したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

クレイジー・デスゲーム【長編】

13有紀 ◆PyB831QpqM:2009/12/19(土) 10:17:31 ID:WPT8tlWQ
智史は廃校の外に出ると、さっそくディパックを開けて中身を確認した。出てきたのは登山用のピッケルだった。これも確かに武器にはなる。斧などと比べるとはるかに威力は劣るだろうが、扱いやすそうだ。本当は銃や手榴弾などの方が強力なんだろうけど、ハズレじゃなかった分ありがたい。
そこまで思った時、智史は自分の考えに少しゾッとした。武器の威力を考えるなんてまるでゲームに乗るつもりの人間みたいだ。
そんなことはない、これはあくまで護身用だ。これから自分がどうするのかはまだ考えていないが、少なくとも自分から積極的に人を殺すことはしたくない。それが元クラスメートでも、ただの同じ学校の出身者だとしても同じことだ。
さて、これからどうしようか。確か次に出発するのは同じクラスで昨日まで仲良く話していた久美子のはずだ。彼女は俺と違って行動力があるから、きっと2人で今後の方針について話し合えるだろう。
そう思いながら智史は久美子を待つことにした。想像通り久美子はすぐに走ってきた。見ると手にはすでに支給品の銃が握られている。
相変わらず行動早いなあと思いながら智史が声をかけようとすると、なんと久美子は冷たい目で銃口を智史の額に向けていた。

「久美……」

バァンッ

久美子は走りながら銃を撃った。当然まともには当たらず、弾は智史のほほをかすめただけに終わった。しかし、売れていないとは言え、俳優にとって顔は命だ。いや、それ以前にもし弾が頭にでも命中していたら、本当に命を落とすことになっていた。
とにかく説得しなくては。ほほの痛みと焦りの中で智史が思ったことはそれだった。久美子を刺激しないように、武器のピッケルはかなぐり捨てて、急いで両腕で久美子の手を掴んだ。
「離しなさいよ!私はみんな殺す!それが例え智史であっても!」
「落ち着けよ、久美子!俺にはお前を殺す意思は無いから。……でもただ殺されるのもごめんだ。とりあえず話さないか?」
「そうやって隙を突いて私を殺す気じゃないの?あんたの武器はそのピッケルだけ?」

とりあえず今のところ自分の身に危険が少ないと判断した久美子は、とりあえず智史の話を聞くことにしたらしい。智史が久美子にとって友達だったというのも、久美子を落ち着かせる一つの材料になったようだ。
「そうだよ。俺はお前の敵なんかじゃないから、どうか落ち着いて……」
「それじゃあ……仲間になってくれるって言うの?この誰も信用できないようなゲームの中で」
「もちろんだよ。俺は始めからそのつもりでお前を待ってた。だから急いで校門の前から逃げ出さなかったんだ。分かるだろ?それにこれは、誰も信用できないようなゲームなんかじゃない」

久美子は少しの間考えていたが、やがて落ち着いたように言った。
「じゃあ、あんたが私を守ってくれるわけ?とりあえず手離してよ。痛いから」
「あっ、ごめん!そりゃあ出来るだけ守るように努力するつもりだよ」
「本当ね?出会った奴みんな殺してそして最後の2人になったら自殺して、私を優勝させてくれるとでも言うの?」
早口でとんでもないことを言い放つ久美子に対して智史は一瞬面食らってしまう。
「いや……そこまでは言ってないけど……」


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板