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1プロ会議室<6>

10小山田:2004/06/09(水) 14:52
●くろさん『螺旋状の道行き』
まず、くろさんの描写というのはすっきりしていて、不必要に重くないのがいいと思います。私などは思い入れたっぷりに重〜く重〜くなりがちで(性格なのかなあ、と思うとやりきれん!)、読まされるほうはゲップが出るのではないか、と常々心してはいるのですが、なかなかねえ。薄灰色の海にぽつぽつと浮かんでいるサーファー達、白い波頭を立ててゆっくり寄せてくる大波、その風景が突然途絶えて、無骨な岩山の風景の中に連れ出され、再びさっきより少し高い視点で海を見渡す。若々しく、さらりと書かれていながら、十分情景が浮かんできました。これはくろさんの強味ではないかなあ、と思います。岩肌の風景に入ると、窓に腫れあがった顔が映る。これは少しばかり衝撃的で、押さえて書かれているのでよけい「おお!」という感じでした。
寮に着いてからの美里の行動もためらう心境をよくあらわしていますし、由香利のせりふ、「ん……どうしてあたしらはそうなっちゃうかねえ」、案外こういうのが本人たちの本心なんだろうな、と思わせるものがありました。悲嘆にくれてじめじめ泣かないのですねえ。くろさんはハードボイルドでいきたいそうですね。なるほど、確かにハードボイルドであるなあ、と思います。
さて、私はこれを小説の冒頭部分であると断言したい(笑)。面白いし続きを読みたいのに、途中で無くなってしまいました。終わってないですよ、全然。くろさんの作品の、芽が出ないっていうプロットのお話(『ある雨の日』でしたっけ?)、あれについては私、あれで納まったんです。中身が充実していて、最後のせりふが「うむ!」と腑に落ちて納得したし、キマッタナ、という感じがしました。でもこの作品はそれがないような。途中で読み手を放り出す、というのもありだと思うのですが、これはその効果を狙った終わり方ではないような気がします。なにが違うのだろう、と考えてみたんですがわかりません。すみません、あまり参考にならない感想で。


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