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こちら葛飾署亀有公園前派出ロワイアル

7トンダゴメンッス:2010/05/05(水) 23:58:05 ID:???

 第三話「人間のクズ」


「なんて事だ……まさか、私も殺し合いに参加する事になっていたとは」

 署長である屯田 五目須(とんだ ごめす)は、火のついた葉巻きをガラス製の灰皿を押しつける。
 彼は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべ、署長室の自分の椅子に腰かけていた。
 机の上に無造作に置かれているのは、拳銃ブローニングハイパワーであった。
 これは、彼の支給品であり、当たり武器ではあるが、まさか自分が殺し合いに参加するとは思ってなかった彼の顔は暗かった。
 何故なら、自分が参加者であると知った他の人間達は、まず屯田を狙う事は当然である。
 故に、彼は生きた心地がしなかった。

「ふん、いい気味だ」

 ガチャリとドアを開けて入ってきたのは、男勝りの女警官、擬宝珠 纏(ぎぼし まとい)であった。
 屯田は、そんな彼女に何所か冷めた視線を送りながら、鼻で笑った。
 部屋の外で、屯田の独り言を聞いていた彼女は、憎悪の籠った瞳で屯田を睨むと、おもむろに腰のホルダーの拳銃を抜く。

 ぱん、と乾いた銃声と硝煙が署長室に巻き起こる。
 そして、拳銃が床に転がった。

「くそ……」

 銃を構えていたのは、屯田五目須であった。
 擬宝珠纏は、屯田の銃撃で、持っていた拳銃を弾き飛ばされたのだった。

「ふっ、入署して一年足らずのキミが叩き上げで署長に成り上がった私に勝てるとでも思ったのかね?」

 屯田は、椅子から立ち上がると、上から見下ろすように擬宝珠を見やる。
 その口調は、凍てつくような寒さを感じさせるもので、悔しそうに睨んでいた擬宝珠ですら背筋に冷たいものを感じていた。

「……時にキミは随分と口の利き方を知らないようだね。少し、教育が必要なようだね……」

「や、やめろ…………くっ、勘吉……」

 屯田は、ネクタイを緩めながら、いやらしい顔で擬宝珠に覆いかぶさっていった。
 署長室に、擬宝珠の悲鳴が上がる。

 どうせ死ぬなら、好き勝手にやってやる。
 警察署長、屯田 五目須が外道に堕ちた瞬間であった。


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