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創作文芸板支援集積スレ

1名無しさん:2005/03/03(木) 14:18:29
行数とサイズ制限は投票所と同じ。
文章、AAの集積所として使ってください。

149「マルハのちくわ」「太平洋戦争」「消費者金融」:2005/03/28(月) 23:39:38
貧すれば鈍するというやつか。後先考えずに積み重ねた消費者金融からの借金。
今、私たちはその利息を払うのもままならず、極限の生活を続けている。
心労に髪は抜け落ち皺も増え、40にしてシルバーシートを譲られる始末。
食事もぎりぎりまで切りつめた。
めざしに垂らす代用醤油。代用味噌のみそ汁の具はわずかばかりの芋の蔓だ。
椀に盛られた白米がなければあたかも太平洋戦争当時の…おや?

---おい、この「マルハのちくわ」は?いったいどこからこんな金……
---違うわ、あなた。それは「マルハゲのち不和」
---なっ…! それがお前の本心…なのか……!?
妻は静かに頷いた。結婚15年目の破局であった。

150「ハッピネス」「馬」「法律」:2005/03/28(月) 23:39:56
馬を幸せにする法律、通称馬ハッピネス法が可決されたのは3/21の午後のことだった。
コバヤシ総理は沸き寄る記者どもを押し退け、なんとか官邸まで戻ってきた。
控え室には政府発表の手筈を整えた官房長官がすでにいた。
「おめでとうございます、総理」
「ありがとう」
二人は固く握手をした。
秘書が慌ただしく発表の準備をするなか、長身の男が駆けよってきた。
「この度の馬担当相への選出、ありがとうございます」
「がんばってくれ給えよ」
「首相、発表の用意が出来ました」
秘書の声で三人は控え室を出た。
廊下からは"馬刺を喰わせろ"、"競馬は文化"といったプラカードを掲げたデモが見えた。
「馬刺のかわりに牛のタタキでも喰えばいいのにな」
「そうですよね」
三人は理解出来ないというように記者室へと向かった。

151「日の出」「お金」「粘土」:2005/03/28(月) 23:40:12
少年は周りのおしゃべりの輪に入らず、黙々と粘土細工に励んだので
できあがったそのやり投げ選手の像は、やたら精巧な出来映えだった。
今、少年と少年の作品の周りには輪ができ、級友達が礼賛の声をかけてくる。
「カツオすごいじゃない!」一際大きな、その声の持ち主は花沢さん。
少年は花沢さんが苦手だった。
花沢さんと少年は通学路が同じなので、時々少年はからまれる。
今朝もうつむいて歩いていた少年に『お金なんて落ちてないわよ、前見て歩け』
駆け抜けざまそういうことを言われ頭をこづかれたのをはっきりと覚えている。
少年は、自分の暗く内向的な性格を突きつけられた気分になり沈鬱だった。
目の前にあるやたら精巧な粘土細工も、少年の内向的な性格の証明書みたいなものだ。
周りの級友達はおしゃべりに興じていたため、彼らの作品はかろうじて人型であることが
判別できる程度だ。それを屈託無く笑い合っている級友達を見て、少年は孤独を感じた。
作品の名前。アポロンをイメージしたやり投げの選手なので「日の出」と少年は名付ける
つもりだったが、「内向的」にしよう…。少年はそう決めた。

152「春分」「褌」「墓」:2005/03/28(月) 23:40:31
ふとカレンダーに目を移すと本日は春分だった。
墓の下でふてぶてしく永遠の惰眠を貪っている爺さんの所へでも足を運んでみるのも、
偶にはいいかななんて云う殊勝な考えを起こしてみた。
彼岸なんていう口実を利用しなければ、墓参りなんて云うこっぱずかしいこと出来やしない。

生きている爺さんはとにかく恐ろしかった。暴力団や狂犬、国家権力や中華包丁よりも
俺に恐怖感を植え付た。畏怖の念を抱かざるをえなかった。
大工の棟梁だった爺さんは昔かたぎの人間で、
げんのう片手に両肩の刺青を靡かせ、褌一丁で街を闊歩していた。
あの鋭い目で俺を射すくめる事数千回。
俺の中では神や仏よりも高い位置にデンと腰を下ろす化け物だった。

爺さんの墓は周囲に居並ぶどの墓石よりも巨大で、生前の爺さんそのままの存在感だった。
俺はお供え物を添え、語り掛けた。
「爺さん元気か?」
すると俺の耳におぞましい怒声が響いた。
―馬鹿やろう!春分は牡丹餅だろ!御萩なんて持って来るな!一昨日来やがれ!

153「乾坤一擲」「シチュー」「明治」:2005/03/28(月) 23:40:49
「とまあ、日本海海戦は当時の大日本帝国海軍にとって乾坤一擲の大勝負だったわけだ」
先生が得意げに話した。僕は先生の歴史の話が大好きだ。僕だけじゃない、クラスのみんな、
先生の話す歴史、特に日本の歴史が大好きだ。
「先生、その戦いは明治天皇が指揮したのですか?」
学級委員長が質問した。さすが委員長、良い質問だ。僕はそんな質問、思いもつかない。
「いや、天皇は戦争を指揮しないんだ。この海戦は東郷平八郎という提督が指揮した。
独特の航法により、全火力を目標艦に集中、確実にロシア艦を沈めていったんだ。
この提督は日本海軍の強化に非常に熱心でね。ヨーロッパのシチューを参考に『肉じゃが』という
船員用食を考案したって伝説もある。ん、俗説と言ったほうが正しいかな?」
「へえぇ〜〜」
教室のみんなも僕も感心したふうな声を出した。そんなスゴイ日本人がいたんだ。
「じゃあ、我々も当時の日本人を見習って、大国を撃破する術を学ぼうじゃないか、
今日は80ページ、『爆発物攻撃の長所』だな。みんなで朗読しよう」

寒風吹きすさぶ中央アジア山岳地帯の名も無き洞窟に、子供たちの朗々とした声が響いていた。

154「形而上学」「たこ焼き」「社長」:2005/03/28(月) 23:54:51
世の中には、いろんな人がいて、普通あたりまえのように
受け入れていることに、納得がいかない人々がいる。
ぼくからすれば、たいていどうでもいいようなことが多い。

たとえば、四角いたこ焼きは丸いたこ焼きよりうまいはずがない、と
力説する人に会った。ああ、またこの手の変な人に会ったと思った。
その人が言うには、一般的に(そんなことに一般的にもクソももない
と思うのだが)四角くとも丸くとも食材は同じなのだから、味は
同じだと思う。だがしかし、四角いたこ焼きはやはりあり得ず、
角も硬くなるはずで、よって丸いたこ焼きよりうまいはずがない、という。

ぼくたちは丸いたこ焼きを食べている。四角いたこ焼きなど一度も見たことがない。
なにゆえわざわざ四角いたこ焼きをひっぱりだしてくるのか。
でもその人は、四角いたこ焼きの存在が、あの憎たらしいかたちが
たとえ頭の中だけの存在だとしても許せないらしい。

その人はたこ焼きチェーンの社長。学生時代に形而上学を
ちょこっとだけ齧ったそうだ。本当にどうでもイイはなしだ。

155「銀行」「新幹線」「川」:2005/03/28(月) 23:55:08
次元と五右衛門を雇うことに成功した私は、その日から地図とにらめっこして
銀行強盗の計画を入念に練った。私の会社への融資を止めたあの銀行に鉄槌を下すのだ。
最初は、そう考えていた。ところが、私怨で始めた計画が考えているうちに楽しくなってきた。
なにしろ次元も五右衛門も常人離れした力量の持ち主だ。
頑丈な金庫をまっぷたつにすることもできるし、飛んでいるヘリを撃ち落とすことだって
銀行受付嬢の制服を斬鉄剣一閃セミヌードにすることだってできる。最高だ。素晴らしい。
私に協力してくれる彼らに敬意を表して、できるだけ派手な計画を練った結果、
逃走経路には隅田川を選んだ。金に糸目をつけず、ホバリング機能を搭載した
屋形船で逃げよう。もちろん逃走中は宴会だ。芸者も呼ぶ。
東京駅近辺でわざと警察に追いつかれて、新幹線に逃げ込むのだ。そう!
史上初の新幹線ジャックだ!鉄道オタクの私の胸が高鳴った。
日本中を震撼させてやろう、地図を見つめながら私はにやけた。

156「四面楚歌」「五里霧中」「六法全書」:2005/03/28(月) 23:55:23
薫のノートから、ほんの一例を紹介しよう。

1. 次の四字熟語を使って、短文を作りなさい。
【四面楚歌】
今日、音楽の授業で、四面楚歌を歌いました。
【五里霧中】
箱根は霧が深くて、まったく五里霧中だ。
【五十歩百歩】
父の万歩計は、五十歩百歩も正確にわかります。
【七転八倒】
六法全書で七転八倒した。

夜更けにこっそり子供部屋に行って、私は
息子のノートを読むのを楽しみにしている。
親馬鹿かもしれないが、薫はきっと将来、大物になる。

157「南向き」「宝船」「雲」:2005/03/28(月) 23:55:48
「そんなら、宝船の話は聞いたか? 美樹ちゃん」
美樹はときどき、南向きのおじいちゃんの部屋で寝る。
寝る前に、おじいちゃんと美樹はいろんな話をする。
今日は、学校に正月のお飾りを作る職人さんがお話に来てくれた。
美樹がそのことを話したら、おじいちゃんがそう言ったのだった。
「うん、ちょっとだけ聞いた。しちふくじん、という七人の神様が乗っている船でしょ」
「そうや、そうや、美樹は賢いなぁ」
おじいちゃんは美樹の頭をなでてくれる。
「七福神の布袋さんの袋には、雲がはいっててな。その袋を開けたら、
海の上を浮かんでいた船が、空にすぅっと舞い上がって、雲に乗るんや」
「ふぅぅん」
「そいでなぁ、弁天さんが琵琶ちゅう楽器を鳴らすのや。
弁天さん言うのは、きれいな女の神様でなぁ、楽器もうまい。
美樹ちゃんのピアノみたいにうまい」
美樹はくすくす笑った。
おじいちゃんの話はウソばかりと、ママが言うけど、美樹はおじいちゃんが大好き。

158「水力発電」「人力」「はさみ」:2005/03/30(水) 14:52:36
 水力発電施設に、痩せ細り、くたびれきった発電人たちが、わらわらと集まってくる。
彼らは無数に並べられたダイナモにすがりつき、
周囲に延びた鉄棒をおぼつかない足取りで回し始める。

 二十ニ世紀中葉に全世界を襲った環境汚染、石油やウラニウムの枯渇といった
資源問題による文明崩壊の後、二十五世紀現在では環境に対してクリーンかつ、
燃料の心配がほとんどないこの水力発電が発電の主力になっている。

 古代の水力発電では、人力を介さずに水を直接発電に利用していたらしい。
しかし、液体の水が貴重品となったこの二十五世紀では、そんな非合理的な方法は使われていない。
化学合成した最低限のカロリーを添加した水、それさえ発電人に与えておけば、
恒常的に発電が維持できることから、今ではこの方法が水力発電と呼ばれている。

 発電人となるのは、全国民に対して実施される知力試験の上位五パーセントに食い込めず、
自由人になる資格を逃した者たちである。
本来なら生き残る資格も与えられなかった残り九十五パーセントの人間にも、
この水力発電によって利用価値が与えられているのだ。

 このような状況を表す言葉は過去にもあったらしい。
そうそう、「馬鹿とはさみは使いよう」という言葉だ。

159「犬」「猿」「機動隊」:2005/03/30(水) 14:52:52
犬を連れ去るのは保健所の仕事だ。
猿は時折警察官との追いかけっこをTVで見かける。
では、もしも相手が巨大なサルだったら?

……ありったけのヒトと犬を投入して山を捜索していた。
早く奴を見つければならない。連なる山々の中では昼を過ぎるとすぐ暗くなるからだ。
と、その時、山を囲んでいる機動隊の一斑から無線が入った。
「奴です。現れました!」
山の南西斜面に配置した部隊だ。あそこは最も防衛に不向きな地形で街にも近い。
奴め、頭も切れるらしい。
「よし、そこで取り押さえろ。絶対に逃がすんじゃないぞ!」
我々は他班にも緊急招集をかけ、現場へ急行した。
なんとしても奴を街に入れてはならない。あんな奴が暴れたらまさに3分で街は壊滅状態である。
が、駆けつけてみると時すでに遅し。そこには見るも無残になぎ倒された隊員達がいた。
私は怒りに肩を震わせ、ガタイの良い彼等を荒々しく叩き起こしてまわる。
どれもゆうに2mはあろうかという巨漢を一列に並べ、私は怒鳴った。
「貴様ら、揃いも揃ってウルトラマン一匹取り押さえられんのか!この、サル!」

160「ジョージ・ブッシュ」「レバノン」「革命」:2005/03/30(水) 14:53:08
ジョージ・ブッシュでレバノン杉革命が起こったのは、星暦2002年4月1日のことだった。
「レバノン杉マンセー!」「杉の木を守るニダ!」を合言葉に、
環境保護団体は大統領官邸、ブラックハウスを取り囲んだ。
「どうにかならんのか!」
ブッシュ星大統領は花粉症で目をしょぼしょぼさせながら叫んだ。
「無理です。国軍革命に参加している模様です、っはーくしょい!」
国務長官はムズムズする鼻をかみながら答えた。
「くそ、首尾よく行けば今年の春には杉の木なんぞ絶滅しているはずだったのに!」
大統領は鼻にテッシュを詰めて鼻水が出るのを抑えた。
「そもそもなんだってうちはレバノン杉なんだ? 地球の尻拭いをなんでうちが」
「独立の条件だったんですから。しかたないでしょう!」
国務長官は鼻に詰めたテッシュを引き抜いた。
ボタっと言う音と共に鼻水を吸いとったテッシュが地面にへばりついた。
「そもそもお前が環境条約でレバノン杉なんぞ選ばなければなあ!」
「クジだったんですよ!」
大統領と国務長官との醜い言い争いの中、
花粉防護用ゴーグルと不織布マスクで完全防備したデモ隊が部屋の中まで踊りこんできた。
タコ殴りにされている間、
大統領は薄れゆく意識の中、おまえら本気で杉の木を守りたいのかと、
小一時間問い詰めたい気分でいっぱいだった。

161「菜の花」「別れ」「住宅街」:2005/03/30(水) 14:53:25
スーパーの食料品売り場に菜の花漬けが並ぶ季節になるとわたしはひとりの少女を思い出す。
当時、わたしは目黒の住宅街にある英会話スクールで講師をしていて、彼女はわたしの生徒だった。
まだ12才だったあどけない彼女は、まわりのおとなたちに馴染めず、いつもうつむいて視線を落とし、
レッスン中も消え入るような小さい声で発言した。そんな姿が可憐で、清楚でもあった。
ある日、わたしは彼女がなぜ英会話をはじめたのかきいてみた。
「ママとニューヨークに行ったとき、アメリカ人のお友達ができたの」
彼女はいつにない輝きをその無邪気な瞳にたたえ話しはじめた。
「その人にまた会いに行きたいの。ママはだめだって言うけど、
あたしひとりでも会いに行くつもり。だから英会話できなくちゃだめなの」
「へえ、素敵ね。帰国後も手紙のやりとりとかしているの?」
「ううん……その人住所とかないから……」
住所がない? わたしは不審に思った「その人とどこで知り合ったの?」
「あたしの泊まっていたホテルのそば」
「その人、なにしてる人?」
「マニー、マニー、って言って道端に座っていたの。だからあたしお金あげたんだ。それで仲良くなったの」
そりゃ、乞食だよ……。喉まで出かかった言葉だったが、彼女の純粋な瞳にみつめられ、何も言えなかった。
「その人のことが心配だから、会いに行くの」
その後、一身上の理由で退職したわたしは彼女とも別れ、それっきり。
いまごろどうしているだろう。

162「思いつき」「ありがとう」「充電器」:2005/03/30(水) 14:53:42
 モエはポッドに横たわると、臍からジャックを伸ばして充電器に差し込みFULLの
キーを押した。電流が部品の一つ一つを洗い流していく。
 瞼を閉じて授業を再生してみる。メイド仕様の教育カリキュラム初級。今日は料理に
クリーニング、ソーイング、 マナーに語学、一般教養。
 シャツのアイロンがけの課題は上手に出来てAランクの評価をもらった。
 ソーイングの先生は「SSSの上級メイドは繕い物の縫い目を不揃いにすることができ
ます」と説明されていたけれど、不揃いな縫い目が良いと言う御主人様がいらっしゃるの
かしらと思う。たしかに不揃いにするのは変数の設定調整が難しい。訓練が必要だ。
 マナーの先生はいつも必ず同じコトバを言って授業を終了する。
「みなさん、感謝の心ですよ。『ありがとう』を忘れずに」
 感謝の心ってどういうことなのか、良くわからない。
 言語マニュアルの用法だけの反応では、Aランクメイド以上にはなれないというから、
学習機能を高めなければ認識不可ということね。私に組み込まれている、あえてランダムな
行動を選択するプログラム「思いつき」システムは能力向上に有効かしら? 授業で試して
みるのもいいかもしれない。
「ごしゅじんさまぁ、モエうれしいですぅ。ありがとですニャ−」
 第5水準の言語能力に到達すれば、今は理解不能のこの言葉も、使いこなせるようになると
語学の先生がおっしゃっていた。がんばろう。
 明日は大好きな射撃と防衛術の授業がある。
 充電完了の信号音が鳴った。モエはスリープモードに切り替えた。

163「うどん」「正義の味方」「百万人」:2005/03/30(水) 14:53:58
彼は人知れず活躍する正義の味方だ。
誰にも素性は明かしていないが、悪人を見れば懲らしめるのは自分の使命だと確信している。
百人力ならぬ百万人力の正義の味方、それが彼だ。

今彼は、1人の悪人を発見した。
お昼時の立ち食いうどん屋で、束にして掴んだ割り箸を平然と紙袋に突っ込む中年女。
正義の味方が犯行現場を見ているとも知らず、悠然と新しく取った箸でうどんを口に運んでいる。
(…俺の出番だぜ)
彼は席を立とうとした。だがよく考えると、今中年女の犯罪を暴きたてれば、
あの女が箸をつけたうどんが無駄になってしまう。そんな勿体無い事をさせるのは、
正義の味方である彼の本意ではない。1分もすると、中年女は箸を置いてカバンをごそごそやりだした。
(今だ…)
「へい、すうどん一丁」
腰を浮かしかけた彼の前に、どんと置かれる熱々のどんぶり。
今中年女を問いつめていたのでは、彼のうどんが無駄になってしまう。
そんな勿体無い行為を自ら働くのは、正義の味方である彼の本意ではない。
(…今日の所は許しておいてやるぜ)
カウンターに硬貨を置き、店の暖簾をくぐって消えた中年女を見送って
から、彼はおもむろに歯ごたえのあるうどんをすすりあげた。
こうして今日も、正義の味方は彼の心の中でだけ生き続けている。

164「煙」「観音」「面」:2005/03/30(水) 14:54:13
=== 挿絵入り ===  

Λ_Λ   いかつい面相から「鬼」と呼ばれた警部であった。
<・・>  「ここにお前の名がはっきりとあるじゃないか。ごらぁ!」     
 =    偽造手形事件!水も与えぬ拷問同様の厳しい尋問が続いた。

  △;  手形には、はっきりこうあった「以下余白」
  川  強制連行された純白のヤリイカは、黙秘を守ったままだった。
     その無実が明かになった時、彼はほとんどスルメ同然となっていた。

△▲△ 何の関係もない無実の市民(?)を、死においやった男。
川川川 警視庁内ですらも、彼は煙たがられる存在になっていた。

 ○   「俺は・・・俺はイカ以下の男だ。イカイカだー!」
三+三  部下の刑事は、そんな彼を観音様の様に優しく見守る。
 l   「いいじゃあないですか」
 川   足が20本あって……と言いかけて自粛する。              無実を 
     人生経験が足りない、若刑事なのであった。 いみなし。

165「偽善者」「キャバクラ」「確信犯」:2005/03/30(水) 14:54:30
風俗に通って、やることやった後で風俗嬢に説教をする男。
これを偽善者という。
売春を行い、かつ売春婦の地位向上を目指すフェミニスト。
これを確信犯という。
キャバクラの王様ゲームで王様の命令に関係なく乳をもむ男。
これをキャバ王という。

166「チャット」「アイス」「マニュアル」:2005/03/30(水) 14:54:43
通販で夫が買った商品が届いたんで、とりあえず開けてみる。
クール宅急便で送られてきたけど、ナマモノかな?
バリバリと包装紙を開けてゆくと中からは、クリアカラーのノートパソコンが出てきた。
「あら、パソコンじゃない。なんでクール宅急便で……?」
疑問に思って同梱されていたマニュアルをめくる。
表紙をめくったすぐ後に、デカデカと赤い文字で注意書きがあった。

当商品は、世界初・ボディがアイスクリームで出来ているパソコンです。
ブラウジングや、チャット、メールなどの機能にも対応!!
−15以下の場所でのご使用をオススメします。
使用しない場合、冷凍庫などで保管してください。

私は頭を抱えてこう思うのだった。
……最近、夫の趣味がよくわからない。

167「目」「鼻」「口」「未練」「天才」「京都」:2005/03/30(水) 14:54:59
京都に天才あり。
その情報を得たでぶ達一行は一路京都へ向かった。
京都に着くと調査隊隊長、でぶが隊員たちに運動会の始まりの校長のスピーチの様に
演説をぶち始めた。隊員たちのは露骨に嫌悪感丸出しの引き攣った顔で聞く。
「天才を探すのは容易ではない!手段は選ぶな!女子供であろうと容赦するな!」
京都駅前に右翼の演説の如き騒音をが響きわたる。
「とりあえず寺でも見に行く?」「なげーんだよ、あいつの話」「ねみー」
「腹減ったな」「大体、たかが天才如きにこんなに人数集めてなにすんだよ」
「汚ねーなあ、鼻糞喰うなよ」「隊長ー、山田が口から緑色の汁出して倒れましたー」
「ぶぶづけ喰いてー」「隊長ー、村田がバナナをおやつに持ってきてまーす」
でぶの話はまだ続いている。収拾がつかなくなってきた。隊員はまとまりを欠き、
それぞれがでぶに反抗的な目を向け始めた。
「貴様らー!いい加減にしろと言っているのが聞こえんの、か、なに」
その時、副隊長の井上がでぶから拡声器を奪い取り静かに言った。
「作戦は失敗に終わりましたね、豚野郎」でぶは目を見開き口元を歪め井上を見る。
「もうあんたはお終いだ、未練もありますまいね」井上がそう言うと数名の隊員達が
一斉に銃を抜き、でぶに向けて構える。
「これが終わったらこいつの金で芸者遊びでもしよ」井上の言葉を遮り銃声が響いた。
唯一の外国人隊員サムが撃ったのだ。
「ゲイシャハラキリフジヤマ〜」甲高いサムの声が駅前の広場に響き渡った。

168「機械工学」「サイクル」「ポップミュージック」:2005/03/30(水) 14:55:17
フロベール:『紋切型辞典』
Flaubert: Dictionnaire des Idees recues
より抜粋 (※宣伝スレ用注:この3語が書かれたのは02年です)

機械工学
ロボットは、必ずこれの粋を集めて作られねばならない。
これの専門家はいるがファンはあまりいない。
この学問を修める者は、白髪に白ひげを蓄え、職業の区別をつけるため、
市街地でも白い服の着用が義務付けられる。

サイクル
ホームページの更新と地球の自転のこれは、最近遅くなってきている。
浜崎あゆみとGLAYのアルバム作成のこれはコンスタントである。
木梨憲武の父親の業種だということを知らなくても、それほど致命的ではない。

ポップミュージック
これの文法に対しては忠実であるか完全にはみ出すかのいずれかであることが必要。
佐野元春のために作られた用語。
カヒミ・カリィに対してはこの言葉を用いねばならない。
長渕剛ファンに対しては、絶対にこの言葉を用いてはならない。

169「猫」「潜水艦」「うちわ」:2005/03/30(水) 14:55:33
「潜水艦長、この蒸し暑さはどーにかならんですか。これじゃあ仕事にならんですよ」
私は、ばたばたと団扇を扇ぎながら振り向き様に罵声を浴びせた。
そもそも発端は、テニアンに入植していた邦人が残して行った飼い猫どもを
艦内に詰め込んだのが原因なのだ。
この辺りは敵潜が跳梁跋扈する危険水域だというのに、皆どこぞの病気が伝染ったのか、
すっかり骨抜きになって猫を撫でておる。卑しくも帝国海軍の禄を戴く者が、憤りを激しく覚える。
「にゃあ、にゃぁにゃあにゃあにゃあ」
心情を悟ったのか、シロはしきりに裾に爪を立て私を誘った。
誘われた先はいつもの配置場、友軍の支配地域であるので不寝番は解除されて
いるが、件のシロがしきりに背を伸ばしてレシーバを咥えるので耳に当てる。
ワシャワシャとブンブンというスクルウ音が二ないし三、距離は近い。
恐らくは五分を経ずに直上だろう。
その後は無我夢中だった。総員起こしのベルを押すと、兵隊達に従うように
猫どもも其々の持ち場で耳を澄まし一言も発しなかった。

終戦の年……

南方よりの復員船で私は十匹の猫を従え郷里に戻った。
類縁一同はいぶかしんだのだが。
どうにも、こればかりは、仕方が無かったのである。

170「狙撃手」「雑学」「メリケン粉」「長曽我部泰親」「外形標準課税」:2005/03/30(水) 14:55:57
「狙撃手」「雑学」「メリケン粉」「長曽我部泰親」「外形標準課税」「関東ローム層」

 外形標準課税の導入を巡って、国会では、熱い戦いが繰り広げられていた。
 強行採決の斬り込み隊長は、長曽我部泰親の子孫と呼ばれる保守派であった。
 しかし、数百人もいる議員相手では、名刀も刃こぼれする様だ。

 対する野党も負けてはいられない。
 雑賀孫市の末裔が、狙撃手として雇われる。
 柳生一族の残党による暗殺も注意しなければならない。
 封筒からこぼれ出るメリケン粉状の白い粉に、一時討議は中断された。

 「やれやれ」と休憩にゆく議員達を迎え撃つ、織田直伝の鉄砲隊!
 答申に立つ大臣の額に、平将門の後裔の矢が放たれる。

 混乱の中、関東ローム層の様に動かない、武田家の血を引く議長がいた。
 雑学豊富で知られる彼は、全ての事情を察していた。
 ……が、彼はおもむろにこう宣言した。
 「江戸時代以前は退場!二世議員までにして下さい」

171名無し文芸人@トーナメント中:2005/03/30(水) 14:56:07
『おまゐら、( ) をうめて文を作ってみれ』
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/bun/1071393195/
【お題】
(  )みたいな(  )も何種類か(  )るが、
そういうのを(  )て(  )に(  )る部分もあるな。
――やれやれ、どうせ(  )を(  )でも(  )れるのか……。
そもそも、「(  )も(  )ないような(  )をしよう」
という(  )自体が(  )いなんだ(  )。
(  )を選んでもどうせ(  )奴が(  )るという(  )を(  )、
その(  )で自分が(  )できる(  )をするべきだし、
実のところ(  )しかないんだろう――
【回答例】
(ああ、マッチョなあにきに抱かれて)みたいな(ぁ……で)も何種類か(不安な点はあ)るが、
そういうのを(はっ)て(ん場のあ)に(きに全て任せ)る部分もあるな。
――やれやれ、どうせ(ノンケ)を(無理矢理に)でも(陥)れるのか……。
そもそも、「(ほ)も(以外は眼中に)ないような(フリ)をしよう」
という(演技)自体が(バレバレだし……お)いなんだ(か勃ってきたぞ)。
(恋人に女)を選んでもどうせ(いに興味のある)奴が(ここにい)るという(事実)を(変えられるわけじゃないし)、
その(分の労力)で自分が(あにきに)できる(事の全て)をするべきだし、
実のところ(俺にはもうあにき)しかないんだろう――

172「カーディガン」「競泳」「ニセモノ」:2005/03/30(水) 14:56:17
 年のせいか、プールサイドで冷え込む。
 カーディガンの下に水着という服装で、彼女はスタートを待っていた。
 30を越えてなお、現役トップ。常勝一位の名選手である。

 プールサイドでは、若手選手がカメラマンに愛嬌を振りまく。
 水着姿でポーズ……寒くないのだろうか、冬の大会なのに。
 新聞記者に自己紹介する娘。
 スタート台で歌を披露する娘……

 しかし、彼女は負けない。
 彼女達には悪いが、ああいうのはニセモノだと思う。
 ここは競泳だ。スポーツなのだ。

 スタートの合図!無心のクロールで最初にゴールイン!

 「一着、タイム、5分9秒63……」
 平然と場内アナウンスを聞き流す彼女。いつもの事なのだ、一着は。
 
 「……好感度0.05 ルックス0.18、可愛指数0.02・・・総合15位」
 気にしない、これもいつもの事なのだ。

173「集団疎開」「フランチャイズ」「角質層」:2005/03/30(水) 14:56:42
突如として、東京湾沖に出現した大怪獣が上陸してから一週間。自衛隊の対策
本部が有効な手を打てぬまま、都内の重要施設は次々に破壊されていった。

〜対策本部〜
「しかしアレですな。どうして怪獣は東京が好きなのでしょうな。」
「そうですなあ。東京タワーといい議事堂といい、必ず狙われますな」
「東京都とフランチャイズ契約でもしておるんでしょうな」
「それでも、なぜか皇居だけは絶対に狙われないのが不思議ですなあ」
「それは大人の事情というものでしょうなあ」
「次は青森あたりに上陸してほしいものですな」
「それは困りますな。あそこには息子達が集団疎開しておりますゆえ」
「それはさておき、怪獣の倒し方を考えねばなりませんな」
「この際、先人にならって竹ヤリでも持って特攻しますか」
「おそらく、角質層を突破することもできますまい」
「さてさて、どうしたものでしょうなあ」

こうして、今日も怪獣は大暴れするのであった。

174「ジェットフォイル」「憲法記念日」「嘔吐」:2005/03/30(水) 14:56:57
① 連休を締めくくる祝日、憲法記念日。
  空港に向かうジェットフォイル上、船酔いで吐きそうな女がいた。

② 憲法制定記念祭典の式場。
  右翼系の出席者は「吐きそうだ」と言いなれた台詞を吐く。すると本当に・・・

③ 目的語を持たぬ、主語と述語だけでできた、文章という生物がいた。
  (……まあ……文章は生きてるという言葉もあるから(笑))
  不具を嘆く彼は、「嘔吐」の対象物を求めた。
  そして彼は文章触手を同時空に伸ばし、①と②を取り違えてしまう・・・

④ ②の出席者は、自分の嘔吐物を見て首をひねった。
  「オレ、スパゲティなんて食べたっけ?」

⑤ ①の女は、病室にいた。
  いまにも吐きそうな彼女の口を開けて驚く看護婦。
  彼女の開いた口からは、ジェットホイルの舳先が覗いていた。

175「裸電球」「刺々しい」「そらまめ」(1/2):2005/03/30(水) 14:57:15
 気楽な独身貴族。
 安アパートに一部屋借りて、そこで思う存分一人身の幸福を味わおうとしていた矢先だった。
「のような自堕落な生活をしていては、せっかくの青春がまったくの無駄だ。
 そもそも君には何かを成し遂げようという気力、もしくは」
 100円ショップで買った電灯の光が、うんざりした俺の顔と、“そいつ”を照らしていた。
 裸電球の光は、寝不足の目に突き刺ささり、わずかな痛みさえ感じる。
「だから、精神修行の場としては……聞いておるのかっ!?」
「あー、聞いてる聞いてる」
 刺々しい態度で、“そいつ”は俺を睨み付けてきやがる。
「まったく、近頃の若いものときたら……」
 再び、“そいつ”のくだらない説教が始まった。
 ちらり、と時計を見てみれば、すでに夜中の3時を回ったところだった。
 俺は必死で睡魔と戦いながら、“そいつ”に焦点を合わせる。

176「裸電球」「刺々しい」「そらまめ」(2/2):2005/03/30(水) 14:57:30
 ………そらまめ。

 酒のつまみで買ったそらまめに、何故俺は説教などされているのだろうか?
 そんな俺の苦悩を他所に、そらまめは声を張り上げ、力説する。
「しこうして、現代の日本の若者の生活習慣の乱れは、実に嘆かわしい。だがそれには」
 食べてしまえばいい。そうすれば、このくだらない茶番劇ともおさらばでき、晴れて俺は眠りにつける。
 何度もそう思い、そのつどその悪魔の考えを追い払ってきた。

 ………なぁ、あんたに聞きたい。
 去年死んだ祖父が、そらまめに化けて自分の前に化けて出てきたら、あんた……どうする?
 そらまめに張り付いた、頑固そうなヒゲ、つりあがった白い眉毛、どれもこれも祖父そのものだ。
 俺は朦朧とする意識の中、ふと思った。
 そういえば、じいさんもそらまめ好きだったよな、と。

177「幻滅」「水死体」「乾電池」:2005/03/30(水) 14:57:46
「みんなで乾電池ゴッコしよう。」
 タカシ君の一声で、みんなは一斉に自転車を漕ぎ続けた。
 自転車の後輪から黒いケーブルが延びており、その先はバッテリーに繋がれていた。
「ねぇねぇタカシ君。」
 クラスで一番頭が良いヤスオ君が云った。
「乾電池は科学反応によって放電するものであって、運動によって得るものじゃないよ。」
 その言葉を聞くと、みんなはペダルを止めた。幻滅の目でヤスオ君を凝視する。
「ヤスオ、みんながこーやって楽しんでるときに、萎えるこというなよ。」
 ヤスオ君は多勢からブーイングを浴びせられ、四面楚歌の危機に陥った。
 そのとき、批判とは違う声でヤスオ君を庇ったのはタカシ君だった。
「みんなやめなよ、ヤスオは悪気があっていったんじゃないぞ。不満なら、もっと
他の遊びをしよう。」
 タカシ君は眉間のしわを寄せて、低い唸りを上げて黙考してるふりをした。
「じゃあ、みんなでドザエモンゴッコをしよう。」

 翌日、岸辺に数人の男児の水死体が上がった。

178「通販」「フレーム」「テスト中」:2005/03/30(水) 14:58:02
 テスト中に通販するのもなんだが、俺はいま男としての道を一歩あゆもうといている。
 ……そう、エロ本だ。肉欲願望を見る男は一度は通ると云う、幾らかの法典すら優れぬ悦楽の聖書だ。
 段ボールのパッケージを破ると、滑るようにモデルのスタイル写真が露出した。
 水着姿のそれは、陳腐な例えだが、俺を未知の世界へと誘ってくれる、天使のように思えた。
 さあ、森羅万象で確かに存在する色魔よ、その可憐とは紙一重なる淫靡な肢体で、俺を大の男にしてくれ!

「テメエ試験中になにハァハァ臭い鼻息漏らしながらセンズリここうとしてんだよ。キモ
イんだよ、この畜生にすら劣る社会のゴミクズ野郎が。テメェのイカ臭え恥垢の塊が
紙越しからプンプン漂ってくるぜ(笑) とりあえずお前は一生勉強も女も出来っこね
ぇぇんだし、家庭の為にもさっさと自殺しちゃってくれよ? 勉強する気ないみたい
だし、誰もお前の価値観なんか見出そうともしないから、さっさと富士の樹海の土に
でも魚の餌にでもなってくれや? 動物園のゴリラにFackされるのも面白いかもな、
女経験がありえないお前にはピッタシかんかんだぜ。少なくとも電車とかに飛び込む
なよ、掃除とか大変だし、テメエ如きに他人様の労力をつかうなんざ……」

 俺は顔面を横から殴られたような、恐怖を感じた。白地に滅茶苦茶に書き綴られた
醜悪なる文章は、僕を倒錯的世界に引きずり込もうとしていた。
 挙動不審気味に振り向くと、メガネのフレームの淵から、ドアの隙間から母の嘲笑が覗いていた。

179「タイムスリップ」「洗濯」「学校」:2005/03/30(水) 14:58:18
「今まで俺は何をしてきたんだ! 限りある青春の時間を何もせずに過ごしてしまった俺とはいったい……」
俺は今、途方も無い悔いの念でうなだれている。
自分自身が情けない。今まで本当に愚かな事ばかりしてきた。
限りある高校生活をただ流されるままに過ごし、そして卒業まで至ってしまう。
友人たちは部活、アルバイト、バンド活動その他いろいろな事をして青春を謳歌していたというのに……。
朝食を食べ、学校に行き、帰宅して、テレビを見て、寝る……。俺は毎日これの繰り返しだった。
俺は望んでこんなことをしていたのではない。ただ、俺の臆病で羞恥心溢れる心のせいでこうなったのである。
高校生になったばかりの俺は燃えていた。熱い日々を送ってやるぞ……と。
早速俺は行動をとろうとした。まずは部活だ。俺は部の顧問に入部を請おうとした。
だが、突然俺の背後から囁きが聞こえたのだった。
「やっていける自信はあるのか?入ったらいじめられるぞ。現状維持ほどいいのは無いぞ……」  ――と。
そして現在まで至っているのである。
もし時間が戻せるのならもう一度あの時に戻りたい……。俺は今そう思うばかりである。
俺は真剣にその方法をパソコンで探していた。そして……なんとそれらしいものを発見した!
「わが社の超高速洗濯機のドラムに入り高速で回転し続けると時間空間に歪みができ、
そして過去へと行けるのであります。」
俺はそれを信じた。それなら自宅の洗濯機でも可能ではないか……。
そして俺は早速実行したのだった。だが、俺が馬鹿だった。
翌日、俺は変死体となって発見されるのである。

180「市民」「第一」「痩せ馬」:2005/03/30(水) 14:58:36
男は痩せ馬を引いて町に来た。
馬と同じく男も痩せていた。
町の広場のまん中の、石造りの台の上で
男は行き交う人々に語りかけた。
実は2ちゃんねる市民の皆様に、投票依頼に来たんです。
市民と呼ばれた者たちはさしたる興味を示さなかった。
2ちゃんねるが市の定義に当てはまるというのだろうか?
第一、何の投票かもわからないではないか……

181名無し文芸人@トーナメント中:2005/03/30(水) 14:58:42
【お題】
(  )と(  )エキスを(  )で(  )を
イキイキと(  )せるために最適な量を使用。
この(  )が(  )がよくてしっかりした(  )を(  )しました。
●原(  ) (  )・(  )・大(  )・(  )エキス・(  )ーチ・糖(  )
●(  )使用率 (  )未満 ●アル(  )分 約5.5%
栄(  )表示<100ml(  )>
(  ):43(  )      (  ):3,1g
たん(  ):0,1〜0,2g    (  ):0g
脂質:(  )          ナ(  ):(  )
<お(  )い>
空き(  )は捨てな(   )下さい。
(  )中や(  )の(  )は、(  )の発育に(  )を(  )があります。
(  )は2(  )になってから。
【回答例】
(キュアエキス)と(マジック)エキスを(戦闘マップ)で(パンプキンヘッド)を
イキイキと(活躍さ)せるために最適な量を使用。
この(デネブ)が(質)がよくてしっかりした(かぼちゃ)を(厳選)しました。
●原(存最古の魔法書より) (かぼちゃ)・(黒真珠)・大(黒蓮)・(ロイヤルゼリー)エキス・(粉末化ジャイアントリ)ーチ・糖(化パラプリージア)
●(魔法)使用率 (50%)未満 ●アル(テマ使用回数)分 約5.5%
栄(衰リズム)表示<100ml(以上のマーシーレイン連続3回以上被使用)>
(マッドハロウィンへのクラスチェンジ可能LV):43(LV以上)      (頭部の重量):3,1g
たん(のうに該当部分の人工臓器重量):0,1〜0,2g    (内容物重量):0g
脂質:(重量確保のためガラスに変換済)          ナ(サロークメイル):(装備可能)
<お(っと、これは注意書きよん♥ プレイ前にちゃんと読んでちょうだ)い>
空き(スペースに)は捨てな(いのならば、そのままスタートボタンを押して)下さい。
(戦闘)中や(迷宮内で)の(キャラ入れ替え)は、(キャラ)の発育に(問題)を(生じる可能性)があります。
(クラスチェンジ)は2(章以降)になってから。

182名無し文芸人@トーナメント中:2005/03/30(水) 14:59:35
以上、3語スレ100本。

183即興:2005/03/30(水) 15:09:04
【お題】
(   )で一番おいしいと言われる、(     )(      )の一級品を、
一粒一粒丁寧に(       )し、香ばしくカラッと、軽く仕上げました。
(       )事により、(        )に傷が付かず、(   )時に
(       )が逃げません。
鮮度を保つため、(          )しております。
(       )仕立てのおいしさです。

商品名     :(      )
価格〔( )込み〕: (    )
【回答例】
(スライム)で一番おいしいと言われる、(スライムベス)(アレフガルド産)の一級品を、
一粒一粒丁寧に(香草と焼き上げた上でスライス)し、香ばしくカラッと、軽く仕上げました。
(ベギラマ処理する)事により、(表面だけを焼き上げ内部)に傷が付かず、(実食)時に
(美味しさ)が逃げません。
鮮度を保つため、(調理直前までマヒャド凍結)しております。
(竜王)仕立てのおいしさです。

商品名     :(スライムベスの香草焼き)
価格〔(ぱふぱふ料)込み〕: (1200G)

184名無し文芸人@トーナメント中:2005/03/30(水) 15:10:38
まさかこのスレでかぶるとはな。
選対Aだが、今日と日曜日しか時間が取れない。
正直11日はきついよ……

185おまゐら、( ) をうめて文を作ってみれ:2005/03/30(水) 15:13:49
【お題】
(  )の中頃まで、(  )に(  )をもつ(  )は(  )でした。
プロの(  )は(  )を用いて(  )を(  )し、
(  )によって(  )の(  )を論ずることに追われていました。
(  )はいつ見ても何の(  )もない(  )だとされていました。
しかし、(  )に(  )の第一号が(  )、(  )の(  )となります。
これによって(  )が(  )し、急に多くの(  )が(  )を(  )ようになったのです。
【回答例】
(60年代)の中頃まで、(地球上にいる時)に(人間の姿)をもつ(正義のヒーローの代表)は(ウルトラマン)でした。
プロの(ヒーローたるウルトラセブン)は(ウルトラアイ)を用いて(体)を(巨大化)し、
(変身方法)によって(他のヒーローと)の(差別化を図ることの有用性)を論ずることに追われていました。
(次に登場した帰って来たウルトラマン)はいつ見ても何の(工夫)もない(変身)だとされていました。
しかし、(その次)に(着任したトンデモ変身)の第一号が(ウルトラマンエース)、(初)の(合体変身)となります。
これによって(不条理変身)が(横行)し、急に多くの(ウルトラマン)が(ポケットに入らない変身アイテム)を(平気で使用する)ようになったのです。

186おまゐら、( ) をうめて文を作ってみれ:2005/03/30(水) 15:16:09
【お題 → 回答次項】
(  )が僕を包む。(  )だと思いながら(  )。(  )がこの虚無感を助長する。
 どうしても(  )。(  )の度に消されてゆく(  )。
 僕は(  )のか。(  )という原点に立ち返ってみれば、その(  )は(  )にしかない。
 不要な(  )、水増しの(  )。煤けた(  )。(  )には埃が積もる。
 どうしたら先に進めるのか。

 ふと手にした(  )を見つめて、次第に露になる(  )。(  )は殻を破らない。破れない。
 僕は(  )を仕舞い、(  )を灰皿に押し付ける。

 (  )を止めたかったのに、以前よりも(  )流れ去ってしまう日々。
 ――(  )みようかな。
 僕は思い付きで(  )。すでに日課になっている事に気付いていながら。
 味気ない(  )が僕を包む。
 生まれた時から、何も変わらない(  )に。

187おまゐら、( ) をうめて文を作ってみれ:2005/03/30(水) 15:16:43
【回答例1】
(「ヤラレター!」という感情)が僕を包む。(ウソ)だと思いながら(ログ取得)。(スレの順位)がこの虚無感を助長する。
 どうしても(トップ)。(圧縮)の度に消されてゆく(僕以外の立てたスレの数々)。
 僕は(つまらないレスしかできない)のか。(ガイドライン)という原点に立ち返ってみれば、その(つまらないレス)は(僕の書き込み)にしかない。
 不要な(age)、水増しの(保守カキコ)。煤けた(マウス)。(マシン)には埃が積もる。
 どうしたら先に進めるのか。

 ふと手にした(2ちゃんガイドブック)を見つめて、次第に露になる(本のページ)。(僕)は殻を破らない。破れない。
 僕は(2ちゃんガイドブック)を仕舞い、(自分の拳)を灰皿に押し付ける。

 (2ちゃん)を止めたかったのに、以前よりも(ネット依存度が高くなってしまい意義なく)流れ去ってしまう日々。
 ――(医者に相談して)みようかな。
 僕は思い付きで(メンヘルの常駐スレへ書き込む)。すでに日課になっている事に気付いていながら。
 味気ない(満足感)が僕を包む。
 生まれた時から、何も変わらない(無能なの)に。

188おまゐら、( ) をうめて文を作ってみれ:2005/03/30(水) 15:18:21
【回答例2】
(白い泡)が僕を包む。(もうおわり)だと思いながら(もがく)。(視界の白さ)がこの虚無感を助長する。
 どうしても(逃げられない)。(繁殖)の度に消されてゆく(同胞)。
 僕は(生きていてはいけない)のか。(弱肉強食の世界)という原点に立ち返ってみれば、その(生殺与奪の権)は(強者)にしかない。
 不要な(害虫)、水増しの(繁殖力)。煤けた(オーブンレンジの陰)。(冷蔵庫の裏)には埃が積もる。
 どうしたら先に進めるのか。

 ふと手にした(泡)を見つめて、次第に露になる(嫌悪感)。(G)は殻を破らない。破れない。
 僕は(某泡式殺虫剤)を仕舞い、(つまんだ指)を灰皿に押し付ける。

 (生ゴミ漁り)を止めたかったのに、以前よりも(収穫が少ないまま、同胞だけが現象を繰り返し、)流れ去ってしまう日々。
 ――(へん)みようかな。
 僕は思い付きで(家の主にそっくりなあのジャーナリストの名前を挙げた)。すでに日課になっている事に気付いていながら。
 味気ない(白い泡)が僕を包む。
 生まれた時から、何も変わらない(  )に。

189おまゐら、( ) をうめて文を作ってみれ:2005/03/30(水) 15:19:55
【お題】
そもそも世代交代なんてする気のない(  )になにを頓珍漢なことを。

(  )は(  )じゃなくて(  )で(  )があるかどうかが全て。
だから人脈ごとの(  )が形成されてそれら(  )が(  )内の
覇権争いの暗闘を繰り広げている。その暗闘に生き残り、ようやく
這い登っても、すでに上にいる(  )は後進に道を譲ったら
うまみがなくなるから嫌がって動かない。今度はこいつをどうやって
(  )させるかを考えなければならない。そうしてようやく(  )の
後継者クラスの「上」の場所にいける。

はっきりいって(  )全体のこととか、(  )に書かれている理念とか、
そういう(  )だけを考えて上にいける(  )などいない。
世代交代に必要なのはそういう(  )で(  )のある(  )だが、
現実に生き残れるのは(  )にまみれ(  )を蹴落とす手腕に長けた
腹黒い(  )だけだ。それが(  )。
(  )の嫌なところを(  )したような場所だ。

(  )が好きでいたいなら、知らぬが仏だ。

190おまゐら、( ) をうめて文を作ってみれ:2005/03/30(水) 15:20:24
【回答例】
そもそも世代交代なんてする気のない(吉野家コピペ)になにを頓珍漢なことを。

(吉野家コピペ)は(吉野家のこと)じゃなくて(文脈)で(あの特徴)があるかどうかが全て。
だから人脈ごとの(吉野家コピペ)が形成されてそれら(の亜流)が(スレッド)内の
覇権争いの暗闘を繰り広げている。その暗闘に生き残り、ようやく
這い登っても、すでに上にいる(定番コピペ)は後進に道を譲ったら
うまみがなくなるから嫌がって動かない。今度はこいつをどうやって
(風化)させるかを考えなければならない。そうしてようやく(新コピペ)の
後継者クラスの「上」の場所にいける。

はっきりいって(スレッド)全体のこととか、(>>1)に書かれている理念とか、
そういう(もともとの前提)だけを考えて上にいける(荒らし)などいない。
世代交代に必要なのはそういう(斬新)で(毒)のある(荒らし)だが、
現実に生き残れるのは(わかり易さ)にまみれ(批評家)を蹴落とす手腕に長けた
腹黒い(策謀家)だけだ。それが(吉野屋コピペを手がかりにする)。
(現実)の嫌なところを(ねぎだくに)したような場所だ。

(吉野家コピペ)が好きでいたいなら、知らぬが仏だ。

191おまゐら、( ) をうめて文を作ってみれ:2005/03/30(水) 15:21:51
【お題】
ハッキリ言って(   )では(   )の方がアジア人よりもずっと(  )は上だよ。
貧弱で弱弱しく、アグレッシブさに欠け、醜い(  )は(  )のいい的。
(    )は(  )を多数輩出してるし、(   )はかなり見下されている。
(   )は(  )には頭があがらないため(  )する。
また、(  )は(  )としてとおっている。
「○ドルでどうだ?」と(  )を持ちかける(  )も多い。
彼らの見ていないところでこそこそ陰口しか叩けない(    )は(   )。
【回答例】
ハッキリ言って(軟体)では(カタツムリ)の方がアジア人よりもずっと(柔軟性)は上だよ。
貧弱で弱弱しく、アグレッシブさに欠け、醜い(ナメクジ)は(塩)のいい的。
(タコ)は(料理)を多数輩出してるし、(クラゲ)はかなり見下されている。
( カタツムリ)は(タコ)には頭があがらないため(引きこもったり)する。
また、(イカ)は(シーフードの代表の一つ)としてとおっている。
「○ドルでどうだ?」と(ヒトデ)を持ちかける(マニア)も多い。
彼らの見ていないところでこそこそ陰口しか叩けない(クラゲ)は(中国で美味しく食して貰う事をお勧めする)。

192あなたの文章、無理して誉めます:2005/03/30(水) 15:32:15
681 :名無し物書き@推敲中?:04/07/21 18:53
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682 :名無し物書き@推敲中?:04/07/21 20:36
>>681
すげぇいい感じ。なにがって、まず割り切り方。言葉への執着を捨てきった感とか、8だけ抜いてる所とかが凄ぇエロい。
いい感じに短いじゃない。しかもゼロがない。多分皮肉だと思うんだよね。
設計技術が発達できなかった文明には軒並みゼロがない。この文章を読んだ奴に対して、そんな事でいいのかって感じにさせられる後味の悪さ。
でもね、結局グッドでハッピーな結末って説明臭いジジむさいだけの狭い止揚止まりなんだよ。
俺はこの作品が投げかけようとしてる味が、もっと評価されるべきだと思う。
無論、売れ筋ベストとかに乗る類の創作じゃないのは自明。
でも、エネルギーが少ない物や一般的なクオリティから切り離された所から、
もっと面白さを見出さないとこの日本はもっと強度を失うよ。
意味に頼らない面白さってのが、この作品に詰まってると思う。
読むタイムコストも少なく済む。皆も一度読んでみるといいよ。損はしないと思う。

193あなたの文章、無理して誉めます(1/2):2005/03/30(水) 15:34:03
758 :せりな :04/08/12 00:17
私は女の子 彼女も女の子
でも私は彼女が好き
どうしたらいいかわからない
でも彼女には彼氏もいる
彼氏がうらやましい
私が男だったら
私はどうすることもできないさみしさがありめす

194あなたの文章、無理して誉めます(2/2):2005/03/30(水) 15:34:34
759 :名無し物書き@推敲中?:04/08/12 11:59
斜め読みの美学、それは描写に決別した、より記号的な構造への挑戦だ。


 も
  し
   女
    ら
     た
      こ

この文章の意味する所は、本文同様女性性への嫌悪だろう。
「私もし(私もだが)女ら(女というものは)たこ(タコである)」
という事だ。このタコは只の罵声だろう。女性の美学たる軟体も
醜悪な生命の根拠たりうる例がある、という痛烈な皮肉かもしれない。

ジェンダー倒錯へ波紋を投げ掛ける問題作は、ブームの終焉と共に
死滅したかのようである。しかし、終わりではない。
問題は何も解決していない、性差別や価値観の迎合に留まらない
上部構造の歪みとしての問題を記号化するには、>>758のような
手法しか残されていないのではなかろうか。

195あなたの文章、無理して誉めます:2005/03/30(水) 15:36:58
840 :さんがつうさぎ ◆LbMArch5c6 :04/09/11 18:36:39
がっつ

842 :名無し物書き@推敲中?:04/09/16 14:17:00
>840
文体は志賀直哉に近いけど、ストーリィは独創的だね。
莫大な伏線を、きゅっと最後に閉める。畳み掛けられた!って感じだね。
極上のエンタテイメント作品。なおかつ、"っ"のの使い方、まだ"っ"を挟む
"が"と"つ"は文学者ならニヤリと来る、一種の洒落がある。"っ"の使い方は
いろんな人間が試みてるけど、こんな実験的な使い方は初めて見た。
これを上手いと取るか、失敗と取るかで評価は二分されるだろうけど、俺は好きだね。

196あなたの文章、無理して誉めます(1/2):2005/03/30(水) 15:41:27
   小説 「激烈ワロタ君」

あるところに激烈ワロタ君という名前の人がいました。
激烈ワロタ君はワロタ君というレスから来た名前です。
ワロタ君は起きて散歩をするのが毎朝の日課でした。
ある日散歩しているとインターネットに接続をしているコンピューターがありました。
ワロタ君は言いました。
ワロタ君はインターネットを我慢して散歩をつづけました。

ヤヴァイ本当におもしろみのない小説だ。とりあえず思いついたこと書くよ。

とワロタ君は考えました。
散歩をやめると後ろからヒタヒタと足音がしました。
ワロタ君は言いました!
ヒタヒタと後ろから足音が聞こえる速度が増してきたので早足にしました。
ヒタヒタということは濡れているということです。こんなに晴れた朝なのに濡れてるのは変だと思いました。
ヒタヒタの足音のことは忘れて散歩をつづけました。
やっぱり散歩はやめました。

197あなたの文章、無理して誉めます(2/2):2005/03/30(水) 15:42:01
>>211
シュルレアリスムとは、何もダリのような抽象性のみを指す言葉ではない。
日常を超えようとする現実の運動。この点にこそ、この言葉の本質がある。
211はまさに、純粋なシュルレアリスムの追求を目指しているのであると
言わねばならない。前段においては、4〜6行目の展開が秀逸である。
「散歩しているとインターネットに接続をしているコンピューターがありました」
この一文のみでは、凡百のSFに成り下がってしまうところであるが、
「ワロタ君は言いました(中略)我慢して散歩をつづけました」
との展開によって、それを免れるばかりか、バロウズのカットアップを思わせる
緊張感を、文章に付与することに成功している。
その後の一文と後段への流れにいたっては、もはや脱帽である。
瞬間、小説の書き手が、虚構世界を破壊するかのような不安を与えながら、
かろうじて虚構世界は存続する。そのまま雪崩式にカタルシスへと向かうと、
唐突に終焉する。負けたよ211。次回の芥川受賞なんてケチなことは言わない。
いきなり選考員として登場して、駄馬の群れである僕らを見下ろしてくれ。

198あなたの文章、無理して誉めます:2005/03/30(水) 15:49:09
36 :名無し物書き@推敲中?:04/06/03 17:01
ぼくはコップがコップが好きだ好きだ好きだ。
だって、なぜかというと、簡単にいえば、その、あれなわけで、つまり、その、好きなのだ。
そいうこと。

38 :名無し物書き@推敲中?:04/06/03 17:33
>>36

コップという誰もが手にするものを好きだと書いたのが正解だ。
繰り返し「コップが」と書くことで文章のリズムを取り
好きという言葉を3度繰りかえして好きの程度をやわらげている。
これが後の文章に繋がり、

> だって、なぜかというと、簡単にいえば、その、あれなわけで、つまり、その、好きなのだ。
という表現を際立たせているし、前の文章と丁度良い。

最後と決め手になるのが「そいうこと」であり、この言葉が魔法のように
読み手を説得させて、何気ないものでもよく考えれば大切なもの
が好きという繊細な感情の表現を可能にしている。

199名無し文芸人@トーナメント中:2005/03/30(水) 16:07:32
終わった? そしたらショートショートの貼りつけ行くかな。

200無題(1/2):2005/03/30(水) 16:07:49
病院の待合室でふと前に座っている男を見ると肩に原色のでかい芋虫が
乗っていた、かなり虫が嫌いな俺はそれを見ただけでも冷や汗物だったが
そのままにしておくのも可哀想だったので意を決してティッシュで
掴んで取ることにした。

そーっと、静かに、男に気づかれて驚かれるのも面倒だ、手を伸ばして
芋虫に触れそうになったそのとき。
「やめときな小僧」
ボソッとした声で誰かがつぶやいた、小さな声だったので周りの人は気づいて
ない様だった。まさか感づかれたのか、まだ触れてもいないのに。
肩を見ると芋虫の触覚がこちらを向いている、それは威嚇するような様子
でもあった。何かの聞き間違いだろう、俺は取ることを諦めきれず再び手を伸ばす
すると「やめろといってるんだ、そんなものじゃ俺はつかまらねえ」
またあの声だ、低く芯の通った声。ティッシュじゃ捕まらないというのか。
そんな馬鹿なことはあるか。だが、俺は塚ならないといった、どういうことなんだ。
今俺が捕まえようとしているのは目の前の虫だ、男ではない。
そういえばカマキリに寄生するハリガネムシという寄生虫がいる、行動すら
操ってしまうという虫だ、それと同様に人間の行動を操ってしまう虫。
ばかばかしい、あまりにもくだらない考えだ。俺は一息に芋虫を取り払った。

201無題(2/2):2005/03/30(水) 16:08:03
短い叫び声が聞こえたと思うと男の首ががくりと前にうな垂れた。
「うわああぁ、、あ」
俺は思わず叫び声をあげてしまい周りの視線が俺に突き刺さる、し、死んだのか。
頭の中がぐらぐらする、そんなことあるはずがない。手の中の芋虫がごそごそ
動いている。

「Yさん」
突如名前を呼ばれ俺は再び悲鳴をあげてしまった、返事もろくにせず俺は
診察室へと向かった。
途中、横目で男を見るとまだ首をうな垂れている。
すると耳からなにやらコードのような物が垂れていた、
なんてこったイヤホンじゃないか、俺はそれを引っ張りあげた。
するとイヤホンが抜けて大音量でラジオが鳴り響いた。
「次週、ついに追い詰められた・・・・」
推理物のラジオドラマのようだった、なんだ、俺はこんな物に怯えていたのか。
安心してため息をついたそのときふと、
ちくりとした痛みが手のひらに走った、手のひらを見ると芋虫が動いている
びっくりして手を振り払おうとしたが手が動かない、まさか、、、、、
看護婦がせかすように名前を呼んだ、俺じゃない俺が返事をした。

202奇妙な生き物:2005/03/30(水) 16:08:28
 ある日道を歩いていると、奇妙な生き物に出会った。そいつの鼻はゾウのように長かった。私はこう言った。
「あなたはゾウですか?」
「いえ違います」
「ではあなたはキリンですか?」
 そいつがキリンのように長い首をしていたからだ。
「いえ違います」
 私は、そいつの先端が二つに割れた舌を指差し、こう言った。
「あなたはヘビですか?」
「いえ違います」
 私は落ち着いて、そいつの足の数を数えてみた。足は八本あった。
「ああ、あなたはタコですね?」
「いえ違います」
 ではこの気味の悪い生き物は、いったい何だというのだ。私は恐る恐る尋ねた。
「あなたはいったい何なんですか?」
「私は鏡です」

203牛乳パック:2005/03/30(水) 16:08:48
 朝目覚めたら牛乳パックになっていた。辺りを見まわすと、見覚えのあるオレンジジュースや
野菜ドレッシングがある。どうやらここは我が家の冷蔵庫のようだ。それにしても寒い。早く出してくれ。
 突然冷蔵庫のドアが開いた。妹の腕が伸びてきて、俺を掴む。妹よ、気付かないのかい。
お前のたった一人の兄さんだよ。
 妹は俺を傾け、マグカップに注いだ。次の瞬間、俺の背に思わず声を上げさせるほどの寒気が走った。気持ちいい。
なんて快感なんだ。もっと傾けてくれ……。マグカップに白い液体が注がれる。一気に飲み干す妹を眺めながら、俺は思った。
 もう人間には戻れないんだろうな。

204無題:2005/03/30(水) 16:09:10
サンタは一番最後の家についた。
トナカイたちの心配そうな目が並ぶ。
「大丈夫じゃ、ワシは必ず帰ってくる」
意を決してエントツに潜るサンタさん、かっこよく暖炉に到着したサンタさんは、素早く横に飛びのく。
1歩遅れて、暖炉に閃光が走る。
危なかった、あの閃光に触れると、数秒は動きがとれないのだ。
話は変わるが、サンタさんを捕まえようとしたことがある者は少なくないだろう、ここの子供たちもそうなのだ、
なんら変わったことはない無邪気な子供たちなのだ、ただ、エスパーだった、ということを除けば。
カンフーアクションさながらの動きで二人の良い子たちの攻撃をかいくぐるサンタさん。
サンタさん強い!サンタさん素早い!
頃合を計って、子守唄を歌うサンタさん。
過度の夜更かしにコロリと眠る良い子たち。
優しげにベッドに子供たちを寝かせると、枕元にプレゼントを置いて、トナカイの元に戻るサンタさん。
その表情は、戦いを終えた男の表情をしていた。
世界中の子供たちよ、メリークリスマス。

達成感バリバリに家路につこうとするサンタさんの前に、さっきの子供たちに面影の似た男が立ちふさがる。
「今年こそ捕まえてみせますよ、サンタさん」
ニヤリと笑むパパに、これまたニヤリと笑むサンタさん。
第二ラウンドの始まりである。

205無題・他:2005/03/30(水) 16:09:31
無題

 昨日、ご飯を食べてたら、天使が目の前に現れて、「願い事を一つだけ叶えてあげましょう」なんて言ってきた。
 びっくりして、イカを喉に詰まらせたんだけど、天使が魔法で助けてくれた。ただ、そんだけ。


そういう未来

「最近は人の話すことを鵜呑みにしちゃう人が多いらしいよ」
「ふうん」
「しかも、日本人の九十パーセントが一日に千回以上嘘をついているそうだよ」
「へえ」
「あと一番厄介なのが、話を聞いていないのに、返事だけする人ね」


指は五本

 どうして指は五本なんだろう。四本や六本じゃあ、いけないんだろうか。俺は実際に右手の人差し指を切り落として、
どういうものか、体験してみることにした。
 二日後、俺は一つの結論に達した。結構不便だ。

206飲酒運転・国語力の低下:2005/03/30(水) 16:10:22
飲酒運転

「お父さん、どうしてお酒を飲んだら運転しちゃいけないの?」
「運転が下手になって、危ないからだよ。飲酒運転は罪が重くて、免許を没収されたりするんだ」
「でも……悪い人は、免許が無くてもまた運転するかもしれないよ。そういう人は、車を没収した方が良いと思うんだ」
「ははは。そうかもしれないね」

「お父さん、この人はどうして逮捕されたの?」
「女の人に乱暴を働いたからだよ……」

国語力の低下

「今の子供達は本当に国語力が低下しているね」
「どうしたんだい、急にそんなこと」
「いやね。ちょっと前に、知り合いの息子が自ら命を絶ってしまったんだけど、その子の日記に『○月×日 飛び降
 り自殺しました』なんて書いてあったそうなんだ」

207笑う扇風機:2005/03/30(水) 16:10:52
 皆は気づいていないだろうが、扇風機にも感情はある。別に恋愛相談を受けたりするわけじゃない。
あの弱風を浴びていると、扇風機の喜怒哀楽が何となく伝わってくるんだ。
 ある日、俺が仕事から帰宅すると、扇風機が笑っていた。こいつとの付き合いは半年ほどになるが、
こんなに大笑いしているのは初めてだ。「どうしたんだよ、何か面白いことでもあったのか」
扇風機はそれには答えず、ひたすら笑い続けた。
 それから、俺が夕食を食べていても、テレビを観ていても、扇風機は笑い続けた。さすがに俺も気味が悪くなり、
コンセントを抜いて、静かにしてもらうことにした。

 翌朝、コンセントを差し、スイッチをひねってみると、扇風機はもう笑ってはいなかった。
それどころか扇風機は何の反応も示さない。それがただの故障ではないことを、俺は理解した。
 扇風機の墓を作るため、俺は空き地に穴を掘った。だいぶ苦労したが、何とか埋めることができた。
「もう少し優しくしてやれば良かったな」そんなことを呟きながら、俺は雪の降り積もる道を家へと向かった。

208赤いナイフ:2005/03/30(水) 16:11:12
「お前どうしていつも赤鉛筆なんか持ち歩いてるの?」
 今日もまた、同じことを訊かれた。俺はいつも赤いナイフを持ち歩いているが、友人にはそれがただの赤鉛筆に
見えるらしい。俺が狂っているのか、それとも周りがおかしいのか。確かめることは簡単だ、このナイフでその辺の
リンゴでも切ってみればいい。しかし俺はそんなことにナイフを使いたくはなかった。
 俺は文房具屋の前にいた。木造の平屋造りの、かなり古い文房具屋。ガタガタときしむガラス戸を開け、店の中
へ入る。店の奥には一人の爺さんが座っていた。爺さんは俺を見ると、無表情のまま、少し斜めに軽く頭を下げた。
 ポケットから赤いナイフを取り出す。
「あの、こういう赤いナイフが欲しいんだけど」
「……ここは文房具屋だよ」爺さんは呆れるように言った。
「三年前は売ってくれたじゃないか」
「三年前?私はそんな昔のことは覚えてないよ」
 三年前、俺が赤いナイフを買ったのは確かにこの店だ。しかし、それを買った理由も、この店に来た理由も、俺は
何一つ思い出せないのだった。
「お願いだ。思い出してくれ」
「あんた何回も店に来てくれた訳じゃないろう?そんなこと忘れてしまったよ」
 それはそうだろう。老人が三年前に客が買った物など、思い出せるはずもない。俺は諦めの口調で尋ねた。
「じゃあ一つ答えてくれ。俺がこのナイフを捨てたらどうなると思う?」
 爺さんは、表情を変えずに言った。
「さあね。誰かが拾って、気味悪がって、また捨てる。その繰り返しさ」
 俺は赤鉛筆を一本買って、店を出た。

209鋏・好きな夢:2005/03/30(水) 16:11:38


 何かを探しているのに見つからない、そんな不思議な夢で目が覚めた。朝食を食べながら、妻にそのことを話すと、
「あなた。もしかして、これを探していたんじゃない?」
 そう言って、ポケットから鋏を一つ取り出した。
「ああ。これだ。これを探していたんだ」
 私は鋏を手に取り、朝刊をざくざくと切って子供のように喜んだ。
「あら。あなた左利きだったの」
「いや。今日からだ」
「そう……」
 遠くから目覚まし時計の音がする。もうすぐ寝室から右利きの私が現れるのだろう。


好きな夢

「最近変な夢ばかり見て、睡眠不足に悩まされてるんです……。”好きな夢を見られる薬”なんてありませんかね」
「ありますとも。この薬を睡眠の直前に飲めば、誰でも好きな夢を見ることができます。……ただこの薬には問題
 がありまして」
「何ですか?」
「飲んでから五時間は絶対に眠れなくなります」
「それじゃあ、まったく意味が無いじゃないですか」
「はい。ですから、殆どのお客様はこれを不眠薬としてお買い求めになります」

210冬の朝の庭:2005/03/30(水) 16:11:59
 ある朝、私は庭の奇妙な物体に気づいた。それはドッジボールほどの大きさで、地面に半分めり込んでいた。外側に
文字らしきものが記されているが、読めそうにない。どうやら、地球上の物ではないらしい。
 私がそれを手に取ると、私の足は地面を離れ、三十センチほど浮かび上がってしまった。私は驚いた。いくら地面に
足をつけようともがいても、私は空中に浮かんだままである。私は大声で妻を呼んだ。
「いったいどうしたの」
「た、助けてくれ。元に戻れないんだ」
「あなた、それじゃあ車のアクセルも踏めないじゃない」
「冗談はいいから、早く元に戻してくれ。こんなとこを見られたら大騒ぎになる」
「取りあえず……その気味の悪いボールを手放してみたら?」
「それはダメだ。何か嫌な予感がする」
 いいから貸して、そう言って妻は無理矢理私とボールを引き離した。
 手からボールが離れた瞬間、私は尻から地面に落ちた。
「大丈夫?」
「あ、ああ。……おい。それより、あのボールは?」
「あそこ」
 妻の指さす先には、ゆっくり青い空へと上昇していくドッジボールがあった。

211冷蔵庫:2005/03/30(水) 16:12:13
 男は二日前から何も食べていなかった。財布には小銭しか入っておらず、冷蔵庫の中も空である。
「ステーキを腹一杯に食べたい……」空腹と絶望のあまり、そんな独り言がこぼれた。
 その時、冷蔵庫の方から、がさっという物音がした。何だろう。男が恐る恐る、何も入っていないはずの冷蔵庫を開けると、
そこには皿に載ったステーキがあるではないか。
 男は急いでそれを取り出し噛み付こうとするが、カチンコチンに凍っていてなかなか食べられない。逸る気持ちを抑え、男
はそれを電子レンジに入れた。ほかほかのステーキにお目見えした瞬間の、男の喜び様は言うまでもない。
 空腹もいえ冷静になった男は、単純な疑問を抱いた。なぜ空のはずの冷蔵庫に、あんなものがあったのだろう。いつかの
食べ残しだろうか。いやそんなはずはない。ここ一年間、ステーキなんて高価なもの食べたことがない。ということは……。
 男は冷蔵庫の前に立ち、「旨いビールが飲みたい」そう大声で叫んだ。さっきと同じように冷蔵庫の中で、がさっという音が
する。急いで冷蔵庫を開けると、そこにはよく冷えた一瓶のビールがあった。やはりそうだ。これは魔法の冷蔵庫なのだ。あ
るいは、いつの間にかそんな能力が身に付いてしまったのだろうか。男は嬉しそうにビールを取り出した。
 しかし、男は一つの失敗に気付いた。「しまった。よく冷えているどころか、カチンコチンに凍っていやがる」これは自然解凍
するのを待つしかない。男はビールを床に置いた。
 さて次は何を取り出そうか。旨い物も食べた。酒はいつでも飲める。となれば、後一つは決まっている……。
「美しい女が欲しい」
 どさっ。さっきよりも大きな音が冷蔵庫の中から聞こえた。男は緊張と期待を抱きながら、冷蔵庫のドアを開けた。
 冷蔵庫の凍死体は虚ろな目で男を見上げていた。

212部屋・結末:2005/03/30(水) 16:12:32
結末

 男は部屋でテレビを観ていた。毎週欠かさず観てきたドラマの最終回である。結末はどうなるのであろうか……。
 すると突然、部屋の電気が消え、辺りが真っ暗になった。停電だ。冗談じゃない。今日はドラマの最終回なんだぞ。
 しかし、停電が回復したのはそれから二時間後のことで、その頃にはドラマはとっくに終わっていた。
 男は怒り狂った。そして台所の包丁を持ち出し……。


部屋

 友人の家に招かれたが、どうにも落ち着かない。彼の部屋は床も壁も天井も、すべてが真っ赤なのだ。
「君、よくこんな部屋で暮らせるね」
「赤が好きなんだ」
「そういうものかね。僕は青が好きだけど、真っ青な部屋なんて、想像しただけでも嫌だよ」
「僕は真っ赤にする過程が好きなんだ。真っ白な部屋になんかしてみろよ。それこそ誰も部屋に来てくれなくなる」

213幽霊:2005/03/30(水) 16:12:47
人間本当に怖いと声も出なくなるんだろう、、、
冷や汗が体中から吹き出てるのが分かる。原因は簡単だ、洗濯機の中に人が、
青白い体をした男がうずくまっていた。
「畜生」
自分を奮い立たせるようにして再び洗濯機の蓋を開けるとそこにはもう何も
いなかった。一安心して洗濯物を入れていると背後のバスタブでなにか大きな物が
跳ねるような大きな音がした。水は張ってないはずなのに、、、
もう確かめるのもいやだ、俺は振り向かずに朝食を作るために台所へ向かった
焼き魚にしようと思って魚を見ると見るも無残に腐ってる、昨日買ったのに。
かろうじて残っていた普通の魚に包丁を入れた瞬間異常に吹き出る血。
飛び散った血は一箇所に集まり、イタイ、と壁一面に書き残す。
慣れれば何ともない、そんなことこの世の中にはたくさんあるだろうが怖いこと
には慣れられないもんだろう。特にかなりの小心者の俺としては毎回心臓が止まる
思いだ。しかしいいかげんにしてほしい物だ、一週間ほど前家に帰ってきたら
幽霊がいた、ちょっと驚かすつもりだったのだろう、だけどぼんやりと考え事を
していた俺は気づかずに無視してしまった。
腹を立てた幽霊は怖がらせようとしてあれこれやるのだが、いきすぎだ。
ウインナーの袋の中に入ってた指を窓に投げつけながら俺は悪態をつく。
「怖がらせるのと嫌がらせを勘違いしてないか、、、」
トイレで座ってるときには冷たい手が尻を触り、顔を洗おうとしたら蛇口から血、シャワーを浴びればスライムが、、、

214:2005/03/30(水) 16:13:12
 寝付けない少年のところに、一匹の悪魔が現れた。
「誰」
「悪魔だ」
「何の用」
「お前の願いを一つだけ叶えてやる」
「じゃあ、僕を世界一かっこいい男にしてよ」
「よかろう。朝起きれば、お前は世界一の美男子になっている」
 悪魔は消え、少年も少しして眠りについた。

 少年はいつもより一時間遅く目覚めた。家に起こしてくれる人間がいなかったからだ。外に出てみるが、
人は一人もいない。もちろん新聞なんて物も届いていない。
 自分以外の人間は消滅してしまったらしい。どうせそんなことだろうと思ったよ。
 少年は道路の真ん中に、ごろんと寝転び、天に向かって大声で叫んだ。
「ああよかった。これでもう、顔のことで虐められない」

215海・才能:2005/03/30(水) 16:13:29


 余命半年の女がいた。
「何かやりたいことは無いの」
「海が見たい」
 女は海を見たことがなかったのである。しかし、病院から出ることは許されなかった。
「お母さん。海の向こうには何があるの」
「陸があるのよ」
「じゃあ、陸の向こうには」
「海があるの」
 海の写真を握りしめながら、女は息を引き取った……。

 という、つまらない話が残っている。
 私が女の生まれ変わりであることは、言うまでもない。


才能

 嘘を吐く時、表情をまったく変えない。少女はそんな才能の持ち主であり、殆どの人間はその嘘を見破れ
なかった。そのため、周りの者達は少女の言葉を信じなくなった。
 自分が信用されていないことに気付いた少女は、嘘を吐くことをやめてしまったが、大人は信じようとしな
い。
 そして少女は二十歳になり、ある男と結婚させられた。その男は嘘を見破る才能の持ち主であった。
 周りの者達は噂する。
「嘘を見破る夫と、嘘を見破られない妻。どんな結婚生活が待っているのかしら。楽しみだわ」
 まったく、人間とは面白いことを考えつくものだ。

216無題(1/2):2005/03/30(水) 16:13:48
頼んだ覚えのない物が届いた。
旦那のものかと思って代金引換でお金を払ったというのに旦那も覚えがないという。
とりあえずもう返品が聞かないし中だけ見て使えないものなら
捨ててしまおうといい、二人でその郵便物を開けてみることにした。
――白い壺が出てくる。骨壷を連想させ不吉だったが、旦那は躊躇なくその骨壷を開け、そしてひっくり返す。
中身は出てこない。
二人で顔を見合わせる。
「壺だけ?」
「まさか」旦那は、壺の中身を窺った。
その瞬間、骨壷はどんと絨毯の上に落ちた。
彼が消えたのだ。慌てて骨壷の中を見ようと思ったが何とか思いとどまった。
……覗くと私も消えてしまう。
なんだこの壺は。
彼が消えた。私はどうすればいいんだろう。
壊すわけにはいかないし。
旦那の会社からは、電話が掛ってくるだろうし、旦那を殺したと思われるだろうし。
なんで、一体何の目的でこんなものを。

217無題(2/2):2005/03/30(水) 16:13:59
確かに喧嘩したとき旦那なんていなくなればいいとか、何で結婚したんだろうとか
思ったことはあった。でも私は本心ではそんなことを望んでいた訳じゃ断じてない。
いっそ私も壺に消されてしまおう。
そう思った私は、覚悟を決めて壺を覗き込んだ。
一度、取り込まれたら二度と戻ってこない壺の中へ。
壺の中には、2ちゃんねると書いてあった。

218無題(1/3):2005/03/30(水) 16:14:17
目を開けると、うすぐらい部屋の中には男が立っていた。まだ夜が明けていないのか
なぜかその男のあたりはぼんやりとしていてはっきりと顔を見れなかった。
この部屋は、見覚えがある、そうだ俺の寝室。大して広くもない部屋は
やや大きめのベッドのせいでさらに狭くなっていた。
「だれですか、あなたは」
部屋に見知らぬ男が立っているというのに不思議と俺は落ち着いていた。
「神、あるいは悪魔、ランプの精、そのどれでも良いけれど、どれでもありません」
男は静かな物腰の柔らかな口調で答えた。
「悪魔だか神様だか知りませんが、俺なんかに一体何の用です」
「何ちょっとした気まぐれでね、三つ、三つだけ願い事を叶えて
差し上げようと思いまして、どうぞ願い事を何なりと申し上げてください」
「何を言い出すかと思ったらそんなこと、じゃあ言いますよ、この世界中にいる
全ての人間を消し去ってみてください。もちろん俺は除いてですよ」
俺は仕事のストレスもあってか街中で目に映る人はどれもくだらない者に思えていた。
だらしない格好の若者、態度だけはでかいオヤジ、大声でぎゃあぎゃあ言う女。全てが
くだらなく見えていた、みんな消えたらいいのにとも少しだけ考えていた。
「お安い御用で」そういうと男は手を少し振った。
「どうぞ確認してみてください」そんな馬鹿な、こんな簡単に人が消えるものか
そう思った瞬間外から大きな音が聞こえてきた、目の前の通りで車が正面衝突をしていた
男を見ると慌てるそぶりもなくただ突っ立ったまま。

219無題(2/3):2005/03/30(水) 16:14:27
「おい、何してるんだ、事故がおきたって言うのに。すぐに救急車を呼んでくれ、俺は
車の様子を見てみるから」だが男は微かに笑みを浮かべ静かに黙ったままだった。
その落ち着き払った態度に少し冷静になってみると何かがおかしい、あれだけ派手な音が
したというのに誰一人として見に来るものがいない。試しにテレビをつけてみた、
ニュース番組だったのか、普段はあまり映らないテーブルの下が横になったまま映っている。
まさか、次々と番組を変えてみるがどれも同じような状況、中にはまともなのがやっていて
はっとさせられるが録画したものだった。
「おい、何をしたんだ」混乱した頭で俺は男に詰め寄った
「お望みどおりのことをしたまでですよ」
人のいなくなった世界、そんなばかな、地球の中で人間の言葉を発するものは
俺とこいつだけだって言うのか、しかも厳密に言えば人間は俺一人だけ。
背中のあたりがうすら寒くなってきた。
俺はわざと大声を出して男に問い詰めた。静かだから大声を出す必要はないのだが、
小さな声ではこの不気味な重苦しい静寂に押しつぶされてしまいそうだった。
「なんてことをしてくれたんだ、今すぐ元通りに戻せ」
「お安い御用で」そういうと男は再び手をくるりと回した、すると窓の外でざわめきが
おき始めた、見ると先ほどの車の周りに人だかりが出来ていた。程なくして救急車の
サイレンが聞こえてきた。どうやら元に戻ったらしい。

220無題(3/3):2005/03/30(水) 16:14:35
私はベッドに座りこのざわめきに耳を傾けた、目を瞑ると、遥か遠くの国、街での
ざわめきも聞こえてくるようだった。
こんなに人の声をありがたいと思ったことはあるだろうか。
「ああ、こんなうるさいのも、いいな」
男は相変わらず突っ立ったままだった。

221髪・謎:2005/03/30(水) 16:15:43


 妻の、黒く美しい髪が好きだった。
「ただいま」
「お帰りなさい」
「……どうしたんだ。その頭は」
 妻が髪を剃って、坊主になっていた。
「嫌いにならないでね」
 冗談じゃない、私は妻の髪を愛していたのだ。こうして私は妻と別れることになった。

 それから一年後のある日、街で妻が若い男と歩いているのを見掛けた。
 私は今年で七十歳になる。年を取って記憶力が落ちるのは、昔のことを忘れられなくなるからだそうだ。嫌だなあ。




 山の中で二人の男が帰れなくなっていた。車はあるが、二人とも免許を持っておらず、運転できないのだ。
「なあ」
「ん」
「俺達、ここまでどうやって来たんだっけ」
 この謎を解く頭があれば、帰る方法なんて、とっくの昔に思いついているよ。
 あるいは、その逆か。

222地図:2005/03/30(水) 16:15:57
 公園のベンチで寝ていると、五歳くらいの女の子に地図を渡された。手作りの地図だろうか、可愛いでは
ないか。
 地図には公園の遊具の絵が描かれていて、右隅の方に宝箱の絵が描かれてあった。さっそく、その場所
を掘ってみると、確かに何か埋めてある。なかなか正確な地図のようだ。
 そこに埋まっていたのは一枚のメモであった。メモには「狼少年」とだけ書かれてある。なるほど、面白い
ことを考えたな。
 メモをポケットに押し込み、公園を出てすぐの図書館へ向かう。いい大人が絵本コーナーを彷徨いている
のも可笑しな話だが、ここで諦めてはあの女の子に申し訳ない。十分ほど探し、ようやく「狼少年」を見つけ
た。表紙を開いてみると、また一枚のメモだった。今度は暗号だ。
 苦労して解き、宝が隠してあるはずの自動販売機に向かうが、何もない。ゴミ箱の底のメモを見付けたの
は、それから三十分後のことであった。
 そんなことを十回もくり返し、最後に私が辿り着いたのは、地図を渡された元の公園だった。もちろんそこ
に宝など無い。

 翌日、同じ時間に女の子は現れた。
「お嬢ちゃん、あの地図誰に作ってもらったの」
「知らないおじちゃんが、あの男の人に渡してくれって……」
 一周するのも面倒だな。私はその場で女の子を殴り殺した。

223無題:2005/03/30(水) 16:16:10
「こちら地球探査本部、:-775へ、感度はどうだ」
「こちら地球探査班:-775です、感度は良好です」
「地表の様子はどうだ、なるべく詳細に頼むぞ」
「大気はやや埃っぽく地面は一様に固いもので覆われています。
それと、さっきから気になるのですがなんだかすれ違う地球人の
殆どがこちらを振り返って見てくるのです」

「気にしすぎじゃないのか、それに我々はこの星のものと思われるパイオニア
とかいう宇宙船に描いてあった地球人と思しき生命体。その姿に似せて
君の擬態スーツは作られている、よもや誰も君が地球外の生命体だとは思うまい」

「それもそうですね、安心しました。では探査を継続します。あ、痛い痛い
何をするんですか。あ、言葉なんて通じるわけがないか。本部、本部、緊急事態です
地球人の男二人組みに拘束され、、、」
「どうした:-775、おい、ああ電波の届かないところへ行っちまった」

駅前の交番、警官が言う
「あー署ですか、駅前の不審者をただいま拘束しました。言葉がわからないので
そちらから外国語に詳しい人員の応援をお願いします。西洋人ってことくらいしか
分かりません。え、パスポート、身分証の類は一切ありません、なんてったって素っ裸ですから」

224昼食(1/2):2005/03/30(水) 16:16:25
この男は夕食と朝食をまったく食べない。
昼食にご馳走を食べるのかというと、別にそういうわけでもない。
おにぎり一つを食べる程度だ。
それも嫌そうに食べる。

食べるという行為が嫌いなわけではない。
むしろ好きだ。
男は少し前までは大食家だった。

少し話を戻そう。

男はある日、夢を見た。
目の前にご馳走が並んでいる夢だ。
大食家だった男は嬉しそうにそのご飯を平らげた。
「少し物足りない…もっと食べたい」と思った。

次の日も夢を見た。
目の前にご馳走が並んでいる夢だ。
大食家だった男は嬉しそうにそのご飯を平らげた。
「これくらいが適量だな」と思った。

225昼食(2/2):2005/03/30(水) 16:16:38
次の次の日も夢を見た。
目の前にご馳走が並んでいる夢だ。
大食家だった男は嬉しそうにそのご飯を平らげた。
「ちょっと多いな…」と思った。
起きた時、朝食が喉を通らなかった。

そうしてどんどん夢の中での食事が増えていった。
では食べなければいいと思うだろう。
男もそれを試した。
しかしそうすると、『目の前にご馳走が並んでいるだけの夢』の中で起きる事ができなかった。
無理に食べ終わるとすぐに起きる事ができた。

男がその夢を見るようになってから三ヶ月にもなった。
夢に耐えられなくなった男はビルの最上階から飛び降りた。
落ちていく途中で男は気絶した。
気づいた時、目の前には終わりの見えないほどのご馳走が並んでいた。

226無題(1/2):2005/03/30(水) 16:16:55
いつからか、俺のアパートに何かが住み着いた。
いつ頃からかは分からない、何者なのかも分からないけれど
時折部屋を叩く音、意味のわからない声。そしていつからか壁にできた
丸い穴。隣の住人の仕業かと思ったが穴の開いている壁は通りに面している、
そして俺の部屋は二階、寝ぼけてやってしまったのかもしれないその穴は
始めは指が一本はいるくらいの小さな穴だったがいまや直径60cmくらいの
大きさになっていた。
管理人に言えば治してくれるかもしれないがまず間違いなく修理費を請求される
俺のやったことじゃないなんて、言うだけ無駄だろう。
最近固いはずの壁が、妙にやわらかく感じるようになった。雨漏りで壁が腐って
しまったのか。立地だけが売りの古いアパート、何かがいても不思議ではないかな
ただそれでもこの部屋には不思議な愛着を感じるのも事実で、妙な物音や声がしても
出て行こうという気にはならなかった。

227無題(2/2):2005/03/30(水) 16:17:06
そんなある日のこと、不思議な感じがして目が覚めた。
見ると腹に手錠のような輪がはまっていて自由が効かない。
一体誰が、何の目的でこんなことをするんだ。
強盗にしては変だ。まさか、背筋に冷たいものがはしる。
と思った瞬間、あの穴から見たことも無いほどの白い巨大な手が出てきた。
奇妙に白いその手は俺の背丈の半分ほどはあろうか、ぬらりと光沢を放つ
その手は乱暴に俺を掴むと手錠につながれたままの胴もお構いなしに引っ張り始めた。
つながれたままの俺の胴体が悲鳴をあげる。
「止めろ、誰だかわからんがちぎれちまう、やめてくれ」
だが俺の叫び声はその手の主には届いていないようで、なおも強引に引っ張りつづけた
そしてついに、肉がちぎれるようなぶちっという嫌な音を俺は聞いた。


「おめでとうございます。元気な男の子ですよ」
白衣の医者が疲れ果てた表情の女に向かって話し掛ける。
そしてほどなくして赤ん坊の泣き声が手術室に響き渡り、、、

228:2005/03/30(水) 16:17:21
ある日、町中で俺そっくりの男が車を運転しているのを見た。
ドッペルゲンガーという言葉を思い出し、俺は不安になった。
翌日、また俺そっくりの奴を見つけた。喫茶店でコーヒーを飲んでいる。
俺は慌てて、喫茶店のドアを開けた。
「いらっしゃいませ」頭を下げた店員が顔を上げると、俺が笑っていた。
俺は腰を抜かして派手な音を立てて転んだ。
喫茶店にいた奴らが一斉に俺を見る。皆俺の顔だった。
つまらなそうに、あるいはクスクス笑いながらそれぞれ自分の飲み物に戻っていった。

喫茶店を飛び出した俺は気付いた。
道路を歩いても俺ばかり。電車に乗っても俺ばかり。
家に帰ると、「お帰りなさい、あなた」と俺が出迎えてくれた。

世界中の人間が、俺の顔になってしまったようだった。
(俺は一体どうしてしまったんだ。どうしてこんな事になってしまったんだ?)
俺は困って病院へ行った。
「顔、整形してください。」

229ビーカー(1/2):2005/03/30(水) 16:17:35
 私の胸の中には一つのビーカーがある。
いや、実際にはもちろんない。イメージがあるだけだ。
ビーカーには水が入っている。二層に分かれていて上層部は綺麗な水が、底には魔界のようなヘドロが沈殿している。
これは私の心を表していた。平常時の液面は穏やかだが刺激を受けると波紋ができる。
興奮すれば激しく波打つ。恋をしている時は水はピンクに染まっているかもしれない。
液面は表層意識。深層には辛い過去、傷ついた記憶、妬みや嫉み憎しみなどの黒い感情が沈んでいる。
私の29年の人生はビーカーの容量を少しだけ大きくしたが、閉じ込めておきたいヘドロが随分と堆積していた。

 朝から気分は最悪だ。
昨晩はアルコールを大量に取って無理矢理ベッドに入ったがそれでも3時間ほどしか眠れなかった。
頭痛は二日酔いのせいだけではない。カーテンを閉めたままの暗い部屋でいると昨日のことを思い出す。
私の心のビーカーにマドラーが差し込まれた。
―――「オカベ君、すまない」
ネクタイを締めながら力なく言う彼の言葉は、硬く冷たい先の尖ったマドラーだった。
―――「いや、妻のことはいいんだ。しかしね、ただ……やはり子供には……辛い思いをさせたくない」
子供のことを言えば私が何も言えなくなると思ったのだろうか。実際に言えなくなるけども。
マドラーはゆっくりと、でも確実にビーカーの底まで届いた。
―――「……別れてくれないか」
マドラーは私のビーカーをグチャグチャに攪拌した。

230ビーカー(2/2):2005/03/30(水) 16:17:45
イメージ上の回転運動は現実にも影響するのか、内臓を引っ掻き回されたように気分が悪い。
ビーカーの水は黒く濁り、ネガティブな思考は濁流に浮き上がってきた堆積物のように辛い過去を連想させていく。
私の心は汚染された。だが、大丈夫だ。マドラーはもう引き抜かれた。
水の挙動は安定に向かい少し増えたヘドロはまた底に沈んでいく。
時間が解決してくれる。そう自分に言い聞かせる。
 哀しくてもお腹は減る。この図太さはビーカーの容量が大きくなって得たものかもしれない。
外は私の気分と正反対の爽やかな天気だ。家の前を流れる川から人の賑わいが聞こえてくる。
そういえば確か今日は隣組で川の清掃を行うと回覧板がきた気がする。
私の住むマンションも担当地区だ。すっかり忘れていて気まずいので下を向き足早にかけだす。
「うわっ」
不意に大きな体にぶつかった。ゴム長に腕まくりのスタイル。
自販機の前でスポーツドリンクを片手にしている。川の清掃の休憩中だろうか。
「なんだ、オカベさんじゃないっスか。ドブ掃除はサボりっスか?いけないんだー」
この子供みたいな物言いの青年は確か私の斜め下の部屋に住んでいる。
就職したてで希望の未来に満ち溢れていて、夢のある純粋な目をしている。私とは違う。
「ひどい顔してますね。なんかあったんスか」
私は何も言えずボーっと彼を見ていた。
「今からでもやっていきます?ドブ掃除。ヘドロを掻き出して水を綺麗にするんスけど意外に気分が良くなるんスよ」
そう言うと彼は優しく微笑んだ。
私は声を上げて泣き出した。

231無題(1/2):2005/03/30(水) 16:18:00
昔々あるところある満月の晩、権兵衛という男が川淵で釣り竿を振っていた
「うん、何か引っ掛けちまったか、いよっ、、と。ありゃ、こりゃしょうがねえな」
糸の先端は月へとまっすぐ。
「こりゃちょっとやそっとじゃ取れねえな」
仕方なく権兵衛は糸の上を歩き始めた。どれほど歩いたか、ようやく五つ目の天の川の橋を
乗り越えたところでようやっと月へ着いた。


権兵衛は月にいたうさぎたちから歓迎を受けた。
そして楽しい時を過ごした後
「これだけしてもらってただで帰るわけにはいかねえな」
そう言うと権兵衛は腰にくくりつけてきた酒をうさぎたちに振る舞った。
するとうさぎたちはすっかり酒にはまってしまって、今でも月の裏側で酒をこっそり作っては
毎晩酒盛りを楽しんでいるらしい。
さすがに地上で月からうさぎがいなくなったと騒ぎ出した頃うさぎたちは
月に餅をついているような模様を描いた。どうだこれで文句はないだろう、と。
地上についたら針をはずしてくれるよううさぎに頼み、波間に揺れる夕日を見ながら
権兵衛は帰り道についた。

232無題(2/2):2005/03/30(水) 16:18:12
帰ってみるとなにかがおかしい、村には見慣れない家が増えていて
、権兵衛の家も廃墟同然だった。ああそうか、知らないうちに年を取ってしまったんだな、
茶碗の酒にうつる自分を見て権兵衛はそう思った。翌朝、権兵衛の釣りざおの先に何かぶら下がっていた。
見ると玉のようにかわいらしい女の子で、その子の服に挟まっていた手紙にはこの子を頼むとの旨の手紙。
それとかなりのお金。その後権兵衛は遅まきながら嫁をもらい、こうして今でも幸せに暮らしている。
「またお父様はご冗談ばかり。」
かぐや姫と名づけられた美しい娘が微笑みながら権兵衛に笑いかける。
「そうだな。確かに冗談かもしれないなあ。」
権兵衛が静かに酒の入った茶碗を傾ける、部屋の隅の釣り竿を見つめながら。

233無制限保険(1/2):2005/03/30(水) 16:18:32
とある倉庫、いつものように男は「四輪車用再生装置」の前で相棒を心待ちにしていた
装置に車を収容しスイッチを押すだけでへこみや傷はもちろん機関損傷まで元通りにしてしまう
夢のような装置だ。それを目の前に男は待つ時間さえ至福に感じた。

とある車販売店からダイレクトメールがきたのが始まりだった。
相場の半額は下らない価格設定と独特な保険内容は男の心をくすぐった。
「無制限再生保険」――月々わずかな保険料で万一車を壊してもあの装置を利用できる。
しかも回数、故障頻度は制限無し、故障すればするほどお得なわけだ。

「しかしこんな保険たまったもんじゃないだろ?装置の維持費だって馬鹿にならんだろうに」
「めっそうもありません、私達もこの保険のおかげで繁盛させてもらっています」
従業員とこんな世間話をしているうちに装置は再生を完了する、このスピードも魅力のひとつだ
車は見事に再生した、ボンネットの傷も完全に戻っている。男は満足げに車を見つめた
しかし男はバンパーの小さな傷を見逃さなかった、本当に小さな傷だったがその小ささが逆に
気に障る。どうせタダなら使わなけりゃ損だ、男はもう一度車を装置にかけてもらった。

「おい従業員!!ちょっと来い!!!」
男はヒステリックな声で従業員を呼びつけた、近くで作業をしていた従業員が飛んでくる
「いかがなされましたか」「いかがじゃねぇだろ!!俺の車はどこに行っちまったんだ!!!」
見ると装置は作業を終えていた、しかしそこに車の姿は無く何やら液体があふれ出ている。

234無制限保険(2/2):2005/03/30(水) 16:18:45
「ああ、これはお客様の車が石油レベルまで再生しているだけですよ」
「なんだと!?ならさっさと元に戻せ!!元の車に再生しろ!!」
しかし従業員は慣れた様子でこう言った
「それは出来ません、車のような重化学用品が石油に戻るのは再生という過程を経たものです。
しかし石油を車にするというのは再生ではなく復元のメカニズムを用いなければなりません。」
「何でもいいからさっさとしろ!!保険があるんだからいくらだって出来るだろう!!」
「ですからお客様、石油を車にするというなら復元装置を使わなくてはいけないのですよ
再生保険は車を再生する分には制限無くご利用いただけますが車を復元となれば
適用外となります、別途料金がご必要となるというわけです。」

呆気にとられる男に従業員はまたも慣れた様子で紙を手渡した、料金表だ。
そこには復元装置の使用料が書いてある、男は思わずへたり込んだ
復元装置の使用料は高かった、もう少しで新車が一台買えてしまうくらいに

「再生と復元…何が違うって言うんだよ…」
男は力無く尋ねた、従業員はニッコリ微笑みこう言った
「大違いでございます、お客様が始めから復元をお望みなら私達はイチから
お客様に<無制限復元保険>の素晴らしさをお聞かせしなければいけませんので…」

235慎太郎:2005/03/30(水) 16:19:01
 慎太郎は八歳の夏、不思議な穴を見たことがあった。
 本当に不思議な穴だった。ラムネを流せば、次の日は大雨になり、綿飴を放り込めば、一
日中曇り空になるのだ。氷を落とせば、次の日は寒いくらいだった。寺の墓地にある、その小
さな穴だけが、慎太郎の遊び相手だった。
 慎太郎が穴を見つけて一週間後、慎太郎の祖父が死んだ。死因はよくわからない。恐くて
聞けなかった。
 慎太郎は墓地の穴を、埋めてしまった。穴は意外と浅く、あっけなかった。穴を埋めた翌日、
季節は秋へと変わった。
 慎太郎はそのことを誰にも告げず大人になり、九十歳で死んだ。
 遺体は土葬されることになった。誰が望んだわけでもないが、幸せな死に顔だったのだろう。

236どっちにするの?(1/2):2005/03/30(水) 16:19:18
私は優柔不断な性格なうえ、おまけにマゾヒストらしい。
いわゆる究極の選択を迫られるシチュエーションに遭遇すると、どうしようもなく心が躍るのだ。

両者に必要とされており、かつ一方を捨てなければならないという
苦渋の決断の際には、最もエクスタシーを感じることができた。

捨てられたほうからすると、私はエゴイストに見られるかもしれない。
しかしてその苦渋の選択をする自分の境遇を楽しむ様は、ある意味ナルシストなのかもしれない。

そんな私が子供のころ見た映画のワンシーン。
自分を愛する二人の女性が岸壁でもみ合って、もつれたまま脚を滑らせる。
主人公は両者の手を片方ずつの手で握ってぶら下げるのだ。
二人共を助けることはできない。一方の手を離さなければ……

あまりにもゾクゾクする光景ではないか、私はその映像の虜になっていた。

237どっちにするの?(2/2):2005/03/30(水) 16:19:34
そして今、私は念願のその状況におかれた。
私をめぐって争う二人の女性が脚を滑らせた。私の助けを求めて手を伸ばす二人……

絶好の機会に身を震わせた私だったが、手を伸ばそうとしたときに、ふとある事実に気付かされた。

『あ、私の力では二人分の体重は支えられないじゃないか』

多分両方の手を握ったが最期、私も一緒に崖下に引きずり込まれてしまうだろう。
逡巡する間に落ちていった二人の姿を呆然と見送りながら、夢を逃した虚無感にとらわれていた。

そうか、私にはあの瞬間を楽しめるほどの力が無かった……
愚かな夢に惑わされた結果、二人ともに失う羽目になってしまった。

私にとって救いだったのは、夢と自分の命の選択がそれなりの恍惚感だったことだ

238ショートショートの作り方(1/2):2005/03/30(水) 16:20:00
「博士、ショートショートはどうやって作ったらいいのですか?」
「む、まずはその定義を知るとよいぞ」
ttp://homepage2.nifty.com/pu-relaxroom/bun/short/short-teigi.htm

「なるほど、オチをつけなければいけないのですね」
「そう、『詩』や『ショートストーリー』とは一線を画す、『ブラックジョーク』に近いものじゃ」

「しかもこのスレは『20行以内』という制限がありますよ!」
「これが頭を悩ますところよ。無駄なところをそぎ落として、文章を縮めて改行を減らしたり……」

「……でも、やっぱり作品を見ると暗い話題が多いですね」
「ある意味しかたないな、短い文章でインパクトを与える事を考えると」

「ところで博士、この文章も一応ショートショートのようですが」
「いいところに気付いた。お前の機転でオチをつけてみるがよい」
「ええっ!?そんないきなり無理ですよ!」
「本文はもう13行目、無駄口叩いてる暇は無いぞ」

239ショートショートの作り方(2/2):2005/03/30(水) 16:20:11
「……」
「どうした?」
「よし!ここは博士を殺しましょう!」
「馬鹿か、伏線なくそんなことをやっても不条理なだけだ」

「そ、そうか……」
「ほら早く、早く、早く。あと1行しかないよ?」

「もう博士、そんなに急かされたらオチつかないです」

240キスの味:2005/03/30(水) 16:20:28
 私は、まだキスを知らない。
 もちろん、どんなモノかは知ってるつもり、ただ経験が無いってだけ。
 友達には、もう済ませちゃってる子もいるけど、私が遅いって訳じゃない、
 向こうが早すぎるんだよ。
 でも……やっぱり、興味があるし、憧れもある。
 もう本や映画で見るのは真っ平、私が物語の主人公になりたいの。
 女の子として生まれて来たんだから、こう思うのは当然の事だよね。
 あ〜もう、イライラして来た。神様のイジワル!
 このままお婆ちゃんになっちゃったら、私の人生台無しよ!
 誰かいい人現われないかなぁ。
 白馬になんか乗ってなくていいの、誠実で面白くて、優しい感じの人。
 ああ、神様。さっきはゴメンナサイ。だから、私にも……
 そんな風にもの思いに耽っていると、夫が近づいて来て自分の唇を私の唇に
 押し付けてきた。そして、いつものように「おやすみ」と言って寝てしまう。 
 もう、こんな事が20年も続いてる。
 横でいびきを掻きはじめた夫を尻目に、私は今日もキスを思い胸を熱くする。
 憧れのキス……
 ファーストキスって、甘酸っぱいレモンの味がするらしい。

241不幸:2005/03/30(水) 16:20:43
老人とオヤジと若者と子供と赤ん坊が集まって、誰が一番不幸なのか?を決めようとしている。

老人は言った。
「私は、あと幾年もしない内に死んでしまうでしょう。
だから私は一番不幸なのです」

オヤジは言った。
「数々のローンと、家族を抱え、仕事ばかりの日々。
あなた方より、私は不幸だ。」

若者は言った。
「不況で就職もできず、年老いても年金はきっと貰えない。
オレが一番不幸にきまっている」

子供は言った。
「毎日毎日勉強で、大人はすぐ怒るし、学校じゃ、
つまらない事でイジメに合う、一番不幸なのは僕さ」

それらを聞いて、最後に赤ん坊がいった。
「それじゃぁ、これから、それらを体験する私が一番不幸なのですね?」

242不幸の王者(1/2):2005/03/30(水) 16:21:03
5人の男たちが、誰が最も不幸なのか話し合っている所に、一人の現れた。
ヨレヨレのコートを羽織った、ひどく醜い男だ。
そこにいた者達は、直感的にこの男こそ「不幸の王者」なのだと思った。

老人が聞いた。
「あなたは、もう寿命が無いのでしょう?」
「はい。でも、だからこそ残りの人生が貴重で愛おしく感じております」

親父が聞いた。
「大きなローンを抱えているのではありませんか?」
「はい。でも、こんな私を信用して、大金を貸してくれるなんて幸せですよ」

若者が聞いた。
「働き口や年金の予定も無いんじゃないですか?」
「はい。でも、こうして食っていけてるなんて素晴らしいじゃないですか」

243不幸の王者(2/2):2005/03/30(水) 16:21:13
子供が聞いた。
「怒られたり、イジメられたりしてるんじゃないの?」
「はい。でも、それが私の活力を生むモチベーションでもあるのです」

赤ん坊も聞いた。
「未来に希望が持てないのでちゅね?」
「はい。でも、私には現在があります。今を精一杯生きてます」

5人は口を揃えて、興味津々で男に聞いた。
「では、あなたを不幸にさせている、その原因は何ですか?」
「インポテンツなんです」

244僕の願いが叶うとき:2005/03/30(水) 16:21:32
僕がピーマンがこの世で一番嫌いだ。苦いし、まずいし、全然好きになれない。
ピーマンって名前も嫌いだから、僕はいつも「大嫌いなアレ」と呼んでいる。
けれど僕がどんなに嫌がってもママはそれを許さない。
「残したら駄目よ。ちゃんと食べるまでママ見張ってるから」
そう言っておかずに大嫌いなアレが混じる度に、僕のことを睨みつける。
僕はそれが堪えきれなくて、毎晩神様に祈った。
「どうか大嫌いなアレを大好きなチョコレートに変えてください」
次の日の夕食。テーブルに置かれていたのは、ごはんとお味噌汁とお皿の上に一枚のチョコレート。
僕が不思議に思いながらチョコレートを齧ると、パパは僕を見て嬉しそうに言った。
「偉いじゃないか、ピーマンの肉詰めを食べられるようになったなんて」
僕は一瞬、とまどったけれど、すぐに神様が願いを叶えてくれたんだと理解した。
ママはチョコレートを夢中で食べる僕を見て、なんだか拗ねたように言った。
「ピーマンを食べられることって別に偉いことじゃないのよ。当たり前のことなの」
次の朝、目を覚ますと、僕のベッドの横にものすごく大きなチョコレートが佇んでいた。
自分の背よりもずっと大きなチョコレートを僕ははじめて見た。きっと神様が僕にくれたプレゼントに違いない。
そう思うと嬉しくて嬉しくて、さっそくチョコレートに抱きついて大口を開けてかぶりついた。
いつも怒りながら起こしにくるママは、なぜか今日に限っていつまでたってもやってこない。
けれどそんなことはどうだっていい。僕は静かな部屋の中でチョコレートにむしゃぶりつきながら神様に感謝した。

245いたずらな結末:2005/03/30(水) 16:21:47
 休み時間に推理小説を読んでいると、クラスメイトのAが声をかけてきた。
「なに読んでるの」
「探偵もの、面白いんだこれ」僕は本を立ててタイトルをAに見せた。
「あ、それ読んだよ。犯人は探偵の妹なんだ」
 僕は耳を疑った。なんてことを言うんだこの男は。
「あ、まだ読んでる途中だったのか。ゴメンゴメン」
 Aは無類のいたずら好きで、いつもつまらない事をしてはクラスの顰蹙をかっている。
 そんなやつの相手をしてしまった僕が迂闊だったのか。
 僕はAを追っ払い、とりあえず小説の残りを読むことにした。犯人であるらしい探偵の妹はまだ
出てきてもいない段階だから、その登場や探偵の推理の過程は楽しめるはずだ。
 ほどなく妹が登場した。探偵はまだ疑ってもいない。結末を知っていると何とももどかしい。
 事態は急展開をみせる。なんと探偵の妹が死体で発見されてしまったのだ。
 彼女が犯人なのだからつまり、犯行を苦にしての自殺か。しかし探偵は何者かに殺されたと思い込み、
見えぬ犯人に激しい怒りを燃やす。当然だ。自分の妹が殺人犯だったなんて思えるわけがない。
 これからどう話を転がすのかまったく見えなくなり、僕は俄然夢中になって本を読み進めた。
 結末を知っているからこその面白さ。僕はAに感謝すべきなのかもしれない。
 ついに探偵は、まったくの赤の他人を犯人として告発しはじめた。何をやってるんだこの無能は。
 しかし、その赤の他人が罪を認め、探偵はついに妹の無念を晴らしたのであった……。
 そのページで本が終わっていることに呆然とする僕を見て、Aがニヤリと笑った。
 ……ほんと、たちの悪いいたずらしやがる。

246好奇心:2005/03/30(水) 16:22:00
常夜灯の光で目がさめた。アッそうか今日はホテルに泊まったんだ。布団に包まりながら、
窓の方をみる。まだ外は真っ暗だ。時間を見ると5時。もう少し寝よう。
 布団に潜ったが、妙な音が耳につく。「しょん、しょん、しょん、、、」
いったい何の音だ。しばらく耳を澄ましていて気がついた。
「あーウオシュレットの音か。」
タイマー仕掛けで洗浄しているんだろうか? それにしても長い。
とうとう洗面所のドアを開けてみる。
「ここじゃない。隣か。いつまで肛門洗ってやがるんだ。」
水の音が耳についたが、うとうとしているうちに明るくなった。
朝飯を食って急いでチェックアウトをする。
「田中様、お客様からメッセージが届いております」といってホテルの封筒を渡された。
「誰だろう?」あけてみると、便箋に

田中様
 たまたま隣に宿泊した者でございます。
朝早くから肛門マッサージはそんなに気持ちがいいですか?
 こらっ、いい加減にしろ!!

下にカットが書いてあって、便器にまたがって肛門マッサージを
している俺が、ハイヒールで蹴飛ばされてる。

247黒の球体:2005/03/30(水) 16:22:12
 それは山あいのブドウ畑に忽然とあらわれた。
 畑の所有者の男性(48)がその自身の身長ほどの球体に触れ、ほどなく死亡した。
 妻の通報により駆けつけた男性警官(33)もその真っ黒な球体に触れ、ほどなく死亡した。
 ふたりとも全身から水分が抜け、ミイラのようになっていた。
 その後も鑑識官、科学者など何人かの犠牲者を出し、県警は詳細全く不明だが重度の危険物であると発表。
 マスコミや野次馬がおしかけ、小さな村は大変な騒ぎとなった。
 世界中の学者がこの恐怖の球体の調査に訪れたが、誰一人何一つ解明はできなかった。
 放射能の類は出てはいないが、球面に触れると生命なら生命が、物質なら物質がたちまち破壊される。
 もちろん球体の内部構造など、想像することさえかなわない。
「宇宙からの侵略者である」オカルト研究家が嬉々として叫び、誰もそれに反論する術を持たなかった。
 政府は球体付近を封鎖区域とし、しばらくの間静観する事を決めざるを得なかった。
 しかし球体は、こちらが触れないかぎり無害だった。
 若い男女のグループが、監視の目を盗んで封鎖区域に侵入し帰らぬ人々となる事件はあとを絶たなかったが、
怖いもの見たさの観光客はさらに爆発的に増え、過疎の村をたいそう潤わせた。 
 球体を模した団子が村の名物になり、畑の所有者の妻は一等別荘地に豪邸を建てた。
『エイリアンと仲良くする日本人』『ようこそ、自殺の新名所へ』
 海外メディアの激しい批判もなんのその、日本中が球体の黒一色に染まった。
 そんな熱狂がしばらく続いたある日、舞い込んできたニュースに全国民が言葉を失った。
「番組の途中ですが臨時ニュースをお伝えします、
 政府は先ほど、A県B村の球体が次第に大きくなっていると発表しました」

248あなたの文章、無理して誉めます(1/2):2005/04/02(土) 22:13:53
979 :名無し物書き@推敲中?:2005/04/02(土) 19:01:45
>>977-978
笑ったw


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