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リレー小説本文スレッド
160
:
ラッキー
:2007/10/14(日) 23:37:40
いずれにせよ――。
障害物のない山道を利用したことで、釦と犬悟の差は大きく縮まっていた。今では良介の方が遅れて追いかけていた。釦の左手には横並びになるように犬悟の姿があった。犬悟が釦に気づいて狼狽したように見えた。犬悟が前方を気にしつつ、釦にルガーの銃口を向けた。それでも釦が動じないのを見て取ると、引き金に手をかけた。銃弾は釦の後方に大きくずれて飛んだ。
走りながら撃っても弾は当たらないよ、向井。
内心そう批評し、釦は犬悟の方へと一気に駆け出した。犬悟はルガーの引き金を引いた後、迂闊にも速度を落として弾が当たったかを確認しようとした。それが仇となった。完全に隙を見せた犬悟に近づくことは難しくなかった。彼が気づいたときには既に釦が体当たりを喰らわせていた。そのまま犬悟の身体を押し倒すと、その手からルガーを捥ぎ取ろうとした。焦った犬悟が夢中でルガーを撃ったが、その弾はやわらかい土の中へ吸い込まれていった。
いける、と釦は思った。
だが、犬悟は釦にとって思いもよらない行動をとった。犬悟がルガーを自ら手放したのだ。軽く放り投げられたルガーが、音を立てずに落ちた。そして犬悟は釦の首に両手をかけ、思い切り絞めつけた。ルガーばかりに気を取られていた釦は、武器を用いない反抗を全く予想していなかった。釦の身体から力が抜けた途端、二人の体勢が大きく変わった。犬悟は左手だけで釦の咽喉を押さえると、右の拳で頬を殴りつけた。釦の視界が激しく揺れた。そして、抗えぬ釦を見下ろしポケットから素早く煙幕弾を取り出した。頬と咽喉の痛みで頭がぼやけたまま、釦は一連の動作を見ていた。犬悟が投げた煙幕弾は数分前と同じように辺りを煙で覆った。さらに犬悟はもう一つ煙幕弾を取り出すと、今度は自分が逃げてきた方角へと思い切り投げた。既にあたりに立ち込めていた煙でそれがどこへ着地したのかまでは見えなかったが、木にぶつかったような音はしなかったし、大分遠くへは飛んだようだ。
釦にはその意味が分からなかったが、これは良介に対するその場凌ぎの対策だった。間もなく良介もここへ辿り着くことを考えて、犬悟は煙でその視界を遮ろうと考えた。彼がここへ着いたとしても自分や釦の姿が見えなければ、不用意に銃を使うこともできないし。居場所を探り当てるのにさほど時間は要しないが、時間をわずかでも稼げるならそれで良かった。犬悟は短時間で片をつけるつもりだったのだから。
再び両手で首を絞めにかかった犬悟に、釦はなす術がなかった。釦の脳裏にはプログラム前、ホテルの一室での光景が浮かび上がっていた。車井浩一とプロレスをしていた犬悟。そうだ、良介と同じように、犬悟は武器を使うよりも自分の肉体に頼る方が優れているのだ。まさかここぞという場面でしくじるなんて――。
釦の意識は少しずつ遠のいていった。酸素の不足を脳が訴えていたが、それに応える気力は残されていなかった。良介は? 首を絞められてからどれだけ経ったのかはわからないが、もうそろそろ来ているはずだ。やはり煙幕に気を取られているのか? それともまだ来ていないのか?
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