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バトル・ロワイアル〜罪と罰〜【長編】

8咎目千人:2009/10/26(月) 22:03:02 ID:en4xDozY
「何その言い方。男子に私たちの気持ちなんて分からないよねー」
「ねー」
 翔子の周りにいた女子たちが悪意たっぷりにそう言ったのに対し、透があからさまに舌打ちするのを直樹は呆れつつも「それくらいにしとけって」と制止していた。
 透は、『アイドルコンビ』と呼ばれているサッカー部のダブルエース、愛川礼二(男子一番)と長谷川雄大(男子六番)に次いで、クラスでは美形の男子であるのにも関わらず(まあ、たった十人の男子の中で三番手だからといって大して自慢にもならないが)、校内の女子から支持されまくりの二人とは対照的に、女子とはケンカが絶えない生徒だ。
 しかしまあ、ケンカする機会すらない俺よりはマシだけど、と直樹は思った。
 透の場合、顔は申し分ない。運動神経も悪くない、というよりかなりいい。
 要するにそのいちいち文句を付けたがる性格が問題だった。
 しかし。
「お前、そんな発言して、もし白鳥さんが泣いてたりしたらシバかれるぞ」
「だいじょぶだいじょぶ。あすかが泣くわけないだろ?」
 直樹の懸念に対し、透は大げさに肩をすくめながら答えた。
 ……直樹が懸念したのは、透が実の姉のように慕う白鳥あすか(女子四番)のことだ。
 どうやら今のところまだ体育館に姿を現していないようだったが(あすかの席には、パイプ椅子の上に寝転がっている詰草麗華(女子六番)の頭が置かれていた)、透はあすかには頭が上がらない。こうして本人のいないときには『あすか』などと下の名前で呼び捨てにしているが、本人の前では『あすかさん』と呼んでいる上に敬語だ。
 あすかは、自分の名字を英語読みしたグループ『ホワイトバード』のリーダーである。
 活動内容は本人たち曰く『校内をよりよくする』ことらしいが、直樹を始めとするクラスメイトたちにとっては、ズッコケ三人組のようなものだというのが共通の見解だった。
 メンバーはあすかと透、そして『頭脳担当』であるというコンピュータオタク・伊谷恭四郎(男子二番)。性格的にはまるでバラバラな三人だが、主にあすかが透や恭四郎をどやしながらなんだかんだで仲良くやっているのを休み時間にはよく見かける。
 しかし直樹は透以外の『ホワイトバード』とはあまり話したことがなかった。
 恭四郎とは、単純に野球少年とコンピュータオタクとでは共通の話題がないから。
 あすかと話したことがないのは、直樹が女子と会話をするというだけでも抵抗を覚えるほどのシャイな性格であるのと、あすかに対する苦手意識からだった。
 あすかは女子にも関わらずケンカが強く、一年生のときには空手だかをやっているとかいう三年生の男子生徒を殴り倒すのを偶然見てしまったことがある。性格も男勝りで、透や恭四郎がパシリにされているのを昼休みにはよく見かけた(ちなみにそのときの透と恭四郎は危機感に溢れた表情で、『どうすんだ恭四郎、チョコチップメロンパンは人気だからもう売り切れてるかもしんねーぞ!?』『い、いいから行こうって! なかったらメロンパンで我慢してもらえば……』『あすかがそんな寛容な女なわけないだろ!』というような会話を交わしているのがお決まりだった。哀れなり)。
 つまり直樹は、白鳥あすかに『怖い』というイメージを持っているのだ。
 ルックスはまずまずだし、透に言わせれば『アイツはツンデレなんだよ』だそうだが、おとなしめの普通の女子とさえなかなか話せない直樹にとっては敷居の高い相手である。
 ちなみに一組には他にも、陸上競技の近畿大会にも出場したアスリート・綾宮花音(女子一番)や合気道部の部長を務めていた広瀬ほたる(女子八番)といった凄まじい女子が揃っている。一組の女子で『普通』っぽいのは、文芸部で詩を書いているとかいう牧野瑠璃(女子九番)あたりだろうか。後は大体、個性に溢れている(と、いうような言い方をすると、牧野瑠璃は無個性だと言っているように思われそうだが)。


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