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文章鍛練企画【三語即興文in鍛練場】3/24〜
2
:
ヤママサ
:2004/04/07(水) 05:52
「黄色いレバー」と「装置」に違和感を感じました。ちょっとコテコテ過ぎるかなって。
今時、機械的な接点は使わないと思いますよ。マグネットスイッチとかの電気的な接点が主流でしょう。レバーを動かして電源オンっていうのは古すぎます。
「トロイの木馬というウイルス」も一般的じゃないと思います。「○○というトロイの木馬」が普通じゃないでしょうか。ストーリーについては、よく分かりませんでした。
お題は「弓矢」「振り袖」「いかりや長介」、追加ルール「現代もの」で書きました。
「最初はグーだよ」
いつになく真剣な面持ちで、彼女は言った。それもそのはずだった。
初詣に訪れた神社で、偶然行われていたバラエティ番組のじゃんけん大会で、あろう事か僕の彼女が決勝まで残ってしまったのだった。赤い振り袖に、白いショールをまとい、ステージ場へと上がっていった彼女は、相手の男性に向かってそう言ったのだ。
「決勝戦ですからね、『最初はグー』だけじゃだめですよ。フルコーラスで行きましょう」
すっとぼけた漫才師崩れの見たこともない司会者が言った。久しぶりの仕事なのか、やけにテンションが高いのが目障りだった。
彼女は左足を前に出し、胸の前で右の拳を左の手のひらで覆っている。準備万端。相手の男性も同じような構えを取っていた。
「行きますよ……、せーの、いかりや長介、頭はパー、最初はグー、またまたグー、正義は勝つ、あジャンケンポン!」
静まりかえった境内に、司会者の声が響き渡った。ハンディカメラを持ったスタッフが、彼女の表情を下から狙い撮る。
最初の一回で勝負は決した。男は長介、彼女はパー。
彼女は見た目にもはっきりと分かるほどに落胆し、大袈裟に肩を落として見せた。名前だけを簡単に聞かれ、はいどうも、と弓矢――正確には破魔矢というのか――を一個もらい、背中を突っつかれるようにしてステージを後にした。優勝は賞金二十万円だったから、その差は天と地ほども開きがある。そして喜びと悲しみも天と地ほどの差があった。
彼女は僕を捜そうともせず、茫然自失のままでふらふらと大鳥居の方向へと歩いていった。直ぐさま彼女を追いかける。
僕が、残念だったな、と声を掛けると、彼女は僕の腕の中で声を出して泣き出した。偶然舞い込んだ予定外の出来事に、声を出して泣けるなんて彼女も可愛いところがある。そう思った瞬間、彼女が僕の顔を見上げていった。
「オメーがパー出せっつったんだろうがよ。ざけんなよ、まったく」
そう言うと、持っていた矢で僕の頭をひっぱたき、その反動で二つに折れてしまった矢を、参道横の砂利へと叩き付けた。
「一人で帰るから、十メートル以内に近づくなよ」
正月なのに、般若のような顔をして、彼女は僕の元を去って行き、そこには折れた矢と僕だけが取り残された。
まあ、年下の彼女とは概ねこんなものだろう。
――了――
次のお題は「ラーメン」「スピーカ」「電気ポット」
追加ルールとして「お題は比喩に用いてください」でお願いします。
++2004/03/24(水) 20:51
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