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文章鍛錬企画【三語即興文】4/12〜

3にゃんこ:2004/04/12(月) 22:42
みなさんきょうは暖かかったですねヽ(^。^)ノ

タイ・カップさん
むにゃ……エンタメの王道ですね。面白いです。『氷の拳とよばれるロードルのパンチはいつにも増して切れ味鋭く、さながら氷柱の雨といった様相である。』お題の使い方がいいです。氷柱のような拳を雨のように連打されると、思考能力までもが凍りそうですね。
デビルの子供時代のことまでうまく作品の中に書いてあるし、そのあとの毒蜘蛛のエピソードも良かったです。自分が天国に行くよりも相手を倒すことことを願ったデビルには悪の美学があると思います。ラストの神たちが「救われないやつよのう」というのも良かったです。


お題は「雀・火山・海苔」追加「季節は春」

―― その日 ――
「おまえどうして親父の会社を継がなかったんだ、宝船海苔といえば業界で大手なんだろ」
「先生何べん言わすのですか、あなたの『富士山は必ず爆発する』の本を読んだからですよ」
「あはは、そうだったな」
ここは、富士山のふもとにある富士火山地震研究所。まわりは菜の花が咲き、富士にも遅い春が訪れていた。富士火山地震研究所とたいそうな看板をあげてはいるが、プレハブに簡単な地震予知の設備をしただけである。
金井は大学時代に吉岡の『富士山は必ず爆発する』の本を読んで、卒業と同時に従事したのであった。吉岡の説によれば、ここ十年以内に富士山が大爆発を起こすという。しかしその学説はほかの火山地震研究者からは相手にされていなかった。そしてすでに八年の歳月が流れていた。近ごろでは金井はもちろん吉岡すら本当に富士山は爆発するのだろうかと思っていた。
炊飯器がごはんの炊き上がりを知らせ、二人は食事にした。金井は自宅から送られてきた海苔でごはんを包みほおばった。吉岡も同じように海苔でごはんを食べている。おかずといえば、納豆と漬物、それにメザシ一匹という代物だった。ここ十日、朝も昼も夜も、同じような食事内容だった。金井はそろそろ吉岡のもとを離れて父親に詫びを入れ、後を継いだ弟の下で働こうかと思っていた。ここ数日微震が起こっていたが、それとてかならずしも大地震が起きる予兆とも限らない。吉岡の学説に寄れば、マグニチュード七クラスの地震が起きれば一週間以内に富士山は爆発するらしい。
二人はもくもくと食事をしていた。静か過ぎる食事風景だった。そのとき、ぐらっと揺れた。二人は茶碗を持ったまま、顔を見合わせた。
「そうえいば今朝、雀のさえずりを聞いたか」
「いいえっ先生……」
そのあとだった、縦に大きく揺れだしたのは、地の底から化け物が押し上げるような揺れだった。そして横に揺れると、金井と吉岡は叫び声を上げた。
翌日、静岡一帯でマグニチュード七の地震が起き、甚大な被害が出たことを新聞は告げていたが、金井と吉岡の死亡は片隅に小さく報じられただけだった。
それから、一週間後に富士山は大爆発を起こした。一七〇七年の宝永の噴火以来三〇〇年ぶりだった。


次のお題「文庫本」「脳」「デジカメ」
追加「時間に意味を持たせる」


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