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文章鍛練企画【三語即興文】4/4〜

23にゃんこ:2004/04/09(金) 15:01
お題は「滑車」「重複」「倦怠」 追加テーマは「軽いタッチで」

―― 夏休みの自由研究 ――
「お母さん、ダイソーにいくから五百円ちょうだい」
玄関先の朝顔にじょうごで水をあげていると、夏休みに入ったばかりの息子の陽一が小遣いをよこせとやってきた。
「この間お小遣いをあげたところでしょう。あなたのお小遣いは一月に500円と決まっているのじゃあなかった」
「うん、そうだよ、だけど、夏休みの自由研究で滑車をつくるんだ。これ、お勉強だから」
小学三年生になる陽一は口を尖らせて、しゃべっている。そのしゃべり方は夫の健一と似ている、やはり親子だ。だけど、夏休みの自由研究だといわれれば、お金を出さないわけにはいかなかった。陽一に五百円わたすと、スキップをしながら、近所のダイソーに出かけていった。
しばらくして、ダイソーから帰ってきた陽一はなにやら工作を始めた。買ってきた材料は「戸車」と「角材」「ビス」「ボンド」それに「板」などであった。どうやら戸車を滑車にみたてて動力の伝わり方の研究でもするらしい。夕食時に夫のいる前で、夏休み早々自由研究に取り組んだ陽一のことをいってあげると、夫は口を尖らせて、息子をほめた。まったくこの父と息子は癖が似ている。
ところがそれから三日もたつと、陽一はまた、なにやらやり始めた。そして、出来上がった工作物を持ってお母さんケンちゃんのところに行ってくるよと、いうなり玄関を駆け出していった。
近所のスーパーに買い物をした帰り、公園の横の遊歩道をあるいていると、陽一が板に戸車をとりつけてスケボーがわりにしてケンちゃんと遊んでいるのに出くわした。
「あなた、それ滑車の自由研究のために買った戸車と板じゃあなかったの」
「えへへ……」
陽一は笑ってごまかそうとしているが、これは明らかにお小遣いの重複であった。そう思うと、軽い倦怠にみまわれた。


次のお題は「なごりゆき」「イラク」「歳時記」
追加は「ビジネスマンを描いてください」


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