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文章鍛錬企画【コラボ即興文】4/22〜

15うり:2004/04/28(水) 22:13
 今まで何度この感覚に襲われたのだろう。
下腹部がぱんぱんに張った重苦しい感じ。そう、敢えてたとえるのなら、便秘の不快感に近い。この三日間便通がないのは確かなのだが、
それともどこか違う。今日も、この嫌な感じを抱えたまま、これから仕事に出掛けなければならない。

「ヒローコさんに、は・く・しゅ。ハイ、飲んで、飲んで」
俺の手拍子にあわせ、顔中の皺と言う皺をファンデーションで塗り込めたババアが、いやあん、こんなに飲めないよおと品を作りながらグラスを傾ける。ババアの潤んだ視線が絡み付いて、キャバクラ『ビタミンC』の花梨に奢ってもらった夕食を思わずリバースしそうになる。
「タカユキはこの店のナンバーワンね」
ヒロコと言う五十がらみの女が、しな垂れかかり、うっとりと俺を見上げる。アルコールで濁った目がおぞましい限りだ。ああ、マジでカンベン。
「そう言ってくれるの、ヒロコさんだけですよ」
満面の笑顔を繕って、ぐいと顔を近付ける。当然、ババアの手を握り締めるのを忘れちゃいない。……若い男と遊びたいのなら、入れ歯の手入れ位ちゃんとやってくれ、アルコールの臭いと混ざって鼻が曲がりそうだ。
笑顔の裏側で、唾を吐きながら悪態をついた。

翌朝、久し振りに便意を催した俺は、喜び勇んでトイレに駆け込んだ。便秘だったから仕方がないのかも知れないが、硬い。とにかく硬いのだ。脳溢血で倒れるのではないか、と言うほど踏ん張った。渾身の力を振り絞った時、ぽんっと音がして、爽快感に包まれた。ようやく絞り出した快感に打ち震えながら、ぽんって一体何だ? と思った。
便器を見ると、白い物体がぷかぷかと浮かんでいる。
「う」小さな叫びを上げ、我が目を疑った。それは、どう見ても卵に見えた。目を細めても、思い切り広げても、どう見ても卵だった。
「俺が産んだ、のか?」
思わず掌でお腹をさすると、ついさっきまでの張りが嘘の様に、ぺっこり、すっきりしている。おぞましさの余り目の前の光景を認めたくなくて、流してしまおうとも考えたのだが、絶対に詰まる、と思い直した。とりあえず、柄付きブラシで突付いてみた。たっぷりとした存在感があって、確かに何かが入っている様子だ。直接手を触れない様にブラシで手繰り寄せ、マットでそっと包み込んだ。その途端、卵がぱりんと割れた。
「よう、だいぶ待ったぜ」
そう言って中から現れたのは、紛れもない亀だった。
(つづく)


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