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【アク禁】スレに作品を上げられない人の依頼スレ【巻き添え】part5

842名無しリゾナント:2015/04/03(金) 14:00:50

もしもあの子が「人間」の世界に紛れ込んで生きるのが目的だったなら
その障害となる「リゾナンター」を解体するために潜入してきたのだとしたら
今回のような「吸血鬼」に焦点が当たるような真似をせずとも、簡単に私の寝首を掻くことが出来ただろうに
でもあの子はそうしなかった

あの子の口から真実を聞きたかった
でも仮にあの子が真実を語っていたとしても私にはその言葉が真実だと信用できなかったかもしれない


絵里は私にとってもいちばんの親友だった
私は任務を忠実に果たすことでしか自分の存在する意義を証明できないと信じて生きてきたつまらない女だった
能力者で編成された特殊部隊の班長という物々しい肩書の所為でともすれば自分が女であることを忘れてしまいがちだった
でも絵里と話している時間だけは自分が年相応の女性なんだという当たり前のことを実感できた
そんな絵里が「吸血鬼」の手によって連れ去られた時、私の心がざわつかない筈は無かった

見つける手段をどれだけ模索しただろう
「闇の眷属」に堕ちた仲間にどう対処すべきか口にするのにどれほどの逡巡があっただろう

「リゾナンター」が私一人だけだったなら
たとえ「吸血鬼」の眷属に変わり果てていたとしても絵里のことを助けたかった

でも現実には「リゾナンター」は私一人じゃない
「リゾナンター」はあくまで警察機関の部署の一つだ
上部組織があって、連絡機関があって、「吸血鬼」事件が発生した時点で九人の隊員が在籍していた
そしてこれはまだ誰にも話してなかったけど、今後何次かに渡って新人を配属していく予定があるとの内示もあった
私の一存で人類の「正義」に悖る行為を犯してしまったらいったい何人の「人間」に迷惑をかけることになる

幾度かの暴走による譴責を一身に引き受けてくれた管理官
法令的には明確にアウトな備品の便宜を図ってくれた会計課職員
市民の安全を守るため、それだけの理由で所轄の壁を越えて情報を提供してくれた捜査官たち
私たちなら「人間」をその脅威から守れると信じてくれた人たちを裏切ってしまうことが私にはどうしてもできなかった


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