したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

バトル・ロワイアル〜罪と罰〜【長編】

13咎目千人:2009/10/28(水) 20:30:51 ID:en4xDozY
「ルールはいたってシンプル。最後の一人になるまで殺し合うだけ。そうして生き残った人だけが家に帰れるんだよー。一生暮らしていけるだけの補償金が貰えるし、それにほら、我らが総統陛下のサインも貰えちゃうよー」
 んなもんいるか、と心の中で吐き捨てた。
 総統と呼ばれる権力者が代々支配しているこの国で、総統に対する暴言を吐くことはイコールで死を意味するからだ。
「ちなみに外暗いから分からないだろうけどここは島だよ。だから逃げ場なんてないからね。泳いで逃げようなんて人は待機してる政府の船が射殺しちゃうからねー」
 物騒なことを平然と言い放つミミ。
 しかしそれに対して、何か物申す生徒など一人としていなかった。
 当たり前だ……ミミが先ほどぶっ放したのは本物の拳銃だと分かっている。
 もしミミに対して口答えしたりしたら、その銃口が今度は天井ではなく自分のほうに向けられるだろう。
 直樹はぎりっ、と歯を噛み締めながら、嬉々とした様子で説明を続けるミミを睨み付けていた。
「これだけは覚えといてほしいけど、二十四時間の間、一人も死亡者が出なかったらゲームオーバー。その場合はね、あなたたちの首に付けられたその首輪が、ぽーん! ……って爆発するよー。首がたーまやー、って打ち上がっちゃうぅ、怖―い」
 ほとんどの生徒が思わず首輪に触れていた。
 直樹も、また、透もそうだった。
 自分の血の気が引いていくのを感じる……そんな物騒なものを付けられているのか、俺たちは!
「それだけじゃないよ、不審な行動を取ろうとした生徒の首輪も爆破しちゃうからねー。その首輪は高性能で、あなたたちの居場所が完璧に分かるようになってるから。外そうとして無理にガチャガチャやっても爆発するから注意してねー」
 首輪に触れていたほとんどの生徒が慌てて手を離した。
 ……二十四時間の間、死亡者が出なかった場合。
 ……不審な行動を取った場合。
 ……無理に外そうとした場合。
 それらが、この首輪が爆発する条件か。
「それとね、私たち政府はこのゲームをよりエキサイティングにするためにこんなルールを設けましたー」
 ミミはそう言いながら、チョークを手に取って黒板に島の絵を描いていた。
 そこに、フリーハンドにも関わらずまっすぐな線を縦横に十一本ずつ引き、島を十掛ける十の、合計百の正方形で囲まれたエリアに分けていた。そこに、縦列にはアルファベットAからJが、横列には1から10の数字が書き込まれる。

 1234567890
A■■■■■■■■■■
B■■灯□町病■■■■
C■町□商町寺役■■■
D■町温村森森森□■■
E■■■森□分森□■■
F■■■森森山山廃□■
G■墓町郵村山山森□■
H■□町町□□森森森■
I■■■□□森森森□■
J■■□□港□■□□■

「一つのエリアは四百メートル四方で、ここはE6です、分校ですっ。島の皆さんには出て行ってもらったので、誰もいません。電気や水道や電話といったライフラインは封じといたけど、民家や施設に出入りするのは自由だよー。もちろんそこにあるものも勝手に使ってオーケー! だけどね、みんなが同じ場所でじっとしてたらゲームが進まないんで、私が一日四回、朝と夜の六時と十二時に全島放送をしますっ。そのときに、それまでに死んだ生徒の名前と一緒に禁止エリアというものを発表するよー。つまり、『このエリアが危ないぞ』っていうのを伝えるわけです。そしたらそこにいる生徒は急いで脱出してねー。そうしないと、あなたたちの首輪が」
 その先が予想できてしまい、直樹は畜生、と叫びたくなった。
「爆発するよー」
 予想通りだった。しかし、嬉しくもなんともない。
 なんなんだ、この巧妙に練り込まれたルールは!
 プログラムは中学生同士が殺し合うゲームだということくらい、教科書やニュースによる知識で知っていた。だけど、それがこんなにも複雑かつ厄介なルールだっただなんて……これじゃあ、『殺し合うしかない』って誰もが思う! 思ってしまう!


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板