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『BEAR in the ROOM』

4西京厚志:2007/02/14(水) 02:48:01
>>3
「あ゛〜…………あ」
フリーズ。固まっ……てる場合じゃない。
はあ!? 何!? 熊!!!!??
叫ばないのは自分がビッグである証。
熊を視界に入れた状態から微動だにせず、今熊のいる場所。
熊の周りに何があるか、自分は出口までは何歩で辿り着けそうか、冷静に考えてみる。
自分の部屋だろ? とは思うが、気が動転して瞬時に判断が出来ない。
 
『微動だにせず』と書いたが、『布団』の端を持っておく。
いつでも投げつけられるように…。

5:2007/02/14(水) 03:08:44
>>4
『クチャ・・・・』
 
ふと、その動物の方から、物音が聞こえて来た。
よく見ると、座り込んだ動物の足元には、冷蔵庫に入れてあった
惣菜が置いてある。
動物は、『西京』をチラリと見ながら、惣菜を器用に手を使って
口へと運んだ・・・・・・・・・・・・・。
 
http://tmp.2chan.net/img2/src/1171387859146.jpg
 
動物は、ベッドの置かれたリビングの隅に座っている。
キッチンを抜け、部屋を出るのは容易に思えた・・・・・・・・・・・・・。

6西京厚志:2007/02/14(水) 03:15:57
>>5
(よし…。確実に食事中だ…。
今日の夕飯を食われたのはムカつくが…ヘタしたら俺が熊の夕飯になりかねない。
危害を加えない限りは襲ってくる事はない…だろう。
刺激しないように…)
 
ツツツ と座ったままゆっくりとキッチンへと向かって移動を始める。
布団はまだ握っている。

7:2007/02/14(水) 12:30:18
>>6
キッチンに出ようとすると、不意に動物が腰を上げた。
まるで、人間の様に2本足で立ち上がると、『西京』に近付いて来る。

8西京厚志:2007/02/14(水) 19:36:24
>>7
(マ…マズイぞ! ヤツは確実に俺に興味を持っている!
いや…落ち着け…落ち着くんだ…ヤツは今食事をしていた…。
なら俺が食われる心配はまず無い。適当に腹が膨れたんで、
なんとなくこっちに興味を持った。それだけだ。
…いや、ヤツが向かっているのは『キッチン』か? それなら合理的に説明がつくぞ…。
俺は…そうだ。窓から逃げればいい!)
 
今度は窓へ向かって移動する。これで興味の対象が俺なのか、食料なのかハッキリする。
同時に、『動物』の容姿をもう一度よく観察してみる。『熊』と断定するには何かおかしい…。
『ゲームセンター』へはよく行くが、どこか見覚えのあるような気がする…。

9:2007/02/14(水) 23:41:17
>>8
踵を返して、窓へ向かった『西京』を尻目に、動物は素早くキッチンに
姿を消した・・・・・・・・・・・・『西京』は、その姿にどこか見覚えがあった。

10西京厚志:2007/02/15(木) 00:07:24
>>9
(リ…リラッ…k…)
考えるのをやめた。窓の鍵を開けて、ベランダへと出る。
動物の向かったキッチンからは終始目を離さない。

11:2007/02/15(木) 00:28:27
>>10
鍵を開けようとしたが、ビクともしない。
 
      /´〉,、      | ̄|rヘ
l、 ̄ ̄了〈_ノ<_/ (^ーヵ L__」L/    ∧       /~7 /)
 二コ ,|      r三'_」     r--、 (/    /二~|/_/∠/
/__」             _,,,ニコ〈  〈〉  / ̄ 」     /^ヽ、 /〉
'´                (__,,,-ー''     ~~ ̄   ャー-、フ /´く//>
                                 `ー-、__,|
 
「クスッ・・・・」
 
ふと、せせら笑う声が聞こえた。
振り向くと、キッチンの方から頭を半分覗かせた動物が、『西京』を見ながら
ジャムの瓶を舐めている。

12西京厚志:2007/02/15(木) 00:37:23
>>11
「ハァ!? んだよこれ! ザケんな!」
笑い声を聞きつけ、ギロッとキッチンへと目を向ける。
 
「テメェ…一体なんなんだ…。俺を閉じ込めてどうしようってんだよ!
言葉分かんだろテメェ…。答えろよッ!」

13:2007/02/15(木) 00:49:17
>>12
動物は、キッチンへと隠れた・・・・・・・・・・・・・。
ニヤリと笑った様な気がした。

14西京厚志:2007/02/15(木) 01:03:12
>>13
「クッ…クソがぁ!」
土木作業員なのでヘルメットが荷物の中にある。
激昂して追いかける前に、そのヘルメットで思い切り窓ガラスを殴ってみる。

15:2007/02/15(木) 01:10:30
>>14
『バシィイン!』
 
窓は、防弾ガラスの様にヘルメットを弾いた・・・・・・・・・。

16西京厚志:2007/02/15(木) 02:06:11
>>15
「クソックソックソッ! ああもう腹をくくったぞ…。
何にせよあのクマ公が原因なんだ…」
ヘルメットを頭に被り、キッチンへと近づいていく。

17:2007/02/15(木) 23:43:42
>>16
キッチンは、薄暗かった。
ペチャペチャと何かを舐める音だけが、静かに響いている。
 
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
 
リビングから入って、すぐ右の奥に置かれた冷蔵庫が開いており、白い光が
キッチンを照らしていた。
冷蔵庫の前には、マヨネーズを咥えた動物が座り込んでいる。
『西京』と目が合うと、動物は目を細めた・・・・・・・。

18西京厚志:2007/02/16(金) 01:40:40
>>17
「ぅおっ…俺の部屋から出て行けこのクマ公!
冷蔵庫の中身なら全部やるから早く出て行け!」
退路は無い。覚悟を決めてクマ公に怒鳴る。

19:2007/02/16(金) 02:09:11
>>18
「嫌だね。」
 
マヨネーズを口から離すと、動物が言った。
 
「リラックスしろよ・・・・・・ビビっているのかい?
力を抜いて、一緒にマヨネーズでも啜ろうじゃあないか。
安心するんだ、『厚志』・・・・・・・・・・。」

20西京厚志:2007/02/16(金) 02:32:05
>>19
「しゃっ…喋った!?
お…落ち着け。落ち着け厚志。
動物は喋らない。ならアレは動物じゃあない。よーし冴えてきた。いいぞ…。」
独り言を言って気分を落ち着かせる…。
 
「マヨネーズは直接啜るもんじゃあないぜ! クマ公!
ビビってるかだと!? ふざけんな! 
お前みたいな得体の知れんクマ公を目の前にして…誰が落ち着けるってんだッ!」
相手のペースにハマるのはマズい。主導権は圧倒的に向こうにあるが…せめて飲まれないよう自分を強く持つ。

21:2007/02/16(金) 02:55:13
>>20
動物は、冷蔵庫からコーラのペットボトルとグラスを取り出すと、扉を閉めた。
キッチンが薄暗くなる。
 
「虚勢を張るのは、やめろよ。
なあ、『厚志』・・・・・・・・・・・・コーラでも飲んで、考えてみようじゃあないか。」
 
動物は、『西京』の目の前でグラスにコーラを注いだ。

22西京厚志:2007/02/16(金) 02:58:41
>>21
「オーケイ。話し合うかクマ公。
お前の目的はなんだ? 俺がまず聞きたいのはそれだ」
コーラには手をつけない。 
 
キッチン入り口にあるスイッチで電灯をつける。

23:2007/02/16(金) 03:03:33
>>22
キッチンの電灯を点けると、動物は眩しそうに目を細めた。
 
「目的なんて無いさ・・・・・・・・・いい部屋じゃあないか、『厚志』。
私は、ただ安らげる場所が欲しかったんだ。
リラックス出来る場所がね・・・・・・・・・・。」

24西京厚志:2007/02/16(金) 03:08:47
>>23
おいクマ公、なんで俺の名前を知ってんだ。
安らげる場所とか言ってるがな…sy…」
『食料』と言いかけてハッと言葉を呑んだ。
もしかすると、次の『食料』は『自分』かも知れない。
 
「…安らげる場所だって? こんなアパート、他にもいくらでもある。
なんだってこのアパートで、俺の部屋なんだよ!」

25:2007/02/16(金) 03:25:56
>>24
「君の名前は、『表札』に書いてあったのさ。」
 
動物は、コーラのペットボトルを仰ぐ様に一口飲んだ。
 
「『厚志』・・・・・・・・・・いつまで、こんな話を続けるんだい?
この部屋を選んだのは、ほんの偶然。
そう、偶然なんだ・・・・・・・・・・・・。」

26西京厚志:2007/02/16(金) 03:36:57
>>25
「うっ、クマ公のくせに…。
…うるせぇ! 何が偶然だ! 別に隣でもいいだろうがッ!
わかってるぞクマ公…そうやって油断させてガブリとやるつもりなんだろう…。
俺を外に出させないようにしてるのがその証拠だッ!
なんとか言ってみろッ! オイッ!」
動物の不思議なオーラに負けじと、声を荒げる。

27:2007/02/16(金) 03:46:14
>>26
「外に出たいのかい?」
 
動物は、コーラを注いだグラスを飲み干し、冷蔵庫の上に置いた。
 
「ちょっと、こっちにおいで・・・・・・。
何もしないさ。」

28西京厚志:2007/02/16(金) 04:44:48
>>27
「ほ、本当だろうな…」
ジリジリと近づいていく。
 
「い…いやッ! まず説明からだッ! 
おかしいだろッ! 何で窓開かねぇんだよッ!
テメェが常識じゃ考えられない存在ってのはもうわかってんだ!
『くつろぐ』…『リラックス』するのに一人じゃいけない理由なんて無いッ!
お前はッ! クマ公ッ! 俺を逃がしたくない『理由』があるんだろッ!
そうでなきゃ俺は今頃窓から逃げられてるはずだからなッ!
むしろ『逆』だッ! 『閉め切る』事ができるならそもそも『入れたりしない』ッ!
その手には乗らねぇ…クマ公…!」
 
荷物に飛びついて『工具箱』をあさり、『スパナ』を取り出す。
土木作業員なら日常的に使うものだ。

29:2007/02/16(金) 21:40:01
>>28
リビングへ戻る『西京』を、動物が追って来る様子は無い。
スパナを取り出すと、キッチンから動物が顔を覗かせていた。
 
「何をするんだ?
そんな物を出して・・・・・・・捨てろよ、『厚志』。
窓を破るつもりかい?」

30西京厚志:2007/02/17(土) 02:48:39
>>29
「窓は破れねぇ…鍵は開かねぇ…。
お前が閉じ込めたんだろ! まず窓を開けろよ!
閉める事が出来たなら開けることも出来るはずだろッ!
怪しすぎるぜッ! 誰がノコノコ近づくものかッ!」
警戒心をムキ出しにしてクマを威嚇する。

31:2007/02/17(土) 03:12:56
>>30
「落ち着けよ、『厚志』・・・・・・・・・・・リラックスするんだ。
お腹が空いてるのかい?
イライラしているじゃあないか・・・・・・・・・・・・。」
 
動物は、キッチンからゆっくりと出て来る。
その手には、チキンラーメンを1袋持っていた。
 
「これは、『ルール』なんだ。
この部屋は、私の『縄張り』になった・・・・・・・・・・・。
私の許可無く、外へ出る事は出来ない。」
 
動物の顔に、薄っすらと笑みが浮かぶ。

32西京厚志:2007/02/17(土) 05:29:06
>>31
「なッ…わばりだとッ!? クマ公!」
ザッ と部屋中を見回す。
 
『縄張り』 動物のそれは『マーキング』で行われる。といつかテレビで見た。
『マーキング』とは『示威行為』。『自分の場所』を主張する行為だ。
この動物に常識が当てはまるかはわからないが…。
『縄張り』と言うからには、外から見て分かる痕跡が残されているかもしれない。
とりあえずは『リビング』から、妙な『臭い』や、『爪痕』が無いか調べたい。

33:2007/02/17(土) 23:42:13
>>32
リビングを見回したが、目を惹くものは何も無い。
動物は、床の上にゴロリと転がると、おもむろにチキンラーメンの袋を開けた。
 
『ドドドドドドドドドドド』
 
その手には、いつの間にかテレビのリモコンが握られている。
 
「『厚志』・・・・・・・・・・リラックスしろよ。
テレビでも見よう、面白いDVDはあるかい?」

34西京厚志:2007/02/18(日) 01:58:36
>>33
「ク…クソッ…。つーかてめぇ俺の食い物勝手に開けてんじゃねぇよ!
DVDだぁ…? このクマ公が! AVしかねぇよ!」
半ばヤケクソにテレビ台を指した。ズラリとある。
ドカッとベッドに腰を下ろす。
 
「おいクマ公…一体なんなんだお前は? 生き物か?
マンガみてぇなツラしやがって・・・」

35:2007/02/18(日) 23:26:22
>>34
動物は、ゴロリと仰向けに寝転んで『西京』を見た。
 
「とっくに知ってるんだろう?
『リラックマ』だよ・・・・・・・・・・・。」
 
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

36西京厚志:2007/02/19(月) 14:51:39
>>35
「マジ…か…? ゲーセンによく居るアレ?
………ビーズのクッションとか好きだったりするのか?」
次第に興味が恐怖に勝りつつある…。

37:2007/02/20(火) 02:02:55
>>36
「ああ。
好きな食べ物は、団子、プリン、オムライス、ホットケーキ。」
 
『リラックマ』が言った。
 
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
 
ふと、『西京』は、座っていたベッドの横をチラリと見る。
そこには、黄色いビーズクッションが無造作に置かれていた。
 
「こっちにおいでよ。」

38西京厚志:2007/02/21(水) 02:22:46
>>37
(『リラックス』するのは悪い事か…? 年下の現場監督にけなされる生活とどっちが…)

フラ…
 
不思議な誘惑に心が従いそうになる…が、すんでのところで踏みとどまる。
(いや…忘れちゃあいけない…最大の『謎』…『チャック』…。
『リラックマ』は『ガワ』だ…『中の人』がいるハズ…!)

ガッ と黄色いビーズクッションを掴む。特に意味は無い。
 
「なぁ…お前は俺と『友達』になりたいのか?」

39:2007/02/21(水) 02:33:02
>>38
『リラックマ』は、『西京』をジッと見つめた。
 
「いや、別に・・・・・・。」
 
そして、ビーズクッションに視線を移し、付け加える様に続ける。
 
「のんびり考えましょうよ、そういう関係も。」

40西京厚志:2007/02/21(水) 02:59:17
>>39
「ぐっ」
(マスコットの分際で…! だがまぁいい。
しかし一体なんなんだ…俺が痺れを切らすのを待っているのか・・・?
冷蔵庫の中にはあまり食料は買い置きしていない…。
ヤツがそれを食べ終わったら…どうなる?
この『ビーズクッション』みたいにどっかから出てくるのか?
とりあえず…『キッチン』と『玄関』そして『風呂』…。様子を見なければ)
腰を上げてキッチンへと歩き出す。
『リラックマ』からは出来るだけ離れて移動したいが…。

41:2007/02/21(水) 17:52:11
>>40
『リラックマ』は、キッチンへ向かう『西京』の姿を黙って見送る。
キッチンは、まだ冷蔵庫の前に『リラックマ』の食べ散らかしたカスが
ポツポツと散らばっていた・・・・・・・・・・・。

42西京厚志:2007/02/22(木) 03:20:30
>>41
「汚ぇよクマ公! 掃除しろ!」
怒鳴りつけて玄関へ向かう。
無駄だとは思うが…鍵を開けてドアノブを回してみる。

43:2007/02/22(木) 03:40:02
>>42
ドアノブを回した・・・・・・・・・・案の定、ドアは開かない。
 
『パタパタパタ』
 
不意に、洗面所の方で物音が聞こえた。
リビングには、『リラックマ』が寝転がっている・・・・・・・・・。

44西京厚志:2007/02/22(木) 04:14:06
>>43
「やっぱりムダ……かッ!?」
物音の方、洗面所の方を凝視する。
 
(予感はしていた…この足音…『ヤツ』かッ!)
ゆっくりと洗面所へと向かう…。

45:2007/02/23(金) 00:26:15
>>44
暗い洗面所に向かうと、何かが動いているのが分かった。
 
『タタタタ・・・・』
 
『西京』が近付くと、足音がバスルームの方へと消える。

46西京厚志:2007/02/23(金) 02:58:33
>>45
(この小刻みな足音…アレだ! あの…鳥! …ヒヨコ!
とにかく野放しにはしておけないな…)
洗面所に入って電灯を点け、バスルームを目指す。

47:2007/02/24(土) 00:38:22
>>46
明かりを点けると、荒らされた洗面所が目の前に広がった。
石鹸や整髪剤が散らばり、洗面台にはゲロの様なものがブチ撒けてある。
バスルームの方を見ると、曇りガラス戸の向こうに小さな影が見えた。

48西京厚志:2007/02/24(土) 01:59:57
>>47
「んなッ!? こ…のヒヨ…いやクマ公か?」
洗面台のゲロのような物の量と匂いを観察する。
量でクマ公か小さい動物かどうかは判断し、酸っぱい匂いがするなら、
どんな色や形状をしていてもゲロなのは間違いないだろう。
 
(バカめ! 風呂に入ったらもう逃げ場はないぜ! とっつかまえてやるッ!)

49:2007/02/24(土) 02:44:11
>>48
洗面台に飛び散ったゲロらしきものは、黄色味を帯びた乳白色をしている。
広い範囲に撒き散らされていたが、それほどの量は無かった。
ヨーグルトの様な匂いが、ドブ臭さに混ざって鼻腔を刺激する。
 
『オゲェ・・・』
 
バスルームの中で、嘔吐した様な声が響いた。

50西京厚志:2007/02/24(土) 03:15:23
>>49
「ゲロ。だな。そしてヒヨコだ。ボケ野郎が」
ドカドカと足音を立ててバスルームに殺到し、ドアを勢いよく開ける。
 
「この野郎! テメェかゲロ吐き鳥はッ!」

51:2007/02/24(土) 03:57:05
>>50
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
 
バスルームの戸を開けると、『リラックマ』よりも小さな白いクマが
浴槽の中から顔を覗かせていた。
床のタイルには、ゲロが飛び散っている。

52西京厚志:2007/02/24(土) 04:12:10
>>51
「テメェは…『コリラックマ』ッ! そうだなッ! そうだろッ!
掃除しろ! ボケ!」
 
スパナを構えて怒鳴りつける。

53:2007/02/24(土) 04:17:30
>>52
「オゲェ・・・・」
 
小さなクマは、嗚咽と共に口からゲロを吐き出した。
そして、床に飛び散ったゲロを見つめるながら、手で口を拭う・・・・・・・・・・。
『西京』をチラリと見たクマは、少し笑った様に見えた。

54西京厚志:2007/02/24(土) 05:22:12
>>53
「こ…このクマ…!」
バスルームには降りない。
こんな得体の知れないゲロを踏んづけでもしたら最悪だ…。
 
「言葉分かんだろ! なんなんだテメェら!
吐くな! 答えろ!」

55:2007/02/25(日) 00:16:31
>>54
小さなクマは、何も答えなかった。
浴槽の中からバスルームの床をジッと見つめている・・・・・・・・・。

56西京厚志:2007/02/25(日) 04:10:35
>>55
「クマ公…!」
手を伸ばしてシャワーのホースを手に取る。
こういうアパートのバスルームは大概が狭いものだ。
一人暮らしに広いバスルームは必要ないしな…。

57:2007/02/25(日) 05:20:36
>>56
『西京』は、シャワーホースを手に取った。
小さなクマは、それをジッと見つめるだけだった。

58西京厚志:2007/02/26(月) 23:24:58
>>57
「とりあえずな」
シャワーでもってゲロを洗い流す。
このままでは小クマを捕まえる事もできない。

59:2007/02/26(月) 23:50:59
>>58
シャワーから出た湯が、バスルームのゲロを洗い流す。
幸いにもゲロの粘着性は低く、容易に流し落とす事が出来た。
白い湯気が微かに立ち込める中、小さなクマは浴槽の中に入ったまま、
『西京』を見つめ続けている。

60西京厚志:2007/02/27(火) 01:35:43
>>59
「『イタズラ』…か? テメェ…。
だが会話はできそうにねぇな…。」
少し考える…。
 
「オイ、怒らないからこっち来いよ。『リラックマ』に会いたいだろ?
リニングにはコンポだってテレビだってあるぜ。食い物だってある…。
なるべく優しげに小クマに話しかける。」

61:2007/02/27(火) 01:40:51
>>60
小さなクマは、少し震えていたが・・・・・・やがて、ゆっくりと浴槽から出て来る。
 
『ドギュン!!』
 
次の瞬間、クマは『西京』の股を潜り抜け、キッチンの方へと逃げ去った。
『西京』は、湯気に混じって漂う微かな異臭に気付く・・・・・・・・・・・。

62西京厚志:2007/02/27(火) 01:46:03
>>61
「うおっ!?…あのクマあんなに早く動けるのか!
まぁ…いい。この匂いは…ゲロか? それともションベンでも漏らしたか?」
小クマの行方は気になるが、放置。
バスルームへ、足元に気をつけて慎重に入る…。

63:2007/02/27(火) 02:04:40
>>62
『ドドドドドドド』
 
バスルームに足を踏み入れると、空の浴槽の中に茶色い物体が見えた。
その悪臭を放つ物体を、『西京』は知っている・・・・・・・・・・・。

64西京厚志:2007/02/27(火) 02:30:14
>>63
「クマーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
ブチギレだ。
 
小クマを探してキッチンからリビングへと突撃する。

65:2007/02/27(火) 02:35:58
>>64
リビングに戻ると、『リラックマ』がテレビでニュースを見ていた。
小さなクマの姿は、見当たらない・・・・・・・・・・・。

66西京厚志:2007/02/27(火) 02:49:11
>>65
「おいクマ公! 小さいのどこやったッ!」
スパナを振り上げクマ公に怒鳴る。

67:2007/02/28(水) 00:59:38
>>66
『リラックマ』は、寝転がったまま『西京』を見上げた。
 
「何の事です?」
 
『カチャ・・・・』
 
不意に、キッチンの方で物音が響く・・・・・・・・・・・・。

68西京厚志:2007/03/01(木) 02:57:14
>>67
「『コリラックマ』だよッ!  !! キッチンかッ!」
ここで慌てて足音を荒げたりはしない。抜き足差し足でキッチンへ向かう…。

69:2007/03/02(金) 00:50:49
>>68
キッチンに戻ると、気配を感じる・・・・・・・・・・・。
冷蔵庫が微かに開いており、中から漏れる蒼白い光に照らされ、床に点々と
零れたミルクを見つけた。
ミルクは、そのままキッチンの奥へと続いている。

70西京厚志:2007/03/02(金) 01:52:01
>>69
(小クマが…まぁそろそろ捨てようかと思ってたから別にいいが…)
そっとミルクのあとをつける。

71:2007/03/02(金) 02:15:24
>>70
零れたミルクの先には、流し台の下に座る小さなクマがいた。
ミルクを飲みながら、プリンを啜る様に食べている・・・・・・・・・・・・・。
 
『モチャ・・・・ペチャペチャ・・・』

72西京厚志:2007/03/02(金) 02:44:35
>>71
(覚悟しろ…クマッ!)
飛び掛って小クマの首根っこを捕まえる。
首の後ろを持てば、動物は抵抗できないだろう。

73:2007/03/03(土) 00:42:13
>>72
「ハッ・・・・!」
 
『西京』の気配に気付いたのか、小さなクマが振り返る。
直後、伸ばした手を擦り抜ける様に、クマはリビングの方へと走り去った。
後には、食い散らかしたプリンやヨーグルトが床に残っている。

74西京厚志:2007/03/03(土) 02:14:58
>>73
「畜生! 待てクマ! ………」
冷静に、自分が片付けなければ誰も片付けないということを理解し、
とりあえず掴めるものだけ、ゴミ箱に放り込む。
 
「よし。覚悟しろよクマども・・・!」
リビングへと進む。

75:2007/03/03(土) 02:25:50
>>74
散らかったプリンやヨーグルトの容器を片付け、リビングへと戻る。
 
『ドグシャアッ!!』
 
キッチンからリビングに向かう『西京』の目に、小さなクマが壁に向かって
吹っ飛ぶ姿が映った・・・・・・・・・・・。
壊れた人形の様に床に落ちたクマを、『リラックマ』がサッカーボールでも
蹴るかの様に蹴り飛ばす。
 
「グェ・・・!」
 
小さな呻き声を漏らし、小さなクマは床を転がった。

76西京厚志:2007/03/03(土) 02:32:36
>>75
「は?」
一瞬呆然として、すぐに現状を認識する。
 
「何やってんだ? クマ公。え?
そういうアレだったの? お前ら」
とりあえずスパナを構えつつ。

77:2007/03/03(土) 02:53:10
>>76
リビングに入ると、小さなクマの腹に膝を着いた『リラックマ』が、両手で
クマを滅多打ちにしていた・・・・・・・・・・・。
小さなクマの身体は、次第に痙攣し始める。

78西京厚志:2007/03/03(土) 02:55:33
>>77
「ちょ おまっ 待てっての!」
『リラックマ』を走って蹴り飛ばす。
なぜかこのままにしておいてはいけない気がする。

79:2007/03/03(土) 03:06:41
>>78
『バギャッ!!』
 
『リラックマ』を蹴り飛ばすと、小さなクマは口から咳に混じった血を吹いた。
床に転がった『リラックマ』は、ゆっくりと身体を起こす。
 
「痛いじゃあないですか・・・・・・どうしたんです?」

80西京厚志:2007/03/03(土) 03:18:00
>>79
「いや、なんとなく。だ。
血は嫌いなんだよ。部屋が汚れるしな。
あとだな、お前ら『公式』では仲いいハズだろ?
アレは『ポーズ』か?」

81:2007/03/03(土) 23:26:39
>>80
「どうでもいいじゃあないですか、そんな事は・・・・・・・・・・。」
 
『リラックマ』は、ぐったりとした小さなクマの手を掴む。
そのまま手を引っ張ると、クマの身体が宙に持ち上がった。
 
「君は、どこのクマ君?」
 
小さなクマを覗き込み、『リラックマ』が尋ねる。
クマは、弱々しく顔を上げると、唾を吐いた。
精一杯の抵抗・・・・・・・・・・『リラックマ』は、それを摘み取るかの様に
非情の拳をクマの腹部に突き立てた。

82西京厚志:2007/03/04(日) 03:32:13
>>81
「汚れるつってんだよアホ頭がッ! こっち向けッ!
小クマを離せよ! もう死んでんじゃあねーのか?」

83:2007/03/05(月) 00:22:10
>>82
「グホォッ・・・・!」
 
小さなクマが、苦しげに吐血した。
『リラックマ』は、さらに腹部を殴りつける。
 
「汚れたら・・・・・・・・」
 
ポツリと呟く様に口を開き、『リラックマ』はクマの首に手を掛けた。
 
「『厚志』ッ!テメーが掃除するんだろーがッ!!」
 
『リラックマ』が首を絞めると、クマは苦悶の表情と共に痙攣を始める。

84西京厚志:2007/03/05(月) 03:43:19
>>83
「ふッ…ざけてんじゃあねえぞッ! クマ公ッ!
ムカついたッ! これからはテメーの思う通りには何一つ進めてやらねーッ!
別に『小クマがかわいそう』とかいうんじゃあねえ!
ただテメーがムカついたッてだけだクマ公ォーーーッ!」
 
『リラックマ』へと突撃する!
狙いは一つ…『チャック』だ! 指をひっかけ、ズリ下げてやるッ!
『ヘルメット』をしておいて良かったと心から思うぜ!
『キャラ』は『中の人』なんて見られたくねーから絶対抵抗しようとするしな!

85:2007/03/05(月) 04:03:46
>>84
『西京』が突撃すると、『リラックマ』は小さなクマを片手で投げ付けた。
 
『グッシャア!』
 
クマに当たって後ろに倒れ込んだ『西京』を、『リラックマ』が見下ろす。

86西京厚志:2007/03/05(月) 04:25:11
>>85
「うごッ!? ハっ……んの野郎…。うおおッ!」
雄叫びを上げて立ち上がる。
 
「リラックスなんてさせねぇぞクマ公! 今すぐ出て行けッ!
さもなきゃあ叩き出すッ!」
右手にスパナを、左手に小クマを持って怒鳴る。
『リラックマ』にこちらに向かう動きが見られたら、
すぐにキッチンへと逃げ込んでドアを閉める。
 
(アレは『熊』じゃあない。動き方は人間そのものだ…。
しかし本物の熊のような『俊敏さ』と『怪力』を持っている。
脅威だが…殴るには腕を使うし、蹴るのには足を使う。
人間と同じ動きなんだ、あくまで『常識内』だ…。)

87:2007/03/05(月) 04:33:23
>>86 
『西京』は、リビングからキッチンへ飛び込むと、ドアを閉めた。
『リラックマ』が、追って来る気配は無い・・・・・・・・・・・。
 
「ゴボッ・・・・」
 
ふと、手に抱えていた小さなクマが、血ヘドを吐いた。

88西京厚志:2007/03/05(月) 05:17:57
>>87
「ああクソッ! なんなんだ! なんなんだよッ! 一体ッ!」
ドアから離れて、小クマを床に寝かせる。
 
「クソ! 血ィ吐きやがった! 胸糞悪ィ!」
寝かせるのは止めて、両足を掴んでブラ下げる。
こうする事でとりあえず気道に血液が入る事はない。
血ヘドを吐く=呼吸が出来る。という事だからな多分。

89:2007/03/05(月) 17:13:18
>>88
両足を掴んだまま逆さに吊り下げると、小さなクマは力無く垂れ下がった。
 
「・・・・・・」
 
クマが、何かを呟く。
 
『ブリリッ』

90西京厚志:2007/03/06(火) 03:57:34
>>89
「ああ? なんつった?
ゲロやクソは許せねーが、あんまりにも哀れだからな、助けてやるよ。
言いたい事があるなら言え。今の姿勢ツラいか?」
リビングの物音に気を配りつつ…。

91:2007/03/06(火) 23:42:34
>>90
『ガチャリ』
 
リビングのドアが、ゆっくりと開く。
ドアの隙間からは、『リラックマ』の顔が覗いていた。
 
『プ〜ン・・・・』
 
ふと、小さなクマの股の辺りから、不快な臭いが漏れているのに気付く。

92西京厚志:2007/03/07(水) 00:25:05
>>91
「もう一度言うが…クマ公。
俺を外に出せ。お前に近づく以外でだ」
 
クソ垂れた小クマから手を離す。

93:2007/03/07(水) 00:36:18
>>92
『ドサッ!』
 
小さなクマは、鈍い音を立ててフローリングの床に落下した。
 
「クス・・・・」
 
『リラックマ』が、微かに笑う。
 
「外に出たいのかい?
━━━━━━━━━━━『ダメだね』。」
 
『ズズズズ・・・・・・』

94西京厚志:2007/03/07(水) 00:59:21
>>93
「クマ公が…!」
スパナを構える。『リラックマ』から目を離さず、『冷蔵庫』から
『新聞紙に包まれたネギ』を取り出す。昨日買ってきたんだ。
さすがにネギを生のまま食わないだろうしな。残っているはずだ。

95:2007/03/07(水) 01:09:48
>>94
『ヌチャッ・・・・』
 
『西京』が冷蔵庫に向かおうとすると、嫌な感触を足の裏に感じた。
足元を見ると、小さなクマが這いずる様に動いている。

96西京厚志:2007/03/07(水) 01:12:33
>>95
「うッ…こ…こいつッ…!?」
とりあえず目的は『新聞紙』を手に入れる事。
小クマが冷蔵庫に向かうのだったら押し止めて冷蔵庫へ。
踏んでしまった靴下を脱いでそこらに放り投げる。

97:2007/03/07(水) 01:26:31
>>96
靴下を脱いだ『西京』は、冷蔵庫に近付くと新聞紙に包まれたネギを
取り出した・・・・・・・・・・・。

98西京厚志:2007/03/07(水) 01:55:00
>>97
冷蔵庫を閉める。
新聞紙をスパナの先端に巻きつけ、『松明』のようにする。
 
「火が嫌いかどうかわからんが、ただ殴るよりは効果があるはずだ…」
小クマの行方と、ドアの隙間を見る。『リラックマ』はまだ覗いているのか?

99:2007/03/07(水) 02:03:17
>>98
スパナに新聞紙を巻く『西京』を、『リラックマ』はドアの隙間から
ジッと覗いている・・・・・・・・・・・。
小さなクマは、いつの間にか床の上で動かなくなっていた。

100西京厚志:2007/03/07(水) 02:09:39
>>99
一歩横に移動する。ドアの狭い隙間からは見えなくなるだろう。
小クマは邪魔になりそうなので部屋の隅に寄せておく。これも隙間からは見えない位置に。
ポケットを探ってタバコとライターがある事を確認する…。
『リラックマ』がドアを開けたら思い切りドアを蹴飛ばし、一撃を食らわせる。
 
「……」

101:2007/03/07(水) 02:30:00
>>100
『西京』が移動しても、『リラックマ』はドアを開こうとしない。
『西京』は、小さいクマをキッチンの隅に引き寄せる。
 
『ズルルゥ・・・・』
 
クマの身体から、不快な臭いが漂って来る。
気が付くと、室内にほんのりと異臭が漂っていた・・・・・・・・・。
 
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
 
クマの白い身体は、汚物に塗れている。
キッチンの床を這いずった跡にも、ベッタリと汚物が付着していた。
・・・・・・・・・・・・・『リラックマ』が、静かにドアを閉めた。

102西京厚志:2007/03/08(木) 02:11:51
>>101
「臭ぇ…」
小クマを仰向けにして、まぶたを開いて眼球を観察する。
呼吸、心拍など調べる。

103:2007/03/08(木) 23:36:53
>>102
小さなクマを仰向けにすると、力尽きた様子で目を閉じていた。
まぶたの下には、黒いビーズの瞳がある。
すでに、呼吸も鼓動も止まっていた・・・・・・・・・・・・・・・・・。

104西京厚志:2007/03/08(木) 23:48:36
>>103
「チッ…駄目か…」
小クマを横たえてうつぶせにして、チャックの有無を調べる。

105:2007/03/09(金) 00:20:58
>>104
クマの背中には、チャックが首の付け根から尻に掛けて縦に付いている。

106西京厚志:2007/03/09(金) 00:27:02
>>105
「ついて…る、な。クマ公をどうにかするヒントがあるかもしれない…。
スマンな…」
思わず固唾を飲み込み、チャックを開く。
 
ジィ…

107:2007/03/09(金) 00:37:30
>>106
『ジィィ・・・・・』
 
チャックを開くと、中は空っぽ━━━━━━━━
 
      /´〉,、      | ̄|rヘ
l、 ̄ ̄了〈_ノ<_/ (^ーヵ L__」L/    ∧       /~7 /)
 二コ ,|      r三'_」     r--、 (/    /二~|/_/∠/
/__」             _,,,ニコ〈  〈〉  / ̄ 」     /^ヽ、 /〉
'´                (__,,,-ー''     ~~ ̄   ャー-、フ /´く//>
                                 `ー-、__,|
 
ふと、『西京』は、小さな物体がクマの中に転がっているのに気付いた。
小さな人形に似た物体は、干物の様に乾燥している・・・・・・・・・・。

108西京厚志:2007/03/09(金) 00:42:16
>>107
「なッんだ…とォ!?
…いや…なにかこの…人形のような…?」
その人形のような物体を手に取り、よく観察してみる。

109:2007/03/09(金) 01:11:24
>>108
手に取った物体は、ミイラの様な人形だった。
触れると、微かに柔らかい・・・・・・・・・・。

110西京厚志:2007/03/09(金) 01:39:15
>>109
「ンだこれ…マジか…?」
直感だが…多分、『チャックを開けられると死ぬ』と感じた。
『キャラ』は『中身』を知られてはいけないという暗黙の了解があり、
その禁忌を破ったものには罰が与えられるような、感覚的なものだが…。
実際に、小クマは痛めつけられていたし、死の間際まで排泄をしていた。
最初から小さかったはずがない。
『リラックマ』を打倒しうる方法はただ一つ、『チャック』を開ける事だ。
 
しかしその結論に達する前に、『人形』についてよく調べる必要がある。
目を近づけてもう一度よく見てみる…。
腕を曲げてみたり、『間接』の有無を調べる。
この『人形』は『人間』を模したものか? それとも、『人間』とは異なる『人形』か?

111:2007/03/10(土) 00:25:07
>>110
『ボロ・・・』
 
曲げようとした腕が、脆くも崩れ落ちる・・・・・・・・・・・それに続いて、人形の身体はボロボロと
風化するかの様に崩れ散った。

112西京厚志:2007/03/10(土) 05:12:35
>>111
「……だがヒントにはなったぞクマ…。
問題はどうやってクマ公の『チャック』を開けるか、だ」
台所へ行って、ガスコンロの火をつけて、そのままにしておく。
『もしも』の時のためだ。腕力で敵わないなら…。
 
そんな事を考えつつ、ライターで、スパナの先端に巻きつけた新聞紙に火をつけ、
ドアの隙間を遠巻きに見る。

113:2007/03/11(日) 00:00:42
>>112
新聞紙に火を点けた『西京』は、リビングに通じるドアの方を見た。
ドアは、閉ざされている・・・・・・・・・・・・。
キッチンの床には、小さなクマの排泄物が塗り付けられている為、悪臭が
漂っていた。

114西京厚志:2007/03/12(月) 03:24:28
>>113
「臭ぇ…」
匂いにやられている余裕などない。
しかし胸騒ぎがする…。火をつけた新聞紙も燃え尽きてしまいそうだが、
『小クマ』の『着ぐるみ?』を手にとって調べてみる。

115:2007/03/12(月) 14:33:20
>>114
小さなクマの着ぐるみを手に取ると、血や汚物がベットリ付着していた。
ふと、着ぐるみを拾い上げると、小さな紙片が足元に落ちる・・・・・・・・・・・・・。
見ると、それは写真の様だった。
 
燃える新聞紙から立ち昇る煙は、少しずつキッチンに広がって行く。

116西京厚志:2007/03/12(月) 15:14:40
>>115
『リラックマ』へのけん制になればと思って点けた火だが、
ヤツに『獣』としての弱点など皆無の気がする…。
ネギを包んでいただけの新聞紙は量が少ない。『リラックマ』は気づくかもしれないが、
今はもっと重要な事がある。
 
「汚ぇな…さっきから同じ事ばかり言っている気がするぞ」
落ちた紙切れ、写真を手に取って調べる。

117:2007/03/13(火) 00:10:49
>>116
写真を拾うと、見知らぬ女性と小さなクマが並んで写っていた。
クマの頭の上には、黄色い鳥が乗っている・・・・・・・・・・・・・。
裏を見ると、ボールペンで何か書いてあった。
 
『リラックスさせない』

118西京厚志:2007/03/15(木) 03:25:55
>>117
「これは…『設定』の『OL』かッ!? 実在したのか!?
って、『リラックマ』を目の当たりにしている時点で驚く事でもねぇ…。
この写真、『リラックマ』がいないな…撮ったのが『リラックマ』か?」
写真をよく見て、女性の『表情』を調べる。
 
「なんだ…? 『リラックス』させない…?」
ボールペンの『筆跡』によく注意してみる。
『字』というのはその人となりを表す重要な判断基準だと思う。
字はまさに女性のような丸い字か、それとも仕事中に使うような固い字か、
線は迷い無く引かれているか、細かく震えてはいないか、
大体そんな所に注意する。
 
「『コリラックマ』が持っていた『写真』…。
これは間違いなく『真実の情報』だ、騙そうとする様な『偽の情報』なんかじゃあないぞ。
もしかすると『コリラックマ』の『中身』は『この』…」

119:2007/03/16(金) 00:50:05
>>118
写真に写っている女性は、楽しそうに笑っていた。
裏に書かれた文字は、子供が書いた様にも見える・・・・・・・・・・・。

120西京厚志:2007/03/17(土) 03:10:46
>>119
「正直…なんとも判断できないな。
だがこれは『メッセージ』だと確信するぜ。根拠は…カンだ」
写真をポケットにしまう。
キッチンへ行ってフライパンを持ってくる。
そしてリビングのドアを蹴っ飛ばして開けるッ!
 
「クマ公! 話があるぞッ!」
 
ドアを勢い良く蹴り開ければ少なくとも左側の警戒はしなくていい。
前方と右側に気をつける。

121:2007/03/17(土) 03:50:03
>>120
『ドバァン!!』
 
ドアを開け放つと、リビングに『リラックマ』の姿は無かった。
 
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
 
点いたままのテレビには、音楽番組が映っている。
テレビの前には、ビーズクッションが1つ置いてあった。

122西京厚志:2007/03/18(日) 02:08:08
>>121
「クマッ……!? いねぇ! どこ行きやがった!?」
テレビの前のビーズクッション…恐らくさっきまでここでテレビを見ていたのだろう。
何が狙いなのか…。リビングで隠れられる所と言ったら、押入れか…『ベランダ』しかない。
まずは床をよく調べてみる、あの汚らしいクマの事だ、食べカスがで居場所が分かるかもしれない。

123:2007/03/19(月) 01:55:52
>>122
床を見ると、クッション周辺に何かの食べカスが散らばっていた。
他に目を惹くものは無い。

124西京厚志:2007/03/19(月) 03:07:36
>>123
キョロキョロ周りを見回しながら、クッションまで移動する。
クッションに触れ、温かいかどうか調べる。
体温があるのか分からないが、食事をする以上排泄もするだろう、
小クマは必要以上に垂れ流していたが、とにかく、代謝があるなら体温はあるはず。

125:2007/03/22(木) 01:27:41
>>124
クッションには、まだ微かに温もりがある・・・・・・・・・・・・・。
 
『カリッ』
 
ふと、ベランダのガラス戸の方で小さな音が鳴った。

126西京厚志:2007/03/22(木) 02:52:31
>>125
「温かい…な。ついさっきのこ…と? 今なんか音が…」
ベランダの方を向く。

127:2007/03/22(木) 02:57:40
>>126
ベランダに視線を移したが、外に変わった様子は無い様だった。

128西京厚志:2007/03/22(木) 02:59:23
>>127
「気のせいって…思えるわけねぇだろ!
俺は何より俺自身を信用するんだぜ!」
 
ブオンッ!
 
フライパンを窓に向かって思い切りブン投げる!

129:2007/03/22(木) 03:32:17
>>128
『バァン!!』
 
ガラス戸は、強化ガラスの様にフライパンを弾き返す。
跳ね返ったフライパンが、ベッドの横に落ちた・・・・・・・・・・・・。

130西京厚志:2007/03/23(金) 02:20:44
>>129
「チッ! だがまぁ、クマ公はまだ間違いなくここにいるってこったな」
フライパンをすぐに取りに行かず、ベッドの下を覗き込む…。

131:2007/03/23(金) 03:09:56
>>130
ベッドの下を覗いたが、『リラックマ』の姿は見当たらない。
 
『ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・』
 
ふと・・・・・・・・『西京』は、ベッドの下にある金属の蓋に気付いた。
マンホールの様な円形らしく、真ん中に取っ手が見える。

132西京厚志:2007/03/24(土) 02:14:45
>>131
「こんなもの…いつの間にあのクマ公!
引っ越した時には無かったはずだな…」
ベッドを移動させてから、その蓋を少しだけ持ち上げてみる。

133:2007/03/25(日) 00:09:47
>>132
ベッドを動かすと、床の上に銀色の金属蓋が現れた。
取っ手を握り、蓋を持ち上げる・・・・・・・・・・・。
 
『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』
 
蓋の下には、コンクリートの深い縦穴が続いていた。
底の方が微かに明るく、鉄製のハシゴが下へ向かって伸びている。

134西京厚志:2007/03/25(日) 02:31:38
>>132
「ゴクリ」
生唾を飲み込み、ハシゴに足をかける。
フライパンの取っ手を尻ポケットに突っ込み、スパナはサイドポケットにしまう。
 
「クマ公…決着をつけてやるぞ…ッ!」
時折下をチラチラと気にしながら降りていく。

135:2007/03/26(月) 03:28:37
>>134
ハシゴを降りると、『西京』が屈んで進める程の狭い通路の前に辿り着く。
通路の先は吹き抜けになっており、その向こうに部屋が見えた。
 
『ドドドドドドドドド・・・・・・』
 
吹き抜けの前を横切って、何かが引きずられて行く。
微かに見えたのは、人間の足の様だった。

136西京厚志:2007/03/26(月) 04:45:34
>>135
(狭いな…飛んだり走ったりは無理そうだ…。
背の小さいヤツのために作られた通路か…先に部屋が……!?
人間か!? まさかクマ公に…! じっとしても何も起こらねぇ!)
狭い通路を進んでいく、出来る限り足音を静かに進んで行きたい。
自分の立てる音の他に、何か物音はするか? 『匂い』などはするか確認する。

137:2007/03/26(月) 23:38:28
>>136
通路を進んで行くと、奥の方でゴソゴソと物音が聞こえて来る。
冷たい空気が流れる中、それに乗って微かに生臭い香りが漂って来た。

138西京厚志:2007/03/27(火) 01:00:18
>>137
(とてつもなく嫌な予感がするぜ…?)
スパナを握り締め、やや早く移動する。
その音の元を確認したい。

139:2007/03/27(火) 02:01:58
>>138
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
 
通路の先にある空間は、ドーム状のコンクリート部屋だった。
天井の高さは、2メートル程・・・・・・・・・・家具の類は、何も無い。
 
『ゴゴゴゴゴゴゴゴ』
 
部屋に入ると、すぐ右手に横たわっている女性に気付く。
まだ20代と思われる若い女性には、どこか見覚えがあった。
倒れた女性の傍らには、それを見下ろす様に『リラックマ』が座っている。

140西京厚志:2007/03/28(水) 01:09:07
>>139
「!?」

どんな人間でも、今の状況では『リラックマ』は確実に『悪』だと断定するだろうぜ。
そして横たわったOLを救う自分は『善』!
自分を正しいと思う事で勇気が沸いてくる!
通路から飛び出し『リラックマ』めがけて、いきなりフライパンを投げつける!
投げると走るは同時に行い、間合いを詰める。
思考時間を削り飛ばして戦闘開始だ!

141:2007/03/28(水) 01:43:46
>>140
『バシィッ!』
 
フライパンが、『リラックマ』の頭に命中する。
『西京』が駆け寄ると、『リラックマ』の頭がグラリと傾いた。
 
『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』

142西京厚志:2007/03/28(水) 03:27:03
>>141
「ザマァー見ろ! クマ公ーッ! って…ええ?」
スパナを構えたまま『リラックマ』の出方を伺う。
OLはどうしている?

143:2007/03/29(木) 01:07:06
>>142
女性は、ピクリとも動かない・・・・・・・・・・・・首には、紐状の痣がある。
 
『ドサ・・・・・』
 
『リラックマ』の頭が、横たわった女性の傍らに落ちた。
転がった頭の中は、空になっている・・・・・・・・・・。

144西京厚志:2007/03/29(木) 04:35:06
>>143
「お…おいっ! しっかりしろよッ!」
OLの首に触れ、体温、脈拍を調べる。
手は首に触れながら、足で軽く『リラックマ』の『胴体』を蹴る。
まさか『中身』は『小クマ』の時の…。

145:2007/03/29(木) 23:38:47
>>144
『西京』が触れると、女性の身体は冷たい・・・・・・・・脈拍も感じられなかった。
 
『ドカッ』
 
『リラックマ』の胴体を蹴ると、中に人の入っていない着ぐるみの様に、力無く
横に倒れた。
背中がキレイに裂けており、内部は空洞になっている・・・・・・・・・・。

146西京厚志:2007/03/30(金) 02:16:23
>>145
「ク…ソッ! なんだよ! なんなんだよこれ!
わけわかんねぇ! わけわかんねぇっつの!
何!? 何死んでんの!? 『リラックマ』とかマジ知らんから!
つーかウゼェし! ウゼェし!」
ひとしきりわめき、肩で息をしつつ、もう一度、『リラックマ』の『中身』をよく調べてみる。
わめいた所でどうにもならないことは自分が一番良く分かっている…。

147:2007/03/30(金) 02:29:15
>>146
『リラックマ』の中には、何も入っていない。
 
『ペタペタ・・・・』
 
━━━━━━━━━━ふと、裸足で床を走る音が聞こえた。
『西京』の来た通路を、1体の人影が駆け戻って行く。

148西京厚志:2007/03/30(金) 02:52:55
>>147
「 !! テメーが『中身』かああああッ!?」
振り向いて通路まで走る!
あの狭い通路、『あのサイズの生物』用に作られた事は間違いない。
そして今この場から去ろうとしているヤツはまず間違いなく『そのサイズ』だ!
走って追いつける自信は無いが…狭い通路でこのスパナを確実に当てる自信はあるぜッ! 
思いっきりブン投げる!

149:2007/03/31(土) 03:07:19
>>148
『バギャア!』
 
『西京』の投げたスパナが、人影の横を掠める。
ハシゴに手を掛けた人影は、クルリと振り返った・・・・・・・・・・・・。
 
『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』
 
黒い半ズボン一丁の、パイナップル風の黒髪をした見知らぬ男だった。
男は、すぐに前を向き、素早くハシゴを昇って行く。

150西京厚志:2007/04/01(日) 05:36:41
>>149
「畜生!
待てッ! オイ待てッ! テメェ!」
狭い通路を出来る限り急いで走り、男を追う。
スパナは梯子のところに落ちているだろうから拾っておく。

151:2007/04/02(月) 00:14:54
>>150
『西京』は、床に落ちているスパナを拾った・・・・・・・・・・・・・。
 
『ガチャ』
 
頭上を見上げると、微かに光が差し込む。
男が蓋を開け、部屋に戻って行くのが見えた。

152西京厚志:2007/04/02(月) 04:35:21
>>151
「待てッ! 待てッ! てめえ! 
クマの中身かッ! こっち向けッ! ボケがッ!」
急ぎに急いで追いかけ梯子を上る。

153:2007/04/03(火) 00:29:36
>>152
『西京』がハシゴに手を掛けると、頭上に下を覗き込む男の顔が見える。
 
『バタン・・・・・』
 
蓋の閉まる音が、無情に響いた。
ハシゴを昇って行ったが、蓋はビクともしない・・・・・・・・・・・・・・・・。

154西京厚志:2007/04/04(水) 01:35:54
>>153
「や…やられたッ! クソがアアアアア!!」
 
ガンガンガン!
 
2、3度蓋を叩くが…手が疲れるだけだ、やめる。
梯子を下り、クマの着ぐるみの所まで戻る…。

155:2007/04/04(水) 02:36:55
>>154
『西京』は、着ぐるみのある場所へと戻った。
人の気配は無く、女性の死体も変わらず横たわっている。

156西京厚志:2007/04/05(木) 02:52:33
>>155
「落ち着け…落ち着けよ西京厚志…。
自暴自棄になっても何も解決しねぇぞ…。
まずは…」
今居る部屋を壁に手を着きつつグルリと一回りして、何か目を引くものが無いか調べる。
さっきの男は恐らく『リラックマ』の『中身』…。
俺自身慌てていたから、それで見逃しただけかもしれないが、もしかすると、
何処かに隠れていたのかもしれない。

157:2007/04/06(金) 02:54:25
>>156
よく見ると、壁には無数の手形が残っており、細かい亀裂が走っていた。
亀裂は、天井の中心に向かって伸びており、上に向かう程深くなっている。
 
『ドドドドドドドドドド』
 
よく見ると、天井近くの亀裂の間に、何かが挟まっていた。
身体を伸ばした程度では、手が届かない高さにある・・・・・・・・・・・。

158西京厚志:2007/04/06(金) 03:53:00
>>157
「おい…おいおいおい…。
これは…つまり今まで何人もここにいたって事か?
それとも一人で付けたもんなのか?」
これは非常に重要な問題だ…。
『手形の大きさ』にそれぞれ違いが無いか調べる。

「なんだ…亀裂の先に…何か…オリャッ!」
手が届かないならスパナを投げる。失敗しても何度でも試す。その時間はあるだろう…。

159:2007/04/06(金) 04:17:01
>>158
手形の大きさは、ほぼ同じに見えた。
『西京』の投げたスパナが、壁面に何度も当たる・・・・・・・・・・・・・しばらくすると、
天井から細かな破片が降って来た。
亀裂の間に挟まっている物は、一向に取れない。

160西京厚志:2007/04/06(金) 04:31:43
>>159
「クソッ…判別がつかねぇ…。
アレも全然落ちてこねぇしよ…」
辺りを見回す。
今、この部屋には何があるのだろうか、
OLの死体と、着ぐるみと、それだけか?

161:2007/04/07(土) 01:55:10
>>160
室内には、着ぐるみと女性の死体以外、確認出来る物は無い・・・・・・・。

162西京厚志:2007/04/08(日) 02:06:48
>>161
「畜生…」
死体に触れる。死後硬直とかいうのが始まっていないか?

163:2007/04/09(月) 01:07:29
>>162
女性の身体は、すでに硬くなっていた。
触れると、少し冷たい。

164西京厚志:2007/04/09(月) 03:07:31
>>163
「畜生…畜生…畜生…すまねぇ…」
『リラックマ』の『頭部の着ぐるみ』を女性に被せる。
大して意味は無いが…顔が隠れていれば大分違う…。
そうしてから、女性の体を折りたたみ、膝を抱えるようにして座らせたい。

165:2007/04/09(月) 23:41:18
>>164
硬直した女性の関節は、なかなか曲がらない・・・・・・・・・・。
『西京』は、何とか女性の身体を折り畳み、壁際に座らせた。

166西京厚志:2007/04/10(火) 01:00:33
>>165
「………」
女性の肩を踏みつけ、軽く数度踏む、『足場』としての機能を確認してから、
女性の肩を踏み台にして一気に飛び上がる!
足場+跳躍の高さで天井の何かを掴みたい。

167:2007/04/10(火) 01:59:14
>>166
『バァアァァン!!』
 
『西京』は、女性を踏み台に跳躍した。
冷凍肉の様な感触が、足に残る・・・・・・・・・・・伸ばした手は、亀裂の隙間に
挟まった物体を掠めた。
 
『パサッ・・・・』
 
着地すると、足元には茶色い手帳が落ちている。

168西京厚志:2007/04/10(火) 02:05:23
>>167
「ィよッし! なんて喜べないな…ありがとよ、アンタのお陰だぜ」
落ちた茶色の手帳を調べる。

169:2007/04/11(水) 01:58:36
>>168
微かに色あせた手帳を開くと、震えた様な文字が並んでいた。
 
『リラック マに なっ た』
 
短い文字と共に、絵が描かれている。
どうやら、絵日記らしい・・・・・・・・・・・・・・・日付は、書かれていない。
 
 
『カオ ルさ ん  が 働け と言うので 殺し ました』
 
『やっ ちまったァ〜 でも 思ったよ り どうって事 なか た です』
 
『コリラッ クマ来た クマ  どこ の クマ』
 
『トリも 殺っ た』

170西京厚志:2007/04/11(水) 02:50:55
>>169
背中につめたいものが走る…。
 
「なんだよこれ…。余計…ワケわかんねぇ…。
日記はちょっと時間経ってそうだけど…よ…。
カオルってのはOLだよな…」
日記はこれで終わりだろうか? 読み進める。

171:2007/04/11(水) 03:03:22
>>170
『今日 とな りの家 に 行きま す』
 
『のっ とる  となり の』
 
 
後のページには、何も書かれていない・・・・・・・・・・・・・・。

172西京厚志:2007/04/11(水) 04:06:49
>>171
まるで尻にツララを突っ込まれた気分だ…。
「これで…今、か?
どうすりゃ…いいんだよ…まさか…まさか…まさか…」
 
『リラックマ』頭部を持ち上げる。
 
「こんなのは…着ぐるみだろう? 別に着た所で何か起こるワケじゃない…。
そもそも…あんな小さいヤツが着てたんだから…着れないかもしれないじゃあないか…」
ブツブツと呟きながら、『リラックマ』の胴体部分の所まで移動する。
………着れそうだろうか……。

173:2007/04/12(木) 01:16:53
>>172
着ぐるみは、『西京』でも難無く被れるサイズの様だった。

174西京厚志:2007/04/12(木) 02:27:49
>>173
グビリ
 
何度目になるか、思わず息を呑む。
 
「何かあるとすれば…『コレ』しかないんじゃあないか…?
フタは開かないが…着ぐるみ着てダメならもう一度試してみるか…」
 
着ぐるみを着てみよう・・・。

175:2007/04/12(木) 03:15:03
>>174
着ぐるみの中は、温かかった。
小さな穴から外の様子を見る事が出来たが、視界は狭い・・・・・・・・・。

176西京厚志:2007/04/13(金) 01:44:22
>>175
「何も起こらんな…意味は…無かったか」
体に何か変化はないだろうか。飛んだり走ったり壁を叩いたりしてみる。

177:2007/04/13(金) 03:54:12
>>176
身体を動かすと、着ぐるみの中の温度も一気に上昇する・・・・・・・・・・・・・・。
予想以上に体力を消耗した『西京』は、小さく肩で息をした。
 
「ハァー、ハァー・・・・」
 
『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』

178西京厚志:2007/04/14(土) 02:40:03
>>177
「最悪だ…意味なんて無かった…。
こんなに疲れるモンなのか…?」
着ぐるみを脱ぐ。
脱ぐ。

179:2007/04/15(日) 00:10:56
>>178
着ぐるみは、なかなか脱げない・・・・・・・・・・。

180西京厚志:2007/04/15(日) 02:39:18
>>179
(落ち着けよ俺…)
確かに内側からチャックを下ろすのは慣れなければムズかしそうだ。
とりあえず、着実に頭部から外そう。

181:2007/04/16(月) 01:24:37
>>180
着ぐるみの頭部を脱ごうとすると、頭が引っ張られる。
 
『ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・』

182西京厚志:2007/04/16(月) 05:51:27
>>181
「み…認めねぇ…絶対にだ」
着ぐるみの頭部と胴体のスキ間に手を差し入れる。
スキ間から自分の体に触れることができるか?
 
「落ち着けよ…落ち着け俺…さっきのヤツは脱いでただろ?
方法はある…わからないが」

183:2007/04/17(火) 00:11:30
>>182
着ぐるみの隙間に、そっと手を差し込む・・・・・・・・・・・・。
 
『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』
 
『隙間』が無い━━━━━━━━━━━━━
『西京』は、次第に身体の感覚が着ぐるみと同化して行くのに気付いた。

184西京厚志:2007/04/17(火) 02:19:23
>>183
(ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ)
「ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ」
 
何なんだ!
俺の体は一体どうなっているんだ!?
今一番気になるのは腕や足ではなく、重要な器官の詰まった『頭部』
目、鼻、口はどうなっているんだ!?
とにかく! 自分の体に起こっていることをまず理解しなければ…。

185:2007/04/18(水) 00:33:36
>>184
『西京』の五感が、徐々に外へと広がって行く。
まるで、着ぐるみが『肉体』になって行く様な『感覚』。
 
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
 
 
『西京』は、無意識に座り込んだ・・・・・・・・・・・・・・。
立っていると、精神的にも肉体的にも疲れる様な気がした。
そして、そのままゴロリと床に寝転がる。

186西京厚志:2007/04/18(水) 00:57:45
>>185
「なんだ…か…ダリィ〜……って! ヤベェ!
起…きろッ! 俺は『リラックマ』なんかにはならねぇぞッ!
立つぞッ! 俺は立つッ! 俺は『西京厚志』だッ!」
 
立つぞッ! 立つッ!

187:2007/04/18(水) 01:40:18
>>186
『西京』は、再び立ち上がる。
 
『キィィ・・・』
 
ふと、ハシゴの方で物音が聞こえた。

188西京厚志:2007/04/18(水) 02:00:02
>>187
「よし…行動を完全に支配されるわけではないみてぇだな…。
今…聞こえたぞ…誰かきやがった…!」
通路まで急いで移動する。
壁にぺたりと張りつき、通路の向こう、梯子の方を見る…。

189:2007/04/18(水) 02:47:44
>>188
『ペタペタペタ・・・・』
 
裸足の足音が近付いて来る。
通路を覗き込むと、パイナップル髪の男の姿が見えた。
 
「『着た』のか・・・・・・」
 
男が口を開く。

190西京厚志:2007/04/19(木) 01:50:56
>>189
「他に…する事も無かったんだよ。ボケ。
なんなんだよ、これ、オイ、全部テメェが仕組んだ事か? ああ?」
隠れる必要は無い。男の前に出て話す。

191:2007/04/19(木) 02:08:35
>>190
「『リラックマ』は、俺だ・・・・・・・」
 
男が呟く。
次の瞬間、『西京』に組み付いた男は、そのまま『西京』を床に倒した。
 
「『返せッ』!
『戻る』んだァァ〜〜〜〜!!」
 
着ぐるみの首を引っ張り、男が『西京』の首を引き千切ろうとする。

192西京厚志:2007/04/19(木) 03:40:22
>>191
「なんだこのッ!…うおッ!!
ふざけんな! 落ち着け! まずどけッ! 死ねッ!」
男の顔面を思いっきりブン殴る!
男の腕力は異常な程強かったりするか?

193:2007/04/20(金) 01:42:15
>>192
『バシィッ!』
 
『西京』の拳が男の顔面を捉えると、男の腕が解けた。
 
「ブシィィッ!!」
 
床を転がる様に、男は素早く『西京』の頭側へと回り込む。

194西京厚志:2007/04/21(土) 01:56:06
>>193
「落ち着けバカ!」
殴られれば一瞬は怯むだろう、更に床を転がって頭側に回りこむ時間があるなら、
殴った本人である俺は飛び起きて走り出す事は十分可能と思う。
 
殴ってすぐ起き上がり、まずはすぐ前方に走る! 距離を取るのがとりあえずの目的だ。
武器を探したいが…視線で考えが読まれそうだ、あえてスパナは探さない。

195:2007/04/21(土) 02:27:16
>>194
着ぐるみを纏った身体では、素早く動けない。
起き上がろうとした『西京』の頭を、男が上から掴んだ・・・・・・・・・・。
 
「返せッ!
『リラックマ』は、俺だァ━━━━━━━━━━━!!」
 
『西京』は、倒れたまま頭を上に引っ張られる。

196西京厚志:2007/04/21(土) 03:48:54
>>195
「動きづれぇええええ!! ってーか…俺は脱ぎたいんだッつのッ!!」
思いっきり地面を蹴り上げる!

上に引っ張られているのなら、足を動かすのは難しくないはず。
不安定な状態であればこそ、思い切り地面を蹴り上げれば、
引っ張る力と俺の体重で釣り合いが取れていた力の均衡が崩れ、
男の方へと倒れこむ事ができるだろう。

197:2007/04/22(日) 01:44:06
>>196
『ドグシャアッ!!』
 
『西京』の身体が飛び込むと、男は押し潰される様に後方へバランスを崩す。
『西京』は、男の上に折り重なって倒れ込んだ。

198西京厚志:2007/04/22(日) 02:06:47
>>197
今は背中で押しつぶしている状態だろう、
男が体勢を立て直す前に素早く自分の体を反転させ、『マウントポジション』
の体勢を取りたい…が、慣れないぬいぐるみでそう期待通りに動けるか分からない。
反転した状態で、男の顔に手が届くならとりあえず殴る。何度も殴る。
気絶するまで殴りたい。

199:2007/04/22(日) 02:30:52
>>198
『ゴゴゴゴゴゴ・・・・・』
 
反転しようとした『西京』の身体を、男が下から羽交い絞めにした。
 
「フゥ〜・・・・・・・・・・」
 
男の腕が、絞首刑の首縄の様に『西京』の首に絡み付く。
『西京』の頚動脈が、ギシギシと締め上げられた。

200西京厚志:2007/04/22(日) 05:45:39
>>199
「うぐッ…かッ…落ち着けって言ってんだろう…がッ…!
俺は脱ぎたい…お前は着たい…それが分かってんなら…つまり…。
とりあえず…離せ…さもないと…」
 
完全に決まった裸締めは抜け出せないと、いつかテレビで見たことがあるが、
それはまぁ、ルールがあるからだ。
仰向けに二人が重なっている状況で、どうやら背格好も極端には違わないようだ。
『下品』だが躊躇しているヒマはない。覚悟を決めるぜ…。
 
「…さもないと…着ぐるみの前に、『スカート』履かなきゃあいけなくなるぜッ!」
男の『股ぐら』をガッと掴んで思い切り握る!
一瞬は力が緩むハズだ、そのスキに脱出を試みる!

201:2007/04/23(月) 00:43:07
>>200
手を伸ばそうとしたが、男に羽交い絞めにされたままでは届かない。
『西京』の意識は、次第に薄れ始めた・・・・・・・・・・・・。

202西京厚志:2007/04/23(月) 03:13:48
>>201
ワキの下から腕を差し込んで拘束するのが羽交い絞めだ。
俺は一体何で首を絞められているんだ?
 
ともかく、一瞬力を振り絞り、上体を起こす!
男はそうはさせじとより強く引き寄せ、締めようとするはず、そこを狙う。
力を込めて上体を起こした直後、今度は逆に頭を地面を叩きつけるように振り下ろす!
男の力も利用し、その勢いで男の後頭部を床へと打ち付けたい。
両腕は常にバタバタと動かし、少しでも締めにくくさせたい。

203:2007/04/24(火) 01:21:23
>>202
男に羽交い絞めにされた『西京』は、身を起こそうとしたが動かない。
 
『ゴゴゴゴゴゴゴゴ』
 
消え行く意識の中、天井を仰ぐ『西京』の視界を何かが横切った。
 
「リラックスシロ・・・・」
 
━━━━━━━━━━━━ふと、耳元で誰かが囁いた気がした。

204西京厚志:2007/04/24(火) 01:28:48
>>203
しゃべる事も大量を消耗してしまう…。もう叫ぶのはヤメだ。
(ダメ…だッ! 動かねぇ…!
畜生…どうすりゃ……………んだ? 今…何か…。
ふざけろ…こんな状態でリラックスなんてな…)
ふっ と体の力が抜ける。
 
(これで…オシマイ、か? 着ぐるみ着たまま? はッ…笑っちまうな…。
死の間際くらい…リラックス…か…ジタバタしても同じだ…)
死を目前として…不思議と覚悟が決まり、気持ちが落ち着く…。

205:2007/04/24(火) 02:00:58
>>204
身体の力を抜くと、男の腕の間に微かな隙間が出来た。
 
『ズルゥゥ』
 
その瞬間、『西京』は反射的に身体を引き抜く・・・・・・・・・・・・。
 
『ゴロリ』
 
着ぐるみの頭が抜け落ち、床に転がった。

206西京厚志:2007/04/24(火) 14:16:03
>>205
「……あ?」
すぐに現状を理解する。首絞め意外に体にダメージはないはずだ。
落ち着いた気持ちのまま、正常な呼吸を取り戻す
男の様子は気にしながら、後ろ手で着ぐるみのチャックを外そうと試みる。

207:2007/04/25(水) 00:19:12
>>206
『西京』は、着ぐるみの頭部を拾い上げた男の動きに警戒しながら、着ぐるみを脱いだ。
 
『ドサァ・・・・・』
 
着ぐるみを脱ぎ捨てた『西京』の眼前に、『リラックマ』の頭部を被った男が立っている。
 
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
 
男の背後には、ぼんやりとした『像』が佇んでいた・・・・・・・・・・・・・・。

208西京厚志:2007/04/25(水) 00:53:31
>>207
「暑ィ……んだこの野郎…もう着て…なんだよなんだよ…これ以上何があるっていうんだ…?」
 
通路へと後ずさりながら男を見る…。

209:2007/04/25(水) 01:37:32
>>208
『ピシッ』
 
ふと、頭上で何かが割れる様な音が聞こえた。
次の瞬間、男が駆け寄って来る。

210西京厚志:2007/04/25(水) 01:52:35
>>209
「かッ……勘弁してくれェーーッ!!」
ダッシュだ! ダッシュで逃げる! 通路を走って階段まで!
通路狭いとか言ってる場合じゃあねェーッ!
アチコチ窺っている場合じゃないんだよォーッ!

211:2007/04/26(木) 01:04:20
>>210
『ドドドドドドドドドドドドド』
 
『西京』は、ハシゴを目指して駆け出した。
 
『ピキッ・・・・』
 
通路に細かい亀裂が走る。
ハシゴに辿り着くと、背後で何かが崩れる音が聞こえた・・・・・・・・・・・。

212西京厚志:2007/04/26(木) 02:02:51
>>211
「なんとッ…かッ…間に合った…か? ハァーッ……?
うおっ! 通路も…崩れるッ!?」
梯子に足をかけ、少し上りつつ背後を振り返る。

213:2007/04/27(金) 00:40:48
>>212
ハシゴを上り始めた『西京』が振り返ると、通路の先に瓦礫が散らばり、
微かに砂埃が舞い上がっている・・・・・・・・・・・・・。
その向こうから、『リラックマ』の着ぐるみが走って来た。

214西京厚志:2007/04/27(金) 04:17:49
>>213
「これは…どう考えても急ぐしかねぇ!」
急ぐ! 急いで梯子を上る! あの着ぐるみの動きづらさは折り紙つきだ。
急いで上ってフタを閉めてしまいたい。

215:2007/04/28(土) 01:31:45
>>214
ハシゴを駆け登ると、上にある蓋を開けた。
見覚えのある自分の部屋に戻った『西京』は、蓋を閉める・・・・・・・・・・・。
下には、ハシゴを上り始める『リラックマ』が見えた。
 
『ドドドドドドドドドドドド』
 
蓋を閉めると、室内には静寂が漂う・・・・・・・・・・・・。

216西京厚志:2007/04/28(土) 02:31:39
>>215
ホッ と一息つく。
(ああ…なんかスゲーホッとした…。
けど…下のアイツはどうなるんだろうか…。というか…俺の部屋の下…崩れるのか?
だったらどうなるんだ? アイツがOL殺したんだよな? そうなのか?
アイツは何処にいたんだ? OLは何で死んだんだ? なんであの男は着ぐるみを奪わなかった?
『リラックマ』ってなんだ?
なんだ、何考えてんだ俺。このままじゃあ夢見が悪いだなんて、そんな事、本気で)
 
ビュオッ! 
 
被っていたヘルメットを思いっきり、窓に投げつける。
割れるか、割れないか、決定的な何かが俺の中で決まる気がする。
蓋はすぐにでも開けられるよう、上に乗っかって身構える。

217:2007/04/29(日) 02:40:16
>>216
『ボゴォォオン!!』
 
突然、蓋が吹っ飛ぶ。
床に転がった『西京』の前で、『リラックマ』がゆっくりと顔を上げた。

218西京厚志:2007/04/29(日) 02:54:49
>>217
「んだとォ!? 一瞬でもためらった俺がバカだったよ!」
スパナは…ない。もう投げてしまった…。
 
「結局…なんなんだよ、お前…。
何がしたいのかまるでわからねぇ…。そもそもお前さっきまでの『中身』か?」
 
などと、話している間もなく襲われそうだ…窓の方へと急いで移動したい。

219:2007/04/29(日) 03:25:40
>>218
『西京』が窓へ移動しようとすると、『リラックマ』が足を掴んだ。
 
「ホットケーキが食いてぇぇ〜〜・・・・・。」
 
『ドドドドドドドド』
 
『リラックマ』の背後には、陽炎の様な『像』が立っていた。
全身を四角い紙の様なもの覆った『人型の像』で、紙は1枚ずつボルトの様な
もので画鋲の様に固定されている・・・・・・・・・・・。

220西京厚志:2007/04/30(月) 01:57:51
>>219
「俺んちに…ホットケーキミックスはねえええ!!」
ヘルメットでリラックマの顔面をブン殴り、その隙に逃げ出したい。

221:2007/05/01(火) 01:28:00
>>220
『バギャア!!』
 
『リラックマ』の愛らしい顔が、ヘルメットで叩かれて歪む。
足を掴む力が抜けると、『西京』は空かさず離れた。
 
「ビビってるんですか・・・・・・」
 
『リラックマ』は、鼻の辺りを撫でながら立ち上がる。

222西京厚志:2007/05/01(火) 03:17:51
>>221
「ムカついてんだよこのパイナップル頭がッ!
その…なんか知らねーけどワケのわかんねーモンまで呼んできやがって…。
誤解してたぞッ! テメーはただの着ぐるみでしかねぇ! ただの人だッ!
もっと早く気づいてりゃあ何もかも問題なかったんだ…ボケッ!」
 
着てみてよく分かった…あの着ぐるみは妙だが…所詮着ぐるみでしかない。
普通の人間に、上に人が乗った蓋なんてフッ飛ばせるワケがねぇ。
だったら…今の脅威は全く未知な…『人型の像』だ。
窓を背にしつつ、『蓋』を探す。金属製の蓋は武器にも盾にもなりそうだ…。

223:2007/05/02(水) 01:14:35
>>222
室内を見回したが、蓋はどこかへ飛んだらしく見当たらない。
 
『ドドドドドドドドドド』
 
ふと、『リラックマ』がゴロリと床に寝転がる・・・・・・・・・・。

224西京厚志:2007/05/02(水) 01:20:04
>>223
「お前がしたかったのは結局それか? ええおい、パイナップル頭よ。
オイ教えろよパイナップル頭。一体なんなんだ? OLはどうした?
答えろパイナップル頭。ヒキコモリのニートパイナップルよ」
今すぐブン殴りたいが…『人型の像』が気になる。
『人型の像』は今なにをしている?

225:2007/05/02(水) 01:22:31
>>224
『像』は、いつの間にか消えている・・・・・・・・・・・・どこにも見当たらない。
 
「・・・・・・・・」
 
『リラックマ』は、仰向けになって『西京』を見上げている。
愛らしい顔に、『西京』は自然と微笑んだ・・・・・・・・・・。

226西京厚志:2007/05/03(木) 04:35:33
>>225
(かッ…かわいいッ!)
 
「ってその手に乗るかダボがあああああああ!!!」
ヘルメットで思いっきり顔面を殴りつけるぞ!
感覚はぬいぐるみにある事はさっきわかった! 無論痛みもあるはずだ!

227:2007/05/04(金) 01:20:07
>>226
『グシャアッ!!』
 
ヘルメットがめり込み、『リラックマ』の顔が歪む。
『リラックマ』の身体は、力を失ってグッタリとした・・・・・・・・・・・・・・・・。

228西京厚志:2007/05/04(金) 03:37:43
>>227
「ハンッ…思い知ったか…ボケが…」
とりあえず…窓を開けよう。コイツを放りださないといけないしな…。

229:2007/05/05(土) 01:44:20
>>228
『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』
 
窓を開けようとした『西京』は、傍らに立っている『像』に気付いた。
ふと、『像』の手に一冊の絵本がある。
『西京』が気付くと、『像』が開いていた絵本をパタンと閉じた・・・・・・・・・・。
 
『リラックマ生活―だらだらまいにちのススメ』
 
『西京』は、その絵本を知っている。
どうやら、(いつかは忘れたが)『西京』が買った本らしい。

230西京厚志:2007/05/09(水) 01:57:51
>>229
「…?」
何故か…動揺はしなかった。ゼンゼン心当りの無い『像』だったが、
表現出来ない…体験したことの無い感情を言葉に出来ない…。
 
「なぁ、それくれよ。その本。もともと俺のだろ?」

231:2007/05/09(水) 23:52:55
>>230
「勿論でス・・・・・・元々、貴方の物ですかラ。
それに、もう用済みですのデ。」
 
『像』は、そう答えると本を『西京』に差し出した。
 
「『次』は、どうしますカ?コレなんてどうでス?」
 
ふと、『像』の手に『別の本』がある。
どうやら、(いつかは忘れたが)『西京』の買った本らしい。
 
『ミッフィーのゆめ』

232西京厚志:2007/05/10(木) 02:28:22
>>231
「うあ……大まかな所は大体漠然と完璧に理解した…」
 
ドッ ズルズルズル…
 
窓にもたれて、そのまま床に尻餅をつく…。
 
「いいか…ちょっと俺の話を聞いてくれ。
仕事が終わって…帰ってきた訳だ…そんで……今何時だ? ええ?
俺が言いたいのはたった一つのシンプルな答えだ。
『寝かせてくれ』」
 
『リラックマ』はどうなった?

233:2007/05/11(金) 00:33:32
>>232
『ドドドドドドドドドドドドドドドド』
 
『リラックマ』に視線を移すと、うつ伏せに倒れたまま動かない。
ふと、『像』が忽然と消えているのに気付く。

234西京厚志:2007/05/11(金) 01:56:53
>>233
「なんかもうワケわかんなすぎだろ…。
説明してくれよ誰か…」
なんかよく分からんが…絵本の世界へご招待ってヤツか? 
もう現実的にどうだとかなんてホントどうでもいい。
『リラックマ』はまだいるが、まだ世界は元に戻ってないのだろうか?
 
「生きてんのか…?」
『リラックマ』の着ぐるみの頭部を引き抜いてみる。

235:2007/05/11(金) 02:58:55
>>234
『リラックマ』の着ぐるみの頭を引き抜くと、『中身』は空だった。

236西京厚志:2007/05/12(土) 01:34:42
>>235
「落ち着け…。いや落ち着け。
落ち着いてられっかアホオオオオオオオ!!」
 
ブワシィッ!
 
思いっきり着ぐるみの頭部を投げつけた。
 
「さっきのヤツ出て来い! 説明しろ! 寝られるかッ!!」
それとまだ試していなかった重要な事、窓が開くかどうか試したい。

237:2007/05/13(日) 00:06:10
>>236
『西京』が窓を開けようとすると、背後に気配を感じた・・・・・・・・・・・・・・。
振り向くと、『リラックマ』の傍らで着ぐるみを見下ろす様に、『像』が
立っている。
 
「窓を開けると・・・・・・・・・・『死んで』しまウ。
よく思い出して下さイ。」
 
着ぐるみに手を伸ばした『像』は、その中から『何か』を摘み出した。
 
『ドドドドドドドドドドドド』
 
干乾びた小さな『人形』は━━━━━━━━━━
見覚えのあるパイナップルヘアーをしている。

238西京厚志:2007/05/13(日) 02:30:48
>>237
「出…やがったなこの…! …?」
その『人形』をよく見る…。
『リラックマ』の『絵本』といい…全ての答えは最初からあったのではないか?
少し前の事を思い出してみる…。
 
「このパイナップル男…さっきの…?」

239:2007/05/14(月) 01:35:43
>>238
『像』の手にした人形は、着ぐるみの中に入っていた男に似ていた。
『西京』は、思い出す・・・・・・・・・・・
閉ざされた部屋、着ぐるみの『リラックマ』。
そして、帰宅する前の記憶。
 
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
 
━━━━━━━━━━━━何かが引っ掛かる。
ふと、『西京』は、床に転がったヘルメットの裏にベットリと付着した血糊に
気付いた。

240西京厚志:2007/05/14(月) 03:18:33
>>239
「なんで…なんで忘れているんだ…? ここまで『覚えていない』のは何故だ?
……血、血だ。誰の………だってェーッ!?」
ヘルメットで『リラックマ』は確かに殴ったが…『着ぐるみ』が血を流すか?
鼻血くらいでこんなベットリ…。まず確かめるのは『自分自身』
記憶を辿り、忘れたかった『何か』を掴みたい。

241:2007/05/15(火) 00:06:40
>>240
『西京』は、昼間の出来事を思い出す・・・・・・・・・・・・・・。
脳裏に、聞き覚えのある騒がしい声が響いて来た。
 
「・・・・・・・・・・・しろッ!
誰か・・・・・・・『厚志』が・・・・・・・・・・・・・・」
 
その日━━━━━━━━━━
『西京』は、自分が仕事中の事故に遭った事を思い出した。
突然、頭上から落下して来た鉄骨が、『西京』を無情に押し潰す。
骨が砕け、臓器の潰れる嫌な音が聞こえた・・・・・・・・・・・・・。
微かに温かなアスファルトに倒れた『西京』の目には、地面を静かに伝う、
自身の赤い血が映っていた。
 
『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』

242西京厚志:2007/05/15(火) 04:53:06
>>241
「ウソだ」
意味の無い慰めの言葉だったが、言わずには居れなかった。
心拍数が上がっていくのを感じるが、それもまた幻かもしれなかった。
俺の心臓はとっくに…。
 
「閉じ込めていたのは…『自分自身』ッ!
ハハハハッ! なんて笑い話だッ! どうせならもっとイイ夢見させろっつーの!
………いや、十分いい夢か…『リラックマ』のように…『リラックス』して…な。
ただ俺が受け入れられなかっただけ…って、当たり前じゃねーかッ!
誰が自分の死を簡単に受け入れられる? 俺は『リラックス』を拒んだぞッ!
俺は『死』という『リラックス』を拒むッ! 100%絶望的でもなッ!
それに俺はまだ死んじゃあいねーッ! 『開けると死んでしまう』そう言ったッ!
どうせなら最後まで生き汚く…わめき散らして死んでやるわッ!
『リラックス』なんてクソッ食らえだああああああああ!!」

これが死後の世界、もしくは死の直前の自信の心ならば、自分自身のみが相手だ。
何をする? といっても何か出来るわけでもない。最後まで抗い続けるだけだ。

243:2007/05/16(水) 02:13:40
>>242
『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』
 
気が付くと、『像』の手に見覚えのあるウサギの着ぐるみがあった。
 
『ガチャ』
 
床の蓋が開く・・・・・・・・・・・・・・・・
『像』は、着ぐるみを蓋の下に放り込んだ。

244西京厚志:2007/05/16(水) 02:41:42
>>243
「いらねーつってんだろこの野郎!
こんどはアレか? 『ミッフィー』ってか!? なんでも来いってんだボケ!
やる事もねーからなッ!」
 
と言ったはいいが…奇妙な『恐怖』がある…。確かにワケが分からなくて怖いのもあるが…。
『ミッフィー』そのものに感じている『恐怖』…。
なるべく考えないようにして、さっきの『ヘルメット』のヒモを握る。今更血なんてなんともないぜ。

245:2007/05/17(木) 00:38:14
>>244
蓋が閉じると、少しして『像』が言った。
 
「『興味を持った様でス』。」
 
『西京』は、いつの間にか『流れ』を理解する。
ヘルメットの血は、消えていた・・・・・・・・・・・・だが、それに疑問を抱く事も無い。
そして、『西京』の思っていた通り、蓋が開いた。
 
『ギィ・・・・』
 
中から顔を出したのは、『ミッフィー』の着ぐるみだった。

246西京厚志:2007/05/17(木) 01:18:02
>>245
「オーケーだ。付き合おう。何より…自分はまだ死んでないって実感できるからな」
やや肩の力を抜く、今必要なのは『戦闘』ではなく『理解』。
『ミッフィー』…ウサギをモチーフとしたキャラクターだが、『リラックマ』ほど確固たるキャラがあるような感じがしない…。
『ミッフィー』はどのくらいの大きさの着ぐるみだろうか?

247:2007/05/17(木) 02:38:55
>>246
『ミッフィー』の大きさは、『リラックマ』の着ぐるみとあまり変わらない。
床の蓋から這い出て来た『ミッフィー』は、室内を見回しながらベッドに座り込んだ。
『西京』を気にする様子は無い・・・・・・・・・・・・・・・・。

248西京厚志:2007/05/18(金) 01:48:58
>>247
『ミッフィー』とは…詰まる所『ウサギの女の子』という設定だけだ。
ごく普通に両親がいて、友達と遊んだりする…。
 
「おい、話せるのか?」
 
とりあえず話しかけてみる。

249:2007/05/18(金) 02:20:47
>>248
「・・・・・・・・」
 
『ミッフィー』は、俯いたまま沈黙している。

250西京厚志:2007/05/19(土) 01:04:51
>>249
「……どうすりゃいいんだ」
思った事も口に出してみる。どうなるものでもないが。
 
「中にいるんだろ? なんか妙に落ち着いちまったよ俺も。
オイ、なんか話せよ中の人」
『中の人』を強調して話しかける。
『パイナップルヘアーの人形』はどこいった?

251:2007/05/19(土) 23:54:37
>>250
『ガチャリ』
 
━━━━━━━━━━突然、玄関の方でドアを開ける音が響いた。
ボソボソと話し声が聞こえ、誰かが入って来る気配がする。
『ミッフィー』は、ピクリと動いたが、再び押し黙ったままジッとしている。

252西京厚志:2007/05/20(日) 02:02:04
>>251
「はあ!? ちょっちょっちょっと待てよオイ。
ここは俺自身の中じゃあねーのか? なんで入って来れる?
『ミッフィー』にはそんな『ストーリー』なんてモンは……」
玄関に繋がるドアを睨み、体を強張らせる…。

253:2007/05/20(日) 03:06:03
>>252
室内に、数人の人影が入って来る。
引越し業者らしき作業服の男達に混じって、アパートの管理人の姿もあった。
男達は、室内の家具や調度品を次々と運び始める。
 
「うわッ・・・・・」
 
不意に、キッチンの方で男の1人が声を上げた。
他の男達がキッチンに向かう・・・・・・・・・。
リビングに残った管理人は、ベッドの上の『ミッフィー』を運ぼうと手を掛けた。

254西京厚志:2007/05/20(日) 03:10:26
>>253
「お…おいッ! なんだテメーらッ!
ここは俺の家だッ! 出て行けコラッ! オイッ! 聞いてんのかッ!
おい管理人ッ! こっち見ろや!」
管理人の肩を掴んで引き寄せたい。

255:2007/05/21(月) 01:17:04
>>254
『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』
 
『西京』が手を掛けると、その手が管理人の肩を透り抜けた。

256西京厚志:2007/05/21(月) 13:40:43
>255
「はあ!? ちょっ…マジか!? おいホントマジかよ!?
よしもう分かったぞ。よく考えりゃあそんなに驚く事じゃあねーんだよ。
なんせ俺はあの事故でしっしっししししし死んだのか?」

受け入れがたくとも、状況はもう確実に進んでいく。待っていてもなんにもならないだろう。
もう躊躇や思考をしている時間も精神的な余裕も無い。唯一残された不確定要素…『ミッフィー』に触れる…。

257:2007/05/22(火) 00:09:07
>>256
『ガシィッ!』
 
突然、『ミッフィー』が管理人の腕を掴んだ。
次の瞬間、管理人が声を上げるよりも早く、その口を『ミッフィー』の手が塞ぐ。
必死に抵抗する管理人を押さえ付けた『ミッフィー』は、そのまま床の蓋を開き、
中へ飛び込んだ・・・・・・・・・・・・・・。
 
『ドドドドドドドドドドドドドドドド』
 
少しして、『ミッフィー』だけが穴から出て来る。
床の蓋を閉めた『ミッフィー』は、無言のまま再びベッドの上に座った。

258西京厚志:2007/05/23(水) 01:58:42
>>257
「んなァッ!? ちょっナニやってんだテメェ!
っつか喋れ! ボケ!」
ヘルメットを持った手で『ミッフィー』を突き飛ばす。
 
「おいッ! 返事しろッ! 『何が起こってる』!!」

259:2007/05/24(木) 00:56:57
>>258
『パシィ!』
 
素早くヘルメットを奪い取った『ミッフィー』は、花弁が開く様に×の口を開いた。
 
「チェメェ・・・・・」
 
か細い声が響く。
 
「『この部屋』は、アタチのもんだよッ!
前から狙ってたのに・・・・・・・・・・・・バカな管理人め!!
ブチ殺してやったけどねェ〜〜〜〜〜〜〜。」
 
ヘルメットを持った『ミッフィー』は、ベッドから立ち上がった。
 
「キッチンの連中もブチ殺すわッ!
アタチ、気が短いの・・・・・・・・ウケケケケ。」

260西京厚志:2007/05/25(金) 01:05:57
>>259
「コイ…ツッ! ヤベェぞ! 『リラックマ』の比じゃあねえ!」
『絵本』だッ! 『絵本』を探すッ!

261:2007/05/25(金) 01:32:39
>>260
周囲を見回すと、部屋の隅に立っている『像』に気付いた。
その手には、絵本を持っている。
 
『ゴパァッ!』
 
「ウギャアァァ!!」
 
不意に、室内に悲鳴が響いた。
ベッドを見ると、『ミッフィー』の姿は消えている・・・・・・・・・・・。

262西京厚志:2007/05/25(金) 02:02:13
>>261
「オイッ お前ッ! 今すぐこれをやめさせろッ! お前がやらせてんだろッ!!」
『像』に走り寄り、『絵本』を奪い取る。

263:2007/05/25(金) 02:32:45
>>262
絵本を奪ったが、キッチンの方からは悲鳴が聞こえて来る。
 
「あの『ミッフィー』の中にいるのは、貴方の隣人の女性でス。
彼女は、自分の意思で動いていまス。」
 
『像』が言った。
・・・・・・・・・・・ふと、キッチンの方が静かになっている事に気付いた。

264西京厚志:2007/05/25(金) 02:38:40
>>263
「隣…人? 狂ってる…何もかも狂っていやがるんだ畜生! 畜生!」
キッチンへと走る。何が起こっているか…想像したくないが、そうするまでもない光景が目の前に広がっている気がする…。
 
「やめろォッ! 俺の夢なら早く覚めてくれよッッ!!」

265:2007/05/26(土) 01:21:09
>>264
キッチンに入ると、床には作業服の男達が倒れていた。
頭部が砕かれており、おびただしい血痕が床に撒き散らされている・・・・・・・・・・・・・・・。
『西京』は、片隅に血塗れのヘルメットが転がっているのに気付いた。
 
『ドドドドドドドド』
 
キッチンの奥に、『ミッフィー』が立っている。
片手に血の付着した包丁を握っており、白い身体に点々と撥ねた返り血が映えていた。

266西京厚志:2007/05/26(土) 03:10:50
>>265
「アンタ…俺の隣に住んでるんだろ? 何やってんだ…ホント…もう…。
なんなんだよお前ええええええええええええ!!」
 
傍らにある『冷蔵庫』のドアノブを掴む。まだ開けない。

267:2007/05/26(土) 03:22:07
>>266
「アタチは、『ミッフィー』でしょ・・・・・・・・・?
ミッフィーの『ミ』は、皆殺しの『ミ』よ!
ウサギが、最も最も最も最も恐ろしいミッフィィィイイイイ!!」
 
『ミッフィー』は、流し台で包丁を洗う・・・・・・・・・・。
そして、倒れている男の1人の足を掴むと、引きずりながらリビングに
向かい始めた。
 
「ルン♪ルン♪」

268西京厚志:2007/05/27(日) 03:56:11
>>267
ガチャッ パシッ ダッ

冷蔵庫を開け、『瓶ビール』を引っつかみ。『ミッフィー』の後頭部めがけて殴りかかる!
無論、奇襲というのは黙ってやるから奇襲だ。


「!!!!!!」

269:2007/05/28(月) 01:39:25
>>268
『ドパァン!』
 
まだ空けていないビール瓶を、『ミッフィー』の後頭部に叩き付ける。
瓶が割れ、『ミッフィー』は前のめりに倒れた・・・・・・・・・・・・。
へこんだ後頭部が、ビール瓶の衝撃を物語っている。
『ミッフィー』は、ピクリとも動かない。

270西京厚志:2007/05/29(火) 00:13:44
>>269
「まさか…だろ。っつーか…しょうがねぇよなこの場合…」
『ミッフィー』の『着ぐるみ』を脱がしにかかる。触れると思うが…。
 
「物には…触れるんだよな。でも人間は触れない…? そしてこれは俺の頭ン中じゃなく現実…。
なのか? いや、どうだ? これも『絵本』の内か?」

271:2007/05/29(火) 03:05:59
>>270
頭部と胴体部が別々になった着ぐるみは、胴体部の背中にジッパーがある。
頭部は、ただ被るだけの代物で、触れる事が出来た・・・・・・・・・・・・。
着ぐるみの中は、空だった。
 
『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』
 
ふと、部屋の片隅に『像』が立っている事に気付く。
その手には、1冊の絵本を持っていた。

272西京厚志:2007/05/29(火) 03:41:05
>271
「!!」
着ぐるみの中身を見て驚く。まさか…『パイナップル男』みたいに・・・?
着ぐるみを逆さにして振ってから…『像』に話しかける。
『絵本』も気になる…一緒に見てみる。

「待て、『何もするな』。頼むから…。
『これ』はお前の意思なのか? 少なくとも…俺は人なんて殺したいなんて思っちゃあいねーぞ。」

273:2007/05/30(水) 02:08:23
>>272
着ぐるみを逆さにすると、干乾びた小さな人形が床に落ちる。
『西京』は、『像』の持っている絵本に見覚えがあった・・・・・・・・・・・・・・。
 
 
『こげぱん―パンのしあわせってなんだろう・・・。』
 
『ガチャ』
 
床の蓋が開く。

274西京厚志:2007/05/30(水) 02:15:19
>273
「こげッ……ぱんだとォーッ!?」
台所から『フライパン』を引っつかみ、『像』からも絵本をひったくる。
そうだ…本棚だ。寝ながら本を読むからな、リビングには『本棚』がある!
リビングへ向かうぞッ!

275:2007/05/31(木) 01:41:43
>>274
『バシィッ!』
 
『像』から絵本を取り上げると、リビングの方に気配を感じた・・・・・・・・・・・・・・・。
 
「『こげぱん』は、焦げたパンで━━━━━━━━━━━
自身の醜い容貌を呪い、他人への憎悪を抱いていまス。
狂っているので、白目を剥いていまス。」
 
『像』が言った。
ふと、『こげぱん』の着ぐるみがキッチンを覗いているのに気付く。

276西京厚志:2007/06/01(金) 04:55:42
>>275
「ンな事誰も聞いてねーんだこの野郎! それ絶対お前が決めたんだろうがッ!」
言い捨てて、リビングに向き直り、『こげぱん』を『フライパン』で指す。
 
「オイッ! 今度はテメーどうする気だッ! 俺には話し合いなんかする気はねーし、
てめーにもねーだろうッ! そこをどけッ! 俺は本棚に用があるんだッ!」

277:2007/06/02(土) 02:11:41
>>276
『ドドドドドドドドドドド』
 
キッチンに躍り出た『こげぱん』が、『西京』に向かって駆け出す。
 
「KYAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」

278西京厚志:2007/06/03(日) 02:07:04
>>277
「武器はいくらでもあんだよアホがッ!」
まずは思いっきりフライパンを投げつける!
そして! 『絵本を破る』! どういう結果になろうと一度は試しておかなければ…。

279:2007/06/03(日) 02:26:06
>>278
『ドヒュッ!』
 
フライパンが、空を切る。
『こげぱん』は、屈み込む様にフライパンを避けると、そのまま頭から
『西京』の足に組み付いた。
 
『ビリィイ・・・・!』
 
絵本を破ったが、何も起こらない・・・・・・・・・・・
バランスを崩した『西京』は、後方に倒れ込む。

280西京厚志:2007/06/03(日) 03:03:11
>>279
「クッソ意味ねぇかッ!? うおっ…離っ…しやがれこの野郎!」
両手で『こげぱん』の頭を押さえる。押さえたうえで、脚を引き抜こうともがく。
この後、『こげぱん』が何らかの行動を起こそうとするなら、必ず一度は手を離す、もしくは片腕だけで掴む状態になると思う。
渾身を込めてもがけば、片腕程度の拘束なら逃げ出せるはずだ。

281:2007/06/04(月) 00:17:50
>>280
『こげぱん』の頭は、(焦げているからか)思ったよりも固い。
 
『ミシッ・・・・・』
 
『西京』の両足を脇に固めた『こげぱん』は、身を屈める様にして
足を抜かれるのを阻んだ。
固い頭が、『西京』の下腹部に押し付けられる・・・・・・・・・・・・・。

282西京厚志:2007/06/04(月) 04:05:57
>>281
「コレ…マジでパンなのかよ!? いや着ぐる…うぐふッ…コイツ…このまま…ッ!?」
腰をねじるようにもがき、一つの場所に圧迫を受け続けないようにしたい。
『こげぱん』の頭を押さえ続ける手には、何か付着しないだろうか?
 
「一つ…質問させろ…テメェは…一体『何味』なんだ? 『具』はあるのか?」
 
脚、腕、口でもって抜け出そうと試みる。

283:2007/06/05(火) 00:19:42
>>282
『こげぱん』は、足を脇に抱えたまま動かなかった。
 
『ズン!ズン!』
 
ふと、『西京』が押さえ付けた頭を、激しく上下させる・・・・・・・・・・・・・。
頭が股間に当たると、『西京』は痛みで全身の力が抜けた。
『こげぱん』の頭を押さえている手を見たが、特に何も付いていない。

284西京厚志:2007/06/05(火) 00:35:09
>>283
「イッデエエエエエエエッ!! なにしやがるこのボケッカスッ死ねッ!!」
結構固い、が、今までの『リラックマ』に『ミッフィー』は殴ってダメージがあった。
同じ着ぐるみ野郎なら同じ感じでブン殴れる…殴る!
 
唯一自由になるのは両腕だ、とにかく頭をブン殴る!
殴りつつ、自分が今どこに倒れてるのか、周りに何があるか、確認する。

285:2007/06/06(水) 00:17:52
>>284
『ボゴォ!』
 
『こげぱん』の頭を殴ると、微かに凹む・・・・・・・・・・。
何度か拳を振り下ろす内に、凹んだ部分がヒビ割れの様に裂け始めた。
『西京』は、キッチンの奥に倒れている。

286西京厚志:2007/06/06(水) 02:30:13
>>285
「ィよっし! 道具に頼る必要は…なさそうだオラァッ!」
一箇所凹んだ部分に集中的に打撃を与える。手を差し込めるようなら、そこを掴んで割り開く!

287:2007/06/06(水) 23:24:03
>>286
『グジュッ』
 
割れた頭に手を差し込むと、生温かい泥の様な感触が伝わって来た。
 
『ガパァア・・・・ッ』
 
『こげぱん』の頭が、中程まで裂ける・・・・・・・・・・・・・。
中には、ドス黒い挽き肉の様なものが詰まっており、零れ出ると共に異臭を放った。
 
『ウジュルウジュル』
 
ふと、引き抜いた『西京』の手に、20センチ程の白い蟲が巻き付いている。
『きしめん』の様に平太い蟲は、『こげぱん』の中に詰まっていた挽き肉の中から
次々と顔を出して来る。

288西京厚志:2007/06/07(木) 01:47:07
>>287
「たっ…めらったッ! ところでッ! なんかッ! 変わるかッ!?
今はッ…考えないッ!!」
その『蟲』を引きずり出し放り投げる! 
足への拘束は緩んでいないか? もがくのは止めず脱出を試みる。

289:2007/06/07(木) 03:14:01
>>288
『こげぱん』は、『西京』の両足を完全に捕らえている・・・・・・・・・。
頭の中から無数に出て来た蟲は、放り投げても次々に『西京』の方へと
這い寄って来た。
 
『ウジュウジュ・・・・』
 
蟲達は、『西京』の衣服や身体の穴に潜り込む。

290西京厚志:2007/06/08(金) 01:21:07
>>289
(『頭』は…この『固さ』だった…。ならッ! 何もかもバラバラにしてやるゥあああああああッ!!)
頭に手を突き刺し、割り広げ、引き千切り、撒き散らす。
頭がなくなったら次は首から右肩へとりかかり、足を拘束する腕を引き千切りたい。
その間決して言葉を発しない。頭部の穴はなんとか頭を振ってやり過ごせそうだが、
それ以外だとケツが一番危うい気がする。気合を入れて引き締めるぞ! 妙な蟲にカマ掘られるなんてまっぴらゴメンだッ!

291:2007/06/08(金) 01:55:47
>>290
『西京』の耳や鼻に、ツルリと蟲が潜り込む・・・・・・・・・・・・・。
蟲を振り払う様に頭を振りながら、『こげぱん』の頭を撒き散らす内に、身体だけが残った。
『こげぱん』が足を捕らえている力が抜け、周囲には無数の蟲達が蠢いている。

292西京厚志:2007/06/08(金) 02:19:58
>>291
(んぐぐぐぐぐぐぐぐ!!)
足を急いで引き抜き、戸棚から『サラダ油』を取り出し、蟲の入った耳に注ぐ。マンガで読んだ事あるぜ!
鼻は、入らなかった方の穴を押さえ、思いっきり吹き出す!
とりあえずは自分の体をなんとかするのが先決だ!

293:2007/06/08(金) 02:54:12
>>292
『こげぱん』は抵抗する様子も無く、すんなりと足が抜けた。
『西京』は、耳の中にサラダ油を注ぎ、鼻から蟲を噴き出す・・・・・・・・・・・・・。
 
鼻の奥に入り込んだ蟲は、鼻腔から口の中に入り込んで行った。
耳から入り込んだ蟲が出る気配も無く、耳の奥で蠢いている。
 
『ウジュウジュウジュ』

294西京厚志:2007/06/08(金) 03:26:37
>>293
「クソがッ! 虫の常識なんて通用しねーか!?」
中指を自分のノドの奥に突っ込んで、吐く。吐瀉物と一緒に蟲を吐き出したい。
吐いたら次に向かうのはリビング。
『耳かき』は確かテレビの上の薬箱の上だッ!

295:2007/06/08(金) 22:07:06
>>294
「ゲロォオオ!!」
 
口から、オートミールに似た白濁色の嘔吐物を吐き出す。
蟲は、出て来ない・・・・・・・・・・・『西京』は、リビングに戻った。
 
『ウジュルウジュル』

296西京厚志:2007/06/10(日) 04:17:35
>>295
「ゲッ…ホッ! ゲホッ! なんっ…で出てこねぇんだよ!!
クソッ耳かき耳かき!」
 
テレビの上にある『薬箱』から『耳かき』を取り出し、慎重に耳の中を探る。

297:2007/06/10(日) 23:30:40
>>296
『西京』は、耳掻きを耳の中に差し込んだ。
 
『ウジュウジュル』
 
蟲は、耳掻きを避ける様に奥深くへと潜り込む・・・・・・・・・・・・・。
 
『ズルゥウウゥゥゥ━━━━━━━━━』
 
 
━━━━━━━━━━『西京』の脳裏に、微かな記憶の断片が蘇った。
身体中の穴に、蟲が入り込む光景・・・・・・・・・・・・『西京』は、その光景を知っている。

298西京厚志:2007/06/12(火) 00:49:27
>>297
「くそっこのっ出て来い…このヤロ! ………………うはッ!?
ンだこれ…まだ…忘れてる何かが……!!」
記憶の断片を拾い集め手繰り寄せ、その正体が一体なんであるかハッキリさせたい。

299:2007/06/12(火) 01:09:53
>>298
『ウジュウジュウジュ』
 
蟲の這い回る感覚が、脳の奥まで染み渡る。
ふと、『西京』の記憶に見覚えのある光景が浮かんだ。
 
『ドドドドドドドド』
 
米粒を敷き詰めたかの様な、無数のウジ虫━━━━━━━━━
それに覆い尽くされているのは、腐乱した死体。
 
「思い出しましたカ?」
 
ふと、部屋の隅に『像』が立っているのに気付いた・・・・・・・・・・・・・。

300西京厚志:2007/06/12(火) 01:42:54
>>299
「うるせぇ…。
コレがお前の作った『偽の記憶』じゃないって誰が保証してくれんだ?
それにさっきの記憶と矛盾してんだろうが、あの血のついたヘルメットはどう納得させてくれんだ?
ええ、オイ? 何とか言いやがれボケ!」
 
グラグラと揺れる視界と精神を奮い立たせ、『像』を睨みつける。

301:2007/06/12(火) 02:04:06
>>300
『像』の手には、開いたままの本があった。
 
『ウジュウジュ・・・・』
 
頭の中で蟲が蠢く。

302西京厚志:2007/06/14(木) 02:48:58
>>301
「うッ…ガっ…!
その本…よこせェッ! テメェ誰の許可得てここにいやがるんだッ!
ココは俺の部屋だ! 俺の体は俺のモンだッ! 俺の頭は心は精神は全部俺だけのモンだッ!!」
『像』に突進し、本を奪い取って中身を見る。

303:2007/06/14(木) 23:16:49
>>302
『バシィッ!』
 
『像』の手から奪い取った本は、文字ばかりの辞書か専門書の様だった。
 
『ファルスメモリーシンドローム』
 
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
 
開かれたページの一文が、目に止まる。
 
 
『ファルスメモリーシンドローム:
本来は存在しない虚構を、過去にあった出来事だと錯覚し、その自分の認識を保持しようと、
脳が無意識のまま連鎖的に偽の記憶を作り続けてしまう病的心理』

304西京厚志:2007/06/16(土) 01:04:01
>>303
「うるせぇ…うるせぇよッ!
だったらどうだって言うんだ!? 何が真実だ!? 何がウソだ!?
俺が死んだのが真実だって言いてぇのか!? それすら妄想かもしれねぇと!?
『俺自身が認めたがらない』真実がまだあるとでも言うかッ!!」
 
その本を『像』へ向かって投げつける!

305:2007/06/16(土) 01:33:50
>>304
「思い出して下さイ・・・・・・・・コレは、『贖罪』でス。」
 
足元に落ちた本を見下ろし、『像』が言った。

306西京厚志:2007/06/16(土) 02:19:23
>>305
「はぁあ!? 『贖罪』!? ナニ抜かしてんだテメェ?
イカれてんのか? 俺が何したのかって…思い出そうにも思い出せねぇんだよさっきから!」

しかしもう『思い出す』以外に手はないようだ…。
どこから始まった? この『異質』はどこからだったのか?
頭を掻きむしりながら『リビング』へと戻り、床にある『蓋』を睨み、もう一度思い出してみる。
今日一日を、昼メシは何を食べたのか、そんな事まで克明に…。

307:2007/06/16(土) 03:19:04
>>306
『西京』は、思い出す・・・・・・・・・・・・。
 
『ドドドドドドドドドドドドド』
 
床の蓋が『何か』に見える。
浮かんで来たのは、バスルームの排水口だった。
円形の排水口に、血の混じった水が流れて行く。
 
『ドパァァアアアアアア』
 
突然、バスルームの光景が『西京』の脳裏に広がった。
バスルームで汗を流す『西京』の手には、ノコギリが握られている。
横たわった女性の首筋にノコギリの刃を当てた『西京』は、それを一気に
引いた━━━━━━━━

308西京厚志:2007/06/16(土) 05:04:32
>>307
『何故』かって、そんな事は今はもう思い出せないし。
わかった所で、それは今スグ俺に何かをもたらしはしない。
 
「はっ はっ はっ はっ はっ……」
 
記憶が混濁する…。
この肌にまとわりつくにおいと…ノコ刃が肌を切り肉を裂いて骨を削る感触は…。
現実なのか? 『リラックマ』より『ミッフィー』より『こげぱん』より!
俺が欲しかった『現実』は『これ』なのか!?
 
「こんな…こんな…こんな…!」
 
目を逸らす。だが足は『バスルーム』へと向かう。
『贖罪』だと? このループの悪夢がソレだっていうのか? クソッタレ! 
そんなもの終わらせてやる! 例えそれがどんな結果を招く事になってもだ!
まずは何もかもを思い出す。
『贖罪』というのならば、『罪』も認めなければならないんじゃあないのか!?

309:2007/06/17(日) 00:25:44
>>308
『西京』がバスルームに向かうと、浴槽の中に血まみれの肉塊がある。
 
『ドドドドドドドドド』
 
バラバラに切断された人体である事は、すぐに分かった。
浴槽から『西京』を覗く様に放置されていた頭部は、目を見開いたままで
驚いた様な表情を浮かべた、隣人の女性だった・・・・・・・・・・・・・・。

310西京厚志:2007/06/18(月) 06:56:19
>>309
「グぶッ!?」
反射的に胃の内容物がこみ上げ、だがなんとか飲み下す。
 
「ぶはッ……はァ――ッ…俺は…『ここから』…止まっているのか…?
…………なら…………『片付けないとな』」
 
台所へ戻り、ありったけの『ゴミ袋』『スーパー・コンビニの袋』を持ってくる。
『こげぱん』はどうなってんだ?

311:2007/06/19(火) 00:58:07
>>310
台所に戻ると、『こげぱん』の姿は忽然と消えている・・・・・・・・・・・・・・。
 
『ブゥーン』
 
ふと、『西京』の鼻先を『蝿』が横切った。
気が付くと、台所を数匹の蝿が飛び交っている。

312西京厚志:2007/06/20(水) 00:13:35
>>311
「……」
考える事を放棄し、ただ与えられた状況だけを淡々とこなす事も考えたが、0.5秒でやめた。
 
「待てよコラ…『台所』だと…?
『ミッフィー』がやったヤツか? 腐敗が早すぎるんじゃあないのか!?」
 
そろりと、台所へ向かう。反射的に鼻に手をやる…。

313:2007/06/20(水) 00:44:52
>>312
台所の一角に、蝿が群がって飛んでいた・・・・・・・・・・。
丁度、床下の収納庫の上である事が分かる。

314西京厚志:2007/06/20(水) 01:28:58
>>313
「なんてこった…俺は…一体どんな人間だったんだよ…?」
さすがに、おかしい、同じように『覚えていなさすぎる』
これじゃあ『リラックマ』達の時と別に変わらない…。
 
「しかし…見過ごすわけにも…」
意を決して、床下の収納庫を開ける…。

315:2007/06/20(水) 02:03:16
>>314
収納庫を開けると、中から大量の蝿と異臭が放たれる。
 
      /´〉,、      | ̄|rヘ
l、 ̄ ̄了〈_ノ<_/ (^ーヵ L__」L/    ∧       /~7 /)
 二コ ,|      r三'_」     r--、 (/    /二~|/_/∠/
/__」             _,,,ニコ〈  〈〉  / ̄ 」     /^ヽ、 /〉
'´                (__,,,-ー''     ~~ ̄   ャー-、フ /´く//>
                                 `ー-、__,|
 
収納庫の中には、体育座りをした男性の死体があった。
すでに腐敗が始まっており、見覚えのあるパイナップルの様な髪型をしている。
 
『ドドドドドドドドドドドドドドドドド』
 
『西京』の脳裏に、男の顔が浮かんだ。
自分の下の部屋に住んでいた男と、言い争った記憶がある・・・・・・・・・・・。

316西京厚志:2007/06/21(木) 03:07:41
>>315
「うガッ…あああああッ!!」
 
バダム! 
 
収納庫の扉を閉める!
 
「『腐ってた』…んだぞ?
『1週間』はかかるモンだろ…?
待て…ちょっと…待てよ……俺は………………『誰だ』?」

人間は『記憶に依る』というのは俺の持論だ。記憶があるから自分は自分を認識できる。
ここまで記憶にないなら…『これはもう俺じゃあない』
先程から『記憶』は『上塗り』され続けている。『そういえば』で思い出す事が異常に多い。
ならば、やはり『全く知らない事』にカギがある。そんなのは最初から分かっていたハズなのに…。
 
『像』を探す。
現実とか虚構とかそんなものはもはやどうでもいい。
覚えていない事は虚構、覚えている事も虚構。なら俺にとって世界に意味は無い。

317:2007/06/21(木) 23:35:49
>>316
『西京』が顔を上げると、台所の片隅に『像』が立っている。
 
「思い出しましたカ?」
 
その手には、小さな黒革の手帳を持っていた・・・・・・・・・・・・・。

318西京厚志:2007/06/22(金) 01:38:34
>>317
「思い出したのか…思い出させられているのかよく分からんが…。
把握はした。『贖罪』という言葉もまぁ、理解できる。実感には乏しいけどよ。
死体は腐ってた…いつ通報されてもおかしくない、というかされているかもしれない。
だが警察が来る事は無いんだろ? テメーの言う『贖罪』が終わっちまうからな…。
誰かが…この『世界』を作っている…。そうだろ?
 
あと、それなんだ? その手帳。よこせよ」
 
妙に気持ちが落ち着きだす。
俺に何をさせたいか、おぼろげながら分かってきたせいだろうか…。

319:2007/06/22(金) 02:07:25
>>318
『西京』は、黒革の手帳を手に取った。
手帳を開くと、見覚えのある自分の字がポツポツと書かれている。
 
 
『たくさん殺した。
もう一度、会って謝りたい。』
 
『死体の臭いが酷い・・・・・・気付かれる前に処理しようとしたが、
もうバラバラにするのは嫌だ。
捕まりたくない。』
 
『誰かが俺を裁くのだろうか。』

320西京厚志:2007/06/22(金) 02:28:05
>>319
「なんてこった……もう…これが『現実』なのか…。
警察に捕まれば…死刑だよな間違いなく…。
そうか…俺自身か…逃げたかったのは………」
 
立っているのも億劫だ…。座る…。
 
「じゃあ…あの時『リラックマ』に従っていれば…。
今頃はペプシでも飲みながら『プリズン・ブレイク』を見ていたかもな…。
…………
 
けど、断ったな、俺は。『リラックマ』をはねつけたな。
俺の無意識が産んだのなら…俺に『リラックマ』を拒む道理なんてなかったんだ。
拒んだんなら…俺は『逃避』を『拒否』したんだよ」
 
手帳を両手で掴み、引き裂く。
 
「おい、俺は戻るぞ。
俺の人生にもう栄光なんて無い。とっ捕まって死刑だろうな。
けどよ、前を向こうと思ったら、立ち向かおうと思ったら、もうそれしかねぇ。
世界中の誰に何と罵られようと、自分自身だけは救わなきゃいけねぇんだ」

321:2007/06/22(金) 02:37:44
>>320
「思い出しましたネ。」
 
『像』が言った。
 
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
 
『ガシィッ!』
 
不意に、背後から誰かが『西京』の腕が掴む。
次の瞬間、別の手が足首を掴んだ・・・・・・・・・・・・・。

322西京厚志:2007/06/22(金) 02:46:18
>>321
「もうなんとでもしろバカヤローだ。
クソックソックソッ! なんで俺の人生こうなっちまったんだ!?
俺はバイトして金貯めて! 車買って女作って! ただそれだけしたかっただけなんだぜ!?
答えろクソッ! 一体どこで間違っちまったってんだああああああああ!!」
 
わめくが、もうどうにもならぬ事を分かっている。
せめて、自分がこれからどうなるかだけは見届けたい…。

323:2007/06/22(金) 23:39:31
>>322
『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』
 
『西京』の身体に、無数の『手』が背後から掴み掛かる。
『手』は、そのまま『西京』を一気に後方へと引き寄せた・・・・・・・・・・。
 
『ドギュウ━━━━━━━━━ン!!』
 
投げ出された身体が、グングン引き寄せられて行く。
吹き抜けの向こうにリビングの見える台所の風景は、遥か遠くに離れて行った。

324西京厚志:2007/06/23(土) 02:16:13
>>323
『償う』と決めた。
これから何が起こるかなんて、想像しただけでヒザが笑うが、そんなヒザは俺にはもう無いかもしれない。
なので腹をくくる。『償い』とはそもそも、自分のためにするものだしな…。

「クソッタレ…。裁判ナシで地獄に直行ってか!?
弁護士呼べぇ! ボケどもがぁッ!」

325:2007/06/23(土) 02:41:56
>>324
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
 
身体の感覚が薄れて行く。
やがて、『西京』の意識も次第に遠のいて行った・・・・・・・・・・・・・・・。
 
 
『ピッ・・・・ピッ・・・・・』
 
単調な電子音が、一定のリズムを刻んで響く。
目を覚ました『西京』は、ベッドの上に横たわっていた。
横に並んだ電子機器は、医療器具である事が分かる・・・・・・・・・・・・頭の上には、点滴が吊るされていた。
身動きは出来ない。

326西京厚志:2007/06/24(日) 02:42:52
>>325
「……………?
……………………!? !! !!!!!
人を馬鹿にすんのも大概にしろこの野郎!」
 
と、声を出そうとする。

327:2007/06/24(日) 23:58:12
>>326
『西京』は、口を被っているマスクの様なものに気付いた。
マスクから送り込まれる空気で、呼吸が楽になっている。
マスクが邪魔で、大きな声は出せない・・・・・・・・・・・。
 
ふと、ドアの開く音が聞こえ、誰かが近付いて来る気配がした。
視線を向けると、白いナース服を着たボンレスハム風の中年女性が立っている。

328西京厚志:2007/06/25(月) 03:15:49
>>327
(畜生…だがとりあえず、声を出せるって事は致命的な障害は無いってことだと…信じたいな…。
イヤ、それより問題は…ここは『警察病院』か? ってことか…。
………………なんだ、それともここは肉屋か? 自己管理のできねーヤツに看病されたくねーってカンジだな)
 
意識が戻った事は分かっているだろう、視線を向け、何度かまばたきをしてみる。

329:2007/06/25(月) 22:18:03
>>328
少しして、中年女性と視線が合った。
 
「あら・・・・・」
 
点滴を交換していた女性は、その手を止めると『西京』の顔を覗き込む。
 
「気が付きましたか?
『西京』さん・・・・・・・・覚えてますか?
貴方、鉄筋の下敷きになって、大変だったのよ。
今、先生を呼んで来るわね・・・・・・・・」
 
女性は、そう言い残すと、小走りに部屋を出て行った。

330西京厚志:2007/06/25(月) 22:24:36
>>329
(なんだ…? 少なくとも『犯罪者』への待遇じゃあねーな…。
これが…本当の記憶…で、いいのか? 
いや………『事故』だとすればそれはそれでまた問題はあるんだ…。
『俺はまだ帰宅していない』)
 
自己の衝撃でかなんか知らんが…記憶は曖昧になっているようだ。
今日の、朝起きて朝食を食べる時から、順に追って思い出そうと試みる。

331:2007/06/25(月) 23:58:10
>>330
天井を見つめたまま、『西京』は一日を順に思い返す。
午前中の仕事を終え、昼食の休憩に入った『西京』は、コンビニで弁当を
買いに行こうとした・・・・・・・・・・・・・
直後、何かが自分の身体を押し潰し、そこで記憶が途絶えている。

332西京厚志:2007/06/26(火) 00:04:59
>>331
(家には…おかしなとこは無かったよな…多分。
イヤ、今考えてもぶっちゃけしょーがねーな。結局は事実はただ横たわっているだけで、
俺がベッドの上で身じろぎした所で変わるもんでもない)
 
思い出すのを中断する。指先、足先を動かしてみる。どこまで痛み無く動かせるか?

333:2007/06/26(火) 00:24:59
>>332
手足を動かしたが、感覚は無い・・・・・・・・・・・。
左腕からは、点滴の管が数本伸びている。
両足は、キブスで固めてあるらしく、足首から上を動かす事は出来なかった。
 
『ガチャ』
 
ふと、白衣を着た中年の男性が部屋に入って来る。
続いて、先程の中年女性が入って来た・・・・・・・・・・・中年女性の後ろからは、さらに
別の若い女性が続いて来る。
 
「気分は、どうですか?」
 
中年男性は、そう尋ねながら『西京』の顔を覗き込んだ。

334西京厚志:2007/06/26(火) 00:32:06
>>333
「最悪だよ…全くワケわかんねぇし…」
出来るだけ声を出して答える。
 
「?」
医師、看護婦は分かる。スゲーよく分かる。
もう一人の若い女も看護婦か? 服装を見れば一目瞭然だが…。

335:2007/06/26(火) 00:56:48
>>334
『西京』の声は、少しくぐもって響く。
若い女性は、紺色のスーツを着た見知らぬ人物だった。
中年の男女から少し離れ、『西京』の様子を窺っている様に見える。
 
「覚えていますか?
鉄筋の落下事故に巻き込まれて、かなり危険な状態でした。
3日間、昏睡状態だったんですよ・・・・・・・・・・『西京』さん。」
 
中年男性は、そう言いながら『西京』の瞳孔や脈拍を診た。

336西京厚志:2007/06/26(火) 01:08:52
>>335
「ああ…そうか…」
医者の話はそれほど聞いていない。
どうにも若い女が気になる・・・。
 
「そっちのは…誰だ?」
診られながら、質問する。

337:2007/06/26(火) 01:22:56
>>336
『西京』の言葉に、中年男性は若い女性の方をチラリと見た。
 
「ああ、貴方の会社の代理人の方で・・・・・・・」
 
中年男性が言葉を詰まらせると、若い女性が歩み寄って来る。
 
「『沢丘』です・・・・・・・『西京』さん、初めまして。
今回の事故の件で、色々と御協力して頂く事になりますが・・・・・・・
今は、治療に専念して下さい。
今日は、たまたま立ち寄っただけですので。」
 
女性は、どこからか名刺を取り出すと、『西京』の枕元に置いた。

338西京厚志:2007/06/26(火) 01:50:15
>>337
「あァ…よろしく…」
 
何か腑に落ちないが…言うとおりだ、今は何にしても怪我を治さなければいけない。
名刺を見ることはできるか?

339:2007/06/26(火) 23:22:36
>>338
名刺に目を向けようとしたが、首がギプスで固めてあるのか回らない。
 
「では、私はこれで・・・・・・・・・」
 
『沢丘』と名乗った女性は、軽く会釈をして部屋を出て行く。
中年男性は、手にしたクリップボードに何か書いている・・・・・・・・・・・・・・・。
 
『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』
 
ふと、中年男性の頬の、シールが貼り付いた様な『文字』に気付いた。
 
 
『”消えろ、ヤブ医者”と言え』
 
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

340西京厚志:2007/06/27(水) 01:04:12
>>339
(しかし…全治1ヶ月ではきかんだろうなぁ。
3ヶ月はかかるんじゃあ…? なんだ? 何か『書いてある』ぞ…?)
 
「き・えろ…ヤブ、医者? …はッ!?」
 
口に出してから、何を言ったのか気づいた。
 
「なッ…なぁッ! 鏡見ろ鏡! 顔にヘンな『文字』が…!」

341:2007/06/27(水) 01:21:01
>>340
「ん・・・・・何か、言いましたか?」
 
中年男性は、そう言ってクリップボードから顔を上げた。
後ろから、中年女性が口を挟む。
 
「鏡が欲しいんですか?」
 
「ああ、鏡か。」
 
中年男性は、中年女性と『西京』とを見比べながら言った。

342西京厚志:2007/06/27(水) 02:01:52
>>341
「そっ、そうだッ! 鏡が見たいぞッ!
俺の顔がどうなってるか確認したいッ!」
 
危なかったが…ホッとした。医師が振り向けば看護婦はその顔を見るだろうしな…。
それに、自分の顔に異常はないかも確かに気になる。イケメンだからな俺は。

343:2007/06/27(水) 02:16:19
>>342
中年女性が、部屋を出て行く。
残った中年男性の顔には、まだ『文字』が残っていた・・・・・・・・・。
 
「安心して下さい、頭部に大きな傷はありませんでしたから。」
 
中年男性が言った。

344西京厚志:2007/06/27(水) 02:23:33
>>343
(はぁ!? 分かった! コイツ嫌われてんだ!
 
ンなワケあるかッ!)
 
「なぁ…あんたも鏡見てみろよ。なんか顔に書かれてんぞ」
もうストレートに言う。
 
(まさか…この『文字』…!)

345:2007/06/27(水) 02:33:26
>>344
「え・・・・・?」
 
中年男性は、訝しげに自分の顔を触った。
少しして、中年女性が長方形の据え置き式鏡を持って来る。
 
「ちょっと、その鏡を見せて下さい。」
 
男性は、女性に鏡を向けさせると、顔を映した・・・・・・・・・・・・・。
 
「何も書いていませんよ、『西京』さん。」
 
『西京』に向かって、男性は不審気に告げる。

346西京厚志:2007/06/27(水) 02:45:04
>>345
「あ…あァ…スマン…目がショボショボして…ホラ、ずっと目をつむってたから蛍光灯がさ…眩しいんだ…。
ただの見間違いだよ…」
 
もう一度、医者の顔に『文字』があるか確認する。

347:2007/06/27(水) 03:05:40
>>346
再び中年男性の顔を見ると、『文字』は消えていた・・・・・・・・・・・。
 
「鏡ですよ、『西京』さん?」
 
中年女性が、『西京』の目の前に鏡を向ける。
鏡には、呼吸器を付けた『西京』の顔が映っていた。
先の言葉通り、大きな傷は見当たらない。

348西京厚志:2007/06/27(水) 03:21:44
>>347
「わかった…どうかしていたんだ…。
当たり前だろ…? 鉄骨の下敷きになったんだ、ちょっと言動がおかしいくらい気にすんなよ…。
ああ、あと、枕元の名刺を見せてくれよ、それでもう満足するからさ。
いや、まだ、出来ればさっきの…『沢丘』さんに連絡が取りたいんだ、どうにかなるかな」
 
鏡に目を向けたくない…。

349:2007/06/28(木) 01:02:34
>>348
中年女性は、持って来た鏡をベッドの横にある小さな棚の上に置いた。
 
「今日は、まだ安静にしていて下さい。
この名刺は、ココに置いておきますから・・・・・・・・。」
 
中年男性が、枕元の名刺を鏡の横に置く。
長く話したからか、興奮したからか、『西京』を疲労が襲った・・・・・・・・・・・・・・・。
 
『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』
 
ふと、天井の隅の『人影』に気付く。
視線を向けると、見覚えのある中年の女性が『天井に』四つ這いで張り付いていた。
身体が血塗れの女性は、『西京』に向かって目を見開いている。

350西京厚志:2007/06/28(木) 01:47:29
>>349
(思った以上に…疲れたな…今日はもう眠……!?)
 
ビックゥ!
 
と音がするなら聞こえるくらいに驚いた。
だが俺をナメんなよ、もはや俺の経験値はレベルアップ寸前だ。
これくらいの理不尽さ…受け入れてやるわボケッ!
 
「おいテメェ…まだいやがんだろ…終わったと思わせといて…いい加減趣味が悪いぜッ!!
出てこいッ!! 俺の体もこのケガも…ウソなんじゃあねーのかッ!」
叫んで、腕を動かそうとしてみる。

351:2007/06/28(木) 02:44:22
>>350
腕を動かそうとしたが、ギプスで固めてあるらしく動かない。
右手の手首から下が、辛うじて動かせる程度だった。
 
「『西京』さん、落ち着いて・・・・・・・」
 
中年女性が、『西京』をなだめる。
 
『ベキィッ!』
 
次の瞬間、『西京』の身体がベッドから転がり落ちた。
全身に激痛が走る・・・・・・・・・・・・。
2人の慌てる声を聞きながら、『西京』は意識を失った。

352西京厚志:2007/06/29(金) 02:35:49
>>351
「そういう人間らしいセリフは人間らしい体勢でいえyギャッ!!」
気を失う…。

353:2007/06/30(土) 00:14:29
>>352
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
 
身体の感覚が薄れて行く。
やがて、『西京』の意識も次第に遠のいて行った・・・・・・・・・・・・・・・。
 
 
『ピッ・・・・ピッ・・・・・』
 
単調な電子音が、一定のリズムを刻んで響く。
目を覚ました『西京』は、ベッドの上に横たわっていた。
横に並んだ電子機器は、医療器具である事が分かる・・・・・・・・・・・・頭の上には、点滴が吊るされていた。
身動きは出来ない。

354西京厚志:2007/06/30(土) 02:44:38
>>353
(クソッ…クソッタレ…。
混乱していたが…あのブラ下がっていたヤツ…ありゃあ誰だ?
あれも俺が殺したうちの一人とでも言うのか?
ハッ、しかし妙だよな、身動きの出来ない今の方が、現実らしいと脳が認めたがってる…。
兎にも角にも、体を直さなきゃあどうにもならん、身動き出来ない以上抵抗もできねぇし…。
悪夢と思って付き合うしかないか…?)
 
軽く、声を出してみる。

355:2007/06/30(土) 20:13:13
>>354
『西京』は、口を被っているマスクの様なものに気付いた。
マスクから送り込まれる空気で、呼吸が楽になっている。
マスクが邪魔で、大きな声は出せない・・・・・・・・・・・。
 
ふと、ドアの開く音が聞こえ、誰かが近付いて来る気配がした。
視線を向けると、白いナース服を着たボンレスハム風の中年女性が立っている。
・・・・・・・・・・・ふと、中年女性の背中に、シールが貼り付いた様な『文字』が見えた。
 
 
『”豚”と呼んで』
 
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

356西京厚志:2007/07/01(日) 03:03:00
>>355
(『豚』…。
あの『文字』は一体なんだ?
誰かが貼り付けているんだろうが…いつの間にか現れて、消えたりする。
それにどうやら、あの『文字』は俺宛てらしい。
『ヤブ医者』に『豚』 なんだ? 『文字』貼ったヤツは俺と医者をケンカさせてぇのか?
それで得をする奴なんて…そもそも、悪口言ったくらいで瀕死の患者を強制退院とか無ェ話だし)
 
色々と考えていると、急におかしくなってきた。
一体どんなヒマな奴がケガ人にチョッカイかけてんだ? 100歩譲って俺が殺人犯だとしよう。
その復讐なのか? なんなのか知らんが、あまりにも見えなさ過ぎる。
何を言っても、何を思っても、怪我は治ったりしないし、身動きもできない。
刺し殺すにしても楽なモンだろう?
 
「ブーブー苦しいブー」
 
なんてふざけて言う余裕も出てくるワケだ。

357:2007/07/01(日) 18:51:25
>>356
「あら・・・・・」
 
中年女性は、『西京』の顔を覗き込んだ。
 
「気が付きましたか?
ビックリしたわ、『西京さん』・・・・・・・・突然、ベッドの椅子が折れるなんてねぇ。
金属疲労らしいけど、貴方も運が悪かったわね・・・・・・・・・・。
又、怪我が増えちゃって。」
 
『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』
 
ふと、部屋の隅に『像』が立っているのに気付く。

358西京厚志:2007/07/02(月) 11:26:47
>>357
(どうせそんな事だろうとは…)
可能な限り首を動かして『像』を見る。
 
「で、今度は何をさせたいんだ? ええ?
お前は俺にしか見えないんだろ? 分かってんぞ」
 
重傷者のウワゴトなんてのはよくある話だ。看護婦の存在は無視する。

359:2007/07/02(月) 22:55:00
>>358
「どうしたの?
『西京』さん・・・・・・」
 
中年女性が、訝しげな顔で『西京』を見ている。
『像』は、何も答えなかった。
 
『ドドドドドドドドドド』
 
ふと、顔に影が掛かる・・・・・・・・・・・天井を見ると同時に、何かが落下して来た。
 
『グチャッ!』
 
固い物体が『西京』の顔面に命中し、鼻とマスクの割れる音が耳に響く。

360西京厚志:2007/07/03(火) 04:28:16
>>359
「思えばさっきのベッド…お前の仕業だな。
実力行使に出たって事ァ、どうやらコレは現実n」
 
『グチャッ!』
 
「ヒギッ? ギャアアアアアアアアアア!!」
 
何だ!? 何かいたのか!? 『天井』に!?
見たはずだ! 俺には見えたはずだ! 何がいたッ!!

361:2007/07/03(火) 23:22:54
>>360
天井を見上げると、天材の一部が崩れていた。
『西京』の悲鳴が響く中、中年女性は何か言った後、部屋を飛び出す。
呼吸が乱れ、鼻や口から血が流れ出るのが分かった・・・・・・・・・・・。
 
『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』
 
ふと、『像』が傍らに立っている。

362西京厚志:2007/07/04(水) 04:33:48
>>361
「ガブッ…ブッ、ペッペッ 
『ナメすぎ』ってか…? テメー…。
ああ…死ぬほど痛ェよクソッタレ。『贖罪』の続きか…?
まずは罪を認めさせて…『裁く』ってか…! 
なんでさっきから黙ってんだ・・・? まぁ、執行人がベラベラ話してもアレだっつーコト?」
 
痛いが、不敵な態度を取る。
 
「アイツがクセェ…あの女…! 明日の朝まで生きてたら…話を聞かなきゃあな…」

363:2007/07/05(木) 03:01:08
>>362
「これが『贖罪』でス・・・・・・・・・・・貴方の望んだ。」
 
『像』が言った。
 
「死んだ者の『怨みのパワー』を操作するのが、私の『能力』。
そして、貴方は『怨みのパワー』が消えるまで、『贖罪』をしなければならなイ。
『文字』に従って下さイ・・・・・・・・・・・・・・従わなければ、『攻撃』が行われまス。」
 
 
『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』

364西京厚志:2007/07/05(木) 04:14:07
>>363
「なんてこった…。
畜生。どこまでウワゴトでごまかせるか…」
 
実際に攻撃は行われている。信じるしかないか…。
俺が殺したらしいヤツは……まぁさっきの天井のヤツだろうな。
ソイツは、俺の人間関係をメチャクチャにするのがお好みのようだ。
とりあえず従っとこう、気分は悪いが、命あってのモノダネだしなぁ…。
 
意図せず口に入った鼻血の味に顔をしかめながら、あのハム女でも待つか…。

365:2007/07/06(金) 01:50:42
>>364
やがて・・・・・・・・・・・・中年女性が、同じ制服を着た若い女性を連れて戻って来た。
その後に続いて、白衣姿の若い男性が入って来る。
3人は、血塗れだった『西京』の顔を拭き、傷の処置をテキパキと行った。
十数分後、『西京』の容態も落ち着きを取り戻す・・・・・・・・・・・・・・・。
 
『ドドドドドドドドドドド』
 
ふと、崩れた天材の辺りに『文字』が見えた。
 
 
『ウンコしろ』

366西京厚志:2007/07/06(金) 03:25:07
>>365
「はぁ!?」
 
声に出てしまった。鼻に響いて痛いが…ホントに、まさしく『クソッタレ』だな!
クソッ! 人殺しなんてするもんじゃねぇぞ!
 
 
グッ…グググググッ
 
(赤ん坊でもあるまいし…まさかこうして人前でクソをするハメになるなんて…)
 
力む。

367:2007/07/06(金) 03:38:53
>>366
『ブリ・・・・・』
 
歪な音と共に、少しずつ室内に異臭が広がる。
やがて、3人の鼻腔を異臭が感じ取ると、その表情を険しく変えた。
ベッドに横たわったままの『西京』は、マットと臀部の隙間を生温かい物体が
粘土の様に埋め広がって行くのを感じていた・・・・・・・・・・・。
括約筋が動く度、傷付いた身体が悲鳴を上げる様に軋む。
 
「ごめんなさいね、『西京』さん・・・・・・」
 
中年女性が『西京』の足元の布団をめくり、ズボンを下ろした。
漏便の背徳感と衆人環視の羞恥心の中、『西京』は緩やかに意識を失う・・・・・・・・。

368:2007/07/06(金) 03:47:38
退院するまでの半年間━━━━━━━━
『西京 厚志』は、病院内での蛮行を繰り返した。
疎まれながら、『西京』は自分の『能力』に少しずつ気付いて行く。
『西京』の『贖罪』は、3つ・・・・・・・・・・・『3人分』。
『贖罪』は、まだ続く。

369:2007/07/06(金) 03:49:32
『自動操縦型スタンド』。
殺された人間の『魂』を取り込み、その『怨みのパワー』を操作する。
怨まれている者は、自身にだけ見える『文字』に従って行動しなければ、攻撃される。
攻撃は、『魂』の抱く憎悪が消えるか、対象が死ぬまで続く。
又、『文字』による指示内容は、取り込んだ『魂』が決める。
『贖罪』が目的なので、直接傷付ける様な指示は無い。
 
 
『デッド・レノン』 人型/人工・機械型
 
パワー:C スピード:C 射程距離:B
持続力:A 精密動作性:C 成長性:A

370:2007/07/06(金) 03:53:50
『贖罪』を終えた時、『西京』は『スタンド』を理解している。
そして、自分が何をすべきかも・・・・・・・・・・・・
 
 
『BEAR in the ROOM』
        →THE END


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