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【二日目】スタンドコンテスト・ネタ部門【崩壊】

36『弓道』:2004/12/19(日) 21:44
>>7
怪盗・スタープラチナ!!

第1話 白金(プラチナ)の輝きを持つ男

夜の街の喧騒が一段落しかける午前3時。
都会の高層ビル群の中でもひときわ目立つその建物。
その屋上に彼はいた。
深い闇の中、くっきりと浮かび上がる白金のシルエット。
上空のきつい風にさらされ、はためく漆黒のロングコート。
その肩の部分には、どうやって止めてあるのか白金に輝く太い鎖が垂れ下がっている。
彼は、微動だにせず立っていた。
と、突然、彼の上空に一機のヘリが現れバリバリという轟音と突風を夜の空に撒き散らす。
ヘリからは、拡声器のようなもので増幅された誰かの声。
「スター・プラチナ!そこまでだ!!両手を頭の後ろで組みひざを落とせ!!」
ヘリの横腹には"警視庁"の文字。
だが、彼はその声など聞こえていないかのように身動きひとつ、それこそ指一本動かすことなくその場に立ったまま。
また、声がする。
「スター・プラチナ!!言うとおりにするんだ!機銃が狙っているのが見えないか!!」
ヘリの投げ出すサーチライトの光が彼を捉え、闇に溶け込んでいた彼の全貌があらわになる。
黒い髪。
黒い瞳。
目深にかぶった黒い帽子。
広い肩幅、驚くほどの上背。
そして、やはり彼は動かない。
業をにやしたような声がまたヘリの中から飛び出してくる。
「スター・プラチナ!!」
機銃が、少し動いた。
その瞬間。
彼は、飛んだ。
突然に、なんの前触れもなく、なんの助走もなく、彼はビルの屋上からその身を夜の空へと舞い躍らせる。
体になにかつけているわけではない。
手にロープを持っているわけでもない。
体ひとつで、彼は夜空に舞い上がり、何十メートルもの距離を、飛んだ。
そして、少しずつ下降しながら高層ビル群を足場にしてひらりひらりとヘリから離れてゆく。
「しまった!!」
ヘリの中にいた警察官が叫び、操縦席に座る一人があわててヘリを反転させる。
だが、すでにあたりに彼の姿はなく、まぶしいサーチライトは狭いビルの谷間を映し出すばかり。
照準を失った機銃が、反転した勢いでガクンとその頭を垂れた。
夜明けまでまだ遠い深い闇の中、むなしくヘリの爆音だけが上空に響いていた。

「承太郎さん」
広い屋敷の庭に降り立った彼を待っていたのは、弾んだ明るい声だった。
「お疲れっす。その様子だと、今夜も成功したみたいっすね」
日本庭園ふうの庭を、彼は歩き出しながら駆け寄ってきたその声の主を見た。
そして、
「・・これを、いつものように研究室へ届けておいてくれ。丈助」
ポケットの中から取り出した赤いキラキラ光る石のようなものを、ポンと投げる。
「了解っす!」
丈助と呼ばれた、年の頃は16,7歳といったカンジの少しヘンな髪型の少年は、
その赤い石を大切そうに握り締めて、パタパタと屋敷のほうへと駆けていった。
丈助が駆けてゆく後姿を見送りながら、彼はそばにある丸い池のほとりにたった。
ポケットから煙草を取り出し口にくわえて火をつける。
そして、一言
「・・やれやれだぜ」
そう、言った。


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