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復活!「むかし昔の天聖界」について語ろう!!

97UQ ◆C.WMPm2y0Q:2005/08/24(水) 20:16:29
「俺の名前は、カーン。そして・・・、だめだ。名前以外は何も思い出せない。」
草原の真ん中で、巨漢は太い両腕で頭を抱え込んでしまった。
「・・・・・」
少女ノアは、心配そうな表情で、無言のままカーンのたくましい肩に、そっと手を置いた。
「くそっ」
「大丈夫よ、カーン。ゆっくり休めば、きっと思い出すわ」
「・・・・すまない」
少女の優しい声に、カーンは落ち着きを取り戻した。
「だめよ」
「?」
「そこは、謝るところじゃないわ」
笑みを含んだノアの言葉に、カーンの表情が和んだ。
「そうか?・・・では、ありがとう。」
カーンは生真面目な表情になり、少女に頭を下げた。
「ふふ。さあ、もう少しこれを飲んで」
ノアは先ほどの小瓶を取り出した。
「これは?」
「レディア様からいただいた、秘薬なの。きっと元気になるわ」
「レディア?」
「知ってる?」
「いや、初めて聞いたようだ。すまない。」
「いちいち謝らないでもらえたら、ありがたいんだけど」
「あ、ああ。努力するよ」
カーンは小瓶を受け取った。
ノアが持った時には普通の大きさの小瓶であったが、カーンの大きな手の中に入ると、おもちゃのように見える。
しばらく眺めた後、カーンはしば小瓶の中身を一気に飲み干した。
その様子を、ノアはうれしそうに眺めていた。
飲み干した後の小瓶を、手の中で遊ばせていたカーンは、ノアの熱心な視線に気づいた。
「・・・何だ?」
「どう?」
「どうって、何が?」
「だから・・・」
ノアはじれったそうに、両手を上下に激しく振った。
「お薬効いた?」
「え?うーん。」
カーンは分厚い唇を引き締めて、考え込んだ。
ノアはの瞳は、期待のためか潤んでいる。
「正直、よくわからん」
そう言ってから、ノアの両目のきらきらと光る輝きに気づいたのか、カーンは慌てて言い直した。
「ああ、効いたよ。だいぶよい心持になってきた。」
しかし時既に遅く、ノアの瞳の潤いは、その水かさを増し、今にも零れ落ちそうになった


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