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バトル・ロワイアル〜罪と罰〜【長編】

15咎目千人:2009/10/28(水) 20:32:14 ID:en4xDozY
「和藤君には死んでもらいました」
 ミミはニンマリと笑いながらそう言い放ち、被せられた布を剥ぎ取った。
 その瞬間、女子たちが甲高い悲鳴のハーモニーを奏で、男子の中にも「うおお!?」と怯えと驚きの入り混じった声を上げる者が現れた。
「な、何ぃぃ!?」
 透が身を乗り出してそう叫ぶのを聞きながら、直樹は自分の心臓の鼓動がみるみるうちに加速していくのを感じていた。
 ……担架の上に仰向けに寝かされていた、和藤忠志の額にはぽっかりと穴が開いていた。
 恐らくは容赦無く弾丸を撃ち込まれたのだろう、その目は見開かれていた。
 担架のうち、彼の頭が置かれている部分は彼の血で真っ赤に染まり、さらに、彼の後頭部から灰色のゼリー状の物体がはみ出しているのがハッキリと見えた。
 ……誰がどう見ても、死んでいる。
 恐らく、最前列の生徒たちには、ハッキリと血と脳漿の匂いが届いているはずだった。
 直樹は思わず口を押さえ、沸き上がって来た吐き気を懸命に抑える。
 昔から、肉体的・精神的に強いショックを受けると、決まって吐き気を催してしまうのだ。だから直樹は野球部に所属していた頃も、常にエチケット袋を携帯して練習や試合に臨んでいた。
 ダメだ、吐いたらダメだ、今はそんな場合じゃない――――
「おげえええええ」
 ……ダメだった。
 胃の底からぐぐぐぐぐ、と胃液が押し上げられる絶望的な感覚が、喉を通過したのを知覚した瞬間にはもう、直樹は机の上に嘔吐していた。透が振り返り、すぐさま椅子ごとバックして吐瀉物から身を守ったのが見えた……クラスメイトたちの何人かはこちらに注目したが、多くの生徒は和藤忠志の死体に釘付けのようだった。
 ……やってしまった。
 酸っぱい匂いがこれでもかと言わんばかりに漂ってくる。
 直樹は涙目になりながらも、ポケットからハンカチを取り出して口元を拭いた。
「月見里直樹君、だよね? 吐くのはいいけどちゃんと袋に吐こうねー。ま、それはともかく、これでもう疑いの余地はないよね。これはドッキリなんかじゃありませーん、もう一度言いますっ! みんなにはこれから、ちょっと殺し合いをしてもらいますっ!」
 ……その言葉が悪夢の始まりだった。
【男子十番・和藤忠志 死亡】
【残り19人】


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