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灼眼のシャナ&A/B 創作小説用スレッド

1SS保管人:2003/11/24(月) 19:22
ライトノベル板でSSを書くのは躊躇われる、
かといってエロパロ板は年齢制限が…

そんな方のために、このスレをどうぞ。
萌え燃えなSSをどんどん書いて下さい。

421忘却そして起こる奇跡:2007/03/14(水) 22:07:30
何故だろうあいつの言葉を聞いてから心を焦がし忘れる事が出来ないあの女
俺の宿敵であるあの女
俺の友である古竜を屠ったあの女
俺の愛した女の友であるあの女
美しき桜色の炎を舞わせ俺達と戦いそして倒したあの女
俺と共にあいつを育て上げたあの女
嫌な・・・そして不器用なあの女
何故だ?その答えは出ない、だが会いに行こうあの女の下へ

422忘却そして起こる奇跡:2007/03/14(水) 22:17:42
序章

炎の魔神は感じた
自分に語りかける声を
自分に対する親しみを
自分と同等の力を持つそいつの声を
死を司りしもののいつのまにか消えたそいつの声を
懐かしくも思い出せないその声を
何年?何十年?何百年?聞くことが無かったその声を
其れは数多の物語を作り数多の英雄を作り出したそいつの声を
炎の魔神の・・・友の声を

423忘却そして起こる奇跡:2007/03/14(水) 22:25:16
「・・・ル・・トール・・・アラストール・・・」

「聞こえるか我が声が・・・久しぶりだな我が友よ・・」

「むぅ?!誰だ貴様は!!我が心に入り込むとは何奴だ?!」

「そうか・・・忘れたか・・・我れが眠りし年月は我らが絆を奪ったか・・・」

「・・・友だと?眠りしだと?絆だと?!まさか・・・まさか貴様は・・・」

「我を忘れしものに用は無い・・さらばだ我が友よ今より我が徘徊を始めよう・・・」

「待て!!貴様は・・貴様は・・・ハディロスであろう?!貴様はあの時死んだのでは無かったのか?!答えよ!!」

「我を・・覚えていたか・・だが我が用はお主に対する挨拶だけ・・さらばだ・・我が友よ我を忘れてなかった事に感謝する」

「待て!!待つのだハディロス!!!」

「さらばだ・・我が友よ・・・因果の交叉路でまた会おう・・・」
声はそこで途切れた
そして物語は紡がれる・・・優しくも悲しきその物語が・・・

424忘却そして起こる奇跡:2007/03/14(水) 22:48:52
物語の始まり

ある酒場では酒を飲むに相応しくない嫌な空気が漂っていた
笑いながらも笑えず苦しく其の怒りが恐ろしくゆっくり酒も飲めず誰も席を立つ勇気が無い為店を出ることが出来ないのである
その原因であるヴィルヘルミナは悩んでいた
自分が養育したあの方がちゃんと戦っているか
あの方はちゃんと炎の魔神と一緒にいられているか
あの方はちゃんと好き嫌い無く物を食べているか等を・・・
「ティアマトーあの方はちゃんと戦っているでありましょうか?」
「心配無用」
「ティアマトーあの方はアラストールとちゃんと語り合えてるでありましょうか?」
「・・・・心配無用」
少し声に苛立ちが混じっているのは気のせいでは無い
だがヴィルヘルミナは続ける
「ティアマトーあの方はちゃんと好き嫌い無く食べてるでありましょうか?心配であります・・・」
何か切れてはいけない糸が切れる音がした
「心配無用!!沈黙要請!!!仕事怠惰!!!」
夢幻の冠帯の怒鳴り声が酒場に響き渡る。酒場の討ち手達がまた驚いたようにこちらを向く
「悪いのであります・・・少し心配で・・」
美しきフレイムヘイズが自分の相棒に子供の様にうな垂れながら謝る
「・・・沈黙破壊、謝罪」
ティアマトーは答えず酒場の客に謝る
同じような二人の子供のような様子に笑いをこらえる討ち手達はヴィルヘルミナの強さのせいで笑うことも出来ずに苦しんでいるのも気のせいではない
「悪いのであります・・・しっかり仕事をするのであります」
ヴィルヘルミナは書類に目を落とす
この頃世界に様々な不思議な出来事が起こっていた
そう有り得ない出来事が
ある者は大量のトーチが存在の力を回復し元の「人間」へと戻ったと語り
ある者は500年前討伐されし紅世の王の炎を見たと言えば
ある者は何かに違和感を覚えると言う
ある者は骸骨が歩き回っていたと話す
その全てが世界の各地で噂され様々な討ち手が体験したという
ただヴィルヘルミナ自身もその違和感を感じているのでこの噂の調査に乗り出したのであり
馬鹿馬鹿しいと思いながらその調査をしているのである
ヴィルヘルミナは骸骨と聞いてある出来事を思い出す
本当に嫌な奴であり・・自分の・・・
「関係無いのであります!!!」
「?!」
酒場の客もティアマトーも驚く
「あ・・・申し訳ないのであります・・・」
そして書類を見ているとあの方の事を思い出す
「ティアマトーあの方は・・・」
「・・・沈黙要請!!沈黙要請!!沈黙要請!!」
そしてこの迷惑な騒ぎは夜まで続くのである

425忘却そして起こる奇跡の駄作者:2007/03/14(水) 22:51:33
うー・・グダグダだ・・・
とりあえず文才が無いのでつまらないのは勘弁してください(つω・)ウウ・・・
つまらん と言われない限りがんばって続けてみます
スレを無駄に使ってすいません(つω⊂)ウワァァァン

426名無しさん:2007/03/14(水) 23:58:28
>>425
キタ━━(゚∀゚)━━!!
ヴィルもティアもかわいいよ(;´Д`)ハァハァ

427忘却そして起こる奇跡の駄作者:2007/03/15(木) 11:10:38
続きを書いてみよう・・・
とりあえずカスなものなので許してやってくだしあ

428忘却そして起こる奇跡の駄作者:2007/03/15(木) 11:22:32
続章

三者三様の足取りは
一つの場所で出会うだろう
其の物語を終わらせる為に



そこは熱帯のジャングル
だがジャングルに相応しくないソレが歩いていた
メイド服に風呂敷包みという現地の人間が見たら驚くであろう格好で
万条の仕手は歩いていた
「・・・暑いのでありますな」
「・・・熱帯」
500年前の戦で徒に恐れられた討ち手とは思えない声で歩くヴィルヘルミナ
「こんなところに本当にいるのでありましょうか・・・」
「不明、確認来訪・・・」
「そうでありますな・・・」
彼女の声にはまったく元気が無い
何故彼等はこんな奥地にいるのか、其れは噂の確認の為である
この奥地で500年前・・・様々なものが死んでいった戦で討伐されたはずの炎を見たという証言があったからだ
そう・・・様々な者達が・・
だが其れは置いておこう
そしてヴィルヘルミナは其の確認の為に着たのである
だが当のヴィルヘルミナはまったく元気が無くそれが暑くないはずのティアマトーの声の元気の無さの理由である


世界の誰もが気づかない
その有り得ないはずの出来事に
其れは嬉しき事なれど誰も気づかぬが為に
そう死人が蘇るという事に・・

429忘却そして起こる奇跡:2007/03/15(木) 11:37:56
三者三様の足取りの
集うこの不思議な村で
一人の女が到着した
物語を紡ぐ為に
まだ始まらぬ優しき悲しみの為に



「・・・アレは・・光でありますか?」
「光源確認」
「ふむ・・・こんな場所に集落があるとは・・調べる必要がありそうでありますな」
ヴィルヘルミナはそういうと其の場所に向かって足を踏み出した
・・・その違和感に気づかずに

「・・・?」
・・・・其の村は何かが変であった
普通の村と変わらぬ情景
旅人に対する歓迎
語り合う人々
だが何かを思い出す様な感覚
だが其れに気づかず歩き出すのは長旅の疲れのため
ヴィルヘルミナは近くにいたカップルに話しかける
「この痩せ牛!!今日は用事があると言ったろう!!」
と白面の美女が怒っている
「す・・すいません村の中心が壊れてきていたので設計を頼まれて・・」
気弱そうな若者が謝っている
そのカップルに話しかける
「・・・つかぬ事を伺ってよろしいでありますか?」
「っとすいません何でしょうか?」
若者が女性から逃げるように答える
「ここに宿場は無いでありましょうか?」
「ああ、ありますよ。そこの角の建物です」
「感謝するであります」
「いえいえ」
数瞬後怒りの声が聞こえる
「・・・痩せ牛?」
「な・・なんでしょうチャルノボーグ殿・・」
「私以外の女と話すとは何事だ!!」
そんな声を聞きつつヴィルヘルミナは宿へ向かう
500年前の宿敵と気づかずに
周りの人間が既に消えているはずの紅世の者共である事に気づかずに・・・
宿屋「とむらいの鐘」へ入っていく


ただ覚えるだけの辛き記憶よりも
忘却する事は時に優しい
だが大事なものを忘れ去るよりは
辛き記憶に耐えるほうがいいだろう

430忘却そして起こる奇跡:2007/03/15(木) 11:42:34
三者三様の足取りの
鍵となる王が到着した
其の村を作りし其の王が
物語を忘れ去らせる為に


深夜
物音がした
だが誰も気づかない
歩いているのは人ではない
炎と呼ぶべきか・・いやそんな生温いものではない
それは「焔」だが不思議な色をしていた
其の色は・・・蒼



蒼き焔が舞い降りる
有り得ない色を纏ながら
避けられない戦いが今始まる

431忘却そして起こる奇跡:2007/03/15(木) 11:59:41
三者三様の足取りの
最後の男が到着した
様々な色を纏いつつ
物語を守るためにやってきた



ヴィルヘルミナは謝っていた
勤勉そうな男とその男に寄り添う女性に
その訳はいつもの様に調べ物をしていたところ
酒の勢いで酒場の机を壊してしまった為
「・・・申し訳ないのであります」
「謝罪・・」
原因となる二人が謝る
「まぁ次から気をつければよかろう」
「そうそう今度からは気をつけてくださいね」
二人は優しくそう諭す
「本当に申し訳ないのであります・・」
「心底謝罪・・・」
この所の自分達の馬鹿な行為に幻滅しながら謝る二人
だがまた気づかない
女性が夫をアジズ と呼んだことに
そして彼等も違和感を感じない
目の前の女性のヘッドドレスから声が聞こえることに
その伝説の紅世の王と同じ名前を持つ者は
新たに着た客を出迎える
傲慢そうな顔で剣を腰に下げ
その主人に金を渡し部屋に向かおうとする
その仕草は少しだけ主人に対する敬意がこめられ
だが何気なく振り向く
そして驚愕の表情をした
そこにいた討ち手に
当のヴィルヘルミナは気づかない
「?・・どうしたのでありましょうか?」
「い・・いやすまない俺の知り合いと・・似てたものだから」
「ふむ・・?そうでありますか」
「ああ・・・すまなかった」
その男・・メリヒムに気づかずヴィルヘルミナは答える
そこに声が割って入った
「あー・・すまないがお二人さん」
「「?」」
「部屋が空いてなくて2人部屋になるのだが・・・」
「「な?!」」
「な・・何故でありますか?!困るのであります!!」
「そうなのか・・・他に宿屋を探そう」
動転するヴィルヘルミナと違いメリヒムは落ち着いて話す
「すまんが・・・うち以外に宿屋は無いんだ・・」
主人の言葉
「そうか・・ではヴィルヘルミナ・カルメル一緒の部屋でもいいか?」
「う・・・しょうがないのであります・・・」



片方は忘れ片方は記憶する
どちらが辛いのかと聞かれれば答えることは出来ぬ
だが物語りは終焉へと近づく
誰の記憶にも残らずに・・・

432忘却そして起こる奇跡:2007/03/15(木) 12:16:13
三者三様の足取りの
全てが揃いしその時に
破壊する者は現れる
入れるはずの無い領域に
物語の敵役として・・




何気ないやり取り
そのやり取りに驚く男を不思議に思いながらヴィルヘルミナは自己紹介をする
「私はヴィルヘルミナ・カルメル貴方の名前は何でありますか?」
「あ・・ああ・・俺の名はメリヒムという・・」
まるで諦めたように答える男を更に不思議に思いながらヴィルヘルミナは喋る
「夕食をもらってくるのであります。貴方はどうでありますか?」
「ああ・・俺はいらない・・ありがとう」
その言葉を聞いてヴィルヘルミナは頷き部屋を出る
その瞬間部屋の中の空気が変わった
「・・・お前か」
「お主を蘇らせたものにお前とは・・・酷いものよ」
蒼き焔が答える
「何故あいつは俺を忘れている?いや何故この村は・・・」
虹の翼は焔に聞く
「覚えていれば悲しみがあろう。お前はあの女を悲しませたいのか?」
蒼き焔は諭す
「・・・そうか、感謝する」
そしてその声が変わる
「一つ言っておこう2日後に奴が来る。そのときお前は消えるであろう」
「わかっている。ではこの生活を満喫しよう」
「ならば我は退散しよう世界の調和を守るが為に」
「ああ・・わかった」
そして焔は消えた



「・・・?いないのでありますか?メリヒム」
その声は静かな室内に響く
「先に入浴を済ませるでありますか」
「入浴無駄」
ティアマトーの言葉に反論するヴィルヘルミナ
「長い人生楽しみを作っても間違いではないであります」
「・・・」
呆れた沈黙
「むぅ・・とりあえず入ってくるのであります」
逃げるようにヴィルヘルミナは席を立つ
そして風呂場
前をタオルで隠した姿でいつもより楽しそうな表情で風呂に入るヴィルヘルミナ
だが表情は余り変わらないのは相変わらずである
「ふむ・・広くて入り心地がよさそうでありますな」
「・・・誰だ?」
「?!」
突如聞こえた声に驚くヴィルヘルミナを無視して風呂の中からメリヒムが立ち上がる
「?!な・・」
珍しく絶句するヴィルヘルミナと同じく呆然としているメリヒム
メリヒムはタオルをつけておらずまぁ・・・何も隠してない状態だった
数秒後
ジャングル中に響き渡る悲鳴と音高く打ち鳴らされる張り手の音が村に響いた

433忘却そして起こる奇跡の駄作者:2007/03/15(木) 12:18:05
@10話ぐらい書き込んだら終わらす予定です(つω・)ウウ
ダラダラと長ったらしくてすいません;;
では明日らへんにまた書きます(`・ω・`)

434名無しさん:2007/03/16(金) 00:58:16
超www
ヴィル×メリヒムラブラブ物語がいいw

435忘却そして起こる奇跡の駄作者:2007/03/17(土) 22:58:36
三者三様の
足取り全て揃いしこの舞台
敵役も現れて
役者は揃いし物語
終焉の一歩手前の
狂ったこの日を楽しもう
其れが最後の日なのだから

部屋には異様な沈黙が流れていた
片方は怒りの表情
片方は困った表情
ただ共通するは何故か二人の顔が赤いという事
沈黙が続く。
その沈黙は、誤解を解くチャンスを消していた
しかしその沈黙は破られる
「・・・誤解修正」
紅世の王の声に二人は同時に声を出そうとする
「「あ・・」」タイミング良く声が合う
そしてまた沈黙は続く
紅世の王はもう仲裁を諦めた


その後誤解は解け食事を始めたもののやはりまだ気まずい
だが美味しい食事というものの不思議な魔力に操られ
二人の気まずさは消えていく
「・・・これはうまいのでありますな」
「ああ・・・うまいな」
だがしかし淡白な二人である為か二人の会話は弾まない
紅世の王は呆れていた



全てが寝静まり闇と沈黙と夢の世界
その夢の世界からメリヒムは起きて来た
「ティアマトー」
「・・・宿敵」
元・紅世の王は宿敵の王に話しかける
「お前は俺の事が解っているようだな」
「・・・蒼焔、蘇生」
驚きながらも口を開く
「・・知っていたか、頼みがある」
「・・何事?」
「俺の事をあいつに話さないでくれ」
「何故?」
「あいつに・・・あいつに悲しみを背負わせたく無い」
その切実な願いにティアマトーは簡単に答える
「受諾」
「有難う・・・感謝する」
「健闘」
其の言葉に先程よりも驚きながらも苦笑しつつ答える
「お見通しだな。では行って来る、・・・また朝会うか消えてくか・・・わからんがな」
「・・・再会期待」
「ああ、いってくる」
そして虹の翼は夜の村を飛び去った

436忘却そして起こる奇跡の駄作者:2007/03/17(土) 22:59:59
ジャングルの闇の中暗い声が響き渡る
「・・・我等が怨念・・・晴らす・・・」
「この悔しさを」「恨みと変えて」「奴を倒そう」
「殺すうううう、奴をおおお」
「あいつを殺してやる!!」
「・・・この恨み晴らしましょう」
「其の通りだ痩せ牛」
「この苦しさを・・晴らしてくれる」
「我等が苦しさの代償に奴が命をもらおうぞ」
「めんどくせぇが俺を殺した恨みを晴らす・・」
十の声が響く
「いざ行くぞ・・・我等が敵の片割れと裏切り者の粛清に・・・!!」
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」
闇の中十の咆哮が響き渡る
そして・・・全ての色が混じり合った様な濁った・・・炎を吹きながら
その塊は動き出す
「・・・止まれ」
「何奴・・」
暗き声は答える
「盟主・・そして友よ・・済まない・・」
「裏切り者!!」
十の声は気づく
その男・・・メリヒムはその塊に立ちはだかる
守る為、そして紅世の魔神に言われ気づいた・・・愛する女の気持ちに答える為に
そして運命の戦いが・・・始まらなかった
蒼き焔によって
「お主の出番はまだ先である。戻れ」
「何を・・・?!ぐっ・・」
焔は両翼が一人を一瞬で気絶させる
そしてその塊に言った
「我が蘇らせしお主等とこの者の戦いはまだ先である退け」と
「裏切り者を殺す・・!!」
蒼の焔はため息をつきながらメリヒムを 飛ばした
1日だけの幸福を感じさせる為に
その先の悲しき運命の為に
そして言う
「ならば我が相手をしよう。ここならば誰も気づかぬ」
「オオオオオオオオオオ!!」
そして戦いが始まる
其れに気づくは世界に二人
戦技無双の討ち手の王と、紅世の魔神
そして蒼き焔は姿を変える
青というには生温く炎と言うには小さすぎるその力を
開放し、其れになった
蒼き焔を纏いし獣
草原の伝説であり
世界を蹂躙したその名に相応しいその姿
蒼き狼へ変貌した

対する黒き塊は
竜の姿に天使の姿、牛の姿に鬼の姿、蝙蝠の姿に石版となり三つの面を象る塊となり
様々な姿へ変貌する
そして静寂が落ちる
沈黙の中蒼き狼は足を踏み出した
そして戦いは始まった
物語には無い裏の戦いが
其れを語ることはあえてしない
だが結果だけど言うならば
蒼き焔の世界の国が一つ消滅し、残ったのは守った村と森だけであり、黒き塊は退いて行き、蒼き狼は勝利した
それだけである


物語は終盤へ
誰も知らぬ物語
運命を破れるか
破れる鍵は蘇りし虹の翼と美しきフレイムヘイズ
運命の扉をたたく音がする
開くのは時間の問題である
その結果がどうであろうとも・・・

437忘却そして起こる奇跡の駄作者:2007/03/17(土) 23:02:57
あー・・・色々見にくくてすいません・・・
こんな感じで書き上げようと思ってます(つω・)
初SSでこのまま見にくいのも嫌なのでどうか悪いところを教えていただけないでしょうか?
色々なSSを見慣れてるプロの手を借りないと何もできません(つω⊂)ビエエエン

438名無しさん:2007/03/19(月) 15:32:55
改行が多いかな、逆に見にくくなってる

あとは文章の基本的な書き方か
句読点つけるとか、改行後の一字さげとか

ググればそういうの教えてくれるサイトがあるから参考にしたほうがいい
ぶっちゃけここで聞くよりそういうサイトを利用したほうがよっぽどためになる

439忘却そして起こる奇跡の駄作者:2007/03/22(木) 09:36:00
参考にしますー
少し調べてから出直してきます(´;ω;`)

440名無しさん:2007/03/22(木) 19:07:56
頑張れー

441名無しさん:2007/03/23(金) 18:41:03
シャナ「ねぇユウジー」
ユウジ「・・・」
シャナ「ユウジってばー」
ユウジ「・・・」
シャナ「返事しなさいよ!」
ユウジ「・・・」

アラストール「こいつ、奴ではないな」

ユウジ「バブー」
シャナ「って、乳児かよ!!」

442忘却そして起こる奇跡の駄作者:2007/03/28(水) 19:35:08
メリヒムは起きた。宿屋のベッドで。だが何かが変であった。何かを忘れている様な感覚・・・
しかしその感覚は長続きしない。恐ろしい殺気のせいで。其れは強大なる紅世の王であるメリヒムを恐怖させる程の殺気
「・・・起きたでありますか」
静かな声が聞こえた
「さて・・・聞きたい事があるのでありますが」
静かな声、だが少々声が昂ぶっているのは気のせいでは無い
「な・・何だ?」
状況を把握出来ないながらも答えるメリヒム
「何故・・・私のベッドで寝てるのでありますか・・・?」
声がキレかけている
「ぬ・・・本当だな」
当たり障りの無い様に答えるメリヒム、だが其れが怒りに油を注いだ
「この・・・変態!!!さっさと出て行くのであります!!!!!」
宿屋中の人々が目を覚ました
街中を一組の男女が歩いている。見た目だけならば美男美女のカップルである。雰囲気とファッションを除けば、であるが女の方はメイド服、男の方は剣を携え古風な格好をしている。
二人は街中を歩くだが男が女に弱いのはどこの世界も同じか男は女に謝っている
「だからあれは俺も何であんなところにいたのかわからないんだ」
女ともう一つの声は反論する
「いた事には変わりないのであります」「言訳無用」
男は黙り込む。
街中は賑わっていた、露天をするもの、果物を売るもの、大道芸をするもの、そして二人と同じようにカップルで歩いているもの様々な人々が歩いていた。しばらく歩くと怒鳴り声が聞こえた
「てめぇ!!俺の服装が変だと?!いつもお前はうるさいんだよソカル!!」
「私はお前の服装が奇異の目で見られているので注意しただけだがどうかね?フワワ」
怒鳴っている男は虎皮にフンドシという服装。確かに人目につきそうだ、だが注意する男の服装を言えたものではない服を何重にも羽織ってまるで太い木の様な格好だった
「大体お前だってそんな暑苦しい格好で気持ち悪いんだよ!!」
「何?!私のこの服装はれっきとした・・・」
「何でこんな暑い中そんな暑苦しい格好してんだよ!!」
周りの人達のどっちもどっちという視線に気づかず二人は言い争う
「バカでありますな・・・」「同意」
「バカだな」
そう呟いてヴィルヘルミナとメリヒムは立ち去る
しばらく歩くと今度は不思議な二人組みがいた。片方は紙人形を操って客を驚かせていると思えば片方は木で出来た人形で周りを感嘆させる。どうやら商売敵であるらしい
「ふふふ、どうだこの見事な人形の舞。貴様には真似出来まい」
マントと帽子に全身を包んだ男が言うと
「ふんっそんな紙切れ等風が吹けばもっと綺麗に舞うのではないかな?オロゴン殿」
そう人形と共に軽業を見せる男は返す
「何だと?!いくら道士殿でも言葉が過ぎるぞ!!」
オロゴンと呼ばれた男は反論する
「所詮紙人形、赤ん坊でもそんな事は出来るでありましょう」
「うぬぬ・・・最早許せぬ!!2時間後広場で勝負だ!!」
最早商売そっちのけである、観客たちは「またやっているのか・・」という視線で見ている
それを尻目にヴィルヘルミナとメリヒムは歩く
更に進むと高齢の老人が占いをしていた。その周りに観客がいる訳でも無く別段大きい訳でもないだがその周りに店は無くその店だけがポツンと立っていた
「ふむ・・面白そうでありますな」
「よっていくか?」
「ならば占い代を出せば許すのであります」
「まだ許してなかったのか・・」
等と話しつつ二人は「イルヤンカ占い店」と書かれた店へ入る。中には店の主人と思われる老人が座って
「我が名はイルヤンカと言う・・さて我が店に何の御用であろう?」
重々しい雰囲気の老人に答えるヴィルヘルミナ
「この頃いい事が無いのでありますので何か憑いているのか不安になったのであります」
「ふぅむ・・・占いとは関係なさそうだが見てやろう」
そしてしばらくヴィルヘルミナを見ていると気恥ずかしくなったのかヴィルヘルミナが尋ねる
「ど・・どうでありますか?」
「お主には何も憑いてないな。ところでそこの男」
と、行き成り尋ねるイルヤンカにメリヒムが答える
「何だ?」
「どこかで会った事は無いか?」
「俺は・・・会った事は・・・無い」
少し苦々しげに呟くメリヒム
「ふむ・・我も耄碌したようだな・・済まなかった」
「いや・・気にするな」
「済まぬな・・お詫びに占い代はタダだ」
そう言うイルヤンカにヴィルヘルミナは答える
「感謝するであります。ですが罰としてこの男に払わせるので出来れば受け取ってほしいのであります」
少し意地悪そうに言うヴィルヘルミナにイルヤンカは笑う
「はっはっはっでは銅貨1枚でよかろう」
「有難うイルヤンカ」
「ではまた店に寄ってくれさらばだ」
そして二人は店を後にした

443名無しさん:2007/04/02(月) 14:37:07
文章中では一行でも40文字辺りで改行するとより見やすくなるぞ

444普段お世話になっている者:2007/04/03(火) 15:11:35
それでは続きいきます。

445半分の月:2007/04/03(火) 15:12:43
彼女は大きな木の前に立っていた。
夜も完全に暮れ周りに人の気配は無い。彼女を照らすのは冷たい街灯だけ。
その身を漆黒の衣で包み、待ち人を待つ。
(今の僕じゃあ…答えられない…)
彼は自分の気持ちには答えてはくれなかった。それは仕方のないこと、悠二が決めること。
(あきらめなきゃ…あきらめな…きゃ…あきらめ…)
それでも心にあふれてくるのは、彼の声、彼の言葉。
目をつむっても見えるのは、彼のぬけた顔、怒った顔、泣いた顔、そして笑顔…
(出てきちゃダメだってば…)
自分の一番大切なもの。それが今彼女の心をしめつける、傷つける。
上を見る。この黒い空に逃げ出したい。いっそ溶けてこんでしまいたい。


「シャナ」


彼の声がした。

446半分の月:2007/04/03(火) 15:13:24
「遅くなっちゃったね」
彼は申し訳なさそうに言う。
「………」
彼女はなにも話さない。
「さっきはゴメン」
彼の謝罪の言葉。シャナは思う。
「いい…悠二が決めたことだから」
もう、この温かい隣には居られないのだと。
「あきらめる…から…」
我慢し続けていた涙がこぼれる。
坂井悠二はしゃがんで泣いている少女に目線を合わせた。
「シャナ」
二度目に自分を呼ぶ声。彼は笑顔だった。
その笑顔がまぶしくって。それなのに消えてしまいそうなくらい揺らいでいて…
見ていたいけど辛くて。恥ずかしくって…
下を向いてしまった。涙を流しながら。
「シャナ」
三度目、と同時に温かい…大きい物が自分を包んだ。
「僕はシャナが好きだよ」
「え…」
四度目には自分が一番欲しかったものをくれた。

「ほんと…に?」
「うん、大好きだよ」
また涙があふれた。さっきの悲しみの涙ではなく、もっと温かいところからくる温かい涙。
もう無理だと思った。そばにいられないのだと思った。
でもいられる。悠二の一番近くにいられる。
「悠二」
自分を抱きしめてくれる人を抱きしめ返す。
強い力で。
「だから…」
彼は自分を抱きしめながら口を開いた。
「君になら消されたっていい」
彼の抱きしめる力は弱かった。
今にも消えそうなくらいに…

447半分の月:2007/04/03(火) 15:14:14
「そんなはずない!!」
彼女は怒っていた。そして、それ以上に混乱していた。
「落ち着け!シャナ」
遠雷のような声が彼女をなだめる。
「悠二が消えるはずない!消えるなんて許さない!!」
彼が言っている意味がわからない。
「シャナ」
いや、本当はわかっている。
「僕は、できるなら…あと少しだけの時間しかないけど」
認めたくないだけ。
「君といたい」
彼がいなくなることを認めたくないだけ。


だから逃げ出した。
彼のもとから。
これ以上彼の近くにいれば、必ず自分は彼を殺さなきゃならなくなる。

空は黒い。
どこまでもどこまでも。
月が半分だけ白かった。

448半分の月:2007/04/03(火) 15:15:34
部屋にいるとき、ずっと考えていた。
僕がシャナに言わなきゃならない理由。
シャナは強い。きっと僕を消す。どんなに迷ったとしても。
彼女はフレイムヘイズだから。

きっとこれは僕のため。

決めた。
そして選んだ。
僕の残された時間を全部シャナにあげよう。
それが僕にできること。
大好きな人に一番したいこと。
自分を好きと言ってくれる人へ一番してあげたいこと。

彼女はどこかへ行ってしまった。
僕は自分勝手なのかもしれない。
だから待つ。
この「今」は彼女のための時間だから。

風が強い。
ビュービューと。
月が半分だけ黒かった。

449半分の月:2007/04/03(火) 15:16:32
彼女は御崎市ではないどこかにいた。
「…」
彼女は身を丸め、俗に言う体育座りと呼ばれる座り方でどこかのビルの屋上に座る。
「アラストール…」
「なんだ」
魔人が答える。
「アラストールはどんな気持ちだった?」
「…」
そのまま半刻ほど時間が経つ。
二人に会話はない。
「昔話をしよう」
もう半刻して魔人は口をひらいた。



遠い昔、一人の女フレイムヘイズと紅世の王がいた。
二人は顔が見えずとも、声しか聴けずとも愛し合っていた。

ある時、ある大きな戦が起こった。
その戦いはまさしくフレイムヘイズと紅世の徒の総力戦となり、戦いはもつれるにもつれた。

その戦いのさなか、女は敵軍の王に言った。
―私たちは自己満足が第一の酷いやつらだから―

女は王を倒すために身を自分の愛した男に焼かせた。

敵軍の王はうろたえた。
―愛し合って…いるのだろうが!!−
女は笑った。
―それは、別れない理由にはならないわ―

王は彼女に言った。
―これでよかったのか―
彼女は燃え尽きる前にこう言った。
―いいのよ、私は納得してるんだから―

敵軍の王が訪ねた。
―愛し合う者が、互いの生きる道を…なぜ、選ばぬのだ!!−
王は答えた。
―我らは、共に生きて、此処にある―



「…」
彼女は立ちあがった。
月はまだ空にいた。

450半分の月:2007/04/03(火) 15:17:14
どれくらいここにいただろうか。
いろんなことを思い出していた。
十年くらい前のこと、最近のこと、普通のこと、紅世のこと、そしてシャナのこと。
僕に残された時間はあと一日から二日というところだろう。
死ぬことが恐い。その気持ちは変わらない。
消えることが恐い。今だってそうだ。
でも僕は笑えた。
彼女を抱きしめながら笑えた。
生きることを諦めたのかもしれない。
でも僕はシャナと生きたいと願った。
残ったこの時間すべてを彼女に使いたい。
そんなことを考えていたら

―新しい 熱い歌を 私は作ろう―

空から歌が聞こえた。

451半分の月:2007/04/03(火) 15:18:01
―風が吹き 雨が降り 霜が降りる その前に―
知らない国の言葉だ。
―我が恋人は 私を試す―
でも知っている声。
―私が彼をどんなに愛しているか―
彼女の声から伝わる。
―どんな諍いの種を 蒔こうとも無駄―
言葉はわからなくても。
―私は この絆を 解きはしない―
このきれいな声は
―かえって私は 恋人に全てを与え 全てを委ねる―
きっと覚悟の声。
―そう 彼のものとなっても構わない―
歌がだんだんと大きくなる。
―酔っているなぞとは 思い給うな―
僕は空を見ている。
―私が あの美しい炎を 愛しているからといって―
月は相変わらず半分だけ。
―私は 彼なしには 生きられない―
白も黒も半分ずつ。
―彼の愛の傍にいて それほど私は―
歌が止んだ。
綺麗な紅い髪。赤い眼。
「あなたが好き」
彼女は笑っていた。
僕も笑っていた。

452普段お世話になっている者:2007/04/03(火) 15:19:39
短くてすいませんが、今回はここまで。
続きは近いうちに書きます。
では

453普段お世話になっている者:2007/04/03(火) 20:16:40
書き忘れてました。
今回の投下はある作品をインスパイアさせて貰っています。
他作品をインスパイアしているSSが嫌いな方はスルーして下さいm(_ _)m

454名無しさん:2007/04/05(木) 02:08:09
すっげーーー!
まだここ稼動させてくれる人がいたのか!

455名無しさん:2007/04/05(木) 21:09:42
GJ!
にしても反応がないな…

456名無しさん:2007/04/05(木) 21:35:30
>>453さん
GJ!!です

457arere:2007/04/05(木) 23:46:07
まじで感動もんだ

458名無しさん:2007/04/07(土) 15:32:01
久しぶりに来たけどGJ!!

459名無しさん:2007/04/07(土) 21:56:35
ここ使ってくれる職人さんがいない中、このクオリティはマジGJ
続き期待してる

460普段お世話になっている者:2007/05/08(火) 20:27:36
かなり遅くなった。
投下します

461普段お世話になっている者:2007/05/08(火) 20:32:13
それから。
まずはパン屋へ。
「シャナ、そんなに真剣になってまで選ばなくても…」
「うるさいうるさいうるさい!!悠二は黙ってなさい!」
彼女の眼は、もはや少女の眼ではなく紅世の王と対峙するときと同じ…もしくは、それ以上の気迫を放っていた。
その気迫を直に受けるのは煌々ときつね色…いや、黄金色に輝きし二つのメロンパン。
ひとつは網目模様が芸術とも呼ぶにふさわしいほどの美しさを持つパン。
この網目メロンパンには燕麦という粉が入っており通常のメロンパンにさらに香ばしさとさらなるカリカリ感を与えるというものであった。
そしてもうひとつはシャナが好むにしては珍しい、ある技巧が施されたパンであった。
そのパンは通称『ツインカーリモフ』と呼ばれ、通常のメロンパンの中にパイ生地の層を挟むことにより、上段でのクッキー生地によるカリモフと中段でのパイ生地によるカリモフとの二種類のカリモフを楽しむことが出来るという夢のようなパンであった。
「メロンパンらしさを求めるならこっち…でも悠二と一緒に食べるなら…」

そうしていること一時間…

「決めた!!」
「やっと決まった!どっちにしたの?」
「どっちもおいしそうだからどっちも買う」

462安息と絶望と…:2007/05/08(火) 20:34:27
二人でメロンパンを食べながら歩く。
「ちょっと悠二!!食べ方が違う!!」
「えっ、でも前にシャナがこう食べるって…」
「違う!それじゃあカリカリの部分が先になくなっちゃうじゃない」
「じゃあどうすればいいんだよ?」
「交互に食べるの!ちょっとそこでみてなさい」
そう言っておいしそうに、うれしそうにメロンパンを口へ運ぶ。
そんなほほ笑ましい姿を心に刻みつけながら、毎日のように歩いていた道を行く。
通学路。
僕達は今、学校へ向かっている。俗に言う「お別れパーティ」のようなものである。
マージョリーさんが話してくれたのだろう、佐藤から朝電話がきて
「学校で急遽パーティをすることになった。理由は聞くな。昼に学校に来い!以上だ」
と一方的に言い放って電話を切られた。
「別に気を使ってくれなくたっていいのに」
とまあシャナがいる前ではカッコつけてみたが…
「悠二、顔」
やはりバレバレだったらしい。

463安息と絶望と…:2007/05/08(火) 20:36:50
パーティの方は、何のことはない、いつもの昼休みにちょっと豪華な料理と学校に持ち込めば一発で停学は免れないであろうジュースが加わっただけのものだった。
「さ、佐藤君…これはちょっとまずいんじゃあ…」
「こういうときは気にしちゃダメだってば」
「そうだよ吉田ちゃん。田中の言うとおり!停学が恐くて酒なんかのめるかぁ!」
「だけど教室でお酒なんて…」
「気にしなーい気にしない!」
二人はすでに出来上がってしまっているらしい。
「悠二、コレ何?」
「あー、チューハイっていうお酒の一種だよ」
「お酒…」
シャナは机に並んでいる缶の一つに手を伸ばし

くんくん

臭いを慎重にかいだあと

ガシッ

腰に手を当て、缶をしっかりと握り

ごきゅごきゅ

喉を鳴らしながら500ml缶を一気飲みして

「しゃ、シャナ!?」

そこからは地獄絵図…
「ゆうじぃ、ごはん帳 ぢ」
「ご飯って、目の前にお菓子があるじゃないか」
「やーや!えっとねぇ、おむらいす!」
「無理だってば!」
「悠二、作ってくれないんだ…ぐすっ…」
「そんな泣かれても…」
「シャナちゃん!坂井君が困ってます!」
「乳だけ女は黙れ」
「ひぇ!?」
「なんだ?この乳はぁ。こんなもんぶら下げてフレイムヘイズが務まるとでもおもっとんのかぁ!?」
「あうあうあうあうあうあう」
「吉田さんはフレイムヘイズじゃ…っていうかマージョリーさんは…」

ぐさっ

とまあこんな感じである。

そんなこんなで酔っ払い三人が教室でどんちゃん騒ぎを始めたころ。

「坂井君…ちょっといいですか?」

464安息と絶望と…:2007/05/08(火) 20:40:07
屋上
「マージョリーさんから聞きました」
小柄な、気の弱い少女がしっかりとした芯を持つ口調で話しをきりだす。
「私、ついさっきまで大泣きしてたんですよ?」
よく彼女の顔を見てみると眼の下に大きなクマができていた。
もう自分は何度彼女を泣かせてしまったんだろうか。
「私、ダメですよね。こうなることもわかってたつもりだったのに…受け入れて、それで覚悟だってしてきたはずなのに」
彼女は前もここで、自分のために泣いてくれた。好きと言ってくれた。
「だからダメなんです…抑えきれないんです」
こんなにも想ってくれている人に僕は何も返せないままでいいのだろうか。
「自分勝手でごめんなさい。無理だってことだってわかってます!でも…言わせてください」
彼女の声はすでに涙ぐみ、ところどころに嗚咽が混じっている。
自分は彼女になにか返すことはできないだろうか。
「生きてください…私と一緒にいてください…」
そんなもの、もう答えは決まっている。
「…ゴメン、吉田さん」
僕にはもう何もない。

「僕はシャナが好きだから」

この残った時間、体、心は彼女のものだから…
僕が返せるものなんてなにもない。

「そうですか…」
彼女はうつむき
「それでも私は坂井君が大好きです」
すぐに顔をあげて
「ずっと、ずっと大好きです」
その顔はまぶしい、太陽のような、女神のような笑顔だった。




その瞬間





「おや、場違いな時に出てきてしまったかねぇ」
強烈な、坂井悠二が感じたこともないような『死の気配』
「なに、問題はないさ」
そこにあるだけでもこの世のすべてを圧倒、いや消滅させるような存在感
「お迎えにあがりました。われらが盟主」
そんな威圧感を持つ4人の死神が茜色に塗りつぶされた空で笑っていた。

465安息と絶望と…:2007/05/08(火) 20:43:38
「なっ!?」
訳がわからない。
混乱しながらも頭の中のいつも冷静な部分が告げる。
―ここにいれば殺される―
なぜ、どうやってこいつらがこんなところに、なんてことはどうだっていい。
恐怖に震える脳みそを一括。少女を自分の背に隠し、必死に『生』への道を探す。

まずは生き残ることだけを考えろ。
逃げる。
そんなことはまず不可能だ。
十中八九、あの鎖かサングラスの死神に捕えられるだろう。
そうなればもうどうしようもない。
たとえフレイムヘイズであろうとあいつらに捕まれば生きることを諦める。
今度こそシャナたちに助けてもらうことなどできないだろう。

だから時間を稼ぐ。
シャナやカルメさんは‘壊刃’の攻撃を受けているはず。
『スティグマ』を無効化できるとはいっても刃による斬撃は防げない。
前回の襲撃では即戦闘可能だったカルメルさんでもおそらくここに来るだけでも最低5分。これだけは見積もらなければならない。
佐藤、田中のことも心配だが、シャナの存在の力を感じるのでおそらくは無事だろう。
震える膝に活を入れ、喋ることを拒否する喉を無理やり動かして叫ぶ。
「あのフレイムヘイズの包囲網をかいくぐって、僕に感知させずにここまで来るなんてすごいですね。いったいどうやってここまで来たんですか?」
相手が誇るであろうことを褒めるただの時間稼ぎ。小物相手ならこれに乗ってくれるのだが…
「すまんねぇ。いまはボウヤの時間稼ぎにかまってやれる時間がないんだよ」
三つ目の悪魔がそんな思惑を簡単に看破してしまう。
「僕をどうするつもりだ」
黙ってはいけない。話を途切れさせるな。
「言っただろ。俺達は我等が盟主を迎えに来ただけさ。」
「また僕に自在式でも打ち込みにきたと?」
「わかっているならおとなしくしていることが賢明というもの」
頭の冷静な部分が無自覚に答えを導き出す。

こいつが肝だ。

466安息と絶望と…:2007/05/08(火) 20:44:31
坂井悠二の存在の力は大きくなりすぎていた。
動物界で言えば象、自然界で言えば山。
‘壊刃’サブラクの特性は自らを拡散し探知不能の一撃を加えること。
動物界で言えば蟻、自然界で言えば石ころ。
前回、わずかながらも違和感を探知できたのは坂井悠二と‘壊刃’の存在の力が同程度であったからである。
しかし、王100人分もの力を保有してしまった彼にとってトーチ以下に薄い気配を探知することなどできようはずもない。
ゆえにここまでの接近を許した。

他の3人の王がどうやってここまで来たか。
それもすぐに思いついた。
‘祭礼の蛇’となっていた時の記憶にあるあの鍵。
‘非常手段’ゴルディアン・ノット
おそらく転送先を鍵サブラクの鍵にした、もしくは転送の受け皿のようなものを持たせていて、自分に近づいたときに発動させたのだろう。

そこまで考え付いたとき
「それじゃあヘカテー、まかせたよ」
三つ目の悪魔が死の宣告をつぶやき、青髪の女の子の形をした死神がこくんと頷いた。

467安息と絶望と…:2007/05/08(火) 20:47:46
まだだ、まだ早すぎる!!
「まってくれ!僕はどうなってもいいから吉田さん…この女の子だけは助けてくれないか!?」
「安心してください、用があるのはあなただけです」
死神が杖を自分に向ける。
間に合わない。カルメルさんが高速で向かってきているのを感じるがあと2分はかかる。シャナに動きはない。
初歩的な自在式しか使えない自分に逃れるすべなど皆無。
だがただ諦める気など毛頭ない。
(あと二分くらいの時間かせぎなら!)
存在の力はほぼ無尽蔵。マージョリーさんに貰った栞に込められた防御の式を展開、式に存在の力を通し発動させる。







いや、させようとした。






「ぐあああ!!!!」
瞬間、自分の根源、自らの存在が崩れるような。否、崩れていくことによる激痛が走る。
「無駄です。あなたの器はもう『あなた』という存在に耐えられない」
「が…はぁ…」
跪き必死に息を整えようとする。
しかし、時間が経てば経つほどに度合を増す痛みと、自分という存在が壊れていく絶望感と消失感に息を整えるどころか目を開けていることすらできない。
「安心してください。我等が盟主がその体に顕現すればその痛みはなくなる。あなたは紅世の王としてこの世界に永遠に留まることができるでしょう」
「そうして…永遠に…人が支配される様を…見せ続けられる…のか…」
息も絶え絶えに、目で精一杯の、紅世の王には蚊ほどもきにならない程度の威嚇の視線を送る。
「絶対に…ゴメンだ…!!」
「あなたの意見など問題ではありません。それでは…」
杖の先が自在式に包まれる。何もできない。
逃げることも、時間を稼ぐことも…死ぬことすらできない。
ただ目の前のあまりにも可憐で儚く、小さい少女を見上げ自分の体が違うものになることを受け入れることしかできない。
「さようなら」
その死神の鎌が自らを貫こうとしたとき。

「ダメええぇぇぇぇぇ!!!!!!
少女の絶叫と共に
「!!」
琥珀色の風が吹いた。

468普段お世話になっている者:2007/05/08(火) 20:49:17
今回はここまで

次はしばらく放置していた作品を片付けてからくるので1ヶ月以上かかると思います

では…

469名無しさん:2007/05/09(水) 22:10:46
まさしくGJ
すげぇ続きが気になりますわ
続きは一ヶ月後か・・・

470名無しさん:2007/05/12(土) 01:32:23
>>468さん
GJ!!です^-^
地獄絵図のところがウケタw
マターリ待ちます

471名無しさん:2007/05/19(土) 00:04:58
くぅ…早く続きを…職人サマ…

472普段お世話になっている者:2007/05/20(日) 11:32:30
本スレでも投下が全くないみたいなので、少し早いですが投下します。

473犠牲:2007/05/20(日) 11:37:32
宝具『ヒラルダ』
持主の存在の力を消費し、内に込められた自在式を発動させることができる。
ただし使うことができるのは人間の女性のみ。
ある一人の王がある女に与えた宝具である。
人間が使えば一度限りの自在法が行使できる。
自らの存在と引き換えに…

474犠牲:2007/05/20(日) 11:39:15
紅の少女は地に伏していた。
その炎はあまりにも突然に
その剣はあまりにも鋭く
その力はすべての存在を押しつぶした。
「シャナ!!」
真黒のペンダントが彼が発するであろう最大の声量と、今までで最も焦燥、危機感をごちゃまぜにした声で叫ぶ。
彼女は一瞬で教室すべてを飲み込んだその力の渦から二人の人間を助けるために、自分を守るために使うはずの夜笠を広範囲に展開
幾重にも二人がいる空間と自分の空間を包む。
しかし存在の力の総量で言えば『紅煉の大太刀』にも匹敵するであろう自在式の前に難なく突き破られ、焼き尽くされてしまう。
その数瞬。夜笠が突き破られ、焼き尽くされるまでの刹那に存在の力を集中、爆発。
以前の襲撃ではただ身を守るだけであった。しかし一度経験した技、ほんの少しの、例えそれが刹那であろうと、自らの防御を捨てたのであれば動くことはできる。
本来、この時間はこの攻撃の渦からの脱出、もしくは自在式の展開、発動に使われるべき時間。
しかし彼女がむかったのは、否。向かわねばならなかったのはその攻撃の最深部。
無論、二人を助けるためである。
「…がはぁ!!」
足の裏を爆発させ二人に体当たり。おそらく当たった方の腕の骨は粉砕されてしまっただろう。彼らは象の突進を受けたかのような声を出して飛んでいった。
彼女が確認できたのはここまで。そして彼女の体を無数の剣が襲った。

475犠牲:2007/05/20(日) 11:42:17
鎖が踊り、槍が飛ぶ。
剣が舞い、杖が下りる。
しかし風はそれらすべてを受け流し、暴れ、壊し、守り、歌う。
鎖は大きな風の前にまるで紙屑のように吹き散らかされ近づくことすら許されない。
槍のようなものが踊る風を捕えられるはずもなく、すべてが空を切る。
剣では逃げる風など追えようはずがない。
杖が放つはずの自在式は敵がどこにいるのか。否、どれが敵なのかがわからなければ当たるわけがない。
「くそ、紅世の色ボケカップルのかたわれが…!!」
「まいったねえ… まあこんな大きな式を長い間続けられるはずはないさ」
「ええ、もとより長い間続ける気もないであります」
メイド服に顔面を覆う仮面を付けたフレイムヘイズのリボンが4人の王を突き刺す。

476犠牲:2007/05/20(日) 11:52:50
「吉田さん?」
ふいに一つの存在が消えた。
少年のとても近いところで。
瞬間、琥珀色の風があたりを覆い、彼は何もない遠くのどこかへ投げ出された。
「へ?」
ちなみに今の彼はなんの存在の力も使えないただの人間である。
「うわああああああ!!!!」
飛ぶ、飛ぶ。落ちる、落ちる。地面が秒単位で近くなる。
(あっ、コレやばい)
半ばあきらめながら悲鳴を上げている少年を
「騒ぐなであります」
乱暴に、カエルを捕まえた時のように、足だけをひっ掴んで助けた者がいた。
「か、カルメルさん…ありがとうございます」
物のように扱われながらも命の恩人、礼をいうことを忘れないところが彼の良いところでもある。
「礼はあとであります」
「状況説明」
こくん、と頷き、頭を人間から機械へ
「僕を連れ戻しに4人の王がいきなり… 敵はサブラクと三頭柱です。 今は、たぶんフィレスさんが一人で戦ってます。 シャナは…たぶん傷を負っていてしばらくは動けないと思います」
「了解、おまえは弔詞の読み手のところへ」
「はい、わかりました」
そして、自らの不安を打ち消すように。確かめるように尋ねる
「吉田さんもそこですか?」
鉄扉面のフレイムヘイズは鉄扉面ながらもいぶかしげな顔をし、
「あの場からは他の人間は誰も…」
そして蒼白な顔となり
「まさか…!!」

そして彼は気づいた。
(僕は…吉田さんを…)
犠牲にして助かったのだと。

477お世話になっている者:2007/05/20(日) 11:56:27
短くてすいません。推敲もほとんどしてないのでおかしなところがたくさんああるかと思いますが…
早めに続きが投下できるようがんばります。
感想いただけると幸いです。
それでは…

478arere:2007/05/24(木) 14:35:16
楽しみにしてます。

479234:2007/06/19(火) 02:33:42
約4ヶ月のブランクを経て(殴)、再び投下します。
一応結末は頭の中にあるんですが、何だか上手いことまとまらないんです。
今後もこんな調子でダラダラと続きますが、良かったら読んでください。

480Back to the other world:2007/06/19(火) 02:35:27
〜78〜

マティルダは『コキュートス』をじっと見据えながら、その先の魔神に500年ぶりに語りかけた。
もっとも、その内容は、
「全く、あなたがついていながらこの体たらく、一体どういうことかしら?」
語り合う、というより、説教に近いものであったが。
「むっ、なっ、何を・・・?」
問い詰められた“紅世”真正の魔神“天壌の劫火”アラストールは、状況が飲み込めないまま、訳も分からず返事をしていた。
その間抜けな言葉に、マティルダは、はぁ、と大きくため息をつくと、
「・・・まぁ、今回はたまたま“本物”だったからよかったけれど」
腰に手を当てて、顔をシャナの胸元に近づけ、
「これがもし“徒”の罠だったりしたら、どうするつもり?」
ジロッ、と刺すような眼光で“コキュートス”を睨み付けていった。
「なっ、ななななななっ」
迫ってきたその姿に、アラストールは完全に圧倒されていた。
もはやその声からは、“紅世”にその名を轟かす魔神の威厳などは、微塵も感じられない。
「ヒーッヒッヒッヒ!!なんてぇザマだよ“天壌の劫火”の野郎!!こりゃ〜笑いが止まらねえぜ、ヒャッヒャッヒャッヒャ!!」
アラストールの普段の態度とのあまりのギャップに、マルコシアスは“グリモア”をガタガタ揺らしながら爆笑した。
その笑い声に、悠二も釣られて噴出しそうになった。
「ア、アラストールの、あ、あんな風になってるとこなんて、は、はじめて見た・・・プッ」
そんな、ふと緊張感が抜けた場の雰囲気に、マージョリーは改めて釘を刺すように言った。
「笑ってる場合じゃないでしょ。いつまでチビジャリ達を混乱させとくつもりよ」
「あっ」
「あいつらにこの状況を説明できるのは、ユージ、アンタだけなのよ」
「そ、そうだった」
マージョリーに促され、悠二はその場から立ち上がった。
そして、いまだ張り詰めたやり取りが続いているところへ、恐る恐る声をかけた。

481Back to the other world:2007/06/19(火) 02:37:25
〜79〜

「あ、あの〜皆さん、とりあえずこの状況、僕が説明しましょうかわっ!?」
突然、悠二は右腕を物凄い力で引っ張られた。
「わぁぁっ!?」
「!?」
悠二の身体は宙を舞った。
その時、シャナは初めて、悠二と目の前の女性との間にある“何か”に気づいた。
(あれは・・・ヴィルヘルミナの、リボン?)
一体なぜ、と考えている間に、
「っ痛!?」
悠二はドスン、としりもちをついた。
そして、彼の首元にかざされたのは、紅蓮の大剣だった。
「ひっ!?」
「なっ!?」
一瞬の出来事に、シャナが呆然としていると、
「本当、甘ちゃんもいいところね」
悠二を捕らえたマティルダが、シャナに冷ややかな目線を送った。

突然の事に意味が分からない悠二は、もがきながら問いただす。
「ま、マティルダさん、一体どういうつもりですか!?」
と、
『黙って聞いてなさい!!!』
『っ!?』
マティルダの大声が頭の中にガンガン響き、思わず悠二は悶絶した。

紅蓮の大剣を手にしたまま、マティルダは語りかける。
「せっかくこうして、生き返ることが出来たってのに」
目線は、もう一つの紅い双眸に向けられている。
緩やかな目つきだが、その瞳はとても冷たく見えた。
それは相手を思いっきり侮辱した、見下したものだった。

「でも、会えたのは、腕のすっかりなまったへなちょこフレイムヘイズと、思いっきり名前負けしてるただのガキンチョだけだったなんてねぇ」

「!」

シャナはこれまで、浴びせられる罵声に応える余裕すらなかったが、
「・・・・今、何て?」
とうとう、下を向いたまま、ゆっくりと聞き返した。
「何、もう一回聞きたいっての?そろいもそろって三流ねぇ」
マティルダは、容赦なく畳み掛ける。

と、無意識のうちに『贄殿遮那』を引っつかんでいたシャナが、
「私の誇り、全てを馬鹿にするなんて・・・!!」
足元から紅蓮の爆発を起こすと、
「許せ、ない!!!」
刺突の構えで、
「やあぁぁぁっ!!!」
マティルダに向けて突進していった。

482名無しさん:2007/06/19(火) 21:23:45
うはw偶然覗いたら丁度、今日更新されたところだったwww ・・お祝いにパン屋でメロンパン買って来るかなw

 このスレをハケーンした当日中に>1〜478全部読んだ漏れはシャナ中毒か?
(コミックとSS以外、見てないのでアレだが)

483名無しさん:2007/06/19(火) 21:27:31
途中送信しちまった・・しかもsage入れる前に _| ̄|◯
Back to the other world 著者、犠牲ete著者サヌ、超GJ!  & トンクスです!
全話とても面白く、大変読み応えがありますたm(_ _)m

484名無しさん:2007/06/22(金) 23:13:28
ここって保管庫ありますか?

485名無しさん:2007/06/23(土) 01:24:31
ないと思われます。
どなたか保管庫を作成していただけるとありがたいのですが(他力本願でゴメンナサイ)

486名無しさん:2007/06/30(土) 21:11:17
作った場合って勝手に載せちゃっていいの?

487名無しさん:2007/07/02(月) 20:36:56
いいんじゃないですか?

488名無しさん:2007/07/13(金) 18:55:48
じゃあ、夏休みに入ったら時間があるので作っておきます

489名無しさん:2007/07/14(土) 12:49:01
いやあかんだろ
一応こういうのにも著作権が生まれるらしく、無断転載は駄目なんだぞ

490名無しさん:2007/07/14(土) 19:07:54
掲示板に張ってあるくらいだから集めて公開しても問題ないんじゃないか?

某所でも保管所作ってるが特に問題ないし

491名無しさん:2007/07/14(土) 19:47:06
みんな潜伏してるんだな

じゃ、作るのやめとく

492名無しさん:2007/07/15(日) 00:49:50
>>490
某所の保管人とここの管理人とA/Bシャナ辞典の管理人は同一人物

ここの掲示板に張ってあるものを転載するならSS保管人氏にやってもらわないとね

493名無しさん:2007/07/15(日) 01:45:20
ぉk
このスレのSS投下を待って潜伏してるヤツが沢山いることがわかった。

とりあえず保管所はもう少しSSの数が増えてから考えないか??
今の投下量じゃあ作っても無駄になるかもしれんし

494名無しさん:2007/07/17(火) 06:24:56
おはよう御座います。SSを書いたので投下してみますね。
未熟者ですが、その点は御容赦下さい
m(__)m

タイトルは「一つ一つの焔花、残映茜のめろんぱん」

495「一つ一つの焔花、残映茜のめろんぱん」1/8:2007/07/17(火) 06:25:28
――御前市の地平線が斜めになっていく。
街もビルも、鎮守の森も緑地も御前川も、はるか遠くミニチュアのようになって傾いていく。
坂井悠二は顔を仰ぎ、炎が流れゆく軌跡を見ていた。
いまは夕暮れ時。頂天の漆黒の帳と、群青色の仰いだ空と、
右手に見えるオレンジ色の夕焼けの光が、
幾重ものグラデーション層をなしていた。


坂井悠二は、彼を抱えて、背中から炎焔の羽を広げている少女を見上げた。
アミューズメント施設の景品のような人形サイズの、ちびっこい女の子だ。
「しゃな……そんなに飛ばさなくても、逃げたりはしないよ」
「うるちゃいうるちゃいうるちゃい!! 早くしないと手遅れににゃるの」
しゃな、と呼ばれた少女の視線は、ただ一点に向く。
彼女の意志の指す方へと。


悠二としゃなは、南を目指す。
オレンジ色の太陽光と十字に交わるように、炎の帯が突っ切っていく。
斜めに傾く街の地平線を、日没の時間を、真一文字に切り裂いていく。
悠二としゃなが、切り裂いていく。

いくら想いが乱されようと、しゃなの意志は向くほうへ向く。
いくら運命に廻されようとも、しゃなの意志は天極をさす。

496「一つ一つの焔花、残映茜のめろんぱん」2/8:2007/07/17(火) 06:26:31
「めろんぱんめろんぱんめろんぱんにゃの!!」
御崎町から電車で二駅行くと、御崎南駅というのがある。
そこの駅ナカに、パン屋『ワンダリング・ハーミッツ』があるのだ。

電車の来るアナウンス音が、夕暮れの中で、物寂しく切なげに響く。
通勤客を迎え入れる町の優しい空気と、
都心の生温かく孤独な臭いが交錯した、駅の無機質な臭い。
どこにでもある、ベッドタウン特有の駅の姿だ。


しかし、その南改札口を出て右に曲がったところが、
他の駅とは違うところであろうか。
人の列が、扉の外までざわざわと伸びているのだ。
臨時に雇われたらしき警備員が、「きちんと並んでください」と大声を上げていた。

「すごい大行列だねえ、しゃな。あきらめようか」
「ふざけにゃいで、めろんぱんが食べられにゃくなるじゃない」
そう言って、彼女は懐から広告チラシをがさがさ取り出した。
こんな小さい体のどこに入っていたのか。受け取った悠二は目を通した。
「えっと、なになに……本日、店舗のリニューアルにつき、商品の大売り出しを致します。
目玉は、夕張メロンの初物をふんだんに使った、特製メロンパンです。
売り切れ必至、是非いらして……」


しゃなが、悠二の横から広告を取り上げた。
そしてセーラー服の中にしまった。こんな小さい体のどこに入るのか。
「このお店、すごく美味しいって有名にゃの。
東京や関西からも買いに来る人達がいるわ」
「うん、聞いた時ある。お母さんも時々、ここのパンを買って帰るよね」

外のガラス越しから二人は、人、人、人で、
どやどやごった返す店内を見ている。
「いつも甘くてカリカリモフモフの美味しいめろんぱんが、
もっと美味しくにゃるのよ? いま行かないで、いつ行くのよ」
「わかったから髪を引っ張らないでくれよ、痛いよ」

行列はあと十分もすれば入れそうだった。しゃなが横から耳打ちした。
「いい、ゆーじ? 開店したらすぐ、めろんぱんコーナーに行くのよ? バケット売り場の隣にあるから」
「分かったよ。でもまず、よだれは拭こうね。
僕の制服にだらたらって掛かっているから」


どんどんと列が進んでいくのが分かる。扉まであともう少し。

497「一つ一つの焔花、残映茜のめろんぱん」3/8:2007/07/17(火) 06:28:47
二人が扉の前に来たとき、店員が一枚の紙を貼りだした。
しゃなは、声に出して読んでみる。
「『全品売り切れのため、本日の御入場はここまで終了です。
御足労頂いたのに大変申し訳ございません』、……って閉店じゃないのよ」

ぷるぷる震えだすしゃな。悠二が慰めるように言った。
「こんな混雑だったんだもの、仕方ないよ。また次回にしよ――」
「どうすんのよあたしの限定めろんぱんが売り切れなのよせっかく急いで来たにょよ並んだにょよ」

「仕方がないさ、しゃな。コンビニのメロンパンを買うから機嫌を直してよ」
「ばかばかばか。カリカリの甘さもモフモフの食感もないメロンパンなんていや、いやったらいやなの!!」
「分かったから……頸動脈を絞めるのは止めよう……僕の命まで大売り……出しに……なっちゃう……よぅ」

人形のような少女は手を離し、
「ゆーじのばかばかばかばか」と
泣きながらぐずりはじめた。

咳き込んで落ち着いた悠二。とりあえず周囲の目に顔を赤くしながら、
彼女をなだめようと動き出したときだった。

店の扉が開いた。そこから出てきたのは、
大きな紙袋を、大きな胸の谷間に挟んでいる女の子だった。
「あれ? ゆかりちゃんに坂井くん、どうしたの?」
彼女は悠二達のクラスメイトだ。
才気活発で可憐な容姿という評判で、同級生からの人気が高い。


「吉田……さん」


彼は、彼女の名を呼んだ。

498「一つ一つの焔花、残映茜のめろんぱん」4/8:2007/07/17(火) 06:29:58
「坂井くんのことを考えたら……つい学校帰りに、ね。
二人よりも速く来ちゃったみたい」
「学校まで十キロもあるのに、凄いよ。
ポーラ・ラドクリフや野口みずきも真っ青なタイムだよね。
オリンピックで金メダルが取れるかも」
「いやだあ、そんなに褒めないで。恥ずかしいよ」

吉田さんの持つ紙袋から、ふんわり甘く香ばしい匂いがした。
しゃなは、ひくひく鼻を動かした。
「あっ、めろんぱんの匂い!!」

小さい彼女は、紙袋に突進した。さっと闘牛士のように紙袋を払い、
吉田さんは人形のような少女の特攻をかわした。
しゃなはゴミ箱に、どんがらがっしゃんぶち当たった。

それを空気のように無視して、吉田さんは悠二に言った。
「最近評判だから、いくつか買ってみたの。坂井くんも、どうかな?」
「ちょっと吉田さん! しゃなが燃えないゴミ箱に!!」
「あの子は燃え切れない所があるよね……悩みでもあるのかしら?」
「そうじゃなくて言葉通りだよ、ゴミ箱にしゃなが突っ込んだよ、自分の言動を一致させようよ吉田さん」

ゴミ箱をみると、しゃながむくむく起き上がってきた所だった。
服に付いたビニール袋を払いつつ、
それでも視線は吉田さんの紙袋から外さない。

「いちち、ブラックガムが髪に付いて取れにゃいのよう」
「え? ブラックって、ゆかりちゃんの心が?」
「ガムって単語をちゃんと聞こうよ吉田さん!!」
自分の事を気持ちよく棚に上げて、彼女は紙袋に手を入れた。

おっぱいが気持ちよく揺れる。
悠二はあさっての方向に顔を向けながら、
視線だけは彼女の胸の谷間をちらちら追っていた。

「そもそも食べたいならそう言えばいいのに。好きなだけあるから……」
吉田さんはメロンパンを取り出した。
網目模様がくっきり炳焉と焼き付く、ふかふかパンだ。
よだれだらだらのしゃなを彼女は見る。
心なしか、意地悪そうな表情に変わった気がした。

そしてぱくりと食べた。吉田さんが。
『ワンダリング・ハーミッツ』のメロンパンが一つ、
巨乳少女の胃袋に収まった。


「わたしが代わりに食べてあげる」

499「一つ一つの焔花、残映茜のめろんぱん」5/8:2007/07/17(火) 06:30:57
何ということだろう!!
しゃなと悠二は、目の前の光景が信じられなかった。

「一つあげるよ」と普通は言うところだろう、常識的に考えて。
そう悠二は言いたかった。

「ちょっと、ちょっとちょっとちょっと。どうしてあんたが食べんのよ? 
意味分かんにゃいよ」
「吉田さん、少し不謹慎じゃないかな。ひとつ分けてあげてよ」

「御免なさい坂井きゅん」
吉田さんはうつ向いた。胸の大きい谷間が、悠二の目前に迫った
「ゆかりちゃんは、メロンパンばかり食べているから、小っちゃいままだとおもうの。
だから大きくするために、心を鬼にしなきゃって」

「別の意味ですごいよ吉田さん、君はほんとに鬼だよ。あと胸が……近いよ」
「ごめんなさい坂井きゅん。貴方のことを思うと……大きくなっちゃった。ゆかりちゃんよりもずっと、貴方を想っているから」

そこへしゃなが、吉田さんの頭を掴んだ。
「さっきから聞いてると何よ? 
正直うざったらしいのよ。メロンパンちょうだいよ」
「何するのゆかりちゃん。頭をぽかぽか叩くなんて信じられない」
「信じられないのはどっちよ? 
このこのっ、メロンパンあげるっていうまで離さないんだからあ」

吉田さんはがっしりと、小さいしゃなを掴んだ。
離してよ離してよとわめくしゃなを、
釣り込み腰で豪快に投げ飛ばした。
しゃなは、ペプシコーラの自動販売機へとそのまま激突した

「わたしは、ゆかりちゃんが大好きなの。貴女のためを思ってやっていることなの。
どうかわたしの気持ちを分かって」

『大好きなの』と言いつつ、恋のライバルを投げ飛ばすのが
吉田さんスタイルだろうか。
とりあえず悠二少年に出来るのは、背を向けて逃げ出すことだった。
ごめんよしゃな、僕は自分の命が大事なんだと呟きながら。

が、そうは問屋が卸さない。
「坂井きゅんも、この気持ち……わかってくれるよね?」
回り込まれた。もうお終いだ殺されると悠二は天を仰いだ。
駅の染みだらけの天井しか見えないが。

その瞬間、世界が灰色になる。
生活感に満ちていたはずの駅構内が、凛冽と急速に死んでいく。
音も、肌触りも、匂いもない空間と化していった。
他の人間の姿が消え、しゃなと悠二と吉田さんだけになる。
この世に跋扈する存在、『紅世の徒』と対峙するための場所へと変わったのだ。
しゃな達が『封絶』と呼ぶ空間へと変わったのだ。

「ゆーじに手出しはさせない、
めろんぱんとアラストールと千草ママとフレイムヘイズ達の次ぐらいに大切だから」
「笑止ね。わたしは何よりも誰よりもいつまでも坂井きゅんが大切よ。
この気持ちだけは大切にしたい」
御崎南駅で、しゃなと吉田さんの戦いが始まる。

500「一つ一つの焔花、残映茜のめろんぱん」6/8:2007/07/17(火) 06:31:45
二人は自動改札口で対峙した。
しゃなの持つ名刀『贄殿遮那』が、改札機と改札機に阻まれ、存分に振るえない。
「狭いところはずるいの」
「御免なさい。わたしは、どう戦ったらいいのか分からないから……」
この世の事物を、存在ごと断ち切るはずの名刀を、
吉田さんは金属製のペンケースで軽々と受け止める。

「わたしは、ただの人間だから……ゆかりちゃんほど強くなれない」
「ペンケースで戦える人に言われたくにゃいの!!」
しゃなは改札機の上に立ち、跳躍した。紅蓮の双翼を広げ始める。
逆に狭い立ち位置にいる吉田さんは不利になるはず――
しかし胸の大きい少女は冷静に、左手で学生鞄をまさぐった。

取り出したのは、キーホルダーをたくさん止めてある、
ラメの入ったチョーカーだった。
チョーカーのリング部分を飛ばし、いままさに羽を広げようとしているしゃなの足に引っかけた。
さながらカウボーイの投げ縄のように、小さい少女の足に投げ掛けて、改札口に引っぱり倒した。

「むぎゅう!!」
「飛んだら有利になる……先のことを考えすぎて、
意識がお留守になるのが、ゆかりちゃんの弱点だと思うの」
ICカード読み取り部の上に叩き付けられ、腰をさするしゃな。

また吉田さんは鞄をまさぐり、今度はソーイングセットを取り出した。
左手で器用に開き、待ち針と糸を出す。

「貴女には、これで十分よ。
坂井きゅんとの甘々タイムを邪魔しないように、縫い止めてあげるわ」
吉田さんは、しゃなを掴み上げた。
可憐な少女の握力に、小さい少女は苦悶の漏らし声を上げる。


絶対絶命、そう悠二には思えた。しかししゃなは諦めない。

501「一つ一つの焔火、残映茜のめろんぱん」7/8:2007/07/17(火) 06:33:29
吉田さんの手の中から、炎が轟々と上がった。
「きゃっ?」
あまりの熱さに、彼女は思わず手を離してしまった。

「わたしのペンダントには、アラストールがいる。
それを知らなかったのが、あんたの誤算ね」
《人間に、紅世の業火を使うとはな……長く生きていると、不思議なことばかり体験する》
ペンダントから声がした。審判と断罪を司る紅世の王が、
しゃなの首飾りに宿っているのだ。

「アラストール、あれを人間と思っちゃ駄目なの。
おっぱいが大きい徒だと思えば、戦いやすくなるの」
《もはや化者扱いだな》
「ひどい、ひど過ぎるわ。わたしはただ、ゆかりちゃんのために頑張っているのに……
どうしてこの気持ちが通じないのっ?」

もう、何も喋るな吉田さん。
彼女以外の全員がそう思った。そして誰も言えない、恐いから。


次の行動を起こしたのは、しゃなの方だった。
吉田さんが話に寄っている一瞬の間に、彼女の横をすり抜けた。
そして振り向きざまに紅世の業火を放った。
「もうこれでお終いね。鞄の中に入ってるめろんぱんは惜しいけど……」
世界と事物を認識する絆を燃やし尽くす焔の玉が、
胸の大きい少女に迫った。
しかしここで諦めたら、しゃなの恋のライバル失格だ。
吉田さんは、学生鞄に両手をかけた。
改札機の間なので横には振れない。なので――縦に振り上げた。


信じられなかった。あらゆる紅世の徒を焼き尽くしてきた炎が、
人間の学生鞄で弾き返されたのだ。


「えぇぇぇ――っ!?」
吉田さん以外の全員が疑問を呈する声を出す。
炎が天井に到達し、そのまま空へと飛んでいった。
「坂井きゅんのことを考えたら、何でもできるの。炎を鞄で打ち返すことだって、恋の力で可能なの」

いや、その理屈はおかしいよ吉田さん。
本人を除いて全員が思ったが、何も言えない。恐いから。

吉田さんは左手を離して、鞄の中に手を入れた。
今度はデコリシールが出てきた。
手帳やマスコットに貼って、デコレーションをするシールだ。

パンダのシールと星のシールの二枚をはがし、
驚愕の解けぬしゃなに放った。
この意趣返しに、小さい少女ははまった。
シールが彼女の両目に張り付いた!
「!?」
べりり剥がした。

――目の前に吉田さんがいた。

しゃながシールを剥がす一瞬の間に、走り寄ってきたのだ。
学生鞄を振り上げた。
しゃなは贄殿遮那で、足下から切り上げようとした。その時だった。





しゃなの目の前に、悠二の左手が見えた。
吉田さんの目の前に、悠二の右手が見えた。

三人の中心から、灰色の空間が色鮮やかになっていく。
音が蘇ってくる。世界の封絶が解けていく。
一斉に通勤帰りのサラリーマンや学生が押し寄せてきた。
アメリカの安いソープドラマのように、三人は人の波に押しつぶされた。

「むぎゅうにゃの」
「これが坂井きゅんの愛の重力だと思えば平気……でも坂井きゅんは、こんなに汗ばんだりしない」
「ちょっとしゃな、いきなり封絶を解かないでよ。って、人並みにぎゅうぎゅう踏まれてるんだ――」

通勤客の流れに飲まれながら、アラストールは静かに惟る。
《ふむ、なにゆえに世界が蝉脱されたのか。
二人の鞘当てが止んだのか。なんとも風致玄趣な様であるな》

そしてしゃなと吉田さんと悠二を見た。
《『いのちある木草のあはれ季くれば』……か。
はて、下の句を忘れてしまった》

502「一つ一つの焔花、残映茜のめろんぱん」8/8:2007/07/17(火) 06:35:11
「はい、メロンパン。たくさんあるから好きなだけ食べて」
人通りの少なくなった河川敷を三人が歩いている。
しゃなのペンダントには、宿主のアラストールが静かにしている。

「いいの……? もう食べたりしない」
「大丈夫よ、ゆかりちゃん。大きくなれない、なんて嘘を言ってごめんなさい。
考えてみれば独り占めなんて、わたしらしくなかったの」

じゅうぶん貴女らしいよ。とは誰も言わない。
彼女と争うことがいかに無謀かは、ここにいる誰もが知っている。


しゃなは紙袋からメロンパンを取り出した。
夕張産のメロン果汁を豊富に使用した、高級パンだ。
「いっただきまぁっす」
よだれをだくだく垂らしながら、しゃなはかじりついた。
「カリカリモフモフしひぇるぅ。美味ひぃっ」

悠二が伸びをした。
「じゃあ、もう争わないよね。二人には仲良くなってもらいたいから」
「それは別よ、坂井きゅん」
「今日は一時休戦しただけにゃのよ、ゆーじ。ふざけたことを言わないで」
「しゃな、パンを飲み込んでから話してよ」
吉田さんを見ると、彼女は微笑んみながら、しゃなの頭を撫でているところだった。


「『燃え上がる炎ほむらを背負いつつ永遠に火となれぬ口惜しさ』ね、ゆかりちゃん」
「にゃによそれ、『あんたの気持ちはお見通し』ってこと?」
「さあねえ、知らないなあ」


「やっぱいま決着を付けるわよ、ゆーじは止めないで」
「あらあら、ゆかりちゃん? ボコボコにしてやんよ」
「ちょっと二人ともストップ、ストップだよ」


午後六時の河川敷を、子連れの主婦達や
運動部員らしき中学生達が、すれ違っていく。
サッカーに興じている学生達の声が、遠くからしていた。

ふと、アラストールが呟いた。しゃなにも聞こえない。
《思い出したぞ、『いのちある木草のあはれ季くれば……
追はるるごとくつぎて花もつ』であった》

もうすぐで夜になる、ぎりぎりの時間になろうとしている。
家へ帰る頃には、月が半分のぼっている頃だろう。
しゃなと吉田さんが言い争いをしている。
それを悠二が仲裁に入ろうとしている。

《一つ一つ花たちが瑞々しく開く、なんと心動かす様であることよな》

アラストールの宿った首飾りが、夕光をうけて、
きらり瞬いた気がした。




503名無しさん:2007/07/17(火) 06:41:16
以上です。お目汚しですスマソです。
しゃなたんと、黒吉田さんのバトルを、無性に書きたかったのです。
戦うと強そうですよね、二人は。

なぜかドラゴンボールでいう、悟空とベジータの関係のように見えてきて困りますw
( ´・ω・)

504名無しさん:2007/07/18(水) 18:21:42
>>494さん
GJ!!やはり吉田さんは真っ黒が似合うwww

にしてもそろそろ犠牲の続きが読みたくて仕方がない…
頼むから書いてくれ!

505名無しさん:2007/07/22(日) 11:54:07
>>503
GJ!
>「ゆーじに手出しはさせない、
>めろんぱんとアラストールと千草ママとフレイムヘイズ達の次ぐらいに大切だから」

しゃな・・・。

506名無しさん:2007/07/22(日) 22:43:12
>>503
GJ!
笑わせていただきましたw

507名無しさん:2007/08/13(月) 01:13:04
うぐおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ(ry
>>476>>481 の続きはまだでありますかぁぁぁぁ  (禁断症状w)
どっちも超良作なんで読みたくて読みたくてしょうがNeeeeeeeeeeeee

508名無しさん:2007/08/22(水) 12:11:39
>>503
始終ニヤニヤしっぱなしで詠ませて貰いますたw 吉田さんの黒さがイイカンジですよぉぉ(*´Д`)

ごちそうさまでしたm(_ _)m

509234:2007/09/11(火) 17:04:02
再び投下します。
終わりは頭の中にあるのに、どんどん長くなってしまう・・・(泣)

510Back to the other world:2007/09/11(火) 17:24:54
〜80〜
迎え撃つマティルダは、大太刀を手に迫る小さな姿を、じっと見つめている。
「・・・短気な子ねぇ」
マティルダはつぶやいた。
次の瞬間、
「はぁっ!」
怒りに震えるシャナが、刺突を繰り出した。
しかし、マティルダは悠二を抱えたままヒラリと身をこなし、攻撃を難なくかわした。
「なっ!?」
そのあまりに綺麗な体さばきに、思わずシャナは声を上げる。
その一瞬の隙を突いて、
「どこ見てんのよ」
マティルダはシャナの後ろに回りこんだ。
「!?」
慌ててシャナは体勢を変える。
と、向き直った方角から、紅蓮の炎弾が迫った。
「くうっ!」
すかさずシャナは一太刀浴びせる。
バシュ、という音とともに、炎弾は細かい火の粉となって消えた。
「・・・まだ来る!?」
構えを取るまもなく、再び炎弾が、今度は数十個飛んできた。
「やぁっ、はっ!」
それをかわし、かき消しつつ、シャナは攻撃を繰り出している中心へと近づく。
近づきながら、この謎だらけの状況について、考える。
(あいつは、何者、なの!?)
これまでの経緯を思い出しながら。
(何で、ヴィルヘルミナに、あんなひどいことを・・・?)
今現在の場面も、頭に入れつつ。
(どうして、悠二が一緒にいるの?)
そして見えてきた、その姿。
(私の、前の、フレイムヘイズが・・・!!?)
あれこれ考えつつも、シャナの身体は自然と、攻撃態勢を取っていた。
「やぁぁぁぁっ!!!」
シャナは再び、斬りかかった。
バサッ、と、マティルダの身体が袈裟斬りにされた、かに見えた。
しかし、まもなくその身体は粉々になり、紅蓮の炎となって消え去った。
「むっ!?」
すると、
「遅い」
次の瞬間、
「がはっ!?」
背後からの、マティルダの強烈な回し蹴りが、シャナを吹き飛ばした。

511名無しさん:2007/09/12(水) 01:07:16
ktkrwwwwww

512Back to the other world:2007/09/12(水) 18:55:48
〜81〜

「シャナ!?」
サッカーボールのように飛ばされていくシャナの様子に、悠二は愕然となる。
小さな身体は二度、三度、地面をバウンドして、境内の方まで滑り、止まった。
「ぐっ…」
蹴られた右半身の痛みに苦しみつつ、シャナは立ち上がった。
唇が切れたのか、口からは血が流れている。

一方のマティルダは、
「いや〜、吹っ飛んだ吹っ飛んだ。気分爽快ね」
涼しい表情で、おどけて見せた。
「マティルダさんっ!あなたは一体何をぐっ!?」
まくし立てた刹那、悠二はみぞおちに打撃を受けた。
まもなく悠二は、マティルダに抱えられたまま気絶した。
「悪いけど悠二君、あなたには少し黙っててもらうわ」
つぶやいて、マティルダは前を見据える。

「悠…二っ…!?」
ぐったりとした様子の悠二を見て、シャナはさらに怒りを募らせた。
(ほほぅ、ようやく本調子、ってとこかしら?)
存在の力の急速な高まりと、大きな脈動を、マティルダは目の前の相手に感じていた。
「あらあら、ずいぶんとお怒りね」
しかしそれでも、相手を小馬鹿にした、とぼけたような口調を変えようとはしない。

シャナが口を開く。
「…たとえ、私にとって“何”であろうとも」
『贄殿遮那』の柄が、握り締められる。
「私達の仲間を傷つける奴は、絶対に許さないっ!!」
足元を、紅い炎が包む。
「やあぁぁぁっ!!!」
紅蓮の爆発と共に、シャナがマティルダに迫った。
その様子をじっくりと見つつ、マティルダも再び、攻撃態勢を取った。

513Back to the other world:2007/09/12(水) 18:57:03
〜82〜

「はい、そこまでっ!」
「ッ!?」
声と共に割り込んできた“何か”に、シャナは思わず切っ先を退けた。
そこには、群青色をした巨大な怪物が、両手をそれぞれシャナとマティルダのほうに向けて広げ、仁王立ちしていた。
「そこをどいて!!」
思いもよらない介入者に、シャナは声を荒げた。
「やっかましい!!」
トーガの中から、『弔詞の詠み手』マージョリー・ドーが、負けず劣らず怒号を発した。
「何度も何度も封絶張らずに戦って、アンタら、一体どういうつもりよ!!」
「ヒャッヒャ、ま〜ったくお二人さん、我が麗しのゴブレット、マージョリー・ドーと変わらねぇぐれぇの喧嘩っ早さだなぁブッ!?」
「お黙りっ!!」
不機嫌なせいか、普段より『グリモア』を蹴り飛ばす強度が強いように“蹂躙の爪牙”マルコシアスは思った。
「全く、さっきドでかい封絶をやっと解いたばっかりだってのに…アンタ達、この街を消す気?!」
「…っ」
マージョリーの指摘を、シャナはその通りだと思いつつ、
「っでも、私はあいつが」
なおも前進しようとした。
「聞き分けのないガキね」
群青色の炎弾がシャナに向けて飛ばされる。
「っ…アンタは関係ないでしょっ!!どいてよ!!」
炎弾を切り飛ばして、シャナは抗議する。
「いい加減にしなさいっ!!」
『トーガ』の手を巨大化させて、マージョリーはシャナの行く手をふさいだ。
そして、その手はシャナを、そしてもう片方の手はマティルダを指差して、一言。
「…この勝負、私が預からせてもらうわ」

514普段:2007/09/12(水) 23:37:42
お久ぶりです。久々投下いきます。

全く関係ないですがこのSSは「勇者王誕生!!」を聞きながら書きましたw
やたらテンションあげて書いてたのでおかしなところが沢山あると思いますがスルーしていただけると嬉しいです。

515悪魔:2007/09/12(水) 23:38:47

「……」
ヴィルヘルミナは四人の王から離れた位置から気配隠ぺいの自在式を使いインベルナのなかを突っ切り、自身の持つ、例え直接攻撃が向かない自分であっても回避、防御不能の一撃を加えた。加えたつもりであの槍衾を放った。
しかし
「まったく、人使いが荒い」
その一撃は、確実に敵を串刺しにするはずの一撃は
「まあ文句を言うな。お前もこれほどの相手と戦えるんだ」
マントの男と金の鎖がそのすべてを弾き落としていた。

彼女のリボンは寸分違わず敵に当たるはずであった。
一撃で相手を倒そうなどとは元より思ってはいない。しかし戦闘不能、悪くて若干の手傷は与えられると踏んでいた。それほどまでに奇襲とは強力な攻撃方法である。
だがあろうことか相手はかすり傷一つない無傷である。
それを可能にしたのが‘逆理の栽者‘ベルペオルの持つ宝具『タルタロス』と‘壊刃‘サブラクの絶対的なる防御力である。
あろうことかヴィルヘルミナが敵の中心へ突入し攻撃を仕掛ける瞬間、その金の鎖はサブラクを捕獲、他の味方をサブラクより後方へ引っ張りあげ、さらに蛇のように正確に大半のリボンの位置を探知、雨のように降り注ぐ攻撃から身を守るための盾としてしまったのだ。

516悪魔:2007/09/12(水) 23:39:17
ヴィルヘルミナは完全に意表を突かれた。
以前の戦いで彼女の攻撃はサブラクの無敵に近い防御力相手では効かないのは明々白白。故に攻撃もサブラクに対しては目くらまし程度の規模でしか行っていない。
彼女が驚いたのは逆理の裁者の持つあの鎖。
ヴィルヘルミナは誓って言えるだろう。

ベルペオルは確実に自分の攻撃に反応できていなかった。

もとより戦闘が得意な徒ではない。近接戦、さらに奇襲に反応できる王ではないのだ。
しかし、そうであるはずなのに。

あの鎖は自ら動いて自分の攻撃を、全て、正確に、完全に防いだのである。
それだけではない。金の鎖は自身の防御力では足りないという判断すらも術者の補助なしでやってのけたのである。
あの鎖は高性能独立知能、存在の力の量からの相手攻撃力の計測、周囲の性格な状況把握能力、ヴィルヘルミナのリボン並の高速移動を同時に行えるという規格外宝具なのである。
それがサブラクと組めばどうなるか。
つまりサブラク、ベルペオルの二人が揃っている間はほとんどの攻撃、少なくともヴィルヘルミナ自身が持つ攻撃手段ではダメージを与えられないということがこの一合目の戦いで確定してしまったのである

「まったく、本当にやっかいな奴らであります」
「状況険悪」

それ故の驚愕、それ故の絶望感と計算の修正。数瞬反応が遅れる。そしてそのわずかな時間が命取りになることを彼女は理解していた。
直ちに全速でその場から離脱を試みる。がっ
「甘かったな、万条の仕手」
そんなことは敵も十二分に理解している。

517悪魔:2007/09/12(水) 23:39:51
気づいた時には自らの体の大きさをはるかに超える槍が降ってくる。
同時に逃げ場をなくすように無数の剣が彼女を刺し、貫かんと構える。
その後ろで大規模な存在の力の増幅が感じ取れる。

正に八方塞がり、絶対絶命。
「簡単にはさせないであります」
殺される前に一人は…と死覚悟で突撃をかけようとしたとき
「もちろん。あなたは私が守るもの」
またしても琥珀色の風が王達を吹き飛ばす。

「ちっ!!確実にヤレたものを!!」
風が吹きやむとそこには塵一つ残ってはいなかった。
もちろん自分たちの攻撃によるものではない。
『ミストラル』
フィレスの持つ移動用の自在法。
指定した範囲を空間ごと風で包みこみ一時的に、強制的にその空間の存在の力を風と変換。離れた場所へ高速で移動させるものである。
「目的は零時迷子の確保。フレイムヘイズ撃退は必須項目ではないので問題はありません」
ヘカテーが淡々と告げる。
「そういうことだ、きにするんじゃないよ二人とも」
「まぁ楽しみは後に取っておけと言うしな」
「…っち!」
三人はそれぞれ答える。
「さぁ、行きましょう」
悪魔は動き出す。

518普段:2007/09/12(水) 23:41:50
でなかなか終わりませんorz
まったりやっていきますので読んでいただけると幸いです。
ではではノシ

519名無しさん:2007/09/14(金) 21:04:31
こっちにはSS来てるんですねぇ・・・
皆さんGJです!

520名無しさん:2007/09/16(日) 10:39:59
    ___
  _l≡_、_ |_ (
   (≡´酈`)  ) 糞スレはここか・・・
   <__ヽyゝヽy━・
   /_l:__|
    lL lL

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