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文章鍛錬企画【三語即興文】4/12〜
38
:
安息仮面
:2004/05/07(金) 13:41
こんにちは。三語が停滞しているようなので、私も書いてみました。コラボ即興、同一プロットも興味あるのですが、なにぶんまとまった時間がとれなくて、参加できずにいます(皆さんの力作、草葉の陰から拝読しています)。
まず感想です。
おづね・れおさん>『水餃子』のお話
明るく軽妙なお話ですね。テルルンの真面目っぷりが好感もてました。水餃子の描写もおいしそうでした。うーん、今夜には水餃子が食べたくなってきました(w)。あと余計な話ですが、アンドロイドとかそういうキャラクターって、真面目すぎるくらい真面目なところに人間とのギャップの妙があって面白いですよね(時に悲哀に映ることもありますが)。そういう意味ではスタートレックのデータ少佐が私は大好きだったりします(ご存知なければすいません)。思うのですが、おづねさん、以前とはちょっと作風が変わったような気がします。ライトというか、長調というか。きっと引き出しが多いのかな。今後も引き出しを覗かせてください。
では、お題はおづね・れおさんの【月食】【金】【ほうき】追加【ティーンエイジャーの話】
*ここから本編です*
金色の波が幾重にも折り返す夕暮れの砂浜でふたりは寄り添って空を見上げていた。今夜は月食なのだ。その神秘的な現象は、ふだんほとんど実感できない宇宙の神秘を印象付けてくれる。太陽が完全に海へ滑り落ち、空に星と月が輝きだす。
橙から紫、藍へと色を変えていく空の下、少年はふと波間に揺れる何かを見つけた。目で追っているうちにその何かは砂浜に打ち上げられ、姿を露にした。それは遠目に細長い筒か花瓶のように見えた。
少年は少女の手を取ると立ち上がり、筒か花瓶のようなもののところへ行き、それを手に取った。よく見るとそれは筒でも花瓶でもなかった。あまりに細長く短刀ほどの長さがあるので戸惑ったが、蓋が付いていることから察するとおそらく壷と呼ぶのが適切なのだろう。握っている両の手に金属特有の冷たさを感じていたが、そのわりにはほとんど腐食していないことを少年は少し不思議に思った。
壷を手にしばし呆然とする少年をじっと見ていた少女は、なにを思ったのか咄嗟に少年の手から壷を取り上げて蓋を勢いよく開けた。少年は思わず声をあげたが、それをかき消すかのように激しい雷のような轟音が周囲に響き、ふたりは思わずその場にしゃがみこんだ。音が響いたのは一瞬だったが、ふたりはあまりの突然の出来事になかなか顔をあげられなかった。おそるおそる顔をあげ壷のあった場所に目をやると、そこには驚くべきことにほうきにまたがった老人が宙に浮かんでいた。しゃがんだままふたりが困惑して思わず顔を見合わせていると、ほうき上の老人が語りかけてきた。
「我は古えの魔術師パーリン・・・・・・。我の封印を解いてくれたのはそなたらか、自由にしてくれた御礼にそれぞれひとつ、願いをなんでも叶えて進ぜよう」
ふたりはまたしても困惑して顔を見合わせたが、しばらくして少女が立ち上がった。
「じゃぁ世界が終わる日まで、このままずっとふたりっきりでいられるようにして!」
魔術師は小さくうなづくと、聞き取りにくい不思議な言葉を呟きながら左手の指を数回打ち鳴らした。どうやら少女の願いはこれで叶ったようだ。
「ではもうひとつの願いを聞こう」
そういいながら魔術師は少年に目をやった。少年はすごすごと立ち上がり、魔術師を手招きし、耳打ちするように願いを囁いた。
「・・・・・・この世界がすぐに終わりますように」
―了―
【ほうき】の消化方法が難しかったので、そこから考えたのですが・・・・・・ほうき=魔法関係というのは陳腐すぎて、ちょっと反省しています。SSの切れ味が出せているか、それも心配です。
次回お題は【改札】【制服】【味噌汁】追加ルールは【地下鉄が舞台】でお願いします。
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