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バトル・ロワイアル〜罪と罰〜【長編】

14咎目千人:2009/10/28(水) 20:31:45 ID:en4xDozY
「みんなにはこれから出席番号順に、男女交互に二分間隔で出て行ってもらうけど、最後の人が出て行ってから二十分後にここも禁止エリアになるからまずは分校から離れようねー。ああそれと、みんなには学校に持ってきてた私物と一緒に、デイパックっていうのをあげるよ。そこには食料と水、地図と時計、磁石。それに武器が入ってるから。武器は銃器類からナイフまでピンキリだよ、ハズレもあったりするし。それとね、今回のみのスペシャルルールで、デイパックにはカギが入ってまーす」
 カギ? カギってあの、KEYのカギか?
「そのカギには、シリアルナンバーが書いてあって、出席番号と対応してるよ。それで、みんなに配る地図には、それぞれのカギで開けることができる金庫の場所が書いてありまーす。その中にも武器があるから、禁止エリアとかで行けなくなるまでに、そのカギ持って金庫を探すのもいいかもね。ただし、金庫の中身もランダムだから注意してね。それに、すべての金庫の位置を全員が把握できるわけだから、待ち伏せされちゃうかもね。ああ、金庫はすっごく重くて持ち運びは不可能だからそこは安心して。ロケットランチャーぶちこんでも壊れませーん」
 くだらないルール作りやがって、と直樹は心の中で吐き捨てた。
 ……殺し合いなんてしたくない。それは誰だって同じはずだ。
 だけど、だけどこんなルールじゃ、それ以外に方法は――――
 ……って、俺は何を考えてるんだ、これじゃこのふざけた女の思うツボじゃないか……
「ま、一通り説明は終わったけど、何か質問ある?」
「はい」
 そのとき、まっすぐ手を挙げたのは、詰草麗華だった。
 真っ白な髪をもう片方の手で分けながら、無表情のままこう尋ねる。
「和藤忠志の姿が見当たりませんが、彼はプログラムに参加しないんですか?」
「…………!!」
 ここで初めて、直樹は自分の真後ろの席に誰も座っていないことに気付いていた。
 そうだ……あの、悪名高い不登校児が。和藤忠志(男子十番)が、ここにはいない。
 卒業式の予行練習に来ていなかったから、だろうか。
 いや、三年一組がプログラムに選ばれた以上、彼もまた例外ではないはず――――
「詰草麗華さん、だよね? そう、私としてはそこに早く突っ込んでほしかったのよー。和藤君、ずっと学校来てなかったんだよね。それでね、私思ったんだ。義務教育すら満足に成し遂げる意思のない人間が、この大東亜共和国にいてはならないって。だからさぁ」
 そのとき、カツンカツンという高らかな靴音を響かせながら、大東亜共和国の志願制軍隊・専守防衛軍の兵士と思われる、腰に自動拳銃を入れたホルスターを装備している兵士が二人、教室に姿を現していた。
 よく日に焼けた、無骨な顔つきの兵士は、服の上からでも全身隈なく鍛え上げられていることが分かる。
 その二人は、担架を運んでいた。
 直樹にとっても、練習中に熱中症でぶっ倒れた部員がそれで運ばれていくのを何度か目にしたことがあるので、割と馴染み深いものだ。
 その担架には、一枚の白い布が被せられていた。
 ……直樹はごくりと唾を呑み込み、その担架に注目する。
 他のクラスメイトたちもそうだった。


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