したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

復活!「むかし昔の天聖界」について語ろう!!

99UQ ◆C.WMPm2y0Q:2005/08/25(木) 22:15:53
ジュラの視界の中で、赤い髪の人影は、ゆらりと揺れたかと思うと膝から地面に崩れ落ちた。
「はらはら〜。倒れちゃったですの〜。」
フェザー・チャイルドの言葉に背を押されるように、ジュラは前に出た。
背中からはえた異形の翼がゆらめく。
ジュラの背中の羽は、巨大な蝙蝠の羽のようなシルエットを持っている。しかし、骨と骨の間に広がっているはずの皮膜は無かった。その代わりに、むき出しになった骨格のような形状の翼には、純白の羽が生えていた。
ジュラの体は、飛ぶというよりも、滑るような感じで、一瞬にして人影の下へと移動していた。
「大丈夫か?」
ジュラは膝を折り、赤い髪の主を抱き起こした。
少し長めの、ウェーブのかかった赤毛の下からのぞいた顔は、男のものであった。しかも、美青年といっていい。
白い肌に、長い睫毛がくっきりと映える。髪と同じく赤い眉が、まるで昆虫の触覚のように長く伸びているのが奇異であった。
青年の青い肌には、びっしりと汗をかいており、抱き上げた体は熱くほてっている。
ゆったりした長衣の下から伝わる熱に、ジュラは眉間に皺をよせた。
「待ってですの〜。」
ようやく追いついてきたフェザー・チャイルドが、ジュラの背中をよじ登り、肩越しに青年の顔を覗き込んだ。
「はらはら〜。苦しそうですの〜。」
フェザー・チャイルドの言うとおり、青年の息はかなり荒く、眉は苦しげにひそめられていた。
「助けてあげなくちゃ、ですの〜。」
「うむ。そうだな。」
青年の身に着けている物の、独特の装飾を観察していたジュラは、フェザー・チャイルドの言葉に同意した。
「さて」
ジュラは言いながら、青年の体を、その体重をまったく感じさせない動作で持ち上げた。
「泉でもあればよいのだがな。フェザー、ちょっと飛ばすから、俺の懐に入ってろ。」
「はいですの〜。」
フェザー・チャイルドは、どこか嬉しそうに、いそいそとジュラの指示に従った。
青年の体と、ジュラの厚い胸板の間のわずかな隙間にもぐりこむと、フェザー・チャイルドは、ちょこんと顔だけ出して準備ができたことを伝えた。
「OKですの〜。」
「よし。行くぞ。」
「はいですの〜。」
その瞬間、ジュラの羽が大きく、円を描くように広がった。
羽というより、後光のように見えた。
ジュラは、まっすぐに首を上に向けると、羽から青白い燐光がこぼれ始める。
次の瞬間、ジュラの巨体は消え去った。
青年の体とフェザー・チャイルドとともに、一瞬で遥かな上空へと飛び立ったのであった。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板