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『文学作品を読もう!』

1:2004/10/17(日) 02:03
『ケイト・モナミー』が訪れたのは、街の片隅に建つアパートだった。
外観は、御世辞にもキレイとは言い難く、古びた安アパートという印象を感じた。
 
「よく来たね・・・・・・・・初めまして。」
 
『ケイト』を迎えた老人の外見は、50〜60代。
穏やかな物腰で、その口調や雰囲気に紳士的な『清廉さ』を感じた。
老人は、『ケイト』をアパートの中へ案内すると、奥にあるエレベーターへと
乗り込んで『B2F』のボタンを押す・・・・・・・・・・・。
 
「私の事は、『リート』と呼んでくれたまえ。
君に頼みたい仕事は━━━━━━━━━━━」
 
エレベーターが目的の階に到着し、ドアが静かに開いた。
その向こうには、大きなテーブルに乗った『印刷機』らしい機械が見える。
 
「『本』を作る手伝いをして貰いたい。」

137:2004/11/01(月) 01:22
>>136
仕度をしていると、『リート』の指定した時間が近付いている事に気付いた。

138ケイト・モナミー:2004/11/01(月) 01:26
>>137
「やばいやばい!急がないと!」
急いで叔父さんの4WDに乗りこむ。

139:2004/11/01(月) 23:28
>>138
4WDは、どこにも見当たらない。
(叔父は、『リート』のアパート前に運んでいる・・・・・・・)

140ケイト・モナミー:2004/11/01(月) 23:46
>>139
「ああそうだった。うっかりしてたわ。」
急いでアパートに。

141:2004/11/02(火) 00:04
>>140
アパートに着くと、叔父の姿が見えた。
その傍らには、4WDも確認出来る。
 
「やあ、おはよう。」
 
叔父は、軽く手を上げて『ケイト』に呼び掛けて来た。

142ケイト・モナミー:2004/11/02(火) 00:07
>>141
「あ、叔父さん。今日はすみません。借りた上にこんなところまで運んでもらって。」
軽く挨拶。

「そういえば叔父さんは『月の思い出』って見ました?
 あの作品どこかで見た覚えあったりしません?」

143:2004/11/02(火) 00:37
>>142
叔父は、ポケットから鍵を取り出しながら答える。
 
「ああ、あの本ね・・・・・・・よく本屋で見掛けるよ。
うちじゃあ、俺以外全員読んで泣いてたなぁ。」

144ケイト・モナミー:2004/11/02(火) 00:47
>>143
「あの作品にまつわる黒い噂とか知らないですか?
 例えば作者と知り合いが争ったとか。」
(うーーーん…これしか思い浮かばないな…普通に版権争いだとは思えないけど…)

145:2004/11/02(火) 01:02
>>144
「俺に聞かれても知らないな。
そういうのは、ワイドショーなんかでやってるんじゃあないか?
これだけ売れてるんだ、何かあったら話題になってるはずだろ。」
 
叔父は、そう言いながら『ケイト』に鍵を手渡す。
 
「大事に使えよ?
お前の家に置いといてくれれば、後で取りに行くから。」

146ケイト・モナミー:2004/11/02(火) 01:07
>>145
「そう…そうですね。
 話題になってない異常は問題はないっぽいですね。」
(コトがコトだけにもしスキャンダルがあったらゴシップ誌以外にも取り上げられるはずよね。)

「ありがとうございまーす。じゃあまた後で。」
鍵を受け取る。

147:2004/11/02(火) 01:28
>>146
叔父は、小さく手を上げて別に用意していたらしいワゴン車に乗り込んだ。
ワゴン車が走り去り、その姿が見えなくなった頃・・・・・・・・・・・
 
「『ケイト・モナミー様』ですか?」
 
不意に、背後から声を掛けられた。
振り向くと、見知らぬ中年の女性が1人立っている・・・・・・・・・。
眼鏡を掛けたインテリ風の白人女性で、薄紅色のスーツを着ていた。

148ケイト・モナミー:2004/11/02(火) 01:38
>>147
「はい?そうですけど。
 えーと…どなたでしょう?」
(この手の人で今私に声かけてくるととしたら今回の仕事関連ぐらいしか…)
(うーん…この人はリートさん関係かな。それともフリント氏の秘書かな。)

149:2004/11/03(水) 00:41
>>148
「『ミスター・リート』は、所用の為に来られなくなりました。
貴方が宜しければ、屋敷の方へ直接御招きする様に・・・・・・・・・・との事です。
いかが致しましょう?」
 
女性は、事務的な口調で言った。
ふと、その後ろにはベンツらしき車が1台停まっている。

150ケイト・モナミー:2004/11/03(水) 00:45
>>149
「うーん…車で来たので。この車に乗ってついていきます。」
4WDを指差す。

151:2004/11/03(水) 00:50
>>150
「分かりました。
では、御案内します・・・・・・・・付いて来て下さい。」
 
女性は、『ケイト』の(叔父の)車を一瞥すると、ベンツの後部座席に乗り込んだ。

152ケイト・モナミー:2004/11/03(水) 00:54
>>151
「馬鹿にしたわね。4WDだって凄いだから!」
4WDに乗り込む。

153:2004/11/03(水) 01:09
>>152
『ケイト』が乗り込むと、ベンツは静かに走り出した。
その後ろに続いて走る事、数十分・・・・・・・・・・ベンツは、郊外の静かな森に囲まれた
一軒の屋敷に到着した。
森の中を10メートル程の舗装道路が延び、大きな門まで続いている。
不意に、門が自動的に開き、ベンツは敷地内へと走って行った・・・・・・・・・・。

154ケイト・モナミー:2004/11/03(水) 01:20
>>153
「うわ…こんなところにあったの…見つけられないはずだわ。」
(それにしてもまずいわね。こんな森の中だと何かあったときにどうしようもできないわ…)
ベンツの後をついていく。

155:2004/11/03(水) 01:25
>>154
敷地内には、広い庭園や噴水が確認出来た。
2台は、庭園を抜けて屋敷の前に停車する。
女性はベンツを降り、『ケイト』の車に近付いて来る。

156ケイト・モナミー:2004/11/03(水) 01:35
>>155
「あ、どうも。で、どこにいるんですか?」
車から降りる。

157:2004/11/03(水) 01:44
>>156
「こちらです、付いて来て下さい。」
 
女性は、そう言うと屋敷正面の豪華な両開きの扉へと歩いて行った。
そして、片側の扉を押して開く・・・・・・・・・。
 
『ドドドドドドドドドドドドド』
 
扉の奥は、赤い絨毯を敷き詰めた吹き抜けの広間になっている。
左右の壁は大理石らしく、その両端に扉が1つずつ確認出来た。
さらに、2階に続く階段が広間の中央にあり、階段を上った所には風景画らしき
巨大な絵画が飾られている。
・・・・・・・・・・・女性は、階段を上って行った。

158ケイト・モナミー:2004/11/03(水) 01:52
>>157
「こんな大きな屋敷だったのか…」
(こんな大きい屋敷なのにアパートで印刷するってことは、
 この人たちにも見せられないってことよね。だったら…)
女性についていく。

「あ、痛ッ」
派手に転んだ振りをして鞄の中の物を撒き散らす。

159:2004/11/03(水) 01:54
>>158
「大丈夫ですか?」
 
階段の上から、女性が言った。

160ケイト・モナミー:2004/11/03(水) 02:06
>>159
「はい、大丈夫です。あの風景画に見とれちゃって。」
鞄の戻しながら返答する。
 
「それより、あの絵って何て作品なんですか?」
女性が風景画を振り返って見ている隙に
絨毯の隙間に中古車情報誌から取り出した『月の思い出』の1ページを入れる。

161:2004/11/03(水) 02:11
>>160
「この絵は、モネの初期の作品です。」
 
女性が絵画を見上げた隙に、『ケイト』は本のページを絨毯に隠した。
散らばった持ち物が鞄に戻されたのを見計らい、女性は再び歩き始める。

162ケイト・モナミー:2004/11/03(水) 02:16
>>161
「へぇ〜じゃあレプリカも売ってそうだな。私こういう絵が好きなんですよ。」
急いで女性の後ろについていく。

「ところで、あなたはリート氏の秘書の方ですよね?
 他にはメイドとか執事の方はいらっしゃらないんですか?」

163:2004/11/03(水) 02:29
>>162
階段を上ると、女性は左に曲がった。
階段は、2階の壁沿いに延びており、女性は左壁の真ん中辺りまで歩いて行く。
そして、そこにある扉の前で『ケイト』の方を見る・・・・・・・・。
 
「どうぞ、こちらです。」

164ケイト・モナミー:2004/11/03(水) 13:12
>>163
「はい。」
扉をノックする。

165:2004/11/04(木) 00:24
>>164
『ケイト』が扉の前まで行くと、女性が扉を開いた。
その向こうには、ペルシャ風絨毯の敷かれた通路が延びている。
通路は、5メートル程先で左に折れていた。
女性は、『ケイト』の前を歩いて行く・・・・・・・・・。
 
通路を曲がると、すぐ左手に両開きの扉がある。
鉄製で、装飾の施された重厚な扉だった。
女性は、その前を通り過ぎて、5メートル程先の突き当たりまで歩いて行く。
突き当たり右の壁には、小さな扉が1つあった・・・・・・・・・。

166ケイト・モナミー:2004/11/04(木) 00:36
>>165
「まだ先にあるの…?
 広いお屋敷ですよね。
 リート氏は歩くだけでも大変そう…」
(いったいどこまで…)
迷わずついていく。

167:2004/11/04(木) 01:07
>>166
「ここで、『ミスター・リート』がお待ちです。」
 
女性は、『ケイト』の方を見て言った。
そして、扉を軽くノックする・・・・・・・・・・。
 
「━━━━━━━━━入りたまえ。」
 
聞き覚えのある声が、扉の向こうから聞こえる。
女性は、扉を開いて言った。
 
「『ケイト・モナミー』を、お連れしました。」

168ケイト・モナミー:2004/11/04(木) 01:34
>>167
「こんにちは…リート氏…」
部屋に入る。

169:2004/11/04(木) 01:48
>>168
扉の向こうは、6〜7畳程の部屋だった。
片隅に天蓋付きのベッドがあり、その上に横になった『リート』の姿がある。
 
「約束しておいて、すまないね。
入りたまえ・・・・・・・・・。」
 
『リート』は、ベッドの上で上半身を起こしながら言った。

170ケイト・モナミー:2004/11/04(木) 01:56
>>169
「お身体は大丈夫なんですか?」
『リート』のそばによる。

171:2004/11/04(木) 02:18
>>170
「あまり良くは無い。」
 
『リート』は、そう言いながら小さく手を上げた。
扉の前に立っていた女性は、一礼して扉を閉める・・・・・・・・・。
室内には、『ケイト』と『リート』の2人だけが残された。
 
「昨日も、あそこへ行ったらしいね・・・・・・・・私の友人が、君と出会ったらしいが。」
 
『リート』が言った。

172ケイト・モナミー:2004/11/04(木) 22:02
>>171
「友人かどうかはわかりませんが…
 フリント氏が、『例の件は助かった』と伝えておいてくれ と。」

173:2004/11/05(金) 01:04
>>172
「そうか・・・・・・・・・。」
 
『リート』は、静かに目を閉じて言った。
そして、再び目を開けると、『ケイト』を見つめて話し始める。
 
「あの本を━━━━━━━━━━━
『月の思い出』を読んだ時は、驚いたよ。
アレは、昔・・・・・・・・私が、子供の頃に読んだ小説そっくりだった。」

174ケイト・モナミー:2004/11/05(金) 01:16
>>173
「盗作…ですか?
 それとも…著者が二度出版したとか…」

175:2004/11/06(土) 23:57
>>174
「それは、分からない・・・・・・・。」
 
『リート』は、ベッドの上を見つめながら言った。
 
「ただ━━━━━━━━━━
私は、子供の頃に読んだ小説の事を思い出した。
そして、探した・・・・・・・・・だが、すでに『絶版』していたよ。
戦時中に焼失したらしく、手を尽くしたが残った本も一冊だけだった。
だから、私自身の手で『再版』する事にしたのさ。
出来るだけ、当時の状態でね・・・・・・・・・。
勿論、それは私個人の楽しみとして、だ。
君に『口止め』したのは、公になった場合に色々と厄介だからだよ。」

176ケイト・モナミー:2004/11/07(日) 00:24
>>175
「でもそれにしては印刷所も大掛かりすぎませんか?
 わざわざ私を雇わなくても秘書の方にでも頼めばいいことでは?」

177:2004/11/07(日) 00:41
>>176
『リート』は、微かな笑みを浮かべた。
 
「あの印刷所は、以前から私と友人・・・・・・・そう、君の出会った『フリント』と2人で
使っていたものでね。
この仕事の為に用意した訳では無い。
それに、秘書には秘書の仕事があるからね・・・・・・・・・・。」
 
そう言うと、『リート』は枕元に手を伸ばした。

178ケイト・モナミー:2004/11/07(日) 00:53
>>177
「あの…フリント氏は『馬鹿なことをするな』って言ってましたけど…
 この印刷物を『月の思い出』の作者の反対者に送って盗作疑惑を投げかけたりするのかと…思いました…」

「暑いですね…すみません…窓を開けてもいいですか?」
窓を開ける。

179:2004/11/07(日) 01:40
>>178
「ハハ・・・・・・『まさか』だな。」
 
ふと、『リート』が枕の下から何かを取り出した。
『ケイト』に向けられた『それ』は、拳銃の様だった。
 
「窓は、開けないでくれたまえ・・・・・・・・風に当たると、辛いからね。」

180ケイト・モナミー:2004/11/07(日) 01:47
>>179
「…なんのつもりですか…?
 言っておきますが…まだ今回のことは誰にも言ってません。
 でも私に何か起こったら、今回のことが人に知られることになるように一つ細工をしましたよ。」

181:2004/11/07(日) 02:11
>>180
「それは、興味深い話だな。」
 
『リート』は、拳銃の安全装置を外した。
 
「この事は、君と私の胸に止めておいてくれたまえ・・・・・・・・・。
秘密を守ってくれて、ありがとう。」
 
『リート』は、少し微笑んだ。
そして、銃口を自身の『こめかみ』に当てる━━━━━━━━━
 
『プシュッ』
 
小さく乾いた音と共に、『ケイト』の眼前で血飛沫が飛び散った。

182ケイト・モナミー:2004/11/07(日) 02:14
>>181
「え!?ちょっと!!」
(え?え?え?え??)
 
「誰かーーーーーーーーー!!!」

183:2004/11/07(日) 02:27
>>182
1分程で、『ケイト』を案内した秘書の女性が駆けつけて来た。
『リート』は、即死━━━━━━━━━
十数分後には、警官や救急隊が屋敷に集まっていた。
 
『ケイト』は、幾つか質問されただけで、それ以上追求される事は無かった。
目まぐるしく動く状況の中、気が付くと『リート』の遺体は運び出されている。
『ケイト』の身柄は、警官が自宅近くまで送ってくれた。

184ケイト・モナミー:2004/11/07(日) 02:33
>>183
(リート氏の遺言どおり秘密は守ります…)
警察にも何も言わずに帰宅…
 
 
(あ、4WD……秘書の方が届けてくれるかな。
 そのときにフリント氏に連絡してもらおう。)

185エピローグ:2004/11/07(日) 03:04
翌朝、叔父の車が『ケイト』の自宅に届けられた。
『リート』は、すでに遺書を残していたらしく、それに従って『ケイト』には
1台の車が贈られた・・・・・・・・・・。
 
『フェラーリ F328』

186:2004/11/07(日) 03:06
『文学作品を読もう!』
 
参加者(生存者)
『ケイト・モナミー』 評価:B
 
 
                  →Fin


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