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文章鍛練企画【三語即興文】4/4〜

11タイ・カップ:2004/04/08(木) 05:27
 はじめまして。タイ・カップと申します。新参ですがよろしくお願いします。

 >森羅万象さん
 スムーズにお題を消化されていますね。ファンタジーとしても無理がなく、読みやすく仕上がっていると思います。
<>の記号に私などは何か深い象徴性があるような印象を受けました。そのあたり、さまざまな読みの可能性を秘めた作品になっていると思います。

 お題:天国への階段 ビーチ・ガール ハートに火を点けて 
 テーマ:ミステリータッチ

「つまり、グラスとワインに手を触れたのは運んできた女中だけ、そのワインを飲んだ恵子はグラスを置くや否や急に苦悶し、床に倒れた。
その場にいたのはボーイフレンドの俊夫と女中のみ。女中は直ちに手首に触れてみたが脈はなかった。捜査の結果恵子のグラスから
青酸カリが検出されたとこういうわけですね」
 現場は海岸を一望できる別荘の白いテラスで、通称天国への階段と呼ばれるK岬の石段を上った先にある。夏の砂浜はビーチ・ガール達で
埋めつくされていた。
「ハートに火を点けて」――これが彼女の最後の言葉だった。四月一日の誕生日。バースデイケーキの蝋燭に俊夫は火をともしていった。
ハート形のチョコレートの脇にある最後の一本につけ終わると彼女はワインを口に含んだ。それが死への口づけになった。
「ああ。女中は否認しているが、他に犯人はありえないな」
 常連客の刑事はやれやれといった風情で煙草を灰皿に押しつけた。
「ところで、何か気になる遺留品などはありませんでしたか?」
 茜屋のマスターの問いに刑事は答えた。
「特にないね。強いて言えば物置になつかしい絵柄のゴム球があったくらいかな」
 するとマスターはグラスを磨く手を止め、刑事に言った。
「刑事さん、女中は無実です。犯人は俊夫に間違いありません」
 恵子が最初にワインを飲んだ時、毒は含まれていなかった。グラスをテーブルに置く余裕があったことがそれを示している。脈がなかったのは
脇にゴム球をはさんでいたためで、エイプリルフールの余興のつもりだった。少なくとも恵子にとっては。だが俊夫は彼女が倒れている間に
ワインに毒を入れた。女中が去ると恵子は起きあがってワインを飲んだ。これが彼女を死へと旅立たせたのだ――これがマスターの謎解きであった。
「なんということだ!」
 刑事は勘定を払うと扉を開き、脱兎のごとく駆け出していった。

 少し長めになってしまいました。うまくおさめるのはなかなか難しいですね。
 では新たなお題は、「将棋・紅茶・桜」でおねがいします。テーマは「歴史にまつわる要素」を加えて下さい。


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