしたのさ突然そんなこと言い出して?」
「べっ、べつにいいじゃない。私が突然何言い出しても。それよりも私の
質問に答えてよ。好きなの?好きなんかじゃないの?」
「好きだよ、本当に大好き。私の中で一番大切な人。」
「いつから私のこと好きなのよぉ?」
「いつから?う〜ん、いつからだろうね。一目見たときから好きになって
初めて話したときから大好きになった。かな。」
「ふう〜ん、それじゃあ、よっすぃは私のこといつまで好きでいてくるの
さぁ?」
「えっ!!いつまで好きでいてくれるぅ?何それ。そんな質問聞いたことも
ないんですけど。」
437
:
10年の約束 石川Ver.
:2003/10/26(日) 10:28
「だって、いつから好きなの?って質問があるんだからいつまで好きなのって
質問があってもおかしくないじゃない。ねぇ、答えてよ。」
「う〜ん、ずっと好きかなぁ。」
「ずっと好き?」
「うん、ずっと変わりなく大好きだと思う。出逢った瞬間からずっと。
いつまでも変わりなく。梨華ちゃんは?」
「んっ?私も嫌いじゃないよ……。ほらっ!!そんなことよりお風呂の
お湯を止めて着なさい。お湯が溢れちゃうでしょ。」
「やばい、そうだった〜。」
438
:
10年の約束 石川Ver.
:2003/10/26(日) 10:29
あの時は恥ずかしいからはぐらかしたけどさぁ。私だってもちろん大好き
だよ。出逢ったときからずっと。
そしてこれからもきっと変わることなくず〜っと大好きだよ。
439
:
10年の約束 石川Ver.
:2003/10/26(日) 10:29
さっきからずっと歩いているこの道。車どころか人一人として見かけない
そんな田舎道。
私は別に人とかと接するのが苦手ってわけではないけど・・・苦手かもしれ
ないけど、それでも一人というのは落ち着くものです。
寂しいって気持ちよりも。
そうだ、歌を歌ってみましょう。大好きな歌を。別に特別上手ってわけでは
ないけれど、それでも私は歌が大好き。
歌が大好きで、しかも歌がうまい。それに越したことはないけれどそれでも
歌がうまいけれど歌を愛せない人。そんな人よりはぜんぜんいいよ。
そう思えたのはあなたのおかげ。
『華になろう〜風になろう〜君の目に映る景色〜♪るるるるるるる〜♪
空になろう〜雲になろう〜そして君を照らす太陽〜♪』
440
:
10年の約束 石川Ver.
:2003/10/26(日) 10:29
「なんかさぁ、梨華ちゃんの歌って不思議な力があるよねぇ。絶対に。
うん、なんかあるよ絶対に。」
「不思議な力ってなによ〜?それって褒めてくれてるの?それともただ
バカにされてるの私。返答しだいでは今日のご飯抜きだからね。」
「ええっ、ええと、もちろん褒めてるに決まってるじゃんよ。うん、間違い
ないよ。」
「あら、そうなんだ。褒められたんだ私。それじゃあ記念にパスタでも作って
もらおうかしら。あっ、サラダもお忘れなくね、よろしく!!」
441
:
10年の約束 石川Ver.
:2003/10/26(日) 10:30
「へいへい、わかりましたよ、作ればいいんでしょ、つくれば。」
「素直で大変よろしい。」
「でも、本当に好きなんだよね梨華ちゃんの歌。正直特別上手とは思わないけど
聞いてて本当に伝わるよ。歌が好きなんだよって。」
「へえ、それで続きは?」
「だってさぁ、私は歌の上手下手って音程だの声量だのよりも相手に
気持ちを伝えられるかっていう方が何倍も大事だと思うんだよ。」
「それに、もし、私が歌を聞かせてもらうって時はそっちの方が何倍もうれしい
と思うからだから・・・。」
442
:
10年の約束 石川Ver.
:2003/10/26(日) 10:30
「一言だけ言わせてもうおうかしら。」
「何?何でも言っちゃってよ梨華ちゃん。」
「よっすぃ、なんか日本語へんだよ。なんかしっくりこない表現があった
んですけど。」
「なんだよなんだよ、せっかく私がキャラにもないいいこと言ってみたのに
さぁ。そうやってすぐつっこむんだもん。」
「残念でしたぁ〜。そんな下手なお世辞にひっかかる石川梨華ではないの
です。また次回挑戦してください。」
「えっ、挑戦って何さ?しかもまた今度って。お世辞なんかじゃないのに
さぁ。本当にもうっ!!」
443
:
10年の約束 石川Ver.
:2003/10/26(日) 10:31
わかってるよそんなこと。目を見ればすぐにわかる。あなたのその綺麗な
目を。大好きなそのひとみはルビーみたいに輝いていた。
あなたのその言葉もうれしかったよ。でも、あなたの表情とか私のことを
真剣に想ってくれる気持ち。それにあのひとみが言葉以上にうれしかった。
『ありがとう』
444
:
10年の約束 石川Ver.
:2003/10/26(日) 10:31
『華になろう〜風になろう〜♪』
着いたよ、着きましたよ。今回のぶらり一人旅の目的地。校舎があって
グラウンドがあって裏庭があってそこには小さな丘がある。
ここに最後に来たのはもう10年も前のこと。う〜ん、あの頃は若かった
な〜なんて考える私はもう若者じゃないのかな〜。
夕暮れの空。気づいたらもう夕暮れ時。建物から出てきた子供が校門の前に
立っていた私の横を通る。
私のことを先生をでも思ったんでしょうか?姿勢を正して私の方に向きを
直して言う。
「さようなら。」
445
:
10年の約束 石川Ver.
:2003/10/26(日) 10:31
「なんで?なんで、さようならなんてこと言うの?私がなんかあなたの気に
入らないことでもした?」
「・・・・・・・・・。」
「黙ってちゃあ分からないよ。なんか言ってよ。」
私の目から涙が零れたのを覚えている。
「・・・かちゃんはぜんぜんわるくないよ。全部私が悪いだけ。それだから
このまま何も聞かないで・・・。」
「納得できると思うの?私が悪くない?私は悪くないけど何も言わないで
このまま別れろ?そんなことできると思うの?」
446
:
10年の約束 石川Ver.
:2003/10/26(日) 10:32
「・・・・・・・・・。」
「無理だよ、だって好きだもん。大好きだから。絶対に離れたくないから。
だからお願い教えて。私のこと嫌いになったの?」
そのとき私は今まで生きてきたなかで一番苦痛だった。目の前にいる大切な
人が私の前から去ってしまうかもしれなかったから。
そして、そのとき私は初めてあなたが泣いているのを見た。私の記憶の中で
あなたが泣いていたのはそのときだけ。だってあなたは強い人だったから。
どんなに苦しくても私に心配させまいと決して私の前で涙を見せなかった。
そんなあなた。
いつからか私は勘違いしていたのかもしれない。あなただって私と同じ人
だった。弱い、そして一人では生きて行けない人だった。
あなたのその涙を見て私は思った。苦しんでいる。本当に苦しんでいるんだ。
私が悲しい以上にあなたが苦しんでいる。
447
:
10年の約束 石川Ver.
:2003/10/26(日) 10:32
そう思った瞬間から私は何も言えなかった。言えるわけもなかった。だって
私が口を開けばその言葉がさらにあなたを苦しめることになるのだから。
『ごめんなさい。』
私の中から出てきたのはこの言葉だけ。
「すべては君のため。私が考えるのは常に君のことだけ。それ以上でもないし
それ以下でも決してない。もし、もしも、10年経って君の気持ちが変わって
いなかったら。私は待っている。この場所で。」
448
:
10年の約束 石川Ver.
:2003/10/26(日) 10:33
そう言って私の前からあなたがいなくなってもう10年になる。私は大人に
なった。今はなぜあなたがそんなことを言ったのかが分かるような気がする。
『きっと、私のために。と、私想いのあなたは思ったんでしょう?』
気が付けば私は学校の裏の小さな丘の上の木の下に来ていた。10年の約束を
携えて。夕暮れ空。やさし秋の風。そして・・・そしてあの人がそこには居た。
『ただいま、ずっと、会いたかったよ。』
449
:
silence
:2003/10/26(日) 10:35
甘ってほんと苦手なんですよ。これが精一杯でした。一応テーマは約束って
ことで書いたんです。最初はもっと違った感じの作品だったんですけど。
作品は生きている。だから最初描いていたものとは違うものになる(w
に、しても長いですね。いいかげんスレ立てさせてもらおうか・・・。
でも、飼育もあるしなぁ。
450
:
名無し(0´〜`0)
:2003/10/26(日) 17:47
こういうの大好きです。
これからも楽しみにしてます。
頑張ってくださいね!
451
:
『いしよし』って何ですか?
:2003/10/28(火) 23:57
これは5期メンバーが入って間もない頃の紺野あさ美の話である。
452
:
『いしよし』って何ですか?
:2003/10/28(火) 23:58
今日はハローモーニングの収録日。
そして、ここはその楽屋。
「あの〜、矢口さん、ちょっといいですか?」
「ん?」
矢口さんは、ウォークマンで音楽を聞きながら雑誌を読んでます。
私はそんな矢口さんの肩を叩いて呼びかけました。
邪魔だったかな・・・
でも、聞きたいことがあるんですよね。
どうしても気になることが。
453
:
『いしよし』って何ですか?
:2003/10/28(火) 23:58
「どうしたの?」
イヤホンを外してこっちを振り返る矢口さん。
「え〜っと、一つ尋ねたいことがあるんですけど、いいですか?」
「いいよ。何?」
「あの〜、いしよしって言葉を矢口さんは知ってますか?」
「はぁ?」
454
:
『いしよし』って何ですか?
:2003/10/28(火) 23:59
いしよし
まだモーニング娘。に入って間もない私は、少しでもモーニング娘。のことを
知ろうと思って、インターネットであれやこれや調べてたんです。
インターネットは昔から少しはやってましたよ。
でも、モーニング娘。のことはあんまり調べたりしたことはなかったんです。
で、調べていたら、最近、やたら見かける言葉が『いしよし』って言葉なんですよね。
なんかファンの人達が「いしよしはガチだ!」とか「いしよしマンセー」とか
「いしよしキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!」とか書き込んでるんですよ。
明らかに何かありそうな匂いがするじゃないですか。
でも、同じ5期の3人に聞いても知らなかったんですよね。
そこで、ここはモーニング娘。の裏事情まで知ってそうな矢口さんに
聞いてみたってワケなんですが・・・
455
:
『いしよし』って何ですか?
:2003/10/28(火) 23:59
「紺野さぁ、どこでその言葉を知ったのさ?」
「インターネットでモーニング娘。のこと調べていたら、
何度か見かけた言葉だったんで・・・」
「ヲタたちか・・・」
「えっ?」
「あ、いやいや、何でもない、何でもない。ん〜、いしよしかぁ・・・」
「矢口さんは知ってますか?」
「知ってるも何もねぇ・・・」
そう答える矢口さんは間違えなく『いしよし』って言葉について何か知ってる様子。
456
:
『いしよし』って何ですか?
:2003/10/28(火) 23:59
「紺野、知りたい?」
「ハイ!是非!」
「驚かない?」
「ハイ。」
そう答えては見たけど、驚くって・・・
もしかして、何かヤバイことなんでしょうか。
「いしよしってのはね・・・」
矢口さんが答えてくれようとした時、
457
:
『いしよし』って何ですか?
:2003/10/29(水) 00:00
「おっはよ〜」
その甲高いアニメ声は石川さん。
「おっス」
遅れて挨拶したのは吉澤さん。
二人揃って楽屋に入って来ました。
「あれのことだよ」
「へ?」
矢口さん、今、何て言いました?
あれのこと?あれって・・・石川さんと吉澤さん?
「わかんない?」
「・・・はい・・・・・」
いきなりあれって言われても、わかるはずないじゃないですか。
石川さんと吉澤さん=いしよし
矢口さん、やっぱりそれだけじゃ意味不明なんですよ。
458
:
『いしよし』って何ですか?
:2003/10/29(水) 00:00
「はぁ・・・わかんないかぁ。なら、紺野は今日、時間ある?」
「ありますけど?」
「なら、夜、ちょっとオイラん家においでよ」
「矢口さんの家ですか?そこでいしよしについて教えていただけるんですね?」
「そうだね。まぁ、一見は百聞になんちゃらとかってことわざもあるし」
一体、矢口さんは何を見せるつもりなんだろう。
いしよしってそんなに凄いものなのかな。
459
:
『いしよし』って何ですか?
:2003/10/29(水) 00:01
結局、いしよしについてわかったことと言えば石川さんと吉澤さんが
いしよしと何か関係あるってことぐらい。
いしよしについては今夜の矢口さんの家までお預けってことになりました。
460
:
名無し(0´〜`0)
:2003/10/29(水) 00:03
こんな小説を載せてしまう自分は一体何なのかと小一時間・・・
みなさん、許してください。
461
:
いしよしキタ━━━(゚∀゚)━━━ !!
:2003/10/29(水) 02:17
これはある夜の矢口真里宅での話である。
462
:
いしよしキタ━━━(゚∀゚)━━━
:2003/10/29(水) 02:17
初めて来た矢口さん家。
やっぱり緊張しますね・・・
「もう、そんな緊張しないでもっと寛いでいいからさぁ」
「はい・・・・・・」
「えっとさ、飲み物はお茶とかでいいかな?」
「あ、はい・・・」
そう言ってキッチンの方へと消えていった矢口さん。
わざわざそんな気遣っていただかなくてもいいんですけど・・・
何か余計に緊張しちゃいます。
463
:
いしよしキタ━━━(゚∀゚)━━━
:2003/10/29(水) 02:18
矢口さんがいない間、部屋を眺めてみたんですけど、
いかにも矢口さんらしくてちょっとおしゃれな感じで
普通のオンナの娘の部屋ですね。
でも、ちょっと怪しいところが。
何故かビデオが多いんですけど・・・
こんなにもたくさん何を録ってるんでしょうかね。
そう言えば、以前に自分が出てる番組はチェックしてるって
言ってたけど、それとかなのかな。
464
:
いしよしキタ━━(゚∀゚)━━!!
:2003/10/29(水) 02:18
「はい、お待たせ」
「あ、すみません・・・」
キッチンから戻ってきた矢口さんの手にはコップが二つ。
その内の一つを私に渡してくれました。
緊張でノドが乾いてたので頂いたお茶を一口。
ふぅ〜・・・
ちょっと落ち着きました。
さて、本題、本題。
「あの〜、朝の続きなんですけど・・・」
「あぁ〜、いしよしのことだったよね。ちょっと待って」
そう言うと、矢口さんはさっき私が眺めてていたビデオテープから
一本取り出して、それをビデオデッキに。
465
:
いしよしキタ━━(゚∀゚)━━!!
:2003/10/29(水) 02:19
「ビデオといしよしが何か関係あるんですか?」
「まあまあ、とにかく見てから説明するからさ。
一見は百聞になんちゃら。そんな慌てないでよ」
「あの〜、朝から気になったんですけど、百聞は一見にしかずじゃ・・・」
そんな私のツッコミに苦笑いしながら準備を続ける矢口さん。
「よし、準備完了。まぁ、見てもよくわかんないと思うから
見終わったらちゃんと説明するよ」
結局、見てもわかんないんですか。
それにしても、今から何が始まるんだろう。
さっきとは違う緊張感。
ピッ!
矢口さんがリモコンで再生をして映し出されたもの。
それは・・・
466
:
いしよしキタ━━(゚∀゚)━━!!
:2003/10/29(水) 02:19
「石川梨華です」
「吉澤ひとみです」
私が入る前、それも大分前のもの。
テレビの画面に映し出された石川さんと吉澤さんも今とは
かなり違うみたい。
そして、映し出された番組のタイトルは
『モーニング娘。のへそ』
こんな番組があったんですか。
ちょっと知らなかったですね。
そんなことを暢気に考えていた次の瞬間、
467
:
いしよしキタ━━(゚∀゚)━━!!
:2003/10/29(水) 02:20
「カップルに見えます?」
二人で腕を組む姿。石川さんの言葉。
キタ━━━━━━━━━━━━川o・∀・)━━━━━━━━━━━━ !!
覚醒。
画面に映し出されている二人を見ているとその・・・
何と言うんですか・・・
萌えるんですよ・・・
468
:
いしよしキタ━━(゚∀゚)━━!!
:2003/10/29(水) 02:20
「お〜い、紺野〜」
矢口さんの言葉で正気に戻った私。
「矢口さん!凄いですよ!いしよし凄いですよ!!」
「は?ちょっと落ち着いて!いしよしはわかったの?」
「ハイ!完璧です!いしよし完璧です!」
「そっかそっか、わかったのね。よしよし。
ってさ、もしかしてさ、紺野もいしよしに目覚めちゃった?」
「ハイ!いしよし最高です!いしよしマンセーです!」
理由なんてわかりません。
でも、さっきの二人のシーン。
萌えるんですよ、矢口さん!
「そっかぁ。紺野もいしよしに目覚めちゃったか・・・」
「も?」
今、矢口さんは紺野もって言いましたよね?
他に誰かいるとか?
469
:
いしよしキタ━━(゚∀゚)━━!!
:2003/10/29(水) 02:21
「実はさぁ、オイラもいしよし好きなんだよねぇ」
「えぇぇぇぇぇぇぇ!?」
いきなりの矢口さんからの暴露。
「そんな驚かなくてもいいじゃん・・・
いやさ〜、何かいしよしっていいんだよねぇ・・・」
しみじみと語る矢口さんの姿・・・完璧です。
この人に付いていけば、もっといしよしの美学を知ることが出来る筈。
「矢口さん、お願いがあります。私にもっといしよしを教えてください!」
「あははは、わかった。なら・・・今夜は紺野が入る前のいしよしを
たっぷり語ってあげるよ」
「ホントですか?よろしくお願いします!」
470
:
いしよしキタ━━(゚∀゚)━━!!
:2003/10/29(水) 02:21
その晩、矢口真里の家の電気が消えることはなかった。
そして、絶えず聞こえてきた言葉。
「「いしよしマンセー!!」」
471
:
いしよしキタ━━(゚∀゚)━━!!
:2003/10/29(水) 02:23
終わり
472
:
名無し(0´〜`0)
:2003/10/29(水) 02:24
結局、自分は何が書きたかったんだろう・・・
ホント、お許し下さい。
473
:
sai
:2003/10/29(水) 13:10
すごい短編だ。強烈ですねいろんな意味で(w
でも、かな〜り楽しませてもらいました
474
:
名無し(0´〜`0)
:2003/10/30(木) 16:10
いしよしマンセー!!
いしよしキタ━━━━ヽ('∀`)ノ━━━━!!!!
最高です!!めちゃめちゃ笑わしてもらいました。
やっぱり
いしよしマンセーーーーーーーーーーーーー!!!w
475
:
名無し(0´〜`0)
:2003/11/04(火) 22:33
>>473
sai様
レスありがとうございます。
たしかに強烈だと思います(w
今回は書いてる本人が楽しめたのでそれだけで満足です(w
>>474
名無し(0´〜`0)様
レスありがとうございます。
いしよしマンセー!!ですね。
でも、書いてる自分は紺野さんが好きだったり(w
476
:
名無し(0´〜`0)
:2003/11/13(木) 21:21
新作でも書いてくれないかな?
477
:
いしよしとフットサル
:2003/11/30(日) 23:29
これは11月22日東京ドームで開催されたハロープロジェクトスポーツフェスティバルでの
紺野あさ美の話である。
478
:
いしよしとフットサル
:2003/11/30(日) 23:30
今回のスポーツフェスティバル。
私は凄く楽しみにしてます。
もちろん、自分が頑張って活躍することもそうなんですけど、
一番の楽しみは違うんです。
何かって?そんなの決まってるじゃないですか。
い し よ し ですよ。
そして、いしよしの中で私が一番期待してること。
フットサルでのいしよしですよ。
479
:
いしよしとフットサル
:2003/11/30(日) 23:30
大阪ドームでのフットサルは悲惨でしたよ。
私は、ゴールキーパーとして先発出場したんですけど、
終始相手のチームにシュートを打たれ続ける試合展開。
私も必死で何本か止めたんですけどね。
惨敗でした・・・
負けたこと。1点も取れなかったこと。
確かに悔しかったですよ。
でも、私にとってはいしよしのお二人が揃ってプレーする時間が短かったこと。
これが一番悔しかったんですよ。
480
:
いしよしとフットサル
:2003/11/30(日) 23:31
そして、今回の東京での試合。
私は、前回とは違ってベンチからのスタート。
たしかに、試合に出たい気持ちはあるんですけど。
別にいいんですよ。ううん、むしろ、嬉しいです。
だって・・・だって・・・
いしよしのお二人が揃ってスタメンだから!!
ベンチから二人のコンビが見られるなんて・・・
私はこれを待ってたんです!
481
:
いしよしとフットサル
:2003/11/30(日) 23:31
試合が始まる前。
いやいや、ミーティングよりも前のこと。
私は一人北澤監督のもとへと向かいました。
「監督、あの・・・ちょっとお話があるんですけど・・・」
「ん?どうした?」
前回の惨敗もあり、試合前の控え室はどこか張り詰めた空気。
もちろん、北澤監督の表情も険しいです。
「実は今日のスタメンのことなんですけど・・・石川さんと吉澤さんの二人を
揃って出していただけないでしょうか?」
「は?」
私のいきなりの提案・・・と言うかお願いに困惑した様子の監督。
「いや、いきなりそんなこと言われても・・・」
「監督は見たくないんですか?二人の共存を。たとえトッティとデルピエロの
共存が難しくても、この二人の共存なら完璧です」
「何でそんなサッカー詳し・・・」
「つべこべ言わないでください!とにかく、二人をスタメンで使ってください!」
「は、はい・・・」
私の強い口調に押された監督は私の考えに応えてくれました。
482
:
いしよしとフットサル
:2003/11/30(日) 23:32
ピッチの上で試合開始を待つメンバーのみなさん。そして、いしよし。
まぁ、こんな経緯があって二人揃ってピッチに立ってるワケなんですけど。
監督、見ててください。お二人のプレーを。必ずやいしよしはやってくれますから。
483
:
いしよしとフットサル
:2003/11/30(日) 23:32
そして、東京ドームの・・・いえ、全国のいしよしファンの期待が膨らむ中で
審判のホイッスルと共にキックオフ。
きっとこの試合は勝てる筈。いしよしのお二人がやってくれる筈。
私には見えるんです。
二人の華麗なプレーが。
会場が二人のプレーに歓声を上げる光景が。
484
:
いしよしとフットサル
:2003/11/30(日) 23:32
そんな私の思いとは違って、この試合も苦しい展開。
そして、いきなりの失点・・・
でも、ピッチの上のメンバーの目はまだまだといった感じ。
大丈夫、大丈夫。ここからですよ。
それでも、相手チームの攻撃はその後も止むことはなく、ついに2点目・・・
さすがにこの展開にはピッチの上のメンバー、そしてベンチの私たちにも
重く圧し掛かり始めました。
私の判断は間違ってたんだろうか?
いしよしの共存は不可能なんだろうか?
そんなネガティブな考えばかりし始めた矢先のこと。
ついに・・・ついに・・・
485
:
いしよしとフットサル
:2003/11/30(日) 23:33
ハロプロチームのキックオフ。
吉澤さんがボールをキープ。
華麗なドリブルで一人交わしました。
そこに素早く詰める相手チームの選手。
ボールを取られると誰もが思った時でした。
吉澤さんが左サイドにスルーパス。
誰もいないと思っていたそこには石川さんがフリーの状態。
そして、右足で左45度から放たれたシュート。
ボールはキーパーも反応出来ずにゴールネットに。
ついに・・・ついに・・・
ゴ━━━━━━(0^〜^) ^▽^)━━━━━━ ル!!!!
初ゴールに沸く東京ドーム。
そして、肩を組んで喜び合う二人の姿。
いしよしキタ━━━━━━川o・-・)━━━━━━ !!
486
:
いしよしとフットサル
:2003/11/30(日) 23:33
監督!見ましたか!
これがいしよしの凄さなんですよ!
これは石川さんのゴールじゃありませんよ。
い し よ し のゴールなんです!
あの華麗なシュート。
名付けて・・・
いしよシュート!!!!
最高です・・・完璧です・・・
嬉し過ぎて言葉が・・・言葉が・・・
487
:
いしよしとフットサル
:2003/11/30(日) 23:34
その後の記憶なんてほとんどありません。
たしか二点目を誰かが取って・・・私も試合に出て・・・
結局、試合は2−9で負けました。
でも、いいんですよ。
2点取れたんですから。ううん。いしよしコンビでゴールが決まったから。
私、紺野あさ美、ホントに幸せです・・・
488
:
いしよしとフットサル
:2003/11/30(日) 23:34
翌日、スポーツ新聞各紙がいしよしを一面に大きく載せた。
あさ美がコンビニで全紙買い揃えたことは言うまでもない。
489
:
名無し(0´〜`0)
:2003/11/30(日) 23:36
ageてしまった・・・
またしてもナメた駄文でごめんなさい・・・
490
:
名無し(0´〜`0)
:2003/12/01(月) 01:31
最高。そっか紺ちゃんのおかげだったんだね。
491
:
とくちゃん
:2003/12/01(月) 13:07
前作の『いしよし』って何ですか?から続き読みさせていただきました。
すんげー好きです。
キタ━━━━━━━━━━━━川o・∀・)━━━━━━━━━━━━ !!
えぇ、私もです(w
紺野さん最高。
作者さん最高。
そして続編きぼん(ボソッ
ごちそうさまでした(ぺこり)
492
:
名無し(0´〜`0)
:2003/12/01(月) 15:09
そうですか、こんな舞台裏があったのですか、そうですか・・
>いしよシュート!!!!
これにヤラレました(w
あややの「悔シュート」が吹っ飛んでしまいましたよほ。
あのふたりには日本国民が萌えたことでしょう、ええきっと!
493
:
名無し(0´〜`0)
:2003/12/13(土) 22:03
>>490
名無し(0´〜`0)様
レスありがとうございます。
ええ、紺野さんのおかげだったんです(w
この紺野さんは一体どこへ向かうのでしょう・・・
>>491
とくちゃんさん
レスありがとうございます。
続編ですか。最高の褒め言葉です。
作者は調子にノリ易いので続編書くでしょうね(w
>>492
名無し(0´〜`0)様
レスありがとうございます。
日本国民は皆萌えたでしょうね(w
悔シュートをパクッてる作者。そんなんでいいのか、自分・・・
494
:
アサヒヲミニイコウヨ
:2003/12/17(水) 08:33
『アサヒヲミニイコウヨ』
眠れない夜。なんとなく君のことを考えていた夜。胸が高鳴って
だから眠れないんだよ。苦笑いしつつもどこかうれしい気持ち。
そんな夜は手を握れば君の温もりが目を閉じれば君の姿が。笑って
いる君の姿が。ほら、ますます眠れなくなってきたよ。
ベットから抜け出す。時計の音だけが聞こえるリビングの部屋。
孤独感の中にどこか心地よい感情が入り込む
ベランダに出てみる。光なんてもうどこにも灯ってなくて、その
代わり大きな月が見える。綺麗な星が祝福してくれる。
495
:
アサヒヲミニイコウヨ
:2003/12/17(水) 08:33
夜空の星に願いを。私はそういうのを信じるほうじゃないけど。
だけどもし叶えてもらえるのなら、どうか君に会いたい。今すぐ
君に会わせてほしい。
バカだよね。星にそんな力があるわけないのにね。でもね、たまには
そういうことを信じてみるのもいいのかなって思う。信じてみたく
なることがある。
携帯を開いてみる。そっとメモリーを開く。ボタンを何回か押すと
現れた君の名前。祈るように見つめるその文字。
496
:
アサヒヲミニイコウヨ
:2003/12/17(水) 08:34
私はメールを打ってみることにした。電話をいきなりするのも悪い。
でも、会いたい。だからメールを打ってみることにした。
『アサヒヲミニイコウヨ』
送信ボタンを押し携帯をポケットにしまう。そしてまた夜空を見上げ
星に祈る。断られてもいい。だけど返事がほしいんだ。お願いします。
497
:
アサヒヲミニイコウヨ
:2003/12/17(水) 08:34
ポケットの中で震える携帯。星に祈った願いはあっという間に叶って
しまったのでした。
メールと思っていたけど以外にも電話。メールだと思っていたから
ちょっと電話に出るには勇気が足りない。深呼吸をしてゆっくりと
電話を開いて通話のボタンを押す。
「もしもし…うん、ごめんね、梨華ちゃん。なんか、眠れなくて。
それで起きてるかなって思ってメールをしたんだ。」
嘘をついた。なんとなくだけど君が起きてるわけないって分かってた。
でも、寂しかったから。君に私を思っていてほしかったから。
498
:
アサヒヲミニイコウヨ
:2003/12/17(水) 08:35
「うん、ちょうど私も眠れなかったところ。こっちもメールしようと
思っていたの。ちょうどメールが着てそれで電話してみたんだ。」
きっと君は目をこすりながら私のために嘘を付いてくれてるんだと
思った。思っただけじゃない、実際そうなのだろうという確信もあった。
でも、そのことは気づかないふりをした。
君の優しさに甘えてみたくなったから
「会いにいっていい?」
私は君のしゃべった後にできた数秒間の空白の後を埋めるようにそう
言った。私はいつもずるい。君が優しいことを知っていてそれを知ら
ないように振舞う。それでいて君がなんていうのかもわかる。
499
:
アサヒヲミニイコウヨ
:2003/12/17(水) 08:35
君はこういうに違いない。「うん、いいよ。ちょうど私もそう思って
いたところだから。」
「うん、いいよ。ちょうどさ、私もそう思っていたの。」
「それじゃあ、30分後に車で迎えに行くよ。それでいいかな?」
「うん、それじゃあ30分後に私の家の前で。」
500
:
アサヒヲミニイコウヨ
:2003/12/17(水) 08:35
時間は3時30分。ちょっと肌寒い風が私と君の間を通り抜けていく。
私はそんな風が嫌で君を私の方に寄せる。君はうれしそうに私の腕を
掴んで離さない。
「ねえ、知ってる?星に願い事を言うと願い事が叶うんだよ。だから
梨華ちゃんもなんか願い事してみたら?」
「でも、願い事を叶えてくれるのって普通の星じゃなくて流れ星って
いうよ、普通は。」
「うううん、私は普通の星に願いを言ってその願い事叶えてもらった
よ。きっとさぁ、こんだけ星があるんだからその中に流れてる星が
あるんだよ。」
501
:
アサヒヲミニイコウヨ
:2003/12/17(水) 08:36
すると君は小さく笑ってから私を見た。その顔はすごく綺麗だった。
願いを叶えてもらった星に対してこんなことをいうのもどうかと思う
んだけど、星なんかよりも全然綺麗な君の笑顔だった。
「願い事ってどんなことを頼んだのさ?」
私はそんなの決まってるんじゃん。っていう風な顔をして一度大きく
うなずいた後
「会いたいって。頼んだの。梨華ちゃんに会わせてくださいって頼んだ
んだ。見事に叶ったよね。」
502
:
アサヒヲミニイコウヨ
:2003/12/17(水) 08:36
「なるほど。確かに叶っちゃったね。しかもその場で願い事が叶うなん
て。星の願い事叶える力ってすごいんだね。」
私はうん、っとうなずいた。その後、二人で笑った。
君は私の顔を一度みた後で上を見上げた。きっと星に願い事をしてるん
だと思った。目を閉じている君。
「どんなお願いごとをしてるの?」
私がそう尋ねると君は目を閉じたまま私の方に向き直った。う〜ん、
そういうことか。私も目を閉じてそっと君に顔近づけた。
503
:
アサヒヲミニイコウヨ
:2003/12/17(水) 08:37
ねえ梨華ちゃん、何年か前にさぁ、この場所で梨華ちゃん私に言った
じゃん。覚えてる?
ええと、私ってなんて言ったの?
梨華ちゃんは私に言ったのさ。「見えますか?」って。私さぁ、ずっと
なんのことか分からなかったんだよ。でも、最近になってっていうか今
その意味が分かったような気がするんだ。
へ〜え、バカなよっちゃんでもわかったんだぁ〜。私そんなに簡単な
意味でその言葉言ったんじゃなかったんだけどな〜。
504
:
アサヒヲミニイコウヨ
:2003/12/17(水) 08:37
バカっていうなよぉ〜。あのときも今日みたいにさ、いや、たしかあの
時は梨華ちゃんと私の立場逆だったかもしれない。
うん、あの時は私がよっちゃんを呼び出したんだよね。覚えてるよ。
なんか寂しくて、寂しくてしょうがなくなってさ。それで迷惑だって
承知でメールしたんだ。
そしたら私が電話したんだよね。あっ、そうか。だから私分かったんだ。
電話した時の梨華ちゃんの気持ち。
うん、人間ってさぁ。誰でも一人で生きれないって思うんだよ。寂しく
なる時って絶対ある。だからそんなときに気遣ってあげられる関係。
寂しさを共有してあげられる関係。そんな関係がほしかった。
505
:
アサヒヲミニイコウヨ
:2003/12/17(水) 08:38
寂しいって気持ちをさ、楽しいって気持ちに変えられる人。私は梨華
ちゃんにとってそんな人になりたいって思ってた。でも、それはちょい
違ったんだ。
うん?よっちゃんは私のヒーローになってくれるんじゃなかったの?
そのつもりだった。でも、違った。ヒーローだって寂しいって思うとき
がある。だから梨華ちゃんにとって私がヒーローであるのと同じで私に
とっても梨華ちゃんがヒーローであってほしかったんだよ。
うん。
きっとね、その関係が相思相愛ってやつなんだな〜って思ったんだ。
だからそう思ったとき梨華ちゃんの言った言葉の意味がなんとなく。
なんとなくだけど分かった。
506
:
アサヒヲミニイコウヨ
:2003/12/17(水) 08:38
多分当たってるよ。あのときの私の気持ちと今のよっちゃんの気持ちが
似てるから。私は私ばっかりが頼るんじゃなくてよっちゃんにも頼って
ほしかったんだ。でないと、よっちゃん一人が押しつぶされていく
ような気がしたから。
だから梨華ちゃんに約束してほしいんだ。
約束?
『いつまでも一緒にいようね。いつまでも!!』
アサヒ背にした君。眩しくてさ。でも、見たよ。君はしっかりうなずいて
くれた。私の言葉に対して。君の目は光っていた。涙だったのか太陽に
光だったのか。
507
:
アサヒヲミニイコウヨ
:2003/12/17(水) 08:39
あのときの梨華ちゃんが私に言った言葉の意味。「見えますか?」
それはきっとこういう意味。
『あなたとわたしの未来があなたには見えますか?』
オワリです。
508
:
Silence
:2003/12/17(水) 08:40
小説ってよりは詩を書くみたいなイメージで書いた短編でした。
テーマは親友でありそして愛する人みたいな感じです。書いていて思った
ことは人には心の友(某ジャイアン氏の名言より)が必要なんだと(ry
わざわざ時間割いて読んでいただいてありがとうございました。
509
:
名無し(0´〜`0)
:2003/12/17(水) 19:57
(・∀・)イイ!(・∀・)イイ!
最高ですた。
「心の友よー」ですね(w
510
:
雪の中で何を見た?
:2003/12/17(水) 22:57
わたしのふるさと
4年2組 紺野あさ美
わたしの住んでいる北海道は、さらさらの粉雪がふります。
冬はとても寒いです。
たくさん雪がふったら、たくさん雪おろしをしなければなりません。
わたしの家はマンションだから、そんなに大変ではないですが、
友達のさゆりちゃんのおうちは一戸だてだからいつも大変そうです。
東京の親せきのお姉ちゃんが、こっちはいつもクリスマスに雪がふらないと
いっています。
あさ美はいつもホワイトクリスマスだからいいよね、って。
わたしはちょっとだけ、北海道に生まれてよかったなあ、って思いました。
…クローゼットを整理してたら、昔の作文が出てきた。
今とは違う、子供らしい字でマス目を埋めてある。
ここで出てきた『東京のお姉ちゃん』は、今はアメリカにいる。
高校を出て留学したのだが、アメリカ北部の北海道なんかよりもっと寒いところにいる。
『おかげでここんとこ毎年ホワイトクリスマスだよ』
この前実家に届いたハガキに、そう書いてあったらしい。
511
:
雪の中で何を見た?
:2003/12/17(水) 22:58
「東京の雪はショボイよね」
ある日、楽屋で藤本さんがつまらなさそうに言った。
「そう?」
ファッション雑誌を読んでいた石川さんがそう返す。
藤本さんは、藤本さんいわく北海道の『真ん中』出身だ。
滝川から単身上京したそうだ。
「なんか降っても、水びたしってカンジ」
あー、それなんかわかる。
去年の今頃、東京に珍しく大雪が降ったけど、わたし、ガッカリしたもん。
すっごい水っぽい雪だったから。
こんなんじゃ、雪だるまも作れないよ。
仕方ないよ、元々雪の降らないとこなんだから。
まこっちゃんが、そう言ってなぐさめてくれた。
512
:
雪の中で何を見た?
:2003/12/17(水) 23:00
「クール宅急便で実家の雪を詰めて送ってもらうとか」
いたく現実的なアイディアを出したのは、吉澤さんだった。
吉澤さんは、たまに賢い。
石川さんは
「よっすぃ〜!アッタマいい〜!」
と素直に感動してた。
褒められた吉澤さんはとても誇らしげだ。
「つーか、オフほしいよ。1日くらい帰りたいし?」
それは藤本さんに限らず、みんな共通の願いだ。
特に、わたしたち北海道とか遠方から出てきてるメンバーは、オフが1日できても
そうそう簡単には帰れない。
「自分ら飛行機乗ればしまいやん?うちなんて奈良やで奈良!かえって時間かかんでー」
いつだったか、加護さんがそう言ってた。
加護さん家は奈良でもかなり中心地からはずれたところにあるらしく、帰るのも一苦労らしい。
513
:
雪の中で何を見た?
:2003/12/17(水) 23:01
忙しい毎日。
ファンのみんなの声援。
めまぐるしく日々は過ぎてゆく。
芸能界に入ってなかったら、きっと一生知らないことばかりだったろう。
514
:
雪の中で何を見た?
:2003/12/17(水) 23:02
「よいしょ、よいしょ」
楽屋の外から、聞き覚えのある声がした。
「オーイ!開けてー!」
「重いっしょ!」
飯田さんと安倍さんだ。
何か大荷物でも持っているのだろうか。
すぐそばにいた辻さんが開けると、大きな発泡スチロールの箱を持ったふたりが入ってきた。
床に『それっ』と箱を置く。
「なになに?食べ物?」
辻さんはもう目を輝かせている。
食べ物って決めてかかってるし。
「ん〜、ある意味正解かね、カオリ」
「そうだね」
飯田さんたちは顔を見合わせて笑った。
「雪をね、送ってもらったっしょ。カオリのお母さんに頼んで」
「え、マジで!?」
藤本さんはじめ、わたしたちは普通以上に驚いた。
だって、宅配スノーの話をしてて本当にそうなるとは。
「たくさん送ってもらったから、せっかくだしカキ氷もしようってね。
ちょっと早いけど、カオのなっちからのクリスマスプレゼント」
「マジっすか!?」
お豆(最近はガキさんっていうのが通り名なのだろうか、やっぱり)が眉を全開にして喜んだ。
515
:
雪の中で何を見た?
:2003/12/17(水) 23:05
「ひゃっこいの〜」
愛ちゃんは口の中の氷いちごに相好を崩す。
北海道産の氷いちごだ。
しかも、産地は飯田さん宅。
「つーか、オイラ出勤途中だったのに『メロンの蜜買って来い』ってどうよ?」
仕事で遅れてやってきた矢口さんが口をとがらせた。
この時期あんまり普通にコンビニとかにはないので、わざわざ都心の
大きなスーパーまで行ってくれたとか。
「まあまあ、どうぞ。矢口さんも」
まこっちゃんが差し出した氷メロンを、矢口さんは『オー本格的ィ』とスプーンで
かきまぜた。
「カキ氷食べたらかわいくなるかな?」
いやシゲさん、それは違うでしょ。
「絵里のほうがかわいいもん」
「さゆのほうがかわいい」
「……あんたら、あほっちゃ」
田中ちゃん、ナイスツッコミ。
「んあ。ね〜、カキ氷あるって〜?」
「北海道から送ってもらったって?」
後藤さんと保田さんが連れ立ってやって来る。
ちょっとした同窓会のようだ。
ふたりとも『つめたいつめたい』と言って喜んで食べてくれた。
516
:
雪の中で何を見た?
:2003/12/17(水) 23:07
今年一番の冷え込みだとかで、やがて雪がふってきた。
みんな窓を開けて歓声を上げる。
『東京の雪はショボイ』発言をした藤本さんも子供のよう表情で。
北海道にいるときは、こんなに雪をめずらしがることはなかった。
だって、あってあたりまえのものだったし。
東京へ出て、初めてわかった。
失って、はじめてわかるものがいかに多いか。
ふと隣を見ると、飯田さんと安倍さんが黙って雪を見ていた。
わたしは少しはなれて、ふたりをじっと見る。
飯田さんも安倍さんも今のわたしの年に、一大決心をして東京へ出てきた。
そして、モーニングを一から作ってくれた。
来年の初め、安倍さんがいなくなる。
それはもう止めようのない事実で。
時間は確実に流れている。
ふたりは、微笑み合って静かに降る雪を見つめた。
そのなかには、何が見えたのだろう。
そして、わたしにもいつか見えるものなのだろうか。
わたしはただ、夜に溶けてゆく雪を見つめることしかできなかった。
〜fin
517
:
ごまべーぐる
:2003/12/17(水) 23:11
おわりです。
めずらしくリアルもので。
紺野一人称も初めてかも。
518
:
名無し(0´〜`0)
:2003/12/20(土) 10:15
こんこんいいですね。
久しぶりにこういうほんわかした作品に出会いました。
また書いてくださいね
519
:
名無し(0´〜`0)
:2003/12/22(月) 02:48
紺ちゃんの一人称もいいですね。
ほんわか最高です。
素敵な作品をありがとうございます。
520
:
亀井絵里の秘密
:2003/12/22(月) 02:52
これはわりと最近の紺野あさみと亀井絵里の話である。
521
:
亀井絵里の秘密
:2003/12/22(月) 02:53
ここは某テレビ局の楽屋。
周りにはメンバーのみんながおしゃべりとかしてて。
因みに矢口さんは一人ウォークマンを聞いてます。
あれは、この前のラジオドラマでしょうね。
さすがはいしよしヲタの鏡の矢口さん。私なんてまだまだですね。
で、そんな楽屋の中で一人、空気がおかしな人がいるんです。
その人が気になるんです。
もの凄く気になるんです。
最近、やけに溜息を吐く一人の人物が。
楽屋でも。収録中でも。コンサートの最中でも。
彼女はここんとこ溜息ばかり吐くんです。
その人物とは亀井ちゃん。
522
:
亀井絵里の秘密
:2003/12/22(月) 02:54
「はぁ・・・」
ほらほら、またまた亀井ちゃんの溜息。
これで本日56回目のため息ですよ。
ホントにどうしちゃんたんだろう・・・
何か心配ですよね・・・
ここは先輩としてちゃんとしなきゃ。
523
:
亀井絵里の秘密
:2003/12/22(月) 02:54
「亀井ちゃん?」
「あ、はい。何ですか?」
満面の笑みで返事をする亀井ちゃん。
さすがはアイドル。どんな時でもすぐに笑顔に切り替われるんですもん。
あっ、一応、私もアイドルですよね。
え?いしよしヲタ?たしかにそうですけど・・・
って、今は私のことなんていいんですよ。
「あのさ、何か最近、溜息が多いんだけど、悩み事でもあるの?」
「あ、いや・・・」
「そりゃ、私なんて頼りない先輩かもしれないけどさ。
でも、悩み事の相談ぐらい聞いてあげられるんだよ?」
このセリフ、自分でも驚くぐらいに完璧です。
ここまで言えたらさすがに亀井ちゃんも頼って・・・
524
:
亀井絵里の秘密
:2003/12/22(月) 02:55
「あ、いいです。何でもないですから・・・」
ガ━━━━━━━━━━━━━━川o゚Д゚)━━━━━━━━━━━━━━ン!
やっぱり、私じゃ頼りないんですか・・・
そうですか、そうですか・・・
「そ、そっか。な、なら、いいんだけどさ・・・」
何も出来ない私。仕方なく亀井ちゃんのもとを離れることに。
525
:
亀井絵里の秘密
:2003/12/22(月) 02:56
「・・・・・・」
今、私は楽屋の隅から亀井ちゃんを観察中。
頼られなかったからといって、簡単には引き下がりませんよ。
絶対に亀井ちゃんは何か隠してる筈。
「はぁ・・・」
ほらほら。また溜息。
やっぱり、悩み事か何かあるんですよ、あれは。
で、さっきから気になることが。
亀井ちゃんは溜息吐く前に必ず一点を見つめてるんですよね。
ほら、また今もじっと一点を見つめてます。
一体、何を見つめてるんでしょうか・・・
とりあえず、亀井ちゃんの視線の先を見てみると・・・
526
:
亀井絵里の秘密
:2003/12/22(月) 02:57
ん?藤本・・・さん?
え???藤本さんが何か?
・・・・・・ま、まさか・・・・・・
みきえり・・・・・・?
いや、私、何を勝手にカップリングにしちゃってるんだろう・・・
でも、あの視線はかなり怪しいですね。
だけど、さすがに亀井ちゃん本人に
「藤本さんとカップリング・・・じゃなくて、藤本さんのことが好きとか?」
なんて聞けないし・・・
どうしよう・・・どうしよう・・・
527
:
亀井絵里の秘密
:2003/12/22(月) 02:57
「なぁ、もう収録だよ。聞こえてるの?」
え?何?収録?
「ほらほら、ボーッとしてないで。準備して行くよ」
「あ、うん」
愛ちゃんか・・・
考え込みすぎて周りが何も見えなくなってたみたいです。
これ、悪い癖なんですよねぇ・・・
さぁ、収録なんだから頭の中を切り替えて集中しないと。
「あっ、愛ちゃん。先に行ってて」
「ほ〜い」
さて、早く準備しないと。
528
:
亀井絵里の秘密
:2003/12/22(月) 02:58
よし、準備完了。早くスタジオに行かなきゃ・・・
ドン!!
痛ッッッ!!
いすにぶつかっちゃったみたいです・・・
もう、人が急いでるっていうのに。
ん?いすの上に置いてあったカバンが落ちちゃったみたい・・・
誰のだっけ?え〜っと・・・あっ、亀井ちゃんのカバンだ!
そんなことより、早く片付けないと・・・
ん?何か変なものが・・・
529
:
亀井絵里の秘密
:2003/12/22(月) 02:59
「ことミック・・・?」
カバンの中から落とした拍子で出てきたもの。
それは松浦さんと藤本さんがやってたことわざを解説する番組のDVD。
何でこんなものが???
そして、もう一つ。
亀井ちゃんの携帯電話。
いわゆる折りたたみ式のなんですけど、落ちた時に開いちゃったみたいです。
あんまり他人の携帯電話とかって触るのよくないんですけどね・・・
って、これまた何ですか・・・?
その携帯電話の待受け画面には・・・
松浦さんと藤本さん・・・
ま、まさか・・・亀井ちゃんって・・・・・・
530
:
亀井絵里の秘密
:2003/12/22(月) 03:00
無事に収録も終わった後のこと。
メンバーのみなさんはスタジオを出て、楽屋に向かう中で
私は亀井ちゃんを呼び止めました。
そう。確信に触れる為に。
「亀井ちゃん!」
「はい?どうしたんです?」
「あ、あのさ・・・間違ってたらごめんね・・・」
「?」
今から聞くことはすごくすごく重要なことなんです。
そんな中で、緊張する私。
「もしかしてさ・・・・・・・・・あやみき好き?」
「え!?」
亀井ちゃんの顔は一気に戸惑った表情に。
でも、これってあやみきを知らなくて何のことか困ってるって可能性も・・・
531
:
亀井絵里の秘密
:2003/12/22(月) 03:01
「あのぉ・・・笑わないで聞いてくれます?」
ゆっくりと口を開いた亀井ちゃん。
ゴクリ・・・
唾を飲み込む音が二人の間に響く中で、私はゆっくりと頷きました。
「実はですね・・・紺野さんの言うとおり・・・あやみきヲタです・・・」
ヲタ宣言キタ━━━━━━━━━━川o・∀・)━━━━━━━━━━!!
亀井ちゃんまでそんなんだったなんて・・・
モーニング娘。の中にハロープロジェクトのヲタが複数もいるって・・・
532
:
亀井絵里の秘密
:2003/12/22(月) 03:02
「あのぉ、紺野さん?」
「え?」
あまりに衝撃的な告白に、私、思わず呆然としてしまったみたいです。
「やっぱり、変ですよね・・・もう、こんなことがバレちゃった以上、
モーニング娘。にいれないかも・・・」
うわ〜、もの凄く思いつめた顔をしてる・・・
大体、そんなこと言ったら、私なんてもっと昔に辞めてなきゃいけないんだけど・・・
ここは・・・思い切って私も告白!!
533
:
亀井絵里の秘密
:2003/12/22(月) 03:03
「あのね、亀井ちゃん。実はさ・・・私もヲタ・・・なんだよね」
「こ、紺野さん!?」
今度は一転して、亀井ちゃんが呆然とした表情。
「そのぉ・・・私の場合は・・・いしよしなんだよね」
「いしよし・・・ですか?」
「うん・・・」
言っちゃったよ・・・ヲタだなんて先輩としての威厳なしですよね。
もう、私、ダメです・・・って、亀井ちゃん???
な、何で笑ってるの?
「ど、どうしたの?」
「いや〜、理解者がいてくれて嬉しいんです。紺野さん、最高の先輩ですよ!」
さ、最高!?嬉しいよ、その言葉・・・
ん?でも、これって私もヲタだから・・・ですよね?
それって良いことなんでしょうか・・・
534
:
亀井絵里の秘密
:2003/12/22(月) 03:04
結局、何か吹っ切れた亀井ちゃんは、その後、普段は見せないような勢いで
あやみきの素晴らしさを熱く語りだしました。
因みに溜息の理由は、慢性的なあやみき不足だとか。
そして、生であやみきを見たかったから、6期オーディションに応募したらしいんです。
亀井ちゃん・・・そんな凄かったんですね・・・
よし!私も負けてられない!もっと、いしよしの道を極めなきゃ!
でも・・・亀井ちゃんの熱弁の所為であやみき・・・気になるかも・・・
ダメ!ダメ!ダメ!私は生粋のいしよしヲタなんですもん。
帰ったらいしよしの動画見て補給し直そっと。
535
:
亀井絵里の秘密
:2003/12/22(月) 03:04
その後の紺野あさ美と亀井絵里。
彼女ら二人が自分の推しCPについて熱く語り合ってるのが度々目撃されている。
536
:
名無し(0´〜`0)
:2003/12/22(月) 03:07
以前に紺野さんのナメた話を書いた者です。
どうしようもない話を書いてしまいました。
やっぱり駄文です。申し訳ないです。
537
:
名無し(0´〜`0)
:2003/12/22(月) 12:16
>ヲタ宣言キタ━━━━━━━━━━川o・∀・)━━━━━━━━━━!!
すっごいおもしろかたです!!
亀井あなどれんなw
538
:
はじめてのチュウ
:2003/12/22(月) 13:08
「よっちゃーん!お待たせっ!!!」
「うちも、今終わったトコ」
いつもとおんなじ放課後 クラブの後の帰り道
うちらは、特別な友達
だってさ、梨華ちゃんがそう言ってたから
去年同じクラスで梨華ちゃんを、初めて見た時
・・・カワイイじゃんって、フツーに思った
その、不可解な言動とか、はっきし言って引いたコトもあり・・・
最初のうちは、仲良くなれそ〜じゃないって思ってた
なのに、なんでだろ???
居心地い〜って言うのかな?
特別なコトなんてなんにもなかったのに、うちらは気が付けば
いつでも一緒に居たんだよね
539
:
はじめてのチュウ
:2003/12/22(月) 13:09
今年になって、クラスが別れちゃって
なんだろ?・・・寂しいとかそんなんじゃないケド
なんとな〜く、胸ん中にポッカリと空きが出来ちゃった感じ?
その穴みたいなのは、ちっちゃいクセにさ〜
なかなかコレが、うまんないんだよね
梨華ちゃんはテニス部で、うちはバレー部
だけどさ、部活の終わり時間なんてどこも似たようなモンで
部活が始まるようになって、たまたま帰りによく会って
なんとな〜く一緒に帰るようになったらさ
穴が塞がっちゃってたんだ
怪我したトコが自然に治ってるみたくね
で、気がついたら、毎日一緒に帰るようになってたんだ
540
:
はじめてのチュウ
:2003/12/22(月) 13:10
あれは、いつだっけ?
部活の無い日があって、それでもうちは梨華ちゃんと帰りたくなっちゃって
梨華ちゃんのクラスを覗きに行ったんだ
・・・まだ、いるかなぁ〜って
教室に近づくと、開けっぱなしのドアから声が聞こえてきたんだよね
他のコより高くって、なんだかうちの耳には特別よく聞こえちゃう声
顔が見えなかったから、誰と話てるのか判んなかったんだけど
その誰かさんは、梨華ちゃんに言ったんだ
「石川さんって、吉澤さんとすごい仲イイよね?」
梨華ちゃんは、鈴が転がってくみたいに笑ってさ、言ったんだ
「よっちゃんは、特別な友達だから」
うちは単純に、うれすぃ〜なぁ〜、ずっと特別でいたいなぁって
思ったんだけどさ、変なんだよー
友達のトコで・・・その言葉で、なんかさ、なんだろ?
・・・キュンって、捨てられた子犬が鳴くみたいな声がするんだ
うちの胸の中で・・・
541
:
はじめてのチュウ
:2003/12/22(月) 13:13
それから、うちの目は壊れてしまったのだ
うちが見ようと思う前に、いつでも梨華ちゃんのコト探し出しちゃうし
それどころか、見つけた梨華ちゃんがどんどん可愛く見えるんだ
それだけでも困るのに、最近のうちときたらテレビやマンガでキスシーンとか見ると
うちと梨華ちゃんに頭ん中で入れかえちゃってるんだよ〜〜〜
んでさ、前は顔全部を見て、カワイイって思ってたんだけど
今は、プニプニのほっぺたに触ってみたいとか、目を閉じた顔ってどんなかな?とか
柔らかそうなクチビルだな・・・とか、パーツのすべてに熱心に見入っちゃって
梨華ちゃんに、話聞いてる?って怒られるんだよ・・・とほほ
やべっ・・・また、クチビルばっか見てるじゃんっ
うちは恥ずかしくなって、目線を足元に落とした
そしたら、二人の影が見えた
半歩先を歩く梨華ちゃんとその後ろを歩くうち
ふたりおそろいみたいな影
なんだか、本物のうちらより仲良さげでちょっと悔しい、影のクセにさ
うちが、思わず足を止めて、寄り添うように見える影に
ココロを奪われていると、梨華ちゃんが言った
542
:
はじめてのチュウ
:2003/12/22(月) 13:14
「今日のよっちゃん、へ〜〜〜ん!」
顔を上げると、うちの一番好きな顔
夕暮れのオレンジ色に染まったほっぺたで笑う顔
・・・ドキドキドキ・・・
時々、発作みたく現れるドキドキに、うちは襲われて、また足元を見た
そしたら「なに見てんのぉ〜?」って梨華ちゃんが、うちの顔を覗きこんだ
その時・・・ふたりの影はキスしてた
・・・チュッ
軽い音をさせた後、離れていく梨華ちゃんの顔のドアップ
うちが顔を真っ赤にさせて、右手で口元を覆うようにボーゼンと突っ立てると
スタスタと先に歩き出した梨華ちゃんは、いつもの二人の家への別れ道で
立ち止まると振り返った
梨華ちゃんも耳まで真っ赤にして、照れくさいような怒ってるような言い方で
言ったんだ・・・うちの一番好きな言葉
「また、あした」
お終い
543
:
サー
:2003/12/22(月) 13:18
ほんとに短いお話でした
軽〜い、カワイメのお話が、どーしても書きたくなってしまいまして・・・
お邪魔しました(ペコリ)
544
:
名無し(0´〜`0)
:2003/12/24(水) 19:28
かわ(・∀・)イイ!
短いけどとってもいいお話でした。
次回は長めのを読んでミタイです。
545
:
サー
:2004/01/05(月) 11:36
544様>レス下さってありがとうございますm(_ _)m
いつか、読んで頂けたらうれすぃ〜ですφ(・_・)
546
:
『things that’ve never changed...』
:2004/04/12(月) 14:08
「ヤダ、ヤダ、ヤダぁ〜!!!!」
ベッドの上で、駄々こねてるこの人...
付き合って1年半の、アタシの恋人だったりする...
今日は別々のお仕事が入ってるから...
会えないって言ってるのに...
それが真夜中でも、会うんだって...
さっきから、正直うるさぁ〜いっっっ!!!!!!
「あのねぇ、よっちゃん!?」
「....梨華ちゃんの、馬鹿ぁ!!!」
547
:
『things that’ve never changed...』
:2004/04/12(月) 14:08
そう言って、ベッドの上で膝抱えて...
アタシに背を向けて、思いっきり頬っぺた膨らませて...
ホントにもぉ、しょうがないじゃなぃ...
アタシだって会いたいもん...
それが、朝方だって会いたいもん...
だって、明日はよっちゃんの誕生日だから...
誰よりも1番最初に会って、おめでとうって言いたいもん...
だけど、明日は朝からお仕事が入ってるじゃなぃ...
「...ねぇ??」
「.....ぶぅ。」
「...ねぇ、こっち向いてょ。」
「....べぇ〜だ。」
「.......お願ぃ、困らせないでょ。」
548
:
『things that’ve never changed...』
:2004/04/12(月) 14:08
なんでだろ、涙が出て来た...
「...アタシだって、会いたいもん。
......誰よりも先に、おめでとうって言いたいもん。
....よっちゃんは、いつもそうやって膨れてばっか。
...アタシの方がお姉さんだけど.......
....アタシにだって甘えたい時、あるんだからぁ〜!!!」
小さい子みたいに、ワン②泣いて...
「....ごめんょ。」
よっちゃんの唇がそっと触れて...
549
:
『things that’ve never changed...』
:2004/04/12(月) 14:09
「...ねぇ今夜、梨華ちゃん家で待っててもいい??
.....うち1番最初に、梨華ちゃんに会いたいんだ。
....んで、1番最初に“おめでとぉ”って言ってもらいたい。
...それまで、携帯にも出ないし、メールも見なぃ。
.......帰ってくるの、起きてずっと待ってる。」
「....ホントに、それでいいの??
......次の日、お仕事辛くなっちゃうょ??」
「...んなの、構わないょ。
....睡眠よりも、梨華ちゃんと過ごす時間の方が大事。」
「....ょっちゃん。」
ギュッてして、またキスして...
携帯鳴ってるけど、無視②...
550
:
『things that’ve never changed...』
:2004/04/12(月) 14:09
「携帯出なくていいの??」
「...平ぇ気、柴ちゃんだもん。」
今はそれどころじゃないの、ごめんね柴ちゃん...
「....ねぇ、それょり.........」
「ん??」
「...もっと、キスして........」
「.....んっ、」
返事が返ってくる前に...
アタシから大好きな唇に触れた...
551
:
『things that’ve never changed...』
:2004/04/12(月) 14:09
* * * * * *
552
:
『things that’ve never changed...』
:2004/04/12(月) 14:10
ねぇ、よっちゃん...
アタシ達って、変わったのかな...??
あの頃より少しは、成長したのかな...??
アタシの子供っぽい所も...
大好きだって言ってくれたアナタ...
ねぇ、今は...??
少しは、大人になったかな...??
ねぇ...??
人が変わらずに居る事って、無理なのかな...??
553
:
『things that’ve never changed...』
:2004/04/12(月) 14:10
だってね...
だってね...
初めて出逢ったあの時から...
何1つ変わってない、ソノ無邪気な笑顔...
アタシ大好きなんだ...
でね、その笑顔が...
アタシをいつも、支えてくれてるから...
ずっと②、変わらず存在って欲しいんだ...
554
:
『things that’ve never changed...』
:2004/04/12(月) 14:10
* * * * * *
555
:
『things that’ve never changed...』
:2004/04/12(月) 14:11
「ただいまぁ〜!!!」
「お帰り♪」
玄関でギュッてして、キスして...
今日ずっと、伝えたかった事ば...
「よっちゃん、19歳お誕生日おめでとぉ♪」
張り切りすぎて、いつもより声が高くなって...
おまけに、できもしないウインクまでつけちゃって...
「...きしょっ!?」
結局、これなのね...(号泣
556
:
『things that’ve never changed...』
:2004/04/12(月) 14:11
「はははっ、今年も愛してるぜぇ♪♪♪
寒くて、キショくて、すぐ小指が立っちゃう梨華ちゃんが大好きだぁ〜♪♪♪」
大声でそんな事言いながら...
ギュッて後ろからハグされて...
振り向けば、アタシの大好きな笑顔がそこにあった...
557
:
『things that’ve never changed...』
:2004/04/12(月) 14:11
ずっと②...
いつまでも...
2人で片寄せて、一緒に笑って居よぉね...??
〜THE END...〜
558
:
YUNA
:2004/04/12(月) 14:15
よっちゃん、お誕生日おめぇ〜♪♪♪
↑がまだ途中なので、こちらに書かせていただきました。
今年はまだ誰の誕生日にも書いてない事を思い出し...
梨華ちゃんの時はすっかり忘れ...(苦笑
よっちゃんだけはと思い、20分で書きました...(ぇっ
相変わらず駄文ですがよかったら、読んでやってください。
↑も更新せんとねぇ...
559
:
名無し(0´〜`0)
:2004/04/15(木) 11:10
(・∀・)イイ!(・∀・)イイ!
よかったです!!上の作品も楽しみにしています。
がんがってください
560
:
YUNA
:2004/04/17(土) 17:05
>559の 名無し(0´〜`0)さん。
レスありがとぉございます♪
sageにしたんで、誰も気付いてくれないかなぁ〜なんて思ってました。w
↑(↓?)のやつも、もうすぐラストって感じです。
長かった...(涙
つっても、まだあるんですけどね。
最後までお付き合いくださぃ♪
561
:
無題
:2004/05/24(月) 21:23
「ただいまー」
帰り慣れた家、使い慣れた鍵。
いつからか帰る家には毎日じゃないけど光りが灯るようになり、
灯っていない時だって、一緒に光りのボタンを押すようになった。
「ん、おーおかえり」
『ただいま』の言葉を言えば返ってくる『おかえり』の言葉。
昔は側にあってあたり前だった言葉が一度遠くに離れてしまい、そしていつしかまた私の側にあるようになった。
この短い言葉が私の心をほかほかにさせてくれるということを、私はこの家で知った。
この人と一緒にいて、知った。
もう、どれくらい前のことだろう。
「風呂準備しといたから先入っちゃいなよ」
「うん、ありがと」
ミュージカルのリハーサルに夜中の生放送のラジオ出演。
他にも色々つまった毎日毎日のスケジュール。
時間はあっという間に経っていき、気付けばもう随分走り続けてきている。
562
:
無題
:2004/05/24(月) 21:24
着ていた服をダラダラと脱ぎながら、お風呂場の扉を開けたら目に入ってくるのはいつもと同じお風呂場で、
少しずつ変わり続けて、だけど変わっていない場所がここにあった。
いつもよりも少し熱めのシャワーを時間をかけて浴び、バラの香がするお風呂に浸かる。
手足を伸ばせるだけ伸ばしてぶくぶくと水の中に沈んでみた。
当たり前だけど、しばらくしたら息が苦しくなってしまい、私は大きく息を吐きながらお風呂から顔を出し、
濡れた髪を両手で後ろに撫でつけた。
静かな空間に水の落ちる音が聞こえる。
手足がふやふやになっちゃくくらいに長く入ったお風呂。
いい加減出なきゃなーって思っているのに、疲れとか、何だか色々なモノが出てきて体が思うように動かなかった。
お風呂場の外から私よ呼ぶ声が聞こえて、声だけで返事をすると、その声が呆れたように笑って言う。
『寝てんのかと思った』
変わらないモノ。
変わらない場所。
きっとそれはここだけじゃない。
他にも沢山ある。
分かってるはずだけど、気付いてるはずだけど、意識するっていうことが少ないんだ。
だから、こんな日とかに思い出したように感じるんだ。
563
:
無題
:2004/05/24(月) 21:24
ダルダルの体を引きずって、お風呂から這い上がるようにして出て、スローな手つきで体を拭いて、
いつの間にか用意しといてくれた寝間着に袖を通す。
ちょっと温かいのはどうしてだろう。
ひょっとして、抱きしめててくれたからかな。
肌に伝わる冷たさよりも心地よい温度。
ボタンを一つ一つゆっくりととめ、ソファーに座ってテレビを見てる彼女の隣に腰を下ろした。
「あー、全然髪乾かしてないじゃん。風邪ひくよ?」
「だって面倒だったんだもん」
「ったく…ちょっとまってな」
ソファーが少し浮いて、隣から温もりが消えて、それから少し音がして、髪に指と温かい風の感触を受ける。
久々だなーって思いながら、目を閉じてその感触を感じた。
564
:
無題
:2004/05/24(月) 21:25
「…ついに、言っちゃった」
「うん、聞いてた。ついでに緊張感も伝わってきた」
ブオーブオーッと風が髪を揺らす。
滑らかな指の動きが私のことを撫で回す。
時たま入る攻撃のような指の動きに抗議をしたら、すぐ後ろで笑ったような気配を感じた。
それからしばらく、沈黙が訪れて、ここにはドライアーの音だけが残り、そしてその音が
カチンというプラスチックの乾いた音と共に消えると、後ろからいつも一緒にいて、ずっと感じていた
優しい腕が私の前に回されてきた。
「どうしたの?」
「んー、梨華ちゃんがだっこして欲しそうだったから」
「それ逆でしょ?自分がだっこしたかったんでしょ?」
彼女が笑うと私の半乾きの髪が少し揺れる。
私が笑うと彼女の腕も体も一緒に震える。
一緒にいるっていうことの大切さ。
そして一緒にいれるってことの幸せ。
毎日じゃないけど、こうやって感じられる。
それは、きっと、絶対、これから先も。
私は、感じていたい。
565
:
無題
:2004/05/24(月) 21:26
「…あの、さ」
また少しの静寂があり、彼女が私の肩に顎を乗せて口を開いた。
戸惑いがちな口調とは違い、腕に入る力。
そのまま首に感じた唇の柔らかさ。
前に回された手に指を滑らせ、そのまま手を重ねたら、器用に指が動いて私の指と手を捕まえた。
「ここにも、あるから」
「…ん?」
「ここにも、あるから…」
同じ言葉を二回くり返して、それから彼女は私の手を掴んで思いきり私のことを抱きしめた。
久々に感じる力強い抱擁。
頬に金色の髪を感じる。
「梨華ちゃんが、迷ったり、困ったり、泣きたくなったり、一緒に笑いたくなったりしたら、
戻ってくる場所は、ここにも、あるから…」
566
:
無題
:2004/05/24(月) 21:26
───皆がいるよ。
ずっと、仲間な皆がいるよ。
で、あたしもいる。
卒業とかさ、まだ先のことだけど、一年も先のことだけど、あのさ、覚えておいてなんて言わないけど、
言っておきたいって、そんな風に今思ったから、言っておく。
あたしは、ここに、いるから。
何処に行ったって、ここにいるから。
きっとこの先、沢山の分かれ道があって、二人が歩く道がどんどんと離れちゃうかもしれないけど、
だけど、あたしはここにいるから。
あたしも、梨華ちゃんも、何処に行ったって、あたしはここに、ずっと、いるから───
567
:
無題
:2004/05/24(月) 21:27
心地よい沈黙が流れ、彼女の温度を背中に感じ、時計の音が流れ続ける時間を告げる。
私達はずっと走り続けてきた。
それはきっとこれからも一緒で、違うかもしれないけど、今はきっと走り続けていくんだろうって思う。
だから、きっと、私はこれからも走り続けていく。
築きあげてきたモノ。
出会った人達。
それは一生消えない場所。
一つ進めば道が出来て、その道は消えることなんかなくて、失敗も成功も全部がその道の一部になっている。
それは私が歩いてきた道で、私達が歩いてきた道。
この先、同じ道だけが続くなんてない。
でも、それでも、見失う場所はない。
これも、気付いてたこと。
だけど、意識することがほとんどなかったこと。
568
:
無題
:2004/05/24(月) 21:28
「あのね…」
私が言葉を発しようとした瞬間、重ねられた手が離れて、感じていた背中の温もりもスパッと離れた。
はっ?何?何に何何??
ワケわかんなくて振り返ろうとしたら、背中をバチーンと一発はたかれた。
「いったーい!ちょっと何すんのよ!!」
「何って、ウチの愛のムチ」
「は?ワケ分かんないんだけど!?」
キッと睨むようにして振り返ったら、悪戯っ子みたいな顔をした金髪の彼女の顔が両目にぐわーッと飛び込んできた。
白はをニカーッと見せて、長い指でがしがしと自分の頭をかいている。
「へへっ」
「ヘへッって…」
「ははっ」
「…ハハッって」
まだニカニカしている頬をぐしーっと掴んで縦横ナナメにひっぱり回す。
みるみる白い肌がピンクに赤く変わるのを横目に見つつ、ちょっと涙目になってる彼女のおでこに
こつンと自分のおでこをぶつけた。
「…もー、何なのよ」
569
:
無題
:2004/05/24(月) 21:28
「んー、もっと笑おうと思って」
ほっぺが痛いんだろうか、まだ涙目の彼女が、涙目のままニカッて笑った。
大きな目を三日月型にして、ニコニコ笑った。
目を細めた拍子に流れた涙が頬を伝い、そのまま私の指を静かに濡らした。
「あたしは、もっとさ、これからもさ、沢山笑うよ」
それだけ言ってぐいぐい顔を動かして、私の手から逃れると、彼女はベッドに飛び込んだ。
二人分の布団なのに、中央に滑り込んだ。
「ちょっと!それじゃぁ私寝れないじゃん」
追い掛けるようにソファーから立ち上がってぽこぽこ布団を叩いたら、突然起き上がって私の腕を掴んで
そのまま布団の中に引きずり込まれた。
二人分の布団の中央。
ピとーッとくっついて二人分が1.5人分になる。
彼女は暗い布団の中できっとニカニカ笑ってる。
ギュムーッと抱きしめられて、耳に彼女の心臓の鼓動を感じた。
それだけで、私は突然、今、私はここにいるこということを実感できた。
570
:
無題
:2004/05/24(月) 21:29
髪を撫でてくれる手。
抱きしめていてくれる腕。
感じるモノ、感じれるモノ、すぐ近くにあって、掴める距離にいてくれる。
言葉にすれば、すごく短い。
だけど、その言葉はすごく重くて、すごく大切で、中々口に出すことが出来ない魔法のような言葉。
その言葉を私は囁く。
すごく自然に、すごく素直に。
彼女はこの暗闇の中でどんな表情をしてるんだろう。
そんなことを思いながら、私は彼女の体に腕を回した。
571
:
無題
:2004/05/24(月) 21:30
私は、夢を見る。
私は、夢を追う。
走り続けて、走り続けれる間はきっと走り続けて。
それが出来るのは、今まで道があって、これからの道があって、色々な人がいて、あなたがいて、私がいるから。
道がなくてもつくっていける。
つくっていく。
あのさ、疲れたって思ったら、今日みたく背中はたいてくれる?
今みたく髪を撫でてくれる?
眠くても、私の我がまま、ちょっとはきいてくれる?
すごく小さく、彼女にだけ聞こえるように呟いてみたら、私の頭の上からは寝息が聞こえてきた。
なんとも心地よいけど息苦しい布団の中からもぞもぞと抜け出して、ちょっと口を開けてる寝顔を覗き込んだ。
それからジーッとその顔を覗き込んで、布団をちょっと下にずらしてさっきみたいに腕の中に潜り込んだ。
572
:
無題
:2004/05/24(月) 21:30
…バレバレだよ。
私が何回寝顔見たと思ってるのさ。
でもまぁ、今度は私が寝たフリしてあげるか。
だからさ、ほれほれ、言って下さいな。
あなたのお返事聞かせて下さいな。
ニマニマを噛み殺して腕の中でジーッとしてた。
でも、いつまで経っても彼女の声は聞こえてこない。
んーんーっと思っているうちに、私はそのまま眠りに落ちてしまった。
『んなこと訊かなくたって分かってるっしょ?』
おそーいおそーいお返事は、この日から随分先に私は聞くことになる。
彼女から言わせれば二回目らしいけど、私にとっては一回目。
そんなひとみちゃんのお返事を、私はこの日から随分先に、背中の痛みと、優しい指の感触と一緒に聞くことになる。
573
:
匿名匿名希望
:2004/05/24(月) 21:34
お久しぶりです。
そしてなんか勢いのまま書いてしまいました。
ヲレは永遠にいしよしヲタです。
574
:
名無し(0´〜`0)
:2004/05/24(月) 21:48
ハッピーな気持ちになれました。
石川さん卒業ニュースでブルーだった私の心が一気にピンクになりました。
ステキな作品をありがとうございます。
575
:
side H
:2004/06/19(土) 06:43
「柴っちゃん大丈夫?」
お酒を抱えてあたしの家にやってきた彼女は、あんまり強くないくせに、
なんだか今日はバンバン飲んでいて。
「ん〜?大丈夫だよ〜」
なんて言うけど…どうかな。大分酔ってるように見えるんですけど。
あたしは弱いほうじゃないから、柴っちゃんに付き合って飲んでても大丈
夫なんだけど。外で飲むのと違って自分の家だっていう安心感が、いつも
より少しだけ酔いを早くする。
「…よっすぃーはさぁ、好きな人いるの?」
冷蔵庫から新しい缶を取り出して、プルトップを開けながらソファに腰を
下ろすと、彼女が聞いた。
「いない」
「即答ですか」
「即答ですよ」
576
:
side H
:2004/06/19(土) 06:44
そっかぁと呟くように言って、柴っちゃんは唇に運んだ缶をぐっと傾ける。
「…付き合いたいとか、思わないの?」
「んー…めんどい。から、男なんていらねーやって感じ?」
「よっすぃーらしいね」
ははって笑った柴っちゃんの声に、不自然な響きを感じて。
「あっ…もしかして柴っちゃん、好きな人いる、とか?」
柴っちゃんは答えなかったけど、沈黙から肯定だと分かる。けれどあたし
はいつも通り、それ以上の詮索はしない。相談されれば別だけどね。無理
に聞く様なことはしないし、したくない。自分がされて嫌なことは人にも
しちゃいけないって。お母さんも言ってたしね。
あたしは話題を変えようと、新しい缶を傾けてから口を開いたんだけど…
―――先に沈黙を破ったのは、柴っちゃんの方だった。
「…よっすぃーが」
「んっ?何?」
「私はよっすぃーが好きなの…」
577
:
side H
:2004/06/19(土) 06:45
それが耳に届いた時、彼女はあたしに抱きついていて。アルコールのせい
で少し熱い彼女の身体が、やたらリアルで…。けれどアルコールのせいで
少し鈍くなったあたしの頭は、その言葉がリアルなのか決めかねて…。
「はは、何言ってんだろうね私。やっぱり酔ってるみたい」
再び沈黙を破った彼女は、あたしから身体を離して立ち上がったんだけど。
「わ、あぶなっ!」
思っていたよりも酔いは回っていたようで。急に立ち上がった柴っちゃん
の身体はぐらりと揺れて、ソファに引き戻されてしまった。
「柴っちゃん、飲み過ぎだよ。水持って来る」
あたしはするべきことが見つかって、少しほっとしてキッチンへ向かう。
グラスに水を注ぎ、再び彼女の隣に腰を下ろすと、柴っちゃんは軽く礼を
言ってグラスを受け取った。
578
:
side H
:2004/06/19(土) 06:45
どの位、そうしていたのか…彼女が息を呑むのが分かって、唇を離した。
「ごめん…あたしも酔ってるみたい」
なんて言い訳をしたあたしに、彼女は少し困ったような顔をして。
「私は酔ってないよ」
ポツリと呟いた。
「好きなの。私…よっすぃーが、好きなの…好きで、好きで…もう、どう
したら良いのか…自分でも、もう…分からなく、なっちゃって…」
さっきと同じことを繰り返す彼女だけど。そしてそれは、まるで酔ってい
るかのように途切れ途切れだけど。
彼女の潤んだ瞳に映る自分を見て、あたしは分かったんだ。
「あたしも酔ってないよ」
579
:
side H
:2004/06/19(土) 06:46
彼女の頬に両手を添えて、言い訳の効かない口付けを落とした。軽く顎を
上げさせて、舌を一気に差し込む。
「…んっ…んん…っ…」
彼女が苦しげに声を上げたけど、離してあげない。深く、深く口付けて。
彼女の舌を絡め取って隅々まで味わう。角度を変えて…何度も、何度も。
「んぅ…んっ…ぁっ…」
ねぇ柴っちゃん、気付いていた?あたしは、ずっと前から君が好きだった
んだよ。けれど酷く臆病なあたしは、どうすることも出来なくて。得意の
ポーカーフェイスで、自分さえも騙していたんだ。
「…ぁんっ…よっ…すぃー…」
ようやく唇を離したあたしを、大きく見開かれたその綺麗な瞳に映して。
彼女は肩で息をする。
「な…んで……」
それはあたしのポーカーフェイスに騙されていた彼女の、当然の疑問で。
580
:
side H
:2004/06/19(土) 06:46
「好きなんだ」
好きで、好きで、好きで、好きで。もう、どうしたら良いのか分からなく
なってしまって。酷く嘘つきなあたしは、自分の気持ちも偽っていたから。君のリアルな言葉さえ、なかなか信じることが出来なかったんだ。
「…うそ…だって……」
彼女が、酷く嘘つきなあたしを信じることが出来ないのも当然で。けれど
酷く臆病なあたしが、ずっとずっと隠して育てていたこの想いを、彼女に
分かってもらいたくて。
「あゆみ…」
彼女の頬に両手を添えて、あたしの瞳に彼女を映すと。
「愛してる」
口付けと共に、彼女の身体を、ゆっくりと倒した―――。
581
:
side H
:2004/06/19(土) 06:47
END
582
:
side H
:2004/06/19(土) 06:51
>577と578の間に抜けが…
「ごめんね」
それが何に対する謝罪か決めかねて、あたしは「いいよ」とだけ答える。
―短い沈黙の後、彼女はグラスの水を一気に飲み干すと、明るい声で捲し
立てた。
「ごめんね、変なこと言っちゃって。大丈夫だと思ったんだけどさ、大分
酔ってるみたい」
さっきと同じことを繰り返す彼女だけど。それは、とても酔っているとは
思えない調子だから。
「はは、ダメだね私。弱いくせに無理して」
彼女の言葉がリアルなのか、あたしはますます分からなくなるのだけど。
「ホント迷惑かけて、ごめ…」
気が付いたら、唇を重ねていた―――。
583
:
side H
:2004/06/19(土) 06:52
ホントにEND
584
:
名無し(0´〜`0)
:2004/06/21(月) 23:59
ヽ(*゚∀゚)ノ トテモイィィィィ♪
よかったです!!
この作者さんって・・・あのかたですか?
585
:
side A
:2004/06/24(木) 18:20
いつからか、私の瞳はよっすぃーしか映さなくなってしまった。
誰よりも面白くて、皆に優しくて。
変に大人で、時々イタズラっ子で。
美人で、可愛くて、格好良いのに、
あなたの瞳は誰も映さない。
恋愛話が始まると、さも興味無いって顔をして。
数々の告白も「誰とも付き合う気ない」なんて台詞で断ってしまうから。
私は叶うハズのないこの気持ちを、どうすることも出来なくて。
ついには、どうしたら良いのか、分からなくなってしまって。
あなたに打ち明けに行ったんだ―――
586
:
side A
:2004/06/24(木) 18:20
「柴っちゃん大丈夫?」
話を切り出せないまま、お酒の量ばかりが増えていく。
「ん〜?大丈夫だよ〜」
いつもならとっくに潰れる量を越したのに、変だな。あんまり酔えない。
いっそよっすぃーが酔ってくれたらなんて思うんだけど、強いからなぁ…
この人。まだ飲む気だし。
「…よっすぃーはさぁ」
よっすぃーが新しい缶を開けたのをきっかけに、私は切り出した。
「好きな人いるの?」
答えは分かっているんだけど。
「いない」
「即答ですか」
「即答ですよ」
587
:
side A
:2004/06/24(木) 18:20
「…付き合いたいとか、思わないの?」
「んー…めんどい。から、男なんていらねーやって感じ?」
めんどい…ね。友達だと思っていた、しかも女の子から想われてるなんて
知ったら、あなたはどんなに困るんだろう。
「よっすぃーらしいね」
皆に優しいけど、誰のことも想わない。その優しさに惹かれて、こんなに
よっすぃーのことを想っている自分がバカみたいに思えちゃうじゃない。
「あっ…もしかして柴っちゃん、好きな人がいる、とか?」
よっすぃーの言葉に私の心臓が音を立てる。どうするの?言うの?って。
即座に否定しなかったことで「いる」って言ったようなものなんだけど。
よっすぃーはそれ以上聞こうとはしない。
それが優しさだって、分かっていたのに。いい加減アルコールの回ってき
た私は「私になんて興味ない?」なんて、拗ねた気持ちになっちゃって。
「…よっすぃーが」
「んっ?何?」
「私はよっすぃーが好きなの…」
588
:
side A
:2004/06/24(木) 18:21
勢いに任せて言った私は、思わずよっすぃーに抱き付くなんてことまで
してしまった。よっすぃーは無言。…ダメ、沈黙に耐えられないよ。
「はは、何言ってんだろうね私。やっぱり酔ってるみたい」
私は言い訳をしながら、逃げるように立ち上がる。
「わ、あぶなっ!」
うゎ…っ。急に立ち上がったせいか、ぐっと酔いが回ったみたいな感覚。
よっすぃーの声がして、周りの景色がぐらりと揺れたと思ったら、ソファ
に逆戻りしていた。
「柴っちゃん、飲み過ぎだよ。水持って来る」
よっすぃーがキッチンへ向かう。私は座ったまま、ガンガン痛んできた
頭を押さえた。私バカだ。大バカ者。勢いに任せて、あんなこと言って。
よっすぃーを、あんなに困らせて…。
589
:
side A
:2004/06/24(木) 18:21
「ごめんね」
グラスの水を受け取ると、よっすぃーに謝った。
「いいよ」
その言葉が「どうでもいいよ」に聞こえて、少し悲しくなったりして。
ああ、やっぱり、言うべきじゃなかった。何も、望むべきじゃなかった。
きっと、今ならまだ引き返せるから―――私は精一杯のウソをつく。
「ごめんね、変なこと言っちゃって。大丈夫だと思ったんだけどさ、大分
酔ってるみたい。」
酔っ払って、変な冗談言ったんだって…思って。
「はは、ダメだね私。弱いくせに無理して。」
せめて…せめて友達として、ずっとあなたの傍にいさせて。
「ホント迷惑かけて、ごめ…」
590
:
side A
:2004/06/24(木) 18:22
キスされたのだと分かったのは、どの位たってからだろうか…。あなたは
唇を離して。
「ごめん…あたしも酔ってるみたい」
なんて…。酷いよ、よっすぃー。私は引き返そうとしたのに。あなたは、
それさえも許さないの?
「私は酔ってないよ」
冗談なんかじゃ、ないの。
「好きなの。私…よっすぃーが、好きなの…好きで、好きで…もう、どう
したら良いのか…自分でも、もう…分からなく、なっちゃって…」
ああ、もう、引き返せなくなってしまった……。せめてもうこれ以上は、
あなたを困らせることの無いようにと、私は涙を必死に堪えていたから。
「あたしも…酔ってないよ」
591
:
side A
:2004/06/24(木) 18:22
その言葉の意味を考える、暇もなく。
割って入ってきたそれを拒む、余裕もなく。
「…んっ…んん…っ…」
気付いたときには、ただ苦しくて。声を上げたけど、深くなるばかりで。
舌を絡め取られて。角度を変えて何度も。何度もそうされているうちに。
「んぅ…んっ…ぁっ…」
だんだん、自分のモノじゃ無いみたいな、甘い声が漏れてしまう。
それは、とても酔っているとは思えないほど的確に私を追い詰めるけど。
それは、まるで酔っているかのような熱い口付けだから。あなたの言葉の
意味が、私はますます分からなくなる。
「…ぁんっ…よっ…すぃー…」
唇を離された私は、呼吸すら上手く出来なくて。それでも、聞かずにはい
られない。
「な…んで……」
592
:
side A
:2004/06/24(木) 18:23
「好きなんだ」
………
「…うそ…だって……」
だってあなたには好きな人がいなくて。誰も想わなくて。恋愛話に興味が
無くて。付き合うのなんて「めんどい」から、誰とも付き合う気がなくて。
あなたの瞳は誰も…。
「あゆみ…」
―違った。私の頬に両手を添えた、あなたの瞳に私が映って。いつからか、
臆病なあなたの瞳は、私を映せなくなっていたんだって、分かったから。
「愛してる」
その言葉の意味を考える必要も、口付けを拒む理由も、なかった―――。
593
:
side A
:2004/06/24(木) 18:25
END
柴っちゃん視点でした。
594
:
side A
:2004/06/24(木) 18:29
584> 名無し(0´〜`0)様
よかったですか!!有難うございますw
私は通りすがりの初心者作者でございますが、
喜んで頂けて光栄です。
595
:
1.
:2004/07/09(金) 13:06
気付いたら、朝だった。
596
:
1.
:2004/07/09(金) 13:07
目に入って来たのは、モノトーンの部屋。
あれっ?私の部屋じゃ…ない??
状況を飲み込めないまま、身体を起こしてベッドから抜け出す。
なんか…頭痛い。ぐらぐらする。
ぼーっとする頭を押さえた次の瞬間、自分の状況に気付いて
一気に目が覚めた。
!!!??…私…なんで何も着てないの!?
慌ててベッドの下に散らばっていた服を掴んで、身に付ける。
えっ!?何?どういうこと?
「ん〜っ…」
パニック状態になっていると、突然背後から声がして―――
恐る恐る振り返ると…よっすぃーが、裸で寝ていた。
597
:
2.
:2004/07/09(金) 13:09
昨日は、高校の卒業式だった。
598
:
2.
:2004/07/09(金) 13:11
卒業は嬉しくて、寂しいから…。
私は少し羽目を外して騒いでいた。
飲めないお酒を飲んで、カラオケで下手な歌を散々歌ったりして。
12時を過ぎてようやくみんなと「バイバイ、またね」ってした
時には、足なんてもうフラフラだった。
それでも、どうにか家には帰れた…んだと思う。
そう、それで、帰ると…家の前に、よっすぃーが立っていたんだ。
『よっすぃー…』
『久しぶり…梨華ちゃん』
言葉を交わしたのは3年振りだった。それで?それで、その後…
『…梨華…』
頭の中によっすぃーの声が響く。
『ん…よっすぃー、何っ、ヤメ…』
『梨華ちゃん…ごめん、うち…』
『あっ、ダメ…よっすぃー、やだっ…』
何で?何で?何で?よっすぃーは何で、何で急にあんなこと…。
家に逃げ帰った私が、やっとの思いで取り出した記憶の断片は
とても信じられないもので…。
だから、さっきから何度も何度も鳴っている携帯が、3年振りに
よっすぃーの名前を表示してるって分かっていても、私はずっと
出ることが出来なかった。
599
:
3.
:2004/07/09(金) 13:12
よっすぃーとは、中学生の頃までは姉妹のように仲が良かった。
私が避けるようになるまでは―――
600
:
3.
:2004/07/09(金) 13:16
―――中学3年の冬休み、最後の夜。
「よっすぃー…もう寝た?」
「…ん〜?まだ寝てないよ」
互い部屋の窓から行き来しちゃうほどお隣さんの私達は、姉妹の
ように仲が良くて。お泊りなんてしょっちゅうだった。
「やっぱり、よっすぃーと一緒にベッドで寝る〜」
「ちょっ、何して…梨華ちゃん!布団で寝なよ!」
「だってお布団冷たいんだもん…よっすぃーあったか〜い」
「あーっ、もう分かったから早く寝て!」
学年は私の方が一つ上なんだけど、よっすぃーの方がどことなく
落ち着いていて。私はこうして寝ながら、「○○君のことが好き
なんだぁ」なんて、よっすぃーに話すのが楽しみだった。
「よっすぃーはさ、好きな人いる?」
「いるよ」
「………えぇ!?今、何て?」
「好きな人…いるよ」
「うそっ?ホントに?だっ…私、知らないんだけど!」
「言ってないから」
「言ってよ!」
「言っても仕方ないよ。梨華ちゃんは子供だから」
「…なっ、子…だっ誰が!誰が子供よ!?」
「梨華ちゃん」
「っっっ、3ヶ月も年下のくせにぃ!」
601
:
3.
:2004/07/09(金) 13:16
よっすぃーは、なんか…時々私に冷たかった。『梨華ちゃんに
言われたくない』とか『梨華ちゃんにはわからないよ』とか…。
「…なっ…何でそんな事…言うの…よ」
そんな時はいつも悲しくなった…。
「酷いよ…よっすぃー…言ってよ、友達でしょ?」
「仕方ないじゃん…本当の事なんだからさ」
そう言って、泣きそうになった私の顔を覗き込むよっすぃーは
やけに大人びた顔をしていて。やっぱり私の方が子供みたいで
少し悔しくなった。
「よっすぃーは、冷たい…よ」
「さっきは『よっすぃーあったか〜い』って言ってたじゃん」
「もう!そういう意味じゃないってわかってるでしょ!…ねぇ、
何で?…何でよっすぃーは私にばっかり…そうやって冷たく
するの?」
「…梨華ちゃんは、うちに…優しくして欲しいの?」
「………うん」
「わかった…優しくする」
この世の誰よりも、梨華ちゃんに優しくする…――
そう囁いたよっすぃーの唇が、私の唇に降ってきて。
「んっ…」
チュッってするおふざけのキスは、何度かした事があったから。
最初はそれだと思ったんだけど。そのキスはあまりに…長くて。
し、舌が…よっすぃーの舌が…入ってきたりして。
「ちょっ、やめ…何すん…っっ、よっすぃー…待っ…て」
パニック状態になってしまった私は、よっすぃーを突き飛ばして。
家に、逃げ帰ってしまった。
602
:
3.
:2004/07/09(金) 13:17
それからというもの、私はよっすぃーを避けて、避けて、避けて、
避け続けて。そうするうちに私は高校に進学してしまったから。
私達は自然に疎遠になっていった。
…それなのに、突然。あ、あんな…
603
:
名無し(0´〜`0)
:2004/07/10(土) 02:07
んあ!おもしろい!
つ、続きが非常に気になります...。
期待しちょります!!
604
:
4.
:2004/07/10(土) 23:49
3日経って、よっすぃーからの連絡が無くなった。
605
:
4.
:2004/07/10(土) 23:49
よっすぃーにとっては、大した出来事じゃなかったのかもって
思う。
私が「何で急に、あんなことしたの?」って聞いたところで、
きっと平然とした顔で、冷たいと感じるほど落ち着いた声で、
「梨華ちゃんは子供だから」「梨華ちゃんにはわからないよ」
とか言ったりして…。
そう思ってみても、私は「偶然会っちゃったらどうしよう?」
なんて考えて、あの日以来、家にこもってばかりいた。
部屋にいたって、考えるのはお隣さんの事ばかりなんだけど。
いくら考えても、何であの夜、ああなったのか思い出せない。
よっすぃーが、何で急に、あんなことしたのか思い当たらない。
本当は友達に相談したいところなんだけどなぁ…言えるはず無い。
起きたら幼馴染と裸でベッドにいて…しかも、酔っててほとんど
覚えてない…だなんて!
やっぱりよっすぃーに聞くのが一番良いんだろうけどなぁ…電話
…来なくなっちゃったし。私から連絡?…出来る訳が無い。
あー、もう…どうしらいいのか、わからないよーーーっ
606
:
5.
:2004/07/10(土) 23:53
悩みがあっても、時は経つ。考えすぎて、熱を出した私。
いつの間にか冬は過ぎていって…大学生活が、始まった。
607
:
5.
:2004/07/10(土) 23:54
王道だけど、テニスサークルに入って。友達もいっぱい出来て。
「うんっ!よっすぃーの事も忘れられそう」って思ったのに…
―――家に帰ると、よっすぃーがいた。
「なっ、なっ…」
「2階だからって、開けっ放しは危ないよ」
驚く私に、平然とした顔で窓を指差して。
「梨華ちゃんてさぁ、3年前からあんまり変わってないよね?」
よっすぃーは部屋をぐるっと見渡すと、私のベッドに腰掛けた。
「まぁうちも変わってないけどね。相変わらず背高いし、運動も
出来るし、格好いいし、頭もいいし、足も長いし?」
「なっ!?」
「そんなパーフェクトなうちが…
いつまでもぐずぐず諦められないのは…どーしたら、いい?」
「…へっ?」
「梨華ちゃんはどう思う…?うち…うちは、諦めた方がいいの?
それともまだ…希望は、ある…?」
私にはよっすぃーの言葉の意味が飲み込めなくて。いつの間にか…
言葉よりも、久し振りに間近で見るよっすぃーの顔に見惚れていた。
よっすぃーって…男の子みたいなんだけど、色が白くて、すごく…
キレイ…
608
:
5.
:2004/07/10(土) 23:55
「…やばい」
「…?よっすぃー?」
「あー、もーっ…んな顔で見んなっての!」
よっすぃーは私の手を引いて抱き寄せると。
「…ねぇ、どーしたらいい?うち…我慢できないよ…」
「えっ?我慢?な、何を?」
「…梨華ちゃん…」
「えっ!?ちょっ…何…っ」
背中に回っていたよっすぃーの腕に上手く身体をすくわれて、
私はベッドに押し倒されてしまった。
「ちょっ、ちょっと…よっすぃー、何…してっ…」
「好きだよ…」
えぇええええ!?いきなりの衝撃告白とあまりに急な展開に、
私の思考回路はパンク寸前。
よっ…よっすぃーが、私のこと…好き!?そっ、そんなこと…
あるわけ…ないっ…!ないよ!!
「っ…まっ…待って…よっすぃー」
「…ごめん、待てない」
手際よくボタンを外されて。って、よっすぃーーー!?
609
:
5.
:2004/07/10(土) 23:56
「ね、よっすぃー…さ、さっき言った…ことなんだけど…」
「んー、何?」
「その…ほ、本気………なの?」
私の質問に、よっすぃーの動きが止まる。
「だからその…さっき…言ったでしょ…あの…」
「えっ…何を?」
「『何を?』って…やっぱり冗談なの!?私のこと好きって…
やっぱり嘘??私をからかった、だけ…?」
「……………嘘?」
「えっ?ちょっと待って…何でそうなるの!?梨華ちゃんこそ
うちをからかってるの?」
「…へっ…?」
「今さら本気かってなんだよ!一体、何十回『好き』って言った
と思ってるんだよ!!」
「えっ…嘘!?き、き、聞いてない!私、聞いてないよ!」
「………マジかよ。梨華ちゃん、マジで…覚えてないの?」
610
:
5.
:2004/07/11(日) 00:01
>>603
名無し(0´〜`0)様
レスありがとうございますm(_ _)m
次回更新で一応終わりとさせて頂きますが、
よかったら最後までお付き合い下さいませ。
611
:
603
:2004/07/11(日) 00:53
よっすぃ〜切ないね…(泣
作者しゃん鈍感チャーミーをなんとかしてください(藁
>次回更新で一応終わりとさせて頂きますが
もう終わりれすか…ってここは短編集か、
最後まで楽しみにしてますです。
612
:
6.
:2004/07/12(月) 16:51
あの日…卒業式の夜。
夜中まで、梨華ちゃんの帰りを待った。
613
:
6.
:2004/07/12(月) 16:51
12時を過ぎてようやく帰ってきた梨華ちゃんは、足なんてもう
フラフラで。家の前にいたうちを見て、とても驚いた様子だった。
「卒業おめでとう」って言ってから、「話がある」って切り出すと、
3年振りに梨華ちゃんを部屋に招いた。それで…それで、その後…
避けられて、諦めようとして。
避けられても、諦められなくて…ずっと思い続けた。
その、ありったけの、思いを込めて―――
『梨華ちゃんの事が、ずっと…ずっと好きだった』
あの日うち、強引に…しちゃったし。
起きたら利華ちゃん、いなくなってるし。
何度電話しても出てくれないから、それが答えなんだと思ってた…。
614
:
7.
:2004/07/12(月) 16:52
「けどやっぱ…梨華ちゃんのこと、諦めるなんてできなくてさ…
その…はっきり言ってくれて、構わないから。返事…聞かせて
欲しい…」
そう言って真っ直ぐに私を見つめるよっすぃーの瞳は…恐い位に
熱くって―――
『ヤダ…よっすぃー、何っ』
『好きだよ』
『んっ…ヤメ…よっすぃっ』
『…ねぇ…梨華ちゃん…』
『も…ヤだ…』
『梨華ちゃん…好き。好きだよ』
『…放して』
『ずっと好きだった…梨華ちゃん…』
『も…変にな…』
『ちゃんと聞いて…梨華…梨華、好きだよ…』
『っっ…』
―――突然、あまりに、鮮明に思い出してしまって。顔が赤くなる
のが自分でも分かる。私の知っているよっすぃーは落ち着いていて。
熱がなく、静かで。時に、冷たいと思うほどで…。
だから私は…あんなよっすぃー知らなかった。あんな、熱っぽい…
って何で今さら思い出すのよ!私のバカーーー!!
615
:
8.
:2004/07/12(月) 16:53
「…梨華ちゃん??」
「よ、よ、よっすぃー!!!?」
ベッドの上で組み敷かれたままでいた、その状況に気付いて。
急に恥ずかしくなった私は、思わず後ずさってしまった。
そんな私の動揺した姿を見て、よっすぃーは眉を寄せて泣きそうな
顔をして。
「それが…返事、かな…」
「…えっ?」
「うちも、いい加減にしないと…ダメってことだね」
身体を起こしてベッドから降りたよっすぃーは、大きく息を吸い
込むと、私に背を向けたまま。
「もう、来ないから…安心して。その…元気でね、バイバイ」
えっ…もう来ないって?バイバイって、そんな…ま、
「待って!!」
私は、思わず…よっすぃーの腰に抱きついてしまった。
616
:
8.
:2004/07/12(月) 16:55
「わ、私…好きとか…まだ良く、良くわかんないんだけどっ…
よっすぃーは、私にとって大切な人…なの」
「…えっ?」
「だから…バイバイとか、イヤ…嫌だよっ!誰よりも優しくして
くれるって…約束でしょ?」
振り返ったよっすぃーは、私のワガママに心底困った顔をして。
「で、返事は?」
「………わかんない」
「はぁ〜〜〜、これだから梨華ちゃんは…」
「だって、だって、だって!そんな急に言われたって…簡単に、
返事なんか…できない…よ」
「それで、うちは…どーしたらいいの?」
そう言って私の顔を覗き込むよっすぃーは、大人びた顔をしていて。
「バイバイとか、言わないで…や、優しく…してよ」
「………わかった…優しくする」
そう呟いたよっすぃーの唇が、私の唇に降ってきて。
「っ…!!!」
チュッってする軽いキスだったのに、真っ赤になる私は子供みたいで。
617
:
8.
:2004/07/12(月) 16:56
「なっ、なっ…」
「あー…でも、やっぱ…早く返事くれないと、うち、梨華ちゃんの事…
泣かせちゃうかも」
「なっ!?何でそんな事、言うのよ…」
「仕方ないじゃん…本当の事なんだからさ」
本当に、本気で、好きなんだからさ。わかってんの?梨華ちゃん?
「………うん」
「どーだか」
「わ、わかったもん!」
よっすぃーが、私のこと…好きだって。でも…ゴメンね、よっすぃー。
私の方がやっぱり子供みたいで…だから、もう少しだけ、このままで…ね。
―おわり―
618
:
8.
:2004/07/12(月) 16:59
天然振り回し系、鈍感チャーミーでした。
こんな終わり方ですみません…。
(0^〜^)<生殺しかYO!
って感じなんで、吉澤さん救済の為にも
続編でも書かせていただこうかと思っております。
619
:
名無し(0´〜`0)
:2004/07/12(月) 17:34
いいっす!
超よかったよぉー。
強引で、梨華ちゃんに翻弄されるよっちぃ大好き。
続編、心待ちにしております。
620
:
603
:2004/07/12(月) 23:16
よっすぃ〜…やっぱり切ないね(泣笑)
ぜひとも救済してあげてください…。
続編もめちゃ期待しちょります。
621
:
1.
:2004/07/14(水) 16:06
>>595
〜のお話の続編になります。
622
:
1.
:2004/07/14(水) 16:07
あれから、3ケ月。
最近のよっすぃーと私は、中学生の頃までのように仲が良くて。
窓からの互いの部屋への行き来も、再開していた。
623
:
1.
:2004/07/14(水) 16:07
私の部屋とは正反対の、落ち着いた雰囲気のモノトーンの部屋で、
サークルの事とかを、よっすぃーに話すのが最近の楽しみだった。
よっすぃーとのおしゃべりは、楽しくて。私を中学生の頃に戻った
ような気持ちにさせる。けど…
「梨華ちゃん、キスしていい?…ってか…する」
「んっ…ぅ…」
たまに、こうやってキスをされたりして。
「よっ…すぃー、わ、私…もう、帰る…」
「…まだ、いいじゃん」
「んっっ…やっ…もう、ダメ…だよ」
「梨華ちゃん…」
不意に、強く抱きしめられて。
「くるし…放して…」
「…早く…」
「えっ?」
「早くうちのこと、好きになって…じゃないと、うち…もう…」
こんな事を囁かれてしまうと、やっぱりあの頃とは違うんだって…。
ずっとこのままじゃ、いられないのかな?
仲良しのままじゃ、ダメなのかな?
私はこのままで十分幸せなんだけど…よっすぃーは違うみたいで。
なんか…自分がよっすぃーを苦しめているみたいで、辛くって。
だんだん…よっすぃーに、会いづらくなってしまった…。
624
:
2.
:2004/07/14(水) 16:08
「バイト始めたし…サークルも忙しくて。あと、試験も近いし…」
会えない理由を並べて、一週間が過ぎた。
625
:
2.
:2004/07/14(水) 16:08
サークルの練習帰り。先輩に駅まで送ってもらった私は、そこで
よっすぃーとばったり会ってしまって…こんな偶然、嬉しくない。
「梨華ちゃん…今、大学の帰り?」
「う、うんっ」
「一緒に帰ろうよ」
久し振りに会ったっていうのに、よっすぃーは至って普通で。
気まずさのカケラも無くて、拍子抜けする。
「梨華ちゃん」
10日近く会ってないことなんて…よっすぃーには、やっぱり関係
ないのかな…?
「梨華ちゃん…こっち向いて」
「えっ?」
ぼーっとしていたら、よっすぃーに呼び止められた。そろそろ家も
近いのに…「何?」って顔を上げたら
「んっ…っっ…!んんっ」
いきなり―――噛み付くようなキスをされた。
626
:
2.
:2004/07/14(水) 16:09
「ちょっ…まっ…て、っ…んっ!何っ」
「黙って」
「やめ…よっすぃ…んーっっ」
こんな乱暴な、強引なキス………
「やめ…て、ここ…どこだと、思っ…」
「大声…出す方が…」
「…んっ」
「人が来ると…思うけど?」
「何言っ…ちょっ、本当に…やっ」
「―――さっきの奴」
「え?」
「あいつとずっと…一緒だったんだ?」
「あ、あれは…サークルの先輩でっ…」
送ってもらっただけ…って言いかけた私に、よっすぃーは苦しそうに
眉を寄せて。
「………中学の時と同じ…」
「…え?」
「うちを…避けた―――」
「よっ、すぃー…」
627
:
2.
:2004/07/14(水) 16:17
>>619
名無し(0´〜`0)様
よかったですかぁー!
ありがとうございますm(_ _)m
短いお話ですが、続編もお付き合い頂ければ幸いです。
>>620
603様
吉澤さん救済のハズが…やっぱり切なくなっちゃいました。
次回、反撃開始!?
628
:
603
:2004/07/14(水) 22:00
んあぁぁぁ・・・がんがれよっすぃ〜!
鈍感チャーミーを目覚めさせるのよ!(笑)
てか梨華ちゃんも罪な女ね・・・。
629
:
3.
:2004/07/15(木) 14:34
うそっ…よっすぃーが―――よっすぃーが、泣くなんて…
630
:
3.
:2004/07/15(木) 14:35
「ご、ごめん…私、避けるなんて…そんなつもりじゃ、無くて…」
「本当、に?」
「…うん」
頷くと、よっすぃーは安心したように、私を強く抱きしめた。
「…ね、ねっ、よっすぃー…」
「梨華ちゃん…」
「こ、ここ路上だからっ」
「我慢できない…もう、いっそ…今すぐ、ここで―――」
「………!!」
こ、ここで?ここで!?よ、よっすぃーって…よっすぃーは―――
こんな人だったっけ…?
「避けられて、一週間以上会えなくて…」
「避けるつもりじゃ…」
「その間、梨華ちゃんはあいつと…先輩とイチャイチャ…」
「そ、それは違が…」
「うちがどれだけ傷ついたか…梨華ちゃんは全然わかってない…」
「…ごめんね」
「それだけ?」
「え?」
「うちはとっても寛大だから、許してあげてもいいけど…代わりに、
二度と避けないって証拠が欲しいな」
私の肩に埋めていた顔を上げて、ニッと笑ったよっすぃーが…一瞬
悪魔に見えて、背筋が寒くなる。
「そう、例えば…梨華ちゃんからキスしてくれるとか?」
631
:
3.
:2004/07/15(木) 14:35
「…なっ、なっ、なっ、何言ってるのよ…!」
「じゃあ、ここで襲う」
「おそ…っ」
それって、さっきまで泣いてた人が言うセリフーーー!?
「梨華ちゃんはわかってない」
うちがどれだけ梨華ちゃんのこと好きか
うちがどれだけ梨華ちゃんが欲しいのか
「もう絶対…よっすぃーの涙は信じない」
「ご自由に…で、どうする?」
「だだだだって、ひっ、人が…来るかもしれないし」
「関係ない」
「さ、さっきキスしたし」
「梨華ちゃんからしてない」
「あ、あとで…あとでする!」
「却下」
「っっっ」
「ねぇ、梨華ちゃん…本当にごめんって思ってる?」
「………思ってるよ」
「じゃあ、どーすんの?」
「………」
―――それは、さっきまでの激しいものではなくて。
だからこそ、すごく…恥ずかしかった。
632
:
4.
:2004/07/15(木) 14:36
私とよっすぃーはすでに、その…体を重ねてるし。(酔ってたけど)
小学生のときにはすでに、キスしていたりする。(軽いものだけど)
それでも…恥ずかしいものは、恥ずかしいのーーーっ
633
:
4.
:2004/07/15(木) 14:37
再び家までの道のりを一緒に歩き出したよっすぃーと私。
さっきのキスのせいで、私の顔は真っ赤で、足元もおぼつかなくて、
目も合わせられなくて、口もきけなくて…
「…梨華ちゃん」
「えっ、あっ、ななななな何?」
「その…うちに寄ってかない?」
「ななななななな何しに!?何のために!?」
「別に…。いつも用なんて無いじゃん」
「そ、そうだけど…。今日は…やめ、とく…」
「ふーん…」
………「ふーん」?「ふーん」って何よ!?「ふーん」てっ!!
ああそう。そーいうこと言うんだ。先輩とはずうっと一緒だった
のにうちと過ごす時間は、ほんのちょっとも無いわけか。泣かせた
うちに対する思いやりも全く無い…と。ああ、そうだろうね。その
程度しかうちのこと思ってないんだろうね。ああ、よくわかったよ。
わかりましたよ。今度という今度はよーーーく…
とか、思ってるんでしょっ!!(※全て妄想)
「わかったわよ!行く!行けばいいんでしょ!」
「…何、怒ってるの?」
「もーいいの!」
「梨華ちゃん…あのさ、うち…もう少しだけ、梨華ちゃんに一緒に
いて欲しい…」
まだ離れたくない―――それが理由じゃダメかな?
「………ちょっ、ちょっと寄るだけ…だよ?」
そう言った私に、よっすぃーは「うん」って嬉しそうに頷いて。
―――何か…今さら自覚した。よっすぃーは…私のことが好きなんだ。
634
:
4.
:2004/07/15(木) 14:41
更新しました。
鈍感チャーミー、目覚めるか!?
635
:
5.
:2004/07/16(金) 21:24
ずっと言われてはいたけど…信じてなかったわけじゃないけど―――
636
:
5.
:2004/07/16(金) 21:24
「…梨華ちゃん?どうかした?」
「べっ…べつに」
「そう?ならいいけど…どうぞ、入って?」
「う、うん」
何で来ちゃったのかな…私。今さらだけど…なんか、緊張してきた…
「飲み物、持ってくるね」
「…うん」
よっすぃーが部屋を出て行って、腰掛けようとした私。あれ?いつも
どこに座ってたっけ?
たぶん…小さな二人掛けのソファに座って、よっすぃーと並んでテレビ
を見てるとか。ベッドに腰掛けて、おしゃべりしてるとかなんだけど…
なんか…なんか………
「あれ?梨華ちゃん、座んないの?」
突っ立ったままの私に、飲み物を手に戻ってきたよっすぃーが言って。
私は促されるままにソファに座って、よっすぃーは当たり前のように
隣に腰掛けた。
狭いソファの上で、私の意識はよっすぃーの体温とか、時々触れ合う腕
とかに集中してしまって…や、やだ…何で?…すごい、ドキドキ…する…
637
:
6.
:2004/07/16(金) 21:25
いつもより無口な私とは対照的に、いつもより饒舌なよっすぃー。
638
:
6.
:2004/07/16(金) 21:25
ニコニコしながら、学校の事とかを上機嫌で話すよっすぃーが珍しくて、
私はいつかみたいに話を聞くよりも、よっすぃーの笑顔に見惚れていた。
久し振りに私と会えたから…とか?
私からのキスが嬉しかった…とか?
笑顔の理由をそんな風に考えて、一人で赤くなったりして。
「梨華ちゃん」
「えっ、あっ、な…何?」
「自覚してないみたいだから、言っておくけど…」
そーゆー顔してると、マジで襲うよ
「お、おそっ、襲うとかっ…言わないでよ…!」
「いや…本気でうちもそろそろ限界だし…だからもう帰った方がいいかも」
「なっ、何でそーっ…よっすぃーのそーゆートコ嫌いっ!」
「…いや…うちは一応、梨華ちゃんのために…」
「よっすぃーはっっ、よっすぃーは…」
落ち着いていて、強引で、冷たいと思うほど、熱っぽくって、静かで、
泣いたりしたくせに、意地悪で、すごく優しくて…
一緒にいて欲しいって言ったくせに…帰った方がいいだなんて―――
「よっすぃーは、いつも…いつも自分ばっか言いたいこと言って…っ
平然とした顔してて、何考えてるか…全ッ然わかんないしっ…」
「………つまり、何が言いたいの?」
「ほらまたっ、そうやって落ち着き払って…」
「だって…ワケわかんないし」
「わ、私だって…ワケわかんないよぉ………」
639
:
7.
:2004/07/16(金) 21:30
突然泣き出した私に、よっすぃーは理由がわからなくて困った様子で。
自分でも理由がわからなくて、さらに泣きたくなって。
640
:
7.
:2004/07/16(金) 21:31
「何で…泣くの?」
「もー、やだぁ…知らないよ…バカぁっ…」
何でこんな気持ちになるの?どうしたいの?私はどうしたらいいの?
「………梨華ちゃんが」
梨華ちゃんが…悪いんだからね―――
「んっっ!!」
口付けてソファに押し倒されると、濡れた温かな舌に中をかき回される。
そしていつかみたいに手際よくボタンが外され、胸元からよっすぃーの
手が進入してきた…。
「んんっ…や………やだぁっ…!」
よっすぃーを押し返した私は、息を整えながら下から少し這い出して、
上体を起こした。よっすぃーは、乱れた服を戻そうとした私を抱きしめて。
「…だから…帰った方がいいって言ったのに」
「だっ、だって…」
「ましてやそんな可愛い行動とられたら、余計困るじゃん」
よっすぃーは抱きしめる腕に力を込めると。
「…ごめん、しばらく…こうしてて…そうすれば…止められるから」
「と、止められるって…何を?」
「卒業式の夜みたいになること」
!!!!!
641
:
7.
:2004/07/16(金) 21:32
「し、しばらくって…どのくらい?」
「さぁ」
「さぁって…」
そんなの困る…こんな風にされてたら…し、心臓が―――
トクン、トクン、トクン………
あっ…よっすぃーの心臓の音、聞こえる…
私よりも力強いその音が、私よりも早く鳴っている事に気付いたら…
何だか、吸い寄せられるようにして、よっすぃーを抱きしめ返していた。
「…梨華ちゃん?」
「あっ…も、もう、止まったの?」
「ああ…うん。そーかも」
私、何で…何して…。慌ててよっすぃーから離れて、ソファに座り直す。
「んじゃ…梨華ちゃん帰る?」
「うん」って言おうとしたんだけど、言えなくて、言いたくなくて…
よっすぃーに抱きついてしまった。
「…だから、そーゆーことすると…ほら…うち、また危うくなるから…
折角止めたのに…梨華ちゃん、どーしたの?」
「わっ…わかんない…けど私…」
…よっすぃーのこと…好き、かも…
642
:
8.
:2004/07/16(金) 21:32
「それは勘違いでしょ」
「なっ、何でよっ」
「だって、さっきも今もキス嫌がったし」
「キ、キスって…あんなの…イキナリあんなのされたら、誰だって…
嫌がるよっ」
「そんなこともないよ」
「と…とにかくっ…わ、私はっ…私は………」
…結局上手く言葉に出来なくて、またよっすぃーをきつく抱きしめて。
「…梨華ちゃん…何か…変だよ」
「もー、うるさいよっ…よっすぃーのせいだよ…」
「うちの?」
「そうだよ」
絶対、絶対、よっすぃーのせいだ。こんなにドキドキするのも、こんなに
泣きたくなるのもよっすぃーといるときだけだもん。
「うちは…どーしたらいいの?」
「…い、いつもみたいに…ギュッてしてよ…」
「………わかった…ギュッってする…ついでに、キスしていい?」
「バ、バカっ……………ぃいよ…」
いつも…よっすぃーのちょっとした言動に傷ついたり、嬉しくなったり…
―――何か…今さら自覚した。私は…よっすぃーのことが、かなり前から
好きだったらしい。
―おわり―
643
:
8.
:2004/07/16(金) 21:44
思ったよりも長くなってしまいそうなので、突然ですが続編を
一旦終了させて頂きました。よっすぃー、また生殺しだよ…。
この後の2人については、続・続編というカタチで書かせて
頂きたいと思っております。
644
:
603
:2004/07/17(土) 00:03
よっすぃ〜がとても不憫に思えるのは私の気のせいでしょうか・・・。
がんがれ!よっすぃ〜!!
続・続編も楽しみにしてます。
645
:
名無し作者
:2004/07/18(日) 00:25
>>644
603様
基本的に…
(*^▽^)<何で?何で?わかんないよ〜
(0^〜^)<はぁ〜これだから梨華ちゃんは…
という図式なので、吉澤さんは不憫です(泣)
梨華ちゃん相手では、強引にもなりきれない
御様子…がんがれ、よっすぃー!
ということで、続・続編の前に番外編として
付き合い始めた(?)2人の夏休みのお話を
ひとつ書かせて頂きます。
>>595
〜のお話と、
>>622
〜のお話の番外編です。
646
:
夏休み
:2004/07/18(日) 00:26
「ねーねー、よっすぃーどっか遊びに行こーよぉー」
8月の前半はサークルの合宿があったりして、あまり会えなかったから、
(決して避けていたわけではない)一緒に出かけることも出来なかった。
647
:
夏休み
:2004/07/18(日) 00:27
「どっかって?」
「何処でもいーからさ、とにかくどっか行こーっ」
私は9月も休みだけどさ、よっすぃーは8月で休み終わっちゃうし…
2人でなんかしたいなぁって。
「服とか見ながらブラブラするだけでもいいしさぁー」
「あー………うん…」
「な…なによー、つまらなそうにしてっ…ヤならいいもん…」
「別に嫌じゃないけど…梨華ちゃんは楽しいの?」
「よ、よっすぃーはつまらないの?」
「いや、だから、梨華ちゃんはどーなの?」
って…何でそんなこと聞くのよっ!
「っっっ嫌なら嫌って言えばいーでしょ!いーよ、もうっ」
「どーして梨華ちゃんは、そうやっていちいちひねくれて捉えるかな?」
ひねくれてないっっ!!だって、だって…
「よっすぃー、最近何か…私が来ると冷たいもんっ!座るトコだって
私はソファで、よっすぃーはベッドで…この頃ずっとそーじゃんよっ
それって私が来るのが迷惑だからでしょっっ」
「あのね…うちがこっちに座ってるのは」
よっすぃーは、ちょいちょいって私を手招きして。
「梨華ちゃんと向かい合ってるとこういうことしたくなるから…」
ってキスをしようとした。
648
:
夏休み
:2004/07/18(日) 00:28
「―――っ、ちょっと!」
「ほらね、梨華ちゃん嫌がるでしょ?
だから心身共に距離とってるの。我慢してるんだよ、いろいろ」
「べ、別に嫌がってるわけじゃないけど…ドキドキするからなんか…
ヤなんだもん」
「嫌がってるじゃん」
「………そんな…ガマン、しなくたって…いいじゃんよ…」
キ、キスくらい…
「そ?んじゃ…」
「な、何で立つの?」
「しにくいじゃん」
「し、し、舌はやめてね…?軽くチュッて…」
「久し振りなんだから、そういう事言うのナシね」
「じゃ、ダメ!やっぱりダメっっ」
「もー、遅いよ」
言葉通り最初から遠慮なしに差し入れられた舌が、ゆっくりと動いて…
「んっ…んんぅっ…ぁっ…」
抱きしめられた体から染み込んで来る、重ねた唇から流れ込んでくる
よっすぃーのぬくもりに、溺れてしまいそうに…
「!!!…ちょっ!?…やっ」
「…何?」
「『何』じゃなくてっ、手っ!!」
よっすぃーの手はバッチリ私のTシャツを捲り上げ、胸を緩く撫でていた。
649
:
夏休み
:2004/07/18(日) 00:29
「あ…無意識だった」
む、無意識〜!?
「折角だし、このまま本能にまかせてみようか…」
「ちょっ…ぁっ…」
ベットに押し倒されて、抵抗するも、力の差は歴然。
「梨華ちゃん、大好き」
よっすぃーの手がスカートの中に入ってきて…
「ま、待てってば…っ」
「待たない…うちの理性も夏休み…」
太腿を撫でながら、よっすぃーの顔が近付いて来て、キスをされる。
さっきよりも一層熱っぽく舌を絡められ、息継ぎしては、角度を変えて
また唇を重ねられて…。
「んっっ…ぁっ…も、もう…ダメだ…よ」
「梨華ちゃん…好きだよ」
私の言葉が聞こえないみたいに囁くと、よっすぃーの指が下着の中に
入ってきて…そこを這い出した…。
「やっっ…何して…っ」
「気持ち良くない?」
「わか…そ…なの…わかんな…」
650
:
夏休み
:2004/07/18(日) 00:29
よっすぃーの長い指がそこを行き来する度に、頭の芯が痺れるみたいに
なって…何か…変だよ…な、何も…何も考えられない…
「っ…も…ヤメ…変にな…」
「何も考えなくていいよ」
変になって大丈夫だから…うちだけ感じてて―――
「っっ…んっ…ぁっっ…」
「…梨華ちゃん、好き…」
囁いて落とされた唇に、縋るように舌を絡めた…
「んっ…んんっ…っ…」
「梨華…大好きだよ…」
よっすぃーの指の動きが早くなっていく………もう…ダメっ…やっ…
「―――っっ…」
―――真っ白になってしまったぐちゃぐちゃの頭と、荒い呼吸を必死に
戻そうとしていたら
「気持ち良かった?」
!!!!! バチンッッ
651
:
夏休み
:2004/07/18(日) 00:30
「…痛いじゃん、何すんの」
「ばっバカ…よっすぃー…ひどいよ…い、いきなりぃ………」
「泣くことないじゃん、そんな…」
「…もっ…よっすぃー、ヤだぁっっ」
「あー、もー、ごめんってば…そんな泣かれたら、うちだって
ショックじゃんか………」
よっすぃーがギュって私を抱きしめて髪を撫でるから、つい反射的に
しがみ付いてしまう…
「………そんなに嫌だった?」
「………こわ…かった…」
「でも梨華ちゃんが言ったんだよ、我慢しなくていいって」
「こーゆーイミで言ってないもんっ!キスだって軽くって言っ…」
言いかけた私に、よっすぃーはチュッってキスをして優しく微笑んだ。
「で、いつにするの?どっか遊びに行くんでしょ?」
よっすぃーのこーゆートコ嫌い…
こんなタイミングでそーゆー顔したり、こんな風にされたら―――
何だって許しちゃうじゃない…。
―おわり―
652
:
名無し(0´〜`0)
:2004/07/18(日) 17:32
ハァ━━━━━━ ;´Д` ━━━━━━ン!!!!
続・続編もキタイ
653
:
603
:2004/07/18(日) 23:22
652さんと同じく・・・
ハァ━━━━━━ ;´Д` ━━━━━━ン!!!!
なんだかんだで石川さん・・・
ほ れ て ま す ね。
続・続編超期待しとります。
654
:
名無し作者
:2004/07/30(金) 01:09
>>652
名無し(0´〜`0)様
レスありがとうございます。
続・続編もお付き合い頂ければと思います。
>>653
603様
番外編お楽しみ頂けたようで幸いです。
少しだけ吉澤さん救済できたかな?
一週間以上も間が空いてしまいましたが、
>>595
〜のお話の続・続編を書かせて頂きます。
655
:
1.
:2004/07/30(金) 01:10
よっすぃーと私は相変わらず(?)仲良くやっている…仲良く―――…
656
:
1.
:2004/07/30(金) 01:11
「よっ、よっすぃーっっ…ちょっ、待っ…!!」
よっすぃーの部屋にいる私は、現在非常に危険な状況で…
「あっ…やだっっ…い、嫌っ…やだって…っ」
夏休みに変なコトされてから何となく恐くて、なるべく外とか私の部屋
で会うようにしてて…今日は勇気を出して久し振りによっすぃーの部屋
に来たんだけど…
「梨華ちゃん……」
胸を撫でながら、よっすぃーの顔が近付いて来る。
ダメっ!!
こんな状態でいつものようなキスをされたら、完全に抵抗出来なくなって
しまう。
「待て、待て待て待て待て待て!!」
慌てて両腕を交差させ、顔を覆った私。
「………何?」
「な、何考えてるのよ…よっすぃーはっ!」
「何って…梨華ちゃんのことしか考えてないけど?」
いつものように、平然と答えるよっすぃー。ストレートな言葉に、顔が
赤くなるけど………ダメダメっ!嬉しがってる場合じゃないんだった!
657
:
1.
:2004/07/30(金) 01:12
「わ、私は…していい、なんて…言ってないし」
「ダメなの?」
「だ、だって…」
―――何で…そんな嫌がんの?
「梨華ちゃん…ホントにうちのこと好きなの?」
好き!好きだもん。好きだけど…
「何か恐いん…だもん」
…よっすぃーが触ったトコとか…変な感じがしてきて…だ、だんだん
おかしくなって…じ、自分で自分がわかんなくなって…何も考えられ
なくなっちゃって…
「そういうのっ…また、あ、あの夏休みの時みたいになっちゃうの…
恐いもんっ…」
よっすぃーも何か…よっすぃーじゃないみたいで…
「うちが、恐かったの?」
「そ、そうじゃなくて…私は、自分が変になっちゃうのが恐いのっ…!」
「気持ち良くなかった?」
「しっ、知らないそんなの!!」
「梨華ちゃんはうちのこと好きじゃないの?」
「…す…好き…だもん…バカっ…!!」
「んじゃ、うちが…」
658
:
1.
:2004/07/30(金) 01:12
梨華ちゃんが何も考えられなくなっちゃっても、それはうちのせいで…
うちが傍にいるから大丈夫―――
「っていう考え方はダメ?恐い?」
「………わ、私だって聞きたいよ。どうしてそんなによっすぃーは…
そういうコト…したがるの?」
「どうしてって…好きだからじゃないの?」
「で、でもおかしいもん!すぐヘンなコトしようとするっ!!」
「だから、好きだから」
梨華ちゃん見てたらいつだって思うよ…抱きしめたい、キスしたい、
その先もって…
「それは相手が梨華ちゃんだから思うんでしょ?
梨華ちゃんを好きだから。梨華ちゃんにしか思わないし…」
そう言って真っ直ぐに私を見つめるよっすぃーは、ずるいと思う。
ほら、もう私は…頬に添えられた手を、近づく唇を拒む事が出来ない…。
「………んっ」
でも…私も、キスしたいって思うのはよっすぃーだけ―――
「で、まだ恐い?」
「…わかんない」
こんなこと言ったら、また『これだから梨華ちゃんは…』って言われる
かと思ったんだけど、よっすぃーは『そっか』って言って…私を優しく
抱き締めるだけだった。
659
:
1.
:2004/07/30(金) 01:12
―――結局、帰るまでよっすぃーに抱き締められたままでいたんだけど。
『―――最後まで』
『えっ?』
『あの時…卒業式の夜、最後までしておけばよかった…』
帰る直前によっすぃーに言われた言葉が気になって、その日はよく眠れ
なかった…。
660
:
603
:2004/08/06(金) 19:23
おぉぅ!続・続編始まってたんですね♪
なにやらよっすぃ〜がまた不憫な感じ・・・。
今度こそよっさんに幸あれと祈っております(笑)
がんがってください!
661
:
2.
:2004/08/08(日) 03:00
それから、1ヶ月くらい経ったかな。
662
:
2.
:2004/08/08(日) 03:01
私は受験生のよっすぃーに勉強を教えることになった。ホントは頭の
良いよっすぃーに、私が教える必要なんて全然無いんだけどね。たま
にはお姉さんらしいトコも見せたいし、なんて…だけどそう思い通り
にもいかないみたい…
「梨華ちゃんはさ、いつになったら続きさせてくれるの?」
「え?…続きって…?」
「…こーゆう」
って私の顔を両手で挟んで、キスの構え。
「わっ…わかった!わかったからっ」
「今うちで勉強教えてくれてるのも、うちが『何もしない』って約束
しなかったら来なかったんでしょ?」
うっ………図星。
「んで、『理性保てるかわからないから、一緒に勉強は止めておこう』
って言ったら変な顔するし」
「………だ………だっ…て…」
「―――ごめん、余計な話した。気にしなくていいから」
気に………しちゃうよ…
私だって…これでも心の準備をしようと一生懸命で…前によっすぃーに
言われたこと、ホントは…わからなくも無かったし…だけど………
『最後までしておけばよかった…』
その「最後」の意味がわからないから余計に恐くなったんだってっっ!!
663
:
2.
:2004/08/08(日) 03:02
頭の中はゴチャゴチャで、胸の中はモヤモヤで、上の空の私。
結局、大して勉強を教える事も無く時間は過ぎていたみたいで。
「そろそろ終わろうか?送ってく?」
「いーよっ、隣だもん!」
「………」
「な…何?」
「…別に」
って言ったよっすぃーの顔が近づいて来て―――チュッ
「…っ」
「また明日」
「うん…じゃ、じゃあね」
家に帰ると「ただいま」も言わずに自分の部屋に上がって、バタンって
ベッドに突っ伏した。
―――久し振りに…キスした…
ゴロンと転がって天井を見つめながら、唇に触れてみる。
ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ
軽く、触れるだけのキスなのに…ウルサイくらいに心臓が鳴っている。
なんか、私…一人で勝手に悩んだり、ドキドキしたり…バカみたい…
「よっすぃーが先に好きって言ったくせに…」
近くにいるのに、届かない呟き。
664
:
2.
:2004/08/08(日) 03:02
最近、なんか…よっすぃーと一緒にいても通じ合えないっていうか…
遠い気がする…。
『梨華ちゃん見てたらいつだって思うよ…抱きしめたい、キスしたい、
その先もって…』
その言葉とは裏腹に、あの日からよっすぃーは以前のように迫らなく
なった。それは私にとっては良いことなんだけど…なんだと思うけど…
「久し振りに…キスしたなぁ…」
無表情で強引で何考えてるか分からなくて…でも、もっとよっすぃーの
こと分かりたいし…分かって…――分かって欲しいのに…
私がよっすぃーに近づけなくて、よっすぃーが私を離せなくて、
私がよっすぃーを離せなくて、よっすぃーが私に近づけない…
どうしてうまく行かないのかな?うまく言えないのかな?ホントは私、
よっすぃーのこと見てるだけで辛いのに…よっすぃーはどう思ってるの?
この、近づく事も離れる事も出来ない、この状況を――…
665
:
2.
:2004/08/08(日) 03:06
少しだけですが、更新しました。
>>660
603様
次回あたりから動きがあるかと思われます。
がんがれよっすぃーと唱えながらご覧下さい(笑)
666
:
名無し(0´〜`0)
:2004/08/08(日) 04:08
作者さん交信乙です。
次回から動きがあるんですね(*´Д`)ポワワ
楽しみに待ってます〜。
667
:
603
:2004/08/08(日) 14:48
おっ??
鈍感チャ―ミーがようやく目覚めてきたのでしょうか?
次回からが非っ常〜に待ち遠しい…。
がんがれよっすぃーがんがれよっすぃーがんがれよっすぃー…(以下エンドレス)
作者様もがんがってくださいませ。
668
:
名無し(0´〜`0)
:2004/08/26(木) 23:16
待ってます・・・。
669
:
名無し(0´〜`0)
:2004/08/30(月) 00:50
がんがれ作者
670
:
名無し(0´〜`0)
:2004/09/12(日) 22:44
待つ!
梨華ちゃんかわいい
671
:
606
:2004/09/27(月) 23:38
自分も待ってます!
672
:
3.
:2004/10/05(火) 17:13
よっすぃーが学校の話をする時、必ず登場する女の子。それが“ごっちん”。
そして、多分、よっすぃーの一番近くにいる女の子。それも“ごっちん”。
673
:
3.
:2004/10/05(火) 17:13
よっすぃーいわく、「ごっちんとは趣味が似てて、何か気が合う」らしい。
よくわかんないけど「マブダチってヤツ?」らしい。
白と黒。悪魔と天使。アルト声とアニメ声。
つまりは何もかもが正反対のよっすぃーと私とは、大違いって事で。
正直、それを羨ましいと感じた事もあったし。
私の知らない“高校生のよっすぃー”をいっぱい知っているのだって…。
けど、それでも私が“ごっちん”に嫉妬心を抱かなかったのは、よっすぃー
の話から想像される彼女が、あまりによっすぃーに似た美少年(?)だった
からで。一度見てみたいかも、なんて…なのに………
目の前にいる“ごっちん”は、超、超美少女なんですけどーっ!?―――
674
:
3.
:2004/10/05(火) 17:14
―――4限が休講でいつもより早く帰宅した私は、ある壮大な計画を思い
付いて、中学の頃みたいに部屋の窓からよっすぃーの部屋に入っていった。
普通によっすぃーの家に行ったって「上がって待ってて」って、よっすぃー
の部屋で待たせてくれると思うんだけど…ごめんね、おばさん…。それじゃ
この計画の意味が無いのっ!いつか私がされたみたいに、窓からよっすぃー
の部屋に入って、帰ってきたよっすぃーに「2階だからって、開けっ放しは
危ないよ」って言ってやるんだからっ!
何とか窓から部屋に入り、よっすぃーへの小さな対抗に胸を膨らませている
と、階段を上がる足音に気付いた。
帰ってきたっ!!
足音が部屋の前で止まり、ノブが回され、ドアがゆっくり開く。そして私は
驚くよっすぃーに、平然とした顔で窓を指差して言うんだ………
「なっ、なっ…」
「アレ?ごとー、間違えた?」
入って来たのは、“ごっちん”だった―――。
675
:
4.
:2004/10/05(火) 17:16
想像と全然違ったのに、すぐに分かった。目の前にいるこの“ごとー”さん
が“ごっちん”だって。一目で人を惹きつける、そのオーラが。あまりに
よっすぃーに似ていたから。
676
:
4.
:2004/10/05(火) 17:17
「ここって、よしこ…じゃないや、吉澤ひとみサンの部屋だよね?」
「そ、そう………です」
「良かった〜、間違えたかと思った。で、おねーさんは?」
「わ、私はただのお隣さんで…これ!借りてたから、返しに来ただけで…」
って、その辺にあったCDを掴んで、下手な言い訳をした私を疑う事も無く
“ごっちん”はふにゃ〜っとした笑顔を見せると
「そうなんだぁ。おばさん、先客が居るなんて言ってなかったからさ〜、
ごとー、部屋間違えちゃったのかと思ったよ〜、あはっ」
あっ、笑顔……すごく…カワイイ…。大人っぽいし………なんか………
「あ〜あたし、後藤真希ね?おねーさんは?」
「石川…梨華」
「梨華ちゃんかぁ〜…名前までカワイイね〜。いくつ?ごとーと同じ位?」
「…よっ…ひとみちゃんの…一つ上」
「じゃあ、やっぱりおねーさんだ。ごとーはね、よしこのクラスメートで…
彼女―――だった人」
えっ?
677
:
4.
:2004/10/05(火) 17:17
「モトカノってやつ?4月まで付き合ってたんだけど、フラれちゃったの」
4月―――?
「…し、4月って…高3の…?」
「そうだよ〜。って言っても3年になってすぐには別れてたかな…なぁんて
そんなコト聞かないでよぉ〜〜〜」
4月………え!?
あれ?私が最初によっすぃーに襲われたのが卒業式の時だから…3月末とか
じゃ………あれ?
「ねぇねぇよしこって今、付き合ってる人とかっているのかな?」
「へっ?」
「知らない?」
「………わ、わかんない…」
「そっかぁ…でも好きな人はいるんだよねぇ…それでフラれたんだし…」
私って…よっすぃーの何?…あれ?そもそも付き合ってるんだっけ?
…あれ??恋人?恋人って何?あれれれ?
「どんな人かな〜、よしこが好きなひとって…」
678
:
4.
:2004/10/05(火) 17:18
「ホントはさぁ、よしこと…もう一回ちゃんと落ち着いて話して…告白し
直したいんだよね…」
「―――まだ…好きなんだ…よっすぃーのこと………」
「や〜、ごとーにもよくわからないんだけど…よしことは気合うしさ…
それに、高校ではかなりモテるしね」
「そう、なの?」
「そうだよ〜。よしこって頭いいし、運動も出来るし、顔も整ってるし、
クールなのに何か気がきいて優しくて…それにごとーは―――」
体の相性も良かったと思うんだけどなぁ
――――――――――え?
「よしこは違ったのかなぁ…って、こんな話されても困るよね…あはっ」
「ごめん…帰るっ」
「えっ?よしこの帰り、待たなくて良いの?」
「CD…返しに、来ただけだしっ」
「そっか、なんかごめんね〜、引き止めちゃって」
「バ、バイバイっ」
679
:
4.
:2004/10/05(火) 17:18
自分の部屋に駆け戻って、布団を被る。
やだ…嫌っ!!!
『いつになったら続きさせてくれるの?』
好きだからって言った!!私を好きだから思うんだって…私にしか思わ
ないって言った!!あの子とは…私より―――したんだ「最後」まで。
モトカノだから?好きだったから?あの子にも好きだよって言ったの?
モトカノ?だったらなんで部屋に来たりするの?2人で何を話してるの?
2人で何を―――
「嫌っ!!!」
布団の中で、どんなに目をつぶっても、耳を塞いでも、2人の声が聞こえて
来るようで…私は家を飛び出した。
680
:
4.
:2004/10/05(火) 17:36
>>666
名無し(0´〜`0)様
お待たせし過ぎました。すみません…。
>>667
603様
非っ常〜にお待たせしました。本当にすみません…。
>>668
>>669
>>670
名無し(0´〜`0)様
>>671
606様
皆様の暖かい励ましにより、帰って参りました。
ありがとうございます・゚・(ノД`)・゚・。
( ´ Д `)<必ず完結させますよ〜
681
:
名無し(0´〜`0)
:2004/10/05(火) 20:30
待ってましたよ〜作者さーん!
これはこれは後藤さん。いいタイミングですね〜。
でもっていい展開になってきましたね〜。
これからもマターリ待っております。頑張ってください!
682
:
名無し(0´〜`0)
:2004/10/07(木) 10:44
お待ちしておりました〜
楽しみにしてるので頑張って下さいね
683
:
5.
:2004/10/07(木) 23:45
結局、昨日はあてもなく駅前をブラブラして。暗くなってから家に帰った。
684
:
5.
:2004/10/07(木) 23:45
部屋に戻ってから気付いた。メールなんて滅多に送ってこないよっすぃー
から「今どこ?」って。でも…無視した。
685
:
5.
:2004/10/07(木) 23:46
今日もまっすぐ家に帰る気にはなれなくて、サークルの友達と夕飯を食べて
から家に帰る。夜道が少し恐いな。なんて思っていたら、前に立ちはだかる
背の高い人影に気付いた。
顔を上げなくても分かる…。それが今、一番会いたくない人だってコト。
「遅かったね」
「………」
「…昨日…悪かった。部屋、来てくれたんでしょ?うち、帰り遅くてさ…
それにごっちんが…勝手に、上がり込んでたみたいで…迷惑かけた…」
「別に…迷惑なんて、かけられてないし…そうだとしても、よっすぃーが
謝ることじゃ…」
「でも、うちの友達だから」
「友達…じゃ…」
「え?」
「友達じゃなくて、元カノでしょ!」
顔を上げてよっすぃーを見た。いつも通りの冷静な顔なのが悔しい。
「………でも今は…ただの友達だよ」
「…4月まで…付き合ってたって言ってた………
それってあの…あの卒業式の夜の時、まだ付き合ってたって事でしょ!
昨日だって、部屋に呼んだりして…」
「なんだよそれっ」
「…もーいい!どいてよ!」
686
:
5.
:2004/10/07(木) 23:47
横をすり抜けようとした私の腕を、よっすぃーが掴む。
「梨華ちゃん、落ち着いてよ…何でごっちんとそんな話までしてんの?
確かにあいつとは…」
「あの子とは『最後まで』したんだ」
違う…
「体の相性良かったんでしょ」
こんなこと言いたいんじゃ…
「…なによ…私と…じゃなくたって…」
違う!ダメ!!
―――あの子とすればいいじゃない―――
「………それ、本気で言ってんの?」
その瞬間、私を掴んでいた手に…痛いほど力が込められた。
「…梨華ちゃんいつもうちが…どんだけ我慢してると思ってんの」
声を荒げる事もなく、静かに放たれる言葉が。
「………痛い」
「………ごめん」
緩んだ手を振り払うと、逃げるようにして家まで走った。
687
:
5.
:2004/10/07(木) 23:47
―――怒った。怒らせた。すごく。すごく怒ってた。
『いつもうちが…どんだけ我慢してると思ってんの』
わかんないよ、もう…全然わかんないよ。すればいいの?最後までしたら
何か変わるの?この不安とか、嫌なモヤモヤは………消えるの―――?
688
:
5.
:2004/10/07(木) 23:59
更新しました。
>>681
名無し(0´〜`0)様
後藤さん登場ですよ〜。
次回あたり、再登場の予感w
>>682
名無し(0´〜`0)様
レスありがとうございます!
マターリ見守っていてくださいw
689
:
603
:2004/10/08(金) 22:14
んぁぁぁ!!待ってましたです!!(嬉泣)
・・・でもなにやら雲行きが・・・(汗)
二人にピンク色な結末がくることを心より祈っております。
がんがれ!よっすぃ〜!!
690
:
名無し(0´〜`0)
:2004/10/09(土) 00:21
ホント、よっすぃがんがれですね
後藤さんの再登場に期待。鈍感石川さんをなんとかしちくれw
691
:
名無し(0´〜`0)
:2004/10/11(月) 00:03
梨華ちゃん素直になって
692
:
6.
:2004/10/12(火) 02:08
『頭いいし、運動も出来るし、顔も整ってるし、クールなのに何か気がきい
て優しくて…』
そんなの…知ってるもん。
693
:
6.
:2004/10/12(火) 02:09
けど、私は勉強だって運動だって特別出来る訳じゃないし、ネガティブで、
モヤモヤしてばっかりで、全然優しく出来ないし…
だからこそ、大人っぽくて、可愛くて、よっすぃーの事をまだ好きで、
よっすぃーと、全部、してて…してるあの子が…あの子の方が………?
694
:
6.
:2004/10/12(火) 02:12
家に帰る時がイヤ。駅に着くと気が重くなる。「会いませんように」って、
ただそれだけ考えて、わざと人通りの少ない道を通って、足早に家へ帰る。
部屋にいる時はカーテンを閉めて…
って、これじゃぁまた私…よっすぃーのこと避けてるみたい…はぁ。
こんなのヤだなって思いながら、最近身に付いてしまったこの習慣を変える
こともできなくて。今日も足早に家に…帰ったら…家の前に見慣れた制服姿。
「梨華ちゃん」
えっ…
「後藤…さん?」
何で?って思って、思い当たって、2階を見上げた。
「あっ…よっすぃーまだ…帰って来てないんだ」
「ちがうちがう。今日はねぇ、梨華ちゃんに用があって来たんだよ〜」
「私に?」
「そのぉ…ごめんね〜」
「え?」
「やぁ〜…何かこの前、怒らせちゃった?みたいで…ごとーさぁ、一方的に
ベラベラとしゃべっちゃったし」
「………」
「だから…」
「ち、違うの!…私が…私が勝手に…ご、後藤さんは全然悪くない!」
必死に否定する私の後ろから…声がした。
「何か、用?」
695
:
6.
:2004/10/12(火) 02:13
「お帰り〜、よしこ」
「ごっちんさぁ…用があんなら、学校で話してって言ったじゃん」
「ちょっと、よっすぃー!そーゆー言い方ないでしょ!」
振り返って、一瞬よっすぃーに向けた視線を後藤さんに戻すと
「話!したいんだよね?」
「へ?」
「もう一回ちゃんと話したいって…しなよ、今!私もう帰るからっ」
「え…あ〜、うん」
「おいっ梨華ちゃ…」
「バイバイっ」
―――最低。
後藤さんの為じゃない。半分以上、よっすぃーへのイラ立ちから出た言葉。
それでこうしたコト、もう後悔してる。どうしようってそればっか頭の中を
グルグル回る。最低。
うまくいっちゃったらどうしようって、さっきから、そればっか考えてる…
だってあの子は、大人っぽくて可愛くて…
『そのぉ…ごめんね〜』
…――やさしい
どうしよう どうしようどうしようどうしよう
私、子供で優しく出来なくて最低だけど。それでも、私だって、
よっすぃーが好きだよぉ…
696
:
6.
:2004/10/12(火) 02:39
ちょとだけ更新。
>>689
603様
お待たせしましたです!!
どうやらまだ灰色の模様…(汗)
不器用な二人の結末を、どうか見守っていてやってください。
>>690
名無し(0´〜`0)様
後藤さん再登場ですw何かいつも唐突ですねぇ、この人は。
もうちょっと出演して頂きましょうか。
>>691
名無し(0´〜`0)様
自分の気持ちに素直になるのって、難しいみたいです。
(0^〜^)<梨華ちゃん、ポジティブポジティブ
(*^▽^)<………
697
:
603
:2004/10/13(水) 00:39
おぉぉぅ…ごっちゃんええ娘やね…。
梨華ちゃんが素直になる事を願いつつ…
(^▽^ )=3<フェードアウトォ!
698
:
名無し(0´〜`0)
:2004/10/16(土) 00:22
うひょー!695の最後の文章に激しく萌えました。
素直になるんだ!りかちゃーん!!
699
:
名無し(0´〜`0)
:2004/10/31(日) 04:31
考えてみたらよっすぃーもツライよなぁ
700
:
7.
:2004/11/08(月) 03:20
今更だけど、よっすぃーの事をすごくすごく好きだと自覚してしまって。
自分のとってしまった行動を、すごくすごく悔やんだ。
『よしこ、オッケーしてくれたから』
後藤さんの言葉を聞きながら、ああ“後悔先に立たず”ってこういう時に
使うんだろうな…なんて考えた。
701
:
7.
:2004/11/08(月) 03:21
「家に行くと、よしこ怒るからさ」
駅で待ってたんだって、私のコト。
よっすぃーに似てるな、唐突なトコ。
「昨日…ちゃんと話、出来た?」
「うん!そのお礼言いたくてさぁ〜」
「…いいのに、お礼なんて」
後藤さんの為じゃ…なかったのに。
「いやぁ〜、よしこにはずっと断られてたんだけど…―――」
どうしようどうしようどうしよう…もしかして、うまくいった?後藤さん
何かすごくスッキリした顔してるし…私、よっすぃーの事、怒らせたまま
だし…後藤さん、こんなに良い子だし…どうしよう どうしようどうし…
「―――…って、よしこ、オッケーしてくれたからさぁ。やっぱ梨華ちゃん
のお陰だよぉ!ありがとね〜」
………え?
「よっすぃーが…オッケーしたって言った…?………今………」
「えっ?うん」
―――――うそ
702
:
7.
:2004/11/08(月) 03:23
「あっ、やっばい待ち合わせ遅れる…ごめんねこれから友達と夕飯なんだぁ
もう行くね〜。ホント、ありがとね〜」
ひらひらと手を振って、慌ただしく去っていく後藤さん後姿を見ながら、
今更だけど、よっすぃーの事をすごくすごく好きだと自覚してしまって。
自分のとってしまった行動を、すごくすごく悔やんだ。
『よしこ、オッケーしてくれたから』
後藤さんの言葉が、頭の中でこだまする。
ああ“後悔先に立たず”ってこういう時に使うんだ…。
私は…こんなで、後藤さんは可愛くて大人っぽくて優しい子。
私なんかより ずっと お似合い―――――…
でも………ヤダ…
素直になれなくて、大切なモノを失ってしまった私は世界一バカだけど。
後藤さんと付き合ってるのに、私に好きだとか言って。
私との関係もあやふやなまま、後藤さんと付き合う事を決めたよっすぃーは
宇宙一バカだと思う。
そういうの、失礼だよ…私にも、後藤さんにも!
あー、何か腹立ってきたかも。何か今なら、色々よっすぃーに言えるかも。
そうよ!最後くらい、ちゃんと、面と向かって言ってやる!
よっすぃーのバカーって!!
703
:
7.
:2004/11/08(月) 03:36
ちょっこす更新。ペース遅くてすみません…。
>>697
603様
梨華ちゃん、素直に(?)お怒りの模様です。
>>698
名無し(0´〜`0)様
大好き同士なんですけどね…上手く行かないのは
気持ちのぶつけ方が下手なのでしょうか?
>>699
名無し(0´〜`0)様
ハイ。吉澤さんは吉澤さんでとーっても悩んでおります。
704
:
名無し(0´〜`0)
:2004/11/09(火) 09:02
おぉぉ〜!梨華ちゃんってば変なところで腹くくりましたね。
その勢いでガツンとよっすぃに(ry
次回の更新お待ちしております。
705
:
名無し(0´〜`0)
:2004/12/08(水) 23:15
待ってまつ
706
:
603
:2004/12/12(日) 02:41
よっすぃ〜の真意が気になりますなぁ・・・。
どうなっちゃうのかとても楽しみです!
続きまってます。
707
:
名無し(0´〜`0)
:2004/12/15(水) 00:27
いしよしレディオを聴いたからまだまだ待てます。
作者さーん、カムバーック!
708
:
ナナッシー
:2004/12/28(火) 01:29
だって例えば、私が側を離れたりしたら
あなたは私を見つかるまで捜してくれる?
目の前から私が消えてしまった事実に狂ってくれる?
そんなことは無いよね。
だから私はあなたから逃げるの。
私を欲しがらない、あなたから逃げるの。
709
:
ナナッシー
:2004/12/28(火) 01:30
今日もいつもと変わらない。
あなたは笑ってる。皆と笑ってる。
「おっ。石川。元気か?」
「うん。」
いつからこの人は私のことを苗字でよぶようになったんだろう。
思い出せない。それぐらい私達の日々は忙しく廻る。
710
:
ナナッシー
:2004/12/28(火) 01:30
私の卒業が決まった日。少しだけ期待していたんだ。
貴方の苦痛に歪む顔。
流す涙。
紡がれる痛々しい言葉達。
711
:
ナナッシー
:2004/12/28(火) 01:31
でもそれはただの妄想に終わる。
貴方の発した言葉はただ一言。
「頑張れよ。」
私はただニコリと微笑んだ。
712
:
ナナッシー
:2004/12/28(火) 01:32
私達はもう、指先一つ触れ合わない。
二人きりでいることも無い。
713
:
ナナッシー
:2004/12/28(火) 01:33
私はその帰り道で泣いた。
タクシーの中で。
マンションの部屋までのエレベーターで。
部屋の中で。
ずっと泣いた。
どこまでもどこまでも貴方が遠くに感じられて。
714
:
ナナッシー
:2004/12/28(火) 01:33
ごめんなさい。
貴方が好きです。
どうしようも無い位貴方が好きです。
触れて欲しいです。前のように。
715
:
ナナッシー
:2004/12/28(火) 01:34
でもそれはもう無理だから。
私はあなたから逃げることにします。
サヨナラ
716
:
ナナッシー
:2004/12/28(火) 01:35
END
717
:
ナナッシー
:2004/12/28(火) 02:00
<吉澤視点>
718
:
ナナッシー
:2004/12/28(火) 02:01
温度が、違ってたんだよ。
遠ざかる君の背中に、手のひらを伸ばして・・・
それは、君を掴めずに痛みだけを残した。
『ひとみちゃん』君が何も求めず
ただ笑顔だけを向けて呼んだ
あの頃の記憶は遠く。
719
:
ナナッシー
:2004/12/28(火) 02:01
でも、あたしは壊れたあの日を今でも、
覚えているよ。
720
:
ナナッシー
:2004/12/28(火) 02:02
寂しくて、答えが見つからなくて
同じように寂しそうな君の隣、
君のその理由を解決することで
繋がれてたいと思った。
『梨華ちゃん、どうしたの?』
わざと明るく振る舞ったあたしに君は
『なんでもない。』
それだけを笑って返したね。
721
:
ナナッシー
:2004/12/28(火) 02:02
必要として欲しくて、
ほんとはずっと必要だったから。
だけど、あたしは新しい居場所を見つけたんだ。
胸を引っかくような痛みには、
決して出会わないけれど、
暖かい場所。
722
:
ナナッシー
:2004/12/28(火) 02:03
君の卒業が決まった日、
もう消えたと思ってた痛みが胸の中で疼いた。
泣きたいよりもなんだか、
笑ってしまった。
涙など見せられないから。
『頑張れよ。』
それだけ伝えた言葉。
723
:
ナナッシー
:2004/12/28(火) 02:04
わかってる。
最初に離れたのはあたし。
臆病で仕方ないあたし。
その臆病者は今も、胸に住んでいるままだから。
724
:
ナナッシー
:2004/12/28(火) 02:04
もう、君に手は伸ばさない。
どうせならとことん遠い場所に行っちゃって。
またあたしに笑顔だけを向けてよ。
そしたら、笑って言える。
サヨナラ
725
:
ナナッシー
:2004/12/28(火) 02:05
END
726
:
ナナッシー
:2004/12/28(火) 02:14
そして交差する想い
727
:
ナナッシー
:2004/12/28(火) 02:16
でも大丈夫、あなたがいなくても。
私は生きていける。
728
:
ナナッシー
:2004/12/28(火) 02:18
「梨華ちゃん・・・。」
呟いた言葉は、冷たい部屋に吸い込まれる。
戻れない時間、違和感だけを残して。
729
:
ナナッシー
:2004/12/28(火) 02:22
「よっすぃー・・・」
呟いてみた。最後に。
730
:
ナナッシー
:2004/12/28(火) 02:23
ほんとは、夢に見る。
ずっと、切なさは消えない。
731
:
ナナッシー
:2004/12/28(火) 02:26
馬鹿みたいな現実。
ママゴトみたいに恋愛してる暇なんて無い。
貴方は女。私も女。
非現実な日常に犯されただけ。
だから忘れよう。
732
:
ナナッシー
:2004/12/28(火) 02:27
遠ざかる背中は、いつも君だったんだ。
紡ぎ出されてた答えは「君が好き。」
今更、気付いた。
733
:
ナナッシー
:2004/12/28(火) 02:33
忘れよう。
貴方が好きだなんて。
だって私はもう娘。からいなくなるし。
もうほとんど会えなくなるし。
貴方以上好きな人が現れないないなんて
ありがちな想い込みだから。
734
:
ナナッシー
:2004/12/28(火) 02:35
言い聞かす言葉は「戻れない。」
忘れて欲しいと願いながら、
突き放せない。弱虫。
735
:
ナナッシー
:2004/12/28(火) 02:50
あなたと出会わなければと少し思う。
気持ち悪がられても後悔しない。
その位自分勝手。
だから会いに行く。
これから会いにいく。
私の愛してる『吉澤ひとみ』に。
意味も無く理由も無く。
運命とか神様とか関係なく
一緒にいて下さいと、
あなたに懇願する。
ほんとに死んでもかまわない。
736
:
ナナッシー
:2004/12/28(火) 02:53
梨華ちゃん、梨華ちゃん、梨華ちゃん・・・
名前で呼べなくなったのは、
こんな風にあふれ出すから。
君のズルさを責める、ズルイあたし。
笑うんだ。笑うんだ。
だって、もうそのやりかたは慣れっこだし。
だけど今だけは今日だけは
流れ出すこの涙を止められない。
何もかも捨ててしまおうか、だってほら
あたしのケータイには、今も君の番号。
笑っちゃう。
深夜のチャイム−
とうとう、錯覚まで起こしたと思った。
737
:
ナナッシー
:2004/12/28(火) 02:57
貴方の瞳が濡れていて、揺れていて
その唇から紡ぎ出された言葉は、
「梨華ちゃん・・・?」
なんで?
滲む視界。
なんで、もっとはやくそう呼んでくれなかったの?
あふれ出す涙。
目の前の貴方は、ただボーッとするだけで。
あたしの願いはほら、貴方を見ると全部無くなってしまう。
いつも思ってたの。
突き放す振りして、寂しげな目をする貴方がズルイと。
だからわかってたの。
私を抱きしめる貴方は、もういないと。
それなのに、どうして貴方は、私が超えたいと思ってた壁をいつも
前触れもなく壊してしまう・・・。
738
:
ナナッシー
:2004/12/28(火) 03:00
錯覚なら、錯覚でいい。
手が、触れてしまったから。
そのまま、強く君のことを抱きしめた。
あの頃、つけていた甘い香水は大人の香りに変わって、
それでも、この鼻腔をくすぐる。
ぴったりと吸い付いたように、体が離せなくなって。
引き離したい腕が、矛盾するままに折れてしまいそうなほど
君を強く抱きしめるあたしがいた。
怒るの?
ひっぱたくの?
あたしが、君を、好きだと言ったら・・・。
そういえば、何故君はここにいるんだっけ?
夢の続きなら止めて欲しい。
だってほら、もう涙で前が何も見えない。
何も、怖くない。
739
:
ナナッシー
:2004/12/28(火) 03:04
「よっすぃー。」
「ん?」
優しい、声が聞こえる。
ほら、あたしの願いは貴方の側だと、消えてなくなってしまうの。
ただ、貴方の為だけに笑って
貴方のためだけを思って、
貴方から離れた私が、
私の願いをかなえるために、ここにきたのに・・・。
「なんでいるの?」
そんなこと、聞かないで。
私の願いをかなえようとしないで。
おかしいね。
矛盾したことばかりが、頭に浮かぶ。
忘れられなかったの。
ずっと、好きだったの。
ずっと、痛かったの。
こんな風に抱きしめられるだけじゃ埋まらないほど。
そんな風に思っていたのに。
740
:
ナナッシー
:2004/12/28(火) 03:09
「ずっと、側にいてよ。あたしの側にいて。」
守れないかも、しれないけれど。
「梨華ちゃん、好きだったんだ。ずっとずっと。」
壊れてしまうのは、きっとあたし。
「ねぇ、答えて?」
なんで来たの?
もう、決めてしまったのに。
遅刻には、ほどが過ぎる。
あたしは、もう上手く歩けない。
抱きしめた君を放してしまうと、もう二度と。
「よっすぃを、殺して、あたしも死のうと思った。」
しゃくりあげながら聞こえた小さな声に、
あたしは思わず笑ってしまった。
なんだ、思いつめる癖。治って無いじゃん。
笑ってた癖に。「平気だよ。」って言ったのは嘘でしょう?
だって、あたしすっごく嬉しい。
やっと、ほんとに聞けた君の言葉。
だけど
「困ったね。あたしは、梨華ちゃんを死なせたくない。」
あたしが、もし死んでも。
そんな気持ちを素直に愛しさだと思えるのは、
たぶん君と抱き合ってここにいるから・・・。
741
:
ナナッシー
:2004/12/28(火) 03:12
泣けるだけ泣いた。
しゃくりあげる音で、喉が詰まって、
何一つ貴方に言い訳などできないまま。
腕が苦しいと、言えないまま。
このまま抱きしめて。
もっと強く抱きしめられて。
私が無くなってしまったら、
それでいいなんて思ったんだよ。
742
:
ナナッシー
:2004/12/28(火) 03:18
朝の光が、窓から差した。
泣きつかれて、眠ってしまった彼女はあたしのベッドの上にいる。
ねぇ、また触れるのが怖くなった。
目を覚ますと、離れて行っちゃうんじゃないの?
また、涙が溢れる。
朝よ、来ないで。
もう、疲れてしまった。
笑いきれない笑顔で、彼女に笑うのも、
サトダやアヤカに話すと、笑われてしまうのかな。
きっと、笑って。泣きながら笑ってあたしを抱きしめてくれるに
決まってる。
朝の太陽が、だんだんに部屋を明るく染めて。
あたしは、泣きながら笑った。
あの頃よりは、強くなれたはずだから。
頑張り過ぎて、少しも変わってなかった空回りな彼女。
ねぇ、あたししか知らなかったよね。
あの頃も、きっと今も。
二人して腫れた瞼を見たら、みんなはどう思うのかな?
全てのことが遠い夢のようで、だけど君はここにいて。
少し震える手のひらで、その髪の毛に触れてみた。
朝が来ることにもう、怯えないでいいの?
起きたら、聞いてもいいの?
ずっと、あたしの側にいて・・・。
743
:
ナナッシー
:2004/12/28(火) 03:20
END
744
:
ナナッシー
:2004/12/28(火) 03:20
以上、お粗末さまでした・・・。
交互に視点が変わっているで、読みづらいかとは思われますが。
745
:
名無し(0´〜`0)
:2004/12/31(金) 00:54
ジ〜ンときました(T▽T)
すごくよかったっす・・・。
746
:
8.
:2005/01/11(火) 03:02
>>702
の続きになります。
747
:
8.
:2005/01/11(火) 03:03
「へっ………」
「何?梨華ちゃん、どうしたの?」
勢いに任せてチャイムを鳴らした吉澤家の玄関を開けたのは、おばさん…
じゃなくてよっすぃーだった。
「えっ、あっ…」
予想外の展開に、完全にタイミングを外してしまって。
「まあ、良いや。ちょうど話したかったし。上がってよ」
不覚にも、言われるままによっすぃーの部屋へ。
大体、何でよっすぃーはいつもこうやって何事も無かったかのように…
大体、何でよっすぃーは…何で…
「何でメガネかけてるの?」
そう、玄関を開けたのがよっすぃーだった事にも驚いたけど。
よっすぃーがメガネなんて掛けてるから、見惚れて…じゃなくてぇ…
ともかく、タイミングを外してしまったのはそのせいだった。
「ん?家に居る時は大抵メガネだよ?落ち着かないし」
「えっ!私、初めて見るよ!?」
「あぁ。視力落ちたの、高校に入ってからだし…」
梨華ちゃんが来るときは外してたから
「………何で?」
「ん〜…なんとなく、キスとかしにくいかなって」
748
:
8.
:2005/01/11(火) 03:04
そう言うと顔を近づけ、キスの素振りを見せるよっすぃー。
―――って!後藤さんが、いるくせに!!
両手でよっすぃーの肩を押し返す。
「っ…あの子!…後藤さんから、もう聞いたから!よっすぃーがオッケー
したって」
「…だから?」
「だから、私は、ば…よっすぃーのバカって…言いに来ただけだから…」
やだっ…泣きそう…。でも、泣くのは悔しい…
「…何?こんな事でそんな怒んなよ…」
「お、怒ってるんじゃないの」
―――こんな事…?よっすぃーにとっては…
「怒ってるんじゃなくて、ケジメだもん…よっすぃーには『こんな事』でも
私はよっすぃーが初めてだから…」
こんな風にドキドキしたり、好きっていうのは…よっすぃーだけなのに…
全部、よっすぃーが、初めてなのに…
「………ケジメってさ…梨華ちゃん、何か勘違いしてない?」
「してないよっ!オッケーしたんでしょ?」
「や、確かにオッケーしたけどさ…」
うちは行かないよ?
749
:
8.
:2005/01/11(火) 03:06
「どこに?」
「合コンの話でしょ?うちがメンバー集めるのオッケーしたっていう…」
「なっ…違うよ!よっすぃーが後藤さんともう一度付き合うっていう…」
―――あれ?ちょっと待って…
そういえば私…後藤さんの話、途中ちゃんと聞いて……
『いやぁ〜、よしこにはずっと断られてたんだけど…よしこってそういうの
嫌いじゃん?でも梨華ちゃんに「もう一回ちゃんと話しな」って言われて
「よしこには、ごとーを幸せにする義務がある!」とか何とか言ったら、
「自分が行かなくて良いなら」って、よしこ、オッケーしてくれたから
さぁ。やっぱ梨華ちゃんのお陰だよぉ!ありがとね〜』
!!!???あれって合コンの話だったのーーー!?
「うちとごっちんが付き合う?何それ?ありえねーよ」
「え?」
「大体、ごっちんに梨華ちゃんの事言ったし」
「えーーーっ!?い、いつ?何で!!」
「ごっちんから、梨華ちゃんとうちの部屋で会ったって聞いた時に。
ごっちんには、ちゃんと相手を示しておくべきだと思って」
「そう、なの?」
「そう…話したかったって、この事だよ。梨華ちゃん、怒ってたでしょ?」
「あっ…え…」
そういえば、そうだった…。
750
:
8.
:2005/01/11(火) 03:07
高校に入ってごっちんと仲良くなって。
告白されて、付き合うようになって。
でも、やっぱり梨華ちゃんの事が忘れられなくて。
ずっと、別れ話もしてたんだけど。
ごっちんが、うちの事真剣に想ってくれてるって、わかってたし。
うちも、梨華ちゃんが振り向いてくれるなんて、思ってなかったから。
ずっと、曖昧な関係が続いてて。
でも、これはいい加減参ったなと思って、ちゃんとキッパリ別れたのが。
あの夜…あの卒業式の日の、すぐ後。
「好きな人いるからって、別れた」
よっすぃーの話を聞きながら、思い出す。
『そのぉ…ごめんね〜』『ありがとね〜』
―――後藤さんあの時…もう私の事、知ってたんだ………
「あの子…すごく良い子だよ。よっすぃーも、好きだったんでしょ?
だから…」
全部、して…
「あいつがうちに凄く一生懸命になってくれたから、うちも大切にしなきゃ
って思い始めて…そういう事もしたけど…好きなのかなって思いかけてた
その気持ちは…」
梨華ちゃんに触れて…全然違ったて、知ったんだよ。
751
:
8.
:2005/01/11(火) 03:08
「だから今はもう…ごっちんとは、ただの友達だよ」
わかった?って目で尋ねられたけど…
「あ…あの」
「ん?」
「もう一つ聞いて良い?」
「どーぞ?」
「わ…私たちの関係って、あの…えっと…つ………」
付き合ってるの…?
「………何、今更?ショックじゃん。かなり」
「だ…だって付き合おうとか、そういうの無かったし…。恋人ってゆーの
とかも…考えてたら、よくわかんなくなってきちゃって…」
私の質問に少し考え込んだよっすぃーは。
おもむろにメガネを外して。
私の頬に手を添えて。
「うちと、付き合って下さい」
「え?」
「何だよ『え?』って」
「え、あ…」
「すんなりオッケーしてよ」
「あの…えっと…は………はい」
―――無言のまま深くキスされて、そのまま押し倒された―――
752
:
8.
:2005/01/11(火) 03:22
更新しました。2ヶ月振りって…
>>704
名無し(0´〜`0)様
ガツンと…は行けませんでしたが、
こんな感じになりました。
>>705
名無し(0´〜`0)様
お待ち頂きまして、ありがとうございます・゚・(ノД`)・゚・。
>>706
603様
こんなオチで申し訳ないです(汗
>>707
名無し(0´〜`0)様
おめおめと、戻ってまいりましたー。
753
:
管理人
:2005/01/11(火) 16:22
キタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)人(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━!!
おかえりなさいです。管理人も楽しみにしていました^^
754
:
名無し(0´〜`0)
:2005/01/11(火) 20:30
ヤタ!更新してるぅぅぅ〜wメガネよっすぃカッケー!
755
:
603
:2005/01/11(火) 21:49
キタキタキタキタキタァァァァァァァ――(・∀・)―――!!!!!!w
待ってましたよほぉ・・・。
おかえりなさいです!
続き大期待です!
てかごっちゃん本当いい娘だね・・・。
756
:
9.
:2005/01/13(木) 00:40
「ん…っ…あっ…」
いつかみたいに手際よくボタンが外され、胸元からよっすぃーの手が
進入してきた。
「ちょっ、ちょっと…よっすぃーっ…まっ…待って…」
首筋に唇を這わせられて、下着の上から胸を緩く撫でられる。
「っ!!待って待って待って!!」
「……何?」
「何じゃなくて…っ」
息を整えながら、よっすぃーの下から少し這い出すと、上体を起す。
そして、乱れた服を戻しながら、ちょっと怒鳴り気味に。
「い、イキナリ何!?」
「『あの子とすればいいじゃない』って言われた時、どんな気持ち
だったと思う?」
それは…――
「………ごめん…なさい…」
「梨華ちゃんは、どうしてもイヤ?」
「…え…?」
「うちだって一応、梨華ちゃんが本気で嫌がる事…本当に無理になんて
したくないから…梨華ちゃんがどうしてもダメって言うなら…
これからは我慢するよ、全部」
757
:
9.
:2005/01/13(木) 00:40
でもそうしたら、多分どっかで限界が来て…
うち、梨華ちゃんと一緒にいるのが辛くなるかもしれない―――
「…そんなの…ヤダよ…」
……い、嫌…なのは…コワイから………コワイのは…
「あのね…わ、私『最後』って何されるのか…よくわかんないんだもん…」
泣きそうな私を見つめ、少し考え込むと。
「……………まあ…死んだりはしないから」
って
「当たり前でしょっ」
「ねえ、うちとするの…どうしてもイヤ?絶対できない?」
「そ…そういうわけじゃ…ない…けど………」
「なら、今日はする」
言うが早いか、再び私の体をベッドに沈める。
「なななな何で!?今から!?なんで?」
「なんか、今しないともう二度と出来ない気がする」
そ、そんなのっ…
「ずっ、ずるいよ…話したいから上がってって…」
「ずるくてもいい。今逃したら、梨華ちゃん明日からまたうちの事…
避けそうでヤダし」
758
:
9.
:2005/01/13(木) 00:41
私の上に覆いかぶさるような体勢になったよっすぃー。
重なり合った身体からは、暖かい体温が伝わってくる。
「梨華ちゃん…」
深く唇を重ねながら、着ている服をゆっくりと剥がされる。
なんとか押しのけようと両手に力を込めるけど、全然上手くいかない。
「んっ…んん…」
首筋を這い出した唇が、身体のラインをなぞる指先が。
次第に思考力を奪っていく。
「やっ………ダメ…っ」
内腿を撫でられて声を上げるけど、もはやその言葉に力はない。
「あぁっ…!」
ついに下着の中に入って来た指先に、ゆっくりとそこを撫で回され
思わず声をあげてしまった。
……もう…ダメ、何も…わかんない……
「んんっ…あ、あぁっっ―――」
よっすぃーから与えられる快感に素直に反応してしまう身体を。
私は、どうすることも出来なかった。
759
:
9.
:2005/01/13(木) 00:58
更新しました。
>>753
管理人様
嬉しいお言葉ありがとうございま〜す・゚・(ノД`)・゚・。
>>754
名無し(0´〜`0)様
カッケーところの少なかったよっすぃーですが、
やるときゃやるんです。
>>755
603様
いつもレスありがとうございます。
がんがれよっすぃー!ですよねw
760
:
603
:2005/01/13(木) 01:04
おぉぅ・・・よっすぃ〜突っ走ってますねぇ。
私が許します!!(←何様??)
今まであんだけ我慢したんだからもういいでしょ!
がんがれ!よっすぃ〜!!
761
:
名無し(0´〜`0)
:2005/01/13(木) 23:16
いけ!よっすぃ〜!オイラも許すぞ。がんがれ!!
762
:
10.
:2005/01/14(金) 01:18
不意によっすぃーの動きが止まった。
…お、終わったの…かな?
朦朧とした意識の中で安心したのも束の間、
中途半端に脱げかかっていた服をきれいに剥がされる。
「きゃっ…なっ…まだ?」
「今のは準備運動」
微笑んで軽く落とされた唇は、すぐに口から下に移ってゆく。
首筋から胸そして脇腹のラインをなぞり、さらに下へ………
「っ…!!!」
そこを這い出した柔らかくて暖かい感触に、初めてされる事なのに、
どうされてるのか嫌でもわかってしまって。
「はっぁ…や…っっ!!」
慌てて身をよじるけれど、強すぎる刺激に力が上手く入らない。
「あ…ぁっっ…んっ…」
自分が漏らす声と、ピチャピチャという音だけがやたら大きく聞こえて、
余計に恥ずかしくなる。
………や、だ…よぉ………
それを声にしていたのか、自分でもわからないけど。
よっすぃーが少し顔を上げた気がした。
763
:
10.
:2005/01/14(金) 01:19
「梨華ちゃんいつも…こういうの、やたらと嫌がるから…最近うち、
不安になるよ」
「…ぁっ…んっっ」
舌を動かしながら、よっすぃーの口から言葉が漏れる。
「本当に、うちの『好き』と…梨華ちゃんの『好き』は、同じなのかとか」
「そっ……なっ…」
「本当は違って…誰か他の…梨華ちゃんから全部許せると、思える相手が、
出来ちゃうんじゃないか…とか」
「…な、何でっ!…同じだもっ…ちゃん、と…好きっ!」
堪らなくなって、そう言い放った瞬間に、強く吸われた。
「ん…―――――っ!!」
「声、抑えなくて大丈夫だよ。今日親、二人とも遅いから…」
ようやくそこから唇を離し、上体を起こしたよっすぃーに。
「…よっ…も、許しっ…」
「許してとか言わないでよ…なんか、酷い事してるみたいじゃん」
酷い。酷いよ…こんなの、聞いてないもん…
「あのさ、これからもっと酷い事するかもしれないけど…」
私の頭をゆっくりと撫でながら、真剣な眼差しでよっすぃーが言った。
「お願い、うちを信じて」
764
:
10.
:2005/01/14(金) 01:20
――――――――――
765
:
10.
:2005/01/14(金) 01:21
―――梨華ちゃん、力抜いて―――
「ん…ぁ…っっ!!!」
言葉の意味を理解する前に、凄い衝撃が体を襲って。
何をしているのか、何をされているのかさえわからなくなっていく。
「っん…はぁっ、あっ…あっ…」
奥まで沈められた指がゆっくりと中で動く度に、未知の感覚が私を襲い
さらに頭を混乱させる。
「はっぁ…やっ…も、やだぁ…っ…」
「―――ごめん、梨華ちゃん。でも、うちもうヤキモキしたくない…
全部うちのものにして安心したい」
安心…?
「頼むから―――もう少しだけうちのために我慢して…なんて言ったら…
駄目、かな?」
頭の中はもうぐちゃぐちゃで…
何も考えられなくなってて
「よっすぃーのため」って所しか響いてこなくて
私は、よくわからないまま。
ただ首を振っていた。
766
:
10.
:2005/01/14(金) 01:26
更新しました。
>>760
603様
今回も突っ走らせて頂きましたw
>>754
名無し(0´〜`0)様
よっすぃー、いきます!
(0^〜^)<梨華ちゃん、許してもらったYO!
(*^▽^)<………
767
:
名無し(0´〜`0)
:2005/01/14(金) 18:07
よっすぃ今までつらかったんだねぇ(泣
梨華ちゃんはもうなにも考えずに身をゆだねてしまえ!
768
:
名無し(0´〜`0)
:2005/01/14(金) 21:52
心も体もつながっちゃえYO!
心底お待ちしておりました。作者さんのお言葉を信じてましたよ〜
769
:
11.
:2005/01/15(土) 00:04
身体が熱くて、熱くて。血液が沸騰しているみたい。
そして、その熱い血液が。脳も、何もかもを溶かして―――
―――梨華、わかる?繋がってるの………
よっすぃーの声すら、遠くに聞こえる。
「あ…はぁっ…んっ…あ、はっぁ…あぁっっ」
よっすぃーが私の中を激しく掻き回すから。
私はさらに、ぐちゃぐちゃに、なって。
「あんっ…はぁ、よっ…すぃ……こわ…よぉ…」
「梨華、大丈夫だよ…」
この広い世界の中で私を守るのは、よっすぃーの存在だけ。
私が感じているのは、よっすぃーの存在だけ。
だから、私は必死でしがみ付く。
「んっ…ぁ…好きっ…よっ、すぃ…っ…好きなのぉ…」
「…梨華、梨華…うちも、大好きだよ…」
さっきよりずっと奥に指を伸ばされて、一層激しく掻き回されて。
熱っぽく名前を呼ばれる。梨華、梨華、梨華…
「あっ、やっ、…もう…ダメ……っ」
急に押さえきれない感覚に襲われて。
「いいよ…イって」
「…はぁんっ、んっ…ぁっ、ぁっ、ぁっ…ぁああっ―――――!!!」
770
:
11.
:2005/01/15(土) 00:05
どうやら、私は。
未知の体験に。
最後は気を失ってしまったらしい。
771
:
12.
:2005/01/15(土) 00:05
…あれ…?ドコ…私、……
「―――っ!!!」
全部思い出して勢い良く起こした体に、鈍い痛みが走った。
「いっ……」
「あ、起きた?」
その時ドアが開いて、よっすぃーが入ってくる。
まだ裸なのに気付いて、慌てて毛布を肩まで引っ張り上げると。
「飲み物、持ってきた」
と言ってベッドに腰掛けるよっすぃー。
あっあんなことしておいて…涼しい声してっ
あ、あああああんなの…あんなの聞いてない!
「よっすぃー!!」
「ん?何?」
「っ……………」
ズルイ。
文句言いたいこといっぱいあったのに。
ズルイ。
そんな幸せそうな顔されたら、何も言えなくなる。
772
:
12.
:2005/01/15(土) 00:06
「はっ!今、何時!?」
「10時半ちょい前くらい」
「え、夜…だよね!?まさか一夜明けて、なんてことは…」
「うん。22時半」
「わーっっみんな心配してるよぉ…遅くなるとか電話してないのに…」
「しといたよ」
「え?」
「電話、しといた。梨華ちゃんの家に。今日、ウチに泊めるって」
なんか…このまま梨華ちゃんのこと、ここに閉じ込めちゃいたい気分でさ。
「………ふ、服…ちょうだい」
急に無性に恥ずかしくなって。少しぶっきら棒に言うと。
「いいじゃん、そのままで」
毛布ごと抱きしめられて、キスをされる。
「んっ…―――」
割って入ってきたモノに反射的に一瞬引っ込めかけた舌を。
おずおずと伸ばして、ゆっくり、よっすぃーの動きに合わせてみると。
よっすぃーが驚いたように体を離した。
「怒んないの?」
「………怒んない、よ」
だってホラ…こ、恋人なんだし…。キ、キスくらい…ね。
773
:
12.
:2005/01/15(土) 00:07
無言で私の顔を見つめ続けるよっすぃー。
「な、何よ?」
「いやぁ…積極的な梨華ちゃんって、破壊的にエロいな。と思って」
「バカっ!」
「いや、マジでもう一回押し倒そうかと…」
「―――!!!」
「まあ、それは冗談として…さっきはさ、うち焦ってて急いじゃったから」
次はゆっくりじっくり抱かせてね
「…しっ、しない!絶対もうしない!」
「やだ。今度はコンタクト付けて、しっかり目に焼きつける」
“最後までしたら何か変わるの?”
―――結局まだよくわかんない
でも、なんとなく
前よりちょっとよっすぃーが近くなった気がして。
前よりちょっとドキドキして。
前よりもっとよっすぃーのこと好きになったみたいな感じで。
不安とか、嫌なモヤモヤは…
少しだけ消えたような気がする。
END
774
:
12.
:2005/01/15(土) 00:26
えーっ、予告も無かったので驚かれたかもしれませんが
今回で完結とさせて頂きました。
>>767
名無し(0´〜`0)様
このような結末となりましたが、いかがだったでしょうか?
>>768
名無し(0´〜`0)様
お待ち頂き、ありがとうございました。
信じてくれてありがとー(涙)
無事完結できたのは、皆様の暖かい励ましのお陰でございます。
本当に長い間応援頂き、ありがとうございました!
775
:
603
:2005/01/15(土) 02:38
よっすぃ〜〜〜ぃ!!
・・・おめでとう!!
よかったねぇ・・・(T▽T)
そして作者さま。素敵なお話をありがとうございました。
もう何度梨華ちゃんにヤキモキしたことか・・・はぁ〜スッキリ×2♪
またの執筆期待しております(^▽^)
776
:
名無し(0´〜`0)
:2005/01/19(水) 00:03
完結、お疲れさまでした〜
ドッキドキッしてま〜す・・おもしろかったです!
梨華ちゃん、身も心もよっすぃ〜のものになっちゃってねー
大人の階段を上った二人にバンジャ〜イ
更新、お待ちしてます。
777
:
名無し作者
:2005/01/31(月) 01:26:16
>>775
603様
最初から最後までずーっとお付き合い頂きまして
こちらこそ、本当にありがとうございました!!
>>776
名無し(0´〜`0)様
ドッキドキッしてもらえて、こちらがドキドキですw
ありがとうございます。
えー、前作は“短編集”だというのにダラダラと長く書かせて
頂いちゃったので、今回はサクッと一回の更新で終わるモノを。
いしよしです。
778
:
彼女の責任
:2005/01/31(月) 01:27:19
彼女に拾われたのは15分くらい前の話。
「良ければ、その…うちに来ませんか?」
終電を逃した上に、金欠のあたしより。
何故だかよっぽど困り果てた表情でそう申し出た彼女。
あー、なるほど。
捨てネコとか放っておけないタイプなワケだ。
「あー…大丈夫ですよ?タクシー拾って帰りますから」
って言うのはウソだけど。
見ず知らずの人に泊めてもらうワケにはいかないし。
いくら酔ってるとはいえ、その位の分別はある。つもり。
779
:
彼女の責任
:2005/01/31(月) 01:28:06
「でも…吉澤さんのお家って、遠いんですよね?」
「へぇっ?」
彼女の言葉に、我ながら素っ頓狂な声を上げてしまった。
「あっ、ごめんなさい!私、ごっちんの友達で…って
…言ってなかったですね?」
「ごっちんの?」
「そう、それであなたの事…その、知ってて…」
あー、なるほど。
ネコの名前を知ってたから、放っておけなくなったワケか。
「あー…でもホント、あたしなら大丈夫っすよ?」
っていうのは、ハッタリだけど。
いくらごっちんの友達だからって、
初対面の人に泊めてもらうワケにはいかないし。
780
:
彼女の責任
:2005/01/31(月) 01:28:33
「でも…ホラッ!友達の友達はみな友達って言うし」
「はぁ…?」
「このまま置いていったりしたら、私…気になって
眠れなくなっちゃいますから」
見掛けによらず強引な感じでそう説得する彼女は。
あたしのウソとハッタリを見破っていたのかもしれない。
「私の家、すぐそこなんです」
結局、彼女に押し切られる形で泊めてもらう事になった。
正直………助かった。
781
:
彼女の責任
:2005/01/31(月) 01:29:13
彼女の家に着いたのは5分くらい前の話。
「ちょ、ちょっと待っててもらえますか?」
どうやら彼女は、急いで部屋の片付けをしているらしく。
時折聞こえる慌しい物音が、妙に可笑しい。
「おまたせしましたっ!」
不意に勢い良く開かれたドアから出てきた彼女は。
気のせいかもしれないけど、肩で息をしているように見えて。
なんか、一生懸命だなこの人って。また可笑しくなる。
「いいの?」
笑いを堪えてそう尋ねると。
「どうぞ」とドアを大きく開いて招き入れてくれた。
782
:
彼女の責任
:2005/01/31(月) 01:30:03
「適当に座ってて下さい。今、お茶淹れますから」
入るなり彼女はそう言うと、台所でお湯を沸かし始めた。
学生の一人暮らしらしい1Kのアパートの部屋の真ん中には
コタツがあって。その脇にはベッドが置かれている。
あたしはベッドに背を預けるような形でコタツに潜り込むと。
「コタツつけて良い?」
と断りを入れてから、スイッチを入れる。一応ね。
いかにも「女の子」って感じの部屋は、少し落ち着かない。
ピンクが好き、なんだね。どう見ても。
あんまりジロジロ見るのも悪いかと思って、
じわじわと温かくなってきたコタツに身を預けることにする。
陽だまりのような暖かさは、お酒の力もあってかどんどん体を
溶かしていき、あたしの意識はゆっくりと沈んで………
783
:
彼女の責任
:2005/01/31(月) 01:30:33
―――ガチャン!!
突然の音に意識を引き戻されて、そっちを見ると。
落としたコップを前に、オロオロする彼女の姿。
咄嗟にしゃがんで破片に伸ばした手を、パッと引っ込める。
「いたっ…」
「切った?」
途端に覚醒。ぬるま湯から出て立ち上がると、彼女の元へ。
「あ、危ないよ。まだ下に破片があるし」
と言う彼女を無視して、彼女の前にしゃがみ込む。
危ないのはアナタでしょ?
酔っ払いのあたしより、よっぽど危なっかしい。
784
:
彼女の責任
:2005/01/31(月) 01:31:13
「見せて」
おずおずと差し出された指先には少し血が滲んでいたけど。
大丈夫。深くは切ってないみたい。
あたしはそのまま彼女の手をぐい、と引き寄せると。
指先を口に含んだ。
「あ」
ちゅっと軽く吸って一舐め。んー、鉄の味。
なんて呑気に考えていたら、真っ赤な顔の彼女と目が合って
自分のしでかした事にようやく気付く。
「あっ、ゴメン」
舐めときゃ治る、なんて。
そういう問題じゃ無かった。
785
:
彼女の責任
:2005/01/31(月) 01:31:45
「だ、大丈夫だから…座ってて、ね?」
真っ赤な顔でそう言う彼女に従って、コタツに戻る。
いそいそと破片を片付け始める彼女の姿は、やっぱりどこか
危なっかしくて。一生懸命で。
あたしはずっと、その動きを目で追っていた。
しかし、指を舐めただけであんな反応するか?フツー。
こっちまで恥ずかしくなる。
…感じやすいのかな?
って、バカかあたしは。これだから酔っ払いは…。
そう思いつつも、お茶を淹れる彼女の後ろ姿を見ていると
ムクムクと湧き上がってくる、イタズラ心。
んー…どうしようかな。
786
:
彼女の責任
:2005/01/31(月) 01:32:16
「紅茶しか無いんだけど…」
そう言ってカップを置き、コタツに潜り込んできた彼女が
あたしの方をまともに見ないようにしてるのは、気のせい?
何となくこっちを向かせたくなって、カップに添えられた
彼女の手を取ってみる。
「なっ…」
ビクンとした反応。微かに浮かぶ動揺。
…良いねぇ、その感じ。
「大丈夫?」
「えっ?」
「切ったトコ」
「え…あ、うん。全然平気っ!」
「ちゃんと見せて?」
787
:
彼女の責任
:2005/01/31(月) 01:32:50
不躾なお願いに、素直に手を広げて見せてくれる彼女。
あたしはその手を柔らかく握ると、
少しだけさっきとは違う気持ちを込めて、触れていく。
「あ、ホントだ。コレならすぐに治るよ」
緩やかに優しく指を撫で上げて…
「手…ちっちゃいね?」
そのまま親指の腹で、手の平全体を撫でる。
「…も…もう、いい?」
泣き出す一歩手前みたいな声が聞こえて、顔を上げると。
そこにはさっき以上に顔を赤らめた彼女。
「ああ、いいよ。ありがと」
788
:
彼女の責任
:2005/01/31(月) 01:33:27
あたしはパッと手を離すと、なんでもないような顔をして
紅茶に口を付ける。
んー…ヤバイかも知れない。
自分から仕掛けたコトだけど、参ったな。
柔らかい感触が、まだ手の中に残ってる。酒も残ってる。
加えて、さっきの彼女の反応。
…狙ってる?
そんなワケないのはわかってる。どう見たって素の反応。
だから余計に参った。
彼女の淹れてくれた紅茶で、火が付きそうになった心を
落ち着ける。
んー…どうしようかな。
789
:
彼女の責任
:2005/01/31(月) 01:33:53
沈黙が続いた事で、落ち着かない様子をし始める彼女。
あー、ちょっと待っててね。今あたし、考えてるトコだから。
「あの………」
「ねえ、なんであたしのコト知ってたの?」
耐えかねて口を開いた彼女の言葉を遮って尋ねる。質問1。
「えっ!?だから、ごっちんから聞いて…」
「家、遠いとかまで?」
「それは、その…話の流れで、チラッと聞いた事があって…」
「へぇ…」
なるほどね。ならばとあたしは話を変える。質問2。
「暑い?」
「へっ?」
「さっきから、顔真っ赤だよ」
790
:
彼女の責任
:2005/01/31(月) 01:34:20
ホントはもう元に戻ってたから、半分はウソ。
でも指摘されて途端に赤くなるから、ホントになる。
「熱でもある?」
そんなコト思っちゃいないけど。
コタツから出て、彼女に身体を近づけたりして。
「な、ない!何でもない!だだだ大丈夫!」
ますます顔を赤くして、慌てて身を引く彼女。
ははっ、面白い。
その可愛い反応に100点をあげたい。
「じっとして」
私の言葉に固まったように動かなくなる素直な彼女に、
あたしはゆっくりと顔を近づける。
791
:
彼女の責任
:2005/01/31(月) 01:34:49
まつげが触れそうな距離になると、身を硬くしたままギュっと
目を瞑る彼女。
うわぁ…たまんないな、マジで。
「っ………」
コツンとおでこをぶつけた瞬間、ビクッと彼女の身体が震えて。
その後すぐに、1ミリも動けないって感じで身体に一層力が入る。
触れた所は凄く熱くて。
本当に熱があるんじゃないかと思うくらいだった。
「うん、熱は…無いみたい」
名残惜しい気持ちを押さえおでこを離すと、フッと力を抜く彼女。
待って、待って。まだ終わりじゃないから。
792
:
彼女の責任
:2005/01/31(月) 01:35:14
彼女に迫るようなその姿勢と。
息の掛かりそうなその距離をキープして、あたしは続ける。
質問3。
「…よく気付いたね?」
あたしの言葉に、戸惑いを浮かべる彼女。
わかんない?
「駅であたし、しゃがんでた」
「…あっ…」
「暗かったのに、よくあたしだって気付いたね…」
「…そ、それは………」
泣きそうな声を漏らす彼女。
戸惑い、躊躇い…色んな感情が交錯する瞳をじっと見つめる。
「なんで?」
793
:
彼女の責任
:2005/01/31(月) 01:35:35
あたしはある程度、回答を予測している。
けど、アナタの口から正解を聞きたい。
ねぇなんで?
「………だ、だってぇ…」
「ん?」
「だって、わ、私…吉澤さんのコト、ずっと…」
OK。合格。わかった。無問題。
「って事であたし、アナタに凄く興味があるんだけど………
そろそろ名前、聞いても良い?」
「………石川、梨華」
急な展開に付いて来れずに、ただただ呆然と答える彼女。
「よろしくね、梨華ちゃん」
そのほっぺたにチュッ、とキスを一つ。
794
:
彼女の責任
:2005/01/31(月) 01:36:36
彼女と出会ったのは2時間くらい前の話。
目の前にはカチンコチンに固まっちゃった梨華ちゃん。
あー…もう参った。たまりません。
まだ名前しか知らないこの子に、あたしは完璧に惚れている。
でもって、この先あたしはこの子をもっと好きになる。
きっと溺れる。
「…次は唇だよ」
梨華ちゃんの耳元で宣戦布告。
あたしを拾ったのはアナタ。本気にさせたのもアナタ。
だからちゃんと…責任取ってもらうよ?
END
795
:
名無し(0´〜`0)
:2005/01/31(月) 23:27:29
やべードキドキした。余裕のよっちゃんカコイイ!
796
:
名無し(0´〜`0)
:2005/02/01(火) 17:21:39
ぅぁぁ!こーゆーのを求めてました!感涙
その後の話とか…気になって眠れません…
797
:
前776
:2005/02/03(木) 01:59:07
更新お疲れ様です。
短編なのに、こう・・ギュッと詰まってるというか、
濃いというか、お上手ですね〜
すごーくおもしろかったです♪
私も続きが気になったりしてます・・・
798
:
603
:2005/02/06(日) 03:33:51
うあ〜〜〜イイ!!w
よっちゃんカコ(・∀・)イイね!!
右(上?)に同じくこの二人のその後がとても気になります・・・。
799
:
通りすがり
:2005/02/23(水) 01:59:38
似たような小説、読んだことあるんですけど
パクリ?
800
:
名無し(0´〜`0)
:2005/02/24(木) 00:11:03
>799さん
その書き方は失礼ではないでしょうか。
少々モラルに欠けてるように思います。
>作者さま
でしゃばった真似してすみません。
801
:
799
:2005/02/24(木) 01:10:48
>800さん
失礼。勢いで書き込んでしまったもので。
ですが、表現や文の流れ、話。
多少のアレンジをしてありますが、とてもよく似ています。
モラルを欠いていたことは認めます。申し訳ありませんでした。
802
:
名無し(0´〜`0)
:2005/04/16(土) 16:50:11
はじめて書かせていただきます。
好きな歌詞を元に書いてみました。
803
:
名無し(0´〜`0)
:2005/04/16(土) 16:50:41
なんかいいことないかな
804
:
名無し(0´〜`0)
:2005/04/16(土) 16:51:51
少なからずもあたしは歪んで
人を見る目に支障が出た
人を信じたい・・・
バカをみないなら・・・
夢をかなえたい・・・
叶うなら・・・
805
:
名無し(0´〜`0)
:2005/04/16(土) 16:52:41
確信?絶対?
曖昧なこの世の中じゃその辺の空き地にさえ
転がってなんかいないよ
806
:
名無し(0´〜`0)
:2005/04/16(土) 16:54:05
「なんかいいことないかな?」
この頃口癖になってきたかな
恋人いていいなって
美貴ちゃんさんと松浦を見て言う
さほど恋人なんて欲しいとも思ってないくせに
苦笑いも作り笑いも
最近じゃ様になってきた
そのたびに胸がきしむけど・・・
807
:
名無し(0´〜`0)
:2005/04/16(土) 16:55:52
当てもなく今日の朝はやってきて
付けっぱなしだったテレビから
「今日の運勢は絶好調!あなたの思うとおりになるでしょう」
だなんて聞こえてくる
808
:
名無し(0´〜`0)
:2005/04/16(土) 16:57:31
それなら、それなら、、
矢口さんが娘。に戻ってきて
石川の卒業もなくなって・・・
そう思った瞬間、ため息が出た
叶うわけないのに
はっきり言ってこの1週間最悪だった
20歳になって浮かれ気分もどっか行ってしまった
悩みも疑いもない
世界に行きたいよ。
809
:
名無し(0´〜`0)
:2005/04/16(土) 16:59:52
リハーサルの休憩中ボケーっとしながら
「なんかいいことないかなぁ?」
なんて独り言
「ないわよ」って横から石川が言う
「石川が言うんだからないんだろうなぁ・・・」
って返すと
「何よ!!そりゃー幸薄いって言われるけどさ」
て石川が口を尖らせた
810
:
名無し(0´〜`0)
:2005/04/16(土) 17:00:59
本当にいいことないかなぁ・・・
あっという間に今日が終わってく
きっと明日なにかあるよ
って言い聞かせながら布団にもぐった
やっぱり胸はきしむけど・・・
811
:
名無し(0´〜`0)
:2005/04/16(土) 17:03:21
次の日
楽屋に行くとまだ誰も来てなかった
荷物を置いて椅子に座ると
石川が入ってきて
「あれ?よっちゃんだけ?」
「まだ来てないみたいよ」
「そっかそっか・・・」
石川が荷物を置いてあたしに近づいてきた
何だよ、席なんて沢山あるんだからわざわざ隣になんてくるなよ
そう思いながら
「どうした?」
って言おうとした瞬間
812
:
名無し(0´〜`0)
:2005/04/16(土) 17:05:14
石川にキスされてた
「今日はいいことあったでしょ?」
って笑顔でいう石川
恥ずいのと驚いたので顔を真っ赤にしながら
何も答えられないあたし
「なんか言ってよ!私も恥ずかしくなっちゃうじゃん」
「え、あぁ・・・いいことありました」
って必死になって言うあたし
813
:
名無し(0´〜`0)
:2005/04/16(土) 17:06:18
ひょっとしたら「いいこと」なんて
気持ち次第でその辺に転がってるのかもしれない
今はきっと石川が傍に居ること
それが「いいこと」なんだ
814
:
名無し(0´〜`0)
:2005/04/16(土) 17:06:43
〜end〜
815
:
名無し(0´〜`0)
:2005/04/16(土) 17:08:41
スレ汚しごめんなさい
初めて執筆したんでこんなんでいいのか不安ですが
これからも書いて行こうと思いますm(__)m
816
:
スライム
:2005/04/17(日) 00:34:25
初小説の更新お疲れ様です。
良かったですよ〜!!
次回作も楽しみにしているので、不安なんて捨ててどんどん書いてください!w
817
:
名無し(0´〜`0)
:2005/04/17(日) 19:05:40
スライムさん>レスありがとうございますm(__)m
頑張って次の作品も書いてみようと思います!
818
:
あなたの名前
:2005/04/22(金) 00:35:39
「ねぇ、もう無理だよ。お互いのために別れよう」
あなたから取り柄のない言葉が喉を詰まらせながら流れてく
きっと、何度洗っても落ちることは無い
不快悲しみに汚れたい・・・。
819
:
あなたの名前
:2005/04/22(金) 00:37:27
別れを告げられて1週間が経った
でも、時間が経っても全然気持ちの整理なんてつかなくて
別れを告げられる1日前までたくさん愛の言葉を言ってくれたのに
いきなりすぎて何も分からないよ
いきなりすぎてどうしたらいいか分からないよ
何であんなこと言ったの?
820
:
あなたの名前
:2005/04/22(金) 00:40:44
ツアー遠征先のホテルの部屋が人数分取れなかったというミスがあって
何も知らないマネージャーさんが思い出話もあるだろうからって
よっちゃんと同じ部屋に割り当てた
部屋に入ってから1週間前のことをもう1度確認したくて
話そうとしたら
「先に風呂入っていい?」
「あ、うん。いいよ」
あなたは先にお風呂に入ってしまい
私がお風呂からあがってくると
すでに布団に突っ伏して寝ていた
821
:
あなたの名前
:2005/04/22(金) 00:41:42
何も言ってくれないあなたのに
終わったことを突きつけられたみたいで
気が付くと涙が頬を伝った
822
:
あなたの名前
:2005/04/22(金) 00:43:13
眠りについたあなたの横顔を確かめながら
あなたの名前を呼んで呼んで呼んで
左手を握り締めた
転がりこんだこの胸は身代わりでいいから・・・
泣いて泣いて泣いて
こぼれ落ちた恋の欠片は拾い集めても
よっすぃーにはもう返せない
823
:
あなたの名前
:2005/04/22(金) 00:43:49
********************
824
:
あなたの名前
:2005/04/22(金) 00:45:19
数日後に
「海見たくない?」って
何故か私を呼び出したよっすぃー
電車に乗り継いで・・・
でも、電車の中で会話は無くて
海についてもただ眺めてるだけで
陽が沈むまでただただ海を見つめていた
825
:
あなたの名前
:2005/04/22(金) 00:47:46
しばらく、眺めていてもどうしようも無い
これ以上一緒に居てもよっすぃーは何も言ってくれない
だから、帰ろうとして
「じゃあ、帰るね」って言って背を向けたら
後ろから消え入りそうな声で
「また次の恋をすればいいじゃない」
別れ際の天邪鬼
なんで、そんなことを言うの?
次の恋って何?
826
:
あなたの名前
:2005/04/22(金) 00:49:14
振り向き様に情熱を蹴散らして
あなたの名前を呼んで呼んで呼んで
左手をよっすぃーに向けて伸ばした
まとわりつく残像を砕くことができないまま
泣いて泣いて泣いて
もう終わりだと、あなたは私の壊れそうな胸にナイフを突きたてた
827
:
あなたの名前
:2005/04/22(金) 00:50:05
笑わせたり、お茶したり、食事したり
違う意味で会いたいのに
それが今となっては出来ない
828
:
あなたの名前
:2005/04/22(金) 00:51:41
始発前の誰もいないホームで
呼んで呼んであなたの名前を呼んで
また夜が明けていく
家への道をいつものように歩けば
泣いて泣いて泣いて
忘れようとするたびに、名前を呼ぶたびに
また、よっすぃーが好きになっていく
829
:
あなたの名前
:2005/04/22(金) 00:52:53
ねぇ、よっすぃー
しばらく好きでいてもいいですか?
もうしばらくあなたの名前を呼んでもいいですか?
きっときっと
一生忘れることの出来ないあなたの名前
830
:
名無し(0´〜`0)
:2005/04/22(金) 00:54:24
2作目です
なんか、描写とかもっと上手く書けるようになりたいです。
石川さんの視点で書いたのですが
吉澤さん視点でも書いてみようかなって思います。
それは、また今度
831
:
名無し(0´〜`0)
:2005/05/06(金) 02:14:59
よっちぃ視点も楽しみにしてます!
832
:
あなたの名前〜y-side〜
:2005/05/07(土) 00:35:21
「ねぇ、もう無理だよ。お互いのために別れよう」
こんなことを言うつもりは無かった
取り柄のない言葉が喉を詰まらせながら流れてく
何度何度、洗っても落ちることのない深い悲しみに汚れていた
833
:
あなたの名前〜y-side〜
:2005/05/07(土) 00:36:54
あんなこと言わなきゃ良かった
本当は反対のことを言いたかったのに
5日前のこと
事務所に呼び出された
なんのことか分からず、石川の卒業も控えていたので
そのことで呼び出されたと思ってた
834
:
あなたの名前〜y-side〜
:2005/05/07(土) 00:41:00
事務所の社長室に通されて
強張った顔をした社長が座っていた
座るように促され
目の前に1枚の写真を出された
それは、石川とキスしていた写真で・・・
「吉澤、石川とそういう関係なのか?怒らないから言ってみろ」
と社長に言われ
怒らないならと・・・素直に
「はい、4年になります」と言ったら
強張っていた社長の顔がさらに強張った
835
:
あなたの名前〜y-side〜
:2005/05/07(土) 00:43:31
「別れろ、別れないなら契約を切るぞ」
とあっさり言われてしまった
この時ほど自分の単純さをうらんだことはない
あたしは契約を切られても構わない
でも、これから先輝かしい未来が待っている石川の契約を切られるのは・・・
しばらく悩み
「わかりました。」と言ってしまった
石川の気持ちなんて無視して了承した自分に嫌気がさす
836
:
あなたの名前〜y-side〜
:2005/05/07(土) 00:45:25
別れを告げた時、石川が泣いてた
疑問をたくさん言葉にしながら泣いていた
その場にいたらきっと、さっきとは違う言葉を言ってしまう
耐えられず、その場から逃げ出した
自分は弱虫だ
837
:
あなたの名前〜y-side〜
:2005/05/07(土) 00:46:36
家に帰って一人で居るのが凄く淋しくて
傷ついたりつけたり、癒したり癒されたり
もう2度と出来ない
こんなにツライことだと初めて知った
838
:
あなたの名前〜y-side〜
:2005/05/07(土) 00:49:10
石川の卒業ツアーで最後の遠征
ホテルの部屋が人数分手配出来なかったとかで
珍しく二人部屋になって
まだ、何もしらないマネージャーは思い出話もあるだろうからって
石川と同じ部屋してくれた。
出来るなら二人で居たくない
そんな心配をしていたけど
10人になってからコンサートはハードになって
風呂に入ってからは布団に突っ伏してしまった
気づいたら朝で少しホッとした
839
:
あなたの名前〜y-side〜
:2005/05/07(土) 00:50:39
石川の卒業式を終えて何日かして
これが最後だと、けじめをつけようと思って
海に誘い出した
でも、何かを話すとボロが出そうでずっと黙ってた
石川は、たまにこちらを見ては下を向いてしまう
840
:
あなたの名前〜y-side〜
:2005/05/07(土) 00:53:11
海に着いたときはまだ高い位置にあった太陽はスッカリ海に隠れてしまった
何も話せないうちに、しびれを切らしたのか
「きゃぁ」って言って帰る石川に向かって
思ってもいないことを口にしていた
「また次の恋すればいいじゃない」
本当は石川が大切で石川以外と恋なんて出来るわけないのに
石川があたし以外の誰かと恋するなんて耐えられないのに。
841
:
あなたの名前〜y-side〜
:2005/05/07(土) 00:56:06
私の言葉に対して石川が振り向き泣きながら私の名前をずっと呼んでいた
愛しい人の涙、愛しい人の声で呼ばれるあたしの名前
その場に居るのが本当につらくて
でも、けじめをつけなきゃと
「もう終わりだよ」と顔を見ないで
泣いている石川へキツイ一言を突きつけた
842
:
あなたの名前〜y-side〜
:2005/05/07(土) 00:56:55
石川と別れ、家にむかう途中
あたしの名前を呼ぶ石川の声が頭の中で繰り返される
843
:
あなたの名前〜y-side〜
:2005/05/07(土) 00:59:11
もう今までみたいに
冗談言ったり、食事したり、お茶したりすることは出来ない
愛しい人の名前を呼ぶことが出来ない
一生、忘れることの無い名前
一生、忘れることの出来ないあたしたちの恋
頭では分かってるけど
気持ちは割り切れない
しばらく、石川の名前を心で呼んでもいいですか?
しばらく、石川のことを好きでいいですか?
844
:
あなたの名前〜y-side〜
:2005/05/07(土) 00:59:31
番外編へとつづく
845
:
作者
:2005/05/07(土) 01:03:14
>>831
さん
吉澤さん視点でって言いながら忘れてましたm(__;)m
読んでくれてた方が居て嬉しかったです
では、番外編へ
846
:
あなたの名前〜番外編〜
:2005/05/07(土) 01:07:05
モーニング娘。を卒業して2年が経ち
美勇伝も順調にきている中、事務所の社長に呼び出された
「おぉ、悪いな来てもらって」
「いえ、何か?」
「いやー最近、調子いいみたいで良かったよ。
週刊誌に嗅ぎ付かれたときはどうしようかと思ったけど」
「何の話ですか?」
週刊誌の話題になるようなことは全くないはず
「あれ?なんだ2年前、吉澤から聞いてなかったのか?」
「はぃ?」
847
:
あなたの名前〜番外編〜
:2005/05/07(土) 01:08:08
久しぶりに聞く名前
ううんずっと封印してた名前
今でもずっと好きな人の名前・・・
848
:
あなたの名前〜番外編〜
:2005/05/07(土) 01:10:18
なんのことか分からないって顔をしている私に社長が説明し始めた
「ちょうど2年前ごろかな、
事務所に石川と吉澤がキスしている写真が送りつけられてね
吉澤に聞いたんだよ。
どういう関係なんだ?って
そしたら吉澤が素直に答えてくれたんだけど
事務所的にはちょっとこれ以上のスキャンダルは勘弁して欲しくて
別れてくれって言ったんだ」
849
:
あなたの名前〜番外編〜
:2005/05/07(土) 01:12:58
何も聞かされてなかった2年前の事実
「・・・知らない・・・そんな話知らない」
「それから1週間後くらいに暗い顔をした吉澤から別れたって聞いて安心したんだよ」
よっちゃんは、2年前そんなこと一言も言わなかった
いきなり知らされた事実にショックを受けてる中、さらにショックなことを言う社長
850
:
あなたの名前〜番外編〜
:2005/05/07(土) 01:20:16
「で、吉澤のことなんだけど。吉澤が芸能界を引退するって言うんだ」
「え、、、なんで?」
「プライベートで勉強してたみたいで留学をするって」
「社長はなんて?」
「吉澤も22歳だからね、あいつ自身で考えて決めたなら応援しなきゃだろ?
だから、了承したよ。それで、卒業式といったセレモニーはしないで欲しいって言うから
せめて、ハロモニで特集くらいは組ませてくれとは頼んだけど」
「メンバーへの発表は?」
「今、会議室でしてる。あ、石川は会議室に行くの禁止な」
「なんで、なんで、、別れた私に社長から告げるんですか?今までみたいに
ハロプロで集まったときでいいじゃないですか?」
最後くらい本人の口から聞きたかったのに
「吉澤から頼まれたんだよ、石川を目の前にして毅然とした態度で居れる自信が無いって」
さっきから、質問をぶつけてるけど実は頭の中は真っ白で・・・
851
:
あなたの名前〜番外編〜
:2005/05/07(土) 01:23:53
社長室を勢い良く飛び出した
多分、発表してメンバーへの引継ぎをしてるであろう会議室の目の前で足を止めた
会議室が開いて
「あれ?石川さんどうしたんですかぁ?」ってメンバーが次々に出てきては
話かけてきてくれる
適当に会話を交わしながら、今一番会いたい人が出てくるのを待った
よっちゃんのマネージャーさんが出てきたのを捕まえて
今日のスケジュールを聞き出した
852
:
あなたの名前〜番外編〜
:2005/05/07(土) 01:25:08
幸い、この後のスケジュールは入っていないらしい
しばらくして会議室からよっちゃんが出てきた
久しぶりに見る顔
久しぶりに呼んだあなたの名前
853
:
あなたの名前〜番外編〜
:2005/05/07(土) 01:28:21
よっちゃんは笑顔で
「梨華ちゃん、今から家にこない?」って誘ってくれた。
久しぶりに呼ばれた私の名前がなんか懐かしくて返事もろくに出来なかった
久しぶりに入るよっちゃんの家は相変わらずシンプルで
留学するためかダンボールが積み重なっていた
ソファに腰をかけて周りを眺めていた
854
:
あなたの名前〜番外編〜
:2005/05/07(土) 01:30:22
「社長に聞いたんだよね?」
「うん」
「2年前は自分勝手に判断して別れようなんて言ってごめん」
「うん」
「怒ってるよね」
「うん」
「次の恋できた?」
「ううん」
あの時言われた天邪鬼な言葉
「また次の恋すればいいじゃない」
忘れようと思っても忘れることが出来なかった
855
:
あなたの名前〜番外編〜
:2005/05/07(土) 01:32:19
「よっちゃん、私ね・・・次の恋なんて出来ないよ」
きっとよっちゃんからしてみれば迷惑な話
「そっか・・・」
「よっちゃんは出来たの?」
「え、いや全然・・・。あの時のまま気持ちが止まっちゃってるんだ」
「私ね、よっちゃん以外の人と恋なんて出来ない」
856
:
あなたの名前〜番外編〜
:2005/05/07(土) 01:34:23
私が言ったあと少し間が空いて
よっちゃんに抱きしめられた
「ごめんね。あの時はああすることしか出来なかったんだ。
無理して自分が思ってたことと逆の言葉を言ってた、沢山傷つけてごめん」
「ううん、相談して欲しかったけど仕方ないもの」
857
:
あなたの名前〜番外編〜
:2005/05/07(土) 01:39:33
「ねぇ、梨華ちゃん、あたし1ヵ月後NYに留学するんだ。
留学して写真の勉強してくる」
「うん」
「でね、いっちょ前になって帰ってくるから、帰ってきたら一番に写真を撮らせて欲しい」
「私なんかでいいの?」
「梨華ちゃんじゃないとダメなんだ」
「わかった、一人前になって帰ってくるの待ってる」
「うん、ありがとう。それとね、2年前みたいに梨華ちゃんを好きで居ていいかな?
梨華ちゃんの名前呼んでもいいかな?」
「私もよっちゃんの名前を呼びたい・・・」
「何年後に帰ってくるか分からないし、沢山心配かけるし、沢山泣かせるかもしれない
でも、ずっと待ってて欲しい」
「待つよ、でもねでもね、、、挫折して帰ってきたら怒るからね!」
858
:
あなたの名前〜番外編〜
:2005/05/07(土) 01:41:28
久しぶりに会ったあなたは2年前と全然変わらなくて
久しぶりに呼んだあなたの名前
2年前みたいに呼ぶたびにドキドキした
ずっとこれからも、あなたの名前を呼び続けるから
あなたも私の名前を呼び続けてね
859
:
あなたの名前〜番外編〜
:2005/05/07(土) 01:41:46
〜FIN〜
860
:
作者
:2005/05/07(土) 01:44:21
長々と書いてしまいました
本当は番外編を考えていなかったんだけど
個人的に切ないまま終わるのが嫌で番外編を書かせていただきました
また、書く機会があればヨロシクお願いしますm(__)m
861
:
楽屋話
:2005/08/14(日) 01:48:07
さっきまで一緒に雑誌読んでたのに。
さっきエリ可愛いっていったのに。
「エリが可愛くなくなったらサユ離れていっちゃう…」
「亀ちゃん、一人言は小声でね」
「しかもなにげにアレだね」
成人コンビうるさいです。
エリは今不幸の底に張り付きそうなの。
幸が薄いってイジられるせいなの。
「あ、溜息ついた」
「重さんだよ、重さん見て溜息ついてる」
「田中ちゃんとじゃれてるだけじゃん」
862
:
楽屋話
:2005/08/14(日) 01:48:36
と思っていたら今度は新メンバーの隣。
サユもやっぱり若い子が好きなの?
エリ達の教育係は誰だったの?
「今度はミラクルさんを睨んだ」
「新人いびりは良くないぞ」
「もーうるさいですよ。今お二人に絡んであげてる気力ないんです」
「藤本さん聞きました?あげるって」
「言いましたね吉澤さん。完全に上から目線だね」
うるさい、うるさい。
フットサルでヘディングしすぎですよ。
「そっとしておいてください」
「みきたち鬱陶しがられてる」
「りーだーになったのに」
「よっちゃんさん、鬱陶しい」
863
:
楽屋話
:2005/08/14(日) 01:49:00
「ラヴだね、亀ちゃん」
「ち、違います。仲良しなだけです」
「よっちゃんさん、マイノリティに未成年を巻き込まない」
「ラヴはラヴだしょ。ライクじゃないっしょ」
エリがこんなに悩まなきゃいけないのって吉澤さんたちのせいなの。
仲良しで、一緒にいて楽しいで良かったのに。
「卒業きっかけじゃなきゃくっつけなかったくせに」
「美貴ちゃんさん、発言を撤回してください」
「断ります」
「ラヴの方が楽よ、亀ちゃんも認めちゃいなよ」
「だから、違います」
864
:
楽屋話
:2005/08/14(日) 01:49:27
「仲間を増やそうとしない」
「酸いも甘いも噛み分けた最年長は無視してピュアラヴ爆進中のリーダーの話聞きたいよね?」
「結構です」
ノロケたいだけでしょ。
「でもアレだ。亀ちゃんが可愛くなくなるなんてあり得ないから安心しろ」
ムダに男前な笑顔を向けられてもエリには通用しませんから。
「梨華ちゃんに言ってやろ」
「み、美貴ちゃんさん。ダメだよ、そういうの。良くないと思うよ」
「へたれ」
「…どうせケイタイしんないくせに」
「不仲説一蹴したんだよ。し、知ってるからメアド。前聞いた」
「この前変えたよ」
865
:
楽屋話
:2005/08/14(日) 01:49:54
あ、レイナに手を引っ張られたサユが楽屋を出て行っちゃた。
暇人相手にしてたからだよぉもうっっっ!!
「あ、テンション落ちた。よっちゃんさんどうにかしなよ」
「あたしに言われても」
「空気読まないで梨華ちゃん梨華ちゃん言ってるからじゃん」
「ゴメンよ、よっちゃんさんはもう梨華ちゃんしか目に入らないんだ」
「いや、意味分かんないから」
「美貴ちゃんさんがよしざーを想ってくれるのは分かるけどよしざーは一途だからさ」
「嘘つけ。想ってないし。年上好き、乳好きが」
その発言藤本さんが言うと悲しくなるのはなんでだろう?
でもちょっとエリにも分かります。
美勇伝の最年少を見てるとき完全に釘付けですよね。
866
:
楽屋話
:2005/08/14(日) 01:50:24
「誤解だ、大いなる誤解だ」
「どうでもいいよ。言っておくけどみきにはね、亜弥ちゃんがいるから」
まだ需要あるのかな。時代は六期ですよ。
…藤本さんも六期か。
えっとぉ…ミラクルさんに負けないように一緒に頑張りましょうね。
「あの、もうやめてください。新垣さんが哀しそうな目してます」
「ガキさん何ヲタ?」
「みきに聞かないで」
「亀井ちゃん知ってる?」
「知りませんよそんなの」
「みきよし?」
「なんだなんだ美貴ちゃんさん。その可能性を考えちゃうのかい」
「よっちゃんさんはどんなキャラなわけ?」
867
:
楽屋話
:2005/08/14(日) 01:50:59
「いしよしは事実になってしまったけど嫉妬は控えめにね」
「違います。ただ需要に笑顔で応えてこそアイドル」
「ユニットがご希望か」
「ソロに決まってんだろ」
ぱたんとドアが開いた。
「エリ、ジュースのも?」
「うん」
サユに笑顔を振りまいて。
脱線コンビのくだらない会話なんかもう聞こえない。
サユとエリは仲良しだもん。
ね、一番だよね。
いっぱい一緒にいてね。
END
868
:
名無し(0´〜`0)
:2005/08/14(日) 01:51:31
ちょっと前に書いたのが出てきたのでお借りしました。
ネタがどうも古いです…。失礼しました。
869
:
名無し(0´〜`0)
:2005/09/03(土) 16:00:01
かなり面白かったです。
よかったらまた書いてください。
870
:
楽屋話2〜逃すと魚は大きいぞ!〜
:2005/11/07(月) 21:32:48
「どうかな、これ…」
深刻な顔で腕組みしている吉澤さんがエリを見た。
「どう、ですかね」
「よっちゃんさんに亀井ちゃん、真剣な顔して、なんかあったの?」
私と吉澤さんの間に遠慮もなく藤本さんが陣取る。
「これ、どう思う?」
吉澤さんの指さす先にはテレビ。
「これ?」
「そう」
あくまでも吉澤さんは真剣そのもの。
871
:
楽屋話2〜逃すと魚は大きいぞ!〜
:2005/11/07(月) 21:33:13
「これって、サンマ?」
画面にはこんがり焼けたサンマがおいしそうに映し出されている。
「そっちじゃなくって。グリルよ、両面焼きグリル」
「ああ、そっち。グリルなんかどうするの?」
「買おうかな〜って」
「買うの?なんで」
「秋の味覚を堪能したくて」
「わざわざそれ用に買わなくったって魚なんか焼けんじゃん」
「そうなんだけどさ」
さっきコマーシャルが始まると同時に製品に食いついた吉澤さんが
ぼんやり話し出した苦労話を藤本さんにも伝えるため、もう一度説明する。
872
:
楽屋話2〜逃すと魚は大きいぞ!〜
:2005/11/07(月) 21:33:46
この前ね梨華ちゃんちで行ってさ、張り切って料理してくれるなんて
メニュー聞いたらまあ梨華ちゃんでもいけそうだったし、大人しく待ってたわけ
しばらくしたらキッチンからもんのすごい煙が流れてきてね
セキュリティー次第じゃ確実に火事にされてるくらいの煙よ
どうしたのって叫んでも、大丈夫だからとしか返事しないし
待ってたよ、大人しく
で、出てきたわけ、サンマ
『絶対裏返さないで食べて』その時点で、もういろいろ無しじゃん?
覚悟して。箸を入れて。食べるには持ち上げるでよ?
見えちゃったんだよね。あたしの癌リスク確実に上がる色が
食べたよ、見なかったことにして
良薬口に苦しだよ。え?意味分かんない?そう?
口に入れたらさ、またミラクルが
焦げてない上面、すっごいジューシーなの、あり得ないの
気付いたね、その時。中骨の役割はみずみずしさの移行防止なんだって
皿の上でおいしいはずのサンマが中骨挟んでスリリングな表裏一体を体現してた
873
:
楽屋話2〜逃すと魚は大きいぞ!〜
:2005/11/07(月) 21:34:13
「だいたい分かった、梨華ちゃんが碌にサンマも焼けないから器材で解決しようと」
「梨華ちゃんがどうこうの問題じゃないんだ。
文明に頼るのは悪い事じゃないとあたしは主張したい」
「はいはい」
「小さな便利を認め人々の生活をよりよく進化させていく手助けがしたいの」
「その言い訳は誰に向けてなの?」
「亀ちゃんも分かるよね」
「分かりませんよ」
「揃えなって、こつこつ揃えとかないと重さんは梨華ちゃんの比じゃない」
「言い切らないでください」
「重さんにサンマ焼いてあげんねって言われたらどうすんさ」
「新鮮なサンマを用意します」
「あ、頭良い」
レアでもミディアムでもどんと来い
874
:
楽屋話2〜逃すと魚は大きいぞ!〜
:2005/11/07(月) 21:34:46
「あんた達さ、まずは料理勉強しろと言うのが先決でしょ」
「それは、ほら、追々」
「先決だって」
「追々…あれだよ、よしざーは家事は分担していくべきと考えます。
梨華ちゃんはあたしの家政婦さんではありません、なあ亀ちゃん?」
「そうですよ、吉澤さんの仰るとおり」
料理なんて必要になったらどうにでもなりますよ、食べれれば良いんですよ
手料理に拘らず、デリバリーに頼るとか
「ただ、びびってんでしょ」
「や、やだなぁ。よしざー言う時はびっしと言っちゃうタイプよ、ねっ亀ちゃん」
「そんなの知りません」
「急に見捨てないで」
「完全に尻に敷かれてるんでしょ」
「そんなはずないだろ!言うってば、追々」
875
:
楽屋話2〜逃すと魚は大きいぞ!〜
:2005/11/07(月) 21:35:13
「そうだ、吉澤さん!お話があります」
思い出した。関わり合いたくないリーダーに寄ってきた理由があったんだ。
「顔がコワイよ、亀ちゃん。アイドルの顔じゃないよ」
「うるさいっ!石川さん、どうにかしてください」
「ど、どうにか?」
「亀井ちゃん急にテンション上げすぎ」
「写真集ですよ!」
「あ〜もうすぐだよねぇ、よしざーさん楽しみなんだぁ」
ニタニタ締まりなく表情を崩す。
キショイです、吉澤さんの頭の中の展開がキショイです。
「よっちゃんさんは、恋人の写真集に何を期待してるの」
「印刷物の新鮮みは捨てがたいでしょ」
「キショイから」
「あのね、全部知っている恋人だからこその楽しみ方もあるわけ、醍醐味?」
だから吉澤さん、普通にキショイ。
876
:
楽屋話2〜逃すと魚は大きいぞ!〜
:2005/11/07(月) 21:35:46
「もう!なんでサユと何ですか?絶対エリの方が似合ってるんです。
黒さを武器にしゃしゃり出られると迷惑なんです」
「武器って」
「うん、亀井ちゃんその語法は間違ってそうだよ」
「イヤじゃないんですか、吉澤さんは」
「梨華ちゃんと一緒じゃないのが?」
「そうですよ」
「いんにゃ、慣れた。うちの事務所はあたし達を並ばせる気はない」
「亀井ちゃん、想像して。よっちゃんさんと梨華ちゃん。
簡単に想像できるでしょ。絡んだら微笑ましくもシャレにもなんない絵が」
「もう!もう!そっちはどうでもいいんです、サユとエリが…エリが…」
「あーでもそれだと6期括りなんでないの」
「みきは入れないけどね」
「浮くしね」
藤本さんがどつく。ツッコミに見えないときは不必要な笑顔で乗り切ろう。
877
:
楽屋話2〜逃すと魚は大きいぞ!〜
:2005/11/07(月) 21:36:28
「みきとしてはデフの方が気になるけど」
どうしよ、パンドラの箱をエリは開けてしまったのでしょうか。
「纏まりとして、グループとして亀井ちゃんどう思う?」
「えっエリですか。……良くないとも………」
「纏まりはないでしょ」
「でしょ!?よっちゃんさんもそう思うでしょ」
「年末恒例行事になっちゃうのかね」
「ね〜もうみきが一肌脱ぐしかないよね」
大人の話の邪魔はしちゃいけないよね。
そうだよね、エリはこの場を離れよう、そうしよう。
「この際亜弥ちゃんには悪いけど、85年とかでいけると思うんだけどな」
あの、安部さんは?安部さんはいいんですか。
「俄然強めだね」
お願い、今はエリに振らないで。
878
:
楽屋話2〜逃すと魚は大きいぞ!〜
:2005/11/07(月) 21:36:52
「よっちゃんさん意味分かんない、亀井ちゃん決めゼリフ取られるよ」
「いいじゃん、いいじゃん、リーダーだって言ってみたかったの」
腕を捕らわれ、浮きかけていた腰を仕方なく戻した。
「…使用料考えますね」
「リーダー特権で使わせてよ」
「ダメです」
「え〜…美貴ちゃんさん、ここでウサちゃんピースしないと」
聞こえる声で藤本さんに耳打ちするリーダー。
「カメラもないのにするわけないじゃん」
藤本さんは完全拒否の姿勢を貫いた。俄然強め。
879
:
楽屋話2〜逃すと魚は大きいぞ!〜
:2005/11/07(月) 21:37:28
「そういや、重さん達はどこ行ったの?」
しかと位でへこたれていては娘。の長は務まらない。きっとそうなんだ。
「レイナと小春ちゃんと3人でコンビニ行きました」
「一緒に行かなかったんだ」
「ジェラシーで気が立ってるわけだ」
小憎たらしいの成人コンビ。
身近に反面教師、エリは絶対こんな大人にはならない。
「亀ちゃん、のんびりしててはいけないよ」
「なにが、ですか」
「取られっぞ」
「エリとサユは仲良しなだけですってば」
「油断してるけど30人いたら1人は重さん好きになっちゃうかもなんだぞ」
「またマイノリティ広報活動?」
880
:
楽屋話2〜逃すと魚は大きいぞ!〜
:2005/11/07(月) 21:37:55
「違います、愛の伝道師」
「そうですか。ミキ10人に1人だって世界がもし何ちゃらで見たんだけど」
「うっそ、あたしクラスに1人くらいだって教えてもらったよ」
不確かな又聞きで誑かすのはよして下さい。
「まあとにかく、危機はたくさんあるんだよ」
「危機はないから」
「まず小春ちゃんね。教育係との禁断の関係に…まさにミラクルが」
「聞いてないし。よっちゃんさん、あり得ないから」
「で、ほら田中ちゃんだってさ、好きっちゃとかなったりなんかして」
「うるさいぞ、マイノリティ」
「美貴ちゃんさんはよしざーに首っ丈だから良いとしても」
「違うから、全身全霊で違うから」
「5期だったいるし」
「そこはまとめちゃうんだ。巻き込もうとするの止めなって」
881
:
楽屋話2〜逃すと魚は大きいぞ!〜
:2005/11/07(月) 21:38:30
「だって幸せなんだもん」
忍苦の恋も成就してしまえば重荷です。惚気られるエリ達にとって。
「大事な事はだよ、誰かと同じかじゃなくって
大事な人とおいしいサンマを食べることなのだ!」
「おいしいのは食べれてないじゃん」
「冬には食べれないんだ、今を逃すな!」
輝くような男前笑顔で断言した吉澤さんに藤本さんが呆れた。
あーでもなんでかな?
吉澤さんは時々、そう奇跡的なほど時々だけど。
エリには何だかかっこよく見えて困った。
END
882
:
名無し(0´〜`0)
:2005/11/07(月) 21:39:14
>>869
さん
ありがとうございます。書いてみました。
883
:
名無し(0´〜`0)
:2005/11/27(日) 04:01:46
続きがきてるの気づかなかったです…申し訳。
今回も面白かったです。この楽屋トークやけにリアルでw
みきよしかめの3人がそれぞれ勝手で笑えます。
また続き期待してます。
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