したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

バトル・ロワイアル〜タッグマッチ篇〜

58 ◆L0v/w0wWP.:2008/12/29(月) 19:25:38 ID:???
そして先程の、恐らく彼と特別な信頼関係で結ばれていると思われた、
沼井充でさえも桐山は躊躇無く殺そうとしたのだ。
そして今も平然としている。だが――桐山は沼井たちを仕留める
絶好の機会があったにも関らず、これを追うのをやめた。
やはり、やはり彼の中にはまだ躊躇いがあるのでは?
最後の望みをかけて雪子は尋ねた。

「ねえ、なんで沼井くんたちを追いかけなかったの…?」

笹川竜平の荷物を自分のデイパックに詰め替えていた、桐山が振り返った。

「……あれ以上、北野、お前と距離が生まれてしまえば、お前が誰かに襲われた場合、対処しきれないからだ。
 今後、なるべく俺の傍を離れないで欲しい。」
「そ、そう…。」

桐山の答えはやはりそっけないものだった。

「桐山くん、本当になんとも思わないの。」
「―――ああ。」

雪子の問いに桐山は一瞬、きょとんとした顔つきをしたが、やはり返答は同じであった。
が、その時――桐山が急に左のコメカミのあたりを指で抑えた。

「…!?大丈夫。」
「…なんでもない。時々こういう事があるんだ。――恐らく、黒長と月岡はこれ以上待っても来ないと思う。
 充たちも、今から追いかけていても間に合わないだろう。一旦、北へ向かう。」
「…う、うん。」

言うや否や、桐山は立ち上がり歩き始めた。

「ま、待って!」

雪子は銃と自分の荷物を手にして、後を追いかける。
なんだったんだろう、今のは…。この違和感の正体を知りたい。
桐山の暴挙をなんとか止めたい。だが、今の自分にはどうする事もできないのだ。
みんな殺してしまうのか?沼井充も、黒長博や月岡彰も。自分の想い人七原秋也も…。
(友美ちゃん、私、いったいどうしたらいいの…。)
思い浮かぶ親友の最期の姿、そして、言い残そうとした言葉の意味…。
(まさか友美ちゃんも…七原くんの事を…。)
胸が詰まるような思いで、雪子はただ、波の音を背に桐山の後をついて歩く。
岩礁の上にはただ、笹川竜平の死体と、荷物が殆どなくなったディパックだけとが残された

【残り 36人】


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板