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こちら葛飾署亀有公園前派出ロワイアル

13トンダゴメンッス:2010/05/08(土) 00:08:53 ID:???

 第八話「鬼達の宴」


 にこにこ独身寮が光に包まれたと思うと、次の瞬間には寮はガレキの山と化していた。
 ガレキの山を見下ろすように空に浮かぶ日暮は、禍々しいオーラに包まれており、その表情はまるで鬼神のようであった。

 マリアは、日暮に上空から見下ろされる中、ガレキの山を掻き分けながら、何とか這い出てくる。

「やはり生きていたか……しぶといやつだ」

 日暮は、鬱陶しいゴミ屑でも見下ろすようにマリアを見ると、掌に収束させた力を解放する。
 念動力により、浮かび上がった幾つものガレキ――巨大なコンクリートの塊がマリアに降り注ぐ。
 マリアは、その攻撃を身軽なフットワークを生かして避け続ける。
 更に、日暮はサイキックで鉄パイプや先の鋭い鉄棒などを上空に浮かび上がらせ、それが矢の雨のように降らせる。

「…………!?」

 冷や汗を浮かべ、それらを紙一重でマリアは避けていく。
 マリアを仕留めそこなった即席の矢の雨がガレキの上に突き刺さり剣山のように増えていく。
 彼女が喋る事はない、嘆きの言葉を吐いたりしないし、怒りの雄叫びを上げる事もない。
 ただ、その目は日暮という存在を捉えて離さない。
 悲しみも憎悪をも超えた、絶望という感情が彼女を侵食していた。
 だが、絶望だけでは動けない。
 人を動かすには足らない感情だ。
 だが、そんな彼女が何故動くのか――それは絶望と共にある復讐という感情だった。
 絶望故に、その先には何もない事を彼女は理解していた。
 だが、あの男に殺されてやるのは我慢ならない。
 だからこそ、彼女は、復讐という感情を激情としてではなく、冷静に受け入れたのだった。

 恐らくは、先程両津を殺した能力を使う為にはかなり近くまで接近しなければいけない。
 だから、こうやって飛び道具で自分の消耗を誘っているのだ。
 マリアは、そう静かに判断する。

 日暮もまたキックボクシングのチャンプという過去のあるマリアに距離を許す事を恐れているのだ。
 だから、両津を始末した直後、マリアに攻撃を仕掛けるというリスクを冒さずにすぐさま寮を崩壊させて、距離を取らざるを得なかったのだ。

 だが、マリアが幾らキックボクシングの元チャンプでもスタミナは無限ではない。
 彼女の動きが少しずつ鈍ってきた。

「麻里愛、動きが目に見えて鈍ってきたな」

 そろそろとどめを刺す頃合いか、日暮がそう思った矢先の出来事だった。


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