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月に叢雲、花に風

2水金翔:2016/12/26(月) 07:17:17 ID:???
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生きるため、右手に銃を持つのなら、左手には何を持てばいいのだろう――

「右手が武器なら左手には盾が欲しいね。 絶対狙いを外さない銃と、絶対に貫けない巨大な盾、これで完璧だ。 これなら、俺の後ろのヤツらを護れるだろ?」

“超”が付く自信家のコイツは、これ以上正しい答えはないって風に答えた。
なるほどね、仲間想いのお前らしい答えだよ。

「そもそも銃だなんて、使いこなせるわけがないじゃない。 あたしは何も持たないわ、その必要がないもの。 だって、みんながあたしの分も頑張ってくれるから…そうでしょう?」

ちょっと特殊な家柄の子は、そう答えてやんわりと微笑んだ。
ちょっとちょっと、その根拠はどこにあるの。

「武器も大事だが、最初に持つべきは銃ではない。 情報を手に入れる術を、両手に持つべきだ。 情報こそが、最大の武器だからだ」

必要なこと以外はほとんど口にしないヤツは、表情を変えずにそう答えた。
それも確かに。優等生の考えることは違うなぁ。

「もしも銃を使う能力があるなら、私は両手に銃を持つわ。 生きるためなんでしょう? だったら誰にだって容赦はしない。 攻撃こそが、最大の防御よ」

ちょっととっつきにくい頭脳派の子は、そう答えてどこかに行ってしまった。
恐ろしい答えったらないなぁ、まあ仮の話だからいいんだけどさ。

「誰かの命を奪ってまで生きる意味があるのかわからないの。 だから、何も持ちたくない。 綺麗事なのかもしれないけど」

とても大人しいこの子は、俯いてそう答えた。
好きな答えだけど、もっと自分に自信を持ってよ。

「右手が銃なら、左手は空けておくよ。 そうすれば、何かあった時に使うことができるだろ? 余裕を持っておくことは大切だよ」

お兄ちゃん気質のコイツは、そう答えて笑顔を見せた。
まあ両手がふさがると色々不便だよな。

「そんなん使ったことないからわからんわぁ。 あ、こういうのはどうやろう、栄養満点で美味しいパンとか。 言うやんかぁ、腹が減っては戦はできんって」

おっとりしたこの子は、そう答えると飴玉をくれた。
確かに正論、平和で良いね。

「銃なんかいらないから、身を守る術が欲しいの。 怪我なんかして誰かの足を引っ張ることのないように。 攻撃なんて二の次よ」

そう答えたこの子の目は、ひどく真剣だった。
そんなに背負いこむことないんじゃないかな。

「そんな怖いもの持ちたくないよ。 そんなの持つよりも、両手に抱えきれないくらいのぬいぐるみを持ちたいな。 きっとふかふかで気持ち良いよ」

元気で少し照れ屋なこの子は、そう言ってはにかんだ笑顔を見せた。
確かにね、でも“生きるため”っていう話、完全無視?

「右手に銃を持つのなら、左手は添える。
 少しでも確実に狙い撃つためには、片手では不十分だろう。 試してみるか?」

仲間内にしか感情を見せないコイツは、答えてから立てた人差し指を向けてきた。
おっと勘弁してよ、仮の話なんだから。

なるほど。
みんなそれぞれだね。
じゃあ、こういうのはどうだろう。
この左手で、君を護り支えるよ、だなんて。
ちょっとクサいかな。


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