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クレイジー・デスゲーム【長編】

11有紀 ◆PyB831QpqM:2009/11/14(土) 11:15:00 ID:WPT8tlWQ
結局その晩は全員、その教室の中で寝泊りすることになった。
寝具も無い硬い床に伸夫辺りは特にグチを漏らしていたが、文句を言っても何も変わらないということで、結局そこから出ることは出来ずに一晩が過ぎた。
そして次の日の5時半ころ、先生が電子ロックを解除し、中に入ってきた。
異様なのはその後ろから、まるでバトルロワイアルのプログラムの見張りをするかのような兵隊の格好をした男達がいっぱい入ってきたことだ。
先生が楽しげに大声を張り上げる。
「おーい、皆ー。ちゃんと逃げ出さずに待ってたかー」
その声と気配でほとんどの者は違和感を感じ、目を覚ました。
(もっとも清風のように不眠症で最初から起きていた者もいれば、淳のようにまだ呑気に眠っているものもいたが)
『逃げ出さずに』という言葉に、教室の中に少しの緊張感が走る。
それでもまだほとんどの者達はこれが、ちょっと大掛かりな『サバイバルゲームの真似事』だと信じていた。
きっとあの兵隊の格好をした男達が持っている銃もモデルガンで、ちょうど用意されているあの大量の首輪にはセンサーか何かが付いていて、それに反応する光線が出るモデルガンとかが用意されていて、(おそらくあのバトルロワイアルで支給品などを入れておくディパックに入っているのだろう)あの首輪を着け、センサーが反応したら負けみたいなルールで皆で遊ぶのだ。
それがきっと先生のいう『お楽しみゲーム』の内容で、優勝者には高価なプレゼントが用意されていたりするのだ。
兵隊の格好をした男達はそのエキストラで、ゲームの臨場感を出すために大金持ちなあの先生が雇ったりしたのだ。
寝ぼけたままの頭で、ほとんどの生徒達が楽観的にそう思考を廻らせる。

しかし次の瞬間、皆はその楽観的思考をふっとばされる光景を目のあたりにする。
「なんだ〜、淳はまだ眠ってるのか〜。皆もまだあんまり目が覚めてないみたいだしな〜。おい、ちょっと一発かましてやれ」
その先生の言葉の直後、兵隊の1人が淳の左腕目掛けて銃を撃った。

バァン!

その銃声に、教室中が一気に凍りついた。
あれはモデルガンなんかじゃない。間違いなく本物の銃。その証拠に淳の腕からは、鮮やかな赤い色をした血が流れ出している。
幸いかすめただけで、あまり深い怪我にはならなかったようだが。
隣にいた美代子が、ビクビクしながら「大丈夫!?」と声をかける。
淳は痛みに顔をしかめながら、それでもまだボーっとした感じで左腕の傷口を手で押さえながら起き上がる。
そして辺りを見渡した後、先生に一瞬だけ普段のイメージとは異なる鋭い視線を向ける。
普段はのんびりしたイメージなのに、淳は時々妙に鋭い一面を見せることがあった。
今回もあの短時間で、これから自分の身に降りかかる出来事を大体理解したようだ。
「何ですか。このバトルロワイアルみたいなの〜。あっ、そうか!先生、このメンバーでバトロワと同じルールのゲームするつもりでしょ!」
呑気な口調でも、言っていることは大変なことだ。それは、最後の1人になるまで殺しあうと言っているのと同じ意味を持つのだから。
この口調で言われると、なんだかそれは冗談のように聞こえるが、先ほどの銃弾が、それが本気の可能性が極めて高いことを物語っている。
ほとんどのメンバーは凍りついたままだ。綺観が、楽しそうに微笑んでいる先生に対して、覚悟を決めた表情で語りかけた。
「やっぱり……そうなんですね?」


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