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【アク禁】スレに作品を上げられない人の依頼スレ【巻き添え】part3

977名無しリゾナント:2013/06/29(土) 21:37:18


「ただいまー」

喫茶店を訪れた田中れいなは、予想外の反応に目を丸くする。
いや、予想外の反応のなさにと言ったところだろうか。

たなさたーん!
ごめんなさい田中さんいつもまーちゃんが鬱陶しくて。
わぁ、田中さん今日もおしゃれですねえ。

これくらいの反応がすぐに返ってくると思ってたっちゃけど。

喫茶店の中は、静まり返っている。
客席にも、カウンターにも、後輩たちの姿は見られない。
不意に今時珍しいブラウン管の小型テレビが、ばらばらに破壊されていることに気づく。

何かがあったのだ。後輩たちの身に。
さゆみからは、今日発生した爆発事故の怪我人救護の応援を頼まれた、との連絡があった。れいなの心を、
不安が過ぎる。

とにかく、今、彼女たちはどこにいるのか。
それを探らなければならない。
れいなは近くの椅子に座り自らの心を鎮め、意識を集中させる。

リゾナンターの特性の一つ、それが互いの心を繋ぐ事による意思疎通。
オリジナルメンバーがいた頃に比べてその力は幾分弱まってはいるものの、相手が今どこにいることくらい
は掴む事ができた。

978名無しリゾナント:2013/06/29(土) 21:39:17
しかし聞こえるはずの心の声は、あちこちから飛び込んでくる雑音に阻まれたのか、まったく届かない。怒
り、悲しみ、嘆き。そんな感情が町のあちこちで生まれては消えてゆく。

あの事件のせいか。
駅前ビルにある大画面のビジョンで報道される、爆発事故。無慈悲、無差別とも言える殺戮は人々の心を大
きく揺さぶる。それが、妨害電波のように立ち塞がるのだ。

ともかく。
れいなは後輩たちを闇雲に探すのはやめようと思った。
先の「キッズ」たちとの一戦で、彼女たちはリゾナンターの名に恥じない戦いぶりを見せた。庇護されるだ
けではない、信頼に値する働きがあった。

今日は久しぶりに店番をするんだった。いろいろ準備せんと。
カウンターに向かうため立ち上がったその時。
吸った息が、出口を求め暴れる。胸の奥が締め付けられるような鋭い痛み。
れいなは数度、激しく咳き込み、そしてこみ上げるものを手で抑える。

「…なんね、これ」

思わず口をついた言葉。
そして掌についた、血。
それはれいなが見慣れたものではなかった。

血。黒い血。
それはれいなに嫌でも過去の出来事を思い起こさせる。

979名無しリゾナント:2013/06/29(土) 21:40:34
― これであんたは、あたしから逃げる事はできない ―

まだ喫茶リゾナントに来る前の出来事。
薄闇に包まれた資材置場に佇むその女が嬉しそうに言った台詞を、れいなは忘れる事ができない。血。黒い
血。呪いの、血。

黒血。
刻が来たのだ。
今更ながらに、自分の期限付きで助けられた命の事を思い出した。
残された時間は、さほど多くない。

980名無しリゾナント:2013/06/29(土) 21:41:33
>>971-979
更新終了
代理投稿をお願いします

981名無しリゾナント:2013/07/02(火) 21:46:17
忍法帳レベル3で代行が出来るのだろうかw
…まあやってみます

982名無しリゾナント:2013/07/02(火) 22:08:45
容量的には問題なかったけどしばらくはリンクを貼れないのが痛手だ

>>980
だーいしの高速移動とリオンを絡ませるとかれいなの黒血とか個性の強い設定を飲み込むあたり過去作品へのリスペクトを感じました
この展開だと後藤さんの参戦も不可避なのか?

983名無しリゾナント:2013/07/03(水) 20:37:39
ナチュラル。
ニュートラル。
本当に孤独な人間というのは、それだけで『完全』な人間だ。
世界と一切関係せずに生きていけるような概念があるとすれば
それほどの角度からどんな具合に観察したところで、やはり『完全』と
表現せざるを得ないと言える。
完全なる孤独。
孤独なる完全。
それは『生死』が無いということ。

 愛し愛され殺し合うことが無いということ。

真の意味で孤独であろうと、完全であろうとすることは全ての連鎖
から解放されようという行為に他ならない。
因果から抜け出そうという行為に他ならない。

つまり殺さず、殺されず。求め合わず、必要とせず。
だから本当に孤独な人間というのは完全であり、そしてあまりにも寂しい。
誰とも、何とも関係しない。

そんな『完全』な人間に対等な人間が存在するだろうか。
誰かが願った『完全』な人間だとしても、何があっても何が起こっても
誰と会っても誰と別れても、運命も必然も因果も因縁も、そんな有象無象が
あろうがあるまいが、そんな魑魅魍魎がいようがいるまいが、物語の
流れになんの関わりもなく、

   ずっと、変わらないのだ

984名無しリゾナント:2013/07/03(水) 20:38:32
それが、きっと、つまり、「死なない」という事。
何のために生まれたのか、どういう意味で生まれてきたのか。
二つの疑問に対する答えに一切の持ち合せがない。

   それが「死なない身体」だ

生死には膨大なエネルギーが必要だ。
保存則にのっとって言えば、エネルギーは総じて「移り変わる」もの。
マクスウェルの悪魔でも無ければ、一定のエネルギーが厳密な意味で
「固定」されたままというのは有り得ない。

だがそれは、人間の常識であり、法則であり、道徳だ。
異能力を保持する人間の常識と、法則と、道徳は違う。

住む世界が、次元が、違う。
種族や種類ではなく、裏や表や逆や対偶ではなく。
違う世界の住人であるという事実があることで、『完全』な人間は
事実上の『完全』と成る。

それは屁理屈だと嘆くか。
解明は出来ずとも、確立をすることが出来なかった真実を。
ならば、傍観者であればいい。

永遠を与えられた人間を、傍観していればいい。
痛みを忘れ、戦いをやめ、他にも様々なものを放棄して
それは終わりがあったときには大事だったはずの思いも平気で捨てればいい。
死んだように時を過ごせばいい。
本当の生も死も知らず、ルールすら無視すればいい。

   それが嫌なら、守れ。

985名無しリゾナント:2013/07/03(水) 20:39:37
死を認識し、獲得し、捕縛し、対峙し、勝負し、対決すればいい。
死ぬのが怖いか。死ぬのは怖いか。
それでも向かい合え、殺しあえ、喰らい合え。

   此処は、そんな世界だ。
   死を覚悟すれば、生きてる間は死なずに済むのだから。

『完全』の外側で、『不完全』の彼女達は生きている。

―― ―― ―

久し振りに食べる蕎麦は、美味しい気がした。
普通の子供はカレーライスや、ハンバーグ辺りを選ぶらしい。
喫茶『リゾナント』に来る親子連れでスパゲッティを不器用に
フォークで取り、啜っているのを何度か見たことがある。

新垣と田中も自分が好きなものをそれぞれ選んで食べていた。
だがどちらとも小食なのか、それとも緊張からなのか、あまり食が進んでいない。
佐藤優樹も緊張はしている。
だが、食べたい物を食べただけで、人は簡単に笑うことができる。
田中や新垣は、ちゃんと笑っているようには見えなかったが。

佐藤が今の状況がそれほど良くない、というのは自覚している。
自分にも危険が及んでいることも。
だが新垣が「大丈夫」だと言った。田中も「良かったね」と言ってくれた。

あの三人が好きな食べ物も覚えてる。
工藤遥は抹茶が好き。 石田亜祐美はスイカが好き。
飯窪春菜はチョコレートが好き。
でもそれ以外にもたくさん好きなものがある。
その数だけ、笑顔があった。

986名無しリゾナント:2013/07/03(水) 20:40:17
たくさんの笑顔が浮かんで、消えていく。
こんな時間が続けば良いのに、と思う。
でも皆が居ないのは嫌だな、と思う。

食べた後、埠頭へ行くために電車を乗り継ぐことを決めた。
その時に佐藤は、田中の隣に居た。降りるまでの間、ずっと、ずっとだ。
彼女の横で手を握り、田中もそれを拒まなかった。

あの時、田中の両目から流れた黒い水。
そして、今佐藤が掴んでいる手が、何か別の生物ような違和感を覚えた、あの時。

本当は聞いてみたい。
様子がおかしいから、本当は具合が悪いのではないかと。
それは自分のせいではないのかと。
自分ができることは何なのか、聞いてみたい。
もしそれが自分のせいだとしたら、このまま自分を捨ててくれても良いとさえ思うほど。
……嘘だ。
本当は捨ててしくない。できればずっと田中の傍に。

 「佐藤、ちょっとの間だけ、寝といてもいいっちゃよ。まだ着かんからね」
 「たなさたん、わたしにできることがあったら、なんでも言ってください。
 どうしていいかわかんないけど、おいてかれるのだけはやだけど。
 それいがいのことはできるから。できるかもしれないから」
 「大丈夫。れなはずっとおるよ。だから寝ときい」
 
電車に揺られながら、佐藤は田中の声と共に瞼を閉じる。
マスクを付けていて苦しいが、寝顔を見られるのはどこか気恥ずかしいので我慢する。

987名無しリゾナント:2013/07/03(水) 20:41:12
佐藤は祈りたくなった。鈴木香音が言っていた『神様』という存在に。
神様は一つ、願いを叶えてくれるという。
たくさん願いを叶えてくれたらいいのに、と思い至った時に、佐藤は祈る対象を変える。
どんなに祈っても助けてはくれない神様ではなく、自分達を救ってくれた
神様のような人達が、これが終わったらいつまでも笑顔で居られますように。

寝息を立て始めた佐藤を見て、田中は呟いた。

 「なあガキさん、佐藤のこと、頼むけんね、こいつ、ガキさんのことも
 好いとぉみたいやし、ま、まだまだ子供やけん、わがままやけど」
 「田中っち、それは卑怯だと、私は思うよ」
 「別にガキさんやなくても誰かに頼んどお、れなにはもう時間が少ないから」
 「…約束はしないよ。私も覚悟してるから」
 「そっか、まあ、こいつらなら大丈夫やね、さゆもおるし。うん、さっきの忘れていいよ」

穏やかな表情でそう言った。見た事のないほど覇気のない、掠れた笑顔。
そして田中れいなは、海に臨む。
傷だらけの身体と魂を抱えて、臨む。
自身の限界を知りながらも、ただひたすらに。

それが自分の在り方だと奮い立たせるように。

988名無しリゾナント:2013/07/03(水) 20:45:00
『異能力 -Blue flames and butterfly-』
以上です。
新スレおめでとうございます。そしてまた巻き添え規制です(涙)

>>34
れいなの設定をリゾナントしてくれたのはスレ内で二度目です(照)

989名無しリゾナント:2013/07/03(水) 20:46:18
-----------------------------ここまで。

避難所を開設して頂きありがとうございます!
どちらに書こうかと思ったんですが、ここを埋めてからの
方がいいんでしょうかね?

いつでも構わないのでよろしくお願いします(平伏

990名無しリゾナント:2013/07/03(水) 22:19:59
>>989
行ってきますた

>どちらに書こうかと思ったんですが

広告のウザささえ気にしなければここも機能してることはしてるんですがね
その辺の合意とかできてないし当面はこちらの方を使います?

991名無しリゾナント:2013/07/03(水) 23:12:31
>>990
わわ、こんなにも早く代理投稿ありがとうございました(土下座
うーん、自分はそれでも構わないと思いますが、何か
重要なことがあれば避難所に、という手も。

992名無しリゾナント:2013/07/04(木) 23:09:41
よく考えたら作品のサイズ次第ではもうこのスレに収まりきらないかもしれないのでpart4を立てておきますか
とりあえず当面は避難所は使わずこちらの方を使用するとしましょう
また広告が酷くなってきたら避難所の使用を検討するという線で

993名無しリゾナント:2013/07/04(木) 23:18:15

つ【アク禁】スレに作品を上げられない人の依頼スレ【巻き添え】part4 http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/music/22534/1372947232/
長編を投下しようという方はpart4の方へどうぞ

994名無しリゾナント:2013/07/05(金) 18:25:55
>>988
黒血の設定、いつリゾナントするか? 今d(ヤメロ)
きっと元ネタほど魅力的な設定にはできないかと思いますが頑張りますw

995名無しリゾナント:2013/07/05(金) 18:28:56
>>982
代理投稿ありがとうございました。
Gさんについては現実のれいなの憧れの人ですから。取り上げないわけにはいきますまいw

ということでスレを跨いでしまいますが続きを投下いたします。


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