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文章鍛錬企画【三語即興文】4/12〜

8海猫:2004/04/14(水) 08:11
>にゃんこさん
 登場人物は「男」、「シルビア」、「(シルビアの)上司」の三人ですよね? 誰がどのセリフを喋っているのかが分かりにくいように思えました。例えば、
>「あはは、ソルトがなんだ。米ソの間で戦略核兵器の制限だと、ばかを言うな。原爆は落とすために作ったんだ」
 このセリフは、誰が喋ったんでしょうか。「男」にも、「上司」にも思えるのですが。また、「世界が滅んだ」とありますが、具体的にどう「滅んだ」のか描写が無いので、ちょっとイメージが湧きにくかったです。最後の二行に風刺が効いていて、良い意味で虚しさを感じました。
 この話で思い出しましたが、タバコの銘柄である「ラッキーストライク」は原爆の暗喩だ、っていう話、本当なんでしょうか。本当なら、そのセンスを疑います。「マルボロ」の暗号もそうですが、あっちの人の考える事は分からない……。



○お題:「ソルト、錆び、娘」+「異邦人、たこやき、彫刻」
○追加:「天候に触れる」+「女性が主人公で、京都を舞台にする」


 屋台でたこやきとソルトクリームなるものの会計を済ませた私は、娘の姿が無い事に気付き、一瞬慌てた。が、すぐ近くの石の彫刻の前にしゃがんだ娘の後ろ姿を見付け、ほっと安堵した。全くこの年頃の子は、少し目を離しただけで思いもよらない場所にいたりして侮れない。ちょっと前までハイハイをしていたかと思えば、明日には元気に駆け回っているのだから。
 安堵しつつも、私は厳しい表情を作り、娘に声を掛けた。
「こら、カナエ。独りで歩き回っちゃ駄目だって――」
「ねーねー、お母さん。このヒト、だぁれ?」
 私の母としての威厳は、娘の一言の前に行き場を失った。それでもなお何か言おうと努力したものの、結局それらの文句は溜め息として消費された。娘のくりくりとした大きな瞳に、私は勝てない。チワワの出る某CMじゃあるまいし。
「……その石像はね、昔この京都にいた天狗さんよ」
「テングさん?」
「そう、天狗さん。昔ね、この街に偉い人がいっぱい住んでいた時代、この天狗さんが大陸の方から飛んできて、嵐を起こして人を困らせていたの。そこである陰陽師が、その天狗を封印する事になったんだけれど、天狗が『もう悪さはしない』って謝るから、可哀想に思った陰陽師は『ではここに座し、人々を守れ。時が来たならば封印を解いてやろう』って約束したのよ。それ以来、この天狗さんはここに石像として座って、ここを守り続けてきたの。でもこの天狗、大陸の方から飛んできたって事だから台風の化身だとか、或いは異邦人だったんじゃないか、っていう説も――」
 はっと我に返る。子供にこんな事言っても分かる訳ないじゃないの。ついいつもの民俗学マニアな癖が出てしまったようだ。娘はと言えば話に退屈したのか、天狗像が握っている、錆びた錫杖を興味深げに見つめていた。
「さ、もう行こうか。お父さん、待ってるわよ」
「……うん!」
 元気良く立ち上がった娘の手を握る。が、ふと私は、娘が持っていたはずのたこやきが無い事に気付いた。
「あら? あなた、たこやきは――」
 言い掛け、視界の端で私の見たものは、天狗像の前にお供えされた、一箱のたこやきだった。見下ろすと娘は「ダメ?」という視線で、私を見上げている。全く、その瞳には勝てっこない。
「ソルトクリーム、二人で半分こにしましょうね」
 風が吹いたのか、背後から微かに、錫杖の錆びた音が聞こえた気がした。



 作中の「ソルトクリーム」ですが、京都名物ではなく赤穂名物として実在するそうです。

 次回は、
○お題:「信号、満ち潮、後悔」
○追加:「作者自身を登場させる(フィクション、ノンフィクションともに可)」
 でお願いします。


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