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バトル・ロワイアル〜タッグマッチ篇〜
76
:
◆L0v/w0wWP.
:2009/02/21(土) 23:03:53 ID:???
凄い剣幕でまくし立てられ、有香は和志を恨めしそうに見ながら、
ぶつくさと呟いている。文句を言いたいのはこちらの方だ。
(あぁ、どうせ殺し合いなんてさせられるならせめて千草と組ませて欲しかったぜ。
俺はなんて運がねぇんだ――こんな殺し合いに巻き込まれて、こんな豚女と組ませられて
渡された武器もこんなんじゃ…)
和志は天を呪った。自分と有香に支給された武器はただのブーメランと三味線糸だった。
アボリジニの戦士(もっとも和志はブーメラン発祥の由来などは知らないのだが)か
どこぞの時代劇の正義の味方じゃあるまいし、こんなものでは身を守る事すらできない。
和志が有香の意見どおり、集落へ向かっているのはもう少しマシな武器を手に入れるためだった。
(嫌だ…俺はまだ死にたくない。サッカーだってもっとやりたいし、美味いもんだって食いたい。
続きが気になる漫画だってあるし、彼女だって欲しいし…できれば千草がいいけど…
とにかく俺はこんなところで死にたくねぇ…。)
和志の心は恐怖で支配されていた。
◇
集落に着いた2人はどこかの民家に入り込もうとしたが、一軒目、二軒目とくまなく施錠されており
中には入れなかった。
「もう、窓とか割ってさ、中に入ろうよ。あたしゃ、腹が減って仕方ないよ」
「お、俺にやれってのかよ!?」
「か弱い女の子に力仕事させんの〜?」
本当に可愛い女の子は自分でか弱いとか言わねぇよ!
と言っても、そうこうしていても埒が明かないので、三軒目の家の
今の窓ガラスを墜ちていたブロックで叩き割り、鍵を開けて侵入した。
器物損壊と家宅侵入の犯罪だが、この場では仕方が無いと和志は自分に言い聞かせた。
「じゃ、先行ってよ」
「ちっ、わかったよ」
両刃ナイフをしかと握り締め、おそるおそる台所を探す。
何と言う事の無い民家だが、シンと静まり返り、中は真っ暗、不気味な雰囲気を醸し出している。
「くっつくなよ、気持ち悪いな!」
「いいじゃないのよ〜、男でしょ〜!」
懐中電灯で照らしながら、今から廊下に出ると、玉暖簾のかかった入り口を発見。
おそらくあそこが台所であろう。あそこで包丁か何かを手に入れよう。
和志が台所に足を踏み入れ、周囲を懐中電灯で照らしたその瞬間である。
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