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こちら葛飾署亀有公園前派出ロワイアル

17トンダゴメンッス:2010/05/08(土) 21:58:23 ID:???

 例え、作戦がうまくいかなくても寺井は裏手からこっそりと逃げればいいだけだった。

「あーっはっは! まさか、こんなにも上手くいくとはおもってなかったけどね!!」

 普段は温厚で、本来は草食動物であるはずの寺井がボルボという肉食動物を倒したという事で勝利の美酒に酔っている。
 先程のボルボの銃声に加え、今現在の寺井の馬鹿笑い。
 それは、致命的な隙だったかもしれない。

 いつの間にか、寺井の背後にいた人物は、ドスッと寺井の背中から胸の位置に包丁を突き立てていた。
 突然沸き起こる痛みに寺井は驚愕に目を見開く。

「凄いじゃない……よく勝てたね」

 声の主は、血を吐いて事切れているボルボを見て、冷淡に言った。
 そして、寺井には、その声に聞きおぼえがあった。

「ま、まといちゃん……」

 それは、擬宝珠纏だった。
 寺井は、自分の身体から急速に力が抜けていく事に恐怖を覚えていく。
 纏は、寺井の背中から力任せに包丁を抜きとると、倒れる寺井に銃口を向ける。

「……ははは、駄目だなぁ……ぐすっ、結局、僕は……何やっても……ドン臭いままだったなぁ…………ごめんよ、みんな……ぐすっ、ごめんね……――」

 寺井は自分の不甲斐なさからか、しゃくり上げるように目に溢れる涙を浮かべていた。
 纏は、彼の謝罪の相手が、命を奪った者に対してか、それとも、残し逝く彼の家族に対してかは分からない。
 恐らく両者なのだろう、そう思い、纏は引き金に手を掛けた。

「最後に教えてくれ、勘吉を知らないか?」

「両、さん……? 知らないよ……殺し合いが始まってからは会ってない……」

「そう……」

「ははは……両さんかぁ……今、何やってんだろうなぁ……」

 寺井の眼には愛する家族との想い出、そして、両津や、彼を中心とした人物達との想い出が蘇っていた――いわゆる走馬灯というやつだ。
 トラブルメーカーで、周りの人間達に迷惑ばかりかけていた両津――その周りの人間の中のひとりに無論、寺井も含まれている。

「色々あったけど……でも、もう一度会いたかっ……――」

 纏がとどめを刺すまでもなく、寺井は死んだ。


 ボルボ西郷
 寺井 洋一    死亡  残り 2人


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