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サイトを荒らされ改編されてオリバト消滅

88柚子:2014/11/19(水) 09:50:28 ID:???
色々考えたがいくら時間が経ってもいい案が思い浮かばなかった。涙下伎璃(男子20番)は溜息をついた。思い浮かばない代わりにいつもの教室の光景を思い出してしまう。楽しくて、笑いあっていて、みんな幸せそうだった。自分は参加できなかったけれど。

ただ、悔しい。
どうしてこんな目に遭わなければいけないのか。
自分たちはただ、日々をすごしていただけだ。
何も悪いことはしていないはずだ。
もし時間を巻き戻せるなら、戻してほしい。それが仮に叶ったとしても自分に何ができるか、定かではないけれども、後悔しないように生きたい。やり直せるならもう一回、一度からやり直せたなら、声を出せるようになって、誰かと話したい。
そんなこと、無理なのに。

「涙下」

聞き覚えのある声に伎璃は後ろを振り向いた。同時に安心した。何故なら中居螢太(男子16番)が立っていたので。
螢太はクラスで一番話しやすいと思っていい。直接話したことや関わったこともないが、いつも見てて楽しそうにしていたことを覚えている。木元拓(男子8番)との会話のやりとりがはっきり聞こえていて騒がしいとか面白いとかもその場の気分によって色々考えていた。声が出せても、多分話すことはなかったのだろうけど。

「イエスかノーでいいから、俺の質問に答えてくれるか?」

そう言って、いつもどおりに笑ってみせた螢太だったが、伎璃にはそれが寂しそうに見えた。当然だった、家族が死んで、立ち直れるはずがない。立ち直れたら、それは奇跡に近いのだ。とりあえず伎璃は首を縦に振った。それを見て螢太は肩をすくめて、笑った。

「いくぜ。涙下はゲームに乗っているのか?」

ノー。

「そこから動いていない?ずっと?」

イエス。

「どうしたらいいのか考えても思いつかなくて悩んでるだろ?」

イエス。

「じゃあ、俺が答えを出すよ。 ……死んでおけばいいんだよ」

驚いたときにはもう銃声が響いた。足を撃たれて、激痛が伎璃を襲う。もう一度見つめようとする。
螢太が小さな銃を自分に向けていた。死が、ぐっと近くなる。

なんてものを向けるんだろう。
人に向けて撃ってはいけないのに。

「本当は俺の武器、これじゃないんだよ。箱があるだろ?宝箱みたいなやつ。あれ開けたらこれが入っててさ。悪くないんじゃないかって。何でって一発で頭撃てば、苦しくないだろ?涙下、じゃあな」

何か言いたくても言えない。
声が出たら、ほんの少しだけ出せたらどんなによかったんだろう。
神様は、不公平だ。

次に聞いたのは期待を裏切る小さく短い音。真っ赤な血を飛び散らして倒れる少年と、ただ黙ってそれを見眺める少年。目には涙が溜まっていた。決して最後まで流すことはなく、そのままこの場を去った。


男子20番:涙下伎璃・死亡/残り:22人 中盤戦終了


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