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上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part29

964■■■■:2017/06/09(金) 11:40:53 ID:05tsRUL.

「別に俺一人の力じゃない・・」

インカムから美琴の明瞭なアルトボイスが響き渡る。
「思った通りね・・未元垣根は再生を繰り返す事で全体の統一性が維持できなくなる」
「善悪、強弱あらゆる垣根の性格が分裂を繰り返す事で表面化する」

「美琴・・教えてくれてありがとう」
美琴はインカムで俺にヒントを与えてくれた。ちゃんと美琴は落としどころを考えていた。

「戦いは一人でするものじゃない」
「美琴は、状況に応じて柔軟にやり方を変える」
「目的が一致するなら誰とでも手を組む。過去の経緯も水に流す」
「プランなんて・・もはや崩れつつあるものに囚われる必要なんかない」

半ばうわの空で話を聞いていた垣根はぼそぼそと自嘲を始める
「俺に何が・・何ができるんだ・・今までの暗部も消滅し、テメエに完敗した」
「生身の肉体を失い、俺にはもう心のよりどころもない」
俺は自分の価値の分からない、心が壊れた男を諭し続ける。
「美琴に聞いた、暗部組織スクールの長のお前には、仲間がいたはずだ・・」
「そいつらは、たかが暗部を失っただけで、お前を見捨てるほどの関係なのか?」
「それに・・」

俺はスマホで垣根に彼の仲間たちのビデオメッセージを見せる。
「これは美琴がさっき収録したものだ」
「これでも・・お前に居場所がないなんて、誰が言うんだ」
垣根はよわよわしく語り始める
「だが・・おれにはもう元の肉体なんかない・・ただの未元物質だ」
「こんな俺に生きていく資格なんか・・」

「垣根・・体がどうした」
「お前は、意思を持ち、こうやって判断認知ができる。立派な生命体じゃないのか?」
「だから・・俺と一緒に、美琴の手を握らないか?」
「このゆがめられた箱庭を一緒に変えないか・・?」

「私からもお願いします」
美琴がどこからか現れる。
「この微力な私に力を貸して」
美琴ははっきりとした言葉で話を続ける。
「アンタが学園都市の首脳部、殊にアレイスター・クロウリーに対して明確な敵意を
持っていること、同様に直接交渉権を持つ私に敵意があることは承知している」
「ですが・・もうそんな不毛な過去は終わりよ」
美琴は、床に座り、頭を床につける。
「私と一緒にこの街を、この腐った街を変えましょう」
「お願いよ」
美琴は頭を下げ続け、微動だにしない。

「御坂さん頭を上げてください」
垣根の表情が変わったことに俺は気が付く。
「正直・・俺はこの街を信頼できない」
「その街で1位を気取るアンタも嫌いだ」
「だけど・・傷ついても、腕をもがれても俺を正気に戻そうとする上条は信じる
そして・・その上条が信頼するアンタの事も信用する」

「だから・・御坂美琴さん」
雰囲気を察した美琴が立ち上がる。元々は相容れない2人が、同じ目的を元に
手を繋ぐ。
「垣根さん・・ありがとう。微力な私を支えて」
美琴が垣根にハグを始める。垣根の顔がほのかに紅くなったことに若干の嫉妬を感じつつ
俺は、なんとか使命を果たしたことに胸をなでおろす。
「御坂さん・・上条をよろしくな」
「垣根さん・・本当にお願いします」
正直立場も考え方も違う。だが・・俺にはこの垣根が・・何かを守るために暗部に入った
垣根が、その初心を思い出した垣根が、小さなただし確実な一歩を踏み出した気がした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・
午後8時 風紀委員室

山のようにうずたかく積まれた未決済書類が、手品のようにあっという間にめくら版のようにサインと押印がなされ、決裁済みのボックスに収納される。

「よし・・終わり・・」




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