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文章鍛練企画【三語即興文】4/4〜

30タイ・カップ:2004/04/10(土) 06:15
>前回感想をいただいたみなさま
 どうもありがとうございました。「夏の砂浜〜」に関しては「南国の砂浜には早くもビーチ・ガールの姿が見られた」などとしておけばよかったと反省しています。では今後ともよろしくお願いします。

>風杜さん
 サラリーマンの悲哀がよく漂っていますね。ほのかな哀愁がじーんとくる、いい作品です。お題の消化もスムーズでグッドですね^^

それでは
お題「運命・レタッチ・痛言」 追加「ことわざを一つ以上使う」

「その時である。北川師は突如悲鳴をあげ、地下室から飛び出した」
 バックの解説とともにギヤーッという叫び声が入り、画面が切り替わる。VTR映像が出た。右上部が拡大され、武士の顔にそっくりな白い影が矢印で示される。「うおーっ、すげえ」アイドルユニットKLAPの草川が大げさに驚いてみせた。隣にいる中井は恐怖に目を閉じ、両手で頭をかかえている。
「百聞は一見にしかず。数奇な運命をたどって怨霊と化した武士の霊姿が今現れた!」
煽りの解説とともに野村が、マジかよ、もうやだよ俺、と泣きを入れた。心霊番組ESOのお決まりパターンである。
 
「うん、今回は上出来だな」
 テレビ画面を見ながら男は満足げにうなずいた。彼こそは知る人ぞ知る、心霊写真製造請負人の木田シローである。送られてきた写真やビデオ映像にレタッチを加え、迫真の霊現象をクリエイトするプロフェッショナルである。当然そこらへんの心霊写真とはひと味も二味も違った仕事が要求される。いいかげんな仕事をすれば担当者から痛言を浴びせられることになるのだ。
 ちなみに彼は心霊現象などこれっぽっちも信じてはいない。職業病の不信心にすっぽりと浸っているのであった。その彼が次の映像を見て首を傾げた。
「あれ? あんな写真作ってないぞ」
 普段は送られてきた写真にレタッチを加えるのだが今回は現場が近かったこともあり、自ら出向いて撮影してきた。だからいつにも増して制作した写真のことをよく覚えている。どう考えてもあんな作品は作っていないはずだ。
 やがて番組終了後、担当者から電話がかかってきた。
「いやあ、あの写真、よかったねえ。え? 作った覚えがない? またまた照れちゃって。あれこそは芸術だね。私もこの業界に入って一通りの光学トリックは学んだけど、あれはどんなトリックでも作れないパターンだよ。ねえ、どうやったの? 教えてよ、お願いだから、ねえ……」
 不審に思った木田はもう一度手元に残した写真を確かめてみた。
「あれっ、おかしいぞ」
 渡したはずの処理済み写真が一枚残り、未処理写真が一枚減っている。どうやら間違えて渡したらしい。ということはあの写真は……。も、もしや本当に心霊現象は存在するのか? いや、そんなはずはない。俺は信じないぞ。そうとも、心霊現象など存在してたまるか。で、でも……


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