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文章鍛練企画【三語即興文in鍛練場】3/24〜

3文也:2004/04/07(水) 05:53
文也と申します。ここには初めて参加させていただきます。

>ヤママサさん
読ませていただきました。
お題の消化の仕方がうまいと思いました。オチも面白かったです。ただ年下の彼女が概ねああだとちょっと困りますね(^^;


お題「ラーメン」「スピーカ」「電気ポット」
追加ルール「お題は比喩に用いてください」

「いい風……」
 思ったとおり、屋上には涼しい風が吹いていた。
 まだ七月の始めだっていうのに、お天気お姉さんの話では、今日は『真夏並みの暑さ』らしい。教室の窓から見る遠い景色は、電気ポットから立ち上る熱気のように揺らめき、クラスメイトは皆、茹ですぎたラーメンみたいに伸びていた。
 で、なぜ私が屋上なんかにいるかというと、このクソ暑いのに蒸し風呂みたいな教室で数学なんか受けてられるかと、授業をボイコット……まあ要するにサボったからだ。
「なにしてんだ、沙織」
「きゃ!」
 突然名前を呼ばれ、思わず声を上げてしまった。声がした方を向くと、十数年来の幼馴染がそこにいた。
「驚かさないでよ、遼平。それに、そう言うあんたこそなにしてんのよ」
 日陰に座った遼平の横に自分も腰掛けながら質問をそのまま返すと、遼平は遠くの山のあたりを指差した。
「すげえよな、入道雲。昔っから好きなんだ」
 こいつ、意外な一面を持ってるんだなと思いながらも目をやると、山の合間から真っ白な入道雲が雄々しく立ち上っていた。真っ青な空に、純白の雲がぐんぐん伸びていく。その姿に少し見とれた後、素直な感想を口にした。
「うん、すごいね。それに綺麗……」
 私がそう言うと、遼平は微笑んだ。見慣れているはずの笑顔が、ほんの少し違ったものに見えた。涼しい風が、髪をかき上げ通り過ぎていく。
 壊れたスピーカーみたいな蝉の鳴き声を遠くに聞きながら、お互いなにも喋らず、入道雲を見ながらゆったりと時が過ぎていった。

――終わり――

次のお題は「チケット」「満月」「電車」
追加ルールは「ほのぼのした話」でお願いします。
++2004/03/25(木) 05:00


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