したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。

汎用記述スレッド

1言理の妖精語りて曰く、:2006/02/19(日) 14:27:12
 この場所は特に制限を設けない総合記述スレッドとして汎用的に扱います。
 ここに記述された文章が神話を構成する断片となります。

2言理の妖精語りて曰く、:2006/02/20(月) 02:19:31
【言理の契約】

私たちは思われることによって存在し、語られることによって進化します。
知る者が多ければ多いほど、印象が強ければ強いほど、私たちは栄えます。
語る者がいなくなり、思う者が消えたとき。
それが私たちの終焉です。

私はあなたに語りましょう。
魂に封じられたあらゆる記憶をここに捧げて、知恵も力も与えましょう。
だから、ひとつだけ約束を。
私たちが求めるものは、いずれの時もただひとつです。
この物語を語り継ぎ、世に知らしめてみせてください。

3言理の妖精語りて曰く、:2006/02/21(火) 04:07:51
実はね、マロンゾロンドは沢山いるんです。
あたくし、連中が列になって歩いてるのを見たから本当です。

しかもあれは全部親子関係です。
マロンゾロンドは一柱につき一回だけ子を産みます。(ちなみに単性繁殖です)
つまり連中の家系図を書くと、先祖から子孫までが完全な一直線になるんです。
親マロンゾロンド、子マロンゾロンド、孫マロンゾロンド……と延々と続くわけですね。

連中は大家族なわけですから、普段はどっかの隠れ家に潜んでるんです。
どこかって? そりゃ知りません。
でもあたくしが行列見かけたのは例の遺跡の近くでしたからね。
ひょっとしたらあの辺にあるのかもしれません。
この辺りじゃよく出ますからね、マロンゾロンド。

ああ、そういえばいちばん最初のマロンゾロンド。
つまりマロンゾロンドの家系図の一番上のマロンゾロンドなんですけどね。
こいつだけは凄まじくでっかいマロンゾロンドらしいです。
つまり、ええ、こんなボロ屋よりはよっぽどでかいマロンゾロンドです。
そいつがのっしのっし歩いてるのを見た奴がいるそうです。
ええ、本当ですって。何せ私の従弟の話ですからね。
だってそんな大きいマロンゾロンド、見間違えようがないでしょう?

4言理の妖精語りて曰く、:2006/02/21(火) 23:59:58
古き神の中で特に戦に長けた者と言えば、
すぐさまシャルマキヒュとアルセスの二柱が挙げられよう。
念のため注しておくと、この二柱は他の神に必ずしも力で勝るわけではない。
しかし両神については争いにまつわるエピソードの例が著しく膨大であるため、
数の上の問題からそのような印象が生じたのである。

共に戦神として崇められるシャルマキヒュとアルセスであるが、
両者にはその信仰の性質に若干の違いもある。
シャルマキヒュは主に神々同士の争いでその力を発揮した。
南東からの脅威の眷属に果敢に立ち向かい、
最も多くを下したと伝えられるのは他ならぬシャルマキヒュである。

一方アルセスは好んで世界各地を歩いた神であり、
行く先々で大小の喧嘩争いを制している。
自ら喧嘩を吹っかけるようなことはあまりなかったアルセスであるが、
相手の側がそれを許さなかったのである。

こういった両神の性格の違いもあって、
シャルマキヒュが主に信仰されるのは軍隊に属す兵士たちであるのに対し、
アルセスが信仰されるのは奔放な喧嘩人や冒険者である。
ゼダ公爵家のサイクロプス・クラウドがシャルマキヒュを信仰し、
希代の冒険者ナプラサフラスがアルセスを信仰していたことなどは、この象徴的な例であろう。

 (クリープ・フェーン『神話』)

5言理の妖精語りて曰く、:2006/02/23(木) 10:04:47
「僕はアルセスだよ」
「へえ。ずいぶん大げさな名前ですねえ!」
 そりゃあそうだろう。まさか、目の前に居るひ弱そうな男が、いくつもの伝説やら彫刻やら絵なんかにさも力強そうに描かれている紀神その人だとは、このいかにも人のよさそうな古本屋の主人は夢にも思わないだろうね。
「よく言われるよ。それで、アレがあるってのは本当なのかい?」
「はい、はい!ただいまお持ちいたしますので、どうぞそちらのほうにおかけになっててくださいな」
 ぼくは丸太を切っただけの椅子に腰かけて待った。その間、その辺の本棚から題名も見ずに一冊とりだしてパラパラめくってみた。よりにもよって神話事典だ。しかも知った顔がいくつもいやがる。あ、こいついくらなんでも美形すぎだろ。実物はもっとブ男だぜ。それにレストロオセちゃんが“呪祖”のほうなのも気に食わない。こないだ“聖母”のほうとデートしてたらいきなり“呪祖”に変わって、飲んでたハーブティーを顔にぶっかけてきやがったんだ。おかげで上半身大ヤケドだ(まあ、2ミリ秒で治ったけど、紀神だって熱いものは熱いんだ!)。“聖母”のほうは可愛くていいんだが“呪祖”のやつとはどうしてもウマが合わない。いつか変動周期を調べなきゃいけないな。そうだ。
「ねえ。ジャッフハリム時代の獣骨卜占術の資料とか、ない?」
「すいません旦那、うちはそっち方面は弱いもんで。いまアレをお持ちしますんで、よっこらしょっと!」
ちぇっ。

6【二大祖国】:2006/02/26(日) 01:59:34
古代ジャッフハリムに次いで――を支配した二大国家。
その版図は広く、両者を合わせると――および――にまで及んだ。

両国は互いに激しく争い合い、最終的には分裂して共倒れの形となる。
しかしその文明・文化は後世に色濃く影響しており、
また歴史的に連なる国家は現在も少なくない。

このような背景により「世界中の人間の歴史的母国」という意味を込めて、
両国は『二大祖国』として人々から尊ばれる。

7言理の妖精語りて曰く、:2006/02/26(日) 18:28:44
「先生」
「うん」
「一体何をされてるんですか」
「その、なんだ。軽くこの辺を片しておこうかと」
「はあ」
 一週間も自分の家にこもりきりだった先生が突然近魔研に戻ってきて、こんどは机回りや私物の整理をはじめた。私は棚の書類を整理しながら、少し呆れて先生の様子を眺める。
「珍しいですね、どういう風の吹き回しですか。いつもは絶対私にやらせるのに」
 性根ずぼらな先生の散らかした諸々を片付けるのは習慣的に私の役目だったはずであり、目の前の光景には多大な違和感を覚える。これまでの八年間ではありえなかったことだ。私が半年間の研修に行ってる間に、奇人ぶりにますます磨きがかかったのか。
「いやね、ちょっと身辺の整理をしておきたくなったものだから。もう時間もあまりないからね、いつお迎えが来ることか」
「は?」
 何を言い出すんだこの老人は。私が驚いて口を開けていると、先生は椅子にふんぞり返って煙草をくわえ、私に正面から向き合ってきた。先生のこの姿勢は講釈を垂れはじめる前兆だ。こうなると、私も棚の入れ替えを一時中断せざるを得ない。
「言っていたかな、実はここのところずっとあるテーマにかかりきりで」
「え? あ、それは知ってます。先生が家にこもるとなったらそれしかありませんものね。まさか家族サービスで奥さん労わってたわけでもないでしょう」
 その間に一度、ものすごくどうでもいい書類上のサインが必要で先生の自宅を訪ねたことがあった。どうにも怪しげな呪具や術素材の類が大量に積まれていたことを思い出す。どうせまたろくでもない実験をやろうとしているのだろう。この年で古代魔術にのめり込むとは、まあ何とも酔狂なことだ。が。
「うん、それなんだけどね。何とか成功したよ。随分準備に駆けずり回ったけれど、【人類】は無事発動した」
「は、人類?」
「そう。【人類】だ」
「ホモ・サピエンス?」
「この文脈でどうしてそうなるんだ。オルザウン禁忌集の方だよ」
「先生?」
 先生は真顔だった。先生はときどき嫌味や皮肉を口にするけれど、相手を笑わせるための冗談なんて言ったためしがない。
「昔から興味はあったんだ。それこそ小さい頃からね。おおっぴらにやるわけには行かなかったが、陰で少しずつ情報を集めてはいた。六十年来の夢が叶ったわけだよ。しかし少しだけ、残念な気持ちもある」
 先生は天井を向いて煙を吹き出した。すぐに視線を私の方に戻し、再び真っ直ぐ見つめてくる。それが清々しさのか寂しさなのか判断できない、微妙に涼しい目つきだった。
「後世に名を残すとか、世の中に貢献するとかね。そういうのに躍起になってる連中を見て、私はくだらないと思っていたのだよ。だが、今になってみるとどうにも惜しいと思えてしまう。自分の発見が自分の中だけで完結してしまうというのがね、どうにも寂しいことに思えてしまうのだ。丸くなったのか、もう若くないということなのか……」
「先生、さっきから何を言ってるんですか?」
 言葉を遮ろうとして口を挟んだが、先生は一向に気にしない。口調を崩すこともなく、まったく同じペースで次の言葉を続けていく。吐き出される副流煙が気になった。
「だからね、とりあえず、私の調べてきたことの一部を君に預けてみようと思う。場所は分かるね? もし分からなければ家内に聞くといい。君はあまり出来の良くない生徒だったが、それでもまあ、七年もこの私の下にいたのだ。やろうと思えば大抵のことはやってのけてみせるだろう。後は自分で考えなさい」
 先生はくわえていた煙草を灰皿に置いて腕を組んだ。椅子に深く座り直す。私はその前で突っ立ったまま微動もできず、そして返す言葉もない。
「おお、そろそろだ。なかなか歴史的な瞬間と言えるだろうね」
「何のことですか」
「だから、【人類】だよ」
 一陣の風が吹いた。




「……と」
 何だろうか、少しぼうっとしていたようだ。突っ立ったまま我を忘れるとは、自分のことながらさすがに呆れる。そう、今は棚の中身を入れ替えていたのだった。すぐに作業を再開する。
 三冊ほどの事典を小脇に抱え、ふと先生の机に視線を向けた。なんだか様子がいつもと違う。あれだけ散らかっていた先生のスペースが、今日はきちんと片付いている。なぜだろう、自分は手を出していないはずだ。一段すっきりとした机の上には、まだ煙のくすぶる灰皿が乗せられていた。

8言理の妖精語りて曰く、:2006/02/27(月) 04:54:28
つまるところ、私が欲した物は真の愛だったのだ。誰も見た者はいない。しかし、愛は、愛として在る。
愛を携えた勇者の前に敵は存在し得ない。来し方より伝わり行く末まで続く真理だ。
だがあの者が私に本当に愛を授ける事はなかった。
『愛している』と言う事は容易く、それ故に軽い。
私がマロゾロンドへの愛を口にした所で、誰がそれを信じる?
レストロセオを生涯の友と宣言した所で、戯れか皮肉と取られるだけだ。
真の愛を口に出すことは誰にも出来ぬ。愛が見えないのは絶対言語ですら正しく語れないからだろう。
それでも私は愛が在ると信じた。紛れもない真実として。
疑る者を打ち破り、光をもたらす愛を。
ああ、告白しよう、疲れたのだよ私は。
伝説で彼が彼女の為に槍を作ったという、それに憧れた。
故に、私は愛を欲してしまったのだ。愚かな事にな。

9言理の妖精語りて曰く、:2006/02/27(月) 06:40:55
「で、なんだ。結局ヤらなかったのか」
「女なんてなあ、頭も腹も空っぽなんだからよう。ブスっと突っ込んで支えてやんなきゃあ。お前の《槍》は何のためについてるんだよ?」
「うるせえな!あいつは、そんなんと違うんだよ!」
「ひょっ、なんだこの兄ちゃん。まだ槍は『新品』か」
「《初陣》済ませちまえばぜんぜん女の見方変わるぜえ。いい女紹介してやろうかぁ?」

10言理の妖精語りて曰く、:2006/02/27(月) 14:40:53
これはシステムなのだ。
我々は誰にも気付かれず、自身すらその全貌を知らぬままこの計画を遂行せねばならない。
既に情報は拡散している。我々のあずかり知らぬところで情報は生まれ、そして変容を繰り返す。
もはや我々でさえ、それを制限し流す立場にはいないのだ。
後はシステムのおもむくまま、我々は我々の目の前の事象に対処しよう。

11言理の妖精語りて曰く、:2006/02/28(火) 15:15:54
【人類】の秘密に到達した者がいるのに、なぜ【人類】は唱えられないのか?
【人類】を唱えようとすると何らかの抑止力が働くのか?
【人類】の発動を観測することが人間には不可能だから?
それとも……そもそも【人類】なんて魔術は存在しないのではないだろうか……?

12言理の妖精語りて曰く、:2006/02/28(火) 20:02:33
マロゾロンは心優しい神という。怖いの見た目だけさ。
もし遠くの誰かに伝えたいことがあったならお菓子を用意するといい。
お菓子と一緒に手紙を差し出せば、どうしてか相手に届くんだ。
だから、マロゾロンを見かけたら邪魔してはいけない。
マロゾロンが猫背なのは、みんなから預かった手紙を落とさないようにぎゅっと抱いているからなんだよ。

13【ミアスカ】:2006/02/28(火) 22:47:39
(一)深飛鳥。最近では国名の一般則に倣い、ミアスカと書かれることが多い。
(二)ミアスカの国語。古くはミアスカ語と呼んだが、国名とその国の人間、また国語を言葉の上で区別しないメアレンの言葉との浸透作用により、単にミアスカと呼ぶことが多くなっている。母音が少なく、表音文字と表意文字を使い分けることで豊かな表現を行う。
(三)ミアスカ人。ミアスカ国籍を持つ者、ミアスカに住む者、ミアスカ民族の血を引く者、または紀ミアスカに触れた者。ミアスカ語と同じく、単にミアスカと呼ばれる。

14バンゲオン:2006/02/28(火) 23:13:27
・幻獣。世界創造に関わる存在。このものが満ちる虚無を砕いた結果、世界が現れたという。
・武器の名称。殺したものに生命を付与する。

15ミアスカ流脚撃術:2006/02/28(火) 23:33:18
ミアスカ国で盛んな武術。その一撃は盾を貫き、鎧を砕く。
一人の官吏が古神セルラ・テリスに勝負を挑み、勝ち取ったもの。
そのせいかこの国の役人はみな丸太のような足をしている。
武芸家の間でミアスカといえば「蹴りの国」となっている。
『ガイドブックシリーズ17 はじめていくミアスカ』

16言理の妖精語りて曰く、:2006/02/28(火) 23:33:39
ロカムカから発見された洞窟の壁画には、多くの紀神たちが描かれているのは有名な話である。
しかしそれらを更に写実化させ、現代における紀神たちのイメージを安定させたのは画家オウィ・K・トカームだ。
オウィは洞窟の壁画の前でじっと佇んで三日ほどそれを見つめ続け、その後百枚以上もの絵を一気に描き上げたという。(連作:紀神たちの夕べ)
その紀神たちの絵をみた古代研究者たちは「まさしくこれこそ紀神である」と認めたほどその出来は素晴らしいものだった。
なおオフィは晩年、連作のうち何枚かと共に失踪し行方不明になっているため、現在においてその完成形を見ることは叶わない。

17研究ノート:2006/02/28(火) 23:48:34
たとえば、彼らの宇宙にあって我々の宇宙にないものに「レタス」というものがある。
これは家庭の食卓にも頻繁に上がるごく標準的な植物であり、つまり野菜の一種である。
他にキャベツという野菜も存在するが、両者は見た目が酷似しているので注意されたし。
(総じて質感はレタスの方が柔らかいと言われる) 
こういった我らの宇宙に存在しない動植物の例は、
パケロ・アグレロ・クロイイの著作『幻想博物誌』に多数見ることができる。

18【高麗ニンジン】:2006/03/01(水) 10:23:03
 あらゆる世界を根本から刺し貫くとされる巨大な"根"。
 世界の果てに埋まるとも、世界の中心から伸びるとも言われ、全ての存在をそこから生やす。神話世界の非常に強力な根元的概念。フラクタル構造を持つとされるこの根はあらゆる部分が栄養を吸収すると同時に、またあらゆる部分が栄養である。
 健康を究めようとするあらゆるものはオタネニンジンを求め、これに触れたものは【高麗】の概念に到達するという。

19<<妖精は口を噤んだ>>:<<妖精は口を噤んだ>>
<<妖精は口を噤んだ>>

20ある学者のノートより抜粋:2006/03/02(木) 03:41:49
パンゲオンによって世界が創造される以前、そこには何があった? いや、何がいた? パンゲオンはその時すでにいたはずだ。そして古き神々もいたのだろうか? ほかには? ほかには何がいたのだ? 紀元槍はあったのか? パンゲオンは紀元槍から生まれたとしたら? ならば紀元槍がそもそも最初にあったことになる。紀元槍とはなんだ? 伝説には紀元槍に触れた者の話もあるが、紀元槍に触れるとはどういう状態を指すのだ? どこにいけば紀元槍に触れるのだ? 紀人とは? 紀神とは? 紀元槍とはいったい何なんだ? そもそも、【紀】はなんだ? あらゆる概念を持ち合わせる、矛盾すらも包括する概念とは? 概念? もしも紀元槍が紀そのものであり、紀元槍になる以前は紀であったとするなら、この世界の最初にあったのはたった一つの概念だということか……?

21ゲヘナの一人:2006/03/02(木) 23:53:51
世界とは思考する虚無だ。
それはある日、思考することを覚え、物を考え始めた。
この思考の泡が世界であり、我々だ。
我々は虚無の頭の中にいるのさ。
虚無が考えるのを止めたら、文字通り、雲散霧消だ。
くだらないくだらない。

22【大神院】:2006/03/03(金) 02:47:47
『二大祖国』時代の中ごろに義国の一地域で誕生した宗教的集会がその母体。
神々の神格に明確な序列を設け、数派の属性に秩序立てて分類。
さらにこれに当てはまらない神々を邪神とし、異端として信仰を禁じた。

この教義自体は一般に普及することなく、一地域のみのものにとどまる。
しかし組織としての大神院は義国の政権に対して大きな力を持つまでに発展し、
義国の滅んだ後もその系列の多くの国家に強い影響を与えながら現在に至る。

23【メカメカしい神】:2006/03/03(金) 04:31:58
 またの名を、「グレンテルヒによる試作機七号」という。
 そのシルバーメタリックなボディが放つ神々しい輝きは、暗い夜道を明るく照らしてくれる。昼間見えることはあまりないが、夜空に浮かぶメカメカしい神は白くて丸い姿をしている。
 この神を信仰している地方では、磨き上げられた銀製の道具をお守りとする風習がある。

24ミアスカの昔話:2006/03/03(金) 14:00:42
昔々ミアスカに一人の官吏がいました。ただの男でしたが、美しい女を妻にしていました。
妻の美しさはミアスカ王の耳にも入りました。王は男を妬み、その妻を奪いたくなりました。
ある日、官吏は王のもとに呼び出されました。王は「ハイダル・マリクにこの手紙を届けよ。期限は一日だ」
男は答えました。「恐れながら申し上げます。王の国からハイダル・マリクまで人の足で1月、馬の足で2週間の距離があります。一日ではとても届けられません」
王は難癖をつけました。「貴様はミアスカの官吏のくせに王である余の命令がきけんというのか。何を考えておる。貴様は逆賊ではあるまいか」
男は青くなりました。「なんと恐ろしいことをおっしゃいます。昨日の私も今日の私も明日の私も王の忠臣です。ただ今の命令は私には無理なのです。私にできる他の命令ならなんでもこなします」
王はほくそ笑んで言いました。「ならば、お前の妻を差し出して逆賊の汚名をそそいでみせよ」
男は沈黙しました。妻を失いたくなかったのでした。
王は追い討ちをかけました。「余の命令をきけぬのならお前は逆賊だ。処刑する。逆賊でないならば、手紙を一日で届けるか、妻を差し出すがいい。」
男は仕方なく家に帰り、妻に今日あったことを打ち明けました。
すると女は「なんと簡単なご命令でしょう」と言いました。そして男に手紙の準備をさせ、自分はお菓子を買いにいきました。
お菓子と手紙が揃うと女は男を人気の無い小道に連れて行きました。
ちょうど夕刻でした。古神マロゾロンが出る頃合でした。待っていると暗がりの奥からのそのそと黒衣の何者かが現れました。マロゾロンでした。
女はマロゾロンに足をひっかけて転ばせると、手紙とお菓子を捧げました。
男は訳も判らず目を白黒させました。
翌朝、王は晴れやかな気分で目を覚ましました。今日はあの官吏から妻を奪い取れるからでした。けれどもその気分にはすぐ水が差されます。
側仕がハイダル・マリクからの手紙を持ってきたからです。これはもちろん昨日の王の手紙への返事でした。
そのせいで王は不機嫌になりました。あの官吏が無理難題を解決できたのは妻の知恵のためという噂を聞いてさらに気分を悪くしました。
官吏の妻が賢いと聞いて王はもっと欲しくてたまらなくなり、次の日、また官吏を呼び出しました。

25ハイダル・マリク:2006/03/03(金) 14:14:41
「最古の都市」ハイダル・マリクの伝説は、それが存在した場所について幾つかの諸説がある。
後世、ハイダル・マリクがあったと噂される土地の住人はこれを信じて、
自分たちの街を各々勝手に「ハイダル・マリク」と呼ぶようになった。
そのため、現在では世界中にいくつも「ハイダル・マリク」という名の都市が存在する。

26ハルバンデフの奇景:2006/03/03(金) 19:52:15
草の民の平原には無数の槍が突き立てられています。槍の長さは人の背丈の倍ほどです。この長い槍が地平線まで整然と並んでいます。
雨の季節になると、それらの槍に雷が落ちます。避雷針代わりです。
これを始めたのは幼年時代のハルバンデフと言われています。
幼年時代のハルバンデフは遊牧民の1人でした。ハルバンデフもおおくの子どもたち同様に羊の世話をしていました。
ある時、その遊牧民たちは雷神の怒りを買いました。それから羊に雷が落ちるようになりました。
遊牧民にとって羊は財産です。羊を殺されては貧しくなるばかりです。
ある時、ハルバンデフは雷が落ちるところに居合わせました。目に焼きつくような光が走った瞬間、ハルバンデフは今日の夕飯は羊だと思いました。しかし、残念なことに雷は羊でなくてそばにあった木に落ちました。ハルバンフは肩を落としました。
その夜、遊牧民の長は皆を集めて雷神を鎮める方法を求めました。良い案を考えた者には長から羊肉が振舞われることになりました。
食い意地の張ったハルバンデフは長に昼間見たことを伝えました。すると長に不謹慎と殴られました。
ハルバンデフは意地汚いだけでなく意固地な性分でもあったので長を見返そうと思いました。それで自分と同じく肋の浮いた食い気ばかりの子どもをあつめて平原に槍を突き立て始めました。
それ以来、羊に雷が落ちることはありませんでした。
ハルバンデフには長から羊が与えられましたが、受け取らなかったといいます。避雷針を考案して雷神を倒したこと自体に満足したからとも言いますが、長の首を求めたからとも言います。
長の首を求めたという話では、ハルバンデフの幼年ではなく青年であったと言います。

27【φ】:2006/03/04(土) 19:54:11
マイナスの音価を持つ母音。それと組み合わさった子音の発音をなくす。
たとえば、古代ジャッフハリム語で、古き神アレはAlephφと記述される。
このような母音がなぜ作られたのかは諸説あるが、AleqφやAlethφなど、
同音異義語を記述の上で区別するためという説が主流である。

28【オルザウン禁忌集】:2006/03/05(日) 14:19:27
人智を凌駕し、歴史を歪ませかねない術法・秘宝について記された書。
これらは人類の存亡を脅かす脅威であり、決して触れてはならない禁断の力であると説く。
古代魔術としての【人類】や【起源】、奇跡の宝石や絶対言語などが禁忌として挙げられている。

オルザウン、エルヌール、ニースフリルらによってまとめられ、
活動の中心となったオルザウンがその書名の由来となった。

29言理の妖精語りて曰く、:2006/03/06(月) 02:21:34
古代魔術と近代魔術はその根本が異なる。正直言って全然違う。

古代魔術とは神や精霊によって世界に刻まれた奇跡を再現する現象だ。人間は定められた媒体を用意して呪文を唱え、正確に儀式を行う必要がある。条件が満たされれば、神の奇跡は再び人間の前に現れるだろう。儀式はつまるところスイッチであり、それが押されさえすれば誰が用いても決まった効果が得られるのだ。そのため古代魔術においては、術者の霊的素養以上に、唱えたい術についての正確な知識と用意があるかどうかが重要となる。古代魔術と考古学、伝承学が密接に関係するのはこういった理由からである。

対して、近代魔術は合理的な魔術体系である。人間は魔術の原理をの経験と理論によって体系化した。その仮定は帰納と演繹の連続である。初期の近代魔術はまったく実用的ではなく、思考自体が価値と言わんばかりの道楽的な学問と見做されていた。しかし研究と改良を重ねる中で次第に近代魔術は実用化し、現在では古代魔術に劣らず我々の文明に貢献している。近代魔術においてはその魔力を己の精神力でいかに精密に操るかが鍵であり、術の使用は個人の能力に大きく依存する。

30【パンゲオニルド哲学】:2006/03/06(月) 20:04:53
世界そのものを原初神パンゲオンから流出する【本質(イルド)】の顕現である、と説く神秘哲学。
伝承では古代の英雄アルプテギンがパンゲオン直々にその教えを授けられたとするが、
現在の研究の結果ではその成立年代は新しく、中興の祖と仰がれたミルー=バオルオンが事実上
の「宗祖」であるという説が定説になっている。
若かりし頃のアルセスバハル二世が傾倒していたことで有名。

(ミース・テーギル監修『簡易思想事典』)

31【ウェウーレベルンがニースフリルによって隠された経緯】:2006/03/06(月) 22:25:27
「ちょいちょいちょい。オルザウン」
      「何か」
「これやばいって。言理大戦」
      「いいじゃないか。知らぬはただの不幸だが、知らせぬは許し難い悪だ」
「いやだって。これは、これはまずいでしょ。歴史変わるし」
   「貴女、魔女のくせに随分と臆病ね」
「あんたは人間のくせに落ち着きすぎだ!」
      「つまり、神といえども七十一分割もすればもはや人と変わらないのだ」
   「紀神の力が人間の能力の延長上のものでしかないことの証明ね」
「おかしいし! その論法おかしいし!」
   「本当に情けのないことね。こんな慌しいのがあの紀神の片割れだなんて」
      「ヘリステラは、彼女はこんな風ではなかった。姉妹でこうも変わるとは」
「人格否定か!」
      「それに面白いじゃないか。あの小賢しいアルセスに一杯食わせられると思えば」
   「まあ素敵。坊やの悔しがる顔が思い浮かぶわ」
「あんたら結局愉快犯かよ!」

32【タールシャー通り】:2006/03/06(月) 22:47:10
マロゾロンドによって滅ぼされた商業都市フロントクロンを貫く大通り。
かつて新しき神ティーアードゥが“冒涜の魔女〟ファルナビスの顔面をリンゴのごとくすり下ろした場所。
神々を冒涜した罰としてティーアードゥが魔女の顔面をすりおろすのに使ったのはざらざらとした路面そのもの。
魔女への罰が終わった後、タールシャー通りには血と肉で赤い線が引かれているように見えたという。

33【蟻の子】:2006/03/07(火) 01:06:53
「偉大なる女王蟻」フリグメルタは優れた英雄と交わり、その優秀な血を受け継ぐ無数の兵隊蟻を産む。
それが蟻の子。神々の敵を滅ぼすために量産される半神の戦士である。寿命は20年から30年ほど。
その姿は漆黒の複眼を持つ以外は人間と変わらない。蟻の子は女王蟻に対しての絶対服従を
本能とし、マーブラーミグを除きフリグメルタに歯向かった者は存在しない。
マーブラーミグによってフリグメルタを殺された後は、その多くが亜大陸地方に移り住んだと伝えられるが、
蟻の子自体には繁殖能力が無いため、現在では絶滅しているはずである。

34言理の妖精語りて曰く、:2006/03/07(火) 02:14:37
【紀元ブランコ】
 あらゆる世界を根本から揺するとされる巨大な"振り子"。
 世界の果てに吊るされているとも、世界の中心から伸びるとも言われ、全ての存在をそこから小学生みたいに大ジャンプさせる。神話世界の非常に強力な根元的概念。フラクタル構造を持つとされるこのブランコはあらゆる部分が板であると同時に、またあらゆる部分が鎖である。
 遊びの道を究めようとするあらゆるものは藤○弘に投げられると言われ、これに触れたものは【紀元】の概念に到達するという。

35【ソウゾウしい神】:2006/03/07(火) 02:29:21
またの名を「グレンテルヒによる試作機零号」という。
一号以降の試作機と異なり、実体を持った機械ではなく、
錬金術師グレンテルヒの夢に現れ、試作機シリーズ発明の霊感を与えた存在である。
夢に現れた【ソウゾウしい神】はグレンデルヒが自分の教えることを理解しないと
強烈な騒音でグレンデルヒをさいなんだと言う。
グレンデルヒが一号機を完成させたのは最初に彼の夢に零号機が現れてからわずか
10日後であったと伝えられる。零号機に駆り立てられたグレンテルヒはその後も優れた発明や
魔法工学の研究を残したものの、常に強いストレスにさらされていたことが彼の手記からは伺える。

36【食鬼人バルガラッド】:2006/03/07(火) 13:40:32
アルセスバハル二世に仕えた毒見役にして護衛兵。猫騎士ミューンとともに悪鬼討伐を行う。
食鬼人の異名は彼が悪鬼の肉を好んで食したという伝説による。
伝説によればかつて王を暗殺するために料理に混ぜられた悪鬼の肉(猛毒)を毒見したとき、
彼はその味わいに魅せられ、その肉を再び食べたいが為に猫騎士ミューン率いる悪鬼討伐軍に参加した。
彼の人間離れした強靭な胃袋は、古き神ピュクティェトの加護の賜物だとも伝えられる。

37猫騎士の残したもの:2006/03/07(火) 14:35:42
猫騎士は二つの仕事で有名です。
一つは戦術家としてたくさんのドクトリン(戦闘理論)を残しました。もう一つは著述をたくさん残しました。
猫騎士のドクトリンは戦争史にあるとおりです。
著述のほうは大駄作です。活版印刷の発明初期における最大の駄作作家でした。書物の歴史において猫騎士ほどたくさんの本を書いたものはいません。同時に猫騎士ほどたくさんの駄作を残したものもいません。
猫騎士の作品は現代でも残っていて文章作法の本や修辞学の本に頻繁に引用されます。猫騎士の文章は悪い見本の好例とされています。
それでも猫騎士の作品が残っているのは猫騎士が愛されていた証拠でしょう。

38言理の妖精語りて曰く、:2006/03/07(火) 15:09:14
「クレンデルヒによる試作機」シリーズ
零号:ソウゾウしい神・・・クレンデルヒの夢の中に現れ、試作機開発のひらめきを与えた存在。
一号:ウイウイしい神・・・記念すべき第一号。
二号:ヨソヨソしい神・・・1号をさらに改良したものだが、まだ動作に不自然さが残っていた。
三号:コマゴマしい神・・・本物の職人にも匹敵する精密な作業が可能になっている。
四号:ニクニクしい神・・・クレンデルヒ曰く「最低最悪の失敗作」
五号:タケダケしい神・・・戦闘用に特化した機体。当時の軍に買い取られ「単眼神」の原型となる。
六号:ナマナマしい神・・・人間とまったく変わらない姿を持つ。ちなみに女性型。
七号:メカメカしい神・・・飛行機能を持たせた最初の機体。シルバーメタリックな装甲が美しい。

39陰謀論:2006/03/07(火) 18:38:30
「【猫】」……?

こんな動物は見たことがないが。
……ああ、伝説上の生き物なのか。

「概念上は【竜】の対となる存在。
世界は【猫】と【竜】によって二分され、
義国は【猫】の勢力圏、鈴国は【竜】の勢力圏である。
【猫】と【竜】の眷属の苛烈な戦いは歴史の裏で数千年に渡って繰り返され……」

……。
なんだ、これは?

40【猫】:2006/03/07(火) 21:33:06
 猫はおおよそ虎や獅子、豹の幼獣のごとき姿をしていると伝えられる。
 体はしなやかで平衡感覚に優れ、どんな高いところから逆さ向きに落としても、必ず安全に着地できるという。ラダムストンの『エクリーオベレッカ』では、浮遊城から落とされた男が、3つの願いの1つで猫に変身することで無事に降り立っている。
 人間にはない感覚器官を持つと言われ、タルルペリーの『東方地理誌』では、ひざの上で眠っていた猫が突然に起き上がり、虚空を見据えたとある。ミアスカには尻尾が九つある猫の伝説があり、神秘学者クリープ・フェーンはこれを猫が持つ感覚器官の数としている。すなわち、眼、耳、鼻、舌、肌、髭、眉間、尾、肉球である。ヒューティウスの『凱旋記』では、髭を切られた猫が失明したようになって泉に落ちる様が描かれている。オウィは猫の頭を持つシャルマキヒュを描いた。
 このライオンのフェアリーは人間のそれに似て不可思議であり、とらえどころがない。好奇心を持って人間に近づき、おおむね友好的であるが、ふとした気まぐれで手痛い目に合わされることもしばしばである。ペリムの民話には、猫の示す地面を掘って二度金貨を手に入れた男が、三度目には熱湯の噴出を浴びる話がある。リグローサの伝承では、猫を敵に回したら錘のついた紐をすばやく動かすと、目をくらますことができるといわれている。また、猫は水を渡ることができないため、川に飛び込めば逃れられるとも言う。リルクリンデの『猫に恋した青年』では、主人公ガルデンフィはマタタビという霊草によって猫を魅惑する。
 猫はしばしば、魔法使いによって連れられていると言う。皇帝エーゼンティウスは、猫が幼獣の姿をしているのは獣が獣となる以前の状態、パンゲオンを表すものであり、猫を原初の混沌のシンボルと解釈している。豹はパンゲオンから生まれた、空を飛ばない最初の生物である。
 ゲルンジ夫人は猫が何千といる世界の話を書いている。この世界には竜はトカゲという指でつまめるほどの亜竜しかおらず、猫はトカゲを見つけ出しては戯れに襲う。

  (パケロ・アグレロ・クロイイ『幻想博物誌』)

41言理の妖精語りて曰く、:2006/03/07(火) 22:03:39
むかしむかしレメスは悪魔エフラスから「水を飲むことができない」という呪いをかけられました。
でも、その呪いは「海水は飲める」というものでした。レメスはエフラスの悪い父ネビロンの
たくらみで陸からとても遠い孤島に置き去りにされてしまいます。レメスは喉の渇きに耐えられず、海水を口にしてしまいました。
のどが焼けるように痛んだことは言うまでもありません。

42言理の妖精語りて曰く、:2006/03/08(水) 00:54:04
その昔レメス神は暴君ビシャマルが集めた魔術師団により力を奪われた。
ビシャマルは彼に服従を強要したがレメスはそれを拒否した。
逆上した暴君は錆びない鎖でレメスを縛り上げ海中に投じさせた。
間もなくセルラ・テリス女神によって救出されはしたものの、
この時からレメスは海水に加え、鎖を嫌うようになった。
この地に住むレメス崇拝者が鎖やそれに似た紐を身につけることを
忌避するのは、以上の伝説によるものである。

(クルマルル・マナン『ハイダル地方の習俗と歴史』)

43言理の妖精語りて曰く、:2006/03/08(水) 22:01:29
「先生、【パンゲオン】ってなんですか?」
   「【パンゲオン】? 聞かない言葉だな。見せてごらん」
「ええと、私はそう読むと思ったんですけれど。PUNGEON」
   「うん……と、ああ、何だこれか」
「ご存知ですか?」
   「あのね、ちょっと読みづらいけれど、これはPではなくてDなんだよ」
「ん、それじゃあ……なんだ、DUNGEONじゃないですか」
   「そうだね。【ダンジョン】。これで意味は通じたかな」

44言理の妖精語りて曰く、:2006/03/08(水) 22:25:37
師匠「【パンゲオン】を攻略しようという愚かな冒険者がいるとしたら…」
弟子「したら?」
師匠「お悔やみ申し上げるね。ミルー=バオルオンの地図など当てにはならんよ。」

45【聖ポルポフォン】:2006/03/10(金) 16:14:31
ワリバーヤ王朝2代目の王アルセスバハル一世に仕えた神官。
単純な自然信仰と英雄崇拝との混交物だった当時の信仰を、独自の理論で
もって整理し直しアルセス教として知られる教義をまとめあげた。
後に8代目の王ブラーサームの御世に同国で行われた刀狩の際には、
集められた刀を鋳造して彼の巨像が建てられている。

(ミース・テーギル監修『簡易思想事典』)

46言理の妖精語りて曰く、:2006/03/10(金) 17:07:07
ワリバーヤ王朝の君主
1代目:ディスカレイル
2代目:アルセスバハル一世
3代目:ルータマス一世
4代目:ルータマス二世
5代目:カカーブン
6代目:アルセスバハル二世
7代目:ルータマス三世
8代目:ブラーサーム
9代目:アルセスバハル三世

47【共通語】:2006/03/11(土) 12:48:18
【共通語】
一系統の表意文字に二系統の表音文字をもつ言語。現代世界の共通語。
大航海時代から現代にかけて、ゆっくりと時間をかけて全世界に広まった。
起源は古ミアスカ語。チャカの表意文字に二系統の表音文字を合わせたこの言語は、
他言語の吸収率が高く、貿易・軍事国家としてのミアスカの台頭、それに伴う
ミアスカ語のビジネスランゲージとしての普及とともにやがて世界の多くの言語を
消化吸収。その過程で、大元であった古ミアスカの語彙はやがて埋没してゆき、
現在はほとんどその原型を留めていない。しかし、一種の表意文字に二種の
表音文字という基本構造と基本的な文法だけは現代に至っても変わっておらず、
古ミアスカ語で書かれた多くの文献は、単純な辞典を用意するだけで読むこと
が可能である。

48【カタナ】:2006/03/11(土) 15:39:54
槍の一種。
通常よりも刃の部分が非常に広く、元来の突く、叩くだけではなく斬ることに特化している。
そのため刀身は多くの場合が片刃であり、反りが見られるのが特徴。
遠方より伝来しワリバーヤ朝によって広く用いられた。

カタナは優れた切れ味を旨とするが、その性能は刀工の腕に大きく寄る。
また通常の武具類と異なり、付加的な装飾だけではなく
刃部の形状そのものに美術的な価値が見いだされる。

49【ブラーサーム】:2006/03/11(土) 16:25:45
ワリバーヤ王朝第8代国王。彼の代にアルセス教復興運動が興り、ブラーサームもそれに心を
動かされ認めたために、世俗化が進んでいたワリバーヤ王国は再びアルセス教化する。
ブラーサーム王は国中からゲヘナの血で汚れた【刀】を集めさせ、
英雄神アルセスと建国王ディスカレイルと聖ポルポフォンを讃え平和と繁栄を願う巨像を作らせた。
これが世に言う【刀狩】である。近世トルクルトアにまとめられた『アルセス教史』
には彼が夢の中に現れたアルセス神に命じられて刀狩を行ったという伝説が紹介されている。
彼は「忌まわしき道具は滅びなければならない」と主張し最終的には国中の全ての刀を像に変えようとした。
彼は【刀】を悪魔の道具とみなしていたらしく、【刀】の製造を禁止し製造技術を弟子などに教えることを禁じた。
さらには【刀】製造に関する書物の焚書を命じ、これらの禁を破る者には死罪をもって対応した。
ワリバーヤ刀の製法のほとんどが現在に残ってない理由には、
刀職人の間の秘密主義もさることながら、この王の徹底した政策によるところが大きい。
【刀】そのものはそれまでにも大量に作られ、また多くの愛好者が国内外にいたため
現存するものも多いが、それでも現代の多くの刀剣ファンにとって彼は呪詛レストロオセに匹敵する大悪魔である。
彼はゲヘナに対しても寛容な政策をとった有徳の君主ではあるが、ワリバーヤ国内に混乱
を招き他国に付け入る隙を与えた暗君でもある。そうでなくとも【刀】という重要な兵器
を失わせた事はこの国の滅亡を早めた一因であることは否めない。
後代の歴史家のなかには彼はゲヘナの魔術のせいで狂ってしまったとする者もいる。
このような見解はブラーサーム在世中にもあったようで、彼が死に弟のアルセスバハル三
世が即位すると、ゲヘナへの弾圧はより過激な形で再開された。

(融月社刊『世界の君主たち』)

50言理の妖精語りて曰く、:2006/03/12(日) 01:52:16
ブラーサーム王の時代に起こった惨事
まず一つ目、【刀匠の館】放火事件・・・これにより禁を破っていない刀匠の多くまでもが死亡した。
犯人はわかっていないが、「王自身が密かに命じた」や「刀が再び作られるのを恐れた外国が行った」等、諸説ある。
二つ目、【ヘレゼクシュかぜ】の蔓延・・・5年間にわたりヘレゼクシュ一帯の住民を苦しめ、十万人以上の死者を出した。
ブラーサーム王の死とともに沈静化する。「王の乱心」と同様にゲヘナの魔術によるものとされた。

51【槍】:2006/03/12(日) 08:11:38
一撃必殺の暗器。的確な突きにより、一撃で敵をし止める。
アルセス神は神話で語られる朗らかな人柄とは裏腹にこの恐ろしい槍を持つことから、二面性の神と呼ばれる。

52言理の妖精語りて曰く、:2006/03/12(日) 12:38:03
槍、というのはこの世界ではかなり強烈なイメージを持つモチーフである。
そのため強力な武器そのものを槍と呼ぶこともある。例えば、暗器としての【槍】がそうである
遠い未来、この世界でも開発されるであろう「爆薬を積んで空を飛ぶ極太の矢」
は【飛槍】と呼ばれることになると私は予言し、断言する。

53言理の妖精語りて曰く、:2006/03/13(月) 00:12:32
あの二人を追って何になるのか。どうせ追いつくことなどできはしない。
追いついたところであの二人と戦えるのか?あの恋人たちと?
強欲な我々のせいで彼らは未だに永遠の眠りにつくことができないのだ。
ああ、アルセス神か誰かがあの石を砕いてくれまいか。
あれがこの世から消えれば、一つの憂いが消え去るのだ。

54言理の妖精語りて曰く、:2006/03/13(月) 02:07:37
近世西域トロスにおいて歴史の表舞台に立ったのは、トルクルトア、小ペルネー、アロイの三国である。
ペルネー統一聖王朝の崩壊からアロイによるトロス再統一までの三百年間をトロス三国時代という。
この時代に、トロスの文化芸術は大きな発展を遂げた。

55言理の妖精語りて曰く、:2006/03/14(火) 02:48:32
紀石を手に入れようと、無謀な夢を抱く小悪党は多い。
しかし今の世界を見れば分かるとおり、そんなちゃちな策謀が成る見込みは万に一つもありえない。
我々は勝つ見込みのない、いや負ける恐れのある勝負に命を賭けない。
だから、準備には万全を期す。
どれだけの時間がかかるかは分からない。もしかしたら百年か、あるいはまたそれ以上。
しかし我々は気になどしない。確実に策が成る見込みさえあれば、時間など恐れるに足りぬ。
我々は、我々以外の何者にも悟られることなく少しずつ用意を整える。
そしていつの日か我々は、あるいは我々の後継者が、必ずやあの神の力を手にすることだろう。

56月刊『男の暴君』:2006/03/14(火) 16:18:33
トルクルトアのある出版社から刊行されているという月刊雑誌。
だが「ある出版社」についてはトルメルキア内に所在地がある、以外の情報は
明かされていない。モノがモノなだけに嘘である可能性も捨てきれない。
出版社名も公開されていないが、ファンの間では『ビシャマル書房』の通称で呼ばれている。
この雑誌はエロ・グロ・ナンセンスを取り扱う(非常に限られた趣味をお持ちの)成人向けの雑誌である。
しかし、なぜか魔法史や魔法工学や錬金術の「研究論文」と銘打ったモノが掲載されることも多い。
他の雑誌と異なるのは作品や論文の発表者の名が全く記されない点である。
内容の過激さから各国で発禁処分を喰らっている。

57言理の妖精語りて曰く、:2006/03/16(木) 14:43:58



                               ○
                                地上太陽

      ×ジャッフハリム跡    
                         ×
                        ワーリバーヤ

          旧鈴国圏
    ×ミアスカ


               _
             /  \
            │ 槍 │            ×フロントクロン
             \_/
                             旧義国圏


    草の民



\ 
 \  大流河      大山脈  ___________
  ■■■■■■×▲▲▲▲▲▲▲
  │        ↑          \      ↑本土
  │      トゥルサ          \  
  │                     \
  │                     /
  │                   /
  │      大砂漠       /
  │                /  ←亜大陸
   \              /
    \            /
      \         /                   外
       \      /
         \   /
          \/ 

「先生、ずれてませんか?」
「うるさいな。私の環境だとこれでちゃんと見れたんだ!」

58大山河:2006/03/16(木) 15:51:50
本大陸と亜大陸を分ける大流河と大山脈を指す。
西の大流河は驚異的な流域面積を持ち、険しい密林によって覆われる。
東の大山脈もまた険しく、霊気立ち込める魔の山岳である。

両大河の踏破は非常に困難であり、
本大陸と亜大陸の通行には山河間に開いたトゥルサ地方を通る必要がある。

59【紀元神郡】:2006/03/16(木) 22:51:51
「単に『神々』でいいじゃん」とか言ってはならない。
紀に至らずとも、信仰を得て神と呼ばれた精霊などは存在するからだ。
たとえば亜大陸の、【南東からの脅威の眷属】の多くがそれである。

60【言語戦争】:2006/03/17(金) 01:06:01
世界を律する言語を巡って争われる神々の戦争。
勝利した神々の言葉が「万物の文法」たる【天則】を構成することになる、という。
現在のところ「古き神々」と「新しき神々」つまり紀元神群の言葉が世界を律している。
この争いに敗北した神々は『魔神』や『邪神』などとと蔑称され、宇宙の果てに追いやられるか
滅ぼされるかした。オルザウン禁忌集の注釈書「ウェウーレベルン」にはこの言語戦争の様子が
描かれているが、同書によれば言語戦争はまだ終わってはおらず、今もなお続いているのだと言う。
「魔神たちの勢力は健在であり、アルセスを筆頭とする紀元神群がその座を奪われることも有り得る。」
と著者オルザウンは記している。

61【マーディキ神群】:2006/03/17(金) 09:35:39
魔神族のひとつ。シャムザルとその妻アレヴォドを筆頭とする神々でかつては亜大陸地方の東海岸地帯で崇拝されていた。
デーデェィアによってシャムザルとアレヴォドと長男ドーレヘン以下18人の子神が殺された後、
その配下の神々は砂漠の要塞に立て篭もり、地の利を生かした戦法で紀元神群の軍勢を悩ませたが、
フリグメルタの生んだ「蟻の子」たちによって殲滅される。「蟻の子」は短命である代わりに、
半年のあいだ睡眠をとったり飲み食いしなくても生存可能の強靭な戦士であり、
砂漠での長期の戦闘に耐えうる者たちだった。マーディキ神群の絶滅後、
その空位を埋め崇拝の対象となったのは【南東からの脅威の眷属】どもであった。

62言理の妖精語りて曰く、:2006/03/17(金) 09:45:58
マーディキ神群への信仰があった頃、
シャムザルは天空神、アレヴォドは太陽神、ドーレヘンは月神、
その弟たる17人の神々は星神だとされていた。
あるいはそのように自称していた。
もしかしたら言語戦争に勝利した暁には
実際に空やそれらの天体を司ろうと考えていたのかもしれない。

63ケールリング派:2006/03/17(金) 12:59:54
言理大戦。奴らはまたそんなことを言ってるのかい。
いいか、言理大戦なんてものは古き神を擬人化したがる連中の空想だ。
人より前から存在した、はるかに人を超越した紀神たちがだよ、
なぜそんなに分かり易い派閥に分かれて争うんだ?
しかもそこで用いられたのが言葉だなんて。ひどいトンデモだな。
ましてや神が人間に敗れただと?
あの連中はよっぽど、神々のことを理解したいらしいな。
自分たちに理解できる程度の存在だと思うことで、恐怖から逃れようとしてるんだろう。
言葉。そんな人間に理解できるような下等な概念、連中には必要ない。
連中はただ、我々には想像もできない超越的な思惑によって動くだけだ。
我々ごときが、そこに意味を読み取ろうとするんじゃない。
何かが読み取れたとすれば、それは酷く侮辱的な曲解でしかないのだ。

64言理の妖精語りて曰く、:2006/03/17(金) 14:38:18
2000年前の地層を調べてみると、どうにも当時はミアスカは、チャカ大陸の方へと動いていたらしい。
その後何らかの理由でこの動きが変わり、メアレンの方へ移動し始めた。
現在の速度で移動すれば、32万年後にはメアレンはミアスカと一つになっていると見られている。

65言理の妖精語りて曰く、:2006/03/17(金) 16:10:27
先生「『ふぅん。』とか言っちゃあならんぞ!」
弟子「はぁ」
先生「これは大陸移動としては超異例とも呼べる速さなんだぞ!」
弟子「へぇ」

66【ウェウーレベルン】:2006/03/17(金) 16:41:32
エレヌール失踪後に旅に出たオルザウンが帰郷してから著した「オルザウン禁忌集」の注釈書。
この書は人智を凌駕し、歴史を歪ませかねない術法・秘宝の来歴やそれにまつわる伝説を
詳しく記したもの。そのほとんどの記述が言語戦争にあてられているといってもよい。
オルザウンはそのなかで魔神の健在であることを説き、古き神々や新しき神々もその力を
除けば人間に毛が生えた程度の存在でしかないという考えを記している。
「神は意外と頼りにならない」と考える彼はウェウーレベルンに
オルザウン禁忌集で紹介した危険な術法や秘宝への対抗策を盛り込んだ。
しかし当時のトルメルキアでは紀元神群への信仰が篤かった。
友人のニースフリルはこれの発表によってオルザウンが投獄されるの
を心配し、密かに草稿をどこかに隠してしまった。それから1年後、
そのコピーが紀元神群を信仰しない地域を中心に多く出回ることになる。
それと同時にオルザウンとニースフリルは忽然と姿を消した。

67言理の妖精語りて曰く、:2006/03/17(金) 16:47:54
>>66
×トルメルキア
○トルクルトア

>この書は人智を凌駕し、歴史を歪ませかねない術法・秘宝の来歴やそれにまつわる伝説を
>詳しく記したもの。

>この書は人智を凌駕し、歴史を歪ませかねない術法・秘宝の来歴やそれにまつわる伝説
>さらに、それらの術法・秘宝に対する対処方法を詳しく記したものである。

68言理の妖精語りて曰く、:2006/03/19(日) 11:02:17
新しき神デーデェィアが持つ
男根の数「6」、睾丸の数「28」、女陰の数「496」、子宮の数「8128」、
これらの数字は全て「完全数」である。これらの器官は、
普段は「33550336(第五の完全数)」つの乳房に隠されていて見えない。

69言理の妖精語りて曰く、:2006/03/19(日) 11:18:19
>>68訂正
×隠されていて見えない。
○隠れていて見えない。

70言理の妖精語りて曰く、:2006/03/19(日) 21:51:37
エレヌールと単独公演の観客達が,混沌の果てを抜けてどこへ行ったのかには諸説ある。
「アレの霊廟に招かれた。」「地獄の扉を開けてしまった。」「消滅した。」
「幾億の猫が住まう異世界へと飛んだ。」「未来か過去に行った。」
「あの公演は観客を生贄として悪魔に捧げる儀式だった。」などがそれである。

彼が古き神や新しき神の「御許に招かれた」とするものも多い。
アルセス、アレ、シャルマキヒュ、カーズガン、デーデェィア・・・
紀元神群以外の神の名があげられることすらある。
それを「実証する」ものとして【エレヌールの祈り】と題される一連の文書群
が存在するが、そのほぼ全てが本人の筆跡とは似ても似つかぬ粗悪な偽物である。




掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板