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文章鍛錬企画【三語即興文】4/12〜
23
:
上珠
:2004/04/18(日) 03:11
しばらく来ていないうちに、こんなに話が進んでいるとは……^^;
嬉しい悲鳴を上げつつ、お邪魔させていただきます〜。
>セドナさん
二重のオチですね。こういうオチの付け方は個人的に好きです^^
ですが、『俺』とスフレはちゃんと夢を叶えることができたのかどうかがはっきりしないのが、チョット気がかりですね。
どこまでを読者の想像に任せるか、というのはとても難しいことでしょうが、この場合だったらちゃんとした結果が知りたいなぁ、と思います。
お題:『銀河鉄道の夜』『注文の多い料理店』『雨にも負けず』
追加:『一行詩のようなタイトルを付けてください』
【笑顔という名の鎖に縛られて】
「『雨にも負けず風にも負けず』、ここに宮沢賢治が込めた想いというのは――」
体育の後の国語の授業中ほど、居眠りするのに適した時間はない。既にクラスの八割以上がそれぞれの夢の世界に浸っていた。そして、俺も間もなくクラスの大多数の仲間入りを果たすはずだった。が、突然背後から肩を叩かれ、俺の目の前で半分具象化していた夢の世界が霧散した。後ろを振り向くと、まず視界に入ったのが差し出した八つ折りのルーズリーフである。
「神田が渡せってさ」
そう言われて最後列の神田の方を向く。だが、神田は既にクラスの大多数の仲間入りを果たしていた。
メモを渡してくれた後ろの奴に小声で、ありがとう、と言うと、俺は神田のメモを開いた。「放課後『注文の多い科理店』に行こう」と書いてある。……高校生にもなって『料』と『科』を間違えるな。
「え、ノに木じゃなくて米なの?」
『注文の多い料理店』へ向かう途中、誤字を指摘された神田は、ははは、と照れ笑いを浮かべた。
「まったく、お前、一応高校生だろ。で、そうだ、『注文の多い料理店』って何?」
「店の名前。先輩に教えてもらった」
「じゃあ、近くに『銀河鉄道の夜』って店もあるのか?」
「は? 何それ」
きょとんとした神田の顔を見て、俺は少々後悔した。
神田は高校生にもなって『科』と『料』を素で間違えるような奴だ。宮沢賢治の著作など知っているとは思えない。
「……まぁいいや。お前さ、その店に行ったことが――」
「あ! あった!」
突然神田は立ち止まり、目の前の店を指差した。これが『注文の多い料理店』らしい。
見た限りでは全然普通の店だが……、と俺がまじまじと店を眺めていると、神田が「早くしろよ」と店の戸を開きながら呼びかけた。
中に入ってカウンターに座ると中から店の主人が現れ、威勢のいい声で「君達は高校生かい?」と尋ねた。
俺は「はい」と答えると、主人は間髪入れずに一枚の紙と赤と黒の二本のボールペンを差し出した。俺と神田は互いの顔を寄せてそこに書いてあるものを読んでみる。
「えーと、『マルを記入してください。米の種類、秋田産コシヒカリ、岩手産コシヒカリ、……米の炊き加減、硬め、やや硬め、普通、……味噌汁のダシ、昆布、鰹節、……味噌汁の味噌、赤味噌、白味噌、……』」
どれだけの質問があるか数え切れないが、その数は軽く百を超えている。
なるほど。確かに『注文の多い料理店』だ。
「いやー、君たちは二週間? いや、三週間ぶりのお客さんだからね。おじさん、頑張っちゃうよ!」
ニコニコの笑顔で主人が言った。
(了)
ちゃんと追加ルールはクリアしているでしょうか?^^;
次のお題:『辞書』『コーラス』『遺跡』
追加:『中世ヨーロッパを舞台にする』でお願いします。
最近、難しいお題で泣きを見ているので、たまにはどうでしょう?
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