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耐久神話31日24時までに100の神話を記述

1bothhands:2007/12/29(土) 16:53:39
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『ところが、突如、急ぐようすもなしに、彼は4分の1の回転をしはじめた。彼が真向きの顔をこちらへむけるであろう、その同じ瞬間に、すべてはなしとげられるはずだった。彼が、ぼくらを見るであろうその同じ瞬間に、彼はすでに、ぼくらの中に、渇きも、死も、蜃気楼も、消し去っているはずだった。彼は早くも世界を変えるその4分の1の回転をやりかけていた。彼の上体の動き1つ、彼の視線の動き1つで、彼は生命を創造するはずだった、そしてぼくには、彼の姿が神のように見えるのだった……。
これは奇跡だ……。彼は、砂の上を、ぼくらの方へ、歩いてくる、海上を渡る、神のように……。』(サン=テグジュペリ、堀口大學訳、『人間の土地』より引用)
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このスレッドは現在時刻より2007年12月31日2400までに100個の神話をbothhandsが記述するためのものです。
年末なのでちょっとした催しをするということです。
いないでしょうが、参加される場合は、別途にスレッドを立てて、タイトルにタイムリミットと目標とする記述個数の表記をして下さい。
http://bothhands.at.webry.info/200712/article_3.html
http://ustream.tv/channel/bothhands

2bothhands:2007/12/29(土) 17:17:08
神々の家でアルセスは暇を持て余していてました。ふとアルセスは2枚の皿か閃きを得ました。アルセスは外に出ると一枚を上へ投げ、一枚を下へ投げました。上の皿は天蓋に、下の皿は大地にとなり、それらのあいだを世界がなりました。
世界には人間というアルセスにとっておもしろい生き物がいて、アルセスはよく相手をしにいきました。
あるときのことです。アルセスはくしゃみをしました。これをみていた老人が「風邪をひきましたね。お大事に」といいました。
神様が風邪をひくとは変な話ですが、このときのアルセスは人間のふりをしていたので、風邪をひくことができたのです。
アルセスは風邪で苦しみました。だから風邪を撲滅しようとしました。しかしなかなか上手くいきませんでした。
困っているとあるとき、1人の農学部の青年から話を聞かされました。この青年は畜産を専攻していて、畜産に関する歴史もよく知っている人物でした。
この青年はいいました。「大昔の話なんですが、人間は家畜と自分たちの住居を一緒にしていました。これが伝染病発生の原因なんだとか」
これを聞いてアルセスは神々の家に帰り、しばらく考えました。そして考えが決まると、外に出て、天蓋に手を伸ばして大地へ叩きつけました。
こうしてアルセス神の家畜は消え去り、風邪は撲滅されました。

3bothhands:2007/12/29(土) 17:27:49
今は昔、あるところに助言者がいました。これは一種の芸人で人々になぞなぞを仕掛けたり、仕掛けられたりして、稼ぐ仕事でした。ピエロやスタンドアップコメディアンの仲間といえるかもしれません。
さて助言者ですが、あるとき、いやにひっそりした豪邸へ呼ばれました。ひっそりしているのは豪邸の主、高名な僧侶が死に際にあったからです。
僧侶はベッドに横たわったまま、息も絶え絶えにいいました。
「お前はなぞなぞを仕掛け、自分でもなぞなぞにこたえてくれるのだな」
「はあ。半分死んでいるお坊様に呼ばれたのは初めてですが、ちゃんと仕事をしますよ」
そうかと僧侶は答えると、目を剥き、上体を跳ね起こして、助言者の胸ぐらを掴みました。
助言者は目を白黒させ、逃れようとしましたが、僧侶の枯れ木のような腕は万力の力を発揮していたのでできませんでした。
僧侶は訊きました。
「この世界に神はいるのか?あの世はあるのか?」
助言者は眉を寄せました。
「お坊様は難しいことをいいます。しかし答えは簡単です。実際にいってみればいいのです。昨年は私の祖母もあちらへ参りました。もし祖母と会いましたら、よろしくお伝え下さいませ」
こうして助言者は僧侶の館を後にして、その背中で弔鐘を聞きました。

4bothhands:2007/12/29(土) 19:01:01
ゆらぎ市では毎週金曜日17時から『機動戦艦アルセス』というTVアニメが放送されている。男子高校生の伏笠弐郎はこれをみるために金曜日の放課後は一目散に帰る。課業終了は16時30分だった。
密集した住宅街を詰め襟の制服の伏笠が突っ走る。その行く手を遮るように脇道から跳びだしたブレザー姿の若い男。男は両手を広げて叫んだ。
「いくぞ、伏笠弐郎!我が異能は――――」
男の身体からオーラが立ち上り始める。伏笠は眉を寄せ、叫ぶ。
「っるいさいぞ、間に合わないだろッ」
伏笠の膝から下が輝く。スラックスの表面に光で描いたかのような文様が浮かび上がる。瞬間、伏笠は男のとの距離をつめ、その勢いでラリアットを喰らわせた。
吹っ飛ぶ男を尻目に伏笠は走る。これこそが伏笠の異能<猫走>だった。この異能こそが『機動戦艦アルセス』に間に合うために不可欠な力だった。
しかし疾走する伏笠を見下ろす影があった。
伏笠は路地を曲がろうとする。速度がつきすぎている。ブレーキをかけると靴底が煙を上げる。壁が迫ってきたので伏笠は跳躍、その壁で三角蹴りして前方へ。さらに勢いをつけて。だが、その前に無数の光弾が。
突如飛来した光弾に伏笠は撃ち落とされ、地面に転がる。
さらに飛来する光弾を伏笠は転がってよける。ブレイクダンスの要領でかわし、さらに腹筋に無理をいわせて、跳ね起き、同時に光弾を蹴りでなぎ払う。
このわずかな時間に伏笠は狙撃者を発見していた。前方のひときわ背の高い住宅の上にコート姿の男がこちらを指さしている。
光弾が飛来する。伏笠の足を光の文様が覆う。
伏笠の姿が消える。いや住宅の壁という壁を使って三角蹴りをしている。文字通り空中を飛ぶように移動して伏笠はロングコートの男のもとへたどり着く。
伏笠は鷹のようにロングコートの男を襲う。が、男が嘲笑するように唇が歪める。
「かかったな」
無数の光弾。ショットガンというよりも雨のような光弾が放たれる。
しかしを埋め尽くす白に伏笠は両腕を組んで防御。異能<猫走>が空気を足場に変え、さらに加速。狙撃者はタックルの直撃で屋上から吹っ飛ばされる。
伏笠は時計を見ながらブレーキをかける。靴底から火花がたち、煙がたち、ゴムの焼ける臭いが漂った。そして伏笠の舌打ち。時刻は16時59分30秒だった。
伏笠は屋上を蹴飛ばす。穴が開いた。そこへ哄笑が響く。伏笠は壁を伝って路地へ降りる。そこにはロングーコートの男が女子高生を捕まえて、光弾を浮かび上がらせている。
「この女の命が惜しければ、貴様の<世界改変権>を寄越すんだ」
「黙れよ。なんだそりゃ<世界改変権>?おれはそんな知るかよ。基地外は基地外同士で遊んでいやがれ。そしてさっさとその通りすがりの女子高生Aを解放しておれに殴られろ。お前のせいで『機動戦艦アルセス』がみれないんだぞ」
「き、貴様、なにをいっている。この女がどうなってもいいのか――――」
「だッからッ黙れッ、うちにはビデオデッキがねえんだよ。このドチクショウが!」
伏笠はそばに立っている電柱を蹴飛ばした。電柱は折れ、電線は切れて火花を散らして踊った。電柱が口をあんぐり開けたロングコートの男を直撃する。その瞬間、伏笠の姿はかき消え、巻き添え喰らって感電しそうになった女子高生を救い出す。
伏笠は女子高生をお姫様抱っこしたまま、謝る。もっとも不機嫌なので眉はよせたままだった。
「変なことに巻き込まんでしまってすまない。実はおれも事情はよくわかっていないのだが、あんな変態によく襲われるんだ」
女子高生は理解が及ばないらしく、何度か瞬きした。そしていった。
「あの、よかったら、家へ寄りませんか。私、録画してるんです。あの、はずかしんですけど、オタクで、その『機動戦艦アルセス』大好きなんです」
伏笠は口元をほころばせた。
「じゃあ厚意に甘えさせてもらうよ。ありがとう」
伏笠はお姫様抱っこのままで走り始める。伏笠はおもった。あの男の作った『機動戦艦アルセス』は糞だ。なにしろ母親を捨てた男のアニメだからだ。でもあんな奴のでも好きっていう奴がいるんだな。


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