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文章鍛錬企画【同一プロット競作】5/15〜

5にゃんこ:2004/05/21(金) 19:31

岩代が喫茶店から出ると、二人の刑事に挟まれた。先ほどとは、別の車が横付けされて、後部座席に乗せられた。ずっと、尾行されていたのだ。これから警察に連行される。車に取り付けてあるテレビで破壊戦士が自衛隊により、機銃掃射を受けているのが映されていた。破壊戦士が逃亡した時点で、極秘裏に自衛隊の出動が要請されていたのだ。だから対応が早かった。機銃掃射により、破壊戦士の体はぶつぶつと穴が開くが、すぐに再生され何の効果もなかった。
「すまないが、新宿へいってくれないか、やつの最後を見届けたいのだ」
岩代の声に反応して、前の座席に座っている刑事が運転手に目配せをして、車は新宿へと向かった。
「グワーオ!」破壊戦士が咆哮した。
大破している車が頭上に持ち上げられた。それをブーンと投げた。車は、機銃掃射をしている自衛隊員たちをひと呑みにした。無反動砲を装備した自衛隊員が、砲身の照準を怪物にあわせた。
「ズドドーン!」砲弾が発射され、怪物の頭部がくだけ散った。一瞬の静寂があたりを支配した。だが、みるみるうちに再生されていく。怪物は完全体に戻った。
しかし様子がおかしい。怪物はあごをしゃくり、鼻を鳴らすように、くんくんとあたりの臭いをかいでいる。硝煙のきなくさい臭いに混じって何かを感じ取っているようだ。
「グアアーァ!」いきなり咆哮し、ゴリラのように胸をどすどすとたたいた。その視線の向こうには、黄色く輝き始めているものがあった。いつの間にきたのか、篠原がマックスになりかけているのだった。怪物は全速力で超人の篠原に突進していった。ドカンー、というすさまじい音を鳴らして衝突した。黄色く輝く篠原の体はビルの三階の側壁にはじき飛ばされ、激突した。コンクリートがくだけちり、ガラスの破片が空を舞った。
地面に落下してきた篠原の体は、黄色から白に発光し始めていた。地面に立った、彼の体の周りで気流が変化し、小さな竜巻がいくつも起こり始めていた。すさまじい熱に地面が焦げ始める。光が一直線に怪物に走った。身構えている怪物に衝突したかと思うと突き抜けていた。光の塊が、筋を引いて流れる。怪物は一瞬で粉々に砕け散った。しかしみるみるうちに再生していく。形になりかけたときにまた、発光体が突き抜けた。再び、怪物は砕け散った。だがまた、再生する。しかし再生する時間は確実に遅くなっていた。白い発光体が白から虹のように七色に輝き、怪物の体を突き抜けたとき、再生は止まった。
そして発光体は輝きを失せ、篠原の姿に戻った。全エネルギーを使ったのか、彼はひざまずくと、そのまま地面に倒れた。
岩代は車を降りると、目の当たりの惨劇に合掌した。改めて自分の犯した罪の深さに悔いたのだった。
篠原の傍らまでとぼとぼ歩いた。
「すまない……」
岩代のその言葉に篠原はうなずくと、まぶたを閉じた。岩代も目を閉じたまましばらくそこを動こうとしなかった。
やがて彼が車に戻ろうとしたとき、何かに足首を捕まれた。足元を見ると、それは、再生しかけている怪物の手であった。
―― 完 ――


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