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バトル・ロワイアル〜タッグマッチ篇〜

88 ◆L0v/w0wWP.:2009/03/17(火) 16:39:09 ID:???

島の北端の断崖で、二人の男女が佇んでいた。
男の方は痩せぎすで、背の低い―――どこと無く蛙を思わせる顔の―お世辞にも
あまりハンサムとは言えない少年。女の方は、この年代の女子にしては背が高く、
大変短い髪、そしてどこか落ち着いた容姿の美少女だ。少女はただひたすら祈り、
少年はただひたすら苛立っていた。



(まったく、この緊急事態になにを考えているんだこの女。
 わざわざ敵を眼前に連れてくるような真似をしやがって!)

少年、織田敏憲(男子4番)は、隣でずっとため息を吐いている
自身のパートナー小川さくら(女子4番)を、睨みつけていた。

彼、織田敏憲は県下有数の食品会社の次男坊で
学校ではバイオリンが得意な大人しいおぼっちゃんで通っているのだが、
内心、クラスメイトを下品な有象無象と見下していた。
それに、東京の音楽学校への推薦入学が内定しており、
卒業後の輝かしい未来が約束されていた彼は、当然、このプログラムに乗るつもりでいた。

だが―――(彼にとっては)不幸な事にこのプログラムは
同一出席番号の男女がペアで戦うタッグマッチ形式、
どうしても組んだ相手によって行動が制約されてしまう。
そして、彼と同じ出席番号である、彼女・小川さくらは
恋人である山本和彦とここで待ち合わせると言い出したのだ。
当然・敏憲は反対したのだが、さくらは『和君に会えないのなら死ぬ』とまで
言い出したため、しかたなく彼女の要求を呑んだ。

(まったく、この忌々しい首輪め!どうせこんな下品なゲームに巻き込まれるなら
 通常ルールで実施してくればよかったものを!)

敏憲は政府の理不尽に腹を立てていた。敏憲には一応、当たり武器と言える防弾チョッキが支給され、
小川さくらにも攻撃力の高いショットガン『フランキ・SPAS12』が支給されたので
(さくらは使うつもりが無いらしくすぐ敏憲に渡した)当面、身を守る事はできようが
この女の無気力振りでは、優勝は難しい。

(なんとか、なんとかこの忌々しい女に発破をかけないと…)

「あっ、和くん!」
「さくら!」

そう考えていると茂みの奥から山本和彦―地味で顔がちょっといいだけの男―(男子21番)と
矢作好美(女子21番)―相馬光子などとつるんでいるアバズレ―が姿を現した。
さっさと始末してしまいたいが、二人ともそれぞれ腰から拳銃を下げている。
それに、ここで和彦を殺してしまっては、さくらが本当に自殺しかねない。
ここは慎重に腰を据えてかからねば。

「怪我は無かった?」「大丈夫だよ、さくらの方こそ――」
「再会を喜ぶのもいいけど、今はどんな状況だかわかってるのか?さっさと済ませてくれよ」

早速二人の世界を形作ろうとした二人を敏憲は制した。

「ああ、織田の言うとおりだな。さくら、俺ができる事なら力になるよ…」
「わかった、私が和くんを呼んだのは―――会いたかったから」

やっぱりな。どこまで男の事しか頭が無いんだこの女。
生き残れるのは一組だけなんだぞ!そう、敏憲が怒鳴りつけようとしたとき
さくらの口から信じられない一言が発せられた。

「最期に会っておきたかったの…。自殺する前に―――」

【残り 34人】


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