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文章鍛錬企画【三語即興文】4/12〜

25にゃんこ:2004/04/18(日) 14:06

>>海猫さん
このお話はよくできているなぁ……。
自分が霧のかかったようなグレーゾーンを、とぼとぼと歩いているような気がしました。そして、いつのまにか迷い込んだ森の中で誰かに聞かされたようなお話です。その誰かというのがバンシーなのでしょう。
中世ヨーロッパでは、近親相姦などもよく行われていたというようなお話も聞いたことがあります。作者さんはそこからお話を膨らませたのでしょうね。奇形の児を育てる悲しみの女バンシー。子供には何の罪もありません。子供の哀しみ女の悲しみが、よく伝わってきました。


お題:「花束、太陽、塵芥」
追加:「作者オリジナルの諺を挿入する」

―― スカートの中の経済学 ――
「私は鏡を持っていただけだ」
植木は著名な経済学者であった。テレビのコメンテーターなどもしており、その真面目そうなキャラクターは視聴者の信頼を得ていた。その彼が迷惑条例で捕まった。わかりやすく言えば、エスカレーターで女子高生のスカートの中を手鏡で見ようとしたところを、現行犯で警察に捕まったのだ。
「教授があれでは困るよ、まったくゴミだよ」
とたんに彼が教えていた大学の生徒たちには、塵芥のような扱いを受けた。彼は最初のうちは容疑を認めていたが、じっさいのところ覗こうとはしていたが、まだ覗いてはいなかった。すなわち、まだ犯罪を犯していなかった。それで裁判を起こしたのであった。裁判は、彼の有利に運んでいった。だが、裁判が有利に運べば運ぶほど、人々からは汚いやつだとののしられ、彼の社会的地位は落ちていった。

「スカートの中の経済学」という本が書店に並んだのは、彼の存在が忘れ去られたころだった。本のカバーには、題名の下に男の写真があった。髪を紫に染め、サングラスをかけていた。それが、あの植木とは一見するとわからない。しかし人々はすぐに、男が変身した彼だとわかった。本の内容は、女子高生のショーツが使用前にくらべ、使用後でどれほどの付加価値が付くのか、などが書かれていた。そこから、本来の経済のことが、判りやすく書いてあるのだ。
たちまち彼は話題の人になった。もともと迷惑条例などは軽犯罪であり、テレビ局は争って、彼の出演依頼に走った。またまた彼はコメンテーターとして活躍するようになった。一皮むけた彼は、エロ用語を教養というオブラートに包んで、人々を笑わせて人気者へとのし上がっていった。それから数年後に彼は財務大臣になり、その後ノーベル経済学賞まで受賞した。そのときに彼は、授賞式で花束を抱えながら、「太陽はやっぱり太陽」と述べた。しかし、そんなおごりにも、彼をいさめる者はいなかった。
―― 了 ――

次のお題「化粧」「季節風」「街」
追加「せつない話にする」


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