したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

こちら葛飾署亀有公園前派出ロワイアル

8トンダゴメンッス:2010/05/06(木) 21:42:58 ID:???

 第四話「戦争」


 浅草雷門の境内では銃撃戦が繰り広げられていた。
 だが、それは一方的な展開となりつつあった。
 
「くっ……!」

 全てにおいてパーフェクト人間である中川財閥総帥子息、中川圭一は、サブマシンガンを握りしめ、苛立たげに銃撃の音を聞きながら息をひそめていた。
 彼が相手にしていたのは、元グリーンベレー所属のボルボ西郷であった。
 ボルボの獲物は、ランサーアサルトライフルという化け物のような銃であったのだ。
 ライフルはマシンガンのように連射でき、ライフルの先には銃剣のような刃がついているデザイン。
 更にその威力はコンクリートの壁を容易く撃ち抜くものだ。

 プロの軍人であったという経歴ですら厄介であるのに、武器もまた極悪なもの。
 更に、ボルボは中川を標的として認識して、攻撃を仕掛けている。
 攻撃すれば、位置が完全にばれてしまうと感じた中川は息を潜めて、逃走の機会を窺う以外に手はなかったのだ。
 中川をもってしても、クレー射撃ではオリンピック級の腕前を持っているし、射撃訓練でも好成績を記録してきた。
 だが、相手は戦争のプロであるのだ。
 アマチュアである自分が勝てる道理はない。

「くそっ……なんで、エリートである僕がこんな目に……!」

 あんな戦争馬鹿を相手にしてられるか、両津や左近寺、本田だってバイクに乗りさえすればボルボに対抗し得る力がある。
 わざわざエリートである自分が手を下す必要もないのだ。
 馬鹿どもは馬鹿どもで潰し合い、自分は華麗かつ優雅に最後の勝ちを奪い取ればいい。
 そんな事を考えている中川の胸中は、逃亡の二文字で占められていた。

「とにかく、チャンスを待つしかない……」

 そう思った矢先の事であった。
 いきなり、ボルボの銃撃が収まる。

 中川は思う。
 もしてかして、敵は去ったのではないかと。 

 だが、中川は耐えた。
 これはボルボの罠ではないかという疑念があったのだ。
 ボルボはその場から立ち去ったかのように見せて、自分をおびき出そうとしているのではないかと。
 中川は、息を潜めて生唾を飲み込む。
 ボルボは、戦争のプロだ。
 囮、罠、陽動、犠牲を最小限に敵を倒す手の内は幾らでも持っているのだ。
 だから、中川は待つ。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板