したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

【二日目】スタンドコンテスト・ネタ部門【崩壊】

37『弓道』:2004/12/19(日) 21:45
警視庁。
どこをどうやったらこんな建物が税金で建てられるのか、神々しいまでに壮大な作りのその最上階。
そのフロアすべてを使って作られただだっ広い部屋の奥の奥で、警視総監ディオ・ブランドーは無表情にPCの画面を眺めていた。
この部屋に、彼以外の人間が入ることは滅多になく、また警視総監である彼が人前に姿を現すことも殆どない。
報告・命令・指示。
そのすべてを、ディオ・ブランドーはPCを通して下の者に伝える。
だから、この警視庁で働く全ての人間のうち、役9割の者がたまにこんな疑問さえ抱く。
――警視総監って、本当に存在してるのだろうか。
――もしかして、そんな人間はいなくて、コンピューターが全ての命令を下しているんじゃあ・・?
だが、確かに警視総監は存在する。
この建物で働く全ての人間が、疑いながらもその圧倒的なまでの巨大な圧力を少なからず感じているのも事実。
ディオ・ブランドーとはそういった男だった。
そして、そんな彼に近づけるのは、
「・・すぐに来い。ヴァニラ・アイス」
ディオは、もっとも信頼する副官をインターホンで呼んだ。

革張りのイスに深く腰掛け、ディオは目の前に立つ副官を見た。
白い髪に白い肌のその男は、優雅なしぐさでディオに向かって一礼する。
「ディオ様」
ディオは、胸の前で両手の指を交差させ、無言でヴァニラ・アイスを見つめる。
ヴァニラ・アイスは無表情なまま。
ややあって、ディオは口元をほころばせた。
そして、言う。
「やはり、この私に見つめられて目を反らさないのはおまえだけだな、ヴァニラ」
「……」
「そして、余計なことは一切口にしない。質問もしない・・ふふ」
だから、おまえが好きなのだ。ヴァニラ・アイス。
ディオは、金色に輝く長い髪を揺らして副官を手招きする。
音もたてずに、ヴァニラ・アイスはディオに一歩近づいた。
「ヴァニラ・アイス。賢いおまえのことだ。どうしてここに呼ばれたかはわかっているな」
「はい。ディオ様」
「よろしい。私は、どこかの成金が小さな石の一つ二つ盗られようが無くそうがそんなことはどうでもよい。
 私にとって重要なのは、"ここ"が私の世界であるということだ。この街は私のものだ。
 その私の街で好き勝手に遊ぶやつがいるのが許せないのだ。・・ヴァニラ」
「はい。ディオ様」
「ヤツを、捕らえろ。あの"スタープラチナ"を捕らえ、ここにつれてこい」
「はい。ディオ様」
余計なことを話さないのはいいのだが、こうまで"はい。ディオ様"ばかりもつまらないものだと、ディオは勝手なことを思った。
「さて。ではヴァニラ。"スター・プラチナ"について今現在わかっていることを確認しておこうか」
「はい。・・"スター・プラチナ"性別男。年齢・本名その他経歴一切不明。
 身長・体重もともに不明ですが、見た者の話しによればかなり上背があるようです。
 窃盗で過去7件立件。そのどれもが本人不在のまま送検されています。
 やつが狙うのは名のある宝石ばかり、その他のものには一切目もくれません。
 その手口は巧妙というよりは大胆。深夜、堂々とセキリュティをこわして目当てのものを盗んでいます。
 ですので、大抵警備または警察の者と鉢合わせになるのですが、一度も捕まってはいません。
 以前、あせってやつに対し発砲した者がいるのですが、その者は、
 "拳銃の弾が彼の顔の前でピタリと止まって床に落ちた"と証言しています。」
ヴァニラ・アイスはそこで言葉を切り、ディオの顔を真正面から見た。
ディオも、ヴァニラ・アイスを見ていた。
「・・おまえも、そう思うか?ヴァニラ」
ゆったりとしたイスに身を沈め、ディオは手元の金の万年筆を転がし弄びながら言う。
ヴァニラ・アイスはうなづいた。
「はい。おそらく、やつは・・」
「我々と同じ種類の人間らしいな。」
おもしろい。
そう、ディオは思った。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板