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文章鍛練企画【三語即興文】4/4〜

4海猫:2004/04/06(火) 13:29
 じゃあなんとなく二番目に。

>風杜みことさん、感想有難う御座いました。
 妖怪の仕事人ですか。長編とかにしたら面白そうですね。主役にするとしたら誰でしょう? ところで「袖摺り合うも多少の縁」って、「袖摺り合うも多生の縁」が正解かと。「一言一句」が「一語一句」なのはまだしも。
 最後の一文が、妖怪物独特の不気味さを醸し出していて良かったと思います。

>柿美さん
 確かにこれは、書こうと思えば長くなっちゃいますね。多分もっと書きたかったでしょう? 淡々とした様子が不気味さを煽っています。
 >薄い、身体を覆う面積の小さい踊り子のような衣装から浅黒く艶のある太股
 何となく、ブラジルのカーニバルのダンサーを想像しましたが、当たっているでしょうか? 
 余談ですが、知人が猫を飼っているのにハムスターを買ってきて一緒に飼っていた(ややこしい)ところ、ある日ハムスターの姿が消え、捜索した結果、物陰からハムスターの足が四本見付かったそうです。バカな主人に飼われて、可哀想なハムスター……。その話を思い出しました。



○お題:「ごはん、火力、香辛料」
○追加:「美味しそうな描写」


 主は、鋭い眼光を丼へと注いでいた。いつもこの瞬間が緊張する。主はとても気難しい方で、少しでも気に入らなければ食事を一口も食べる事もせず、引っ繰り返してしまわれるのだ。
 だが、今日は違う。主の好みは調べ尽くした。先輩料理人曰く、シンプルな和食、殊に魚が好きだとか。そして私が用意したものは、紅鮭の切り身の乗った丼飯。主はきっと、呆れているのかもしれない。だが、私の切り札はまだ残っていた。
「失礼致します」
 私はそう断り、ふつふつと蒸気を吐き出す鉄器の中身を丼の上へと注いだ。昆布と鰹節の一番出汁で出した玉露の香りが立ち昇る。主が目を丸くしたのが分かる。それが少し心地良い。
「紅鮭の出汁茶漬けで御座います。お召し上がり下さい」
 産卵期直前の、たっぷりと脂の乗った紅鮭の旨味に、火力を調整しふっくらと炊き上げたコシヒカリの甘味、そして出汁の風味に玉露の程好い苦味。香辛料は使わず、調味料も食材を活かすために少々の塩と醤油のみ。出汁の熱で表面がうっすらと白みがかった鮭の切り身は、口に入れれば表面はふわり、中からはじわりと脂が滴り、食べる者の舌を唸らせる事請け合いだ。これこそ我が主の求める、シンプルにして最高の料理のはず。私は内心、自信満々だった。
「さあどうぞ、熱い内に――」
 その私の言葉が終わらぬ内に、私の自信は主によってばしゃりと引っ繰り返された。

「あらあら、また駄目だったようざますね。このままじゃ貴方、クビにするしかありませんわよ」
 奥様が、引っ繰り返された丼を見て呆れたように言った。
「そ、そんな! 一体何が悪いのか、私にはもう……!」
「何を馬鹿な事を。ウチのカトリーヌちゃんのデリケートな舌で、そんな熱いものを味わえる訳がないじゃありませんか」
 我が主カトリーヌは、我が意を得たりとニャーと鳴いた。奥様は我が主カトリーヌを抱き上げると、主に向かって話し掛けた。
「ああ、まったく可哀想なカトリーヌちゃん。それにしても、ここしばらくごはん食べてないのに、元気ねえ。何処かで何か食べてきたの? あまり変なもの食べちゃ駄目よ。いくら専属の料理人の腕が悪いからって。……あら? 何を咥えてるの? あらあら、汚いお人形。駄目よ、こんなの食べちゃ」
 そう言って、奥様は『それ』を私の作った丼の上へと投げ捨てた。『それ』は薄い、身体を覆う面積の少ない踊り子のような衣装を着た、半分に千切れた小さな女の人形だったが、意気消沈した私は特に気に留める余裕もなく、丼の中に僅かに残った自信と共にポリバケツの中へと葬った。


 美味しそう……ですか? 本当に自信が無いです。とりあえず、柿美さんに捧げておきます。要らないなら返品可。
 次回は、
○お題:「炭酸水、金剛石、酒豪」
○追加:「幻想的な描写」
 でお願いします。


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