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文章鍛錬企画【三語即興文】4/12〜
32
:
風杜みこと★
:2004/04/20(火) 17:38
>セタンタさん
悲しい想いをさせてしまって申し訳ありませんでした。
私も書いてしまってからシマッタと後悔していたので、救われた思いがしました。
お詫びと言っては何ですが、お話の続きを書かせていただきます。
お題は「インク」「スタンド」「地図」/追加ルールは「明るく、楽しく、希望を持って」
貴治がその子を見つけたのは猫の額ほどの小さな公園でだった。一人砂場にうずくまり砂遊びをしている小さな男の子。路上からフェンス越しに見ている貴治に気づくことなく、下を向き一心に砂で何かを造っている。砂をいじる手も短パンからのぞいた足もガリガリに細かった。近くに親の姿はない。貴治の胸の中で何かが蠢いた。
ムリヤリ目を逸らし表通りに向かった貴治は、表通りの角のスタンドで、牛乳を買うとあおるように一気飲みした。興奮冷めやらぬ様子でガラスケースに目を走らせ、逡巡しながらアンパンとクリームパンを買い、ポケットに突っ込むと荒立たしく道を引き返す。歩きながらブツブツと小声で呟きを漏らしていることに気づく者はいない。貴治の姿は、それ以外を除けば普通の高校生といった風で特に人目を引くものではなかった。
「ぼうず、何やってんだ?」
貴治が声を掛けると少年はビクリと一瞬動きをとめ、それから顔を上げた。貴治を見る瞳は大きく見開かれ困惑を浮かべている。少年は小首をかしげた。
「泥だらけだな、お前。それにガリガリ。……ちゃんとメシ食ってんのか?」
その言葉にハッと自分の姿を見下ろした少年は、真っ赤になって泥だらけの手を隠した。
「食うか? 手ー洗って来いよ」貴治はアンパンを散らつかせ、少年に水飲み場を指さした。安心させるようにベンチに座ると、少年は素直に水飲み場へと駆け出していく。貴治はその後ろ姿を笑って見送った。
少しして戻った少年にアンパンを手渡すと、貴治は自分の隣を叩いて座るように促した。少年は大人しくベンチに腰を下ろし、アンパンの包装を破った。貴治は曇りだした空に目を向けたまま、パンを食べ始めた少年にゆっくり言葉をかけた。「よーし、いい子だ。これ食べたら、お兄さんと一緒に遊ぼうな。お兄さん、一杯おもちゃ持ってるんだ。家に一杯あるから、ぼうずが気に入ったら一つぐらいあげてもいい。遊びたいだろ?」
少年はこくっと頷いた。
(以下に続く……)
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