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こちら葛飾署亀有公園前派出ロワイアル

14トンダゴメンッス:2010/05/08(土) 00:09:08 ID:???
 
 ごん、と鈍い音が聞こえたのだった。
 その音と共に日暮の意識が掻き消えていく。
 そして、彼は落下した。

「がはっ……!」

 落ちた先には、ガレキの上に突き出た先端の鋭くなった鉄棒があり、運悪く日暮の胸に突き刺さる。
 それは、日暮自らが降らせた鉄棒の一本だった。
 彼は、血を吐き白眼を剥いた。

「チッ、寮をぶっ飛ばしやがって……俺の大事なドキメモグッズをどうしてくれるんだよ……」

 憎々しげに呟いたのは、左近寺竜之介だった。
 彼の投げた拳大の石ころが日暮の頭部に直撃した為、日暮は落下した。
 それだけの事であった。

 左近寺は、息も絶え絶えに立ってるのがやっとといった状態のマリアの存在に気付く。

「マリアか……お前に恨みはないが、ドキメモの為だ……始末させて貰うぜ」

 ボキボキと拳を鳴らすと、両手を掲げて、柔道の構えを取る柔道師範の左近寺。
 彼は、宝物であったドキメモグッズの消失という多少の精神的ショックはあるものの万全の体調だった。

 対するマリアもキックボクシングの構えを取ろうとする。 
 だが、寮の崩壊に巻き込まれ、加えて日暮との戦いで消耗しており、万全とは程遠いコンディションだった。
 しかし、両津が死に、仇敵であった日暮も死んだ。
 ならば、せめて格闘家として死ぬのも悪くないな、そんなどうでもいい事が頭に浮かんだからだ。

 達人級の力を持つ左近寺もマリアの不調ぶりは手に取るように分かった。
 彼は、互いに万全の状態ならば、良い勝負が出来たのにな、と惜しい気持ちになりながらも雄叫びを上げて、マリアに飛び掛かろうとする。

「ぐ……ぐふっ」

 刹那、左近寺の呻き声と共に、彼の胸に真っ赤な花が咲く。
 そして、その中心には、先端の鋭い鉄パイプが生えていた。
 その鉄パイプは心臓の部位を貫いており、左近寺は一瞬にして、その命を散らしたのだった。

 左近寺を迎え撃とうとしたマリアは愕然とした。
 そして、倒れた左近寺の後ろにいたのは、最後の力の念動力で彼の命を刈り取った日暮の姿であった。
 日暮は、皮肉げな表情でにやりと笑うと、がくりと力無くその息を引き取るのだった。


 左近寺 竜之介
 日暮 熟睡男   死亡  残り 4人


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