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サイトを荒らされ改編されてオリバト消滅
181
:
柚子
:2015/02/03(火) 14:50:00 ID:???
伊達翠(女子10番)は雪の中からぼんやりと外を眺めていた。
何もすることがなく、何もできはしない。
「…雪が…降ってる…」
その時ゲレンテ内の雪が補充され始め、ちらほらと舞い降りる雪が見えた。
ただ静かに降り積もる雪を見ていると、心の中に小さな切なさが生まれた。
助かるためのキーワードを知っているとはいえ、伊達の感じる恐怖は計り知れないものだった。
運命の悪戯なのか18時の放送の時間に眠り込み、内容を聞き逃している。
伊達の居るB-2は19時に禁止エリアと指定されていたが、それを知る術は無い。
ただ生き延びてこそ、それが選ばれなかった事を知る方法だった。
伊達は傍らに落とした時計を眺めて19時が近づいているのに気がついた。
時計を見ないようにと思っていてもつい見てしまう。
そこでは死へのカウントダウンが始まっているかもしれない。
背筋が凍りつくような恐怖が辛かった。
18:45(残り15分)
伊達は目を閉じて時が過ぎるのを待っていた。
心の中で頼近仁美(女子21番)との会話を思い出す。
「私の兄がね、反政府組織に入ったの」
誰もいない夕暮れ時の教室でその事を聞いたのはつい三日前の事だった。
「プログラムに巻き込まれた生徒を助けるんだって」
頼近が困った顔して呟いたその言葉、それが今の伊達の持てるただ一つの希望。
18:50(残り10分)
伊達は額の冷や汗を軽く拭って溜息をつく。
親友の頼近がすでに死んでいる事を伊達は知らない。
互いに生き延びられるように祈るだけだった。
アドバイスをした相楽冴(女子7番)がどうなったか伊達は知らない。
クラスメートとして助かる事を願うだけだった。
18:55(残り5分)
伊達は軽く唇を噛んで運命の時を待った。
だが、心構えで硬くなった体と裏腹に力が抜けていく。
再びナルコレプシーの発病で眠気が近づいていた。
時計は刻々と進み、残りが三分になった所で伊達の意識は消えていった。
いつの間にか雪の補充が終了し、辺りにはただ静寂があるだけだった。
そして時計がきっかり19時を指す。
巨大な爆発音は雪の中に消えていった…。
女子10番 伊達翠 死亡
【残り26人】 中盤戦終了
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